説明

原稿読取り装置

【課題】原稿押さえ部材の濃度と原稿の濃度との間の濃度差を用いて原稿の大きさや位置を検出するに際し、原稿の端部を正確に読み取ることができるようにする。
【解決手段】原稿押さえ板11は、原稿押さえ面に原稿の端部と傾斜した状態で交差する縞模様でなるパターンが描かれている。画像読取部12は、原稿押さえ板11に描かれたパターンに包含された原稿の画像を読み取る。比較部15は、画像読取部12により読み取られた原稿画像の画像データの濃度と、グラデーションデータ記憶部14に予め記憶されているパターンデータに示されたパターンの濃度とを比較する。端部検出部16は、比較部15の比較結果に基づき原稿の端部を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、スキャナ、電子ファイル等に用いられ、原稿を光学的に読み取る原稿読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機等には、セットされた原稿の大きさや位置を検出するための原稿読取り装置が備えられている。この原稿読取り装置は、原稿を押さえる面が黒色からなる原稿押さえ部材の濃度と原稿の濃度との間の濃度差を検出し、検出した濃度差に基づき原稿の端部を検出し、この検出した端部から原稿の大きさや位置を検出するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−130337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の原稿読取り装置では、例えば、図16(a)に示すように、原稿の端部が白色の原稿の場合には、この原稿を黒色の原稿押さえ部材に押圧されたとき、図16(b)に示すように、原稿の端部の濃度と黒色の原稿押さえ部材の濃度との間の濃度差が鮮明に検出されるので、原稿の端部が正確に検出される。しかし、例えば図17(a)に示すように、黒色の縁取りのある端部を有する原稿の場合には、この原稿を原稿押さえ部材に押圧されたとき、図17(b)に示すように、縁取りの端部が検出されず、この端部を除いた部分しか検出されないため、原稿の大きさや位置を誤って検出してしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した問題点に鑑み、原稿押さえ部材の濃度と原稿の濃度との間の濃度差を用いて原稿の大きさや位置を検出するに際し、原稿の端部を正確に読み取ることが可能な原稿読取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、原稿押さえ面にグラデーションパターンが描かれた原稿押さえ部材と、前記原稿押さえ部材に描かれたグラデーションパターン及び該パターンに包含された原稿画像を読み取る原稿画像読取り部と、前記グラデーションパターンの濃度を示すグラデーションパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部と、前記原稿画像読取り部により読み取られた前記画像データの濃度と、前記パターンデータ記憶部に記憶されている前記グラデーションパターンデータに示された前記グラデーションパターンの濃度とを比較する濃度比較部と、前記濃度比較部の比較結果に基づき前記原稿の端部を検出する端部検出部とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、原稿押さえ面に原稿の端部と傾斜した状態で交差する縞模様でなるパターンが描かれた原稿押さえ部材と、前記原稿押さえ部材に描かれた前記パターン及び該パターンに包含された原稿画像を読み取る原稿画像読取り部と、前記パターンの濃度を示すパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部と、前記原稿画像読取り部により読み取られた前記画像データの濃度と、前記パターンデータ記憶部に記憶されている前記パターンデータに示された前記パターンの濃度とを比較する濃度比較部と、前記濃度比較部の比較結果に基づき前記原稿の端部を検出する端部検出部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明によれば、端部検出部により検出された原稿の端部に基づき、原稿のサイズ及び位置を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明に係る実施例1の原稿読取り装置の構成を示すブロック図である。実施例1の原稿読取り装置10は、図2に示すように、複写機20の原稿台22にセットされた原稿24を読み取る装置であって、複写機20に備えられている。この原稿読取り装置10は、図1に示すように、原稿押さえ板11と、画像読取部12と、画像データ記憶部13と、グラデーションデータ記憶部14と、比較部15と、端部検出部16と、サイズ・位置検出部17とを備える。ここで、比較部15、端部検出部16、及びサイズ・位置検出部17は、図示しないCPUが図示しないROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより構成され、後述する機能を有する。
