説明

印刷装置

【課題】本発明はメモリのデータをセルフリフレッシュ処理によって保存し、スリープ状態から復帰した際、メモリに記憶されたデータを使用して装置の起動を行なうことによって短時間で装置の起動を行う印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷装置であって、この印刷装置の制御プログラムを記憶する第1の記憶部と、上記装置のスリーブ中において電源供給が行なわれるサブ電源に接続され、上記第1の記憶部に記憶された上記制御プログラムが書き込まれる第2の記憶部と、上記サブ電源に接続され、上記装置のスリープ時、上記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持するセルフリフレッシュを行なわせるゲートアレイと、上記装置がスリープ状態から復帰する際、上記第1の記憶部に記憶された制御プログラムではなく、上記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して上記装置の制御を行なう制御部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスリープモードを維持するサブ電源を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プリンタ装置や複写機等の電子機器において、各種の節電対策が行なわれ、例えば、機器内の電子回路に使用されるDRAM(Dynamic Random Access Memory)をセルフリフレッシュモードに設定し、DRAMに記憶されたデータを保持しつつ消費電力の削減を図るスリープモードが提案されている。
【0003】
また、コンピュータネットワークに接続された印刷装置に対し、遠隔操作で電源投入や、装置のシャットダウンを行うウェイク・オン・ラン(Wake-on-LAN)を使用した省電力システムも提案されている。このシステムは、マジックパケットと呼ばれる特殊なパケットを起動させたい印刷装置に対して送出することによって、装置の電源を自動的に入れることができる。
【0004】
尚、特許文献1は情報処理装置において、不揮発性メモリのデータを電源再投入時に読み出す処理が可能であり、不揮発性メモリへの書き込み処理をアイドル状態となっているデバイスに関してのみ実行し、書き込み処理の時間短縮を図る発明を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−134075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のスリープモードからの復帰方法、すなわちセルフリフレッシュからの復帰方法は単一的であり、例えばI/Fコントローラにデバイス等のオプション類が接続されているか否かに係わらず同じ処理手順を実行している。しかし、一般的にはデバイス等のオプション類が接続されていない場合が多く、不要な処理を行うことで印刷装置の起動時間を長くしている。
また、特許文献1は不揮発性メモリへの書き込み処理をアイドル状態となっているデバイスに関してのみ実行し、通常状態からサスペンドに入る時間を高速にするという目的である。
【0007】
そこで、従来の課題に鑑み、スリープ状態に入った後メモリのデータをセルフリフレッシュ処理によって保存し、スリープ状態から復帰した際、メモリに記憶されたデータを使用して装置の起動を行なうことによって短時間で装置の起動を行ない、ノイズ等の外部要因による影響も少ない印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は本発明によれば、印刷装置であって、前記印刷装置の制御プログラムを記憶する第1の記憶部と、前記印刷装置のスリープ中において電源供給が行なわれるサブ電源に接続され、前記第1の記憶部に記憶された前記制御プログラムが書き込まれる第2の記憶部と、前記サブ電源に接続され、前記印刷装置のスリープ時に前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を前記第2の記憶部が保持する制御を行う記憶保持制御部と、前記印刷装置がスリープ状態から復帰した際、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を行なう制御部と、を有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スリープ状態に入った後メモリのデータをセルフリフレッシュ処理によって保存し、スリープ状態から復帰した際、メモリに記憶されたデータを使用して装置の起動を行い、短時間で装置の起動を実現することができる。また、スリープ状態に移行する際、スリープ前の装置の状態を複数ビットのフラグとして記憶し、スリープ状態からの復帰の際、上記フラグに従って処理を行い、更に短時間で装置の起動を実現することができる。さらに、上記フラグが想定外の値である場合、リブート処理を行ないメモリの破損等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のプリンタ装置の回路ブロック図である。
