説明

原稿送り装置の取付構造及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】その自立状態を確実に確保する原稿送り装置の取付構造及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の画像読取部(7)に対して開閉自在に装着される原稿送り装置(20)の取付構造であって、画像読取部を開閉可能な原稿送り装置と、画像形成装置本体(2)の一端にて原稿送り装置を回動自在に支持するヒンジユニット(48)と、ヒンジユニットを画像形成装置本体に固定するヒンジ固定部材(70)とを具備し、ヒンジ固定部材は、画像形成装置本体の上面に固定される部材本体(71)を備え、部材本体は、この部材本体の一端側にて略垂直方向に向けて突出し、ヒンジユニットの支点近傍を保持するピン(73)と、この部材本体の他端側にて、ヒンジユニットのうち支点(65)とは反対側の端面(68)を略垂直方向に狭持して保持する引掛け部(74)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を所定の画像読取位置に搬送する原稿送り装置の取付構造及びこれを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、原稿送り装置や画像読取部を搭載しており、原稿送り装置の原稿トレイにセットされた原稿は画像読取部の画像読取位置に向けて搬送され、その画像面が読み取られる。
一方、この原稿送り装置は、画像形成装置本体の一端にヒンジユニットを用いて回動自在に支持されており、画像読取部にセットされた原稿は、原稿送り装置の下面で画像読取位置に押さえつけられ、その画像面が読み取られる。
【0003】
そして、電子写真プロセスを用いる画像形成装置では、感光体ドラムを予め帯電し、このドラムの表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。次いで、現像されたトナー画像を用紙に転写及び定着する。
ここで、上述した原稿送り装置を画像形成装置本体に搭載する場合には、ヒンジユニットを原稿送り装置に取り付け、次いで、このユニットを下に配置した状態、つまり、原稿送り装置を起立させた状態で持ち上げ、当該ユニットと画像形成装置本体の上面とを仮止めした後、ビスで締結する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−105266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、原稿送り装置の搭載作業が依然として困難であるとの問題が生ずる。
具体的には、この原稿送り装置は約15kg程度の重量を有するものがあり、上記起立状態のまま自立させるが難しく、原稿送り装置の反り返り等を防止するには、他の作業者が原稿送り装置を保持しつつ、別の作業者がビスを締結する必要がある。一方、当該技術を採用すれば1人の作業者で足りるものの、この場合にも、ヒンジユニットと画像形成装置本体の上面とが1箇所で仮止めされているだけであり、当該作業者の片手で原稿送り装置を保持しつつ、他の片手でビスを締結しなければならないからである。
【0006】
また、この問題を解決するにあたり、原稿送り装置を保持する位置についても留意する必要がある。仮にヒンジユニットと画像形成装置本体の上面とを複数箇所で仮止めしても、これらが互いに近い位置に設けられていた場合には不安定な姿勢になり、やはり上述の自立状態の確保が難しくなるからである。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、その自立状態を確実に確保する原稿送り装置の取付構造及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、画像形成装置の画像読取部に対して開閉自在に装着される原稿送り装置の取付構造であって、画像読取部を開閉可能な原稿送り装置と、画像形成装置本体の一端にて原稿送り装置を回動自在に支持するヒンジユニットと、ヒンジユニットを画像形成装置本体に固定するヒンジ固定部材とを具備し、ヒンジ固定部材は、画像形成装置本体の上面に固定される部材本体を備え、部材本体は、この部材本体の一端側にて略垂直方向に向けて突出し、ヒンジユニットの支点近傍を保持するピンと、この部材本体の他端側にて、ヒンジユニットのうち支点とは反対側の端面を略垂直方向に狭持して保持する引掛け部とを有する。
