説明

原稿読取装置、画像形成装置、原稿読取装置の制御方法、および原稿読取装置の制御プログラム

【課題】原稿を搬送する搬送手段の開閉状態を精度良く検出可能な原稿読取装置、画像形成装置、原稿読取装置の制御方法、および原稿読取装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】デジタル複合機は、原稿読取位置257で画像を読み取るスキャナ部13と、スキャナ部13を覆う閉じた状態と、スキャナ部13を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合にスキャナ部13へ原稿290aを搬送する原稿押えカバー20と、原稿押えカバー20によって搬送される原稿290aの先端部P1および後端部P2を検出するレジストセンサ256と、レジストセンサ256の検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻にIRモジュール201が読み取った画像における、原稿290aの先端部P1および後端部P2の状態に基づいて、原稿押えカバー20の開閉状態を判断する制御装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置、画像形成装置、原稿読取装置の制御方法、および原稿読取装置の制御プログラムに関し、より特定的には、自動原稿搬送機構を有し、かつ複数の原稿を1枚ずつ読み取る原稿読取装置、画像形成装置、原稿読取装置の制御方法、および原稿読取装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機などの画像形成装置や、スキャナ装置などには、ADF(Auto Document Feeder)などの自動原稿搬送機構を搭載したものがある。ADFを搭載したスキャナ装置(または原稿の自動搬送読取機構)によれば、始めに原稿をADF上にセットしておけば、複数の原稿を1枚ずつ流しながら自動的に原稿の画像をスキャナで読み取らせることができる。ADFを搭載したスキャナ装置においては、スキャナの上部において開閉可能とされた原稿押えカバーにADFが内蔵されている。
【0003】
ADFにセットされた原稿の画像をスキャナで読み取る場合には、原稿がスキャナの読取位置を通過する際に原稿押えカバーを閉じた状態とする(押える)ことにより、スキャナ側(フラットベッド側)にあるCCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)などの撮像素子に原稿を密着(近接)させる必要がある。従って、ADFによる原稿搬送中に誤ってユーザが原稿押えカバーを開けたときには、原稿が撮像素子から離れてしまい、正常に画像を読み取ることができない。
【0004】
ここで、原稿押えカバーの開閉状態を常に検知する原稿押えカバー開閉センサをスキャナが装備していれば、ADFによる原稿搬送中であっても原稿押えカバーが開いた状態にあることを検出することができる。そして、原稿押えカバーが開いた状態にあることを検出した場合には、そのタイミングで即座に原稿の搬送を停止し、エラー処理を実行することができる。
【0005】
しかしながら、コストを切り詰めた安価なスキャナでは、装置の簡易化およびコストダウンの目的で、原稿押えカバー開閉センサが装備されていないことがある。このようなスキャナでは、ADFによる原稿搬送中に原稿押えカバーの開閉状態を検出することができず、異常な読取画像を出力し得るという問題があった。
【0006】
そこで、上述のような問題を回避するために、スキャナ待機時にイメージセンサからの画像情報を取得して解析することで、原稿押えカバーなどの開閉状態を判断する技術が、たとえば下記特許文献1および2で提案されている。
【0007】
下記特許文献1には、送信フレームの原稿読取側の面(原稿押えカバー裏)に白色シール(白基準板)を設け、画像読取開始時のシェーディング補正実行時に白色シールからの反射光の信号レベル(白レベル)を取得し、その値を基準レベルと比較することにより送信フレームの開閉状態を判断する技術が開示されている。
【0008】
下記特許文献2には、原稿搬送部の蓋部の開閉状態を検出する技術が開示されている。具体的には、原稿からの反射光に基づいてイメージを検出するイメージセンサからのイメージ検出情報を二値化情報に変換し、この二値化情報を、画像読取時には画像読取情報として使用し、それ以外の時には原稿搬送部の蓋部の開閉状態を検出する情報として使用する技術が開示されている。
【0009】
さらに下記特許文献3には、適当な間隔を隔てて2本の黒線のマークを付した被検出板を、原稿カバー(原稿押えカバー)の裏に取り付け、原稿をCCDの読取位置に搬送する直前にこれらのマークをCCDで読み取ることによって原稿カバーの開閉状態を検知し、原稿カバーが開いた状態にあると検知された時に、搬送手段の駆動を停止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−307844号公報
【特許文献2】特開平9−200448号公報
【特許文献3】特開2003−344957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜3の技術では、画像読取実行前や画像読取実行後に原稿押えカバーなどの開閉状態を判断するので、画像読取実行中にユーザが原稿押えカバーなどを開けてしまった場合には開閉状態を検出することができず、スキャン画像に異常が生じ得るという問題があった。
【0011】