【0010】
原稿押さえ板11は、原稿24を原稿台22に固定するもので、画像読取部12が読み取り可能な全領域を覆う大きさを有している。そして、この原稿押さえ板11は、原稿台22を押圧する面(以下、押圧面という)に、画像読取部12が読み取るグラデーションパターンが描かれている。このグラデーションパターンは、図3に示すように、左上隅Pを中心にして、放射方向に沿って等間隔で円弧状に描かれている。しかも、このグラデーションパターンは、左上隅Pに最も近い箇所に描かれているパターンの濃度が最も淡く(低い)、左上隅Pから離れる従いそのパターンの濃度が次第に濃く(高く)なり、右下隅(図示せず)に最も近い箇所に描かれているパターンの濃度が最も濃いようになっている。
【0011】
前述のグラデーションパターンが単に濃淡をつけるだけでなく、左上隅Pを中心にして円弧状に描かれた理由は、図4に示すように、矩形な原稿24を原稿台22にセットしたとき、原稿24の各辺に隣接するグラデーションパターンの濃度を一定にしないためである。また、原稿24の辺に対して傾斜した状態で交差する縞模様のパターンであってもよい。
【0012】
図1に示す、画像読取部12は、光源、複数のミラー、レンズ、R(赤)、G(緑)、及びB(青)のカラーフィルタ、CCD(Charge Couple Device)、A/D変換器等を備える。光源は、例えばタングステン電球で形成され、原稿台22にセットされた原稿24を照射する。複数のミラーは、原稿24で反射された光をレンズに導く。レンズは、複数のミラーから導かれ、原稿24で反射された光をCCD上に結像する。
【0013】
CCDは、レンズにより結像された原稿24の画像を画素に分解し、画素にチャージされている明るさに応じた電荷を所定のクロック周波数で読み出した画信号をA/D変換器に出力する。R、G、及びBのカラーフィルタは、ミラーから導かれ、原稿24で反射された光を、R、G、及びBの各色の光としてCCDに出射する。A/D変換器は、CCDから入力された画信号から1バイトのデジタル信号からなる画像データを生成し、この画像データを画像データ記憶部13に書き込む。この画像データが表す濃度は、256階調を有している。
【0014】
画像データ記憶部13は、RAMで形成され、画像読取部12から入力された画像データを記憶する。
【0015】
ここで、画像データ記憶部13に記憶されている画像データについて説明する。例えば、画像データ記憶部13に記憶されている画像データは、各画素に対応した濃度を示す、例えば図7に示すようなパターンのように記憶されている。ここで、図7中の各画素に記述されている16進数からなる2桁の数値は、その画素の濃度を示す濃度値である。
【0016】
グラデーションデータ記憶部14は、ROMで形成され、図7に示すグラデーションデータを記憶する。このグラデーションデータは、原稿24が原稿台22にセットされない状態において、画像読取部12により原稿押さえ板11に描かれたグラデーションパターンが読み取られた場合、当然に読み出されるものと期待される各画素の濃度値(以下、期待濃度値という)を示すデータである。
【0017】
図5に示すような原稿24を画像読取部12で読み取ると、図6に示すように、内部に表示されている画素の濃度値は、原稿24が白色である箇所に対応する画素(図5中の符号24A、及び、図6中の符号Aの箇所参照)の濃度値が「00」であり、原稿24が黒色である箇所に対応する画素(図5中の符号24B、及び、図6中の符号Bの箇所参照)の濃度値が「FF」であり、原稿24が白色と黒色の間のR、G、及びBからなる中間色である箇所に対応する画素の濃度値が「00」、及び「FF」を除いた値である(図5中の符号24C、及び、図6中の符号Cの箇所参照)。
【0018】
原稿24が原稿台22にセットされていない状態において、画像読取部12から原稿押さえ板11に描かれたグラデーションパターンが実際に読み取られた場合には、例えば図8に示すように、符号A及び符号Bに示された箇所の画素が有する濃度値が、図7に示したグラデーションデータに記載されている濃度値と異なるようになる場合がある。このように双方の濃度値が異なるのは、画像読取部12がグラデーションパターンを読み取る際にノイズが入り、このノイズの影響により実際の濃度値が変化してしまうからである。
【0019】
比較部15は、画像データ記憶部13に記憶されている画像データを読み出し、次に、この読み出した画像データに対応するグラデーションデータをグラデーションデータ記憶部14から読み出す。そして、比較部15は、読み出した画像データの濃度値と、読み出したグラデーションデータの期待濃度値との差の絶対値が、予め経験的に求められているノイズの影響による濃度値の最大変化値n以上であるか否かを判定する。
