説明

反射板用二軸延伸積層フィルム

【課題】十分な反射性能を備え、安定して製膜することができ、巻き癖が付き難い、液晶表示装置の反射板基材として好適に用いることのできる、反射板用二軸延伸積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステル84〜70重量%および該ポリエステルと非相溶な樹脂16〜30重量%からなる反射層と、この層と接するポリエステルからなる支持層とから構成され、反射層は微細なボイドを有し積層フィルム全体厚みの60〜95%の厚みを占めることを特徴とする、反射板用二軸延伸積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射板用二軸延伸積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、テレビ、パソコン携帯電話などのディスプレイに幅広く用いられているが、液晶自体は自発光しないため、裏側にバックライトと呼ばれる発光装置を設置しなければならない。バックライトには単に光を照射する機能の他に、画面全体を均一に明るくすることも求められ、エッジ型または直下型と呼ばれる構造をとることが一般的である。エッジ型、直下型どちらの場合でも、最下部には反射板が設けられており、これにより光のロスを少なくし、画面全体をより明るくする機能を付与している。この反射板には光の高い反射性および高い拡散性が要求される。
【0003】
無機粒子等ポリエステルと非相溶の物質を含有させ、延伸によってポリエステルとの界面でボイドを形成したポリエステルフィルムは、反射率が高く反射板用フィルムとして適している。しかし、ボイドを多く含むフィルムは、単層であると強度が不足する傾向にあり、破断しやすく生産性に劣る。
【特許文献1】特開2006−124491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボイドを多く含むフィルムでありながら十分な強度を得るためには、反射層を支持するための支持層を設けた積層フィルムとすればよい。積層フィルムは延伸後、ロール状に巻き取り、保管および輸送されるが、反射板用フィルムが反射層と支持層の2層から構成される場合、ロール状の巻き癖が残る。巻き癖が残っていると、積層フィルムを裁断し、所定の形状に折り曲げる等の加工工程でのハンドリング性が劣り、反射板を組み込んだバックライトユニットの生産性が劣ることになる。
【0005】
本発明は、十分な反射性能を備え、安定して製膜することができ、巻き癖が付き難い、液晶表示装置の反射板として好適に用いることのできる、反射板用二軸延伸積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、ポリエステル84〜70重量%および該ポリエステルと非相溶な樹脂16〜30重量%からなる反射層と、この層と接するポリエステルからなる支持層とから構成され、反射層は微細なボイドを有し積層フィルム全体厚みの60〜95%の厚みを占めることを特徴とする、反射板用二軸延伸積層フィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、十分な反射性能を備え、安定して製膜することができ、巻き癖が付き難い、液晶表示装置の反射板として好適に用いることのできる、反射板用二軸延伸積層フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の反射板用二軸延伸積層フィルムは、反射層として機能するポリエステル84〜70重量%および該ポリエステルと非相溶な樹脂16〜30重量%からなる反射層と、この反射層を支持するポリエステルからなる支持層とからなる。
【0009】
反射層は、「ポリエステルと非相溶な樹脂」を16〜30重量%含有する。非相溶な樹脂の含有量が16重量%未満であると巻き癖がつきやすく、30重量%を超えると安定製膜が困難である。反射層における、「ポリエステルと非相溶な樹脂」の含有量は、好ましくは21〜30重量%であり、この範囲であるとさらに巻き癖が付き難く好ましい。
【0010】
[反射層]
反射層はポリエステルと、該ポリエステルと非相溶な樹脂から構成される。反射層は、積層フィルム全体厚みの60〜95%の厚みを占める。反射層が積層フィルム全体厚みの60%未満であると反射率が不足し高い輝度が得られず、95%を超えると製膜が不安定となり生産性が劣る。
【0011】
[ポリエステル]
ポリエステルとしては、熱可塑性の芳香族ポリエステルを用いる。このポリエステルとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを用いることができる。
【0012】
機械的特性からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは共重合ポリエチレンテレフタレートであり、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸といったジカルボン酸成分を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0013】
共重合成分のジカルボン酸の共重合割合は、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは3〜18モル%、特に好ましくは5〜15モル%である。共重合割合がこの範囲にないと、フィルムの製膜中にフィルムが破れ易く製膜性に劣ったり、熱安定性に欠けたフィルムになる場合があり好ましくない。
【0014】
[非相溶な樹脂]
ポリエステルと非相溶な樹脂としては、例えばポリオレフィン、ポリスチレンを用いることができる。具体的には、例えばポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを用いることができ、特に好ましくはポリプロピレン、ポリメチルペンテンを用いる。なかでも、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンは樹脂自体が高い透明度を持つため、光の吸収が抑えられ、その結果、高い反射率を得ることができ、最適に用いられる。
【0015】
反射層において、ポリエステルと非相溶な樹脂は、積層フィルムを延伸する際に、ポリエステルとの界面で剥離することになる。その結果、反射層には微細なボイドが多数形成される。
【0016】
ポリオレフィンとしてポリプロピレンを用いる場合、良好な分散性と混練性を得る観点から、メルトフローレート1〜30g/10分(JIS K7210:99での測定)のものが好ましい。
【0017】
ポリオレフィンとしてポリメチルペンテンを用いる場合、良好な分散性と混練性を得る観点から、メルトフローレート10〜250g/10分(ASTM D1238での測定)のものが好ましい。
【0018】
[分散剤]
上記のポリエステルおよび該ポリエステルと非相溶な樹脂の組成物には、非相溶樹脂の分散性を改善するために、ポリアルキレングリコールを添加することが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、例えばポリエチレングリコールを用いることができる。非相溶樹脂の良好な分散性を得るために、ポリアルキレングリコールの配合量は、ポリエステルおよび該ポリエステルと非相溶な樹脂の組成物100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0019】