加えて特許文献3の技術では、原稿カバーの開閉を検出するための専用部材(被検出板)を設ける必要があり、装置の複雑化およびコストアップの要因となり得る。また、被検出板に付されたマークは他の部材と接触する位置にあるため、長年の使用(耐久的な使用)で劣化/損傷などが発生し、その結果開閉状態の検出精度が低下する可能性があった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、原稿を搬送する搬送手段の開閉状態を精度良く検出可能な原稿読取装置、画像形成装置、原稿読取装置の制御方法、および原稿読取装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一の局面に従う原稿読取装置は、読取位置で画像を読み取る読取手段と、読取手段を覆う閉じた状態と、読取手段を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合に読取位置へ原稿を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される原稿の端部であって、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部を検出する検出手段と、検出手段の検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻に読取手段が読み取った画像における、原稿の端部の状態に基づいて、搬送手段の開閉状態を判断する判断手段とを備える。
【0014】
上記原稿読取装置において好ましくは、判断手段は、検出手段の検出状態が原稿未検出から原稿検出へ変化した時刻から第1の時間が経過した時刻に読取手段が読み取った画像における、原稿の端部のうち搬送方向下流側の端部の状態に基づいて、搬送手段の開閉状態を判断する第1の判断手段と、検出手段の検出状態が原稿検出から原稿未検出へ変化した時刻から第2の時間が経過した時刻に読取手段が読み取った画像における、原稿の端部のうち搬送方向上流側の端部の状態に基づいて、搬送手段の開閉状態を判断する第2の判断手段とを含む。
【0015】
上記原稿読取装置において好ましくは、搬送手段が開いた状態にあると判断手段が判断した場合に、搬送手段は原稿の搬送を中止する。
【0016】
上記原稿読取装置において好ましくは、搬送手段が開いた状態にあると判断手段が判断した場合に、原稿の画像の読み取りに関するジョブを実行した操作者に対して警告を行う警告手段をさらに備える。
【0017】
上記原稿読取装置において好ましくは、判断手段は、読取手段が読み取った画像から原稿の端部が検出されなかった場合に搬送手段が開いた状態にあると判断する。
【0018】
上記原稿読取装置において好ましくは、所定時間は、検出手段の検出状態が変化した時刻から原稿が読取位置へ到達する時刻までの時間未満である。
【0019】
本発明の他の局面に従う画像形成装置は、上述のいずれかの原稿読取装置と、原稿読取装置が読み取った画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える。
【0020】
上記画像形成装置において好ましくは、搬送手段が開いた状態にあると判断手段が判断した場合であって、実行中のジョブがコピージョブである場合に、画像形成手段は読取手段が読み取った画像を用紙へ出力することを停止する。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従う原稿読取装置の制御方法は、読取位置で画像を読み取る読取手段と、読取手段を覆う閉じた状態と、読取手段を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合に読取位置へ原稿を搬送する搬送手段とを備えた原稿読取装置の制御方法であって、搬送手段によって搬送される原稿の端部であって、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部を検出する検出ステップと、検出ステップにおける検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻に読取手段が読み取った画像における、原稿の端部の状態に基づいて、搬送手段の開閉状態を判断する判断ステップとを備える。
【0022】
本発明のさらに他の局面に従う原稿読取装置の制御プログラムは、読取位置で画像を読み取る読取手段と、読取手段を覆う閉じた状態と、読取手段を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合に読取位置へ原稿を搬送する搬送手段とを備えた原稿読取装置の制御プログラムであって、搬送手段によって搬送される原稿の端部であって、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部を検出する検出ステップと、検出ステップにおける検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻に読取手段が読み取った画像における、原稿の端部の状態に基づいて、搬送手段の開閉状態を判断する判断ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の原稿読取装置、画像形成装置、原稿読取装置の制御方法、および原稿読取装置の制御プログラムによれば、原稿を搬送する搬送手段の開閉状態を精度良く検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態におけるデジタル複合機の外観図である。
【図2】本発明の一実施の形態のデジタル複合機における画像読取部の構成の概要を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態のデジタル複合機の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態のデジタル複合機において搬送される原稿の第1の状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態のデジタル複合機において搬送される原稿の第2の状態を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態のデジタル複合機において、原稿押えカバーが開いた状態を示す断面図である。
【図7】原稿の端部を読み取るタイミングを説明するための図である。
【図8】イメージセンサにおいて読み取られる画像を模式的に示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態における原稿の画像の読取処理のメインルーチンを示す図である。