【0008】
第1の発明によれば、原稿送り装置と、ヒンジユニットと、ヒンジ固定部材とをそれぞれ備えており、このヒンジ固定部材がヒンジユニットを画像形成装置本体に固定し、ヒンジユニットが原稿送り装置を回動自在に支持するので、原稿送り装置はヒンジユニットの支点を介して画像読取部を開閉できる。
【0009】
ここで、ヒンジ固定部材は、画像形成装置本体の上面に固定される部材本体を備えているが、この部材本体は、その一端側にて略垂直方向に向けて突出したピンを有し、このピンがヒンジユニットの支点近傍を保持している。
ただし、このピンのみでは重量のある筐体が後方に向けて倒れてしまうとの懸念がある。
【0010】
しかしながら、上述した部材本体は、引掛け部をさらに有しており、この引掛け部は、部材本体の他端側にて、ヒンジユニットの支点とは反対側の端面を略垂直方向に狭持し、ヒンジユニット、つまり、原稿送り装置を保持している。よって、上述した原稿送り装置の倒れが防止可能になる。
また、上記の如く、単に複数箇所でヒンジユニットを保持するのではなく、ヒンジユニットが部材本体の一端側と他端側との双方で保持されているので、原稿送り装置の姿勢が従来に比して安定するし、このヒンジユニットによる原稿送り装置の開放角度を略90°以上にも設定可能になり、上述した後方への原稿送り装置の倒れの他、前方への倒れも防止できる。したがって、原稿送り装置の自立状態を確実に確保でき、従来に比して原稿送り装置を画像形成装置本体に搭載する作業が容易になる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、ヒンジユニットは、ヒンジ固定部材に連結し、部材本体に対峙するとともにその一端側から他端側に向けて拡開する溝、及び引掛け部に狭持される先端面をそれぞれ有した接合部を備え、ピンは、その周縁が溝に嵌合する一方、引掛け部は、溝とピンとが嵌合した場合に、その下面が先端面に係合可能な段付き形状に構成されていることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、ヒンジ固定部材の部材本体のうち、ピンと引掛け部とは対向位置に配設されるが、このピンが接合部の溝に嵌合すると、引掛け部は段付き形状の下面で接合部の先端面に係合するので、原稿送り装置を画像形成装置本体に搭載する作業が容易になるとともに、原稿送り装置を確実に保持することができる。
【0012】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、原稿送り装置が画像形成装置本体への取付時に画像読取部を開いた場合には、ヒンジユニットの重心位置は、支点を挟んで引掛け部とは反対側に位置していることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、原稿送り装置の稼働時には、別途の規制手段により開放角度は例えば約60度程度に規制されるのに対し、この原稿送り装置の取付時には、その最大開放角度は例えば95度に設定され、ヒンジユニットの重心位置は、支点を挟んで引掛け部とは反対側に位置する。つまり、この自立状態で手を離すと、原稿送り装置には反り返る方向の回転モーメントが作用するが、引掛け部はヒンジユニットの先端面を略垂直方向に狭持しており、原稿送り装置の回転を阻止でき、その自立状態でより一層確実に保持可能になる。
【0013】
第4の発明は、第1から3のいずれかの原稿送り装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、原稿送り装置の自立状態を確実に確保できることにより、画像形成装置の組み立てに要する期間も短くて済み、画像形成装置の製造コストの低廉化も図られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヒンジ固定部材において互いに離間した突出部及び引掛け部でヒンジユニットを保持しており、その自立状態を確実に確保できる原稿送り装置の取付構造及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、画像形成装置の一例である複合機1の正面側からみた断面が示されている。
本実施例の複合機1は、胴内排紙型の画像形成装置本体2を有しており、排紙トレイ14が画像読取部7の下側に形成されている。
【0016】
