説明

卵殻膜粉末を配合した菓子類

【課題】 卵殻膜の吸湿による変質、酸化などを防止して、卵殻膜が有する肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの種々の優れた効果を十分に発揮することのできる、卵殻膜を配合した菓子類の提供。
【解決手段】 キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を配合してなる菓子類によって、上記の課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卵殻膜粉末を配合した菓子類に関する。より詳細には、本発明は卵殻膜粉末を配合してなる、皮膚の老化や肌荒れを防止して皮膚を滑らかで、柔らかく、シットリとした状態にし、しかも健康の増進効果や病気の予防効果などを有する菓子類に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、表面にある上皮層と、その下の結合組織性の真皮層からなっている。そのうち、真皮層はコラーゲンを主体とするタンパク質から主として構成されており、真皮層を構成するコラーゲンは、主としてα1(I)型コラーゲン[以下「(I)型コラーゲン」という]およびα1(III)型コラーゲン[以下「(III)型コラーゲン」という]である。(I)型コラーゲンは主として皮膚の構造維持機能を有し、(III)型コラーゲンは主として皮膚への柔軟性の付与機能を有する。
皮膚における(I)型コラーゲンと(III)型コラーゲンの割合は加齢に伴って変化し、(III)型コラーゲンは胎児のときに最も多く、10代から徐々に減少する。
皮膚における(III)型コラーゲンの割合を増すことができれば、加齢による皮膚の老化を止め、肌荒れを防止し、皮膚を滑らかで、柔らかく、シットリとした状態に保つことができる。
【0003】
卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、内外2枚からなり、外卵殻膜は卵殻内面に密着し、内卵殻膜は卵白を包んでいる。
卵殻膜は、強靭な繊維性のタンパク質から主としてなり、昔から相撲部屋で擦り傷などの手当にも使われていたように、皮膚の再生を促進する働きを有することが知られており、近年、胎児性コラーゲンとも称される(III)型コラーゲンの生成を促進させる作用を有することが報告されている。
【0004】
また、卵殻膜およびその加水分解物は、上記した皮膚再生作用以外に、育毛、発毛促進、脱毛防止効果があることが知られている。さらに卵殻膜およびその加水分解物は、生体内に生成した活性酸素を低減または消去する機能を有していて活性酸素によって引き起こされる種々の疾病や不良な身体症状の改善や予防効果があることも知られており、例えば、活性酸素によって傷んだ赤血球の正常状態への回復、ヘモグロビンの増加、肩凝りの解消、食欲増進、疲労の除去、生体の活性化、健康増進、健康の維持などに有効であるとされている。
【0005】
卵殻膜およびその加水分解物が有する上記した優れた作用に注目して、卵殻膜またはその加水分解物を化粧品や毛髪料などの外用剤に配合することが行われている(特許文献1、2など)。
また、卵殻膜またはその加水分解物を経口により摂取して肌改善効果や健康増進効果などを発揮させることが提案されており、そのような従来技術としては、例えば、卵殻膜またはその加水分解物を含有する経口用肌改善剤や健康食品が知られている(特許文献3〜5などを参照)。
【0006】
卵殻膜またはその加水分解物を経口で摂取するようにした上記した従来技術では、卵殻膜またはその加水分解物を飲料やドリンク剤などの液体に添加して液体の形態で用いるか、または錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの剤形にして用いることが専ら行われており、卵殻膜またはその加水分解物を前記した液体や剤とは大きく異なる、菓子類に添加することは従来行われていない。
卵殻膜を菓子類に配合して摂取できれば、菓子類を賞味しながら卵殻膜の有する上記した優れた機能によって、肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などを同時に図ることができ、望ましいことである。
【0007】
【特許文献1】特開2004−175684号公報
【特許文献2】特開2006−69892号公報
【特許文献3】特開2003−125731号公報
【特許文献4】特開2003−245055号公報
【特許文献5】特開2003−246741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの種々の優れた機能を有する卵殻膜を配合した菓子類を提供することである。
本発明の目的は、卵殻膜が菓子類中に均一に配合されていて、且つ菓子類に配合した卵殻膜の性能の低下や変質などがなく、卵殻膜の有する上記した種々の優れた作用が菓子中で長期にわたって維持され、しかも菓子本来の食感や風味の低下のない、賞味期間が長く、食感や風味に優れる、高品質の菓子類を提供することである。
