厨房機器
【課題】省エネ性の高い厨房機器を提供する。
【解決手段】調理用の鍋を載置する天板6と天板6の下方に設置される誘導コイルと7を有する誘導加熱調理機3と、天板6上に設けられ誘導加熱調理機3を操作する操作部11と、天板6内に設けられ操作部11へ電力を供給する太陽電池パネル12、14と、を有しており、誘導加熱調理機3の天板6内に太陽電池パネル12を設置し、操作部11に必要な電力を太陽エネルギーを変換して作り出し、厨房機器の制御用のエネルギーをまかなうことにより省エネ性の高い厨房機器を実現する。
【解決手段】調理用の鍋を載置する天板6と天板6の下方に設置される誘導コイルと7を有する誘導加熱調理機3と、天板6上に設けられ誘導加熱調理機3を操作する操作部11と、天板6内に設けられ操作部11へ電力を供給する太陽電池パネル12、14と、を有しており、誘導加熱調理機3の天板6内に太陽電池パネル12を設置し、操作部11に必要な電力を太陽エネルギーを変換して作り出し、厨房機器の制御用のエネルギーをまかなうことにより省エネ性の高い厨房機器を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭における太陽電池搭載を搭載した誘導加熱調理機や食器洗い乾燥機を備えた厨房機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化、化石燃料の枯渇などの環境問題の深刻化に伴い、自然エネルギー利用の機運が高まり、太陽光発電など実用段階にまできている。
【0003】
しかしながら、まだその多くは結晶化シリコン太陽電池による屋外太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであった(例えば、非特許文献1)。
【0004】
一方、屋内の照明のエネルギーを利用すれば、厨房機器においても大いに省エネになるはずであるが、十分にはなされていなかった。
【0005】
例えば、従来の誘導加熱調理機101や食器洗い乾燥機食器102を供えた厨房機器103は図8、図9に示すような個々の機器にそれぞれ操作部が設置された構成をしている。以下その構成について説明する。
【0006】
まず、図8において誘導加熱調理機101はシステムキッチンのトッププレート104に埋め込まれた鍋を載置する耐熱ガラス製の天板105と、天板105の裏部に誘導コイル106と誘導コイル106を励磁するための制御装置(図示せず)、制御装置冷却用のファン(図示せず)を有するものであり、天板後方の吸気口106から冷却ファンで吸い込んだ空気を排気口107から排気するものである。
【0007】
一方、食器洗い乾燥機食器102は図9に示すように、前方に開口する前方開口部108を有しまた、箱状に形成された本体109と上方に開口する上方開口部110を有すると共に、前方開口部108から本体109内に出し入れ自在の洗浄槽111と、洗浄槽111の前方に設けられた排気口112と操作パネル113と操作パネル113の下方に設けられ本体109の前方を覆う蓋体114と蓋体114の洗浄槽111への固定部(図示せず)を覆う前板115を設けたもので、蓋体114に化粧パネル(図示せず)を取り付ける場合、化粧パネルの上部端面を前板115で覆うことができるので、その分、操作パネル113を小さくすることができ、食器洗い乾燥機102とシステムキッチン全体との統一感を向上させるというものであり、省エネルギーという点での配慮はなかった。
【0008】
ここで、太陽光発電の基幹部品である太陽電池セルの構造を示す。
【0009】
結晶化シリコン太陽電池セルは図10に示すように、n型シリコン層120とp型シリコン層121と、p型シリコン層121側に電極122と、n型シリコン層120側に反射防止膜123および光透過性電極124を作成した構成をしている。この構成で、太陽光125が当たることにより、n型シリコン層120内部の電子126が光透過性電極124側に、p型シリコン層121内部の正孔127が電極122側に引き寄せられ、電極122と光透過性電極124間に接続されている負荷128内を矢印129が示す方向に電流が流れる。
【0010】
アモルフォスシリコン太陽電池セルは図11に示すように、ガラス基板130の上に酸化物透明電極131を形成し、その上にp型シリコン層132、i型シリコン層133、n型シリコン層134、電極135を形成したものである。この構成で、太陽光125が
当たることにより、p型シリコン層132内部の正孔127が酸化物透明電極131側に、n型シリコン層134内部の電子126が電極135側に引き寄せられ、酸化物透明電極131と電極135間に接続されている負荷128内を矢印129が示す方向に電流が流れる。
【0011】
色素増感太陽電池セルは図12に示すように、導電性ガラス基板140上に形成した色素141で増感した酸化チタンの多孔質電極142と、表面に白金143を蒸着した他方の電極144間に、ヨウ素を含む電解液145を挟み込んだ構造をしている。この構成で、太陽光125を受けると、色素141の助けで酸化チタンの多孔質電極142は電子126を導電性ガラス基板140へ放出(酸化還元反応)し、放出された電子126は負荷128を通って電極143へ移動、さらに白金143表面で電解液とヨウ素イオンと電子126の授受を行って電池を構成する。電流は電子126の移動方向とは反対に、負荷128内を矢印129で示す方向に流れる。
【0012】
実際の太陽電池はセルを直列接続して所定の電圧が出力されるようにした太陽電池パネルの形状で供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−178446号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】玉浦 裕 他 太陽エネルギー有効利用最前線 2008年6月24日発行 有限会社 ブッカーズ PP15−22、PP80−84、PP209−214、PP238−246、PP307−316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
