説明

反射鏡付ランプの製造方法

【課題】単純な部品構成で、光源を点灯することなく、機械的に光源の光中心と反射鏡の焦点位置とを一致させて一体的に固定することのできる反射鏡付ランプの製造方法を提供する。
【解決手段】光源と反射鏡とを組み合わせた反射鏡付ランプの製造方法であって、光源は略円筒形状の風袋、風袋内部に保持される発光管、風袋の一方を封止するシール部、及びシール部から突出した給電線を有し、発光管内部の光中心から所定の位置関係にある光源基準位置が設けられ、反射鏡はシール部が固定される膨出部及び光照射のための開口部を有して光軸を形成し、光軸上に形成される焦点から所定の位置関係にある反射鏡基準位置が設けられ、上記製造方法が、光源を消灯した状態で、反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とに基づいて反射鏡に対する光源の相対位置を決める位置決め工程、及び反射鏡と光源とを接着する接着工程からなる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に一般照明に使用される反射鏡付ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般照明用途、特に店舗照明等に使用される反射鏡付ランプとしてPAR型のランプが知られている。これはコンパクトな管球状光源を反射鏡内に収め、光源の光中心と反射鏡の焦点位置とを一致させて一体的に固定したものである。この反射鏡付ランプはその特徴上同じ品種の商品であれば同じ配光特性であることが要求される。これは照明設計上非常に重要なファクターとなっている。光源としては白熱ランプ、ハロゲンランプ、高圧蒸気放電灯などが用いられている。
【0003】
一方、近年セラミックメタルハライドランプを反射鏡内に収めたPARランプが開発されてきた。上記のような光源を反射鏡内に収める場合、光源を反射鏡に固定する構成が必要になる。その例として、例えば、特許文献1では、シール部に設けられた突起部を利用して円盤状のプレートとシール部との位置決めを行い、それらを反射鏡内部に配置した上で、プレートと反射鏡内壁とシール部で作られる空間に多量の接着剤を充填することによって、当該3部品を互いに固着している。
また、特許文献2では、反射鏡の端部にアイレットを設け、そのアイレットにシール部から延びる電極を挿入・固着している。そして、特許文献3では、反射鏡内壁と光源シール部との間に取付け部材を介在させて光源を反射鏡内部に挟み込むように固定している。
【特許文献1】特表平9−512953号公報
【特許文献2】特開2005−158742号公報
【特許文献3】特表平10−508427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、反射鏡付ハロゲンランプなどは同じ配光特性を得るために反射鏡にランプを挿入し固定する前段階で実際にハロゲンランプを点灯しその配光及び照度をスクリーン上や解析装置などを利用し測定確認した上でランプと反射鏡を固定、同品種では同配光、同照度の製品を製作してきた。
【0005】
しかしランプの発光状態が安定するまで待ってから反射鏡とランプとの位置調整を行なうためには比較的長い時間を必要とする。特に高輝度放電ランプを光源として反射鏡と組み合わせる場合、上記方法を用いると、ランプ点灯から安定まで放電灯の場合10分以上点灯しないと十分なランプパフォーマンスに達しないという欠点がある。また、ランプが安定点灯した後は光源が高温状態になっているため光源と反射鏡との間に接着剤を注入した場合、瞬間的に突沸等が起きる場合があり、接着状態に不安定要素を与える。
【0006】
ランプ組立の際に光源を点灯せずにすめば、製造工程を簡略化できる。すなわち光源の光中心に対して光源外部に基準となる箇所を設け、前記光中心位置と前記基準位置との位置関係が許容寸法以内となる精度で光源を製作し、光源及び反射鏡に、機械的に位置が決まるような形状を設けて組み合わせる構成をとればよい。
【0007】
ここで、従来技術の構成を検討した場合、特許文献1のものでは、プレートと反射鏡との間に位置決めのための部位又は部材がないことから、光源位置の固定はランプ点灯よる焦点合わせを行うことが前提となっている。
