説明

印刷装置

【課題】用紙などのシートの散乱を抑制しつつ、ストッパの位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性を向上すること。
【解決手段】印刷部から排出されたシートが積載される積載部と、積載部へ排出されるシートの排出方向に移動自在に設けられ、シートの排出方向への移動を規制するストッパと、ストッパの位置が、シートの排出方向の長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定する判定部と、を備え、印刷部は、判定部によって基準範囲外であると判定された場合(S102でNO)は、基準範囲内であると判定された場合(S102でYES)の印刷制御に比べ、積載部に積載された複数のシートの散乱が抑制される印刷制御に切り替えて印刷する(S104〜S106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が形成されたシートを積載部に排出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、画像を転写され装置外に排出された用紙を積載する排出スタッカー部の用紙先端部近傍に、用紙サイズに応じた任意の位置で用紙先端を規制するストッパ部材を設け、選択された給紙トレイの用紙サイズとストッパ部材位置に対応する用紙サイズとを比較し、サイズが一致しない時はプリント動作を禁止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−168063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置によると、サイズが一致しない時は印刷が禁止されるので、サイズが一致しない時であっても印刷が行われて欲しいユーザにとって不便である。
本明細書では、用紙などのシートの散乱を抑制しつつ、ストッパの位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性を向上できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される印刷装置は、シートに画像を印刷し、前記画像が印刷された前記シートを排出する印刷部と、前記印刷部から排出された前記シートが積載される積載部と、前記積載部へ排出される前記シートの排出方向に移動自在に設けられ、前記シートの前記排出方向への移動を規制するストッパと、前記ストッパの位置が、前記シートの前記排出方向の長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定する判定部と、を備え、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記基準範囲内であると判定された場合の印刷制御に比べ、前記積載部に積載された複数の前記シートの散乱が抑制される印刷制御に切り替えて印刷する。
【0006】
また、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記ストッパの位置が前記基準範囲内であると判定された場合の印刷制御に比べ、前記シートを排出する速度が遅い印刷制御に切り替えてもよい。
【0007】
また、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記シートを排出する速度を、前記シートの前記排出方向の長さ、及び、前記シートの種類の少なくとも一方に基づいて決定してもよい。
【0008】
また、上記印刷装置は、前記シートが排出される排出口を有する筐体を備え、
前記排出口から前記ストッパまでの前記排出方向の距離が前記シートの前記排出方向の長さに対して設定されている閾値未満であるか否かを判定し、前記閾値未満である場合は前記シートの排出を禁止してもよい。
【0009】
また、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記基準範囲外であると判定されてからの印刷枚数が制限枚数に達するまで前記シートに画像を印刷し、前記制限枚数に達すると、前記ストッパに対応する前記積載部への前記シートの排出を中断する印刷制御に切り替えてもよい。
【0010】
また、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定されると、前記制限枚数を、前記シートの前記排出方向の長さ、及び、前記シートの種類の少なくとも一方に基づいて決定してもよい。
【0011】
また、前記印刷部は、前記制限枚数に達すると、前記積載部に積載されている前記シートを取り除くようユーザに指示するメッセージを報知してもよい。
【0012】
また、上記印刷装置は、前記印刷部によって搬送されている前記シートの前記排出方向の長さを測定する測定部を備え、前記判定部は、前記ストッパの位置が、前記測定部によって測定された長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定してもよい。
【0013】
また、上記印刷装置は、互いに異なる長さの前記シートを収容する複数のシート収容部と、前記シートに印刷される画像であって、当該画像が印刷される前記シートの前記排出方向の長さが設定されている画像を入力する入力部と、を備え、前記判定部は、前記ストッパの位置が、前記入力部によって入力された前記画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定し、前記基準範囲外であると判定した場合は、前記ストッパの位置が、前記シート収容部に収容されている他の長さの前記シートの長さに対して設定されている前記基準範囲により近いか否かを判定し、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記他のシートの長さに対して設定されている前記基準範囲により近いと判定された場合は、当該他の長さのシートに前記画像を印刷する印刷制御に切り替えてもよい。
【0014】
また、上記印刷装置は、前記シートに印刷される画像であって、当該画像が印刷される前記シートの前記排出方向の長さが設定されている画像を入力する入力部を備え、前記判定部は、前記ストッパの位置が、前記入力部によって入力された前記画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定し、前記基準範囲外であると判定した場合に、当該画像より後に前記入力部によって他の画像が既に入力されている場合は、当該他の画像について、前記ストッパの位置が当該他の画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定し、前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記他の画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であると判定された場合は、前記他の画像を先に印刷する印刷制御に切り替えてもよい。
