説明

原料供給装置

【課題】原料の落下による坩堝の破損を防止することが可能な原料供給装置を提供する。
【解決手段】原料供給装置20は円筒状のフィーダ21を備え、チャンバ2の開口部3aにフィーダ21を挿通する。フィーダ21は、チャンバ2の上部からワイヤ23により吊下げられており、上下方向に昇降可能である。そのため、ピース25を供給する際に、フィーダ21の先端は坩堝5の近くまで移動することが可能である。また、フィーダ21は、ピース25の汚染を防ぐとともに、高熱に耐えることができるように石英で構成されている。フィーダ21の内部には、そのフィーダ21の内径より若干小さい径の円板状のピース25が複数積層された状態で装填されている。フィーダ21には投入機構が配設されており、その投入機構によりピース25を1つずつ坩堝5内の融液に投入する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単結晶シリコン等の単結晶をCZ法により製造する際に、多結晶シリコン等の多結晶原料を坩堝内に供給する原料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、単結晶シリコンの製造方法の一つとしてチョクラルスキー法(CZ法)が用いられている。CZ法とは単結晶製造装置のチャンバ内に設置した坩堝に原料である多結晶シリコンを充填し、坩堝の周囲に設けたヒータによって多結晶シリコンを加熱溶融する。そして、シードチャックに取り付けた種結晶を融液に浸漬し、シードチャック及び坩堝を互いに同方向または逆方向に回転しつつシードチャックを引き上げることにより単結晶シリコンを成長させる方法である。
【0003】
そして、このCZ法において、生産性を上げる手段の一つとしてリチャージ法が用いられている。これは、融液から単結晶シリコンを引き上げた後、坩堝内に残る融液に多結晶シリコンを追加供給して融液を補充することで単結晶を成長させる工程を複数回繰り返す方法である。これにより、単結晶シリコンの製造効率が上がるとともに、同じ坩堝で再度単結晶シリコンを製造することで坩堝のコストが低減されるため、単結晶シリコンの製造によく用いられている。そして、このリチャージ法では、一本の長ロッド状の多結晶シリコンを吊り具により吊下げた状態で徐々に溶かし込んでいく方法が主流となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−255680号公報(第4−6頁、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記の方法では、長ロッド状の多結晶シリコンの内部に存在する内部応力により熱や衝撃が加わると破裂や折れが起こることがあり、その折れた多結晶シリコンの残骸が落下して坩堝を破損してしまう恐れがあった。
【0006】
また、近年生産量の増えている300ミリ径単結晶の引き上げでは、長ロッドを3本まとめて吊下げて使用することもあるため、上記のような破損の確率がさらに増すこととなっている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、原料の落下による坩堝の破損を防止することが可能な原料供給装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、CZ法においてチャンバ内に配設される坩堝の内部に残る融液に原料を供給する際に使用される原料供給装置であって、前記原料は所定の形状を有する原料片であり、該原料片を投入する際に前記坩堝の上方において投入位置をガイドする供給ガイドと、前記原料片を前記供給ガイド内を介して前記坩堝内の融液に投入する投入機構とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、坩堝の上方において投入位置を位置決めする供給ガイドを介して、投入機構が所定の形状を有する原料片を坩堝内に投入する。原料片で投入するため、従来の長ロッド状で供給する場合のように内部応力による折れ等で原料が落下することを防ぎ、それによる坩堝の破損を防止することが可能である。また、供給ガイドが投入位置を位置決めするため、供給ガイドにより坩堝内の融液に投入されるよう位置決めすることで坩堝内の融液に確実に原料片を投入することが可能である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の原料供給装置において、前記供給ガイドは、複数の前記原料片を積層した状態で装填可能に構成され、該供給ガイドは装填された複数の前記原料片を1つずつ前記坩堝内の融液に投入する投入機構を備えたことを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、供給ガイドに備えられた投入機構により原料片を1つずつ坩堝内の融液に投入することができる。また、供給ガイドには所定の形状を有する複数の原料片が積層された状態で装填されており、その複数の原料片から投入機構により1つずつ投入することで供給量の制御を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の原料供給装置において、前記供給ガイドは前記原料片を複数列装填可能に構成され、前記投入機構は前記供給ガイドに装填された複数列の前記原料片から各列1つずつの原料片を坩堝内の融液に投入することを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、複数列の原料片からそれぞれ1つずつ原料片が投入される。このため、単位時間当たりに投入する原料片の数を増やすことができ、坩堝内に原料を補充するための所要時間を大幅に短縮できる。従って、単結晶の製造サイクルタイムを短くでき、単結晶の生産効率が大幅に向上する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の原料供給装置において、前記チャンバは開閉可能な開口部を有し、該開口部を介して前記チャンバ外部から前記原料片を1つずつ前記チャンバ内に移送する移送機構と、該移送機構により移送された1つの前記原料片を保持し、前記供給ガイド内を介して前記原料片を投入する投入機構とを備えたことを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、チャンバ外部から移送機構が原料片をチャンバ内に移送し、その原料片を投入機構が供給ガイド内を介して投入する。このため、投入機構は、供給ガイドにより位置決めされた状態でその供給ガイド内を介して確実に坩堝内の融液に原料片を投入することが可能である。また、1つずつ原料片を投入することができるため、供給量を制御することが可能である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の原料供給装置において、前記投入機構は、1つの前記原料片を保持する保持部と、該保持部を融液に近づく方向に移動させることが可能な移動機構とを備え、前記保持部が1つの前記原料片を前記供給ガイド内を介して前記坩堝内の融液に投入することを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、投入機構は保持部と移動機構を備え、保持部が原料片を保持する。そして、原料片を保持した状態の保持部は移動機構により供給ガイドを介して融液表面に近づき、その保持を解除して坩堝内の融液に原料片を投入する。このため、原料片を坩堝に近づいて投入することができ、確実に坩堝内に原料を投入することができる。また、近づいて投入することで融液内にゆっくりと原料片を投入でき、例えば、投入する際の衝撃を減らし、投入する際の液跳ねを防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をCZ(Czochralski )法による単結晶の製造において使用される原料供給装置に具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0019】
図1はCZ法による単結晶の製造を示す説明図を示す。同図に示すように、CZ法に使用される単結晶製造装置1はチャンバ2を備え、チャンバ2は、開口部3aを備える略円筒状のチャンバ本体3を備えている。そして、チャンバ本体3内の中央には、多結晶シリコンの融液を入れる坩堝5が配置されている。坩堝5は、高熱に耐えられ、さらには汚染を防ぐために石英で構成されている。坩堝5は、同坩堝5と相似形である外容器6に載置されており、坩堝5はその外容器6を下側から支持する支持部材7により外容器6とともに回転し、さらには昇降可能になっている。