厨房機器に太陽電池が搭載されてこなかった理由は、従来の結晶化シリコン太陽電池は赤外線領域に感度が高く、太陽光下の十分な赤外線領域でエネルギーを有する場所では十分機能するものの、赤外線領域でのエネルギーが少ない屋内照明機器下では十分な電力が得られないところにあった。本発明は、前記従来の課題を解決するもので、近年開発の進捗が著しいアモルフォスシリコン太陽電池や色素増感太陽電池のような赤外線領域だけでなくもっと波長の短い、波長200ナノメータから400ナノメータ程度の可視光領域においても十分な感度を有する太陽電池(例えば非特許文献1)を、屋内の厨房機器に組み込み、機器の電源としての省電力化を図ろうとするものである。
【0016】
その太陽電池の設置場所としては、一般的なキッチンに設けられる照明と対峙し、設置に必要な面積をも確保している誘導加熱調理機の天板を選定し、照明光から得た電力を厨房機器の電力源として使えるようにする。特に誘導加熱調理器を使用する場合、ユーザーは照明をつける若しくは窓を開けることにより周囲を明るくすることが一般的であるので、このときの光を利用し、誘導加熱調理器の操作部に必要な電力を太陽電池で発電させることができる。このように、太陽電池電源から操作部に電力供給を行うことによって、電源用配線を省いて合理化を図るとともに、機器の省エネ化を測ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記従来の課題を解決するために、本発明の厨房機器は、調理用の鍋を載置する天板と天板の下方に設置される誘導コイルとを有する誘導加熱調理機と、天板上に設けられ誘導加熱調理機を操作する操作部と、天板内に設けられ操作部へ電力を供給する太陽電池と、を有しているものである。この操作部の電源を太陽電池電源でまかなう構成によって、省
エネルギー化を図ると共に、太陽電池パネル電源から電力供給を受けることによって、電源配線の省線化、機器の簡素化を図る。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明の厨房機器は、太陽電池パネルを照明器具と対峙して設置されている誘導加熱調理機の天板内に設置することによって、照明機器からの光エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換して操作部の電源として利用することができ、機器の省エネや効率向上が図られ、快適な台所環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1における厨房機器の模式図
【図2】本発明の実施の形態1における天板の模式図
【図3】本発明の実施の形態1における他の天板の模式図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における太陽の分光特性の模式図、(b)本発明の実施の形態1における蛍光灯の分光特性の模式図
【図5】(a)本発明の実施の形態1におけるアモルフォスシリコン太陽電池の効率の波長依存性の模式図、(b)本発明の実施の形態1における色素増感太陽電池の効率の波長依存性の模式図、(c)本発明の実施の形態1における結晶化シリコン太陽電池の効率の波長依存性の模式図
【図6】本発明の第2の実施の形態における厨房機器の平面図ならびに正面図
【図7】本発明の第2の実施の形態における厨房機器の赤外線伝送部の模式図
【図8】従来の厨房機器の模式図
【図9】従来の食器洗い乾燥機の模式図
【図10】従来の結晶化シリコン太陽電池セルの模式図
【図11】従来のアモルフォスシリコン太陽電池セルの模式図
【図12】従来の色素増感太陽電池セルの模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の発明は、調理用の鍋を載置する天板と天板の下方に設置される誘導コイルとを有する誘導加熱調理機と、天板上に設けられ誘導加熱調理機を操作する操作部と、天板内に設けられ操作部へ電力を供給する太陽電池と、を有しているものである。これにより、操作部の電源を太陽電池電源でまかなうことによって、省エネルギー化を図ると共に、太陽電池電源から電力供給を受けることによって、電源配線の省線化、合理化を図ることができる。
【0021】
第2の発明は、第1の発明において、被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機を備え、前記操作部は、前記誘導加熱調理器と前記食器洗い乾燥機との操作部を兼用しても良い。これにより、両者の操作部の電源を太陽電池電源でまかなうことによって、省エネルギー化を図ると共に、太陽電池電源から電力供給を受けることによって、電源配線の省線化、合理化を図る。さらに両者の動作の連携を図ることで、使い勝手を向上させ、デザインが統一されているだけでなく、システム化された真の厨房機器の姿を具現化するものである。
【0022】
第3の発明は、第1から2の発明において、太陽電池パネルは、誘導加熱調理機の天板上で吸気口に近接した周縁部の排気口より遠い位置に設置されるものである。これにより、誘導加熱調理機の温度の低い場所に太陽電池パネルを設置することによって、パネルの信頼性の向上を図るものである。
【0023】
第4の発明は、特に第1から3の発明において、太陽電池はアモルフォスシリコン太陽電池パネルまたは色素増感太陽電池パネルでされるものである。これにより、可視光領域
にも高感度を持つ方式の太陽電池を選択したことによって、屋内照明光からも効率よく電力を取り出すことができる。
【0024】
第5の発明は、特に第2から4の発明において、食器洗い乾燥機への指示は無線伝送で行うものである。これにより、伝送用の配線を省くことができる。
【0025】
