説明

原子発振器

【課題】簡単な構成でガスセルの温度を安定化し、且つルビジウム金属を一箇所に集め易
くすることができる原子発振器を提供する。
【解決手段】この原子発振器100は、ルビジウム原子の共鳴周波数付近で共振する空洞
共振器3と、ルビジウム原子を封入したガスセル4と、高熱伝導性を有する中空筒状の高
誘電体物質8と、ルビジウム光源1と、空胴共振器3内部にマイクロ波を励振するアンテ
ナ6と、ガスセル4を透過したルビジウム光源1の光量を検出する光検出器7と、空胴共
振器3をヒータ9により加熱して一定温度に保つ温度制御回路10と、空胴共振器3の共
振周波数を調整するために空胴共振器3の長さを調節し得るようにネジ溝が刻まれた周波
数調整用可動板2と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子発振器に関し、さらに詳しくは、空洞共振器外部の熱変動が空洞共振器
内部のガスセルに及ぼす影響を解消するようにした原子発振器の構成に関するものである

【背景技術】
【0002】
近年、通信網や放送網等のディジタルネットワーク化が進み、これに伴い、伝送装置の
クロック信号や放送局の基準周波数の生成に使用されるクロック源として、高精度・高安
定な発振器が必要不可欠なものとなっている。そのような要請を満たす発振器として、発
振周波数の精度・安定度が高いルビジウム原子発振器が多く用いられている。また、近年
、原子発振器の小型化への要求が高まり、光マイクロ波ユニット(OMU部)も含めて全体
を小型化する必要性に迫られている。この小型化に伴って、空胴共振器も小型化が余儀な
くされている。
【0003】
図8に従来のルビジウム原子発振器の構成例を示す。ルビジウム原子発振器は同図に示
すように、ポンピング光源31、ポンピング光源31を入射させる光通過孔を備えた空胴
共振器33、空胴共振器33の内部に備えられ、ルビジウム原子のガスを封入したガスセ
ル38、空胴共振器33内部にマイクロ波を励振するアンテナ36、ガスセル38を通過
したポンピング光源31の光量を検出する光検出器37、光検出器37の出力に応じて上
記励振用のマイクロ波の周波数を制御する周波数制御回路41、空胴共振器33を加熱し
て一定温度に保つ温度制御回路40、空胴共振器33の共振周波数を調整するために空胴
共振器33の長さを調節し得るようにネジ溝が刻まれた周波数調整用可動板32を備えて
いる。
【0004】
空胴共振器33がルビジウム原子の共鳴周波数(6.834682…MHz)で励振さ
れると、ガスセル38内のルビジウム原子はポンピング光源31から入射される光を最も
多量に吸収する。この現象は光検出器37の出力低下によって観測され、周波数制御回路
41は、空胴共振器33を励振するマイクロ波(アンテナ36から放射するマイクロ波)
の周波数を、光検出器37の出力値が最も低下する周波数に制御する。こうすることによ
り、周波数制御回路41から、ルビジウム原子の共鳴周波数(6.834682…MHz
)に同期した精度の高い発振器出力信号を取出すことができ、この出力信号を高精度・高
安定のクロック源又は基準周波数信号源として利用することができる。
【0005】
また、ルビジウム原子発振器の小型化は、ルビジウム原子共鳴周波数のマイクロ波が定
在する空胴共振器33の小型化に依存するところが多く、空胴共振器33を円筒形共振器
として共振モードをTE111の基本モードとし、空胴共振器33の内部に内蔵するガス
セル38のガラス厚・形状を最適化する等により小型化を図っていた。
実際、小型化の一手法として特許文献1には、図9に示すように、空洞共振器53の内
壁面に高熱伝導性を有する高誘電体物質58を密着して配置し、この高誘電体物質58に
よりアンテナ56より放射するマイクロ波の波長を短縮することにより、空洞共振器53
の全長(全長:周波数調整用可動板52から光検出器57間の長さ)を短縮し、また、高
誘電体物質58を高熱伝導性を有する材料にて製作し、且つ空胴共振器53に密着して配
置することにより、空洞共振器53外に設置したヒータ59によるルビジウムセルの加熱
を早くして、ガスセル54が適正な動作温度条件に到達する時間を短縮することを可能と
した技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−308416公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、高誘電体物質58を空胴共振器53
に密着することにより、空洞共振器58とガスセル54の熱結合が高くなってしまうため
に、空胴共振器外の温度の変化がガスセル54に伝わり易くなってしまうという問題があ