【0020】
ここで、画像データの濃度値とグラデーションデータの期待濃度値とを比較する際に、最大変化値nを用いるのは、仮にノイズの影響があった場合でも、原稿領域を確実に特定するためである。
【0021】
また、比較部15は、前述の判定を行った結果、読み出した画像データの濃度値と、読み出したグラデーションデータの期待濃度値との差の絶対値が、濃度値の最大変化値n以上であると判定した場合には、原稿領域であることを示す「FF」が記述された識別結果データを図示しないRAMに書き込む。一方、比較部15は、読み出した画像データの濃度値と、期待濃度値との差の絶対値が、濃度値の最大変化値n未満であると判定した場合には、原稿領域でないことを示す「00」が記述された識別結果データをRAMに書き込む。
【0022】
図9は、比較部15が端部検出部16に出力した識別結果データを画素ごとに示した図である。図9に示すように、原稿領域を示す画素には、「FF」が記述され、原稿領域でない画素には「00」が記述されている。
【0023】
端部検出部16は、RAMに記憶されている識別結果データを順次読み出し、原稿24の端部の位置を検出する。すなわち、端部検出部16は、RAMに記憶されている識別結果データを順次読み出し、4つの端点の位置を検出することにより、原稿24の端部の位置を検出する。そして、端部検出部16は、端点位置データをサイズ・位置検出部17に出力する。例えば、図9に示す符号Aの箇所の画素の位置が4つの端点のうちの1つである。ここで、端点位置データは、端点の画素の位置を示す水平番号と、垂直番号との組で記述されている。
【0024】
ところで、原稿の一部箇所の濃度値と、グラデーションデータ記憶部14に記憶されているグラデーションパターンの期待濃度値とが同じである場合には、比較部15は、例えば図10に示すように、実際には原稿領域であるのに原稿領域でないように画像データを読み取る。このように原稿領域が読み取られる理由は、この領域の濃度がグラデーションデータ記憶部14に記憶されているグラデーションパターンの期待濃度値と同じであるため、比較部15が実際には原稿領域であるのに、原稿領域でない「00」が記述された識別結果データをRAMに書き込むためである。
【0025】
上述した図10に示すように、実際には原稿領域であるのに原稿領域でないように原稿24が読み取られた場合には、端部検出部16は、以下に説明するようにして、RAMに記憶されている識別結果データを補正し、端部の位置を検出する。すなわち、図10中の符号Aに示された箇所における位置を原稿領域として特定するために、端部検出部16は、図11中の符号Aに示すように、「FF」の識別結果データの間に「00」の識別結果データが存在するとこの領域を原稿領域と判定し、「00」の識別結果データを「FF」の識別結果データに補正する。また、図10中の符号B及びCに示された箇所における端部の位置を原稿領域として特定するために、端部検出部16は、図11中の符号B及びCに示すように、「00」の識別結果データと隣接する「FF」の識別結果データを延長した符号B及びCの線が交差する箇所までのRAMに記憶されている「00」の識別結果データを「FF」の識別結果データに補正する。
【0026】
サイズ・位置検出部17は、端部検出部16から4つの端点位置データが入力されると、この端点位置データに基づき、原稿24のサイズ及び位置を検出する。すなわち、サイズ・位置検出部17は、原稿24のサイズを検出するときには、入力された4つの端点位置データのうち、垂直番号が同一で、水平番号が異なる2つの端点位置データを参照し、互いの水平番号の差を算出する。また、サイズ・位置検出部17は、入力された4つの端点位置データのうち、水平番号が同一で、垂直番号が異なる2つの端点位置データを参照し、互いの垂直番号の差を算出する。サイズ・位置検出部17は、算出した水平番号の差、及び垂直番号の差に基づき、原稿24のサイズを検出する。また、サイズ・位置検出部17は、入力された4つの端点位置データのうち、水平番号及び垂直番号が最も小さい端点データに記述されている水平番号及び垂直番号の位置を原稿24の位置と検出する。
【0027】
次に、本発明に係る実施例1の原稿読取り装置の動作を説明する。
【0028】
図12は、本発明に係る実施例1の原稿読取り装置の動作を示すフローチャートである。まず、複写機20の原稿台22に原稿がセットされ(ステップS11)、原稿押さえ板11が閉じられ、原稿押さえ板11により原稿24が原稿台22に押しつけた状態で、図示しない操作部に設けられているスタートキーが押下されると、画像読取部12に備わっている光源は、原稿台22を介して原稿24に光を照射する。画像読取部12に備わっているミラー及びレンズは、原稿24から反射されてきた光をR、G、及びBのカラーフィルタを介してCCD上に結像する。
