説明

印字装置

【課題】 排紙される用紙の枚数を検知するセンサを有さずとも、所定枚数より少なく印字する場合は効率良く印字処理を行え、所定枚数より多く印字する場合は印字排紙した用紙が積載され過ぎるのを防止可能な印字装置を提供する。
【解決手段】 排紙枚数カウントフラグがオフであると判定されると(S10:No)、受け付けた印字ジョブの全ての画像データが用紙18に印字されるまで印字及び排紙処理が行われる(S9,S10,S14)。排紙枚数カウントフラグがオンであると判定されると(S10:Yes)、枚数カウンタ116によって印字排紙される用紙18の枚数をカウントアップし(S11)、カウント値が上限値に達したと判定されると(S12:Yes)、印字動作が停止される(S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排紙された印字用紙を積載可能な積載部を備えたレーザプリンタ等の印字装置において、排紙枚数が積載可能枚数の上限値に到達する(スタックフルになる)と印字動作を停止する技術を備えた装置が知られている。
【0003】
例えば、印字動作回数をカウントするカウンタと、カウントされた印字動作回数が単シートのスタック(積載)可能枚数の上限値を超えると、印字動作を停止する停止手段とを備えたプリンタに関する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、この特許文献1では、スタックされている単シートが取り除かれ、再スタートボタンが押下されると、印字動作回数がクリアされ、単シートの発行動作が再開される。
【0004】
この特許文献1に開示された技術を用いれば、スタッカ(積載部)に積載された単シートの枚数を検知するセンサを有さなくても、スタックフルを検知することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−291602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1において、上限値を超えない枚数印字して排紙し、排紙された単シートをユーザが取り除く場合、カウンタをリセットするか否かの2通りの処理が考えられる。
【0007】
しかしながら、一方の処理としてカウンタをリセットしなければ、次に印字排紙可能な枚数は、(上限値−カウンタの計測値)となり、たとえ印字ジョブの印字枚数が上限値より少なくても、この(上限値−カウンタの計測値)を超えていれば、途中で印字動作を停止してしまう、という問題があった。
【0008】
また、他方の処理としてカウンタをリセットするのであれば、排紙された単シートを取り除く度にカウンタをリセットする必要があり、手間がかかる。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みなされたものであって、排紙される用紙の枚数を検知するセンサを有さずとも、所定枚数より少なく印字する場合は効率良く印字処理を行え、所定枚数より多く印字する場合は印字排紙した用紙が積載され過ぎるのを防止可能な印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の印字装置では、印字要求枚数に関する情報を付加された画像データに基づき、被記録媒体に画像を印字する印字手段と、印字された被記録媒体を排紙する排紙手段と、排紙された被記録媒体を積載する積載部と、を備えた印字装置において、積載部に積載される被記録媒体の枚数をカウントするカウント手段と、印字要求枚数が上限値を超える場合、カウント手段にカウントさせるように制御する制御手段と、制御されるカウント手段よってカウントされる値が上限値を超えると、印字手段による印字動作を停止する停止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の印字装置では、カウントされた値をリセットするリセット手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の印字装置では、リセット手段によってカウント手段がリセットされる場合、停止手段による印字動作の停止を解除する解除手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の印字装置では、上限値を設定する設定手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の印字装置では、外部装置とファクシミリ通信を行う通信手段と、通信手段によって受信されるジョブの画像データを記憶する記憶手段と、記憶されたジョブの画像データに基づき印字要求枚数を取得する取得手段と、を備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0015】
請求項1の印字装置によれば、印字要求枚数が上限値を下回る場合は、カウント処理を行わず、印字要求枚数が上限値を超える場合は、カウント処理を行いカウント値が上限値を超えると印字動作が停止されるので、積載部に積載される被記録媒体の枚数を検知するためのセンサを有さずとも、印字要求枚数が上限値を下回る場合は効率良く印字処理を行え、印字要求枚数が上限値を超える場合は印字排紙した被記録媒体が積載され過ぎるのを防止することができる。