さらに、本発明の目的は、菓子類の製造時の作業性に優れる、卵殻膜入りの菓子類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、本発明者は卵殻膜入りの菓子類の試作を色々行ってきた。そして試作を重ねる間に、卵殻膜粉末は吸湿性が高く、その高い吸湿性によって卵殻膜粉末同士が凝集して塊状になり易く、菓子生地中に均一に混合分散しにくくなることが判明した。さらに、卵殻膜粉末は、菓子類に配合する前および配合した後の吸湿によって、腐敗や酸化が生じ易くなり、卵殻膜が有する上記した肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの優れた機能が低下することが判明した。また、卵殻膜粉末の吸湿によって、卵殻膜を配合した菓子類の食感や風味の低下、賞味期間の短縮などが生じ易いことが判明した。
【0010】
そこで、本発明者は、卵殻膜粉末の吸湿によって生ずる上記した種々の問題を解消すべく、更に検討を重ねた。
その結果、卵殻膜粉末を菓子中にそのまま直接配合せずに、卵殻膜粉末をキャラメルで被覆してキャラメル被覆卵殻膜粉末をつくり、当該キャラメル被覆卵殻膜粉末を用いて菓子類を製造すると、卵殻膜粉末を配合した菓子生地の製造時に卵殻膜粉末同士の凝集・塊化が生じず、卵殻膜粉末を菓子用原材料や菓子生地中に均一に混合でき、良好な作業性で卵殻膜入り菓子類を円滑に製造できることを見出した。
また、本発明者は、キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を用いて菓子類を製造すると、卵殻膜粉末の吸湿が防止されて、卵殻膜粉末の腐敗や酸化が生じにくくなり、卵殻膜が有する肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの種々の優れた機能が長期にわたって維持されること、しかも菓子類の食感や風味が低下せず、長期にわたって良好な食感や風味を維持する、高品質で賞味期間の長い菓子類が得られることを見出した。
【0011】
また、本発明者は、卵殻膜粉末として、150メッシュの標準篩(150メッシュのTyler篩;目開き104μm)を通過する粒子の含有割合が70質量%以上である微粒子状の卵殻膜粉末を用い、当該微粒子状の卵殻膜粉末をキャラメルで被覆してキャラメル被覆卵殻膜粉末をつくり、それを菓子類に配合すると、卵殻膜粉末が微粒子状であることによって、消化吸収性が元々それほど高くない卵殻膜粉末の消化吸収性が向上して、菓子類を喫食したときに卵殻膜粉末による上記した肌改善効果やその他の種々の優れた機能をより良好に発揮させ得ることを見出した。
さらに、本発明者は、キャラメルで被覆した卵殻膜粉末における卵殻膜粉末:キャラメルの質量比を1:2〜1:5の範囲にすると、キャラメル被覆卵殻膜粉末の製造が容易で、しかも卵殻膜粉末の防湿を良好に行うことができ、更に当該キャラメル被覆卵殻膜粉末を菓子類に配合した際にそれぞれの菓子類が有する本来の食感や風味が損なわれないことを見出した。
【0012】
また、本発明者は、キャラメルで被覆した卵殻膜粉末の調製に当たっては、キャラメルと卵殻膜粉末を含む混合物を溶融状態にして噴霧し冷却して粉末状にするか、または溶融したキャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物を冷却固化後に粉砕すると、キャラメル被覆卵殻膜粉末が円滑に製造できることを見出した。
さらに、本発明者は、菓子類にキャラメル被覆卵殻膜粉末と共に、リコピン、セラミド、カロチン、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ローヤルゼリー、ヒアルロン酸および卵殻カルシウムのうちの1種または2種以上を更に含有させると肌改善効果が一層向上すること、キャラメル被覆卵殻膜粉末を配合する菓子類としては、穀粉を用いて焼成して製造した菓子類、特にケーキ(パウンドケーキ、アマンドケーキ、ショートケーキ、バウムクーヘンなど)、クッキー、ビスケット、サブレ、シュクレなどの菓子類が、美味、風味などの点から好ましく、特にパウンドケーキ、アマンドケーキ、バウムクーヘン、クッキー、ビスケット、サブレなどが美味、風味、保存性などの点から好ましいことを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1) キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を配合したことを特徴とする菓子類である。
そして、本発明は、
(2) キャラメルで被覆した卵殻膜粉末が、150メッシュの標準篩を通過する粒子の含有割合が70質量%以上である卵殻膜粉末をキャラメルで被覆した粉末である前記(1)の菓子類;および、
(3) キャラメルで被覆した卵殻膜粉末における卵殻膜粉末:キャラメルの質量比が1:2〜1:5である前記(1)または(2)の菓子類;
である。
【0014】
さらに、本発明は、
(4) キャラメルで被覆した卵殻膜粉末が、キャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物をキャラメルが固化する温度の雰囲気中に噴霧して得られる粉末であるか、またはキャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物を冷却固化した後に粉砕して得られる粉末である前記した(1)〜(3)のいずれか菓子類;および、