第6の発明は、特に第5の発明において、食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行う食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行うものである、これにより、安価にシステムを構成すると共に、光伝送によって耐ノイズの向上を図ることができ、信頼性の高いシステムを実現するものである。
【0026】
第7の発明は、特に第1から6の発明において、太陽電池は電池容量の増設用コネクタを有するものである。これにより、システムキッチンのトッププレートを利用して変換電力量を向上させることができることから他のシステムキッチン組み込み機器の制御も可能にするものである。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における厨房機器1の模式図である。
【0029】
図1において、システムキッチンのトッププレート2には誘導加熱調理機3がはめ込まれている。トッププレートの後方には、誘導加熱調理機3の吸気口4と排気口5が設置されている。また、吸気口4と排気口5とをつなぐ連結経路41が設けられており、吸気口4から入った空気は連結経路41を介し排気口5から排気される。耐熱性ガラス製の天板6の下方には3個の誘導コイル7と誘導コイル7の動作を制御する制御装置8が設置されている。さらに、制御装置8の冷却手段であり、送風手段でもあるターボファン9も設置され、ターボファン9が動作すると、吸気口4から誘導コイル7に向けて外気が送られ、排気口5から排気される。また誘導加熱調理機3の下方には食器洗い乾燥機10が設置されている。また、天板6表面には、誘導加熱調理機3の操作部11が設置されている。また天板6の吸気口4近傍位置に太陽電池パネル12(太陽電池)が設置されており、天井から吊るされている台所照明器具13に対峙している。この太陽電池パネル12は、天板6の一部に埋め込まれ、防水構造となっており、上部を可視光を透過するガラス膜で覆うことよって、可視光が太陽電池パネル12に届くようにしている。またトッププレート2には他の太陽電池パネル14が設置され、コネクタ15によってトッププレート2の下で天板6内に設置された太陽電池パネル12と電気的に結合することで、大きな受光面を形成できるようにしている。また、太陽電池パネル12、14は太陽光に対しても感度を有しているので、窓16から差し込む朝日や夕日からの光17に対しても光電力変換を行っている。この太陽電池パネル12、14で光から変換された電力は、操作部11のボタン群18の入力、表示を制御するために天板6裏部に設置されている操作部制御基板19の電力をまかなっている。操作部制御基板19には電気2重層キャパシタなどの大容量の2次電池(図示せず)が設けられ蓄電を行い、照明器具13消灯時など太陽熱パネル12、14から電力が供給されない時の電力を蓄えた電力でまかなっている。
【0030】
上記構成によって、室内の照明器具13の光から太陽電池パネル12、14によって制御用には十分な電力を得ることができる。特に、誘導加熱調理器を使用する場合は、台所照明器具や窓から差し込む太陽によって明るくすることが一般的であるために、このときの光を利用して太陽電池で発電を行うことができるので、太陽電池で定期的に発電を行うことができる。
【0031】
また、太陽電池パネル12は誘導加熱調理機3の吸気口4の近傍、ターボファン9による風の流路でもある連結経路41に接するか若しくは所定の隙間を介して設置されている。これにより、ターボファン9に吸い込まれる風が、太陽電池パネル12を通過し、誘導加熱調理機3動作時も太陽電池パネル12近傍は温度の低い環境を実現しており、太陽電池パネル12の寿命の維持に効果がある。また、天板6は通常四角形に形成され、誘導コイル7は円盤形に形成されるので、吸気口付近は調理部としては通常使われてはいなかった。その天板6の未使用の周縁部に太陽電池パネル12を設置することは、天板6の有効活用にもつながる。
【0032】
図2は本発明の第1の実施の形態における天板6の模式図で、(a)は概観を、(b)はA1−A2での断面を示す。
【0033】
図2に示すように、天板6の裏面をえぐり、くぼみ部に太陽電池パネル12を取り付けている。また、天板6の一部を太陽電池パネル12の形に切り欠き、切り欠き部に太陽電池パネル12をはめ込んでも同様な取り付けが可能である。誘導加熱調理機3の天板6は通常、下部の誘導コイル7や制御装置8を見えないようにするために、不透明な可視光が透過しないような(あるいは不透明処理をした)材質の耐熱ガラスが使用されるのが一般的であるが、太陽電池パネル12の感光面の保護用のカバーガラス12Bは可視光が透過する材質のガラスで覆うようにしている。このように可視光が透過するカバーガラス12Bでおおうことによって光−電気エネルギーの変換効率の向上を図り、また太陽電池パネル12の汚れや衝撃による性能劣化、破損からの保護を行っている。
【0034】
また、カバーガラス12Bで覆ってしまうことによって、天板6上の水分や汚れによる太陽電池パネル12の汚染も防止することができる。
【0035】
また、図3は、本発明の第1の実施の形態における他の天板の模式図である。
【0036】
図3では太陽電池パネル12を三角形状に構成して、天板6のコーナー部に設置してある。このように設置することにより、天板6上において調理に使用できる範囲を最大化することができ有効活用を図ると共に誘導コイル7より最も遠い位置にあることから、誘導加熱調理機3動作時も太陽電池パネル12近傍は温度の低い環境を実現しており、太陽電池パネル12の長寿命化の効果がある。またカバーガラス12Bがコーナー部に三角形状に作成されることにより、天板6との接続面が一ヶ所になり、天板6の作成も容易になる。
【0037】
図4は本発明の実施の形態1における光源の分光特性の模式図であり、(a)は太陽の分光特性、(b)は蛍光灯の分光特性を示している。
【0038】
また図5は本発明の実施の形態1における太陽電池の効率の波長依存性の模式図であり、(a)はアモルフォスシリコン太陽電池、(b)は色素増感太陽電池、(c)は結晶化シリコン太陽電池を示している。
【0039】