装置本体2の上側、つまり、画像読取部7の上側には原稿送り装置20が搭載され、この装置20は、原稿を所定の画像読取位置に自動搬送可能に構成されている(ADF:Auto Document Feeder)。詳しくは、複合機1を複写機やファクシミリ、ネットワークスキャナとして利用するときには、この送り装置20から原稿を搬送し、その画像面は画像読取部7にて光学的に読み取られる。
【0017】
一方、装置本体2の下部にはフロントローディング式の用紙供給装置が配置されている。具体的には、本実施例の供給装置には、本体2の高さ方向に沿って上下2段の給紙カセット3が備えられている。そして、各カセット3はいずれも本体2に対して着脱可能に構成され、複合機1の正面側に向けて引き出されると、カセット3の内部が外部に対して開かれる一方、複合機1の背面側に向けて押し込まれると、その内部が閉じられる。
【0018】
また、同図にて実線で示された矢印は用紙の搬送経路及びその搬送方向を表している。
各カセット3には画像形成前の各種の用紙Pが積層状態で収容され、この用紙Pはカセット3から1枚ずつ分離され、左方向に向けて送出される。そして、搬送路4の用紙Pは装置本体2の左側面に沿って上方に向けて搬送される。
【0019】
また、本体2の右側面には開閉式の手差しトレイ5が備えられており、このトレイ5から送出された用紙も搬送路6に搬送され、その後、上方に向けて搬送される。
この本体2の内部には、用紙搬送方向で見て下流側にレジストローラ、画像形成部9及び転写部10が順番に配置されている。画像形成部9の右方には露光部8やトナーコンテナ11が備えられており、露光部8からは画像形成部9の感光体ドラムに向けてレーザ光Lが照射され、トナーコンテナ11からのトナーが現像される。
【0020】
用紙搬送方向で見て転写部10の下流側には、定着部12、及び排出分岐部13が順番に配置され、片面印刷の場合には、定着部12から排出された用紙は排出ローラ15を経て排紙トレイ14に排出される。
一方、排出分岐部13と搬送路4との間には両面印刷用ユニット16が配置されており、このユニット16では定着部12から排出された用紙を搬送路4に戻し、画像形成部9に向けて再び送出する。
【0021】
ここで、上述した原稿送り装置20は、同図の右方に配置した原稿を左方に向けて搬送し、再び右方に向けて排出可能な送り装置本体21を有している。
具体的には、図2に示されるように、送り装置本体21は、その中央部分から右斜め上方に向けて延びた原稿トレイ22を有しており、このトレイ22は、当該中央部分にて本体21に回動可能に構成されており、画像読取部7で読み取られる前の原稿はトレイ22上にセットされる。
【0022】
この装置本体21は、原稿トレイ22の左側に給紙カバー25を備えている(図2)。この給紙カバー25は、同図の左端にて本体21に回動自在に支持されており、搬送路29を外部に対して開閉することができる。つまり、同図に示された状態のカバー25はその内部の搬送路を閉じており、カバー25の内面は搬送路のガイドとして機能している。
【0023】
ここで、カバー25が原稿トレイ22側から離れ、図2で見て反時計回りに回動すると、上記搬送路が開かれ、この搬送路の周囲に配設されたピックアップローラ、分離ローラ等の各種のローラや、原稿トレイ22からの原稿を読み取る密着型センサ(CIS:Contact Image Sensor)を視ることができる。
【0024】
一方、本実施例の原稿送り装置20は、原稿押さえとしても機能する。詳しくは、送り装置本体21は、複合機1の背面側にてヒンジユニット48を介して画像形成装置本体2に回動自在に支持されており(図3)、この装置本体21の下面は画像読取部7のコンタクトガラスを開閉することができる。
そして、当該本体21の下面には押圧板43が設けられており、この押圧板43はコンタクトガラス、詳しくは幅広の手置き読取用ガラスに対峙し、このガラスに載置した原稿を押圧板43で押さえつけておき、所定ボタンを押下げると、画像読取部7は当該原稿の画像面を読み取ることができる。
【0025】
なお、この図3の参照符号38はCCDの読取ガイドであり、このガイド38は、画像読取部7のコンタクトガラス、具体的には、上記読取用ガラスとは別の細長い表側読取用ガラス(図1では手置き読取用ガラスの左側に位置する)に対峙して装置本体21に設置され、この表側読取用ガラスとガイド38との間を原稿が通過すると、原稿の上面、つまり、上述した密着型センサで読み取られる面とは反対側の面を画像読取部7内に配置されたCCDが読み取る。また、本実施例の本体前面26は、透明或いは半透明の透過部材28が嵌め込まれた窓部27を備えている(図2)。