【0015】
なお、本発明に備わる各部の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら各部の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
【0016】
また、本発明は、印刷方法、印刷プログラム、印刷プログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記の印刷装置によると、シートの散乱を抑制しつつ、ストッパの位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】プリンタの概略構成を示す側断面図。
【図2】プリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図3】ストッパの位置の基準範囲を説明するための模式図。
【図4】実施形態1に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図5】実施形態2に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図6】実施形態3に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図7】実施形態4に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図8】実施形態5に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図9】実施形態6に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図10】実施形態7に係る印刷処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
(1)印刷装置の概略構成
図1は、実施形態1に係る印刷装置としてのプリンタ1の概略構成を示す側断面図である。プリンタ1は、本体ケーシング10、印刷用紙収容部20、搬送部30、画像形成部40を備えている。本体ケーシング10は筐体の一例である。
【0020】
複数の印刷用紙収容部20は本体ケーシング10から引き出し可能に設けられている。各印刷用紙収容部20には互いにサイズの異なる印刷用紙21を収容することができる。また、印刷用紙収容部20は印刷用紙21が積載される印刷用紙トレイ22を有している。印刷用紙トレイ22はバネ23によって上方に付勢されており、印刷用紙トレイ22が上方に付勢されることにより印刷用紙トレイ22の最も上に積載されている印刷用紙21がピックアップローラ31に圧接する。印刷用紙収容部20はシート収容部の一例であり、印刷用紙21はシートの一例である。
【0021】
搬送部30は、ピックアップローラ31、各種のローラ32〜35、これらのローラを回転駆動する図示しないステッピングモータを備えている。搬送部30は印刷用紙収容部20に収容されている印刷用紙21を1枚ずつ搬送経路Tに沿って搬送し、画像形成部40によって画像が形成された印刷用紙21を排出口13から本体ケーシング10の外部に排出する。
ここで、搬送部30は印刷用紙21を常にその長手方向に搬送するものとする。このため、印刷用紙21のサイズが決まると印刷用紙21の排出方向の長さはそのサイズの印刷用紙21の長手方向の長さとして一意に決まる。なお、印刷用紙21は常に短手方向に搬送されてもよい。
【0022】
画像形成部40は、搬送部30によって搬送されている印刷用紙21に電子写真方式やインクジェット方式で画像を形成する。
搬送部30、画像形成部40、及び、後述する制御部50は、実施形態1に係る印刷部を構成している。
排出トレイ11は本体ケーシング10の上壁の一部を構成しており、搬送部30によって本体ケーシング10から排出された印刷用紙21が積載される。排出トレイ11は積載部の一例である。
【0023】
ストッパ12は、印刷用紙21が排出される排出方向に移動自在に排出トレイ11に設けられている。図1では示していないが、排出トレイ11の上面には各サイズの印刷用紙21の先端の位置が刻印されており、ユーザは後述する印刷ジョブをプリンタ1に送信する前に、その印刷ジョブに設定した印刷用紙21のサイズに対応する位置にストッパ12を手動で移動させる。排出トレイ11に排出された印刷用紙21は、排出方向の先端がストッパ12に当接することにより、それ以上の排出方向への移動が規制される。
【0024】
なお、ストッパ12は排出トレイ11に設けられていなくてもよく、少なくとも印刷用紙21の排出方向への移動を規制するものであればよい。他の構成として、例えば、板状の排出トレイが本体ケーシング10と別体で構成されており、その排出トレイを厚さ方向に貫通する開口部を設け、本体ケーシング10に設けられているストッパが排出トレイの下側から開口部に挿入されて上方に突出するように構成されていてもよい。そして、開口部を印刷用紙21の排出方向に広く形成し、ストッパが排出方向に移動可能に構成してもよい。
【0025】
(2)印刷装置の電気的構成
図2は、プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ1は、制御部50、記憶部51、操作部52、搬送部30、画像形成部40、通信インタフェース(通信I/F)53、ストッパ位置センサ54、用紙センサ55、及び、ジャムセンサ56を備えている。
【0026】
制御部50は、CPU50A、ROM50B、RAM50Cを有する。CPU50AはROM50Bや記憶部51に記憶されているプログラムを実行することによってプリンタ1の各部を制御する。また、CPU50Aは各種の時間を測定するためのソフトウェアクロックとしても機能する。ROM50Bには、プリンタ1の動作を制御するための各種のプログラムやデータが記録されている。RAM50CはCPU50Aが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。制御部50は印刷部、及び、判定部の一例である。
【0027】
記憶部51には、例えばNVRAMやフラッシュROMが含まれる。記憶部51には、プリンタ1の動作を制御するための各種のプログラムや後述する保留ジョブなどが記憶される。
操作部52は、液晶ディスプレイなどの表示装置や複数のボタンを備えている。ユーザは操作部52を操作することによってプリンタ1に対する各種の設定を行うことができる。
【0028】