図4、図5においてほぼ380ナノメータから780ナノメータが可視光領域である。図5(c)に結晶化シリコン太陽電池の分光特性を示しているが、その効率は、赤外領域に高く、可視光領域では効率が悪い。しかし太陽光は赤外領域でもエネルギーが大きいので、結晶化シリコン太陽電池はその単価の安さと作りやすさの観点から、現在の屋外設置型の太陽電池の主流となっている。一方、図2に示すように蛍光灯照明の分光特性の中心は、可視光領域にあり、結晶化シリコン太陽電池では電力変換効率が悪い。これが屋内で太陽電池が使われない理由になっていた。しかし、図5の(a)に示す非結晶質のシリコ
ン材料で作られたアモルフォスシリコン太陽電池や、(c)に示す、それ自身では太陽光の紫外領域でしか利用できない酸化チタンを色素で増感して可視光領域にも感度を持つようにした色素増感太陽電池によって蛍光灯のような可視光領域に分光特性の中心を持つ室内照明光での太陽電池利用が可能となった。そしてアモルフォスシリコンセルや色素増感太陽電池セルで作った太陽電池パネル12、14を照明器具13の下に設置することで、厨房機器1の電力源として太陽電池を使うことで、省電力化が図れる。
【0040】
(実施の形態2)
図6は本発明の第2の実施の形態における厨房機器1の平面図ならびに正面図である。
【0041】
食器洗い乾燥機10には、上方に開口する洗浄槽20が収納され、洗浄槽20は、食器洗い乾燥機10の両内側面と洗浄槽20間に取り付けられたレール機構(図示せず)によって、前後に移動可能で、前方開口部から引き出すことができるように構成されている。洗浄槽20の内部には被洗浄物21(食器)を収納する食器かご22が設けてある。また洗浄槽20内には、洗浄水を加熱する加熱手段(たとえばシーズヒータなど)23を設けるとともに、洗浄手段24(洗浄ポンプ)が洗浄水を加圧して、洗浄ノズル25より洗浄水を噴射し、食器かご22に収納した被洗浄物21(食器)を洗浄するように構成されている。
【0042】
そして洗浄工程が終了すると、汚れた水を排水し、給水を行い、清浄水ですすぐ、すすぎ工程が実行される。このすすぎ工程を何度か繰り返し、すすぎ後の水が十分清浄になったことが確認されたら、乾燥工程に移行する。
【0043】
乾燥工程では、食器洗い乾燥機10の送風手段(図示せず)によって外気が洗浄槽20の内部に送り込まれ、洗浄槽20の側面に設置された食器洗い乾燥機の排気口26から、連結通路27を通って誘導加熱調理機3の排気口5から外部に排気される。
【0044】
この乾燥工程においては、誘導加熱調理機3が使用中、使用中でないに関わらず誘導加熱調理機3の冷却手段であるターボファン9を動作させ、連結通路27を通る食器洗い乾燥機の排気口26からの蒸気を含んだ空気を吸い上げ、強力に外部に排気する助けをさせている。
【0045】
また厨房機器1の操作部11は誘導加熱調理機3の天板6の上に形成されている。どのキイを押したかは、キイの静電容量の変化から読み取られ、その情報は無線送信部30へ送られ、送信アンテナ31から食器洗い乾燥機10の扉32内部に設置されている受信アンテナ33を有する制御部34に送信され、食器洗い乾燥機10の機能が制御される。この操作部11の電力を太陽電池パネル12の電力がまかなっている。
【0046】
図7は赤外線伝送方式の模式図である。
【0047】
厨房機器1の操作部11は、誘導加熱調理機3と食器洗い乾燥機10との操作部が兼用されており、どのキイを押したかは、キイの静電容量の変化から読み取られ、その情報は赤外線情報送信部35へ送られ、赤外線LED36から赤外線受光部37を有する制御部38に送信され、食器洗い乾燥機10の機能が制御される。
【0048】
入力指示を無線伝送することによって、配線などの制約のないシステムの構成が可能となり、また赤外線伝送によって、誘導加熱調理機3の誘導コイル7からの電磁ノイズなどにも影響されない信頼性の高い伝送が実現できる。
【0049】
以上のように、厨房機器1の操作部11を制御する電力を室内照明光で動作する太陽電
池パネル12の電力でまかなうことによって省線化、省エネ化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
このように、本構成によると、太陽電池パネルにより屋内照明光のエネルギーを有効活用できるので厨房機器の電力供給源として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 厨房機器
2 トッププレート
3 誘導加熱調理機
4 吸気口
5 排気口
6 天板
7 誘導コイル
9 ターボファン(冷却手段)
10 食器洗い乾燥機
11 操作部
12、14 太陽電池パネル(太陽電池)
12B カバーガラス
13 照明器具
20 洗浄槽
23 加熱手段
24 洗浄手段
30 無線送信部
34、38 制御部
35 赤外線情報送信部
36 赤外線LED
37 赤外線受光部
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭における太陽電池搭載を搭載した誘導加熱調理機や食器洗い乾燥機を備えた厨房機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化、化石燃料の枯渇などの環境問題の深刻化に伴い、自然エネルギー利用の機運が高まり、太陽光発電など実用段階にまできている。
【0003】
しかしながら、まだその多くは結晶化シリコン太陽電池による屋外太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであった(例えば、非特許文献1)。
【0004】
一方、屋内の照明のエネルギーを利用すれば、厨房機器においても大いに省エネになるはずであるが、十分にはなされていなかった。
【0005】
例えば、従来の誘導加熱調理機101や食器洗い乾燥機食器102を供えた厨房機器103は図8、図9に示すような個々の機器にそれぞれ操作部が設置された構成をしている。以下その構成について説明する。