ここで、本実施例のヒンジユニット48は、ヒンジ固定部材70を介して画像形成装置本体2に固定される(図4)。
【0026】
詳しくは、ヒンジユニット48は、可動部(回動部)と、固定部(接合部)で構成され、送り装置本体21がコンタクトガラスを閉じた位置にて複合機1の正面から見ると、略コ字状の回動部64を有しており、その開口部分は、画像形成装置本体2の上面61に対峙している。
また、この回動部64は、複合機1の正面側から背面側に向けて延びており、図4で見て左側に位置する長手方向の先端部分は、送り装置本体21がコンタクトガラスを開いた位置では上方に向けて配置され(図5)、この先端部分が送り装置本体21に図示しない4個のビスで連結される。なお、この回動部64の内部にはダンパ部材が備えられている。
【0027】
一方、本実施例においては、図4で見て右側に位置した回動部64の後端部分は、画像形成装置本体2の背面62よりも外方向に向けて突き出ており、この突き出た位置にて接合部66に連結される。具体的には、この接合部66も略コ字状に形成され、複合機1の正面側から背面側に向けて延びている。そして、その長手方向の後端部分が背面62から突き出ており、この突き出た位置に、複合機1の右側面から左側面に向けて延びた支点軸(支点)65が形成される。これにより、回動部64は背面62よりも外側で接合部66に回動自在に支持される。
【0028】
また、図4によるコンタクトガラスを閉じた位置では、接合部66の開口部分は回動部64の開口部分に対峙し、この接合部66の有底部分が上面61に対峙している。
ここで、当該接合部66の有底部分には溝67が形成されている。詳しくは、図5に示されるように、この溝67は、支点軸65の略下方位置から上面61側に向けて徐々に拡開しており、当該有底部分を貫通して形成されている。
【0029】
一方、この接合部66の有底部分において、支点軸65の位置とは反対側には先端面(端面)68が形成され、この先端面68はコンタクトガラスの近傍に配置されている。
そして、接合部66はヒンジ固定部材70に連結し、画像形成装置本体2の上面61に固定される。
【0030】
より詳しくは、本実施例のヒンジ固定部材70は、図4,5の他、図6にも示されるように、複合機1の正面側から見て略L字状の部材本体71を備え、この部材本体71は、上記接合部66と同様に略水平方向に向けて延び、その長手方向の後端部分(一端側)が背面62よりも外側に突出した突出部72を有しており、この突出部72には、支点軸65の近傍にて接合部66の有底部分を保持する嵌合ピン(ピン)73が設置されている。
【0031】
このピン73の径は、接合部66の溝67のうち拡開した部分よりも小さく形成されているのに対し、支点軸65の略下方位置の縮径した部分よりもやや大きく形成されている。
ところで、本実施例の部材本体71は、支点軸65の位置とは反対側に引掛け部74が形成されている。
【0032】
具体的には、原稿送り装置20の取付時を示した図5によるコンタクトガラスを開いた位置で見ると、ヒンジユニット48の重心位置は、回動部64よりも右手奥側に位置するが、この引掛け部74は、支点軸65を挟んで当該重心位置の反対側、換言すれば、部材本体71の長手方向の先端部分(他端側)の近傍に設けられている。また、本実施例の引掛け部74は段付き状に形成され、部材本体71の上面から上方に向けて立ち上がり、次いで、嵌合ピン73に向けて屈曲して延びている。
【0033】
なお、この部材本体71の下面にはピン77が立設されており(図4)、ヒンジ固定部材70を上面61に固定する際の位置決めとして機能する。
このように、ヒンジ固定部材70が上面61に位置決めされると、起立状態の送り装置本体21を上面61に向けて降ろし、ヒンジユニット48をヒンジ固定部材70に仮止めする。
【0034】
すなわち、溝67の上記拡開した部分の内側にピン73を配置し、次いで、ヒンジユニット48をコンタクトガラスに向けて水平移動させると、溝67の上記縮径した部分がピン73の周縁に嵌合し、同時に、先端面68が引掛け部74に係合する。換言すれば、この先端面68が引掛け部74の下面75と部材本体71の上面とで挟持される。
【0035】
これにより、ヒンジユニット48を有した送り装置本体21は、ヒンジ固定部材70を有した画像形成装置本体2の上面61に仮止めされ、続いて、接合部66、部材本体71及び上面61をビス76で締結すると、送り装置本体21、ヒンジユニット48、及びヒンジ固定部材70が画像形成装置本体2に固定されることになる。