【0020】
坩堝5の外側には抵抗加熱式の筒状のヒータ8が坩堝5と同心円状に配設されており、ヒータ8及び坩堝5は略円筒状の断熱容器9に格納されている。ヒータ8は、坩堝5内の多結晶シリコンを加熱溶融する。断熱容器9は、その上部周縁からロート状に下方へ屈折する屈折部10を備える。屈折部10により、その断熱容器9内は熱の対流が発生し、断熱容器9の中が高温に保たれ易くなっている。また、屈折部10により、坩堝5の上側には坩堝5の直径より少し小さい直径の孔10aが形成され、チャンバ本体3の底面には支持部材7の軸径より少し大きい直径の孔3bが形成されている。前記支持部材7はチャンバ本体3の底面に形成した孔3bを貫通し、回転昇降装置11に連結されている。この回転昇降装置11により坩堝5は、単結晶を製造する場合のみならず原料を供給する際にも回転可能である。なお、本実施形態では、原料の供給の際にも回転昇降装置11により坩堝5は回転する。
【0021】
チャンバ本体3の開口部3a上部にはマガジン装置Mからチャンバ2を構成する管部12が延出しており、その管部12及びチャンバ本体3の中心軸上に例えばステンレス製のワイヤ13が昇降自在に垂下される。ワイヤ13は、その上端が巻取装置(ドラム)14に接続されており、巻取装置14はモータ15により駆動される。また、モータ15の制御はコントローラ16により行われ、これらによりワイヤ13は昇降する。ワイヤ13の下端にはシードチャック17が取り付けられており、このシードチャック17に種結晶18を取り付けた状態で多結晶シリコンの融液に浸漬する。次に、シードチャック17及び坩堝5を互いに同方向及び逆方向に回転しつつシードチャック17を引き上げることで単結晶シリコン19を成長させる。そして、徐々に引き上げることで図1に示すように、長ロッド状の単結晶シリコン19を製造する。そして、製造された単結晶シリコン19は、チャンバ2の上部にある管部12内に格納される。なお、ワイヤ13の昇降は巻取装置14及びモータ15により行われる。マガジン装置Mは後記する原料供給装置20を備えチャンバ2の上部で回動することで原料供給装置20をチャンバ2の上部に位置させる。また、マガジン装置Mの回動により管部12も回動し、その回動した後にワイヤ13を降下することで単結晶シリコン19を取り出す。
【0022】
図2は、原料供給を示す説明図である。同図に示すように原料供給装置20は供給ガイドとしてのフィーダ21を備える。図2に示す状態は、フィーダ21がチャンバ本体3の上部から開口部3aを通って原料供給のためにチャンバ本体3内に挿通された状態である。なお、原料供給装置20もチャンバ2を構成する管部22を備え、フィーダ21はその管部22に案内されて開口部3aの上部からワイヤ23に吊下された状態でチャンバ3本体内に挿入される。管部22及び開口部3aは、円筒状ではなく、その断面が図2の手前側及び奥側に膨らんだ楕円形状であり、ワイヤ23はその楕円の中心ではなく、中心から図2R>2の手前側にずれた位置に吊下げられている。このため、フィーダ21は、坩堝5の中心ではなく坩堝5の中心から手前側にずれた位置に吊下げられている。なお、フィーダ21は、中心からずれているが、坩堝5の範囲内に含まれた位置で吊下げられている。このため、ピース25をフィーダ21を介して坩堝5の中心からずれた位置に投入可能となっている。なお、ワイヤ23の下端に設けられる係止部23a(図3参照)によりフィーダ21とワイヤ23は係止され、吊下げられている。ワイヤ23の上側はマガジン装置M内に設けられた制御部24内の巻取装置32(図3参照)に接続されており、モータ33の駆動により巻取装置32に巻き取られたワイヤ23が巻き取り又は繰り出されることによりフィーダ21は昇降自在に構成されている。そのため、原料を供給する際に、フィーダ21の先端は坩堝5の近くまで移動可能となっている。また、フィーダ21は、原料の汚染を防ぐとともに、高熱に耐えることができるように石英で構成されている。もちろん、フィーダ21の内部の原料が接する部分のみを石英で構成してもよく、例えば耐熱性及び汚染防止性のある金属(例えばステンレス)からなる筒内に石英タイルを貼った構成でもよい。
【0023】
フィーダ21内には、その内径より若干小さな外径(直径)を有する原料片としての円板状の多結晶シリコンピース(以下、ピース25と称す)が複数積層された状態で装填されている。このピース25は、長ロッド状の多結晶シリコンロッド(原料ロッド)を複数に分割(輪切り)することで形成される。
【0024】
ここで、多結晶シリコンロッドの製造方法について説明する。その製造方法とは、図示しないが反応炉(還元炉)内に設置された8ミリ程度の何本もの細いシリコンのシードを通電加熱(約1000℃以上)しておき、そのシード表面にシラン系ガスと水素を混合したガスを流す。これにより、シードの表面にシリコンが析出し略棒状の多結晶シリコンが製造される。そして、この多結晶シリコンをダイヤモンドカッター等で所望する円柱形状に加工し、洗浄を行うことで多結晶シリコンロッドが製造される。また、純度は多結晶シリコンの反応バッチ毎に変わるため、高純度の単結晶シリコンをCZ法で製造するには、高純度のピース25のみを原料として使用することで可能となる。また、比較的低純度でよい単結晶シリコンを製造するには、比較的低純度のピース25のみを原料として使用することで可能となる。
【0025】
図3は原料供給装置の概略的な構成図である。同図に示すように、原料供給装置20は、フィーダ21の下端の投入口からピース25を坩堝5内の融液に1つずつ投入する投入機構26を備える。投入機構26は、第1挟持部27、第2挟持部28、瀬切り部29及び支持部30を備える。これらの制御は制御部24内のコントローラ31が行う。また、ワイヤ23の上端が接続された巻取装置(ドラム)32は、コントローラ31によりモータ33が正逆回転駆動するよう制御されることにより巻き取り・繰り出し動作する。このため、コントローラ31がモータ33を制御することでフィーダ21は昇降する。
【0026】
第1挟持部27は、フィーダ21内面からその半径方向に出没可能に構成されており、高熱に耐えられるとともに金属汚染のないように少なくともその先端側の保持部分(ブロック部)は例えば石英により構成され、その基端側のロッド部分は例えばSUSにより構成される。第1挟持部27の出没制御は、フィーダ21の側壁内部に軸方向に沿って設けられた接続部27aと、接続部27aの下端と連結された挟持部駆動機構34と、接続部27aの上端に連結された駆動装置35とにより行われる。コントローラ31は駆動装置35を駆動制御することにより、駆動装置35の駆動によって接続部27aを介して挟持部駆動機構34に伝達される動力に基づき第1挟持部27を出没させ、それによりピース25の挟持(保持)及び挟持の解除の制御を行う。この際、一対の第1挟持部27,27をそれぞれ駆動する一対の駆動装置35,35は、その動作の同期がとられるようにコントローラ31により駆動制御され、これによりピース25の挟持が確実に行われる。
【0027】
第2挟持部28の制御は、第1挟持部27と同じ又は類似の構造(機構)を用いて行われ、フィーダ21の側壁内部に軸方向に沿って設けられた接続部28aと、接続部28aの下端と連結された挟持部駆動機構36と、接続部28aの上端と連結された駆動装置37とにより行われる。ここで、第1挟持部27の場合と異なり、第2挟持部28は、ピース25を挟持した状態で下降できるようにフィーダ21に対し昇降可能に構成されている。詳しくは、フィーダ21の下端部に設けられたレール40に沿って昇降部38が昇降可能に備えられ、第2挟持部28及び挟持部駆動機構36はこの昇降部38に設けられている。昇降部38は接続部38aを介して昇降装置39に接続されており、コントローラ31が昇降装置39を駆動制御することにより接続部38aを介して昇降部38が昇降し、これにより第2挟持部28が昇降するようになっている。このため、ピース25を坩堝5に供給する際に、第2挟持部28は1つのピース25を挟持した状態で、降下することができる。そして、坩堝5内の融液に十分近づいた状態でピース25の挟持を解除し、ピース25を融液上に静かに載置するようしてゆっくり投入する。