【図10】図9における原稿押えカバーの開閉検出処理のサブルーチンの詳細を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について図面に基づいて説明する。本実施の形態においては、画像形成装置としてデジタル複合機(MFP)を例に挙げて説明する。
【0026】
[MFPの概要]
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態におけるデジタル複合機の外観図である。
【0028】
図1を参照して、デジタル複合機1は、コピー/スキャナ/プリンタ/ファックスなどの機能を有する複合機であり、ネットワークを介したデータの送受信が可能である。デジタル複合機1は、操作部11と、ディスプレイ部12と、スキャナ部13(読取手段の一例)と、プリンタ部14と、ADF部17と、給紙部18と、トレイ19と、原稿押えカバー20(搬送手段の一例)と、通信部22と、記憶部23とを備える。
【0029】
操作部11は、複数のキー11aを含み、当該キーの操作によって各種の指示や、文字・数字などのデータの入力をユーザから受付ける。ディスプレイ部12は、ユーザに対する指示メニューや、取得した画像に関する情報などの表示を行なう。
【0030】
スキャナ部13は、写真、文字、絵などの画像情報を原稿から光電的に読み取って画像データを取得する。取得された画像データ(濃度データ)は、図示しない画像処理部においてデジタルデータに変換され、周知の各種画像処理を施された後、プリンタ部14や通信部22に送られ、画像の印刷やデータの送信に供されるか、または、後の利用のために記憶部23に格納される。
【0031】
プリンタ部14は、スキャナ部13により取得された画像データ、通信部22により外部機器から受信した画像データ、または記憶部23に格納されている画像データに基づいて記録シート上に画像を形成(印刷)する。
【0032】
デジタル複合機1の本体上部には、原稿を自動的にスキャナ部13へ送るADF部17が設けられており、デジタル複合機1の本体下部には、プリンタ部14に記録シートを供給する給紙部18が設けられている。給紙部18はたとえば3段に分かれており、それぞれの給紙部18には互いに異なるサイズの記録シートが保管されている。デジタル複合機1の中央部には、プリンタ部14によって画像を印刷された記録シートが排出されるトレイ19が設けられている。
【0033】
原稿押えカバー20はADF部17を内蔵している。原稿押えカバー20は、スキャナ部13を覆う閉じた状態と、スキャナ部13を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、ヒンジなどの開閉機構を有している。ADF部17および原稿押えカバー20の詳細については後述する。
【0034】
デジタル複合機1の内部には、ネットワークを介して外部機器と画像データなどの送受信を行なう通信部22と、画像データなどを記憶する記憶部23とが設けられている。なお、図示は省略しているが、デジタル複合機1はネットワーク・インターフェイスを有し、通信部22は外部機器との間で各種データの送受信が可能なようにネットワーク・インターフェイスを介してネットワークに接続される。
【0035】
また通信部22は、公衆電話回線を介してファクシミリデータの送受信を行なう他、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介して、該ネットワークに接続される外部機器との間で電子メールなどを用いてデータの送受信を行なう。
【0036】
図2は、本発明の一実施の形態のデジタル複合機における画像読取部の構成の概要を示す断面図である。
【0037】
図2を参照して、画像読取部は、スキャナ部13(IR(Image Reader)部)と、スキャナ部13の上部に設けられた、ADF部17を内蔵した原稿押えカバー20とで構成される。画像読取部は、スキャナ部13の原稿面ガラス204上に載置された原稿(原稿面ガラス204とADF部17とで挟まれた原稿)の画像を読み取ることが可能である。この場合原稿押えカバー20が開いた状態(スキャナ部13から遠ざけた状態)にされ、露出した原稿面ガラス204上に原稿が載置される(原稿の画像を読み取る際には原稿押えカバー20は閉じた状態とされる)。また画像読取部は、ADF部17の原稿トレイ251から原稿読取位置(ADF原稿読取面)257へ送り出された原稿の画像を連続的に読み取ることも可能である。ADF部17で原稿を連続的に読み取る場合は、原稿押えカバー20が閉じた状態(スキャナ部13を覆った状態)にされ、原稿トレイ251上に原稿が載置される。
【0038】
スキャナ部13は、IRモジュール201と、駆動伝達部202と、IRモータ203と、原稿面ガラス204と、シェーディング板205と、ホームポジションセンサ208と、原稿読取面ガラス(ADF読取面ガラス)209とを含んでいる。
【0039】
IRモジュール201は、IRモータ203およびベルトやワイヤなどの駆動伝達部202により、原稿面ガラス204に沿って図2中横方向に移動(走査)可能である。またIRモジュール201は、原稿に光を照射するためのランプ206と、原稿からの反射光を受光するイメージセンサ207とを有している。ランプ206は原稿面ガラス204上に載置された原稿を走査し、イメージセンサ207は原稿からの反射光を受光する。これによりIRモジュール201は、原稿の画像を読み取ってその画像データを取得する。
【0040】
また、シェーディング板205は、基準白出力を得るためのものであり、IRモジュール201が読取可能な位置に配置されている。原稿の読み取りに際して、IRモジュール201はシェーディング板205の下の位置に移動してその画像データを取得する。その結果、シェーディング板205から得られた画像データに基づいて、イメージセンサ207の画素のばらつきが補正される。また、スキャナ部13における所定位置には、ホームポジションセンサ208が設置されている。ホームポジションセンサ208は、IRモジュール201の位置決めのための基準位置として使用される。
【0041】
ADF部17は、原稿押えカバー20が閉じた状態にある場合に、原稿トレイ251に載置された原稿290を搬送経路270に沿って原稿読取位置257へ搬送する部分であり、原稿トレイ251と、給紙ローラ253および搬送ローラ255と、レジストセンサ256(検出手段の一例)と、排出ローラ258および260と、ADFモータ261と、ピックアップローラ262と、原稿検出センサ263とを含んでいる。