【0036】
そして、上述の原稿送り装置20では、原稿は、原稿トレイ22にセットされ、所定ボタンの押下げにより、画像読取部7の画像読取位置に向けて搬送されて読み取られ、排出トレイ24に排出される。或いは、上記コンタクトガラスにセットされ、押圧板43で押しつけられた原稿は、所定ボタンの押下げにより同じく画像読取部7で読み取られる。
【0037】
一方、この原稿送り装置20を搭載した複合機1では、カセット4やトレイ5から用紙が1枚ずつ分離して送出され、この用紙は装置本体2内のレジストローラに到達する。このレジストローラは、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部9で形成されるトナー画像とのタイミングを計りながら、用紙を転写部10へと送出する。
【0038】
また、図示しないコントローラからの画像データに基づき、複合機1では露光部8によるレーザ光Lの照射が制御される。これにより、画像形成部9においてドラム上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてトナーコンテナ11のトナーを用い、この潜像からドラム上にトナー画像が形成され、用紙に転写される。
【0039】
その後、用紙は未定着トナー画像を担持した状態で定着部12に向けて送られ、トナー画像を定着する。次いで、定着部12から排出された用紙は排出分岐部13を通ってトレイ14に排出される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部12から排出された用紙はトレイ14に排出される直前にてユニット16側に引き戻され、この用紙は搬送路4に合流し、再び転写部10に向けて送られる。そして、この場合には、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー画像が転写される。
【0040】
以上のように、本実施例によれば、原稿は原稿トレイ22から搬送され、その画像面が画像読取部7で読み取られると、排出トレイ24に送出される。
そして、原稿送り装置20と、ヒンジユニット48と、ヒンジ固定部材70とをそれぞれ備えており、このヒンジ固定部材70がヒンジユニット48を画像形成装置本体2に固定し、ヒンジユニット48が原稿送り装置20を回動自在に支持するので、原稿送り装置20はヒンジユニット48の支点軸65を介して画像読取部7を開閉できる。
【0041】
ここで、ヒンジ固定部材70は、画像形成装置本体2の上面61にビス76で固定される板状の部材本体71を備えているが、この部材本体71は、その一端側にて略垂直方向に向けて突出したピン73を有し、このピン73がヒンジユニット48の支点軸65近傍を保持している。
ただし、このピン73のみでは約15kg程度の重量のある原稿送り装置20が背面側に向けて反り返ってしまうとの懸念がある。しかし、本実施例の部材本体71は、引掛け部74をさらに有しており、この引掛け部74は、その他端側にて、支点軸65とは反対側の先端面68を略垂直方向に狭持し、ヒンジユニット48、つまり、原稿送り装置20を保持している。よって、上述した原稿送り装置20の反り返りが防止可能になる。
【0042】
また、単に複数箇所でヒンジユニット48を保持するのではなく、ヒンジユニット48が部材本体71の一端側と他端側との双方で保持されているので、原稿送り装置20の姿勢が従来に比して安定するし、このヒンジユニット48による原稿送り装置20の開放角度を略90°以上にも設定可能になり、上述した後方への原稿送り装置20の反り返りの他、前方への倒れも防止できる。
【0043】
したがって、原稿送り装置20の自立状態を確実に確保できることから、従来の構成、つまり、この送り装置が自立せず、他の作業者に保持してもらう、或いは自身の片手で保持しておく必要のあった構成に比して、原稿送り装置20を装置本体2に搭載する作業、詳しくは、原稿送り装置20に連結されたヒンジユニット48、ヒンジ固定部材70、及び上面61をビス76で締結する作業が容易になる。
【0044】
さらに、ヒンジ固定部材70の部材本体71のうち、嵌合ピン73と引掛け部74とは対向位置に配設されるが、このピン73が接合部66の溝67に嵌合すると、引掛け部74は段付き形状の下面75で接合部66の先端面68に係合するので、原稿送り装置20を装置本体2に搭載する作業が容易になるとともに、原稿送り装置20を確実に保持することができる。