る。そのためガスセル54の温度が変動し易くなり、原子発振器としての出力周波数が短
期的に変動してしまうといった問題がある。
【0007】
この空胴共振器外の温度が変化する原因としては、主に原子発振器本体の外部温度の変
化が挙げられる。例えば、原子発振器本体の周囲温度が短期的に急変した場合に、この外
気温度の変化が空胴共振器53ひいてはガスセル54に伝達し、ガスセル54の温度が揺
らぎ易くなる。また、空洞共振器外の温度変化のもう一つの原因としては、原子発振器を
基準発振源として動作させる別の装置や回路が併設される場合に、冷却用のファンが原子
発振器近傍で使用される可能性があり、そのファンからの送風による影響で原子発振器の
周囲に空気の擾乱が起き、その擾乱のために発振器から一定でない放熱が起きることが挙
げられる(擾乱のない場合は原子発振器自身の発熱に起因する安定した空気の対流による
放熱が起きている)。この一定でない放熱により筐体温度が安定せず、温度の変化が空胴
共振器53ひいてはガスセル54に伝達し、ガスセル54の温度が揺らいでしまうといっ
た問題がある。
特に特許文献1の方式は小型化を目指すものであるため、筐体とガスセル54の物理的
距離は必然的に短くなり、ガスセル54の温度揺らぎを防ぐ対策として、筐体とガスセル
54間に充分な保温材を配設することも困難であると考えられる。
【0008】
また、ガスセル54にはルビジウム金属が封入されており、ガスセル54を加熱するこ
とでルビジウム金属の一部をガス化してルビジウムガスセルとして機能している。ルビジ
ウムガスはルビジウムガスセルのその時の温度における蒸気圧で気化するため、封入した
金属の全てが気化するわけではない。従って、気化しない金属はガスセルの中に溜まった
状態になる。この気化しない金属は空胴共振器53内のマイクロ波の共振にとって損失と
なり、共振のQを低下させるため、気化しない金属はマイクロ波を損失させにくい位置に
集めておく必要がある。そのために、ガスセル54の一部の温度を意図的に機構的な工夫
により冷ますことで気化しない金属をこの冷却ポイント61に溜める必要があるが、特許
文献1の様に空胴共振器外の熱変動が内部に伝達しやすい構造にすると、金属を集める冷
却ポイント61の温度が不安定となってしまう。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑み、空胴共振器と高誘電体物質の間に空隙を設け、空気の低
熱伝導性を利用して、空胴共振器と高誘電体物質の結合を粗結合として空胴共振器外の温
度変動の影響を遮断することにより、簡単な構成でガスセルの温度を安定化し、且つルビ
ジウム金属を一箇所に集め易くすることができる原子発振器を提供することを目的とする

【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はかかる課題を解決するために、ルビジウム光源からの入射光のマイクロ波周波
数に応じた光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器であって、ルビジウム
原子の共鳴周波数付近で共振する空洞共振器と、前記ルビジウム原子を封入したガスセル
と、前記空洞共振器の内部であって前記ガスセルの外径側に前記入射光の光軸と軸が平行
になるように配置した高熱伝導性を有する中空筒状の高誘電体物質と、を備え、前記空洞
共振器の内面と前記高誘電体物質の外面との間に空隙を設けたことを特徴とする。
空洞共振器と高熱伝導性を有する中空筒状の高誘電体物質が密着して配置された場合、
原子発振器本体の周囲温度が短期的に急変すると、この外気温度の変化が空胴共振器ひい
てはガスセルに伝達し、ガスセルの温度が揺らぎ易くなる。そこで本発明では、空洞共振
器の内面と高誘電体物質の外面との間に空隙を設け、外部の温度変化の影響を遮断するも
のである。これにより、ガスセルの温度の揺らぎを低減して、ルビジウム金属を一箇所に
集め易くすることができる。
【0011】
また、前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に周回す
ることにより構成されることを特徴とする。
空隙をあまり広くすると空洞共振器の熱が高誘電体物質に伝達しづらくなる。そこで本
発明では、一定の厚みを有したテープ状のスペーサを高誘電体物質表面に周回させること
により、そのスペーサの厚み分の空隙を形成するものである。これにより、空気が密閉さ
れるようになるため、一旦加熱された空気の温度が変動しづらくなる。
【0012】
また、前記空隙は、少なくとも2つの断片状のスペーサを前記高誘電体物質表面に配置
することにより構成されることを特徴とする。