【図2】(a)は、本実施形態に使用するFPGA内のレジスタの構成を示す図であり、(b)は、上記レジスタの各ビットの内容を説明する図である。
【図3】本実施形態のプリンタ装置に使用されるDRAMコントローラのレジスタの構成の一部を説明する図である。
【図4】実施形態の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施形態の変形例の処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ装置(印刷装置)に使用されるI/Fコントローラの回路ブロック図である。尚、同図に示す点線Aより上部はサブ電源によって動作する回路であり、プリンタ装置1がスリープ中においても電力が供給される。また、同図に示す点線Aより下部はメイン電源によって動作する回路であり、スリープ中においては電力供給が行なわれず、消費電力の削減が図られる。但し、プリンタ装置の不図示のメインSWを遮断した場合、上記サブ電源及びメイン電源には、共に電源が供給されない。
【0012】
メイン電源によって動作する回路には、同図に示すCPU2、USBデバイス3、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)4、USBホスト5、フラッシュメモリ6、オペレーションパネル7、RTC(real time clock)8が含まれる。
【0013】
CPU2は後述するシステムプログラム(制御プログラム)に従って、本実施形態のプリンタ装置1の制御を行う。USBデバイス3は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)とUSBケーブルで接続され、パーソナルコンピュータ(PC)と通信を行い、パーソナルコンピュータ(PC)から印刷データを受信する。
【0014】
ASIC4は、CPU2とはPCI_BUS(PeriheralComponents Interconnect Bus)によって接続され、内蔵する圧縮/伸長回路により、ビデオデータの圧縮又は伸長処理を行なう。また、伸長処理を行なったビデオデータをエンジンに出力する。また、USBホスト5には、SSD(Flash Solid State Drive)記憶デバイス等のオプション装置が接続され、後述するCPU2によるハード設定が行われる。
【0015】
フラッシュメモリ6はCPU2とLOCAL_BUSを介して接続され、プリンタ装置1の制御プログラムやデータが記憶されている。この制御プログラムは後述するDRAM10に読み出され、CPU2の制御に使用される。尚、RTC8は時計機能を有し、SERIAL_BUSを介してCPU2に接続されている。
【0016】
オペレーションパネル7には、グラフィックLCDや、4個のスイッチ(SW1〜4)、及び2個のLED1、2が実装され、SERIAL_BUSを介してCPU2に接続されている。尚、4個のスイッチのなかで、スイッチSW2は後述するFPGA9(記憶保持制御部)に接続されており、スイッチ(SW2)の押下によってWAKE_UP信号2をFPGA9に出力する。また、LED2もFPGA9に接続されおり、プリンタ装置1がスリープ時、点滅信号がLED2に送信される。
【0017】
一方、サブ電源によって動作する回路には、FPGA(Field-Programmable Gate Array)9、DRAM10、LAN_PHY(Local Area Network Physical Layer)11が含まれる。FPGA9は、例えばハードウエア記述言語を使用して内部のレジスタに機能を追加できるデバイスであり、後述する本実施形態の特徴構成がこのレジスタに設定されている。この設定により、例えばプリンタ装置1のスリープ時、CPU2からのCKE信号(クロックイネーブル信号)をオフして(CKE_OUT=GND固定として)、DRAM10のセルフリフレッシュを継続させる。また、上記LED2を点滅させ、プリンタ装置1がスリープ中であることをユーザに知らせる。
【0018】
DDR2(Double-Data-Rate2)等のDRAM10は、MEM_BUSを介してCPU2に接続され、スリープ中はセルフリフレッシュモードに設定され消費電力を抑えた状態で、その内容が保持される。また、LAN_PHY11はLANケーブルを介して外部のパーソナルコンピュータ(PC)に接続され、パーソナルコンピュータ(PC)から印刷データやマジックパケットを受信する。
【0019】
LAN_PHY11はパーソナルコンピュータ(PC)からのマジックパケットを受信すると、WAKE_ON_LAN機能により、パケット内容をPHY自身で解析し、WAKE_UP信号1をFPGA9に出力する。尚、FPGA9はLAN_PHY11からのWAKE_UP信号1、又は前述のスイッチSW2からのWAKE_UP信号2を受信するとメイン電源にオン信号を出力する。
【0020】
図2(a)はFPGA9の内部レジスタの一部の構成を示す図であり、本例に関連する例えばアドレス(0x806)のD1〜D15のビット構成を説明する図である。尚、本例においては、ビットD1、D2、D4、D5、D8〜D15に情報が書き込まれている。また、同図(b)は対応するビットの説明を記載するものである。
【0021】