[支持層]
支持層のポリエステルとしては、熱可塑性の芳香族ポリエステルを用いることができる。このポリエステルとしては、反射層で挙げたものと同じポリエステルおよび共重合ポリエステルを用いることができる。また、良好な製膜性を得る観点から、支持層で用いるポリエステルまたは共重合ポリエステルは、反射層で用いるポリエステルまたは共重合ポリエステルと同じものであることが好ましい。
【0020】
[添加剤]
本発明の積層フィルムの表面を滑らせ、ハンドリング性を良好にするために滑剤を配合してもよい。滑剤としては、有機物、無機物いずれを用いてもよく、無機物の滑剤としては、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、アルミナの粒子を挙げることができる。これらの粒子は、板状、球状いずれの形状をとる粒子であってもよい。分散性と滑り性の観点から、これらの粒子は、好ましくは平均粒径0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.2〜4.0μmのものを用いる。滑剤は、本発明の積層フィルムの少なくとも一方の表面を形成する層に配合することが好ましい。
【0021】
本発明の積層フィルムには、蛍光増白剤を配合してもよい。蛍光増白剤を反射層に配合する場合、反射層を構成するポリエステル組成物100重量部あたり、例えば0.005〜0.2重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部配合する。0.005重量部未満であると350nm付近の波長域の反射率が十分でないので添加する意味が乏しく好ましくなく、他方、0.2重量部を越えると蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。
【0022】
蛍光増白剤としては、例えばOB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)を用いることができる。
【0023】
本発明の積層フィルムには、必要に応じてさらに性能を上げるために、酸化防止剤、紫外線吸収剤を添加してもよい。また、これらの剤を含む塗剤を積層フィルムに塗布してもよい。
【0024】
[製造方法]
以下、本発明の反射板用二軸延伸積層フィルムを製造する方法を説明する。なお、延伸は、逐次二軸延伸法でもよく、同時二軸延伸法でもよいが、ここでは逐次二軸延伸法による製造方法を説明する。
【0025】
まず、ダイから溶融したポリエステルをフィードブロックを用いた同時多層押出し法により、未延伸積層シートを製造する。すなわち、反射層(A層)を構成するポリエステルと非相溶樹脂の溶融物と、支持層(B層)を構成するポリエステルの溶融物とを、フィードブロックを用いてA層/B層となるように積層し、ダイに展開して、キャスティングドラム上に押出す。この時、フィードブロックで積層されたA層とB層のポリマーは、積層された形態を維持している。
【0026】
溶融工程においては、フィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過することが好ましい。この濾過を行なうことにより、一般的には凝集して粗大凝集粒子となやすい粒子の凝集や外部からの異物を抑えて、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。
【0027】
ダイより押出された未延伸積層シートは、キャスティングドラム上で冷却固化され、未延伸積層フィルムとなる。この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱といった手段で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸積層フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度は共重合ポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度、さらにはTg〜(Tg+70)℃の温度とするのが好ましい。延伸倍率は、縦方向については好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず好ましくなく、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0028】
縦延伸後の積層フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸延伸された積層フィルムとするが、これら処理は積層フィルムを走行させながら行う。横延伸の処理は共重合ポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始める。そして一般的には(Tg+5)〜(Tg+70)℃の温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であると積層フィルムの厚み斑が悪くなり、良好な積層フィルムを得ることができず好ましくなく、他方、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0029】
横延伸後の積層フィルムは両端を把持したまま、支持層のポリエステルの(Tm−20)〜(Tm−100)℃で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理がこれより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。また、熱処理温度がこれより低いと熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程で(Tm−20)〜(Tm−100)℃の領域での熱収縮量を調整するために、把持している積層フィルムの両端を切り落し、積層フィルムの縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%、さらに好ましくは0.2〜1.2%、特に好ましくは0.3〜1.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
【0030】
このようにして得られる本発明の二軸延伸積層フィルムは、85℃の熱収縮率が、直交する2方向ともに0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下とすることができる。
【0031】
二軸延伸後の積層フィルムの厚みは、好ましくは25〜350μm、さらに好ましくは40〜320μm、特に好ましくは50〜300μmである。25μm未満であると反射率が低下して好ましくなく、他方、350μmを超えるとこれ以上厚くしても反射率の上昇が望めないことから好ましくない。
【0032】