通信インタフェース53は、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークやUSB(Universal Serial Bus)などを介して端末装置に接続されており、端末装置から後述する印刷ジョブを受信する。通信インタフェース53は入力部の一例である。
【0029】
ストッパ位置センサ54は、ストッパ12の排出方向の位置を検出するセンサである。ストッパ位置センサ54としては、例えばストッパ12の移動に連動して移動する可動部と、可動部が移動することによって抵抗値が変化する可変抵抗器と、可変抵抗器の抵抗値に応じた検出信号を出力する出力部とを備えるセンサを用いることができる。このストッパ位置センサ54によれば、ストッパ位置センサ54から出力される検出信号の大きさによってストッパ12の位置を検出できる。なお、ストッパ位置センサ54はストッパ12の位置を検出できる構成であれば上述した構成に限定されない。
【0030】
用紙センサ55は、排出トレイ11に印刷用紙21が積載されているか否かを検知するセンサである。用紙センサ55としては、例えば排出トレイ11に積載されている印刷用紙21の重さで機械的にオンになるスイッチを用いることができる。なお、用紙センサ55は排出トレイ11に印刷用紙21が積載されているか否かを検知できる構成であれば上述した構成に限定されない。
【0031】
ジャムセンサ56は例えば光電センサであり、図1に示すように搬送経路Tに沿って複数配置されている。各ジャムセンサ56はそれぞれ検出範囲内の印刷用紙21を検出し、印刷用紙21が検出されている間、制御部50に検出信号を出力する。
【0032】
また、制御部50は、一つのジャムセンサ56から検出信号が連続して出力された時間と印刷用紙21の搬送速度とを乗算することによって印刷用紙21の排出方向の長さを測定することもできる。ジャムセンサ56と制御部50とは、印刷用紙21の排出方向の長さを測定する測定部を構成している。
【0033】
(3)印刷ジョブ
印刷ジョブとは、ページ毎の画像データ、当該印刷ジョブを送信したユーザのユーザ情報、印刷条件などからなるデータである。
印刷条件には、少なくとも当該印刷ジョブに含まれている画像データが表す画像が印刷される印刷用紙21のサイズが設定されている。印刷用紙21のサイズとは、例えばJIS規格でいうとA4判、B5板、Letterサイズなどである。
【0034】
(4)ストッパの基準範囲
図3は、実施形態1に係るストッパ12の位置の基準範囲を説明するための模式図である。ストッパ12は、印刷用紙21のサイズ毎に、言い換えると印刷用紙21の排出方向の長さ毎に、排出方向の位置の基準範囲が予め設定されている。
実施形態1では、各サイズの印刷用紙21について、印刷用紙21の排出口13からの距離であって排出トレイ11の上面に沿った印刷用紙21の排出方向の距離が「印刷用紙の排出方向の長さ」である位置から、印刷用紙21の排出口13からの距離であって排出トレイ11の上面に沿った印刷用紙21の排出方向の距離が「印刷用紙の排出方向の長さ+2cm」である位置までの範囲が、その印刷用紙21の長さに対するストッパ12の位置の基準範囲として設定されている。図3では基準範囲の例として、第1の長さ、第2の長さ、及び、第3の長さに対して設定されている基準範囲を示している。
以降の説明では「印刷用紙の排出方向の長さ」のことを単に「印刷用紙の長さ」という。
【0035】
(5)印刷処理
ストッパ12の位置が基準範囲内である場合は、印刷用紙21の排出方向の先端がストッパ12に当接する、あるいは当接し易いので、印刷用紙21を速い搬送速度で搬送しても印刷用紙21の排出方向の先端の位置や傾きが揃い易く、排出トレイ11上で印刷用紙21が散乱し難い。
このため、CPU50Aは、ストッパ12の位置が基準範囲内である場合は、印刷時間を短縮するために、印刷条件に応じた印刷が可能な範囲で極力速い搬送速度で印刷用紙21を搬送する印刷制御で印刷を行う。
【0036】
一方、ストッパ12の位置が基準範囲外であるときも基準範囲内であるときの印刷制御と同じ印刷制御で印刷を行った場合、すなわち、上述した速い搬送速度で印刷用紙21を搬送した場合を考えてみる。
前述したようにストッパ12は印刷ジョブを送信する前にユーザが手動で移動させるものであるが、ユーザがストッパ12の移動を忘れてしまい、ストッパ12の位置が基準範囲外にある場合もある。
例えば、ストッパ12の位置が基準範囲外にある場合であって基準範囲よりも排出口13から遠い位置にある場合、印刷用紙21を速い搬送速度で搬送すると、ある印刷用紙21は本来停止すべき位置を通り越してストッパ12の近傍まで達し、更にある印刷用紙21はストッパ12に跳ね返されて排出口13側に戻るなど、排出トレイ11上で印刷用紙21の挙動が安定しなくなる。印刷用紙21の挙動が安定しないと、印刷用紙21の先端の位置や傾きが揃わず、排出トレイ11上で印刷用紙21が散乱してしまう。印刷用紙21が散乱してしまうと、ユーザが手作業で印刷用紙21を揃えなければならず、ユーザにとって負担である。
【0037】
そこで、CPU50Aは、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合は、基準範囲内である場合の印刷制御に比べ、排出トレイ11に積載された複数の印刷用紙21の散乱が抑制される印刷制御に切り替えて印刷する。
具体的には、実施形態1に係るCPU50Aは、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合は、基準範囲内である場合の印刷制御に比べ、印刷用紙21を搬送する速度が遅い低速印刷制御に切り替える。「印刷用紙21を搬送する速度」は「シートを排出する速度」の一例である。
【0038】
図4は、実施形態1に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。本処理は通信インタフェース53によって端末装置から印刷ジョブが受信されると開始される。
S101では、CPU50Aは、受信した印刷ジョブから印刷用紙21のサイズを取得して印刷用紙21の長さを特定する。
S102では、CPU50Aは、ストッパ12の位置がS101で特定した長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定し、基準範囲内である場合はS103に進み、基準範囲外である場合はS104に進む。
【0039】
S103では、CPU50Aは、印刷制御を、通常の搬送速度で印刷用紙21を搬送して印刷する通常印刷制御に切り替える。通常の搬送速度は前述した速い搬送速度に相当する搬送速度であって、ストッパ12が「印刷用紙の長さ+2cm」以上の位置にある場合には排出トレイ11上で印刷用紙21が散乱してしまう程度に速い搬送速度である。
【0040】