【0028】
第2挟持部28の図3に示す位置が待機位置であり、第2挟持部28は待機位置からピース25を挟持して投入位置まで所定距離だけ下降し、挟持の解除によるピース25の投入後、その投入位置から上昇して再び待機位置に復帰する。第1挟持部27は、待機位置にある第2挟持部28よりピース厚にほぼ等しい距離だけ上側に配置されている。このため、第2挟持部28が最下段にあるピース25を挟持するとき、下から二段目のピース25が第1挟持部27により挟持されるようになっている。
【0029】
図5は、瀬切り部及び支持部の概略的な構成図である。図3及び図5に示すように投入機構26は、一対の板で構成される瀬切り部29及び支持部30を備える。瀬切り部29の制御は、フィーダ21の側壁内部に軸方向に沿って設けられた接続部29aと、接続部29aの下端と連結された瀬切り部駆動機構41と、接続部29aの上端と連結された駆動装置43により行われる。一方、支持部30の制御は、フィーダ21の側壁内部に軸方向に沿って設けられた接続部30aと、接続部30aの下端と連結された支持部駆動機構42と、接続部30aの上端と連結された駆動装置44とにより行われる。
【0030】
コントローラ31は駆動装置43を駆動制御することにより、駆動装置43の駆動によって接続部29aを介して瀬切り部駆動機構41に伝達される動力に基づき瀬切り部29を出没させ、それによりピース25の支持及び支持の解除の制御を行う。また、コントローラ31は駆動装置44を駆動制御することにより、駆動装置44の駆動によって接続部30aを介して支持部駆動機構42に伝達される動力に基づき支持部30を出没させ、それによりピース25の支持及び支持の解除の制御を行う。
【0031】
瀬切り部29は、第2挟持部28が最下段に位置する1つのピースを挟持する際に、その上側に積層されている他のピース25と最下段のピース25との間に挿入され、上側に積層されている他のピース25を支持することにより、最下段のピース25を他のピース25から切り離す。支持部30は、第2挟持部28によるピース25の投入後、瀬切り部29に支持された残りのピース25のうち最下段のピース25を第2挟持部28が挟持できる位置まで下降させる際にその残りのピース25の最下面を支持するために使用される。瀬切り部29及び支持部30は、フィーダ21の周方向において第1挟持部27及び第2挟持部28とは中心角で90度ずれた位置に設けられている。
【0032】
瀬切り部29は、第2挟持部28とほぼ同じ高さとなる位置に設けられている。一方、支持部30は、第2挟持部28からピース厚の1/2の距離だけ下側に離れた位置に設けられている。そのため、第2挟持部28がピース25を坩堝5内に投入し終わると、瀬切り部29が没入するとともに支持部30が突出することで、フィーダ21内の残りのピース25はピース厚の1/2の距離だけ落下して支持部30により下側から支持される。この状態では第2挟持部28が最も下側のピース25を挟持し、下側から二番目のピース25を第1挟持部27が挟持できる位置関係となる。
【0033】
第1挟持部27、第2挟持部28、瀬切り部29及び支持部30の各駆動方式としては、ワイヤ駆動方式、ロッド駆動方式、及びガス圧駆動方式などが挙げられる。投入機構26の投入作動部分がフィーダ下部の高温域に配置されることから(電気部品の耐熱許容範囲を超えるので)、ワイヤ、ロッド、ガス圧等の手段によりフィーダ21の下端まで動力を機械的に伝達する必要がある。また、動力伝達の媒体として使用される接続部は、フィーダ21の昇降に応じて長さ対応可能である必要がある。
【0034】
ワイヤ駆動方式の場合、駆動装置35,37,43,44をワイヤ巻取用ドラム及びモータで構成する。そして、接続部27a,28a,29a,30aはドラムから吊下されたワイヤとし、このワイヤの巻取り・繰出し運動が挟持部駆動機構34,36、瀬切り部駆動機構41及び支持部駆動機構42によってフィーダ径方向の出没運動に変換される構成とする。駆動機構は例えばセラミック製のバネにより突出方向に付勢された出力軸をワイヤの巻取りによる引っ張り力により没入させる機構が挙げられる。フィーダ21の昇降時に接続部としてのワイヤに弛みや無理な引張りが生じないように、接続部としてのワイヤはフィーダ21の昇降に同期しても巻取り・繰出しされる。
【0035】
また、ロッド駆動方式の場合、駆動装置35,37,43,44をモータユニットで構成する。そして、接続部27a,28a,29a,30aはモータユニットにより軸回転駆動される伸縮式のロッドとし、ロッドの正逆の軸回転運動が挟持部駆動機構34,36、瀬切り部駆動機構41及び支持部駆動機構42によってフィーダ径方向の出没運動に変換される構成とする。伸縮式のロッドは、例えば複数本のパイプを軸回転の伝達可能かつ軸方向のスライド可能にスプライン連結する多段構造が挙げられる。
【0036】
さらにガス圧駆動方式の場合、駆動装置35,37,43,44を作動流体(高圧ガス)の給気・排気を切換える電磁切換弁で構成する。そして、接続部27a,28a,29a,30aはガス通路となるチューブ及びパイプとし、挟持部駆動機構34,36、瀬切り部駆動機構41及び支持部駆動機構42はパイプから導入されるガス圧によって直動往復運動する構成とする。ガス通路は、上部をフレキシブル性を有する耐熱樹脂製(耐熱ゴム等)のチューブとし、下部を耐熱性を有するセラミック製のパイプとして、両者を連結した構成とする。上部のチューブはフレキシブル性を得るために例えば螺旋状の構造とし、フィーダ21の昇降に応じて長さ対応できるようにする。挟持部駆動機構34,36、瀬切り部駆動機構41及び支持部駆動機構42には例えばシリンダ(エアシリンダ等)を採用する。なお、使用するガスはエア(空気)でもよいが、漏出ガスによる単結晶の酸化が懸念される場合は、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム等)を使用できる。もちろん、ガス圧を利用する場合、高圧ガスでなく負圧(真空)を使用することもでき、負圧を使用した場合は漏出ガスによる酸化の懸念が大幅に減る。
【0037】
また、昇降部38の駆動方式についても、ワイヤ駆動方式、ロッド駆動方式、及びガス圧駆動方式などを同様に採用することができる。但し、ガス圧駆動方式は昇降部38の昇降速度が安定しにくいため、ワイヤ駆動方式またはロッド駆動方式が好ましい。
【0038】
ワイヤ駆動方式の場合、昇降装置39をワイヤ巻取用ドラム及びモータで構成し、接続部38aはドラムから吊下されたワイヤとし、このワイヤの巻取り・繰出しにより昇降部38を昇降させる構成とする。また、ロッド駆動方式の場合、昇降装置39をモータユニットで構成し、接続部38aはモータユニットにより軸回転駆動される伸縮式のロッド(例えばスプライン連結の多段ロッド)とし、ロッドの正逆の軸回転運動が昇降部38の昇降運動に変換される構成とする。例えばロッドの下部がボールネジ構造で昇降部38と螺合され、ロッドの正逆の軸回転により昇降部38が昇降する構成を採用する。またロッド駆動方式の他の構成として、昇降装置39をシリンダとし、シリンダのピストンロッドに連結したロッドの下端に昇降部38を連結し、シリンダの伸縮駆動により昇降部38を昇降させる構成としてもよい。なお、昇降部38の昇降時には第2挟持部28も同期して昇降するように、昇降装置39の駆動と同期して駆動装置37も駆動される。
【0039】
このように第1挟持部27、第2挟持部28、瀬切り部29、支持部30及び昇降部38の各駆動に適用する駆動方式は、上記各方式から一つ又は複数を任意に選択して採用することができる。なお、フィーダ21の側壁内部に挿通される接続部27a,28a,29a,30a及びフィーダ21の下端部に配置される挟持部駆動機構34,36、瀬切り部駆動機構41及び支持部駆動機構42は高熱に耐えられるように例えばSUSにより構成されている。
【0040】
次に本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、CZ法により単結晶シリコン19を製造する際には、チャンバ2内に配設された坩堝5に原料である多結晶シリコンを充填し、坩堝5の周囲に設けられたヒータ8により多結晶シリコンを加熱溶融する。そして、ワイヤ13の下端に設けられるシードチャック17に取り付けた種結晶18を融液に浸漬し、シードチャック17及び坩堝5を互いに同方向又は逆方向に回転しつつ、シードチャック17を引き上げて単結晶シリコン19を成長させる。