【0006】
まず、図8において誘導加熱調理機101はシステムキッチンのトッププレート104に埋め込まれた鍋を載置する耐熱ガラス製の天板105と、天板105の裏部に誘導コイル106と誘導コイル106を励磁するための制御装置(図示せず)、制御装置冷却用のファン(図示せず)を有するものであり、天板後方の吸気口106から冷却ファンで吸い込んだ空気を排気口107から排気するものである。
【0007】
一方、食器洗い乾燥機食器102は図9に示すように、前方に開口する前方開口部108を有しまた、箱状に形成された本体109と上方に開口する上方開口部110を有すると共に、前方開口部108から本体109内に出し入れ自在の洗浄槽111と、洗浄槽111の前方に設けられた排気口112と操作パネル113と操作パネル113の下方に設けられ本体109の前方を覆う蓋体114と蓋体114の洗浄槽111への固定部(図示せず)を覆う前板115を設けたもので、蓋体114に化粧パネル(図示せず)を取り付ける場合、化粧パネルの上部端面を前板115で覆うことができるので、その分、操作パネル113を小さくすることができ、食器洗い乾燥機102とシステムキッチン全体との統一感を向上させるというものであり、省エネルギーという点での配慮はなかった。
【0008】
ここで、太陽光発電の基幹部品である太陽電池セルの構造を示す。
【0009】
結晶化シリコン太陽電池セルは図10に示すように、n型シリコン層120とp型シリコン層121と、p型シリコン層121側に電極122と、n型シリコン層120側に反射防止膜123および光透過性電極124を作成した構成をしている。この構成で、太陽光125が当たることにより、n型シリコン層120内部の電子126が光透過性電極124側に、p型シリコン層121内部の正孔127が電極122側に引き寄せられ、電極122と光透過性電極124間に接続されている負荷128内を矢印129が示す方向に電流が流れる。
【0010】
アモルフォスシリコン太陽電池セルは図11に示すように、ガラス基板130の上に酸化物透明電極131を形成し、その上にp型シリコン層132、i型シリコン層133、n型シリコン層134、電極135を形成したものである。この構成で、太陽光125が
当たることにより、p型シリコン層132内部の正孔127が酸化物透明電極131側に、n型シリコン層134内部の電子126が電極135側に引き寄せられ、酸化物透明電極131と電極135間に接続されている負荷128内を矢印129が示す方向に電流が流れる。
【0011】
色素増感太陽電池セルは図12に示すように、導電性ガラス基板140上に形成した色素141で増感した酸化チタンの多孔質電極142と、表面に白金143を蒸着した他方の電極144間に、ヨウ素を含む電解液145を挟み込んだ構造をしている。この構成で、太陽光125を受けると、色素141の助けで酸化チタンの多孔質電極142は電子126を導電性ガラス基板140へ放出(酸化還元反応)し、放出された電子126は負荷128を通って電極143へ移動、さらに白金143表面で電解液とヨウ素イオンと電子126の授受を行って電池を構成する。電流は電子126の移動方向とは反対に、負荷128内を矢印129で示す方向に流れる。
【0012】
実際の太陽電池はセルを直列接続して所定の電圧が出力されるようにした太陽電池パネルの形状で供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−178446号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】玉浦 裕 他 太陽エネルギー有効利用最前線 2008年6月24日発行 有限会社 ブッカーズ PP15−22、PP80−84、PP209−214、PP238−246、PP307−316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
厨房機器に太陽電池が搭載されてこなかった理由は、従来の結晶化シリコン太陽電池は赤外線領域に感度が高く、太陽光下の十分な赤外線領域でエネルギーを有する場所では十分機能するものの、赤外線領域でのエネルギーが少ない屋内照明機器下では十分な電力が得られないところにあった。本発明は、前記従来の課題を解決するもので、近年開発の進捗が著しいアモルフォスシリコン太陽電池や色素増感太陽電池のような赤外線領域だけでなくもっと波長の短い、波長200ナノメータから400ナノメータ程度の可視光領域においても十分な感度を有する太陽電池(例えば非特許文献1)を、屋内の厨房機器に組み込み、機器の電源としての省電力化を図ろうとするものである。
【0016】
その太陽電池の設置場所としては、一般的なキッチンに設けられる照明と対峙し、設置に必要な面積をも確保している誘導加熱調理機の天板を選定し、照明光から得た電力を厨房機器の電力源として使えるようにする。特に誘導加熱調理器を使用する場合、ユーザーは照明をつける若しくは窓を開けることにより周囲を明るくすることが一般的であるので、このときの光を利用し、誘導加熱調理器の操作部に必要な電力を太陽電池で発電させることができる。このように、太陽電池電源から操作部に電力供給を行うことによって、電源用配線を省いて合理化を図るとともに、機器の省エネ化を測ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記従来の課題を解決するために、本発明の厨房機器は、調理用の鍋を載置する天板と天板の下方に設置される誘導コイルとを有する誘導加熱調理機と、天板上に設けられ誘導加熱調理機を操作する操作部と、天板内に設けられ操作部へ電力を供給する太陽電池と、を有しているものである。この操作部の電源を太陽電池電源でまかなう構成によって、省