(5) 卵殻膜粉末の配合量が、キャラメルで被覆する前の卵殻膜粉末の質量で、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量に基づいて、0.01〜5質量%である前記(1)〜(4)のいずれかの菓子類;
である。
【0015】
また、本発明は、
(6) ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、ローヤルゼリー、リコピン、ビタミンE、ビタミンB、ビタミンC、カロチン、セラミドのうちの1種または2種以上を更に含有する前記(1)〜(5)のいずれかの菓子類;
(7) 穀粉を用いてなる生地を焼成して製造した菓子類である前記(1)〜(6)のいずれかの菓子類;および、
(8) ケーキ、クッキー、ビスケット、サブレまたはシュクレである前記(1)〜(7)のいずれかの菓子類;
である。
【発明の効果】
【0016】
卵殻膜粉末を菓子中にそのまま直接配合せずに、卵殻膜粉末をキャラメルで被覆してキャラメル被覆卵殻膜粉末とし、当該キャラメル被覆卵殻膜粉末を菓子類に配合する本発明による場合は、卵殻膜粉末を配合した菓子生地の製造時に卵殻膜粉末同士の凝集・塊化が生じず、卵殻膜粉末を菓子用原材料や菓子生地中に均一に混合でき、良好な作業性で卵殻膜入り菓子類を円滑に製造することができる。
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を菓子類に配合している本発明による場合は、吸湿による卵殻膜粉末の腐敗や酸化などが防止されるために、卵殻膜が有する肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの種々の優れた機能が長期にわたって維持することができ、しかも菓子類の食感や風味が低下せず、長期にわたって良好な食感や風味を維持することができ、賞味期間が長い。
【0017】
本発明において、キャラメル被覆卵殻膜粉末として、150メッシュの標準篩(150メッシュのTyler篩;目開き104μm)を通過する粒子の含有割合が70質量%以上である微粒子状の卵殻膜粉末をキャラメルで被覆した粉末を用いた場合には、卵殻膜粉末が微粒子状であるために、消化吸収性が元々それほど高くない卵殻膜粉末の消化吸収性が向上して、菓子類を喫食したときに卵殻膜粉末による上記した肌改善効果やその他の種々の優れた機能をより良好に発揮する。
本発明において、キャラメル被覆卵殻膜粉末における卵殻膜粉末:キャラメルの質量比を1:2〜1:5の範囲にすると、キャラメル被覆卵殻膜粉末の製造が容易で、しかも卵殻膜粉末の防湿を良好に行うことができ、更に当該キャラメル被覆卵殻膜粉末を菓子類に配合した際にそれぞれの菓子類が有する本来の食感や風味が損なわれない。
本発明で用いるキャラメル被覆卵殻膜粉末は、キャラメルと卵殻膜粉末を含む混合物を溶融状態にして噴霧し冷却して粉末状にするか、または溶融したキャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物を冷却固化後に粉砕することによって、円滑に製造することができる。
キャラメル被覆卵殻膜粉末と共に、リコピン、セラミド、カロチン、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ローヤルゼリー、ヒアルロン酸および卵殻カルシウムのうちの1種または2種以上を更に含有する本発明の菓子類は、肌改善効果に一層優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明では、卵殻膜粉末として、鳥類の卵から得られる卵殻膜の粉末のいずれもが使用でき、そのうちでも鶏卵から得られる卵殻膜粉末が汎用性、入手容易性などの点から好ましく用いられる。
本発明で用いる卵殻膜粉末としては、粉末状の卵殻膜であればいずれもが使用でき、菓子類の種類などによっては、平均粒径が1mm以上の卵殻膜粉末、例えば平均粒径が1〜5mmの卵殻膜粉末であっても使用可能である。
【0019】
そのうちでも、本発明では、菓子類に配合して摂取した際の消化吸収性、穀粉などの菓子用原料との均一混合性などの点から、微粒子状の卵殻膜粉末が好ましく用いられる。
特に、150メッシュの標準篩(150Tyler篩;目開き104μm)を通過する粒子の含有割合が70質量%以上である微粒子状の卵殻膜粉末を用い、当該微粒子状の卵殻膜にキャラメルを被覆したキャラメル被覆卵殻膜粉末は、消化吸収性に優れていて、卵殻膜が有する上記した肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの優れた機能をより良好に発揮することができ、しかも穀粉などの菓子用原材料と均一に混合する点から好ましく用いられる。
【0020】