【0041】
次に、原料の供給について説明する。前記のように製造した単結晶シリコン19をチャンバ本体3内から取り出し、チャンバ本体3の上側の管部12に取り入れる。そして、マガジン装置Mが回転することで、製造した単結晶シリコン19を取り出し可能になるとともに、原料供給装置20が開口部3a上側に位置するようになる。
【0042】
図4は、原料供給の工程を示す説明図を示す。図4(a)に示すように、マガジン装置M内からワイヤ23により吊下げられた状態のフィーダ21が、コントローラ31によるモータ33の制御で降下し、開口部3aを挿通して坩堝5近くの投入位置まで移動する。なお、フィーダ21内に積層状態に装填された複数のピース25は支持部30に支持された状態にある。また、坩堝5は回転昇降装置11により回転している状態である。
【0043】
そして、図4(b)に示すように、第1挟持部27及び第2挟持部28が突出し、最も下側のピース25が第2挟持部28に挟持されるとともに、下側から2番目のピース25が第1挟持部27に挟持される。これら第1挟持部27及び第2挟持部28の突出制御は、コントローラ31が駆動装置35,37を制御することで行われる。そして、第1挟持部27及び第2挟持部28が各ピース25を挟持すると、駆動装置44が作動されて支持部30が没入する。
【0044】
次に、図4(c)に示すように、第2挟持部28は、最も下側のピース25を挟持した状態で、昇降部38が下降することで共に下降し、坩堝5に近づく。そして、坩堝5側に第2挟持部28が所定距離移動すると、瀬切り部29がフィーダ21内面から突出する。そして、図4(d)に示すように、第2挟持部28が坩堝5に十分近づくとその挟持を解除して、ピース25を坩堝5内の融液に解放して投入する。フィーダ21は坩堝5の中心からずれた位置にあるため、投入されたピース25は、坩堝5の回転中心からずれた位置において融液に浮いた状態で坩堝5の回転とともにフィーダ21の下方の投入箇所を空けるように移動する。このため、前に投入したピース25がほぼ完全に溶けるのを待つことなく、空いた投入箇所にピース25を連続的に投入することが可能となる。これと前後して、第1挟持部27による挟持も解除されて、瀬切り部29に残りのピース25が落下する。このとき、瀬切り部29上に落下する距離はピース25の厚みの1/2だけなので落下時にピース25に加わる衝撃は比較的小さく済む。
【0045】
そして、図4(e)に示すように、第2挟持部28が投入を終えて、昇降部38が上昇することで、第2挟持部28が元の位置(待機位置)に戻る。それとともに、フィーダ21が坩堝5内の融液から所定距離だけ離れる位置(待機位置)まで上昇するとともに支持部30がフィーダ21の内面から突出する。そして、図4(f)に示すように、瀬切り部29が没入すると、ピース25は支持部30に落下してその上面に支持されることとなる。このとき、支持部30上に落下する距離もピース25の厚みの1/2だけなので、落下時にピース25に加わる衝撃は比較的小さく済む。そして、図4(a)に示す工程に移行し、再度ピース25を坩堝5内に供給する。この際、前回投入したピース25が溶け終わっていなくとも、その前回投入したピース25は、坩堝5の回転により次のピース25の投入箇所とは違う位置にあるため、溶け終わるのを待つことなく次のピース25を投入することが可能である。これ以後は、前記の一連動作を繰り返すことでフィーダ21内のピース25を坩堝5内に供給する。
【0046】
そして、必要数のピース25の供給が終了すると、コントローラ31は、モータ33を制御することでワイヤ23を引き上げ、フィーダ21を管部22に取り込む。そして、マガジン装置Mが回転することにより、新たな種結晶18が装着されたシードチャック17がワイヤ13により吊下げられた状態で開口部3aの上側に位置する。そして、ワイヤ13を降下させることで、単結晶シリコンを再度成長させる作業を繰り返すことが可能である。
【0047】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)フィーダ21に設けられる第1挟持部27、第2挟持部28、瀬切り部29及び支持部30を駆動制御することにより、フィーダ21に積層状態で装填されたピース25を1つずつ坩堝5内の融液に投入する。このため、長ロッド状の多結晶シリコンで供給する従来のように内部応力による破損及びその残骸が落下することを防止でき、それによる坩堝5の破損を防止できる。特に第2挟持部28を昇降可能としたのでピース25を融液の液面に近づいて投入することができる。また、近づいて投入することで融液内にゆっくりと原料片を投入でき、投入する際の衝撃を低減し、投入する際の液跳ねをなくすことができる。
【0048】
(2)ピース25は、1つあたりの大きさが決まっているため、投入するピース25の数によりその供給量を制御することができ、必要な量を供給することが可能である。
【0049】
(3)フィーダ21は坩堝5の中心からずれた位置において坩堝5に近づき、ピース25を投入する構成とした。また、坩堝5は、回転可能であり、坩堝5が回転している状態でピース25を投入した。このため、ピース25は坩堝5の中心からずれた位置に投入され、坩堝5の回転に伴いフィーダ21の投入箇所から移動する。このため、次のピース25を投入する際に、その前に投入したピース25が溶け終わっていなくとも、坩堝5の回転により移動しているため、前に投入したピース25と干渉を起こすことなく、次のピース25を投入することができる。従って、坩堝5の中心にピース25を投入する場合に比べ、坩堝5内にピース25を補充するための所要時間を大幅に短縮できる。従って、単結晶の製造サイクルタイムを短くでき、単結晶の生産効率が大幅に向上する。
【0050】
(4)ピース25の純度は多結晶シリコンの反応バッチ毎に変わるため、ピース25を純度に応じて使い分けることで必要な純度に応じた単結晶シリコンの製造が可能となる。
【0051】
(5)フィーダ21からピース25を落下させて投入するため、原料片のすべてを使用することができ、原料のロスがない。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について図6を参照にして説明する。なお、本実施形態は、近年需要が高まってきている300ミリ単結晶シリコンを製造する際に使用される原料供給装置である。なお、基本的な構造は前記第1実施形態と同じであり、以下前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0052】
図6は、供給ガイドの説明図を示す。一般に、300ミリの単結晶シリコンを製造する際には、その原料としての多結晶シリコンの供給量は大幅に増える。そのため、本実施形態における原料供給装置50は、図6に示すように、前記第1実施形態における供給ガイドとしてのフィーダ21が3本集まった構造に一体形成されたハニカム状の供給ガイド51を用いて原料を供給する。この一つひとつは前記第1実施形態のフィーダ21と構成は基本的に同じである。また、3本のフィーダ21がピース25を投入するタイミングは同期が取られており、3つともほぼ同じタイミングで投入する。また、ハニカム状の供給ガイド51はワイヤ52により吊下げられている。このワイヤ52の吊下げ側の先端にはボール53が設けられている。そして、このボール53がハニカム状の供給ガイド51の中心に設けられる嵌合部54に嵌合することで供給ガイド51を吊下げている。
【0053】
なお、他の構造及び作用は前記第1実施形態と同様のため説明は省略する。
(1)第1実施形態におけるフィーダ21を3つ集めて一体形成されたハニカム状の供給ガイド51を構成し、坩堝5内にピース25を投入する投入口を複数(3つ)設定した。これにより、近年需要が高まってきている300ミリ単結晶シリコンを製造するときにも効率よく原料の供給をすることができる。このため、坩堝5内に融液を補充するための時間を大幅に短縮でき、リチャージ法による製造サイクルタイムを短くでき、単結晶シリコンの生産効率が大幅に向上する。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図7〜図10を参照にして説明する。なお、本実施形態では、単結晶の製造と原料の供給を同時に行っており、単結晶の製造については前記第1実施形態と基本的に同じである。以下、前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