S104では、CPU50Aは、上述した通常の搬送速度より遅い搬送速度を決定する。ここでは、CPU50Aは、少なくとも排出トレイ11上に排出するためのローラ35を回転駆動するためのステッピングモータの回転数を遅くさせればよい。また、それ以外の各種ローラ31〜34の回転数、及び、画像形成部40の印刷速度自体を遅くするような印刷制御を行ってもよい。
また、遅い搬送速度の決定方法としては、ストッパ12が「印刷用紙の長さ+2cm」以上の位置にあっても印刷用紙21が散乱し難いと判断される速度を予め実験などによって求めておき、その予め求めた速度を上述した遅い搬送速度として決定してもよい。
【0041】
また、上述した遅い搬送速度は、印刷用紙21のサイズ、及び、印刷用紙21の種類の少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。例えば、印刷用紙21のサイズが小さいほど散乱し易いので、印刷用紙21のサイズが小さいほど搬送速度を遅くしてもよい。また、例えば、印刷用紙21はその厚さや材料によって坪量(1平方メートル当たりの重量)が異なるが、その坪量が小さいほど散乱し易い。よって、坪量が小さいほど搬送速度を遅くしてもよい。また、例えば、排出口13からストッパ12までの距離と印刷用紙21の長さとの差が大きいほど印刷用紙21が散乱し易いので、この差が大きいほど搬送速度を遅くしてもよい。この差は以下の式1によって求められる。
差=「排出口からストッパまでの距離」−「印刷用紙の長さ」・・・式1
【0042】
なお、ストッパ12が「印刷用紙の長さ」未満の位置にある場合は、印刷用紙21を速い搬送速度で搬送すると排出トレイ11上で印刷用紙21が折れ曲がり易くなるので、ストッパ12の位置が基準範囲よりも排出口13側である場合は、上述した遅い搬送速度を、排出口13からストッパ12までの距離に応じて決定してもよい。
具体的には例えば、排出口13からストッパ12までの距離が印刷用紙21の長さの3/4から印刷用紙の長さまでである場合は通常の搬送速度より遅くし、印刷用紙21の長さの1/2から3/4までである場合は更に遅くするようにしてもよい。
【0043】
また、排出口13からストッパ12までの距離が極端に短い場合は、印刷用紙21の曲がりが大きくなってしまい、大きく曲がった印刷用紙21に案内されて次の印刷用紙21がストッパ12を飛び越えてしまったり、大きく曲がった印刷用紙21に進路を妨害されて次の印刷用紙21を搬送できなくなってしまったりする虞がある。このため、排出口13からストッパ12までの距離が印刷用紙21の長さに対して設定されている閾値未満である場合は印刷を禁止するようにしてもよい。
具体的には例えば、排出口13からストッパ12までの距離が印刷用紙21の長さの1/2以下である場合は、印刷を禁止するようにしてもよい。
【0044】
S105では、CPU50Aは、印刷制御を、S104で決定した遅い搬送速度で印刷用紙21を搬送して印刷する低速印刷制御に切り替える。
S106では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる画像データが表す画像全てを、S103又はS105で切り替えた印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
【0045】
(6)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係るプリンタ1によると、ストッパ12の位置が印刷用紙21の長さに対して設定されている基準範囲外である場合も画像を印刷するので、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性が向上する。
また、プリンタ1によると、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合は、基準範囲内である場合の印刷制御に比べ、排出トレイ11に積載された複数のシートの散乱が抑制される印刷制御に切り替えるので、積載された印刷用紙21の散乱を抑制できる。
よってプリンタ1によると、印刷用紙21の散乱を抑制しつつ、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性を向上できる。
【0046】
更に、プリンタ1によると、ストッパ12の位置が基準範囲外であると判定された場合は、ストッパ12の位置が基準範囲内であると判定された場合の通常印刷制御に比べて印刷用紙21を搬送する速度が遅い低速印刷制御に切り替える。搬送する速度が遅いと、搬送する速度が速い場合に比べ、排出トレイ11上で印刷用紙21が散乱し難くなる。従って、低速印刷制御に切り替えると、排出された印刷用紙21の散乱を抑制できる。
【0047】
更に、プリンタ1によると、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合は、印刷用紙21を搬送する速度を、印刷用紙21の長さ、及び、印刷用紙21の種類の少なくとも一方に基づいて決定するので、印刷用紙21の散乱をより効果的に抑制できる。
【0048】
更に、プリンタ1によると、排出口13からの距離が「印刷用紙の長さ」未満である位置も基準範囲外の位置となるので、ストッパ12が「印刷用紙の長さ」未満である位置にあるときも搬送速度が遅くされる。ストッパ12が「印刷用紙の長さ」未満である位置にある場合は、印刷用紙21を速い搬送速度で搬送すると排出トレイ11上で印刷用紙21が折れ曲がり易くなるので、「印刷用紙の長さ」未満である位置にストッパ12がある場合も搬送速度を遅くすることにより、印刷用紙21を折れ曲がり難くすることができる。
【0049】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5によって説明する。
実施形態2は実施形態1の変形例である。実施形態1では印刷ジョブから印刷用紙21のサイズを取得して印刷用紙21の長さを特定する場合を例に説明したが、実施形態2では搬送経路Tの最も上流にあるジャムセンサ56Aを用いて印刷用紙21の長さを測定する。
【0050】
図5は、実施形態2に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S201では、CPU50Aは搬送部30を制御して印刷用紙21の搬送を開始する。このとき印刷用紙21を搬送する搬送速度は通常の搬送速度であるとする。
【0051】
S202では、CPU50Aは搬送経路Tの最も上流にあるジャムセンサ56Aを用いて印刷用紙21の長さを測定する。
具体的には、CPU50Aは、搬送経路Tの最も上流にあるジャムセンサ56Aから検出信号が連続して出力された時間と通常の搬送速度とを乗算することによって印刷用紙21の長さを測定する。
【0052】