先ず、D0のCKEOFFビットには、前述のDRAM10のCKE信号の制御に関する情報がセットされる。例えば、“0”は通常動作の設定であり、CPU2からのCKEをDRAM10に接続する設定である。一方、“1”の設定は、スリープ中、DRAM10のCKEをGNDに接続し、DRAM10のセルフリフレッシュを継続する設定である。
【0022】
また、D1のHoldEnableビットは、ビット情報の保護に関する設定であり、“0”は通常動作の設定であり、“1”の設定は、ビットD1、D2、D4、D5、D8〜D15に設定された情報を保持する設定である。
【0023】
また、D4のLED2Blinkビットは、前述のLED2の点滅に関する設定であり、例えば“0”の設定は初期状態を示し、“1”の設定は、LED2を例えば4秒周期で点滅させる設定であり、ユーザにスリープ中であることを知らせる。
【0024】
また、D5のSW2WakeUpビットは、メイン電源のオンに関する設定であり、“0”は初期状態を示し、“1”はメイン電源オフ時にスイッチSW2を押下すると、メイン電源オン信号を出力する設定である。
【0025】
さらに、D15〜D8のFLAGビットは、スリープモードの各種設定に関するフラグの設定に関し、“0”は初期状態を示し、“1”の設定はスリープ前の状態の設定を意味し、このフラグ(FLAG)エリアを利用してスリープ前の状態を記憶し、スリープ状態からの復帰時にはこのフラグを参照し、プリンタ装置1の起動手順を決定する。尚、ビットD2、D3、D6、D7は空き状態である。
【0026】
図3は本例に使用しているCPU2のDRAMコントローラのレジスタの1つで、セルフリフレッシュに関するレジスタを示す。例えば、CPU2がD7ビット(SREFRビット)を“1”にセットすると、CPU2に内蔵されたDRAMコントローラからDRAM10に対してコマンドが発行され、DRAM10をセルフリフレッシュモードとする。一方、SREFRビットを“0”にセットすると、同様にDRAM10にコマンドが発行され、DRAM10はノーマルモードとなる。
【0027】
以上の構成において、以下に本例のプリンタ装置1におけるスリープモードへの移行処理、及びスリープモードからの復帰処理を説明する。
図4は本例の処理を説明するフローチャートであり、先ずメインSWがオフした状態では、I/Fコントローラを含むプリンタ装置1の全ての回路に電力供給が行なわれていない。すなわち、この状態では前述のメイン電源によって駆動するCPU2、USBデバイス3、ASIC4等の回路のみならず、サブ電源によって駆動するFPGA9、DRAM10、LAN_PHY11の回路も動作を停止している。
【0028】
この状態において、メインSWをオンすると(ステップ(以下、Sで示す)1)、先ずサブ電源がオンする(S2)。すなわち、図1に示す点線より上部の回路に電力供給が行なわれる。この時、FPGA9はリセット信号(RESET信号)をアクティブにしている。
【0029】
次に、FPGA9はCPU2からのCKE信号(図1のCKE_IN)をDRAM10に接続する(S3)。すなわち、FPGA9に入力するCKE_INをCKE_OUTに接続し、CPU2からのCKE信号(図1のCKE_IN)をDRAM10に接続する。また、この時FPGA9のD8〜D15ビットに初期化を示すフラグ“00h”を設定する。
【0030】
次に、FPGA9はメイン電源にオン信号を出力する(S4)。この処理によって、エンジン側に設けられたメイン電源がオンし(S5)、図1の点線Aより下部の回路にも電源が供給される。その後、FPGA9はリセット信号を解除する。上記処理によって、CPU2が起動し(S6)、フラッシュメモリ6から制御プログラムが読み出され、レジスタやI/Oの初期設定が行なわれる(S7)。
【0031】
次に、DRAM10を一旦セルフリフレッシュモードに設定する(S8)。この処理は、後述するスリープモードからの復帰の場合と処理を共通にするためである。
次に、CPUはFPGA9に設定してCPU2のCKEをDRAMに接続する(S9)。つまり、図2に示すD0のCKEOFFビットを“0”にする。
【0032】
次に、DRAMをノーマルモードに設定する。すなわち、図3のD7ビット(SREFRビット)を“0”に設定する(S10)。この処理によって、DRAM10はデータのリードライトが可能な通常状態となる。
【0033】
次に、FPGA9のフラグビットのチェックを行う。すなわち、前述の図2のD15〜D8に設定されたフラグのチェックを行う。先ず、D15〜D8に設定されたフラグが“00h”であるか判断する(S11)。この場合、この処理はメインSWを投入した場合であり、D15〜D8に設定されたフラグは“00h”である(S11がYES)。
【0034】
この場合、DRAM10には制御プログラムやデータが未だ書き込まれていないので、DRAM10のライト/リード/ベリファイ等のチェックを行う(S12)。
次に、USBホスト5のハードの設定を行う(S13)。この時USBホスト5にSSD記憶デバイス13が搭載されているか否かに係わらず、この処理が行われる。
【0035】
次に、OS(オペレーティングシステム)をフラッシュメモリ6から読み出し、DRAM10に書き込む(S14)。その後、FPGA9のフラグを“00h”にクリアし、DRAM10上のOSスタート番地へジャンプする(S15)。