この構成は、空隙が高誘電体物質表面の殆どに形成され、少ないスペーサで多くの空隙
を確保することができる。
【0013】
また、前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面の軸方向
に沿って設けることにより構成されることを特徴とする。
この構成は、空隙が各スペーサ間に形成され、空隙がスペーサによって密閉されること
が無いため、空気の対流がスムーズに行われる。また、細幅のスペーサを高誘電体物質表
面の軸方向に沿って設けるので、空洞共振器内に高誘電体物質を挿入し易くなる。
【0014】
また、前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に部分的
に周回することにより構成されることを特徴とする。
スペーサを高誘電体物質表面の外周に隙間なく周回すると空隙が密閉される。本発明で
は、隙間なく周回することによって閉空間としての空隙を形成するのではなく、個々のス
ペーサを部分的に切除する等して非連続に構成することにより空隙を密閉しないように構
成して、空気の対流を促進するものである。
【0015】
また、前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に軸方向
と交叉するように設けることにより構成されることを特徴とする。
スペーサを高誘電体物質表面に軸方向と平行にせず、斜めに交叉させるように構成する
ことにより、高誘電体物質表面の空隙を一箇所に集中させることなく、分散させることが
でき、高誘電体物質表面の温度勾配を少なくすることができる。
【0016】
また、前記空隙は、少なくとも1つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に螺旋状
に設けることにより構成されることを特徴とする。
スペーサを高誘電体物質表面に螺旋状に設けることにより、1本のスペーサにより空隙
を容易に形成することができ、且つ、高誘電体物質表面の温度勾配を少なくすることがで
きる。
【0017】
また、前記スペーサは、前記高誘電体物質の熱伝導率に比べて低い熱伝導率を有する材
質により構成されることを特徴とする。
スペーサは高誘電体物質に空洞共振器の熱が直接伝達するのを防止する必要がある。そ
のためには、高誘電体物質の熱伝導率に比べて低い熱伝導率を有する材質により構成され
ることが必要である。
【0018】
また、前記スペーサは、テフロン(登録商標)又はカプトンであることを特徴とする。
スペーサは低熱伝導率で且つ耐熱性の材質が好ましい。その意味では、テフロン(登録
商標)又はカプトンが最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記
載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限
り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の一実施形態に係る原子発振器の要部構成を示す図である。この原子発振
器100は、ルビジウム原子の共鳴周波数付近で共振する空洞共振器3と、ルビジウム原
子を封入したガスセル4と、高熱伝導性を有する中空筒状の高誘電体物質8と、ルビジウ
ム光源1と、空胴共振器3内部にマイクロ波を励振するアンテナ6と、ガスセル4を透過
したルビジウム光源1の光量を検出する光検出器7と、空胴共振器3をヒータ9により加
熱して一定温度に保つ温度制御回路10と、空胴共振器3の共振周波数を調整するために
空胴共振器3の長さを調節し得るようにネジ溝が刻まれた周波数調整用可動板2と、を備
えて構成される。尚、空洞共振器3の内部であってガスセル4の外径側に入射光の光軸と
軸が平行になるように配置した高熱伝導性を有する中空筒状の高誘電体物質8を備え、空
洞共振器3の内面3aと高誘電体物質8の外面8aとの間に空隙12を設けるために、本
実施形態では少なくとも2つの帯状のスペーサ11を高誘電体物質8の外周に周回するよ
うに設けた。
【0020】
即ち、高誘電体物質8を空洞共振器3の内寸よりも小さく作り、更に高誘電体物質8の
両端部に例えば、幅1mm程度の細く切った耐熱性テープ11を1回転以上巻きつける。
この様にすることで、高誘電体物質8と空胴共振器3の間にテープの厚み(0.1mm〜
0.2mm)分による空隙12を設けることができる(詳細は後述する)。この空隙には
空気が入っており、空気の熱伝導率の低さを利用して高誘電体物質8と空胴共振器間3を
熱的に粗結合にすることができるため、ガスセル4ヘも空胴共振器3外部の熱変動が伝わ
り難くなる。また、テープの基材はテフロン(登録商標)やカプトンのような比較的低熱