このようにして得られる本発明の二軸延伸積層フィルムは、その少なくとも一方の表面の反射率が波長400〜700nmの平均反射率でみて95%以上、さらに好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上の反射率を備えることになる。95%未満であると十分な画面の輝度を得ることができないので好ましくない。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム総厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定して平均値を求め、フィルム総厚みとした。
【0034】
(2)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを10点測定して平均を求め、各層の厚みとした。
【0035】
(3)反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%とした時の反射率を波長400〜700nmにわたって測定し、得られたチャートより2nm間隔で反射率を読み取った。フィルムの構成が一方の面が反射層(A層)、他方の面が支持層(B層)の場合、A層側から測定を行った。上記の範囲内で平均値を求めた。
【0036】
(4)延伸性
縦方向2.5〜3.4倍、横方向3.5〜3.7倍に延伸して製膜し、安定に製膜できるか観察した。下記基準で評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない
【0037】
(5)巻き癖
フィルムを10mm幅×150mm長さの短冊状に切り出し、直径1インチの紙管に巻き付け、常温、相対湿度55%にて24時間保管した後解放し、上に凹になるように平板に置いた際に観察される浮き上りを測定して下記基準で評価した。なお、紙管への巻きつけは、反射層を内面側にして巻くもの3本、外面側にして巻くもの3本として、合計6サンプルについて測定し、浮き上りの大きい方から3サンプルの平均をとった。
×: 45mmを超える
△:30〜45mm
○:30mm未満
【0038】
(6)ポリエステル組成物の固有粘度
オルトクロロフェノール溶媒に加熱溶解させ25℃で測定した。
【0039】
(7)微粒子の平均粒子径
HORIBA製LA−750パーティクルサイズアナライザー(Particle Size Analyzer)を用いて測定した。50マスパーセントに相当する粒子径を読み取り、この値を平均粒子径とした。なお、各粒子の粒子断面が円形でない場合には、粒子の長径と短径との平均をその粒子の粒子径とした。
【0040】
[実施例1〜14]
テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を撹拌機、精留塔及び留出コンデンサーを備えた反応器に仕込み、撹拌しながら150〜235℃に徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.03重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後反応生成物に二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、ついで撹拌しながら290℃まで昇温し、30Pa以下の高真空で重縮合反応を行った。固有粘度0.70dl/gの共重合ポリエステル組成物を得た。
【0041】
この共重合ポリエステル組成物を用い表1に示す無機粒子、非相溶樹脂を添加、それぞれ285℃に加熱された2台の押出機に供給し、反射層ポリマー、支持層ポリマーがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。なお、非相溶樹脂を添加する層には、その分散剤として分子量4000のポリエチレングリコールを1重量%添加した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを90℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で210℃に加熱された雰囲気中で熱固定を行い、横方向に2%の幅入れを行い、縦方向に1.0%弛緩、室温まで冷やして反射板用二軸延伸積層フィルムを得た。得られたフィルムの層厚構成、反射板基材としての物性は表1の通りであった。
【0042】
[実施例15〜20]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部との混合物に、酢酸マンガン四水和物0.032重量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、撹拌しながら140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後反応生成物に三酸化二アンチモン0.037重量部を添加して、撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、ついで撹拌しながら300℃まで昇温し、30Pa以下の高真空で重縮合反応を行った。固有粘度0.65dl/gのポリエステル組成物を得た。
【0043】
このポリエステル組成物を用い表1に示す無機粒子、非相溶樹脂を添加、それぞれ285℃に加熱された2台の押出機に供給し、反射層ポリマー、支持層ポリマーがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。なお、非相溶樹脂を添加する層には、その分散剤として分子量4000のポリエチレングリコールを1重量%添加した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを95℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で220℃に加熱された雰囲気中で熱固定を行い、横方向に2%の幅入れを行い、縦方向に1.0%弛緩、室温まで冷やして反射板用二軸延伸積層フィルムを得た。得られたフィルムの層厚構成、反射板基材としての物性は表1の通りであった。
【0044】
[比較例1〜5]
実施例1と同様にポリマーを重合し、無機粒子、非相溶樹脂の添加量、および層厚構成を表1に示す通りとする他は実施例1と同様にして反射板用二軸延伸積層フィルムを得た。
【0045】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の反射板用二軸延伸積層フィルムは、液晶表示装置の反射板として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル84〜70重量%および該ポリエステルと非相溶な樹脂16〜30重量%からなる反射層と、この層と接するポリエステルからなる支持層とから構成され、反射層は微細なボイドを有し積層フィルム全体厚みの60〜95%の厚みを占めることを特徴とする、反射板用二軸延伸積層フィルム。
【請求項2】
ポリエステルと非相溶な樹脂がポリオレフィンである、請求項1記載の反射板用二軸延伸積層フィルム。

【公開番号】特開2009−51175(P2009−51175A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222510(P2007−222510)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】