【0036】
尚、上記処理S12〜S14に要する時間は、およそ20秒程度であるが、後述するスリープモードからの復帰の場合は、この部分が全部または一部削除可能であり起動時間が短縮される。
【0037】
次に、CPU2はスリープ要求が有るか判断し(S16)、プリンタ装置1としての印刷データの受信、画像メモリへの展開、エンジンへのビデオ転送・印刷の通常動作を行う(S17)。例えば、LAN_PHY11を介してパーソナルコンピュータ(PC)から印刷データが入力すると、CPU2は印刷データの受信処理を行い、更にコマンド解析を行なってビデオデータに変換し、DRAM10の所定エリアにビデオデータを展開する。さらに、CPU2はDRAM10からビデオデータを読み出し、ASIC4によって必要な伸張処理を施し、エンジンへビデオデータの転送を行ない、記録媒体に印刷出力を行わせる。
【0038】
上記処理はプリンタ装置1のメインSWを投入した際の処理の流れである。すなわち、プリンタ装置1がスリープ状態では無く、完全に電源供給が行なわれていない状態からのプリンタ装置1の起動の流れである。
【0039】
上記のようにしてプリンタ装置1が駆動を開始し、プリンタ装置1が通常動作を行なっている間、同時にスリープ状態への移行のチェックも並行して行われる(S16)。このスリープ状態への移行は、例えばオペレーションパネル7のスイッチ操作が予め設定した一定時間行なわれない場合や、パーソナルコンピュータ(PC)等のホスト機器からの印刷データの受信が一定時間行なわれない場合等において、スリープ状態への移行が行なわれる(S16でYES)。
【0040】
上記のような条件でスリープ状態への移行が開始されるが、その手順は以下の処理によって行なわれる。先ず、フラッシュメモリ6の所定アドレスにジャンプし、移行処理を開始する(S18)。この処理はスリープ中DRAM10をセルフリフレッシュして制御プログラムやデータを保持するが、プログラム自体はDRAM10に存在しており、そのままセルフリフレッシュの設定を行うと、CPU2がシステムエラーを起こすため、スリープ状態に設定するためのプログラムをフラッシュメモリ6の所定アドレス以降に記憶させておき、移行処理の際、このプログラムを読み出すためフラッシュメモリ6の対応するアドレスにジャンプするものである。
【0041】
次に、SSD記憶デバイス13が接続されているか判断する(S19)。すなわち、USBホスト5に前述のSSDがオプションとして接続されているか判断し、例えばSSD記憶デバイス13が接続されている場合(S19がYES)、FPGA9にフラグ“AAh”をセットする(S20)。すなわち、USBホスト5にSSD記憶デバイス13が接続されている場合、CPU2はFPGA9に制御信号を送り、FPGA9のD15〜D8ビットにフラグ“AAh”をセットする(S20)。一方、USBホスト5にSSD記憶デバイス13が接続されていない場合(S19がNO)、FPGA9のD15〜D8ビットにフラグ“55h”をセットする(S21)。
【0042】
次に、セルフリフレッシュの設定を行なう(S22)。この設定は、前述の図3に示すCPU2内のレジスタのD7のSREFRビットを“1”に設定する。このD7のビットは前述のように、スリープ状態への移行時、CPU2に内蔵されたDRAMコントローラからDRAM10に対してコマンドが発行され、DRAM10をセルフリフレッシュモードに設定するものである。
【0043】
次に、FPGA9に設定してDRAM10のCKE信号をローにする(S23)。すなわち、CPU2はFPGA9に制御信号を送り、FPGA9のD0のCKEOFFビットを“1”に設定する。この処理により、DRAM10はセルフリフレッシュモードに移行し、低消費電力でその記憶された制御プログラムやデータを保持する。
【0044】
FPGA9に上記設定が行なわれると、FPGA9はメイン電源をオフする信号をエンジンに出力し(S24)、このオフ信号によって図1に示すメイン電源によって駆動する回路動作は停止する(S25)。すなわち、CPU2や、USBデバイス3、ASIC4等の回路動作は停止する。上記処理により、以後のスリープ中プリンタ装置1の消費電力を削減することができる。
【0045】
次に、上記スリープ状態からの復帰手順を説明する。
上記スリープ状態では、サブ電源が供給されている回路、即ちFPGA9や、DRAM10、LAN_PHY11のみが動作している。この状態において、例えばパーソナルコンピュータ(PC)からLANを経由してマジックパケットがLAN_PHY11に入力すると(S26)、LAN_PHY11のWAKE_ON_LAN機能により、LAN_PHY11からWAKE_UP信号1がFPGA9に出力される(S27)。
【0046】
尚、前述のオペレーションパネル7に配設されたスイッチ(SW2)を押下することによってもFPGA9にWAKE_UP信号2を送信することができる(S28、S29)。
FPGA9は上記WAKE_UP信号1、又はWAKE_UP信号2を受信すると、FPGA9はスリープ状態からの復帰を認識し、メイン電源をオンさせるオン信号をエンジンに出力する(S4)。この処理によって、エンジン側に設けられたメイン電源がオンし(S5)、前述と同様、図1の点線Aより下部の回路にも電源が供給される。