【0016】
請求項2の印字装置によれば、積載枚数をカウントされた被記録媒体を積載部から取り除くとき、カウント手段をリセットすることができる。
【0017】
請求項3の印字装置によれば、停止された印字動作が再開されるので、印字要求枚数分印字することができる。
【0018】
請求項4の印字装置によれば、被記録媒体の厚さ、積載部の高さ等により、最適な上限値を設定することができる。
【0019】
請求項5の印字装置によれば、通信手段によって画像データを受信した場合も、印字する前に印字要求枚数を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
以下、図1〜図3を用いて本発明の第1の実施形態に係る複合機1(本発明の「印字装置」の一例)の全体構成について説明する。図1は、本発明を適用した複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は、複合機1に設けられた本体カバー12を開いた状態の斜視図である。図3は、複合機1構成を示した概略断面図である。図4は、本体カバー12及び原稿読取部40の構成を示した概略断面図である。
【0021】
複合機1は、図3に示す用紙18(本発明の「被記録媒体」の一例)を給紙する用紙トレイ17と、用紙トレイ17から供給された用紙18に、図2に示す原稿19の情報を読み取る等して得られた画像を形成し印字する本体10と、本体10の上面を完全に覆うように、本体10に開閉可能に支持された本体カバー12と、を備えている。
【0022】
本体10は、原稿19に記載された情報を読み取る(以下、原稿19を読み取るとする)原稿読取部40(図4参照)と、原稿読取部40で読み取った情報から画像を形成し、用紙18に印字する画像形成部2(本発明の「印字手段」の一例)と、複合機1を使用する際に必要な情報をユーザが入力する操作部14(本発明の「設定手段」の一例)と、を備えている。そして、原稿読取部40、画像形成部2は、本体ケース11内に収納されている。
【0023】
また、本体ケース11は、原稿読取部40に情報を読み取られる原稿19を配置する読取面11aと、用紙トレイ17を介さずに画像形成部2に用紙18を供給するための手差給紙部8と、画像形成部2で印字された用紙18が排紙される用紙排紙部30(本発明の「排紙手段」の一例)と、を有している。
【0024】
そして、読取面11aは、ガラス等の光を透過する素材によって形成された板材であり、本体カバー12と相対する本体ケース11の上面に固定されている。
【0025】
また、操作部14は、印字等に必要な設定情報を入力したり、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、プリント機能など複数のモードのうちユーザが望むモードを選択したりするための各種設定キー14aと、ユーザが望む処理を実行するためのスタートキー14b(本発明の「リセット手段」の一例)と、複合機1の状態等を表示するための表示部15と、を備えている。
【0026】
<画像形成部の構成>
次に、複合機1の本体10内における画像形成部2の概略構成を、図3に示す断面図を用いて説明する。
【0027】
画像形成部2は、レーザ光を照射し画像を形成するスキャナユニット60、スキャナユニット60で形成された画像を用紙18に転写するプロセスカートリッジ6、用紙18に転写された画像を定着させる定着ユニット70、を備えている。
【0028】
スキャナユニット60は、後述する感光ドラム80上に静電潜像を形成するためのレーザ光を発光するレーザダイオード(図示せず)と、レーザダイオードが発光するレーザ光を反射するように回転駆動されるポリゴンミラー61と、レーザ光を集光するレンズ62、63及び反射ミラー64、65、66等の光学器と、を備えている。スキャナユニット60では、レーザダイオードが発光するレーザ光がポリゴンミラー61により偏向され、光学器により集光、かつ光路の変更後、感光ドラム80の表面に高速走査にて照射される。
【0029】
プロセスカートリッジ6は、画像形成プロセス(帯電、現像、転写)を行うための構成を備えたカートリッジであり、ドラムカートリッジ4と、ドラムカートリッジ4に着脱自在に装着され、トナーを収納する現像カートリッジ50と、から構成されている。
【0030】
ドラムカートリッジ4は、レーザ光の被照射体であり、用紙18に転写されるトナー画像が形成される感光ドラム80と、感光ドラム80を帯電させる帯電器82と、感光ドラム80上のトナー画像を用紙18に転写する転写ローラ81と、を備えている。感光ドラム80上のトナー画像は、感光ドラム80と転写ローラ81との間を通過する用紙18に転写される。
【0031】
定着ユニット70は、加熱用ローラ71と、押圧ローラ72とを備え、用紙18が加熱用ローラ71と押圧ローラ72との間を搬送される時に、用紙18に転写されたトナー画像が加熱かつ押圧されることにより、用紙18に定着されるように構成されている。