【0042】
給紙ローラ253、搬送ローラ255、レジストセンサ256、排出ローラ258および260は、搬送経路270に沿って設けられている。給紙ローラ253は、搬送経路270に沿って搬送ローラ255へ原稿290を搬送し、搬送ローラ255は、搬送経路270に沿って原稿読取位置257へ原稿290を搬送する。排出ローラ258および260は、原稿読取位置257から機外のトレイへ原稿290を排出する。ADFモータ261は、各ローラを駆動する。
【0043】
ピックアップローラ262および原稿検出センサ263は原稿トレイ251付近に設けられている。ピックアップローラ262は、原稿トレイ251上の原稿290を1枚ずつ搬送経路内(ADF機内)に搬入する。原稿検出センサ263は、原稿トレイ251上に原稿290があるか否かの判断を行う。
【0044】
レジストセンサ256は、搬送ローラ255と原稿読取位置257との間であって、原稿読取位置257よりも搬送方向Dの上流側に設けられている。レジストセンサ256は、IRモジュール201の副走査方向(搬送方向Dに対して垂直な方向)の原稿290の端部(原稿端部エッジ)を検出する。
【0045】
図3は、本発明の一実施の形態におけるデジタル複合機の内部構成を示すブロック図である。
【0046】
図3を参照して、デジタル複合機1は、情報処理部301と、ファクシミリ部302と、通信制御部303と、給紙部304と、画像読取部305と、画像形成部306と、フィニッシャ部307とを備えている。
【0047】
情報処理部301は、データ入出力部308と、データ通信制御部309と、操作部11と、制御装置311と、不揮発メモリ312と、画像メモリ313と、表示部314とを有している。情報処理部301は、画像メモリ313に格納されたジョブの削除、出力などの制御を行う。また情報処理部301は、操作部11を通じてユーザからジョブの実行指示を受け付ける。また情報処理部301は、表示部314を通じて原稿押えカバーが開いた状態であることをユーザに警告する。表示部314は図1のディスプレイ部12に対応する。
【0048】
制御装置311は、データ書き込み部321、CPU322、およびRAM323などを有している。制御装置311は、不揮発メモリ312に格納されている各種処理プログラムに従って、プリント動作、コピー動作、スキャン動作、ファクシミリ送信動作、メール送信動作、FTP(File Transfer Protocol)送信動作など、デジタル複合機1全体を統括的に制御する。
【0049】
制御装置311にはデータ入出力部308が接続され、データ入出力部308はジョブを入出力する際に使用される。データ入出力部308には、TCP/IPベースのネットワークのLAN端子315と、USB端子316と、パラレルインタフェース端子317と、シリアルインタフェース端子318などのインタフェース端子が複数設けられる。データ入出力部308では、ネットワークのLAN端子315、USB端子316、パラレルインタフェース端子317、またはシリアルインタフェース端子318に外部機器が接続された場合、制御装置311によって外部機器からデータの読み出し、書き込み、削除ができるようになっている。
【0050】
不揮発メモリ312は、たとえばハードディスクなどの不揮発メモリであり、画像データなどを保存している。
【0051】
画像読取部305は、図2の構成に対応する。原稿を読み取る際には、制御装置311から画像読取部305に対して、駆動系に対する動作指示が行われる。制御装置311からこの指示を受けた画像読取部305は、対象となる原稿の画像を読み取り、取得した画像データを制御装置311内のデータ書き込み部321へ転送する。
【0052】
制御装置311は、画像読取部305において取得した画像データを用いて各種の処理を行う。制御装置311は、ユーザから受け付けたジョブの内容に応じて、画像読取部305において取得した画像データを、たとえばファクシミリ部302を用いて外部へ送信したり、図1のプリンタ部14に対応する画像形成部306を用いて用紙に画像形成(コピー)したり、不揮発メモリ312内に保存したりする。
【0053】
[原稿押えカバーの開閉状態の検出方法]
【0054】
続いて、本実施の形態における原稿押えカバーの開閉状態の検出方法について、図4および図5を用いて説明する。図4および図5は、原稿押えカバーが閉じた状態を示している。
【0055】
図4を参照して、コピー、ファクシミリ送信、またはスキャンなどのジョブの実行指示をデジタル複合機1がユーザから受け付けると、IRモジュール201が原稿読取位置257の直下に移動される。ここで、原稿読取位置257とホームポジションセンサ208との間の距離X(図2)は設計上決まっている。従って、IRモジュール201を図4中左方向にホームポジションセンサ208の位置まで一旦移動させ、その後IRモジュール201を図4中右方向に移動させ、ホームポジションセンサ208から距離Xだけ離れた位置で停止させることで、IRモジュール201が原稿読取位置257の直下に精度良く配置可能となる。
【0056】
次に、原稿検出センサ263によって、原稿トレイ251上に原稿290が載置されているか否かが判断される。ジョブのスキャン実行時に原稿検出センサ263によって原稿が載置されていると判断された場合にのみ、ADF部17による原稿搬送が実行される。原稿が載置されていると判断された場合、ADFモータ261が駆動される。ADFモータ261の駆動力は、図示しないギアなどの駆動伝達系によって各ローラへ伝達され、各ローラが駆動される。各ローラが駆動されると、原稿290と非接触状態であったピックアップローラ262が下降して原稿290の上面に接触することにより、原稿トレイ251上の複数の原稿290のうち最上部にある原稿290aがADF部17内(ADF機内)に搬送される。ピックアップローラ262の動作の切換は、図示しない電磁クラッチなどで行われる。ピックアップローラ262で搬送経路270に搬入された原稿290aは、給紙ローラ253および搬送ローラ255によって搬送経路270に沿って原稿読取位置257へ搬送される。