卵殻膜粉末自体は既に商品化されており、例えば、キューピー株式会社製「EMパウダー300」[150メッシュの標準篩(150メッシュのTyler篩;目開き104μm)を通過する粒子の含有割合が70質量%以上]を挙げることができ、本発明では前記した市販の卵殻膜粉末をそのまま使用することができる。また、前記した市販の卵殻膜粉末を更に粉砕して、150メッシュの標準篩(150メッシュTyler篩;目開き104μm)を通過する粒子の含有割合が例えば80質量%以上、更には90質量%以上の微粒子状の卵殻膜粉末を調製してそれを用いてもよいし、或いは150メッシュ標準篩よりも目開きの小さな標準篩[例えば、170メッシュの標準篩(170メッシュのTyler篩;目開き88μm)、200メッシュの標準篩(200メッシュのTyler篩;目開き74μm)、250メッシュの標準篩(250メッシュのTyler篩;目開き61μm)、270メッシュの標準篩(270メッシュのTyler篩;目開き53μm)、325メッシュの標準篩(325メッシュのTyler篩;目開き43μm)など]を用いて篩分け(分級)して、前記したいずれかの標準篩を通過する微粒子の含有割合が80質量%以上、更には90質量%以上の微粒子状の卵殻膜粉末を用いてもよい。
【0021】
ここで、本明細書でいう卵殻膜粉末の粒径に係る「Aメッシュの標準篩を通過する粒子の含有割合」とは、卵殻膜粉末をAメッシュの標準篩(Tyler篩)を用いて篩分け(分級)したときに、篩分け(分級)する前の卵殻膜粉末の全質量に対する、Aメッシュの標準篩(Tyler篩)を通過した粒子の質量割合(質量%)をいう。
【0022】
本発明では、上記した卵殻膜粉末をそのまま菓子用原料に直接配合せずに、キャラメルで被覆してキャラメル被覆卵殻膜粉末にして菓子中に配合する。
卵殻膜粉末の被覆に用いるキャラメルとしては、従来から知られている砂糖をベースとキャラメルを使用することができる。本発明で用い得るキャラメルとしては、例えば、砂糖をベースとし、砂糖に少量の水を加えて焦がさないようにしてキャラメル色になるまで煮詰めた後に、冷却して固めたキャラメルなどが用いられる。卵殻膜粉末の被覆に用いるキャラメルは、必要に応じて水飴、グルコースシロップなどの甘味料、油脂類(バター、サラダ油、バニラオイルなど)、乳成分(牛乳、全粉乳、コンデンスミルク、生クリームなど)、小麦粉、澱粉、食塩、香料、レシチンや蔗糖脂肪酸エステルなどの乳化剤、重炭酸ソーダなどの1種または2種以上を含有していてもよい。
また、本発明のためにキャラメルを別途調製せずに、市販のキャラメルをそのまま用いてキャラメル被覆卵殻膜粉末を調製してもよい。本発明で用い得る市販のキャラメルとしては、例えばノルマンディー・キャラメル社製「NCキャラメルフレーク」(ペピット・ド・キャラメル)、DGF社製「DGFエクラドカラメル」などを挙げることができる。
キャラメル中に乳成分(生クリーム、コンデンスミルク、全粉乳など)を加える場合は、キャラメルの製造に用いた砂糖100質量部に対して80質量部以下であることが好ましく、またキャラメルに油脂類(バター、サラダ油、バニラオイルなど)を加える場合は、キャラメルの製造に用いた砂糖100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。
【0023】
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末の調製法としては、(i)キャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物をキャラメルが固化する温度の雰囲気中に噴霧してキャラメル被覆卵殻膜粉末を調製する方法、および(ii)キャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物を冷却固化した後に粉砕してキャラメル被覆卵殻膜粉末を調製する方法が好ましく採用される。
前記(i)および(ii)の方法において、キャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物の調製に当たっては、固体状のキャラメルと卵殻膜粉末を混合した後に溶融して溶融混合物とする方法、予め加熱溶融しておいたキャラメルに卵殻膜粉末を添加混合する方法のいずれもが採用でき、そのうちでも予め加熱溶融しておいたキャラメルに卵殻膜粉末を添加混合する方法が、キャラメルと卵殻膜粉末を均一に混合できる点から好ましく採用される。
【0024】
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を調製する際の、卵殻膜粉末:キャラメルの混合割合は、質量比で1:2〜1:5であることが好ましく、1:2〜1:3であることがより好ましい。
キャラメルの混合割合が少なすぎると、卵殻膜粉末の吸湿性を低減することが困難になり、一方キャラメルの混合割合が多すぎると、キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を菓子類に配合した際に、キャラメルの風味や食味が強くなり過ぎて、それぞれの菓子類本来の食味や風味が損なわれ易くなる。
【0025】
また、上記(i)または(ii)の方法において、キャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物を得るための加熱温度としては、キャラメルが溶融し、且つキャラメルおよび卵殻膜粉末の変質などが生じない温度であればいずれでもよく、キャラメルの成分組成、種類などに応じて異なり得るが、一般的には80〜150℃、特に90〜130℃の温度が好ましく採用される。