【0032】
用紙排紙部30は、複合機1の本体10内における画像形成部2を通過してきた用紙18を本体10外部に排紙する排紙ローラ32と、排紙ローラ32によって排紙される用紙18を一定量積載可能な排紙トレイ33(本発明の「積載部」の一例)とを備えている。
【0033】
以上のような構成を有する本体10では、用紙トレイ17から供給された用紙18に対し、用紙18がプロセスカートリッジ6を通過する時に、スキャナユニット60から照射されたレーザ光により形成された画像を転写し、用紙18が定着ユニット70を通過する時に画像を定着させる。そして、定着ユニット70を通過してきた用紙18を用紙排紙部30に排紙させる。
【0034】
<本体カバー及び原稿読取部の構成>
次に、本体カバー12及び原稿読取部40の概略構成を、図4に示す断面図を用いて説明する。
【0035】
本体カバー12は、原稿読取部40に読み取られる前の原稿19を載置する載置部21と、原稿読取部40に読み取られた後の原稿19を集積する集積部31と、載置部21から読取面11aを経由して(即ち、原稿自動搬送読取位置3で保持された原稿読取部40に原稿19を読み取らせた後)集積部31へと原稿19を搬送する搬送部25と、を備えている。以下、載置部21、集積部31、搬送部25を総称して原稿自動搬送装置5とする。
【0036】
図4に示すように、原稿読取部40は、原稿19に対して光を照射する光源43と、原稿19によって反射された反射光を集光するミラー及びレンズ等の光学素子群42と、原稿19から情報を読み取るためのイメージセンサ41と、を備えている。つまり、原稿読取部40は、光源43から光が照射され、原稿19によって反射された反射光を光学素子群42によって集光し、集光された反射光をイメージセンサ41によって認識することにより原稿19を読み取るように構成されている。
【0037】
さらに、原稿読取部40は、原稿自動搬送読取位置3と対面する位置において、原稿19の読み取りが可能であり、かつ図示しない原稿読取部駆動機構により、読取面11aに沿った本体ケース11の長手方向(図4の左右方向)への移動が可能に構成されている。
【0038】
原稿自動搬送装置5を用いて原稿19の読み取りを行う際には、原稿読取部40を、原稿自動搬送読取位置3に対面する位置に保持し、原稿自動搬送装置5によって原稿自動搬送読取位置3を通過するように搬送される原稿19から、その原稿19の全情報を読み取る。
【0039】
また、読取面11aを覆うように配置された原稿19の読み取りを行う(いわゆる、フラットベット型として使用する)際には、原稿読取部40は、原稿読取部駆動機構によって移動されながら、読取面11aに配置された原稿19の全情報を読み取る。
【0040】
(電気的構成)
次に、本実施形態の複合機1の電気的構成について説明する。図5は、本実施形態の複合機1の概略構成を表すブロック図である。
【0041】
図5に示すように、複合機1は、エンジン101、制御基板102、インターフェイス103、及び操作部14等を備えている。
【0042】
エンジン101は、画像形成部2や原稿読取部40等において、印字処理や読取処理を実行するための各種の機械要素によって構成されており、これら各種の機械要素は、メインモータ105によって駆動される。
【0043】
制御基板102には、CPU106、ASIC107、ROM108、RAM109(本発明の「記憶手段」の一例)、及びNVRAM110が設けられている。
【0044】
CPU106は、制御の中枢をなしており、ASIC107とバス111を介して接続されている。
【0045】
ASIC107は、CPU106を、ROM108、RAM109、NVRAM110、エンジン101、インターフェイス103、及び操作部14と接続するためのIC回路であり、制御基板102の内部において、それぞれバス111によって接続されている。
【0046】
ROM108は、複合機1を制御するための各種プログラム、たとえば、印字処理を実行するための印字制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。
【0047】
RAM109は、一時的に数値やデータ等を格納するメモリであって、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称す)104から入力される印字ジョブや、電話回線115を介して外部のファクシミリ装置(不図示)等から入力される印字ジョブが一時的に記憶される。
【0048】
NVRAM110は、複合機1の電源を切っても記憶されたデータが消去されない不揮発性のメモリであり、枚数カウンタ116(本発明の「カウント手段」の一例)等のデータが記憶されている。
【0049】
枚数カウンタ116は、CPU106によって起動されると、エンジン101にて用紙18への印字動作が行われる毎に、印字動作回数、即ち、用紙18が排紙トレイ33に排紙される枚数をカウントアップしていく。
【0050】