エネルギー化を図ると共に、太陽電池パネル電源から電力供給を受けることによって、電源配線の省線化、機器の簡素化を図る。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明の厨房機器は、太陽電池パネルを照明器具と対峙して設置されている誘導加熱調理機の天板内に設置することによって、照明機器からの光エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換して操作部の電源として利用することができ、機器の省エネや効率向上が図られ、快適な台所環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1における厨房機器の模式図
【図2】本発明の実施の形態1における天板の模式図
【図3】本発明の実施の形態1における他の天板の模式図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における太陽の分光特性の模式図、(b)本発明の実施の形態1における蛍光灯の分光特性の模式図
【図5】(a)本発明の実施の形態1におけるアモルフォスシリコン太陽電池の効率の波長依存性の模式図、(b)本発明の実施の形態1における色素増感太陽電池の効率の波長依存性の模式図、(c)本発明の実施の形態1における結晶化シリコン太陽電池の効率の波長依存性の模式図
【図6】本発明の第2の実施の形態における厨房機器の平面図ならびに正面図
【図7】本発明の第2の実施の形態における厨房機器の赤外線伝送部の模式図
【図8】従来の厨房機器の模式図
【図9】従来の食器洗い乾燥機の模式図
【図10】従来の結晶化シリコン太陽電池セルの模式図
【図11】従来のアモルフォスシリコン太陽電池セルの模式図
【図12】従来の色素増感太陽電池セルの模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の発明は、調理用の鍋を載置する天板と天板の下方に設置される誘導コイルとを有する誘導加熱調理機と、天板上に設けられ誘導加熱調理機を操作する操作部と、天板内に設けられ操作部へ電力を供給する太陽電池と、を有しているものである。これにより、操作部の電源を太陽電池電源でまかなうことによって、省エネルギー化を図ると共に、太陽電池電源から電力供給を受けることによって、電源配線の省線化、合理化を図ることができる。
【0021】
第2の発明は、第1の発明において、被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機を備え、前記操作部は、前記誘導加熱調理器と前記食器洗い乾燥機との操作部を兼用しても良い。これにより、両者の操作部の電源を太陽電池電源でまかなうことによって、省エネルギー化を図ると共に、太陽電池電源から電力供給を受けることによって、電源配線の省線化、合理化を図る。さらに両者の動作の連携を図ることで、使い勝手を向上させ、デザインが統一されているだけでなく、システム化された真の厨房機器の姿を具現化するものである。
【0022】
第3の発明は、第1から2の発明において、太陽電池パネルは、誘導加熱調理機の天板上で吸気口に近接した周縁部の排気口より遠い位置に設置されるものである。これにより、誘導加熱調理機の温度の低い場所に太陽電池パネルを設置することによって、パネルの信頼性の向上を図るものである。
【0023】
第4の発明は、特に第1から3の発明において、太陽電池はアモルフォスシリコン太陽電池パネルまたは色素増感太陽電池パネルでされるものである。これにより、可視光領域
にも高感度を持つ方式の太陽電池を選択したことによって、屋内照明光からも効率よく電力を取り出すことができる。
【0024】
第5の発明は、特に第2から4の発明において、食器洗い乾燥機への指示は無線伝送で行うものである。これにより、伝送用の配線を省くことができる。
【0025】
第6の発明は、特に第5の発明において、食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行う食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行うものである、これにより、安価にシステムを構成すると共に、光伝送によって耐ノイズの向上を図ることができ、信頼性の高いシステムを実現するものである。
【0026】
第7の発明は、特に第1から6の発明において、太陽電池は電池容量の増設用コネクタを有するものである。これにより、システムキッチンのトッププレートを利用して変換電力量を向上させることができることから他のシステムキッチン組み込み機器の制御も可能にするものである。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における厨房機器1の模式図である。
【0029】
図1において、システムキッチンのトッププレート2には誘導加熱調理機3がはめ込まれている。トッププレートの後方には、誘導加熱調理機3の吸気口4と排気口5が設置されている。また、吸気口4と排気口5とをつなぐ連結経路41が設けられており、吸気口4から入った空気は連結経路41を介し排気口5から排気される。耐熱性ガラス製の天板6の下方には3個の誘導コイル7と誘導コイル7の動作を制御する制御装置8が設置されている。さらに、制御装置8の冷却手段であり、送風手段でもあるターボファン9も設置され、ターボファン9が動作すると、吸気口4から誘導コイル7に向けて外気が送られ、排気口5から排気される。また誘導加熱調理機3の下方には食器洗い乾燥機10が設置されている。また、天板6表面には、誘導加熱調理機3の操作部11が設置されている。また天板6の吸気口4近傍位置に太陽電池パネル12(太陽電池)が設置されており、天井から吊るされている台所照明器具13に対峙している。この太陽電池パネル12は、天板6の一部に埋め込まれ、防水構造となっており、上部を可視光を透過するガラス膜で覆うことよって、可視光が太陽電池パネル12に届くようにしている。またトッププレート2には他の太陽電池パネル14が設置され、コネクタ15によってトッププレート2の下で天板6内に設置された太陽電池パネル12と電気的に結合することで、大きな受光面を形成できるようにしている。また、太陽電池パネル12、14は太陽光に対しても感度を有しているので、窓16から差し込む朝日や夕日からの光17に対しても光電力変換を行っている。この太陽電池パネル12、14で光から変換された電力は、操作部11のボタン群18の入力、表示を制御するために天板6裏部に設置されている操作部制御基板19の電力をまかなっている。操作部制御基板19には電気2重層キャパシタなどの大容量の2次電池(図示せず)が設けられ蓄電を行い、照明器具13消灯時など太陽熱パネル12、14から電力が供給されない時の電力を蓄えた電力でまかなっている。