【0026】
キャラメルで被覆した後の卵殻膜粉末の粒径としては、菓子用原材料との均一混合性、取り扱い性、菓子中に含まれるキャラメル被覆卵殻膜粉末による異物感の防止、他の原料とのバランスなどの点から、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることが更に好ましい。
【0027】
菓子類におけるキャラメル被覆卵殻膜粉末の配合量は、卵殻膜粉末自体の質量(キャラメルで被覆する前の卵殻膜粉末としての質量)で、菓子類の製造に用いる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.02〜1質量%であることがより好ましく、0.03〜0.5質量%であることが更に好ましい。卵殻膜粉末の配合量が少なすぎると、卵殻膜粉末が有する上記した肌改善機能やその他の機能が十分に発揮されにくくなり、一方卵殻膜粉末の配合量が多すぎると、菓子類の食味や風味の低下、菓子類を製造する際の作業性の低下、コストの上昇などを生じ易くなる。
【0028】
本発明の菓子類は、卵殻膜粉末(キャラメル被覆卵殻膜粉末)と共に、必要に応じてヒアルロン酸、卵殻カルシウム、ローヤルゼリー、リコピン、ビタミンE、ビタミンB、ビタミンC、カロチン、セラミドのうちの1種または2種以上を更に含有していてもよく、ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、ローヤルゼリー、リコピン、ビタミンEおよびビタミンB(コリン、ビタミンB12など)を少なくとも更に含有していることが好ましい。卵殻膜粉末(キャラメル被覆卵殻膜粉末)と共に前記した成分の1種または2種以上、好ましくは全部を更に含有することにより、菓子類による肌改善効果、健康増進効果などが一層向上する。
【0029】
本発明の菓子類がヒアルロン酸を含有する場合は、その含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.001〜0.05質量%、特に0.002〜0.01質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類が卵殻カルシウムを含有する場合は、卵殻カルシウムの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.01〜1質量%、特に0.05〜0.1質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類がローヤルゼリーを含有する場合は、ローヤルゼリーの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.01〜1質量%、特に0.05〜0.1質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類がリコピンを含有する場合は、リコピンの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.001〜0.01質量%、特に0.001〜0.05質量%であることが好ましい。
【0030】
本発明の菓子類がビタミンEを含有する場合は、ビタミンEの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.0005〜0.01質量%、特に0.001〜0.005質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類がビタミンBを含有する場合は、ビタミンBの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.00005〜0.001質量%、特に0.0001〜0.01質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類がビタミンCを含有する場合は、ビタミンCの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.00005〜0.001質量%、特に0.0001〜0.01質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類がカロチンを含有する場合は、カロチンの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.00005〜0.001質量%、特に0.0001〜0.01質量%であることが好ましい。
本発明の菓子類がセラミドを含有する場合は、セラミドの含有量は、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量(但し菓子生地の調製に水を用いる場合は水の量を除く)に基づいて、0.00005〜0.001質量%、特に0.0001〜0.01質量%であることが好ましい。
【0031】