伝導性のものを用いるとより効果的である。これにより、ガスセル4の温度が安定するた
め、気化していないルビジウム金属をルビジウム溜まり部13に集めておくことが容易に
なる。
【0021】
図2は本発明の第1の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。同じ構成要素には
図1と同じ参照番号を付して説明する。以下、同様とする。(a)は高誘電体物質の斜視
図であり、(b)は高誘電体物質をA側からみた図である。この実施形態では、少なくと
も2つの帯状のスペーサ11a、11bを高誘電体物質8の表面に周回することにより構
成される。従って、スペーサ11a、11bにより囲まれた範囲Bにスペーサ11a、1
1bの厚み分の空隙が形成される。この構成は、空隙がスペーサ11a、11bにより囲
まれ、空気が密閉されるようになるため、一旦加熱された空気の温度は変動しづらくなる
。そのため、一旦所定の温度になると、例えば周囲に空気の擾乱が起きた場合でも即座に
その影響を受けることなく、安定した温度に保つことができる。尚、この実施形態では、
スペーサを2箇所としたが、これ以上であっても構わない。しかし、空隙の面積を多く確
保するためには、最小限のスペーサであることが好ましい。
【0022】
図3は本発明の第2の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。(a)は高誘電体
物質の斜視図であり、(b)は高誘電体物質をA側からみた図である。この実施形態では
、少なくとも2つの細幅のスペーサ21a、21b、21cを高誘電体物質8の軸方向に
沿って設けることにより構成される。この構成は、空隙が各スペーサ間に形成され、空隙
がスペーサによって完全に密閉されることが無いため、空気の対流がスムーズに行われる
。しかし、高誘電体物質8の軸方向に沿って設けたスペーサ部分は、常に熱が伝わりにく
くなっているため、軸方向に一定の温度勾配が発生しやすくなる。また、細幅のスペーサ
21a、21b、21cを高誘電体物質8の表面の軸方向に沿って設けるので、空洞共振
器3内に高誘電体物質8を挿入し易くなる。尚、この実施形態では、スペーサを3つとし
たが、これ以上であっても構わない。しかし、空隙の面積を多く確保するためには、最小
限のスペーサであることが好ましい。
【0023】
図4は本発明の第3の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。(a)は高誘電体
物質の斜視図であり、(b)は高誘電体物質をA側からみた図である。この実施形態では
、少なくとも2つの断片状のスペーサ22A〜22C、22a〜22cを高誘電体物質8
の表面に配置することにより構成される。この構成は、空隙が高誘電体物質表面の殆どに
形成され、最も広い空隙を確保することができる。また、スペーサを配置する面積が少な
く、且つ分散するため、高誘電体物質表面に温度勾配が発生することは殆どなくなる。尚
、この実施形態では、スペーサを対称的に配置したが、これに限らずランダムな位置に配
置しても構わない。しかし、空隙の面積を多く確保するためには、最小限のスペーサであ
ることが好ましい。
【0024】
図5は本発明の第4の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。(a)は高誘電体
物質の斜視図であり、(b)は高誘電体物質をA側からみた図である。この実施形態では
、少なくとも2つの細幅のスペーサ23a、23b、23A、23Bを高誘電体物質8の
表面に部分的に周回することにより構成される。スペーサを高誘電体物質8の表面の外周
に隙間なく周回すると空隙が密閉され、密閉された場合の利点はそれなりに存在するが、
本実施形態では、隙間なく周回するのでなく、スペーサの一部分を開放して空隙を密閉し
ないようにすることにより、空気の対流を促進するものである。尚、この実施形態では、
スペーサを4箇所としたが、これ以上であっても構わない。しかし、空隙の面積を多く確
保するためには、最小限のスペーサであることが好ましい。
【0025】
図6は本発明の第5の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。(a)は高誘電体
物質の斜視図であり、(b)は高誘電体物質をA側からみた図である。この実施形態では
、少なくとも2つの細幅のスペーサ24a、24b、24cを高誘電体物質8の表面に軸
方向と交叉するように設けることにより構成される。スペーサ24a、24b、24cを
高誘電体物質8の表面に軸方向と平行にせず、斜めに交叉させるように構成することによ
り、高誘電体物質8の表面の空隙を一箇所に集中させることなく、分散させることができ