【0029】
画像読取部12に備わっているCCDは、原稿24からの反射され、R、G、及びBのカラーフィルタを介して入射された光の強度に応じた電荷をチャージし(ステップS12)、その後、チャージした電荷に対応した画信号を、例えば15kHzのクロックでA/D変換器に出力する。画像読取部12に備わっているA/D変換器は、CCDから入力された画信号から1バイトのデジタル信号からなる画像データを生成し(ステップS13)、この画像データを画像データ記憶部13に書き込む(ステップS14)。
【0030】
画像読取部12が原稿24の全ての画像データを画像データ記憶部13に書き込むと、比較部15は、未だ読み出されていない画像データがあるか否かを判定する(ステップS15)。比較部15は、未だ読み出されていない画像データがあると判定した場合には(ステップS15;YES)、画像データ記憶部13に記憶されている未だ読み出されていない画像データと、グラデーションデータ記憶部14に記憶されているグラデーションデータとを比較する後述する処理(以下、比較処理という)を実行し(ステップS16)、ステップS15に処理を移行させ、上述したと同様な処理を続行させる。一方、比較部15は、未だ読み出されていない画像データがないと判定した場合には(ステップS15;NO)、出力する識別結果データがない旨の通知を端部検出部16に出力する。
【0031】
端部検出部16は、前述の通知が入力されると、RAMに記憶されている各画素に対応する識別結果データを順次読み出し、この読み出した識別結果データが原稿領域であるべき領域の識別結果データであるのに、原稿領域でないような「00」の識別結果データで有る場合には、これらの「00」の識別結果データを「FF」の識別結果データに補正する(ステップS17)。
【0032】
その後、端部検出部16は、RAMに記憶されている識別結果データを順次読み出し、原稿24の端部の位置を特定するための4つの端点を特定する。次に、端部検出部16は、4つの端点を示す端点位置データをサイズ・位置検出部17に出力する。
【0033】
サイズ・位置検出部17は、端部検出部16から4つの端点位置データが入力されると、入力された4つの端点位置データのうち、垂直番号が同一で、水平番号が異なる2つの端点位置データを参照し、互いの水平番号の差を算出する。次に、サイズ・位置検出部17は、入力された4つの端点位置データのうち、水平番号が同一で、垂直番号が異なる2つの端点位置データを参照し、互いの垂直番号の差を算出する。サイズ・位置検出部17は、算出した水平番号の差、及び垂直番号の差に基づき、原稿24のサイズを検出する。その後、サイズ・位置検出部17は、入力された4つの端点位置データのうち、水平番号及び垂直番号が最も小さい端点データに記述されている水平番号及び垂直番号の位置を原稿24の位置と検出し(ステップS18)、処理を終了する。
【0034】
ステップS16における比較処理の動作を説明する。図13は、ステップS16における比較処理の動作を示すフローチャートである。比較部15は、画像データ記憶部13から未だ読み出されていない画像データを読み出す(ステップS161)。次に、比較部15は、この読み出した画像データに対応するグラデーションデータをグラデーションデータ記憶部14から読み出す(ステップS162)。
【0035】
その後、比較部15は、読み出した画像データの濃度値と、読み出したグラデーションデータの期待濃度値との差の絶対値が、予め経験的に求められているノイズの影響による濃度値の最大変化値「n=2」以上であるか否かを判定する(ステップS163)。
【0036】
次に、比較部15は、前述の判定を行った結果、読み出した画像データの濃度値と、読み出したグラデーションデータの期待濃度値との差の絶対値が、濃度値の最大変化値2以上であると判定した場合には(ステップS163;YES)、原稿領域であることを示す「FF」が記述された識別結果データをRAMに書き込む(ステップS165)。一方、比較部15は、濃度値の最大変化値2未満であると判定した場合には(ステップS163;NO)、原稿領域でないことを示す「00」が記述された識別結果データをRAMに書き込み(ステップS164)、比較処理を終了する。
【0037】
実施例1によれば、原稿押さえ板11が、押圧面にグラデーションパターンが描かれており、また、グラデーションデータ記憶部14がグラデーションパターンの期待濃度値を示すグラデーションパターンデータを予め記憶しているので、比較部15により比較された、画像読取部12により読み取られた原稿24の画像データの濃度と、グラデーションデータ記憶部14に記憶されているグラデーションパターンデータに示されたグラデーションパターンの期待濃度とを比較結果に基づき、端部検出部16が原稿24の端部を検出ことができる。
【0038】