本発明の菓子類の種類は特に制限されず、洋菓子、和菓子、スナック菓子、冷菓(アイスクリーム、シャーベットなど)などを挙げることができる。そのうちでも、本発明の菓子類は、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、澱粉などの穀粉を用いて調製した生地を焼成して得られる菓子類であることが好ましく、当該菓子類の具体例としては、ケーキ(パウンドケーキ、アマンドケーキ、ショートケーキ、バームクーヘンなど)、クッキー、ビスケット、サブレ、シュクレなどを挙げることができ、保存性の点からは、パウンドケーキ、アマンドケーキ、バームクーヘン、クッキー、ビスケット、サブレ、シュクレなどが好ましい。
【0032】
本発明の菓子類は、キャラメル被覆卵殻膜粉末を配合し、必要に応じて更にヒアルロン酸、卵殻カルシウム、ローヤルゼリー、リコピン、ビタミンE、ビタミンB、ビタミンC、カロチン、セラミドのうちの1種または2種以上を配合する以外は、菓子類の製造に用いる原材料の種類、配合組成、菓子類の製造方法は特に制限されず、それぞれの菓子類の種類などに応じて、従来から用いられているのと同様の原材料、配合組成を使用して従来と同様の方法で製造することができる。
特に、本発明の菓子類が穀粉を用いて調製した生地を焼成して得られる菓子類である場合は、穀粉と共に、油脂類(バター、マーガリン、ショートニング)、甘味料(トレハロース、マルチトール、砂糖、ブドウ糖など)、卵、ナッツ類、粉状ナッツ、乾燥果実(干しブドウ、干しブルーベリ、干しストロベリーなど)、コーヒー、ココア、チョコレート、抹茶、チーズ、生クリーム、ベーキングパウダー、食塩、香料、リキュール、ブランデー、バニラビーンズなどの1種または2種以上を用いて菓子生地を調製し、当該生地を焼成し、場合により更にデコレーションやトッピングなどを行なって、卵殻膜を配合してなる本発明の菓子類を製造することができる。
【実施例】
【0033】
以下に本発明について実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
《調製例1》[キャラメルの調製]
釜に砂糖250質量部および水25質量部を入れて、焦がさないようにかき混ぜながらキャラメル色になるまで煮詰めた後、釜を火からおろし、溶融状態で釜から取り出し、室温に冷却し固化してキャラメルを調製した。
【0034】
《調製例2》[キャラメル被覆卵殻膜粉末の調製]
上記の調製例1で調製したキャラメル500質量部を120℃に加熱して溶融し、それに市販の卵殻膜粉末(キューピー株式会社製「EMパウダー300」;150メッシュの標準篩を通過する粒子の含有割合70質量%以上)200質量部を加えて撹拌下に均一に混合してキャラメルと卵殻膜粉末との溶融混合物を調製し、当該溶融混合物を冷却して固化した後、粉砕してキャラメル被覆卵殻膜粉末(卵殻膜粉末の含有割合=40質量%、粒径0.5mm以下)を調製した。
【0035】
《試験例1》
(1) 上記の調製例2で得られたキャラメル被覆卵殻膜粉末20gを皿の上に約1mmの厚さに均一に拡げ、その状態で、温度25℃、湿度60%RHの雰囲気中に放置して、下記の表1に示す所定の時間ごとに吸湿率を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
(2) また、比較のために、上記の調製例2で用いた卵殻膜粉末[キャラメルで被覆してない市販の卵殻膜粉末(キューピー株式会社製「EMパウダー300」)]20gを皿の上に約1mmの厚さに均一に拡げ、その状態で、上記(1)と同じ雰囲気中に放置して、下記の表1に示す所定の時間ごとに吸湿率を測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、上記の(1)および(2)において、吸湿率は、吸湿試験に供する直前のキャラメル被覆卵殻膜粉末の質量または卵殻膜粉末(キャラメルで被覆してない卵殻膜粉末)の質量Wa(g)と、吸湿試験における各測定時におけるキャラメル被覆卵殻膜粉末の質量または卵殻膜粉末の質量Wb(g)とから、次式により求めた。

吸湿率(質量%)={(Wb−Wa)/Wa}×100
【0036】
【表1】

【0037】
上記の表1にみるように、卵殻膜は吸湿性が大きく、湿分下に放置すると多量の湿分を吸収するのに対して、キャラメル被覆卵殻膜粉末は吸湿性が大幅に低減している。
【0038】
《実施例1》[メープルパウンドケーキの製造]
(1) 上記の調製例2で調製したキャラメル被覆卵殻膜粉末を用い、下記の表2に示す配合組成を採用して、以下の(2)の方法でメープルパウンドケーキを製造した。
【0039】
【表2】

【0040】
(2)(i) ふるった小麦粉に、アーモンドプードル、ベーキングパウダー、キャラメル被覆卵殻膜粉末、ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、リコピン、ビタミンE、卵黄コリンおよびビタミンB12を加えてよく混合して小麦粉混合物を調製した。
(ii) バターおよびショートニングをよく混ぜてクリーム状にし、これにトレハロース、メイプル、メイプルシロップ、マビット(登録商標)(林原製、水素化マルトース)およびローヤルゼリーを加えた後、溶きほぐした全卵を加え、これに上記(2)で調製した小麦粉混合物を加えてメイプルパウンドケーキ用生地を調製し、この生地を、油を薄く塗ったパウンドケーキ型に流し込み(1個のパウンドケーキ型への生地の流し込み量55g)、170℃に予熱しておいたオーブン中で170〜180℃で約25分間焼成してメイプルパウンドケーキを製造した。