【0045】
さらにまた、原稿送り装置20の稼働時には、別途の規制手段により開放角度は例えば約60度に規制されるのに対し、この装置20の取付時には、その最大開放角度は例えば95度に設定され、ヒンジユニット48の重心位置は、支点軸65を挟んで引掛け部74とは反対側に位置する。つまり、この自立状態で手を離すと、原稿送り装置20には反り返る方向の回転モーメントが作用するが、引掛け部74は先端面68を略垂直方向に狭持しており、原稿送り装置20の回転を阻止でき、その自立状態でより一層確実に保持可能になる。
また、原稿送り装置20の自立状態を確実に確保できることにより、複合機1の組み立てに要する期間も短くて済み、複合機1の製造コストの低廉化も図られる。
【0046】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上述した回動部64や接合部66、及び部材本体71の各後端部分は背面62よりも突き出ていなくても良く、また、上記実施例では画像形成装置として複合機に具現化した例を示しているが、本発明は原稿送り装置を有する複写機、プリンタ等にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例の複合機を概略的に示した断面正面図である。
【図2】図1の原稿送り装置の斜視図である。
【図3】図2の装置の下面側を示す斜視図である。
【図4】図3のヒンジユニットの断面側面図である。
【図5】図2の装置が開いた状態におけるヒンジユニットの斜視図である。
【図6】図5のヒンジ固定部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 複合機(画像形成装置)
2 画像形成装置本体
7 画像読取部
20 自動原稿搬送装置(原稿送り装置)
22 原稿トレイ
24 排出トレイ
48 ヒンジユニット
61 上面
65 支点軸(支点)
66 接合部
67 溝
68 先端面(端面)
70 ヒンジ固定部材
71 部材本体
73 嵌合ピン(ピン)
74 引掛け部
75 下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の画像読取部に対して開閉自在に装着される原稿送り装置の取付構造であって、
前記画像読取部を開閉可能な原稿送り装置と、
画像形成装置本体の一端にて前記原稿送り装置を回動自在に支持するヒンジユニットと、
該ヒンジユニットを前記画像形成装置本体に固定するヒンジ固定部材とを具備し、
該ヒンジ固定部材は、前記画像形成装置本体の上面に固定される部材本体を備え、
該部材本体は、
該部材本体の一端側にて略垂直方向に向けて突出し、前記ヒンジユニットの支点近傍を保持するピンと、
該部材本体の他端側にて、前記ヒンジユニットのうち前記支点とは反対側の端面を略垂直方向に狭持して保持する引掛け部と
を有することを特徴とする原稿送り装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿送り装置の取付構造であって、
前記ヒンジユニットは、前記ヒンジ固定部材に連結し、前記部材本体に対峙するとともに該部材本体の一端側から該部材本体の他端側に向けて拡開する溝、及び前記引掛け部に狭持される先端面をそれぞれ有した接合部を備え、
前記ピンは、その周縁が前記溝に嵌合する一方、前記引掛け部は、前記溝と該ピンとが嵌合した場合に、その下面が前記先端面に係合可能な段付き形状に構成されていることを特徴とする原稿送り装置の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の原稿送り装置の取付構造であって、
該原稿送り装置が前記画像形成装置本体への取付時に前記画像読取部を開いた場合には、前記ヒンジユニットの重心位置は、前記支点を挟んで前記引掛け部とは反対側に位置していることを特徴とする原稿送り装置の取付構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の原稿送り装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−66339(P2010−66339A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230467(P2008−230467)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】