S203では、CPU50Aは、ストッパ12の位置がS202で測定した長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定し、基準範囲内である場合はS103に進み、基準範囲外である場合はS104に進む。
S104において、CPU50Aは、少なくとも排出トレイ11上に排出するためのローラ35を回転駆動するためのステッピングモータの回転数を遅くさせればよい。また、それ以外の各種ローラ31〜34のうち、最も上流にあるジャムセンサ56Aより下流のローラ33〜34の回転数、及び、画像形成部40の印刷速度自体を遅くするような印刷制御を行ってもよい。
S204では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる1ページ分の画像データが表す画像を、S103又はS105で切り替えた印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
【0053】
S205では、CPU50Aは次の画像データがあるか否かを判定し、ない場合は処理を終了し、ある場合は全ての画像データが表す画像の印刷が終了するまで処理を繰り返す。
【0054】
以上説明した実施形態2に係るプリンタ1によると、搬送されている印刷用紙21の長さを実際に測定し、測定された長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定する。
例えば、設定されているサイズとは異なるサイズの印刷用紙21が印刷用紙収容部20に収容されており、印刷ジョブに設定されているサイズとは異なるサイズの印刷用紙21が搬送されてしまうことも起こり得る。実施形態2に係るプリンタ1によると、ストッパ12の位置が基準範囲内であるか否かを、搬送が開始された印刷用紙21の長さを実際に測定して判定するので、印刷ジョブに設定されているサイズに基づいて判定する場合に比べ、ストッパ12の位置が基準範囲内であるか否かをより正確に判定できる。
【0055】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図6によって説明する。
実施形態3は実施形態2の変形例である。実施形態2では搬送経路Tの最も上流にあるジャムセンサ56Aを用いて印刷用紙21の長さを測定したが、実施形態3では搬送経路Tの最も下流にあるジャムセンサ56Cを用いて印刷用紙21の長さを測定する。
【0056】
搬送経路Tの最も下流にあるジャムセンサ56Cは、搬送経路Tにおいて画像形成部40と排出口13との間に配置されている。このため、最も下流にあるジャムセンサ56Cを用いて印刷用紙21の長さを測定した場合には、画像が形成された後の印刷用紙21の長さが測定されることになる。
【0057】
図6は、実施形態3に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S301では、CPU50Aは、印刷制御を、通常の搬送速度で印刷用紙21を搬送して印刷する通常印刷制御に切り替える。
S302では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる1ページ分の画像データが表す画像を、S301、S103、又は、S105によって切り替えられた印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
【0058】
S303では、CPU50Aは次の画像データがあるか否かを判定し、ない場合は処理を終了し、ある場合はS304に進む。
S304では、CPU50Aは、S302で印刷した際に搬送経路Tの最も下流にあるジャムセンサ56Cから検出信号が連続して出力された時間と、そのとき切り替えられている印刷制御に応じた搬送速度とを乗算することによって印刷用紙21の長さを測定する。
【0059】
S305では、CPU50Aは、ストッパ12の位置がS304で測定した長さに対する基準範囲内であるか否かを判定し、基準範囲内である場合はS103に進み、基準範囲外である場合はS104に進む。
そして、CPU50Aは、S103又はS105の処理の後は、S302に戻り、1ページ分の次の画像データが表す画像を、S103又はS105で切り替えた印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
【0060】
以上説明した実施形態3に係るプリンタ1によると、次の画像データが印刷される印刷用紙21のサイズと既に画像データが印刷された印刷用紙21のサイズとが同じであると想定して、ストッパ12の位置が、次の画像データが印刷される印刷用紙21のサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを、既に画像データが印刷された印刷用紙21の長さを実際に測定して判定する。このように構成すれば、次の画像データが印刷される印刷用紙21のサイズと既に画像データが印刷された印刷用紙21のサイズとが同じである場合には、印刷ジョブに設定されているサイズに基づいて判定する場合に比べ、ストッパ12の位置が基準範囲内であるか否かをより正確に判定できる。
【0061】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図7によって説明する。
実施形態4では、CPU50Aは、ストッパ12の位置が基準範囲外であると判定した場合は、基準範囲外であると判定してからの印刷枚数Yが、予め設定されている制限枚数Xに達するまで印刷用紙21に画像を印刷し、印刷枚数Yが制限枚数Xに達すると、排出トレイ11から印刷用紙21が取り除かれるまで画像の印刷を中断する印刷制御に切り替える。
【0062】
図7は、実施形態4に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S401では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる1ページ分の画像データが表す画像を通常印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
S402では、CPU50Aは次の画像データがあるか否かを判定し、ない場合は処理を終了し、ある場合はS401に戻って処理を繰り返す。
【0063】
S403では、CPU50Aは、制限枚数Xを決定する。
具体的には例えば、散乱している印刷用紙21をユーザが手で揃えてもユーザが負担と感じ難い枚数を予め実験などによって求めておき、その予め求めた枚数を制限枚数Xとして決定してもよい。
また、制限枚数Xは、印刷用紙21のサイズ、及び、印刷用紙21の種類の少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。例えば、印刷用紙21のサイズが小さいほど制限枚数Xを小さくしてもよい。また、例えば、坪量が小さいほど制限枚数Xを小さくしてもよい。また、例えば、排出口13からストッパ12までの距離と印刷用紙21の長さとの差が大きいほど制限枚数Xを小さくしてもよい。