なお、上記のメイプルパウンドケーキの製造工程において、キャラメル被覆卵殻膜粉末は、吸湿性が小さく、凝集がなく取り扱い性に優れ、小麦粉などの原材料中に均一に混合することができた。
(3) 上記(2)で得られたメイプルパウンドケーキを製造してから2時間後、10時間後および24時間後に5名のパネラーに食してもらったところ、5名のパネラーの全員が製造して2時間後、10時間後および24時間後のいずれの時点においても、食味および風味に優れると評価した。
(4) さらに、上記の表2に記載した配合組成を採用して上記(2)の方法でメイプルパネラーケーキを15日間毎日製造し、それにより得られるメイプルパウンドケーキを3名の女性(年齢21歳、35歳および52歳)に15日間にわたって1日1個の割合で継続して食してもらったところ、3名の女性のいずれにおいても、食する前に比べて肌(顔の皮膚)の張り、艶およびしっとり感が増した。
【0041】
《比較例1》
上記の表2において、キャラメル被覆卵殻膜粉末8.75質量部の代わりに、キャラメルで被覆していない市販の卵殻膜粉末(キューピー株式会社製「EMパウダー300」)を3.5質量部の割合で用いて、それ以外は実施例1と同様にしてメイプルパウンドケーキを製造しようとしたが、卵殻膜粉末が吸湿して小麦粉中に均一に混合することができなかったため、ケーキの製造を中止した。
【0042】
《実施例2》[マロンパウンドケーキの製造]
(1) 上記の調製例2で調製したキャラメル被覆卵殻膜粉末を用い、下記の表3に示す配合組成を採用して、以下の(2)の方法でマロンパウンドケーキを製造した。
【0043】
【表3】

【0044】
(2)(i) ふるった小麦粉に、栗(刻み)、アーモンドプードル、ベーキングパウダー、キャラメル被覆卵殻膜粉末、ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、リコピン、ビタミンE、卵黄コリンおよびビタミンB12を加えてよく混合して小麦粉混合物を調製した。
(ii) バターおよびショートニングをよく混ぜてクリーム状にし、これにトレハロース、マロンリキュール、マビット(登録商標)およびローヤルゼリーを加えた後、溶きほぐした全卵を加え、これに上記(2)で調製しておいた小麦粉混合物を加えてマロンパウンドケーキ用生地を調製し、この生地を油を薄く塗ったパウンドケーキ型に流し込み(1個のパウンドケーキ型への生地の流し込み量55g)、170℃に予熱しておいたオーブン中で170〜180℃で約25分間焼成してマロンパウンドケーキを製造した。
なお、上記のマロンパウンドケーキの製造工程において、キャラメル被覆卵殻膜粉末は、吸湿性が小さく、凝集がなく取り扱い性に優れ、小麦粉などの原材料中に均一に混合することができた。
(3) 上記(2)で得られたマロンパウンドケーキを製造してから2時間後、10時間後および24時間後に5名のパネラーに食してもらったところ、5名のパネラーの全員が製造して2時間後、10時間後および24時間後のいずれの時点においても、食味および風味に優れると評価した。
【0045】
《実施例3》[アマンドケーキの製造]
(1) 上記の調製例2で調製したキャラメル被覆卵殻膜粉末を用い、下記の表4に示す配合組成を採用して、以下の(2)の方法でアマンドケーキを製造した。
【0046】
【表4】

【0047】
(2)(i) ふるった小麦粉に、アーモンドプードル、食塩、キャラメル被覆卵殻膜粉末、ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、リコピン、ビタミンE、卵黄コリンおよびビタミンB12を加えてよく混合して小麦粉混合物を調製した。
(ii) バターを撹拌してクリーム状にし、それにオリゴ糖を加えた後、溶きほぐした全卵を加え、これに上記(2)で調製しておいた小麦粉混合物を加えてアマンドケーキ用生地を調製し、この生地をアマンドケーキ用のアルミケースに流し込み(1個のアルミケースへの生地の流し込み量6g)、180℃に予熱しておいたオーブン中で15分間焼成してアマンドケーキを製造した。
なお、上記のアマンドケーキの製造工程において、キャラメル被覆卵殻膜粉末は、吸湿性が小さく、凝集がなく取り扱い性に優れ、小麦粉などの原材料中に均一に混合することができた。
(3) 上記(2)で得られたアマンドケーキを製造してから2時間後、10時間後、24時間後および48時間後に5名のパネラーに食してもらったところ、5名のパネラーの全員がいずれの時点においても、食味および風味に優れると評価した。
【0048】
《実施例4》[米粉を用いたアマンドケーキの製造]
(1) 上記の調製例2で調製したキャラメル被覆卵殻膜粉末を用い、下記の表5に示す配合組成を採用して、以下の(2)の方法で米粉よりなるアマンドケーキを製造した。
【0049】
【表5】

【0050】
(2)(i) ふるった米粉に、アーモンドプードル、食塩、キャラメル被覆卵殻膜粉末、ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、リコピン、ビタミンE、卵黄コリンおよびビタミンB12を加えてよく混合して米粉混合物を調製した。