特許文献2のものでは、反射鏡後部にアイレットを取り付けるなどの加工が必要となる。そして、光源から突出しているリード線をアイレットに固定することによって光源を位置固定しているため、ランプ移送時の振動衝撃などによってリード線封着部破損やリード線が折れるという懸念がある。特にセラミックメタルハライドランプなどの高圧蒸気放電灯を光源に使用すると、光源の質量が大きくなる傾向があるため、リード線封着部破損などの危険度が高くなる。また、特許文献3のものでは、光源を固定するために特許文献2よりも複雑な構成部品が必要となっている。
【0008】
従って、上記特許文献の構成では光源の位置決めを達成できないか、できたとしても複雑な構成を要してしまう。一方、光源としてG8.5などのコンパクトランプの規格品を流用できれば、製造工程が共通化でき、さらに在庫管理や製造コスト削減の面で有利となる。
【0009】
本発明は単純な部品構成で、光源を点灯することなく、機械的に光源の光中心と反射鏡の焦点位置とを一致させて一体的に固定することのできる反射鏡付ランプの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面は、光源と反射鏡とを組み合わせた反射鏡付ランプの製造方法であって、光源は略円筒形状の風袋、風袋内部に保持される発光管、風袋の一方を封止するシール部、及びシール部から突出した給電線を有し、発光管内部の光中心から所定の位置関係にある光源基準位置が設けられ、反射鏡はシール部が固定される膨出部及び光照射のための開口部を有して光軸を形成し、光軸上に形成される焦点から所定の位置関係にある反射鏡基準位置が設けられ、前記製造方法が、光源を消灯した状態で、反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とに基づいて反射鏡に対する光源の相対位置を決める位置決め工程、及び反射鏡と光源とを接着する接着工程からなる製造方法である。
【0011】
上記第1の側面において、位置決め工程が、反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とを、取り付け部材を介して当接させる工程からなる構成とした。
ここで、取り付け部材は、光源に予め取り付けられた位置決め板であり、給電線の端部と位置決め板の給電線側の面との距離が光軸方向に所定の距離を離して取り付けられており、反射鏡基準位置を膨出部内部の内部端面、光源基準位置を給電線端部、光源2次基準位置を位置決め板の給電線側の面として、位置決め工程が、反射鏡基準位置に光源2次基準位置を当接させる工程からなる構成とした。
また、取り付け部材は、光源に予め取り付けられた位置決め板であり、給電線の端部と位置決め板の光中心側の面との距離が光軸方向に所定の距離を離して取り付けられており、反射鏡基準位置を膨出部の内部端面又は開口部に設けられた光軸に垂直な平面、反射2次鏡基準位置を反射鏡基準位置から所定の距離でカットされた外部端面、光源基準位置を給電線の端部、光源2次基準位置を位置決め板の光中心側の面として、位置決め工程が、反射2次鏡基準位置に光源2次基準位置を当接させる工程からなる構成とした。
【0012】
また、上記第1の側面において、位置決め工程が、反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とを、反射鏡基準位置と光源基準位置との相対位置を画定する固定ジグに当接させる工程からなる構成とした。
ここで、光源が風袋の他方の終端面を形成する肩部を有し、反射鏡基準位置を開口部に設けられた光軸に垂直な平面、光源基準位置を肩部として、位置決め工程が、反射鏡基準位置と光源基準位置とを固定ジグに対して同時に当接する工程からなる構成とした。
また、位置決め板が光源に予め取り付けられ、給電線の端部と位置決め板の光中心側の面との距離が光軸方向に所定の距離を離して取り付けられており、反射鏡基準位置を開口部に設けられた光軸に垂直な面、光源基準位置を給電線の端部、光源2次基準位置を位置決め板の光中心側の面として、位置決め工程が、反射鏡基準位置と光源2次基準位置とを固定ジグに対して同時に当接する工程からなる構成とした。
【0013】
さらに、光源が風袋の他方の終端において光軸上に突出した頭部を有し、反射鏡基準位置を開口部に設けられた光軸に垂直な平面、光源基準位置を頭部として、位置決め工程が、反射鏡基準位置と光源基準位置とを固定ジグに対して同時に当接する工程からなる構成とした。
【0014】