【0057】
一方、原稿検出センサ263によって、原稿トレイ251上に原稿290が載置されていないと判断された場合には、図示しないセンサなどによって原稿面ガラス204上に原稿が載置されているか否かが確認されてもよい。原稿面ガラス204上に原稿が載置されている場合には、IRモジュール201を原稿読取位置257の真下から図4中右方向に移動させることにより、原稿面ガラス204上に載置された原稿の画像が読み取られてもよい。
【0058】
搬送される原稿290aの先端部(IRモジュール201の副走査方向の2つの端部のうち、搬送方向D下流側の端部)P1がレジストセンサ256に到達すると、原稿290aと接触することによりレジストセンサ256は図4中A1で示す方向に移動し、レジストセンサ256の出力信号がオフ(原稿未検出)からオン(原稿検出)に変化する。これにより、原稿290aの先端部P1が検出される。
【0059】
続いて図5を参照して、レジストセンサ256の出力信号がオフからオンに変化した時刻から時間Tx経過後に、原稿読取位置257において、IRモジュール201のイメージセンサ207によって画像が読み取られる。時間Txは、原稿290aの先端部P1が原稿読取位置257を通過するタイミングに合わせて設定される。原稿押えカバー20が閉じた状態にある場合(通常の搬送の場合)には、原稿読取位置257において原稿290aはイメージセンサ207に近接しており、イメージセンサ207へはピントの合った原稿290a上の画像データや原稿290aの輪郭データが入力される。このように、原稿290aの先端部P1の画像を正常に読み取ることができた場合には、原稿押えカバー20が「閉」の状態(正常な状態)にあると判断され、原稿290aの画像の読取動作が継続される。
【0060】
次に、搬送される原稿290aの後端部(IRモジュール201の副走査方向の2つの端部のうち、搬送方向D上流側の端部)P2がレジストセンサ256に到達すると、原稿290aとの接触が無くなって、レジストセンサ256は図5中A2で示す方向に移動し、レジストセンサ256の出力信号がオンからオフに変化する。これにより、原稿290aの後端部P2が検出される。そして、出力信号がオンからオフに変化した時刻から時間Ty経過後に、原稿読取位置257において、IRモジュール201のイメージセンサ207によって画像が読み取られる。時間Tyは、原稿290aの後端部P2が原稿読取位置257を通過するタイミングに合わせて設定される。時間Tyは時間Txと同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。時間Tyおよび時間Txは制御装置311に予め記憶される。原稿290aの後端部P2の画像を正常に読み取ることができた場合には、原稿押えカバー20が「閉」の状態(正常な状態)であると判断され、原稿290aの画像の読取動作が継続される。
【0061】
原稿読取位置257を通過後、原稿290aは排出ローラ258または排出ローラ260で搬送され、ADF部17内(ADF機内)から排出される。
【0062】
図6は、本発明の一実施の形態のデジタル複合機において、原稿押えカバーが開いた状態を示す断面図である。
【0063】
図6を参照して、ADF部17において原稿290aが搬送されている最中に、図中矢印Bで示すように原稿押えカバー20が開かれた場合には、原稿290aの原稿面がイメージセンサ207から離れた状態となる。このため、イメージセンサ207へは全くピントが合っていない画像データ、あるいは殆ど外光のみの黒ベタに近い異常な画像データが入力される。このように、原稿の先端部P1または後端部P2の画像を正常に読み取ることができない場合には、原稿押えカバー20が「開」の状態(異常な状態)であると判断される。この場合には、原稿290aの画像の読取動作および原稿の搬送動作が直ちに中止され、表示部314(図3)を通じて原稿押えカバーが開いた状態であることが警告される。さらに、受け付けたジョブがコピーである場合には、用紙の無駄を防ぐため、プリント出力処理が中止される。また、受け付けたジョブがファクシミリ送信である場合には送信処理が中止されてもよく、スキャン処理である場合には画像データの保存が中止されてもよい。
【0064】
図7は、原稿の端部を読み取るタイミングを説明するための図である。
【0065】
図7を参照して、レジストセンサ256の出力信号がオフからオンに変化した時刻(タイミング)を時刻t1とする。レジストセンサ256の設置位置から原稿読取位置257までの搬送経路270に沿った距離は設定値として予め決められており、原稿の搬送速度も設計値として予め決められている。したがって、時刻t1から、原稿読取位置257に原稿290aの先端部P1が到達する時刻である時刻t2までの時間Taは、上記の2つの値に基づいて計算することができる。その結果、時刻t1から時間Ta経過後の時刻t2に、イメージセンサ207での画像取り込みを開始することにより、搬送されてくる原稿290aの先端部P1の画像データをイメージセンサ207で取得することができる(この場合、時間Tx=時間Taとなる)。この時間Ta(原稿先端タイミングデータ)は、制御装置311に予め記憶されてもよい。
【0066】
同様に、レジストセンサ256の出力信号がオンからオフに変化した時刻(タイミング)を時刻t3とする。時刻t3から、原稿読取位置257に原稿290aの後端部P2が到達する時刻である時刻t4までの時間Tbは、上記の2つの値に基づいて計算することができる。その結果、時刻t3から時間Tb経過後の時刻t4に、イメージセンサ207での画像取り込みを開始することにより、搬送されてくる原稿290aの後端部P2の画像データをイメージセンサ207で取得できる(この場合、時間Ty=時間Tbとなる)。この時間Tb(原稿後端タイミングデータ)は、制御装置311に予め記憶されてもよい。
【0067】
このように、原稿290aの端部が原稿読取位置257に到達するタイミングは、上述のようにレジストセンサ256の出力信号の変化および時間Taまたは時間Tbに基づいて判断可能である。したがって、読み取った原稿の画像の原稿領域内において大きな濃度差が発生している箇所が、端部として誤って検出される可能性は無い。