【0064】
S404では、CPU50Aは印刷枚数をカウントする変数である印刷枚数Yを0(零)にリセットする。
S405では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる1ページ分の画像データが表す画像を通常印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
S406では、CPU50Aは印刷枚数Yに1を加算する。
S407では、CPU50Aは印刷枚数Yが制限枚数Xに達したか否かを判定し、制限枚数Xに達している場合はS408に進み、達していない場合はS410に進む。
【0065】
S408では、CPU50Aは排出トレイ11に積載されている印刷用紙21を取り除くようユーザに指示するメッセージを操作部52の表示装置に表示し、排出トレイ11に積載されている印刷用紙21が取り除かれるまで待機する。この間、印刷は中断される。
メッセージを操作部52の表示装置に表示することは、メッセージを報知する一例である。なお、印刷ジョブをプリンタ1に送信した端末装置のディスプレイにメッセージを表示することによって報知してもよい。
CPU50Aは、印刷用紙21が取り除かれたか否かを、用紙センサ55の検出信号によって判断することができる。CPU50Aは印刷用紙21が取り除かれるとS409に進む。
【0066】
S409では、CPU50Aは印刷枚数Yを0(零)にリセットする。
S410では、CPU50Aは次の画像データがあるか否かを判定し、ない場合は処理を終了し、ある場合はS405に戻って処理を繰り返す。
【0067】
以上説明した実施形態4に係るプリンタ1によると、ストッパ12の位置が基準範囲外であると判定された場合は、基準範囲外であると判定されてからの印刷枚数Yが制限枚数Xに達するまで画像を印刷するので、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性が向上する。
また、実施形態4に係るプリンタ1によると、印刷枚数Yが制限枚数Xに達すると、排出トレイ11から印刷用紙21が取り除かれるまで画像の印刷を中断する。排出トレイ11に排出された印刷用紙21が多いと、印刷用紙21の散乱の程度も大きくなるので、制限枚数Xに達すると印刷を中断すると、シートの散乱を抑制できる。
よって実施形態4に係るプリンタ1によると、印刷用紙21の散乱を抑制しつつ、ストッパ12の位置が基準範囲外である場合も画像を印刷して欲しいユーザの利便性を向上できる。
【0068】
更に、実施形態4に係るプリンタ1によると、制限枚数Xを、印刷用紙21のサイズや種類に基づいて決定する。排出トレイ11に排出された印刷用紙21の散乱の程度は、印刷用紙21のサイズや種類によって異なる。実施形態4に係るプリンタ1によると、排出トレイ11に排出された印刷用紙21の散乱の程度が小さくなる制限枚数Xを印刷用紙21のサイズや種類に応じて設定しておくことにより、印刷用紙21の散乱をより適切に抑制できる。
【0069】
更に、実施形態4に係るプリンタ1によると、排出トレイ11に積載されている印刷用紙21を取り除くようユーザに指示するメッセージを表示するので、より確実に印刷を再開できる。
【0070】
更に、プリンタ1によると、排出口13からの距離が「印刷用紙の長さ」未満である位置も基準範囲外の位置となるので、ストッパ12が「印刷用紙の長さ」未満である位置にあるときも制限枚数Xに達すると印刷が中断される。ストッパ12が「印刷用紙の長さ」未満である位置にあるときも印刷枚数Yが制限枚数Xに達すると印刷が中断するようにすると、制限枚数X以上の枚数の印刷用紙21が排出トレイ11に同時に積載されないので、制限枚数Xを適宜に設定することにより、印刷用紙21を折れ曲がり難くすることができる。
【0071】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図8によって説明する。
実施形態5は実施形態4の変形例である。実施形態4では印刷ジョブから印刷用紙21のサイズを取得して印刷用紙21の長さを特定する場合を例に説明したが、実施形態5では搬送経路Tの最も下流にあるジャムセンサ56Cの検出信号に基づいて印刷用紙21の長さを測定する。
【0072】
図8は、実施形態5に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S501では、CPU50Aは、制限枚数Xを決定する。
S502では、CPU50Aは印刷枚数をカウントする変数である印刷枚数Yを0(零)にリセットする。
S503では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる1ページ分の画像データが表す画像を通常印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
【0073】
S504では、CPU50Aは503で印刷した際に搬送経路Tの最も下流にあるジャムセンサ56Cから検出信号が連続して出力された時間と、印刷用紙21の通常の搬送速度とを乗算することによって印刷用紙21の長さを測定する。
S505では、CPU50Aは、ストッパ12の位置がS504で測定した長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定し、基準範囲内である場合はS507に進み、基準範囲外である場合はS406に進む。
【0074】
S506では、CPU50Aは印刷枚数Yが制限枚数Xに達したか否かを判定し、制限枚数Xに達している場合はS408に進み、達していない場合はS507に進む。
S507では、CPU50Aは次の画像データがあるか否かを判定し、ない場合は処理を終了し、ある場合はS503に戻って処理を繰り返す。
【0075】
以上説明した実施形態5に係るプリンタ1によると、ストッパ12の位置が基準範囲内であるか否かを、搬送が開始された印刷用紙21の長さを実際に測定して判定するので、印刷ジョブに設定されているサイズに基づいて判定する場合に比べ、ストッパ12の位置が基準範囲内であるか否かをより正確に判定できる。
【0076】
<実施形態6>
次に、本発明の実施形態6を図9によって説明する。
実施形態6は、実施形態1の変形例である。実施形態6では、CPU50Aは、先ず、ストッパ12の位置が、受信した印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定する。
【0077】
そして、CPU50Aは、ストッパ12の位置が基準範囲外であると判定した場合は、その長さの印刷用紙21が収容されている印刷用紙収容部20とは別の印刷用紙収容部20に収容されている他の長さの印刷用紙21について、ストッパ12の位置が当該他の印刷用紙21の長さに対して設定されている基準範囲により近いか否かを判定する。