図7は、単結晶の製造及び原料の供給を示す説明図である。単結晶の製造については前記第1実施形態と基本的に同じであるためその説明は省略する。原料供給装置60は供給ガイド61を備える。図7に示す状態は、供給ガイド61がチャンバ本体3の上部から開口部3aを通って原料供給のため坩堝5近くの投入位置まで下降した状態である。供給ガイド61は、チャンバ本体3の上部からワイヤ62に吊下げられた状態である。
【0056】
図10は供給ガイドの断面斜視図である。供給ガイド61の形状は、図7に示すように、上側に突出した壁63を備えるとともに、図10に示すように、その断面形状は四角形状である。また、後記するチャック装置68が移動する孔61aを備え、その孔61aはチャック装置68に合わせた四角形状である。供給ガイド61は、バランスを保つために2本のワイヤ62により吊下げられている。ワイヤ62の上側はマガジン装置M内に設けられた制御部64内の巻取装置65(図8参照)に接続されており、モータ66(図8参照)の駆動により巻取装置65がワイヤ62を巻き取り又は繰り出すことにより供給ガイド61は昇降する。そのため、原料を供給する際に、供給ガイド61の先端は坩堝5内の融液近くまで移動可能となっている。また、供給ガイド61は、原料の汚染を防ぐとともに、高熱に耐えることができるように石英で構成されている。もちろん、供給ガイド61の内部の原料が接する部分のみを石英で構成してもよく、例えば耐熱性及び汚染防止性のある金属(例えばステンレス)からなる筒内に石英タイルを貼った構成でもよい。
【0057】
図8は、原料供給装置の概略的な構成図である。同図に示すように、原料供給装置60は、供給ガイド61を介してその下端の投入口からピース25を坩堝5内の融液に1つずつ投入する投入機構67を備える。投入機構67は、チャック装置68を備え、チャック装置68は、保持部としての挟持部69、ロッド70及びそのロッド70の内部に設けられるロッド71を備える。挟持部69は高熱に耐えられるとともに金属汚染のないように少なくとも挟持部分は例えば石英により構成され、ロッド70及び71は例えばSUSにより構成される。
【0058】
ロッド70及びギア72a及びモータ72により移動機構が構成され、ロッド70は、その上側にラックアンドピニオン構造を備え、コントローラ73がモータ72を制御してギア72aを回動させることでロッド70は上下に移動する。これにより、挟持部69は上下に移動することができる。また、コントローラ73が電磁切換弁(以下、切換弁86aという)を制御することで、ロッド71の上端に接続されているシリンダ装置86がロッド71を下側に付勢する。これにより、ロッド71の下端に接続された図示しないリンク機構を介して、その下側に付勢されたロッド71の動作が挟持動作に変換され、挟持部69によるピース25の挟持が行われる。挟持部69は、挟持位置に位置する円板状のピース25の外周面を挟持する。一方、コントローラ73が切換弁86aを制御してシリンダ装置86の付勢が解除されると挟持部69による挟持は解除される。シリンダ装置86及び切換弁86aは、移動機構による移動に合わせて同期がとられる。なお、コントローラ73による制御は、後記するコントローラ79とタイミングを合わせて行われる。また、チャック装置68として、前記第1実施形態に示したような、ワイヤ駆動方式、ロッド駆動方式ガス圧駆動方式等も採用することができる。
【0059】
ワイヤ駆動方式の場合、制御部64はワイヤ巻き取りドラム及びモータを備える。そして、モータを制御することによりワイヤの巻き取り又は繰り出しを行い、挟持部69に設けられたリンク機構がそのワイヤの巻き取り又は繰り出し動作を挟持動作に変換する。ロッド駆動方式の場合、挟持部69と制御部64が備えるモータユニットを伸縮式のロッドにより接続する。そして、ロッドの正逆の軸回転動作が図示しないリンク機構を介して挟持部69の挟持動作に変換される構成とする。
【0060】
ガス圧駆動方式の場合、制御部64と挟持部69とを伸縮自在に構成されたチューブやパイプ等により接続する。このチューブやパイプ等は、ガスの通路となる。そして、挟持部69に小型のシリンダ装置を設け、制御部64が電磁切換弁によりシリンダ装置へのガスの供給を制御することで挟持部69に設けられたシリンダ装置が駆動し、挟持及び挟持の解除を行う。なお、チャック装置68は、挟持制御を行える構成であれば、この他に公知技術を採用することができる。
【0061】
ロッド70、ギア72a及びモータ72により構成される移動機構においても、前記第1実施形態のようなワイヤ方式、ロッド方式、ガス圧方式を採用してもよい。チャック装置68の挟持部69を上下に移動する構成であれば、この他に公知技術を採用することができる。
【0062】
原料供給装置60は、移送機構としての移送装置74を備える。移送装置74は、移送部75、モータ76、レール部77、ストッパー部78及びコントローラ79を備える。移送部75はコントローラ79の制御によりチャンバ2内の供給ガイド61側(図8の左側)に向かって水平方向に伸縮自在に構成されている。詳しくは、移送部75は、スライド式に構成されており、モータ76の正逆回転により具体的には図示しないチェーンを介してその回転がスライド方向の移動に変換され、それにより移送部75がスライドして伸縮する構成である。コントローラ79は、モータ76を駆動して移送部75をチャンバ2を構成する管部81に設けられた開口部81aを介して、待機位置にいる供給ガイド61の壁63まで延出する。移送部75は、壁63側に突部75aを備え、この突部75aにより転がり移動してくるピース25を挟持される位置に止める。なお、開口部81aの開閉は、開口部81aを開閉するシャッタ82に接続されたワイヤ83を巻取装置84が巻き取り又は繰り出しをすることで行われる。巻取装置84はモータ85により駆動し、そのモータ85をコントローラ73が制御する。すなわち、コントローラ73により巻取装置84がワイヤ83を巻き取るようにモータ85を制御するとシャッタ82が上に移動して開状態となる。逆に、ワイヤ83を繰り出すと閉状態となる。
【0063】
原料片としてのピース25は、移送装置74内においてレール部77に複数並んだ状態で配置されている。レール部77は、移送部75側に対して若干傾斜を有する状態で配設されており、ピース25が倒れないようにピース25の下側において両側から挟んで支持している。レール部77に複数配置されているピース25の最も移送部75側のピースは、その下側においてストッパー部78により傾斜方向への移動が規制されている。ストッパー部78は、突部78a及び電磁ソレノイド78bを備え、突部78aが電磁ソレノイド78bにより突出したり没入したりする構成である。電磁ソレノイド78bはコントローラ79により制御される。そして、突部78aがレール部77の下側から突出している状態においてピース25は、傾斜方向への移動が規制される。一方、コントローラ79により電磁ソレノイド78bが制御されることで突部78aが没入すると、ピース25は移送部75側に転がり移動する。なお、ストッパー部78は、図示しないセンサを備え、1つのピース25が突部78aを越えるとそれをそのセンサが検知し、コントローラ79はそのセンサの検知信号に基づき電磁ソレノイド78bを制御して突部78aを突出させる。このため、ピース25を1つずつ供給することができる。コントローラ79は、コントローラ73と電気的に接続されており、コントローラ73の制御とタイミングを合わせて電磁ソレノイド78b及びモータ76を制御する。なお、ピース25が接することとなる移送部75、レール部77、ストッパー部78の突部78aは金属汚染のないように例えば石英により構成される。
【0064】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7及び図8に示すように、単結晶シリコンの製造と原料の供給は同時に行われる。そして、多結晶シリコン融液が少なくなると、コントローラ73がモータ85を制御することで巻取装置84によりワイヤ83を巻き取り、シャッタ82を上側に移動させ、開口部81aを開状態とする。