実施例1では、原稿押さえ板11の押圧面に描かれたグラデーションパターンが、左上隅Pを中心にして、次第に濃度が濃くなるように、かつ、円弧状に描かれているが、これ以外として、原稿24の各辺に隣接するグラデーションパターンの濃度を一定としないような不均一なものであってもよい。
【0039】
実施例1では、原稿24が原稿台22に斜めにおかれた場合、原稿台22に対する原稿24の傾きを検出していないが、検出された原稿24の端部と、この端部に最も平行な原稿台22との傾きを算出することにより、読み取った原稿24の画像データについて、斜め補正を行うことができる。
【実施例2】
【0040】
図14は、本発明に係る実施例2の原稿読取り装置の構成を示すブロック図である。実施例2の原稿読取り装置10は、実施例1の原稿読取り装置10と同様、複写機20の原稿台22にセットされた原稿24を読み取る装置であって、複写機20に備えられている。この原稿読取り装置10は、図14に示すように、原稿押さえ板11と、画像読取部12と、画像データ記憶部13と、グラデーションデータ記憶部34と、比較部15と、端部検出部16と、サイズ・位置検出部17とを備える。
【0041】
ここで、原稿押さえ板11、画像読取部12、画像データ記憶部13、比較部15、端部検出部16、及びサイズ・位置検出部17は、実施例1のものと同一であり、これらの構成の説明を省略する。
【0042】
グラデーションデータ記憶部34は、実施例1のグラデーションデータ記憶部14に記憶されているグラデーションデータと異なり、電源投入時に読み取られた、原稿押さえ板11の押圧面に描かれたグラデーションパターンの画像データが記憶される。
【0043】
このように、電源投入時に読み取られた原稿押さえ板11の押圧面に描かれたグラデーションパターンの画像データがグラデーションデータ記憶部34に記憶される理由は、原稿24の読み取りに使用される光源の光量が経年変化し、それに伴い、画像読取部12により読み取られた、原稿押さえ板11に描かれたグラデーションパターンの画像データの値も変化してしまうので、実施例1のように予め記憶させたグラデーションデータの期待濃度値をいつまでも使用すると、実際の濃度値と期待濃度値との間に差が発生してしまい、原稿24の端部の検出を正しく行うことができなくなる可能性があるためである。
【0044】
次に、本発明に係る実施例2の原稿読取り装置の動作を説明する。
【0045】
図15は、本発明に係る実施例2の原稿読取り装置の動作を示すフローチャートである。この実施例2の原稿読取り装置10では、ステップS21における初期化処理を除いて、それ以降のすべての動作が、実施例1の原稿読取り装置10の動作と同様な動作を実行するので、ステップS22からステップS29までの動作の説明を省略する。
【0046】
ここで、ステップS21における初期化処理の動作を説明する。まず、原稿押さえ板11が閉じられ、電源が投入され、図示しない操作部に設けられているスタートキーが押下されると、画像読取部12に備わっている光源は、原稿24が載置していない原稿台22を介してグラデーションパターンが描かれた原稿押さえ板11の押圧面に光を照射する。画像読取部12に備わっているミラー及びレンズは、原稿押さえ板11からの反射光をR、G、Bのカラーフィルタを介して光源が照射した光をCCD上に結像する。
【0047】
画像読取部12に備わっているCCDは、原稿24からの反射されてきた光の強度に応じた電荷をチャージし、その後、チャージした電荷に対応した画信号を、例えば15kHzのクロックでA/D変換器に出力する。画像読取部12に備わっているA/D変換器は、CCDから入力された画信号から1バイトのデジタル信号からなる画像データを生成し、この画像データをグラデーションデータ記憶部34に書き込み(ステップS21)、初期化処理を終了し、ステップS22に移行させる。
【0048】
実施例2によれば、実施例1の原稿読取り装置10が備える効果を有し、更に、次のような効果を有する。すなわち、実施例2の原稿読取り装置10では、画像読取部12が、電源投入時において、原稿押さえ板11の押圧面に描かれたグラデーションパターンの画像を読み取り、この読み取ったグラデーションパターンの画像の画像データを、グラデーションパターンデータとしてグラデーションデータ記憶部34に記憶するので、光源が経年変化により光量変化しても、グラデーションデータ記憶部34に記憶されているグラデーションデータが、光源の光量に対応した期待濃度値として設定することができる。また、グラデーションパターンによごれが発生したときにも対応できる。このため、装置を長期間使用しても、端部検出部16により、原稿24の端部の検出を正確に検出することができる。
【0049】