【0068】
時間Taと時間Tbとは、ADF部17の構成上互いに異なる場合があるため、個別に設定されることが好ましい。
【0069】
ここで、レジストセンサ256の出力信号がオフからオンに変化した時刻からイメージセンサ207での画像取り込みを開始する時刻までの時間Txは、レジストセンサ256の出力信号がオフからオンに変化した時刻から原稿読取位置257に原稿290aの先端部P1が到達するまでの時間Taよりも若干量αだけ短い(すなわちTx=Ta−α、Tx<Ta)ことが望ましい。同様に、レジストセンサ256の出力信号がオンからオフに変化した時刻からイメージセンサ207での画像取り込みを開始する時刻までの時間Tyは、レジストセンサ256の出力信号がオンからオフに変化した時刻から原稿読取位置257に原稿290aの後端部P2が到達するまでの時間Tbよりも若干量αだけ短い(すなわちTy=Tb−α、Ty<Tb)ことが望ましい。画像データに基づいて原稿290aの端部を検出する場合、副走査方向に沿った複数のラインの画像データを使用する必要があるためである。
【0070】
図8は、イメージセンサにおいて読み取られる画像を模式的に示す図である。(a)は、原稿押えカバーが閉じた状態にある場合の画像であり、(b)は、原稿押えカバーが開いた状態にある場合の画像である。
【0071】
図8を参照して、原稿押えカバーが閉じた状態にある場合(図8中(a))には、原稿領域R1(原稿290aが存在している部分)と、非原稿領域R2(原稿290aの背景)との境界線が明確である。このため、原稿290aの先端部P1(または後端部P2)の画像を正常に読み取る(取り込む)ことができる。一方、原稿押えカバーが開いた状態にある場合(図8中(b))には、反射光がイメージセンサ207で受光されない(あるいは反射光の光量が少ない)ため、全体的に暗い画像が得られ、原稿290aの先端部P1(または後端部P2)の画像を正常に読み取ることはできない。したがって、原稿290aの端部の画像を読み取る(取得する)ことができるか否かによって、原稿押えカバー20の開閉状態を検出することができる。
【0072】
なお、原稿の先端部P1および後端部P2の検出は、たとえば以下の方法で行うことができるが、以下の方法以外にも公知の方法を用いて行うことができる。始めに、取得された原稿の画像データにおいて、主走査方向におけるある画素位置における画素値が副走査方向に沿って調べられ、調べられた画素値に対して所定の閾値を超えるか否かの2値化処理が行われる。そして、2値化処理によって境界となった位置が、原稿領域R1/非原稿境界R2の副走査ライン位置(副走査方向に沿った位置)としてたとえば不揮発メモリ312(図3)などに記憶される。次に、記憶された原稿領域R1/非原稿境界R2の副走査ライン位置が、主走査方向沿って所定の長さ以上連続しているか否かが調べられ、所定の長さ以上連続している場合には、その副走査ライン位置が原稿端部と判断される。
【0073】
[原稿の画像の読取処理のフローチャート]
【0074】
続いて、制御装置311が実行する原稿の画像の読取処理のフローチャートについて説明する。
【0075】
図9は、本発明の一実施の形態における原稿の画像の読取処理のメインルーチンを示す図である。
【0076】
図9を参照して、始めに、原稿の画像の読み取りに関するジョブの実行指示をユーザから受け付けると、制御装置311は原稿290aの給紙を行なう(S101)。すなわち制御装置311は、ADFモータ261の駆動を開始し、ピックアップローラ262を下降させることにより原稿290aを搬送経路270(ADF機内)に搬送する。次に制御装置311は、後述する原稿押えカバー開閉検出処理を実行し、原稿押えカバー20の開閉状態を検出する(S102)。
【0077】
続いて制御装置311は、原稿押えカバー20が閉じた状態にあるか否かを判別する(S103)。原稿押えカバー20が閉じた状態にある場合(S103でYES)、制御装置311は、原稿押えカバー20が正常な状態にあると判断して、原稿290aの画像の読取処理を実行(継続)する(S104)。続いて制御装置311は、1ページ分の読み取りが終了したか否かを判別する(S105)。1ページ分の読み取りが終了していない場合(S105でNO)、制御装置311は、引き続き原稿290aの後端部の画像を検出すべく、原稿押えカバー開閉検出処理を再び実行する(S102)。ステップS105で1ページ分の読み取りが終了した場合(S105でYES)、制御装置311は、原稿トレイ251に次の原稿290が載置されていないか否かを判別する(S106)。原稿トレイ251に次の原稿290が載置されている場合(S106でNO)、制御装置311は次の原稿の給紙を行なうべく、ステップS101に進む。原稿トレイ251に次の原稿290が載置されていない場合(S106でYES)、制御装置311は画像の読取処理を終了する。
【0078】
ステップS103において、原稿押えカバー20が開いた状態にある場合(S103でNO)、原稿押えカバー20が異常な状態にあることを意味している。この場合制御装置311は、原稿の画像の読取処理および原稿290aの搬送動作を即座に中止(停止)させる(S107)。次に制御装置311は、ユーザから受け付けた今回のジョブがコピーであったか否かを判別する(S108)。今回のジョブがコピージョブであった場合(S108でYES)、制御装置311は、異常が発生した読取原稿の画像がプリントされることを防ぐために、プリント出力処理を中止(停止)する(S109)。そして制御装置311は、原稿読取中の異常停止であることをユーザに知らせるエラー/警告メッセージを表示部314に表示するために、警告処理を実行し(S110)、処理を終了する。今回のジョブがコピージョブでなかった場合(S108でNO)、制御装置311は、原稿読取中の異常停止であることをユーザに知らせるエラー/警告メッセージを表示部314に表示するために、警告処理を実行し(S110)処理を終了する。
【0079】
図10は、図9の原稿押えカバーの開閉検出処理のサブルーチンの詳細を示す図である。
【0080】