【0047】
その後、前述において説明したようにCPU2の起動し(S6)レジスタやI/Oの初期設定を行ない(S7)、DRAM10を一旦セルフリフレッシュモードに設定する(S8)。そして、CPU2のCKEをDRAMに接続し(S9)、DRAM10をノーマルモードに設定する。
【0048】
次に、FPGA9のフラグビットのチェックを行う。すなわち、前述の図2のD15〜D8に設定されたフラグのチェックを行う。先ず、D15〜D8に設定されたフラグが“00h”であるか判断する(S11)。前述の例ではメインSWをオンしてプリンタ装置1の駆動を開始させる処理であったので、FPGA9のフラグは“00h”であったが、今回はスリープ状態からの復帰であり、前述の処理(S20、又はS21)によってフラグは“AAh”又は“55h”に設定されている。
【0049】
したがって、先ずFPGA9のフラグが“AAh”であるか判断し(S30)、FPGA9のフラグが“AAh”であれば(S30がYES)、前述のようにUSBホスト5に制御部13が接続されている場合である。この場合、USBホスト5にSSD記憶デバイス13のハード設定を行い(S31)、FPGA9のフラグを“00h”にクリアし、DRAM10上のOSスタート番地へジャンプし(S15)、通常動作を行なう(S16、S17)。
【0050】
すなわち、この場合DRAM10のデータは、そのまま保持されているので、改めてオペレーションシステム(OS)をフラッシュメモリ6からDRAM10に書き込む必要がなく、DRAM10のOSスタート番地に直ちにジャンプすることができる。このように処理することにより、前述のメインSWをオンした場合に比べて高速に通常動作状態まで起動することができる。尚、上記USBホスト5のハード設定に費やす時間はおよそ2秒程度である。すなわち、前述の処理S12〜S14に要する時間、およそ20秒に対してプリンタ装置1を高速に通常動作状態まで移行することができる。
【0051】
一方、上記判断(S30)において、FPGA9のフラグが“AAh”ではない場合(S30がNO)、更にFPGA9のフラグが“55h”であるか判断する(S32)。ここで、FPGA9のフラグが“55h”であれば(S32がYES)、USBホスト5にSSD記憶デバイス13が接続されていない場合であり、この場合、直ちにFPGA9のフラグを“00h”にクリアし、DRAM10上のOSスタート番地へジャンプし(S15)、通常動作を行なう(S16、S17)。したがって、この場合にはUSBホスト5のハード設定処理も行なわないため、更に高速にプリンタ装置1を通常動作状態まで移行することができる。
【0052】
さらに、FPGA9のフラグが“55h”ではない(S32がNO)、想定外のフラグ値であり、例えば静電気ノイズ等の外来ノイズによりFPGA9のフラグ値が破壊されたことを示している。この場合、DRAM10に記憶された制御プログラムやデータも破壊されている可能性が高い。したがって、この場合にはDRAM10に記憶した制御プログラムやデータを使用することなく、FPGA9のD15〜D8ビットのフラグを“AAh”に戻し(S33)、リブートを実行する。
【0053】
尚、図5に示すフローチャートは、上記実施形態の変形例を説明するものである。上記図4に示す処理と異なる処理は、処理(S7)後に、FPGA9のフラグをチェックする処理を挿入した点である。したがって、他の処理については前述の図4に示す処理と同様であり、図5に示すフローチャートにおいて図4の処理と同じステップ番号で示し、処理の説明を省略する。
【0054】
すなわち、図5に示す処理の場合、CPU2が起動し(S6)、レジスタやI/Oの初期設定を行なった(S7)後、直ちにFPGA9に設定したフラグのチェックを行ない(S34)、フラグが想定の値、即ち“00h”、又は“AAh”、又は“55h”ではない場合(S34がNO)、直ちにFPGA9の15〜D8ビットのフラグを“00h”に戻し(S35)、リブートを実行する。
【0055】
このように処理することによって、より早い段階でフラグのチェックを行い、想定外のフラグ値である場合、早期にリブート処理を行うことによって、DRAM10が使用可能状態になる前に(S10の完了前に)、DRAM10の状態判断が可能である。また、上記処理の際、リブートが必要になった場合でもトータルの起動時間をメインSWがオンした場合とほぼ同等にすることができる。
【0056】
さらに、レジスタやI/Oの初期設定処理(S7)と同時にFPGA9のフラグチェックを行なうように構成してもよい。この様によれば、DRAM10が使用可能になる前に処理内容を変更でき、例えば標準のDRAMのみが搭載されている場合と、標準のDRAMに加えてオプションのDRAMが搭載されている場合において、CPU2のDRAMコントローラの設定内容を切り替えるという構成にすることもできる。
【0057】
本発明はいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0058】
付記1
印刷装置であって、
前記印刷装置の制御プログラムを記憶する第1の記憶部と、