実施例2では、グラデーションデータの初期化処理を行うときを、電源投入時としたが、これ以外として、初期化処理を行ったのち、予め決められた時間を経過した場合には、その都度、グラデーションデータの初期化処理を実施するようにしてもよい。また、原稿24の読取り回数を計測し、この読取り回数が予め決められた回数になると、グラデーションデータの初期化処理を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る実施例1の原稿読取り装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の原稿読取り装置を備える複写機の外観図である。
【図3】図1中の原稿押さえ板に描かれているグラデーションパターンの一例を示す図である。
【図4】図3中のグラデーションパターンを更に詳細説明するための説明図である。
【図5】複写機の原稿台にセットされた原稿の一例を示す図である。
【図6】図5で示された原稿の画像データが有する濃度値の濃度パターンを示す図である。
【図7】グラデーションデータ記憶部に記憶されているグラデーションデータが有する期待濃度値のパターンの一例を示す図である。
【図8】読み出された原稿押さえ板に描かれているグラデーションパターンの濃度値の一例を示す図である。
【図9】記憶されている識別結果データの濃度値パターンの一例を示す図である。
【図10】識別結果データを補正する必要がある画像データの一例を示す図である。
【図11】識別結果データを補正するときの補正方法を説明する説明図である。
【図12】本発明に係る実施例1の原稿読取り装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】図12中のステップS16における比較処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る実施例2の原稿読取り装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明に係る実施例2の原稿読取り装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】従来の原稿読取り装置が読み取る原稿の端部の一例を示す図である。
【図17】従来の原稿読取り装置が読み取る原稿の端部の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 原稿読取り装置
11 原稿押さえ板
12 画像読取部
13 画像データ記憶部
14、34 グラデーションデータ記憶部
15 比較部
16 端部検出部
17 サイズ・位置検出部
20 複写機
22 原稿台
24 原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿押さえ面にグラデーションパターンが描かれた原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材に描かれたグラデーションパターン及び該パターンに包含された原稿画像を読み取る原稿画像読取り部と、
前記グラデーションパターンの濃度を示すグラデーションパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部と、
前記原稿画像読取り部により読み取られた前記画像データの濃度と、前記パターンデータ記憶部に記憶されている前記グラデーションパターンデータに示された前記グラデーションパターンの濃度とを比較する濃度比較部と、
前記濃度比較部の比較結果に基づき前記原稿の端部を検出する端部検出部と
を備えることを特徴とする原稿読取り装置。
【請求項2】
原稿押さえ面に、原稿の端部と傾斜した状態で交差する縞模様でなるパターンが描かれた原稿押さえ部材と、
前記原稿押さえ部材に描かれた前記パターン及び該パターンに包含された原稿画像を読み取る原稿画像読取り部と、
前記パターンの濃度を示すパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部と、
前記原稿画像読取り部により読み取られた前記画像データの濃度と、前記パターンデータ記憶部に記憶されている前記パターンデータに示された前記パターンの濃度とを比較する濃度比較部と、
前記濃度比較部の比較結果に基づき前記原稿の端部を検出する端部検出部と
を備えることを特徴とする原稿読取り装置。
【請求項3】
前記端部検出部により検出された前記原稿の端部に基づき、原稿のサイズを検出する原稿サイズ検出部
を更に備える請求項1または2に記載の原稿読取り装置。
【請求項4】
前記端部検出部により検出された前記原稿の端部に基づき、原稿の位置を検出する原稿位置検出部
を更に備える請求項1乃至3のいずれかに記載の原稿読取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−71713(P2009−71713A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239912(P2007−239912)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】