図10を参照して、原稿押えカバーの開閉検出処理(S102)において、制御装置311は、原稿トレイ251から給紙された原稿であって、未だ読み取りが終了していない原稿について、その原稿の先端部P1の画像データを未取得か否か(原稿先端に対するエッジ検出処理が未実行か否か)を判別する(S201)。原稿の先端部P1の画像データを未取得であると判別した場合(S201でYES)、これから検出しようとしている原稿290aの端部が先端部P1である状態を意味している。この場合制御装置311は、レジストセンサ256の出力信号が変化した時刻からイメージセンサ207での画像取り込みを開始する時刻までの時間(原稿の端部を読み取る所定タイミング)として、時間Txを設定し(S202)、ステップS204へ進む。一方、ステップS201において、原稿の先端部P1の画像データを取得済であると判別した場合(S201でNO)、これから検出しようとしている原稿290aの端部が後端部P2である状態を意味している。この場合制御装置311は、レジストセンサ256の出力信号が変化した時刻からイメージセンサ207での画像取り込みを開始する時刻までの時間(原稿の端部を読み取る所定タイミング)として、時間Tyを設定し(S203)、ステップS204へ進む。
【0081】
ステップS204において制御装置311は、レジストセンサ256の出力信号の変化に基づいて、原稿290aの端部(先端部P1または後端部P2)がレジストセンサ256の位置に到達したか否かを判別する(S204)。原稿の端部がレジストセンサ256の位置に到達したと判別した場合(S204でYES)、制御装置311は、所定タイミングに達したか否か(原稿290aの端部がレジストセンサ256の位置に到達した時刻から時間Txまたは時間Tyが経過したか否か)を判別する(S205)。所定タイミングに達した場合(S205でYES)、制御装置311は、イメージセンサ207を用いて、所定タイミングに達した時刻での画像データを取得する(S206)。そして制御装置311は、取得した画像データに基づいて原稿290aの端部を検出する(S207)。続いて制御装置311は、取得した画像データに基づいて原稿290aの端部が検出されたか否かを判別し(S208)、端部が検出されたと判別した場合には(S208でYES)、原稿押えカバー20が閉じた状態にあると判定し(S209)、メインルーチンへ戻る。ステップS208において端部が検出されなかったと判別した場合には(S208でNO)、制御装置311は、原稿押えカバー20が開いた状態にあると判定し(S210)、メインルーチンへ戻る。
【0082】
[実施の形態の効果]
【0083】
本実施の形態におけるデジタル複合機は、所定の読取位置で原稿の画像を読み取り、画像データを得るIRモジュールと、複数枚の原稿から1枚ずつ原稿を送り出して読取位置へ搬送するように構成された原稿押えカバーと、原稿押えカバー内を搬送される原稿の副走査方向端部を検出するレジストセンサと、レジストセンサの状態が変化したタイミングから所定時間後に取得される画像データについて原稿の端部を検出する制御装置とを備える。制御装置は、原稿の端部が検出されない場合、原稿押えカバーが開いていると判断する。
【0084】
本実施の形態におけるデジタル複合機によれば、ADF部を用いての原稿の画像の読取中に、原稿の副走査方向端部をレジストセンサで検出してから所定のタイミングで取得される画像データにおいて、原稿の端部が存在しているか否かが検出される。画像データにおいて端部が検出されなければ原稿押えカバーが開いた状態にあり、原稿の異常搬送の状態にあると判断され、異常な画像の出力が回避される。したがって、コストダウンなどの理由により、原稿押えカバー開閉検出センサが非搭載のスキャナであっても、原稿の画像の読取時に得られた画像データに基づいて、ADF部を用いた原稿の画像の読取中に原稿押えカバーの開閉状態を検出することができる。その結果、原稿カバーの開閉状態を精度良く検出可能である。
【0085】
本実施の形態においては、原稿の副走査方向端部として、原稿の先端部および後端部の両方を検出し、原稿の先端部および後端部のうち少なくともいずれか一方が検出されない場合に、原稿押えカバーが開いていると判断する。これにより、原稿の先端部および後端部の画像に基づいて、原稿押えカバーの開閉状態をより正確に判断することができる。
【0086】
本実施の形態においては、ADF部による原稿搬送中に原稿押えカバーが開いた状態にあることが検出された場合、ADF部による原稿の搬送を停止し、操作者に対す得る警告が実行される。
【0087】
本実施の形態においては、ADF部による原稿搬送中に原稿押えカバーが開いた状態にあることが検出され、かつ動作中の機能がコピー機能である場合、読み取った画像データの用紙への出力制御が停止される。これにより、用紙の無駄を防止することができる。
【0088】
[その他]
【0089】
本実施の形態においては、原稿の副走査方向端部として、原稿の画像における先端部および後端部の両方の状態に基づいて、原稿カバーの開閉状態が判断される場合について示したが、本発明においては、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部の状態に基づいて、原稿カバーの開閉状態が判断されればよく、原稿の画像における先端部および後端部のうち一方のみの状態に基づいて原稿カバーの開閉状態が判断されてもよい。
【0090】
本発明の画像形成装置は、デジタル複合機である場合の他、ファクシミリ装置、または複写機などであってもよい。また本発明の原稿読取装置は、画像形成装置に搭載される場合の他、スキャナ装置として単体で使用されるものであってもよい。
【0091】
本実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、本実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0092】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 デジタル複合機
11 操作部
11a キー
12 ディスプレイ部
13 スキャナ部
14 プリンタ部
17 ADF部
18 給紙部
19 トレイ
20 原稿押えカバー
22 通信部
23 記憶部
201 IRモジュール