【0030】
上記構成によって、室内の照明器具13の光から太陽電池パネル12、14によって制御用には十分な電力を得ることができる。特に、誘導加熱調理器を使用する場合は、台所照明器具や窓から差し込む太陽によって明るくすることが一般的であるために、このときの光を利用して太陽電池で発電を行うことができるので、太陽電池で定期的に発電を行うことができる。
【0031】
また、太陽電池パネル12は誘導加熱調理機3の吸気口4の近傍、ターボファン9による風の流路でもある連結経路41に接するか若しくは所定の隙間を介して設置されている。これにより、ターボファン9に吸い込まれる風が、太陽電池パネル12を通過し、誘導加熱調理機3動作時も太陽電池パネル12近傍は温度の低い環境を実現しており、太陽電池パネル12の寿命の維持に効果がある。また、天板6は通常四角形に形成され、誘導コイル7は円盤形に形成されるので、吸気口付近は調理部としては通常使われてはいなかった。その天板6の未使用の周縁部に太陽電池パネル12を設置することは、天板6の有効活用にもつながる。
【0032】
図2は本発明の第1の実施の形態における天板6の模式図で、(a)は概観を、(b)はA1−A2での断面を示す。
【0033】
図2に示すように、天板6の裏面をえぐり、くぼみ部に太陽電池パネル12を取り付けている。また、天板6の一部を太陽電池パネル12の形に切り欠き、切り欠き部に太陽電池パネル12をはめ込んでも同様な取り付けが可能である。誘導加熱調理機3の天板6は通常、下部の誘導コイル7や制御装置8を見えないようにするために、不透明な可視光が透過しないような(あるいは不透明処理をした)材質の耐熱ガラスが使用されるのが一般的であるが、太陽電池パネル12の感光面の保護用のカバーガラス12Bは可視光が透過する材質のガラスで覆うようにしている。このように可視光が透過するカバーガラス12Bでおおうことによって光−電気エネルギーの変換効率の向上を図り、また太陽電池パネル12の汚れや衝撃による性能劣化、破損からの保護を行っている。
【0034】
また、カバーガラス12Bで覆ってしまうことによって、天板6上の水分や汚れによる太陽電池パネル12の汚染も防止することができる。
【0035】
また、図3は、本発明の第1の実施の形態における他の天板の模式図である。
【0036】
図3では太陽電池パネル12を三角形状に構成して、天板6のコーナー部に設置してある。このように設置することにより、天板6上において調理に使用できる範囲を最大化することができ有効活用を図ると共に誘導コイル7より最も遠い位置にあることから、誘導加熱調理機3動作時も太陽電池パネル12近傍は温度の低い環境を実現しており、太陽電池パネル12の長寿命化の効果がある。またカバーガラス12Bがコーナー部に三角形状に作成されることにより、天板6との接続面が一ヶ所になり、天板6の作成も容易になる。
【0037】
図4は本発明の実施の形態1における光源の分光特性の模式図であり、(a)は太陽の分光特性、(b)は蛍光灯の分光特性を示している。
【0038】
また図5は本発明の実施の形態1における太陽電池の効率の波長依存性の模式図であり、(a)はアモルフォスシリコン太陽電池、(b)は色素増感太陽電池、(c)は結晶化シリコン太陽電池を示している。
【0039】
図4、図5においてほぼ380ナノメータから780ナノメータが可視光領域である。図5(c)に結晶化シリコン太陽電池の分光特性を示しているが、その効率は、赤外領域に高く、可視光領域では効率が悪い。しかし太陽光は赤外領域でもエネルギーが大きいので、結晶化シリコン太陽電池はその単価の安さと作りやすさの観点から、現在の屋外設置型の太陽電池の主流となっている。一方、図2に示すように蛍光灯照明の分光特性の中心は、可視光領域にあり、結晶化シリコン太陽電池では電力変換効率が悪い。これが屋内で太陽電池が使われない理由になっていた。しかし、図5の(a)に示す非結晶質のシリコ
ン材料で作られたアモルフォスシリコン太陽電池や、(c)に示す、それ自身では太陽光の紫外領域でしか利用できない酸化チタンを色素で増感して可視光領域にも感度を持つようにした色素増感太陽電池によって蛍光灯のような可視光領域に分光特性の中心を持つ室内照明光での太陽電池利用が可能となった。そしてアモルフォスシリコンセルや色素増感太陽電池セルで作った太陽電池パネル12、14を照明器具13の下に設置することで、厨房機器1の電力源として太陽電池を使うことで、省電力化が図れる。
【0040】
(実施の形態2)
図6は本発明の第2の実施の形態における厨房機器1の平面図ならびに正面図である。
【0041】
食器洗い乾燥機10には、上方に開口する洗浄槽20が収納され、洗浄槽20は、食器洗い乾燥機10の両内側面と洗浄槽20間に取り付けられたレール機構(図示せず)によって、前後に移動可能で、前方開口部から引き出すことができるように構成されている。洗浄槽20の内部には被洗浄物21(食器)を収納する食器かご22が設けてある。また洗浄槽20内には、洗浄水を加熱する加熱手段(たとえばシーズヒータなど)23を設けるとともに、洗浄手段24(洗浄ポンプ)が洗浄水を加圧して、洗浄ノズル25より洗浄水を噴射し、食器かご22に収納した被洗浄物21(食器)を洗浄するように構成されている。
【0042】
そして洗浄工程が終了すると、汚れた水を排水し、給水を行い、清浄水ですすぐ、すすぎ工程が実行される。このすすぎ工程を何度か繰り返し、すすぎ後の水が十分清浄になったことが確認されたら、乾燥工程に移行する。