、高誘電体物質8の表面の温度勾配を少なくすることができる。尚、この実施形態では、
スペーサを3箇所としたが、これ以上であっても構わない。しかし、空隙の面積を多く確
保するためには、最小限のスペーサであることが好ましい。
【0026】
図7は本発明の第6の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。(a)は高誘電体
物質の斜視図であり、(b)は高誘電体物質をA側からみた図である。この実施形態では
、少なくとも1つの細幅のスペーサ25を高誘電体物質8の表面に螺旋状に設けることに
より構成される。スペーサ25を高誘電体物質8の表面に螺旋状に設けることにより、1
本のスペーサ25により空隙を容易に形成することができ、且つ、高誘電体物質8の表面
の温度勾配を少なくすることができる。また、螺旋の密度は阻にすることにより、空隙を
多く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る原子発振器の要部構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る高誘電体物質の模式図である。
【図8】従来のルビジウム原子発振器の構成例を示す図である。
【図9】従来のルビジウム原子発振器の高誘電体物質を使用した場合の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ルビジウム光源、2 周波数調整用可動板、3 空洞共振器、4 ガスセル、5
空洞共振器、6 アンテナ、7 光検出器、8 高誘電体物質、9 ヒータ、10 温度
制御回路、11 スペーサ、12 空隙、13 ルビジウム金属溜まり部、100 原子
発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルビジウム光源からの入射光のマイクロ波周波数に応じた光吸収特性を利用して発振周
波数を制御する原子発振器であって、
ルビジウム原子の共鳴周波数付近で共振する空洞共振器と、
前記ルビジウム原子を封入したガスセルと、
前記空洞共振器の内部であって前記ガスセルの外径側に前記入射光の光軸と軸が平行に
なるように配置した高熱伝導性を有する中空筒状の高誘電体物質と、を備え、
前記空洞共振器の内面と前記高誘電体物質の外面との間に空隙を設けたことを特徴とす
る原子発振器。
【請求項2】
前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に周回すること
により構成されることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
【請求項3】
前記空隙は、少なくとも2つの断片状のスペーサを前記高誘電体物質表面に配置するこ
とにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
【請求項4】
前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面の軸方向に沿っ
て設けることにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
【請求項5】
前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に部分的に周回
することにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
【請求項6】
前記空隙は、少なくとも2つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に軸方向と交叉
するように設けることにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
【請求項7】
前記空隙は、少なくとも1つの細幅のスペーサを前記高誘電体物質表面に螺旋状に設け
ることにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
【請求項8】
前記スペーサは、前記高誘電体物質の熱伝導率に比べて低い熱伝導率を有する材質によ
り構成されることを特徴とする請求項2乃至7の何れか一項に記載の原子発振器。
【請求項9】
前記スペーサは、テフロン(登録商標)又はカプトンであることを特徴とする請求項2
乃至8の何れか一項に記載の原子発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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