インターフェイス103は、パラレルインターフェイス用ポート(以下、「パラレルI/F用ポート」と称す)112と、ファクシミリインターフェイス用ポート(以下、「FAXI/F用ポート」と称す)113(本発明の「通信手段」の一例)とを備えている。
【0051】
パラレルI/F用ポート112は、たとえば、USBポート等の公知の接続方式が採用される接続ポートであって、USBケーブル114が接続される。これによって、複合機1は、USBケーブル114を介して、PC104と接続される。
【0052】
尚、USBケーブル114を介して複合機1と接続されるPC104には、画像データがUSBケーブル114を介して複合機1に送信される際、ユーザ情報や印字に使用する用紙18のサイズ情報等の印字設定情報とともに、印字要求枚数に関する情報も送信可能なプリンタドライバがインストールされている。
【0053】
FAXI/F用ポート113は、アナログポート等の公知の接続方式が採用される接続ポートであって、ISDN回線やアナログ回線といった電話回線115が接続される。これによって、複合機1は、電話回線115を介して外部のファクシミリ装置(不図示)と接続される。
【0054】
(印字処理される印字ジョブの印字要求枚数の取得)
次に、複合機1の本体10内の画像形成部2にて印字処理される印字ジョブに関し、画像データに基づく画像を印字するのに必要とされる用紙18の枚数、即ち印字要求枚数を取得する処理について、説明する。
【0055】
複合機1は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能等の各機能において一連の処理を実行するための動作モードを複数備えており、これらの動作モードとして、原稿読取部40によって原稿19から読み取った画像を画像形成部2にて用紙18に印字するコピーモード、原稿19から読み取った画像をFAXI/F用ポート113から電話回線115(図5参照)を介して外部のファクシミリ装置(不図示)に送信したり(ファクシミリ送信モード)、電話回線115を介して外部のファクシミリ装置(不図示)からFAXI/F用ポート113へ受信した画像を画像形成部2にて用紙18に印字したり(ファクシミリ受信モード)するファクシミリモード、USBケーブル114を介してPC104からパラレルI/F用ポート112へ受信した画像を画像形成部2にて用紙18に印字するプリントモードが用意されている。
【0056】
そして、コピーモード、ファクシミリモード、及びプリントモードの各動作モードにおいて、それぞれ印字処理を行う印字ジョブの印字要求枚数を取得する処理が行われる。
【0057】
<コピーモードにおける印字要求枚数の取得>
コピーモードにおけるユーザの動作として、まずユーザは、原稿自動搬送装置5(図4参照)に原稿19を1枚以上セットするか、もしくは読取面11a(図2参照)に原稿19を1枚セットする。
【0058】
そして、ユーザは、セットした原稿19の枚数やコピー部数等を操作部14の各種設定キー14aや表示部15を介して設定し、スタートキー14bを押下する。
【0059】
このとき、複合機1の制御系において、CPU106は、操作部14が操作されることによって得た原稿19のセット枚数やコピー部数の情報に基づいて印字要求枚数を取得する(図5参照)。
【0060】
尚、原稿19のセット枚数やコピー部数が設定されずにスタートキー14bが押下された場合、セットされた全ての原稿19が一旦読み取られて読取情報がRAM109に記憶されるように制御される。そして、CPU106は、記憶された読取情報に基づいて印字要求枚数を取得する。
【0061】
<ファクシミリモードにおける印字要求枚数の取得>
ファクシミリモードは、上述したように、ファクシミリ送信モードとファクシミリ受信モードとを備えている。この2つのモードのうち、印字要求枚数を取得する必要があるファクシミリ受信モードにおいて、FAXI/F用ポート113が電話回線115を介して画像データを受信すると、受信する画像データを順次RAM109に転送して記憶する処理を行い、この処理を受信が終了するまで繰り返す、所謂ファクシミリメモリ受信を行うように制御される。そして、CPU106は、記憶された受信データに基づいて印字要求枚数を取得する(図5参照)。
【0062】
<プリントモードにおける印字要求枚数の取得>
プリントモードにおけるユーザの動作として、まずユーザは、PC104のディスプレイ(不図示)を見ながらキーボードやマウス等(不図示)を操作することにより、印字するファイルを指定し、ディスプレイに表示された印字設定画面にて各種印字設定情報を設定する。
【0063】
そして、ユーザが、印字処理を開始するためのボタンをクリックするなどすると、画像データと、この画像データに対応する各種印字設定情報や上述した印字要求枚数に関する情報とが複合機1に送信される。
【0064】
このとき、複合機1の制御系において、CPU106は、USBケーブル114を介してPC104から受信した印字要求枚数に関する情報に基づいて印字要求枚数を取得する。
【0065】
(印字及び排紙処理)