202 駆動伝達部
203 IRモータ
204 原稿面ガラス
205 シェーディング板
206 ランプ
207 イメージセンサ
208 ホームポジションセンサ
209 原稿読取面ガラス
251 原稿トレイ
253 給紙ローラ
255 搬送ローラ
256 レジストセンサ
257 原稿読取位置
258,260 排出ローラ
261 ADFモータ
262 ピックアップローラ
263 原稿検出センサ
270 搬送経路
290,290a 原稿
301 情報処理部
302 ファクシミリ部
303 通信制御部
304 給紙部
305 画像読取部
306 画像形成部
307 フィニッシャ部
308 データ入出力部
309 データ通信制御部
311 制御装置
312 不揮発メモリ
313 画像メモリ
314 表示部
315 ネットワークLAN端子
316 USB端子
317 パラレルインタフェース端子
318 シリアルインタフェース端子
321 データ書き込み部
322 CPU
323 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取位置で画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段を覆う閉じた状態と、前記読取手段を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合に前記読取位置へ原稿を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される原稿の端部であって、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻に前記読取手段が読み取った画像における、前記原稿の端部の状態に基づいて、前記搬送手段の開閉状態を判断する判断手段とを備える、原稿読取装置。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記検出手段の検出状態が原稿未検出から原稿検出へ変化した時刻から第1の時間が経過した時刻に前記読取手段が読み取った画像における、前記原稿の端部のうち搬送方向下流側の端部の状態に基づいて、前記搬送手段の開閉状態を判断する第1の判断手段と、
前記検出手段の検出状態が原稿検出から原稿未検出へ変化した時刻から第2の時間が経過した時刻に前記読取手段が読み取った画像における、前記原稿の端部のうち搬送方向上流側の端部の状態に基づいて、前記搬送手段の開閉状態を判断する第2の判断手段とを含む、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記搬送手段が開いた状態にあると前記判断手段が判断した場合に、前記搬送手段は前記原稿の搬送を中止する、請求項1または2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記搬送手段が開いた状態にあると前記判断手段が判断した場合に、前記原稿の画像の読み取りに関するジョブを実行した操作者に対して警告を行う警告手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記読取手段が読み取った画像から前記原稿の端部が検出されなかった場合に前記搬送手段が開いた状態にあると判断する、請求項1〜4のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記所定時間は、前記検出手段の検出状態が変化した時刻から前記原稿が前記読取位置へ到達する時刻までの時間未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の原稿読取装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の原稿読取装置と、
前記原稿読取装置が読み取った画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送手段が開いた状態にあると前記判断手段が判断した場合であって、実行中のジョブがコピージョブである場合に、前記画像形成手段は前記読取手段が読み取った画像を用紙へ出力することを停止する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
読取位置で画像を読み取る読取手段と、前記読取手段を覆う閉じた状態と、前記読取手段を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合に前記読取位置へ原稿を搬送する搬送手段とを備えた原稿読取装置の制御方法であって、
前記搬送手段によって搬送される原稿の端部であって、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻に前記読取手段が読み取った画像における、前記原稿の端部の状態に基づいて、前記搬送手段の開閉状態を判断する判断ステップとを備える、原稿読取装置の制御方法。
【請求項10】
読取位置で画像を読み取る読取手段と、前記読取手段を覆う閉じた状態と、前記読取手段を露出する開いた状態との間で開閉状態を変化可能であり、かつ閉じた状態にある場合に前記読取位置へ原稿を搬送する搬送手段とを備えた原稿読取装置の制御プログラムであって、
前記搬送手段によって搬送される原稿の端部であって、搬送方向に対して垂直な方向に延在する原稿の端部を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける検出状態が変化した時刻から所定時間が経過した時刻に前記読取手段が読み取った画像における、前記原稿の端部の状態に基づいて、前記搬送手段の開閉状態を判断する判断ステップとをコンピュータに実行させる、原稿読取装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−23500(P2012−23500A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158975(P2010−158975)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】