【0065】
図9は、原料供給を示す説明図である。図9(a)に示すように、開口部81aが開状態となると、コントローラ73は供給ガイド61を待機位置まで下降させ、移送装置74からのピース25の移送を待つ。次に、図9(b)に示すように、移送装置74のコントローラ79は、供給ガイド61が待機位置まで移動したことをコントローラ73から知ると、モータ76を駆動して移送部75をスライドさせ、供給ガイド61の壁63まで延出させる。そして、延出が完了すると、ストッパー部78の電磁ソレノイド78bを制御することで突部78aによるピース25の規制を解除する。すると、最も移送部75側のピース25は、レール部77の傾斜で自重により移送部75側に転がり移動する。そして、移送部75に設けられた突部75aによりピース25はその転がりが止められ、チャック装置68により挟持される挟持位置に停止する。
【0066】
図9(c)に示すようにコントローラ73はコントローラ79から投入すべきピース25が挟持位置まで移動したことを知ると、モータ72を制御することでギア72aを回動させてチャック装置68を降下させる。そして、挟持部69がピース25を挟持可能な位置まで移動すると、コントローラ73は切換弁86aを制御して、シリンダ装置86によりロッド71を制御してピース25を挟持する。チャック装置68は、ピース25を挟持した後、ピース25が移送部75から離間するよう少し上昇する。そして、ピース25を挟持したことを、コントローラ79がコントローラ73から知ると、コントローラ79は、モータ76を制御して移送部75を縮める。
【0067】
次に、図9(d)に示すように挟持部69がピース25を挟持した状態で供給ガイド61内を下降し、坩堝5内の融液表面近くまで移動する。そして、コントローラ73は十分近づくと、図9(e)に示すように、切換弁86aを制御してシリンダ装置86を制御することで挟持部69の挟持を解除し、ピース25を解放して投入する。そして、図9(f)に示すように、供給ガイド61及びチャック装置68ともに待機位置まで上昇し、移送装置74から次のピース25が挟持位置に来るのを待つ。そして、コントローラ79が電磁ソレノイド78bを制御することで図9(b)以降の上記の動作を繰り返し原料の供給を行う。なお、移送部75による挟持位置へのピース25の供給が終わる毎に、コントローラ73は、モータ85を制御することでシャッタ82を閉状態とする。
【0068】
本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)移送装置74によりピース25を1つずつ供給ガイド61内に移送し、そのピース25をチャック装置68の挟持部69により挟持し、融液近くまで下降して投入した。このため、融液表面に近づいてゆっくりとピース25を投入することができ、投入する際の衝撃を減らすことができる。また、ピースの形状で投入するため、従来の長ロッド状を使用する場合に問題となった長ロッドの内部応力による破損を防止することができ、その破片等が落下することによる坩堝の破損も防止することができる。
【0069】
(2)供給ガイド61により投入位置が位置決めされた状態で坩堝5内にピース25を投入することができるため、例えば、坩堝の縁にピース25が投入され、それにより坩堝5及びピース25が破損することを防止でき、確実に坩堝5内にピース25を投入することができる。
【0070】
(3)移送装置74によるピース25の移送は、ピース25をレール部77及び移送部75を転がして、チャンバ2内のチャック装置68による挟持位置まで移動させることにより行う。このため、ピース25が削れる等の破損がない。
【0071】
(4)単結晶の製造とピース25の供給を同時に行っているため、前記第1実施形態及び第2実施形態と異なり、ピース25を供給しながら単結晶シリコンの製造が可能である。従って、坩堝5内に融液を補充するだけのための時間を大幅に短縮でき、リチャージ法による製造サイクルタイムを短くでき、単結晶シリコンの生産効率が大幅に向上する。
【0072】
(5)挟持部69は、円板状のピース25の外周面を挟持してピース25を挟持する。このため、例えば、挟持が多少緩くなった場合でも、円板状のピース25の半径方向において係止するため、安定した保持が可能である。また、挟持部69がピース25の外周面を挟持するため、ピース25の投入方向に直交する断面積が小さくなり、供給ガイド61の孔61aの断面積を小さくすることができる。従って、チャンバ2内における供給ガイド61のスペースを小さくすることができる。
【0073】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第3実施形態では、ピース25を転がしてチャック装置68により挟持される位置まで移動させ、チャック装置68はピース25の外周面を挟持してピース25を挟持した。これに限らず、図11に示すように、円板状のピース25の端面を挟持する構成としてもよい。この構成によれば、円板状のピース25の軸方向を鉛直方向に向けて挟持した場合に比べ、ピース25の投入方向に直交する断面積が小さくなるため、供給ガイド61のチャンバ2内でのスペースを小さくすることができる。
【0074】
・前記第3実施形態では、移送機構としての移送装置74によりピース25を転がしてチャンバ2内に移送したが、ピース25をチャンバ2外部からチャンバ2内に移送する移送機構であれば特にその構成は限定されず、他の公知の技術を採用してもよい。例えば、図1212に示す構成を採用してもよい。移送装置74は、移送部75、モータ76、コントローラ79、シリンダ装置87及び88及び上面検出センサ89を備える。原料片としてのピース25は、移送装置74内において、昇降する載置板87b上に図示しないガイドに案内されるとともに、シリンダ装置87により下側から支持された状態で複数積層されている。最上部に位置するピース25の上面側には、例えば近接センサで構成される上面検出センサ89が設けられており、上面検出センサ89は、最上に位置するピース25の下面と移送部75の上面とが一致する位置において最上に位置するピース25の上面を検知し、検知信号をコントローラ79に送信する。コントローラ79は上面検出センサ89の検知信号に基づきロッド87cの先端に固定された載置板87bを制御し、最上に位置するピース25の下面と移送部75の上面とを一致させる。また、最上部に位置するピース25の隣には、ピース25を供給ガイド61内に移動させるシリンダ装置88が設けられている。このシリンダ装置88がそのロッド88cの先端に固定された押出板88bによってピース25を押すことで、ピース25は挟持部69に挟持される位置まで移送部75上を滑るように移動する。シリンダ装置87,88及びモータ76の制御はすべてコントローラ79が行っている。コントローラ79は、コントローラ73と電気的に接続されており、そのコントローラ73の制御とタイミングを合わせて電磁切換弁(以下、切換弁87a,88aという)及びモータ76を制御する。なお、図12に示す供給ガイド61は、チャック装置68の挟持部69がピース25を挟持する待機位置にいる状態である。なお、ピース25が接することとなる移送部75、シリンダ装置87及び88の先端部分は金属汚染のないように例えば石英により構成される。
【0075】
この構成によれば、コントローラ79は、モータ76を制御することで移送部75をスライドさせ、延出が完了すると切換弁88aを制御してシリンダ装置88のロッド88cを突出させ、押出板88bによりピース25を移送部75の上面を滑らすように移動させる。これにより、チャック装置68の挟持部69に挟持される位置までピース25を押し出すことができる。そして、移送部75を縮めた後、コントローラ79は、切換弁87aを制御することでシリンダ装置87を上昇駆動させ、複数のピース25を上側に押し上げる。コントローラ79は、最上部のピース25を上面検出センサ89により検出すると、シリンダ装置87の押し上げを停止する。これにより、次のピース25を供給ガイド61内に移送可能な状態となる。
【0076】