以下、本実施形態のCPU106にて実行される印字及び排紙処理について、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態の印字及び排紙処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、CPU106は、ユーザからのコピー要求、外部のファクシミリ装置からの受信要求、またはPC104からの印字要求が入力されることにより、印字ジョブを受け付ける(S1)。
【0067】
印字ジョブが受け付けられると、枚数カウンタ116(図5参照)によるカウントを行うための排紙枚数カウントフラグがオフにされる(S2)。
【0068】
そして、インターフェイス103(図5参照)にて画像データを受信、または、原稿読取部40にて原稿19を読み取らせることにより、画像データを取得するとともに、上述した方法により、印字要求枚数が取得される(S3)。
【0069】
印字要求枚数が取得されると、取得された印字要求枚数が、各種設定キー14aにて予め設定された上限値より大きいか否かが判定される(S4)。
【0070】
印字要求枚数が上限値以下であると判定されると(S4:No)、用紙18の1枚分に相当する画像データが画像形成部2にて印字され、印字された用紙18が排紙トレイ33に排紙される(S9)。
【0071】
用紙18に画像が印字され排紙されるとき、排紙枚数カウントフラグがオンになっているか否かが判定される(S10)。
【0072】
印字要求枚数が上限値以下である場合は、排紙枚数カウントフラグがオンになっていない、即ち、オフになっていると判定され(S10:No)、枚数カウンタ116によるカウントアップはなされず、印字すべき次のページが存在するか否かが判定される(S14)。
【0073】
次のページが存在すると判定されると(S14:Yes)、S9における用紙1枚分の画像データを印字する処理に戻り、次のページが存在しないと判定されるまでS9,S10,及びS14の処理が繰り返される。
【0074】
そして、印字すべき次のページが存在しないと判定されると(S14:No)、一連の処理が終了する。
【0075】
尚、前述した一連の処理が終了すると、ユーザは、排紙トレイ33に積載された1ジョブ分の印字用紙18を抜き取るので、CPU106が次の印字ジョブを受け付けるとき、排紙トレイ33には用紙18が積載されていない状態となっている。
【0076】
一方、印字要求枚数が上限値より大きいと判定されると(S4Yes)、排紙枚数カウントフラグがオンされる(S5)。
【0077】
排紙枚数カウントフラグがオンされると、「排紙トレイの用紙を全て抜き取ってからスタートキーを押してください」等の指示が表示部15に表示される(S6)。
【0078】
そして、スタートキー14bが押下されるか否かが判定され(S7)、スタートキー14bが押下されると(S7:Yes)、枚数カウンタ116(図5参照)のカウント値がリセットされ、印字動作が開始される(S8)。
【0079】
印字動作が開始されると、S9にて1枚の用紙18に画像が印字されて排紙される処理が行われ、S10にて排紙枚数カウントフラグがオンになっているか否かが判定される。
【0080】
印字要求枚数が上限値より大きい場合はS5にて排紙枚数カウントフラグがオンにされるので、S10では排紙枚数カウントフラグがオンになっていると判定され(S10:Yes)、枚数カウンタ116が起動されて+1カウントアップされる(S11)。
【0081】
枚数カウンタ116のカウントアップ後、枚数カウンタ116のカウント値が上限値に達したか否かが判定される(S12)。
【0082】
カウント値が上限値に達していないと判定されると(S12:No)、上述したS14,S9,S10,S11,S12の処理が繰り返される。
【0083】
印字及び排紙処理が繰り返され枚数カウンタ116のカウント値が上限値に達したと判定されると(S12:Yes)、メインモータ105の駆動が停止されてエンジン101の動作が停止し、印字処理の実行動作が一旦停止される(S13)
印字及び排紙処理の実行動作停止後、S6にて排紙トレイ33に積載された用紙18を抜き取りスタートキー14bを押下する旨を表示部15に表示させる処理に移行し、スタートキー14bが押下されると、枚数カウンタ116がリセットされ、停止されていた印字処理の実行動作が再開される(S7:Yes,S8)。
【0084】
尚、S3における処理が本発明の「取得手段」に、S5,S11における処理が本発明の「制御手段」に、S7,8における処理が本発明の「リセット手段」「解除手段」に、S9における処理が本発明の「印字手段」「排紙手段」に、S13における処理が本発明の「停止手段」に相当する。
【0085】
(本実施形態の効果)
以上より、本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0086】
(1)印字要求枚数が上限値を下回る場合は、枚数カウンタ116によるカウント処理が行われないので、印字排紙された用紙18が排紙トレイ33から抜き取られる度に枚数カウンタ116をリセットする手間を省くことができる。
【0087】