また、上記第1の側面において、位置決め工程が仮位置決め工程及び本位置決め工程からなり、仮位置決め工程が、反射鏡基準位置を固定ジグにセットする工程、及び光源の光中心を取り付け部材によって光軸上に配置させるとともに、光源を摺動及び静止可能な半固定ジグにセットする工程からなり、本位置決め工程が、光軸方向をz軸として、反射鏡基準位置のz座標と光源基準位置のz座標との差が規定値になるように光源と反射鏡との相対位置を可動ジグによって調整する工程からなる構成とした。
ここで、反射鏡基準位置を開口部に設けられた光軸に垂直な平面、光源基準位置を給電線端部として、本位置決め工程が、可動ジグによって給電線端部の位置を調整する工程からなる構成とした。
また、反射鏡基準位置を膨出部内部の支持領域であり、光源基準位置を給電線端部として、本位置決め工程が、可動ジグによって給電線端部の位置を調整する工程からなる構成とした。
【0015】
さらに、上記において、反射鏡及び光源が固定ジグに装着された状態で、反射鏡の開口部方向から膨出部方向に向けて通風する乾燥工程を含んでもよい。
【0016】
本発明第2の側面は、上記いずれかの製造方法によって製造された反射鏡付ランプである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光源を点灯することなく、光源の光中心と反射鏡の焦点とを一致させて位置固定できる。そのため光源の安定待ち時間、位置合わせ後の光源冷却時間が不要となり、組立作業時間が大幅に短縮される。
ここで、光源および反射鏡が充分に冷却される前に接着剤を充填すると接着剤の突沸現象が起きることがあるが、光源を点灯しなければ光源および反射鏡の温度は上昇しないので、突沸は起こりえない。
【0018】
さらに、反射鏡付ランプを構成する要素が従来と同等か少なくて済み、反射鏡付ランプ構成要素の形状が単純化できる。
また、同時に光源の中心軸と反射鏡の光軸を一致させているため光源の偏りによるセメント充填量の不均一がなくなり、さらに振動衝撃に対する耐久性が増す。
【0019】
特に、上記第15段落に示す構成においては、反射鏡を保持する箇所が反射鏡膨出部であり接着部に近いため、接着剤乾燥ガスを吹き出す時にガス使用量が少なくて済む。また、光源のシール部にディスクを固定する工程と反射鏡にディスクを固定する工程とを同時に行なうことができるため、製造工数削減が可能となる。
【0020】
特に、上記第13段落に示す構成においては、光源トップ部のガラスを溶融して光源位置基準を作成するため、光源の封止排気後にトップ部を再加熱して光源位置基準の位置を修正することができる。
光源完成後に、光学的手段で実際の光中心位置を測定し、光源位置基準を修正することが、他の方法より容易である。そして、組立に使用するジグの構成が最も簡素であるため、コストが安く、製造工程中の仮乾燥工程を省いてジグごと本乾燥炉に並べるときに有利である。さらに、組立に使用するジグの構成が最も簡素であるため、本乾燥炉に入れるなど加熱冷却を繰り返してもジグにゆがみなどが生じて使用に不具合が生じることがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施例を説明する。光源と反射鏡との焦点合わせにおいて、本発明において主眼としているのは、光源を点灯させずに光源の中心と反射鏡の焦点位置(特に光軸方向の相対位置)を正確に合わせることである。なお、各実施例の説明においては、必要に応じて光軸方向をz軸と定義して説明している。
【0022】
実施例1.
図1は本発明の第1の実施例に係る反射鏡付ランプの縦断面図である。
図中、光源10(詳細を図3に示す)の中央部に黒丸記号で図示した位置が光源の光中心2である。また、図中、反射鏡11(詳細は図4に示す)の中央部に掛け算記号で図示した位置が反射鏡焦点12である。反射鏡11の光を照射する側には配光を制御するための前面ガラス13が設けられ、反対側には給電のための口金14が設けられている。
光源10と反射鏡11とは接着固定され、光中心2と反射鏡焦点12とが一致した位置にある。
【0023】
光源10を点灯させずに光中心2と反射鏡焦点12とを一致させるためには以下のような3つの位置基準の設定と、最終的にはそのうちの2つの位置基準を利用した固定及び接着の工程を含んだ製造方法を用いればよい。
(A)光源位置1次基準の設定
光源10の外面のどこかに光中心位置2の基準となる光源位置基準を設ける。
(B)反射鏡位置基準の設定
反射鏡11の反射鏡膨出部18内部に反射鏡焦点12位置の基準となる反射鏡位置基準を設ける。
(C)固定工程及び光源位置2次基準の設定