前記印刷装置のスリープ中において電源供給が行なわれるサブ電源に接続され、前記第1の記憶部に記憶された前記制御プログラムが書き込まれる第2の記憶部と、
前記サブ電源に接続され、前記印刷装置のスリープ時に前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を前記第2の記憶部が保持する制御を行う記憶保持制御部と、
前記印刷装置がスリープ状態から復帰した際、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムではなく、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を行なう制御部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【0059】
付記2
前記記憶保持制御部は、前記スリープ状態に移行する前の前記装置に接続されたデバイス情報を記憶し、前記スリープ状態から復帰する際、前記制御部は前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報に基づいて、ハード設定を行なうことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0060】
付記3
前記スリープ状態から復帰する際、前記制御部は前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報に誤りがある場合、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を行なうことを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【0061】
付記4
前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報の誤りの検出は、前記スリープ状態から復帰後、前記制御部に電源が供給された後直ちに行なわれることを特徴とする付記3に記載の印刷装置。
【0062】
付記5
前記記憶保持制御部への前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持させる指示は、前記制御部に予め設定されたコマンドに基づいて行なわれることを特徴とする付記1、2、3、又は4に記載の印刷装置。
【0063】
付記6
前記スリープ状態からの復帰は、前記装置に接続されたホスト機器から出力されるマジックパケットに基づいて行われることを特徴とする付記1、2、3、4、又は5に記載の印刷装置。
【0064】
付記7
前記スリープ状態からの復帰は、前記装置に設けられた操作パネルからの操作信号に基づいて行われることを特徴とする付記1、2、3、4、又は5に記載の印刷装置。
【0065】
付記8
第1の記憶部に記憶された装置の制御プログラムを、前記装置のスリープ中においても電源供給が行なわれるサブ電源に接続された第2の記憶部に書き込む処理と、
前記装置のスリープ時前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持する処理を、前記サブ電源に接続された記憶保持制御部の情報に基づいて行なう処理と、
前記装置がスリープ状態から復帰した際、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムではなく、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を実行する処理と、
を行なうことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【0066】
付記9
前記記憶保持制御部は、前記スリープ状態に移行する前の前記装置に接続されたデバイス情報を記憶し、前記スリープ状態から復帰した際、前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報に基づいて、前記装置のハード設定処理を行なうことを特徴とする付記8に記載の印刷装置の制御方法。
【0067】
付記10
第1の記憶部に記憶された装置の制御プログラムを、前記装置のスリープ中においても電源供給が行なわれるサブ電源に接続された第2の記憶部に書き込む処理と、
前記装置のスリープ時前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持する処理を、前記サブ電源に接続された記憶保持制御部の情報に基づいて行なう処理と、
前記装置がスリープ状態から復帰した際、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムではなく、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を実行する処理と、
を印刷装置に行なわせることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0068】
1・・・プリンタ装置
2・・・CPU
3・・・USBデバイス
4・・・ASIC
5・・・USBホスト
6・・・フラッシュメモリ
7・・・オペレーションパネル
8・・・RTC
9・・・FPGA
10・・DRAM