(ii) バターを撹拌してクリーム状にし、それにトレハロースを加えた後、溶きほぐした全卵を加え、これに上記(2)で調製しておいた米粉混合物を加えてアマンドケーキ用生地を調製し、この生地をアマンドケーキ用のアルミケースに流し込み(1個のアルミケースへの生地の流し込み量6g)、180℃に予熱しておいたオーブン中で15分間焼成して米粉を用いたアマンドケーキを製造した。
なお、上記したアマンドケーキの製造工程において、キャラメル被覆卵殻膜粉末は、吸湿性が小さく、凝集がなく取り扱い性に優れ、米粉などの原材料中に均一に混合することができた。
(3) 上記(2)で得られたアマンドケーキを製造してから2時間後、10時間後、24時間後および48時間後に5名のパネラーに食してもらったところ、5名のパネラーの全員がいずれの時点においても、食味および風味に優れると評価した。
【0051】
《実施例5》[クッキーの製造]
(1) 上記の調製例2で調製したキャラメル被覆卵殻膜粉末を用い、下記の表6に示す配合組成を採用して、以下の(2)の方法でクッキーを製造した。
【0052】
【表6】

【0053】
(2) バターに食塩を加えて撹拌してクリーム状にし、それに砂糖を加えて混ぜ合わせ、次いで溶きほぐした全卵を加えてよく混ぜ合わせた後、予めキャラメル被覆卵殻膜粉末を混合しておいた小麦粉を加えてクッキー用生地を調製し、この生地を直径4cmの円形に型抜きした後、180℃に予熱しておいたオーブン中で13分間焼成してクッキーを製造した。
(3) 上記(2)のクッキーの製造工程において、キャラメル被覆卵殻膜粉末は、吸湿性が小さく、凝集がなく取り扱い性に優れ、小麦粉などの原材料中に均一に混合することができた。
上記(2)で得られたクッキーを製造してから10時間後および48時間後に5名のパネラーに食してもらったところ、5名のパネラーの全員がいずれの時点においても、食味および風味に優れると評価した。
【産業上の利用可能性】
【0054】
キャラメル被覆卵殻膜粉末を配合した本発明の菓子類は、菓子類を賞味しながら、卵殻膜が有する肌改善、育毛、発毛促進、脱毛防止、疾病や不良な身体症状の改善や予防、生体の活性化、健康増進、健康の維持などの種々の優れた効果を同時に奏することができるため、極めて有用である。
しかも、卵殻膜粉末をキャラメルで被覆して菓子類に配合してなる本発明による場合は、卵殻膜粉末の吸湿を効果的に防止することで、菓子類の製造時に卵殻膜粉末同士の凝集・塊化が生じず、卵殻膜粉末を菓子用原材料や菓子生地中に均一に混合でき、良好な作業性で卵殻膜入り菓子類を円滑に製造することができ、更に卵殻膜粉末が有する前記した肌改善やその他の種々の機能を卵殻膜粉末の変質や酸化などを生ずることなく、長期にわたって維持することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末を配合したことを特徴とする菓子類。
【請求項2】
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末が、150メッシュの標準篩を通過する粒子の含有割合が70質量%以上である卵殻膜粉末をキャラメルで被覆した粉末である請求項1に記載の菓子類。
【請求項3】
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末における卵殻膜粉末:キャラメルの質量比が1:2〜1:5である請求項1または2に記載の菓子類。
【請求項4】
キャラメルで被覆した卵殻膜粉末が、キャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物をキャラメルが固化する温度の雰囲気中に噴霧して得られる粉末であるか、またはキャラメルと卵殻膜粉末を含む溶融混合物を冷却固化した後に粉砕して得られる粉末である請求項1〜3のいずれか1項に記載の菓子類。
【請求項5】
卵殻膜粉末の配合量が、キャラメルで被覆する前の卵殻膜粉末の質量で、菓子類の製造に用いてなる原材料の合計質量に基づいて、0.01〜5質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の菓子類。
【請求項6】
ヒアルロン酸、卵殻カルシウム、ローヤルゼリー、リコピン、ビタミンE、ビタミンB、ビタミンC、カロチン、セラミドのうちの1種または2種以上を更に含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の菓子類。
【請求項7】
穀粉を用いてなる生地を焼成して製造した菓子類である請求項1〜6のいずれか1項に記載の菓子類。
【請求項8】
ケーキ、クッキー、ビスケット、サブレまたはシュクレである請求項1〜7のいずれか1項に記載の菓子類。

【公開番号】特開2009−165421(P2009−165421A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8381(P2008−8381)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(502451878)
【Fターム(参考)】