・前記第1実施形態における投入機構26は、第1挟持部27及び第2挟持部28のような挟持機構に限らず、瀬切り部29や支持部30のようにピース25を下側から支持する支持構造としてもよい。また、瀬切り部29及び支持部30も同じく、ピース25を下側から支持する構造に限らず、挟持機構などの他の構造を採用してもよい。ピース25を1つずつ坩堝5内に投入できる投入機構であれば特に限定されない。第3実施形態の投入機構67においても同じく、挟持部69のような挟持する構成に限らず、支持する支持構造等のように他の構造を採用してもよく、保持する構成であれば特に限定されない。
【0077】
・前記第1実施形態における投入機構26は、ワイヤ、ロッド、エア等を使用する方式に限定されない。投入機構26として機能する構成であれば他の駆動方式を採用できる。第3実施形態おける投入機構67を構成するチャック装置68も同じくワイヤ、ロッド、エア等を使用する構成に限らない。公知の技術を用いて、同様の動作を行えるものであるなら特に限定されない。
【0078】
・前記第1実施形態において移動機構がない構成を採用できる。融液表面までの距離が短い場合は、移動することなくピース25を落下させてもよい。また、第1挟持部27及び第2挟持部28をローラで構成し、ブレーキ装置により制動を掛けたローラでピースを把持し、その後、制動を徐々に解除し、ピースが自重でローラを回転させて下降し投入される構成でもよい。
【0079】
・前記第1実施形態において、フィーダ21の材質は石英に限定されない。SUS、カーボン、セラミック、モリブデン、タングステン等でもよい。原料のピース25は金属汚染を嫌うため、それを考慮して使用する材質を選定する。前記第2実施形態及び第3実施形態における供給ガイド51,61も同じく石英に限定されない。
【0080】
・前記第1実施形態の投入機構26を構成する第1挟持部27、第2挟持部28、瀬切り部29及び支持部30の材質は石英に限定しない。SUS、カーボン、セラミック、モリブデン、タングステン等でもよい。また、接続部や駆動機構もSUSに限らず、前記の材質により構成してもよい。
【0081】
・前記第3実施形態において、移送装置74は、管部12に備え付けられる構成にかぎらない。例えば、チャンバ本体3に備え付けられていてもよい。単結晶製造装置1とは別に移送装置74を設け、その移送装置74から移送部75によりピース25を供給ガイド61内に供給できる構成であれば、移送装置74の設置場所は特に限定されない。
【0082】
・前記第3実施形態において、供給ガイド61は壁63を有する構造に限らず、壁63がない構造を採用してもよい。
・前記第1実施形態において、フィーダ21によりピース25を中心からずれた位置に供給していたが、坩堝5の中心に供給する構成としてもよい。この場合、フィーダ21を坩堝5の中心で昇降させる構成とする。また、管部12及び開口部3aの断面は、楕円形状であったが円形状であってもよい。坩堝5の中心に原料を供給する際にも、ピース25の投入は1つずつであるが、投入したピース25が溶け終わる前に次のピース25を投入することが可能である。特に、坩堝5内の融液の深さが十分に有る場合は、投入したピース25が溶け終わる前に次のピース25を入れても問題はない。また、前記第2実施形態も同じく坩堝5の中心にピース25を供給する構成を採用してもよく、その際の構成は上記の第1実施形態の場合と同様である。なお、第3実施形態では、単結晶の製造と同時に原料の供給を行っていたが、単結晶の製造と原料の供給を別々に行う構成として、同じく坩堝5の中心に原料を供給構成としてもよい。この場合も同じく、供給ガイド61及びチャック装置68を坩堝5の中心で昇降させることで可能となる。これらの構成によれば、ピース25の供給にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0083】
・前記第1実施形態において、フィーダ21の待機位置を次回投入予定のピース25を予備加熱できる程度に坩堝5に近い位置に設定してもよい。これにより、ピース25を投入して次のピース25を投入するまでに、その次のピース25を十分予備加熱することが可能となる。
【0084】
・前記各実施形態において、CZ法に限らず、MCZ(Magnetic field applied Czochralski)法のような他のCZ法に使用してもよい。
・前記第1実施形態において、フィーダ21はワイヤ23に吊下げられる構成に限らない。例えばフィーダ21にボールネジ構造でロッドを螺合しそのロッドをモータにより正逆軸回転駆動させてフィーダ21を昇降させる方式、あるいはフィーダ21に連結したロッドをシリンダにより駆動させるシリンダ駆動方式を採用できる。
【0085】
・前記各実施形態において、ピース25は円板状に限定されない。所定の形状を有していれば特に限定はされず、例えば直方体でもよい。但し、フィーダ装填時に原料片の隣合う面同士が接する状態に積層できる形状が好ましい。この場合、フィーダ21及び供給ガイド61の内面形状(断面形状)は原料片の形状と合わせる必要がある。もちろん、フィーダ21に装填された原料片が接する状態で配列される必要はなく、原料片同士が仕切り等を介して僅かな隙間を隔して配列されている積層状態であっても構わない。
【0086】
・前記各実施形態において、原料供給装置20,50,60は単結晶シリコン19を製造する場合に使用したが単結晶であれば特に限定されず、ガリウムやヒ素等を製造する場合に使用してもよい。
【0087】
・前記第3実施形態の機構と前記第2実施形態の機構を組み合わせた機構を採用してもよい。第2実施形態のような供給ガイド51を用いて、第3実施形態の投入機構によりピース25してもよい。この場合、投入機構は、供給ガイド51に合わせて複数必要である。これにより、ピース25を複数の供給ガイドから供給することができるため、より製造サイクルタイムを短縮でき、単結晶シリコンの生産効率が向上する。
【0088】
・前記第3実施形態において、原料供給装置60によるピース25の供給は、単結晶の製造とともに行われていたが、前記第1実施形態のように単結晶の製造とピース25の供給を別に行う構成としてもよい。さらに、この場合、前記第1実施形態のように、坩堝5の中心から少しずれた位置においてピース25を供給する構成としてもよく、チャック装置68が坩堝5の中心から少しずれた位置においてピース25を供給することでピース25を連続して投入することが可能となる。
【0089】
・前記第1実施形態及び前記第2実施形態において、前記第3実施形態のように原料供給装置20,50によるピース25の供給を単結晶シリコン19の製造とともに行う構成としてもよい。
【0090】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(1)前記投入機構は、投入する1つの前記原料片を他の前記原料片から瀬切る瀬切り機構と、該瀬切り機構により他の前記原料片から瀬切った1つの前記原料片を保持するとともに、保持を解除して該1つの原料片を前記坩堝内の融液に投入する保持部とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の原料供給装置。この構成によれば、瀬切り機構により投入する原料片とそれ以外の原料片とを切り離すことが可能である。そして、投入する原料片を保持し、その保持を解除することで坩堝内の融液に投入する。このため、1つの原料を瀬切り機構により確実に切り離すことができ、その切り離した原料片を保持部が確実に坩堝内に投入することが可能である。従って、原料片を1つずつ確実に投入できる。
【0091】
(2)前記投入機構は、1つの前記原料片を保持した前記保持部を融液に近づく方向に移動させることが可能な移動機構を備えることを特徴とする前記技術的思想(1)に記載の原料供給装置。この構成によれば、移動機構により投入機構の保持部が原料片を保持した状態で、坩堝内の融液表面に近づき原料片を投入することができ、確実に坩堝内に原料片を投入することができる。また、近づくことでゆっくりと投入することができ、原料片投入時の衝撃を低減し、液跳ねを防止することができる。
【0092】
(3)前記原料片は円板形状であり、前記保持部は、前記円板形状の原料片の外周面を保持することを特徴とする前記技術的思想(1)又は(2)に記載の原料供給装置。
【0093】