【0078】
そして、CPU50Aは、ストッパ12の位置が、他の長さの印刷用紙21の長さに対して設定されている基準範囲により近い場合は、当該受信した印刷ジョブに含まれている画像データが表す画像を、他の長さの印刷用紙21に印刷する印刷制御に切り替える。
【0079】
図9は、実施形態6に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
S601では、CPU50Aは、他の長さの印刷用紙21について、ストッパ12の位置が、その長さに対して設定されている基準範囲により近いか否かを判定する。
具体的には例えば、CPU50Aは、他の長さに対して設定されている基準範囲とストッパ12との距離が、受信した印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲とストッパ12との距離より短ければ、ストッパ12の位置が、他の長さに対して設定されている基準範囲により近いと判定する。
CPU50Aは、ストッパ12の位置が他の長さに対して設定されている基準範囲により近い場合はS602に進み、そうでない場合はS104に進む。
【0080】
S602では、CPU50Aは、受信した印刷ジョブが印刷される印刷用紙21のサイズを、ストッパ12の位置が基準範囲により近い長さに対応するサイズに変更する。
【0081】
以上説明した本発明の実施形態6に係るプリンタ1によると、ストッパ12の位置が、印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲外である場合は、ストッパ12の位置が基準範囲により近い他の長さの印刷用紙21に画像を印刷するので、印刷用紙21を搬送する速度を遅くしたり制限枚数に達すると印刷を中断したりすることによってユーザの印刷待ち時間が長くなってしまうことを抑制できる。
【0082】
<実施形態7>
次に、本発明の実施形態7を図10によって説明する。
実施形態7は、実施形態1の変形例である。実施形態7では、CPU50Aは、ストッパ12の位置が、受信した印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲外である場合は、当該印刷ジョブより後に他の印刷ジョブが既に受信されているか否かを判定し、他の印刷ジョブが既に受信されている場合は、当該他の印刷ジョブについて、ストッパ12の位置が当該他の印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定する。
そして、CPU50Aは、ストッパ12の位置が他の印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲内である場合は、当該他の印刷ジョブを先に実行する。
【0083】
図10は、実施形態7に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S701では、CPU50Aは印刷ジョブに含まれる画像データが表す画像を通常印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。
【0084】
S702では、CPU50Aは印刷ジョブを保留する。
S703では、CPU50Aは次の印刷ジョブがあるか否かを判定し、ない場合はS704に進み、ある場合はS101に戻って次の印刷ジョブに対して処理を繰り返す。
【0085】
S704では、CPU50Aは保留されている印刷ジョブがあるか否かを判定し、ある場合はS705に進み、ない場合は処理を終了する。以下の説明では「保留されている印刷ジョブ」を単に「保留ジョブ」という。
【0086】
S705では、CPU50Aは保留ジョブを一つ取得する。
S706では、CPU50Aは、上述した通常の搬送速度より遅い搬送速度を決定する。
S707では、CPU50Aは、印刷制御を、印刷用紙21をS706で決定した遅い搬送速度で搬送して印刷する低速印刷制御に切り替える。
S708では、CPU50AはS705で取得した保留ジョブに含まれる画像データが表す画像を低速印刷制御によって印刷用紙21に印刷する。印刷後、CPU50AはS704に戻る。
【0087】
以上説明した実施形態7に係るプリンタ1によると、ストッパ12の位置が、受信した印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲外である場合に、その印刷ジョブより後に受信された他の印刷ジョブに設定されているサイズに対応する長さに対して設定されている基準範囲内である場合は、他の印刷ジョブを先に印刷するので、他の印刷ジョブの印刷を指示したユーザの印刷待ち時間が長くなってしまうことを抑制できる。
【0088】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
(1)上記実施形態では、基準範囲として、印刷用紙21の排出口13からの距離であって排出トレイ11の上面に沿った方向の距離が「印刷用紙の長さ」である位置から、印刷用紙21の排出口13からの距離であって排出トレイ11の上面に沿った方向の距離が「印刷用紙の長さ+2cm」である位置までの範囲を例に説明したが、これは一例であり、印刷用紙21の散乱が小さいと判断される範囲を実験などによって求め、その求めた範囲を基準範囲とすればよい。
【0090】
また、上記実施形態1では印刷用紙21の排出口13からの距離が「印刷用紙の長さ」未満である位置も「基準範囲外」とし、ストッパ12が「印刷用紙の長さ」未満である位置にある場合も搬送速度を遅くする場合を例に説明したが、「印刷用紙の長さ+2cm」以上である位置のみを「基準範囲外」としてもよい。
【0091】
(2)上記実施形態4では印刷枚数Yが制限枚数Xに達すると排出トレイ11から印刷用紙21が取り除かれるまで待機し、排出トレイ11から印刷用紙21が取り除かれると印刷を再開する場合を例に説明したが、次のような構成であってもよい。
具体的には例えば、排出トレイ11を複数設けるとともに、各排出トレイ11に対応してストッパ12を設け、印刷枚数Yが制限枚数Xに達すると、現在印刷用紙21が排出されている排出トレイ11への排出を中断し、その排出トレイ11とは別の排出トレイ11であって、ストッパ12が基準範囲内にある排出トレイ11に印刷用紙21を排出するようにしてもよい。
【0092】
(3)上記実施形態6では当該実施形態6を実施形態1の変形例として説明したが、実施形態6の構成は実施形態2〜5に適用することもできる。例えば、実施形態4において、S102で基準範囲外であると判定した場合はS601を実行し、S601でストッパ12の位置が他の長さに対して設定されている基準範囲により近いと判定された場合はS602を実行してもよい。