11・・LAN_PHY
13・・SSD記憶デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
前記印刷装置の制御プログラムを記憶する第1の記憶部と、
前記印刷装置のスリープ中において電源供給が行なわれるサブ電源に接続され、前記第1の記憶部に記憶された前記制御プログラムが書き込まれる第2の記憶部と、
前記サブ電源に接続され、前記印刷装置のスリープ時に前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を前記第2の記憶部が保持する制御を行う記憶保持制御部と、
前記印刷装置がスリープ状態から復帰した際、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を行なう制御部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記記憶保持制御部は、前記スリープ状態に移行する前の前記装置に接続されたデバイス情報を記憶し、前記スリープ状態から復帰する際、前記制御部は前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報に基づいて、ハード設定を行なうことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記スリープ状態から復帰する際、前記制御部は前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報に誤りがある場合、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を行なうことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報の誤りの検出は、前記スリープ状態から復帰後、前記制御部に電源が供給された後直ちに行なわれることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記記憶保持制御部への前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持させる指示は、前記制御部に予め設定されたコマンドに基づいて行なわれることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記スリープ状態からの復帰は、前記装置に接続されたホスト機器から出力されるマジックパケットに基づいて行われることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記スリープ状態からの復帰は、前記装置に設けられた操作パネルからの操作信号に基づいて行われることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の印刷装置。
【請求項8】
第1の記憶部に記憶された装置の制御プログラムを、前記装置のスリープ中においても電源供給が行なわれるサブ電源に接続された第2の記憶部に書き込む処理と、
前記装置のスリープ時前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持する処理を、前記サブ電源に接続された記憶保持制御部の情報に基づいて行なう処理と、
前記装置がスリープ状態から復帰した際、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムではなく、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を実行する処理と、
を行なうことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項9】
前記記憶保持制御部は、前記スリープ状態に移行する前の前記装置に接続されたデバイス情報を記憶し、前記スリープ状態から復帰した際、前記記憶保持制御部に記憶された前記デバイス情報に基づいて、前記装置のハード設定処理を行なうことを特徴とする請求項8に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項10】
第1の記憶部に記憶された装置の制御プログラムを、前記装置のスリープ中においても電源供給が行なわれるサブ電源に接続された第2の記憶部に書き込む処理と、
前記装置のスリープ時前記第2の記憶部に記憶された制御プログラムの記憶を保持する処理を、前記サブ電源に接続された記憶保持制御部の情報に基づいて行なう処理と、
前記装置がスリープ状態から復帰した際、前記第1の記憶部に記憶された制御プログラムではなく、前記第2の記憶部に保持された制御プログラムを読み出して前記装置の制御を実行する処理と、
を印刷装置に行なわせることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80283(P2013−80283A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218588(P2011−218588)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】