(4)前記原料片は円板形状であり、前記移送機構は、前記円板形状の原料片を前記チャンバ内に移送し、前記保持部が前記円板状の原料片の外周面を保持することを特徴とする請求項5に記載の原料供給装置。この構成によれば、原料片は円板状の形状であり、その円板状の原料片をチャンバ内に移送し、保持部はその原料片を外周面にて保持する。このため、安定して原料片を保持することができ、安定した原料の供給が可能となる。また、保持部として例えば、挟持する構成を使用した場合、原料片の外周面にて挟持することで、原料片の投入方向に直交する断面積を小さくすることができ、それにより保持部のチャンバ内や供給ガイド内におけるスペースを低減することができる。また、供給ガイドを小さくすることができる。
【0094】
(5)前記坩堝は原料供給時に回転可能に構成され、該回転時に前記供給ガイドは、前記坩堝の中心からずれた位置において前記原料片の投入位置をガイドすることを特徴とする請求項1〜請求項5及び前記技術的思想(1)〜(4)のいずれか一項に記載の原料供給装置。この構成によれば、坩堝の中心からずれた位置において供給ガイドにより投入位置がガイドされ、それにより中心からずれた位置において回転する坩堝内に原料片を供給することができる。このため、投入した原料片は坩堝とともに回転して移動することとなり、次の原料片を前回投入した原料片と接触することなく、すぐに投入することが可能となる。従って、坩堝内に原料を補充するための所要時間を大幅に短縮できる。従って、単結晶の製造サイクルタイムを短くでき、単結晶の生産効率が大幅に向上する。
【0095】
(6)前記供給ガイドを前記坩堝の上方において昇降可能とする昇降機構を備える請求項1〜請求項5及び前記技術的思想(1)〜(5)のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【0096】
(7)前記供給ガイドを前記坩堝の上方において前記原料片の投入時期となるまで待機する待機位置と前記原料片を投入する投入位置との間で昇降可能とする昇降機構を備える前記技術的思想(6)に記載の原料供給装置。
【0097】
(8)前記待機位置は、前記供給ガイド内にある次回投入予定の原料片を予備加熱可能に前記坩堝に近い位置である前記技術的思想(7)に記載の原料供給装置。この構成によれば、投入前の待機中に予備加熱されることにより原料片が融液に投入される際の両者の温度差が少なく済み、この種の温度差が大きい場合に原料片投入時に発生する融液の跳ね等を防ぎ易くなる。
【0098】
(9)前記昇降機構は昇降装置及びワイヤを備え、該ワイヤにより前記供給ガイドを吊下げ、前記昇降装置によりワイヤを昇降させることで前記供給ガイドを前記坩堝内の融液表面近くまで移動させることを特徴とする前記技術的思想(6)〜(8)のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【0099】
(10)前記原料片の供給は、CZ法による単結晶の製造と同時に行われることを特徴とする請求項1〜5及び前記技術的思想(1)〜(9)のいずれか一項に記載の原料供給装置。
【0100】
(11)CZ法においてチャンバ内に配設される坩堝の内部に残る融液に原料を供給する際に使用される原料供給方法であって、
前記原料として所定の形状を有する原料片を用い、該原料片を投入する際に前記坩堝の上方の投入位置に前記原料片をガイドし、その投入位置にガイドされた状態で前記原料片を前記坩堝内の融液に投入することを特徴とする原料供給方法。
【0101】
(12)前記投入位置は坩堝の中心からずれた位置であることを特徴とする前記技術的思想(11)に記載の原料供給方法。
(13)複数の前記原料片を前記坩堝上部において積層状態に装填し、その装填された複数の前記原料片を1つずつ前記坩堝内の融液に投入することを特徴とする前記技術的思想(11)又は(12)に記載の原料供給方法。
【0102】
(14)前記積層状態で装填されている前記原料片のうち次回投入予定の原料片を前記チャンバ内に保持することでチャンバ内の熱により予備加熱することを特徴とする前記技術的思想(11)〜(13)のいずれか一項に記載の原料供給方法。
【0103】
(15)前記原料片の投入を単結晶の製造と同時に行うことを特徴とする前記技術的思想(11)〜(14)のいずれか一項に記載の原料供給方法。
(16)前記原料片は円板形状であり、該円板形状の原料片の外周面を保持することを特徴とする前記技術的思想(11)〜(15)のいずれか一項に記載の原料供給方法。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、原料の落下による坩堝の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における単結晶の製造を示す説明図。
【図2】第1実施形態における原料供給を示す説明図。
【図3】第1実施形態における原料供給装置の概略的な構成図。
【図4】(a)〜(f)は、第1実施形態における原料供給の工程を示す説明図。
【図5】第1実施形態における瀬切り部及び支持部の概略的な構成図。
【図6】第2実施形態における供給ガイドの説明図。
【図7】第3実施形態における単結晶の製造及び原料の供給を示す説明図。
【図8】第3実施形態における原料供給装置の概略的な構成図。
【図9】(a)〜(f)は、第3実施形態における原料供給の工程を示す説明図。
【図10】供給ガイドの断面斜視図。
【図11】別例におけるチャック装置の斜視図。
【図12】別例における原料供給装置の概略的な構成図。
【符号の説明】
1…単結晶製造装置、2…チャンバ、5…坩堝、19…単結晶シリコン、20…原料供給装置、21…供給ガイドとしてのフィーダ、25…原料片としての多結晶シリコンピース(ピース)、26…投入機構、50…原料供給装置、51…供給ガイド、60…原料供給装置、61…供給ガイド、67…投入機構、69…保持部としての挟持部、70…移動機構を構成するロッド、72…移動機構を構成するモータ、72a…移動機構を構成するギア、74…移送機構としての移送装置、81a…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CZ法において、チャンバ内に配設される坩堝の内部に残る融液に原料を供給する際に使用される原料供給装置であって、
前記原料は所定の形状を有する原料片であり、該原料片を投入する際に前記坩堝の上方において投入位置をガイドする供給ガイドと、
前記原料片を前記供給ガイド内を介して前記坩堝内の融液に投入する投入機構と
を備えたことを特徴とする原料供給装置。
【請求項2】
前記供給ガイドは、複数の前記原料片を積層した状態で装填可能に構成され、該供給ガイドは装填された複数の前記原料片を1つずつ前記坩堝内の融液に投入する投入機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項3】
前記供給ガイドは前記原料片を複数列装填可能に構成され、前記投入機構は前記供給ガイドに装填された複数列の前記原料片から各列1つずつの前記原料片を坩堝内の融液に投入することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の原料供給装置。
【請求項4】
前記チャンバは開閉可能な開口部を有し、該開口部を介して前記チャンバ外部から前記原料片を1つずつ前記チャンバ内に移送する移送機構と、
該移送機構により移送された1つの前記原料片を保持し、前記供給ガイド内を介して前記原料片を投入する投入機構と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項5】
前記投入機構は、1つの前記原料片を保持する保持部と、
該保持部を融液に近づく方向に移動させることが可能な移動機構とを備え、
前記保持部が1つの前記原料片を前記供給ガイド内を介して前記坩堝内の融液に投入することを特徴とする請求項4に記載の原料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2004−182569(P2004−182569A)
【公開日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−354199(P2002−354199)
【出願日】平成14年12月5日(2002.12.5)
【出願人】(395022579)江南工機株式会社 (1)
【出願人】(000169639)三菱マテリアルポリシリコン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】