【0093】
(4)上記実施形態7では当該実施形態7を実施形態1の変形例として説明したが、実施形態7の構成は実施形態2〜6に適用することもできる。例えば、実施形態4において、S102で基準範囲外であると判定した場合は印刷ジョブを保留し、その保留ジョブを実行する際に、実施形態4のS403〜S410の処理を適用してもよい。
【0094】
(5)上記実施形態では印刷装置としてプリンタ1を例に説明したが、印刷装置はコピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能などを備える所謂複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1・・・プリンタ、10・・・本体ケーシング、11・・・排出トレイ、12・・・ストッパ、21・・・印刷用紙、30・・・搬送部、40・・・印刷部、50・・・制御部、54・・・ストッパ位置センサ、55・・・排出センサ、56・・・ジャムセンサ、T・・・搬送経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を印刷し、前記画像が印刷された前記シートを排出する印刷部と、
前記印刷部から排出された前記シートが積載される積載部と、
前記積載部へ排出される前記シートの排出方向に移動自在に設けられ、前記シートの前記排出方向への移動を規制するストッパと、
前記ストッパの位置が、前記シートの前記排出方向の長さに対して設定されている基準範囲内であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記基準範囲内であると判定された場合の印刷制御に比べ、前記積載部に積載された複数の前記シートの散乱が抑制される印刷制御に切り替えて印刷する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記ストッパの位置が前記基準範囲内であると判定された場合の印刷制御に比べ、前記シートを排出する速度が遅い印刷制御に切り替える、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記シートを排出する速度を、前記シートの前記排出方向の長さ、及び、前記シートの種類の少なくとも一方に基づいて決定する、印刷装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の印刷装置であって、
前記シートが排出される排出口を有する筐体を備え、
前記排出口から前記ストッパまでの前記排出方向の距離が前記シートの前記排出方向の長さに対して設定されている閾値未満であるか否かを判定し、前記閾値未満である場合は前記シートの排出を禁止する、印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定された場合は、前記基準範囲外であると判定されてからの印刷枚数が制限枚数に達するまで前記シートに画像を印刷し、前記制限枚数に達すると、前記ストッパに対応する前記積載部への前記シートの排出を中断する印刷制御に切り替える、印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置であって、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記基準範囲外であると判定されると、前記制限枚数を、前記シートの前記排出方向の長さ、及び、前記シートの種類の少なくとも一方に基づいて決定する、印刷装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の印刷装置であって、
前記印刷部は、前記制限枚数に達すると、前記積載部に積載されている前記シートを取り除くようユーザに指示するメッセージを報知する、印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記印刷部によって搬送されている前記シートの前記排出方向の長さを測定する測定部を備え、
前記判定部は、前記ストッパの位置が、前記測定部によって測定された長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定する、印刷装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
互いに異なる長さの前記シートを収容する複数のシート収容部と、
前記シートに印刷される画像であって、当該画像が印刷される前記シートの前記排出方向の長さが設定されている画像を入力する入力部と、
を備え、
前記判定部は、前記ストッパの位置が、前記入力部によって入力された前記画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定し、前記基準範囲外であると判定した場合は、前記ストッパの位置が、前記シート収容部に収容されている他の長さの前記シートの長さに対して設定されている前記基準範囲により近いか否かを判定し、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記他のシートの長さに対して設定されている前記基準範囲により近いと判定された場合は、当該他の長さのシートに前記画像を印刷する印刷制御に切り替える、印刷装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記シートに印刷される画像であって、当該画像が印刷される前記シートの前記排出方向の長さが設定されている画像を入力する入力部を備え、
前記判定部は、前記ストッパの位置が、前記入力部によって入力された前記画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定し、前記基準範囲外であると判定した場合に、当該画像より後に前記入力部によって他の画像が既に入力されている場合は、当該他の画像について、前記ストッパの位置が当該他の画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であるか否かを判定し、
前記印刷部は、前記判定部によって前記ストッパの位置が前記他の画像に設定されている前記長さに対して設定されている前記基準範囲内であると判定された場合は、前記他の画像を先に印刷する印刷制御に切り替える、印刷装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−233985(P2012−233985A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101337(P2011−101337)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】