【0043】
乾燥工程では、食器洗い乾燥機10の送風手段(図示せず)によって外気が洗浄槽20の内部に送り込まれ、洗浄槽20の側面に設置された食器洗い乾燥機の排気口26から、連結通路27を通って誘導加熱調理機3の排気口5から外部に排気される。
【0044】
この乾燥工程においては、誘導加熱調理機3が使用中、使用中でないに関わらず誘導加熱調理機3の冷却手段であるターボファン9を動作させ、連結通路27を通る食器洗い乾燥機の排気口26からの蒸気を含んだ空気を吸い上げ、強力に外部に排気する助けをさせている。
【0045】
また厨房機器1の操作部11は誘導加熱調理機3の天板6の上に形成されている。どのキイを押したかは、キイの静電容量の変化から読み取られ、その情報は無線送信部30へ送られ、送信アンテナ31から食器洗い乾燥機10の扉32内部に設置されている受信アンテナ33を有する制御部34に送信され、食器洗い乾燥機10の機能が制御される。この操作部11の電力を太陽電池パネル12の電力がまかなっている。
【0046】
図7は赤外線伝送方式の模式図である。
【0047】
厨房機器1の操作部11は、誘導加熱調理機3と食器洗い乾燥機10との操作部が兼用されており、どのキイを押したかは、キイの静電容量の変化から読み取られ、その情報は赤外線情報送信部35へ送られ、赤外線LED36から赤外線受光部37を有する制御部38に送信され、食器洗い乾燥機10の機能が制御される。
【0048】
入力指示を無線伝送することによって、配線などの制約のないシステムの構成が可能となり、また赤外線伝送によって、誘導加熱調理機3の誘導コイル7からの電磁ノイズなどにも影響されない信頼性の高い伝送が実現できる。
【0049】
以上のように、厨房機器1の操作部11を制御する電力を室内照明光で動作する太陽電
池パネル12の電力でまかなうことによって省線化、省エネ化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
このように、本構成によると、太陽電池パネルにより屋内照明光のエネルギーを有効活用できるので厨房機器の電力供給源として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 厨房機器
2 トッププレート
3 誘導加熱調理機
4 吸気口
5 排気口
6 天板
7 誘導コイル
9 ターボファン(冷却手段)
10 食器洗い乾燥機
11 操作部
12、14 太陽電池パネル(太陽電池)
12B カバーガラス
13 照明器具
20 洗浄槽
23 加熱手段
24 洗浄手段
30 無線送信部
34、38 制御部
35 赤外線情報送信部
36 赤外線LED
37 赤外線受光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用の鍋を載置する天板と前記天板の下方に設置される誘導コイルとを有する誘導加熱調理機と、前記天板上に設けられ前記誘導加熱調理機を操作する操作部と、前記天板内に設けられ前記操作部へ電力を供給する太陽電池と、を有している厨房機器。
【請求項2】
被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機を備え、前記操作部は、前記誘導加熱調理器と前記食器洗い乾燥機との操作部を兼用している請求項1記載の厨房機器。
【請求項3】
前記太陽電池は、前記誘導加熱調理機の天板内で誘導コイル設置部より外側で、吸気口に近接した天板周縁部に設置される請求項1又は2記載の厨房機器。
【請求項4】
前記太陽電池はアモルフォスシリコン太陽電池パネルまたは色素増感太陽電池パネルで構成される請求項1から3のいずれか1項に記載の厨房機器。
【請求項5】
前記食器洗い乾燥機への指示は無線伝送で行う請求項2から4のいずれか1項に記載の厨房機器。
【請求項6】
前記食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行われる請求項5記載の厨房機器。
【請求項7】
前記太陽電池は電池容量の増設用コネクタを有する請求項1から6のいずれか1項に記載の厨房機器。
【請求項1】
調理用の鍋を載置する天板と前記天板の下方に設置される誘導コイルとを有する誘導加熱調理機と、前記天板上に設けられ前記誘導加熱調理機を操作する操作部と、前記天板内に設けられ前記操作部へ電力を供給する太陽電池と、を有している厨房機器。
【請求項2】
被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機を備え、前記操作部は、前記誘導加熱調理器と前記食器洗い乾燥機との操作部を兼用している請求項1記載の厨房機器。
【請求項3】
前記太陽電池は、前記誘導加熱調理機の天板内で誘導コイル設置部より外側で、吸気口に近接した天板周縁部に設置される請求項1又は2記載の厨房機器。
【請求項4】
前記太陽電池はアモルフォスシリコン太陽電池パネルまたは色素増感太陽電池パネルで構成される請求項1から3のいずれか1項に記載の厨房機器。
【請求項5】
前記食器洗い乾燥機への指示は無線伝送で行う請求項2から4のいずれか1項に記載の厨房機器。
【請求項6】
前記食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行われる請求項5記載の厨房機器。
【請求項7】
前記太陽電池は電池容量の増設用コネクタを有する請求項1から6のいずれか1項に記載の厨房機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−171205(P2011−171205A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35587(P2010−35587)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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