また、印字要求枚数が上限値を超える場合は、カウント処理が行われ、印字排紙された用紙18の枚数が上限値に達すると印字動作が停止されるので、印字排紙した用紙18が積載され過ぎるのを防止することができる。
【0088】
さらに、印字排紙された用紙18の枚数を、センサではなく枚数カウンタ116によって検知することができるので、コストを抑えることができる。
【0089】
(2)排紙トレイ33に対する積載枚数をカウントされた用紙18を排紙トレイ33から取り除くとき、スタートキー14bの押下により枚数カウンタ116をリセットすることができる。
【0090】
(3)スタートキー14bの押下により停止された印字動作が再開されるので、印字要求枚数分印字することができる。
【0091】
(4)各種設定キー14a等の操作部14を介して、用紙18の厚さ、排紙トレイ33の高さ等により、最適な上限値を設定することができる。
【0092】
(5)ファクシミリ受信モードによって画像データを受信する場合も、一旦受け付けた印字ジョブの画像データが全てRAM109に記憶されるので、印字する前に印字要求枚数を取得することができる。
【0093】
〔他の実施形態〕
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能である。
【0094】
上記実施形態では、コピーモード、ファクシミリモード、プリントモードにおいて印字要求がなされた場合の印字及び排紙処理について説明したが、画像データを記憶したり記憶された画像データを他の装置に転送したりすることができるUSBメモリ等の外部記憶装置を装着可能な複合機であれば、外部記憶装置に記憶された画像データを印字する、所謂ダイレクトプリントモードにおける印字及び排紙処理についても、本発明を適用することができる。
【0095】
この場合、画像データとともに、印字要求枚数に関するデータも外部記憶装置に記憶しておき、複合機に画像データが転送される際に印字要求枚数に関するデータも転送されるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明を適用した複合機1の外観を示す斜視図
【図2】複合機1に設けられた本体カバー12を開いた状態の斜視図
【図3】複合機1構成を示した概略断面図
【図4】本体カバー12及び原稿読取部40の構成を示した概略断面図
【図5】複合機1の概略構成を表すブロック図
【図6】印字及び排紙処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0097】
1 複合機
2 画像形成部
14 操作部
14a 各種設定キー
14b スタートキー
15 表示部
18 用紙
19 原稿
30 用紙排紙部
33 排紙トレイ
40 原稿読取部
103 インターフェイス
104 パーソナルコンピュータ
106 CPU
109 RAM
112 パラレルインターフェイス用ポート
113 ファクシミリインターフェイス用ポート
114 USBケーブル
115 電話回線
116 枚数カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づき被記録媒体に画像を印字する印字手段と、前記印字された被記録媒体を排紙する排紙手段と、前記排紙された被記録媒体を積載する積載部と、を備えた印字装置において、
前記積載部に積載される被記録媒体の枚数をカウントするカウント手段と、
前記画像データに対応する印字要求枚数が上限値を超える場合、前記カウント手段にカウントさせるように制御する制御手段と、
前記制御される前記カウント手段よってカウントされる値が前記上限値を超えると、前記印字手段による印字動作を停止する停止手段と、を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記カウント手段をリセットするリセット手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記リセット手段によって前記カウント手段がリセットされる場合、前記停止手段による印字動作の停止を解除する解除手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記上限値を設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印字装置。
【請求項5】
外部装置とファクシミリ通信を行う通信手段と、
前記通信手段によって受信されるジョブの画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶されたジョブの画像データに基づき前記印字要求枚数を取得する取得手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−306084(P2007−306084A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129901(P2006−129901)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】