光源位置基準を利用して位置決め部材の位置を合わせ、光源10と位置決め部材7との位置を固定する。この位置決め部材の反光中心側端面が光源位置第2基準となる。
ここで、反射鏡位置基準は金型成型した時点で反射鏡焦点に対する相対位置が定まっている。
(D)接着工程
光源位置第2基準と反射鏡位置基準とを接触させて光源10と反射鏡11との位置を固定し、両者の接着部に接着材を充填して両者を接着固定する。
以下に、具体的な位置合わせ方法の例について図面を用いて説明する。
【0024】
図2から図5は上記のコンセプトに基づく反射鏡付ランプ製造方法の一例を、一部断面図を用いて図示したものである。
図2は光源10を作成する工程の一部を説明するための図である。発光管3および支持・給電部材を風袋4の内部に挿入し、風袋下部を加熱封止して図3に示す光源10を作成する。風袋4の一方の端部はピンチシールによって封止されシール部1を形成し、シール部1は給電線6に取り付けられた金属箔(図中の一対の点線部)を内部に含んでいる。図中、発光管3の中心部に黒丸記号で示した位置が光源10の光中心2となる。
【0025】
本実施例における光源の製作法はG8.5仕様のランプ製作法と同一である。G8.5仕様のランプでは、一対の給電線6の先端、すなわち図2中の9の位置を基準として光中心までの寸法LAを許容差内に収めるように光源加工を行なう。そのため本実施例において使用する光源10はG8.5仕様のランプ材料および製造設備をそのまま利用できる。あるいはG8.5仕様のランプをそのまま使用しても良い。本実施例においては、給電線6の先端が光源位置基準9となる。
【0026】
図3は光源10のシール部1に位置決め部材7を取付けた状態の説明図である。ジグA30は光源基準受け33と光源保持部材32を有する。光源10の光源位置基準9を光源基準受け33に接触させると位置決め部材7は光源保持部材32の端面から一段内側に形成された座グリ面36に接触した状態で安定する。同時に位置決め部材7の最大外径部は光源保持部材32の前記端面と座グリ面36との間に形成される側壁内に保持され、光源10の中心軸と位置決め部材7の中心軸とを一致させることができる。図示しない光源チャックによって光源を座グリ面36に対し垂直に保持することにより、位置精度をさらに高めることができる。
【0027】
図において、光源保持部材32の高さLCは、LB寸法が図4に示すLE寸法と同一になるように設定する。
【0028】
LCが一定の寸法であれば位置決め部材7の給電線側端面から光中心2までの寸法LBは一定となり、位置決め部材7の給電線側端面は光源位置第2基準35となる。
【0029】
位置決め部材7の外周形状は、図4に示すような反射鏡11に取付けられるときに取り付け位置の反射鏡内表面に対してわずかな隙間ができ、膨出部中心孔19よりはわずかに大きい程度の寸法とする。また内側形状は、風袋4が封止された後の形状と同じで光源のシール部1に挿入したときにわずかな隙間ができる程度の寸法とする。
位置決め部材7を金属板で製作する場合には、位置決め部材7に光源10を挿入したときにシール部1を押さえるような爪形状を位置決め部材7に設けておくことにより、接着剤を使用せずとも位置決め部材の位置を仮固定することができる。
なお、特許文献2に開示されているように、シール部1に突起を設け、位置決め部材7が一定の位置に止まるようにすることもできる。
【0030】
図4は光源に組み合わせる反射鏡の図である。図中、LE寸法は反射鏡位置基準15から反射鏡焦点12までの距離である。LD部分の寸法は実用可能範囲でばらついても良い。
【0031】
図5は光源と反射鏡とを組み合わせて接着固定する工程の説明図である。
台座50は反射鏡11を、その中心軸を垂直に保って支持するためのもので、反射鏡が傾かない程度の平板であればよい。また反射鏡11からはみ出した光源10の一部が台座50に当たらないように逃げ穴を設ける必要がある。
反射鏡11を垂直に支持する方法としては台座50のような方法に限らず、反射鏡外面のどの部分を利用して支持しても良い。
【0032】
これらの部材及びジグを用いた本実施例における製造方法は下記のようになる。
(a)図2に示すように、光源10を通常のG8.5仕様ランプと同様に製作する。
(b)図3に示すように、シール部1に位置決め部材7を通し、ジグA30に取付ける。ジグA30の光源基準受け33に光源位置基準9が接触し、光源保持部材32の上端面に位置決め部材7の下端面が接触している状態で位置決め部材7を接着し固定する。
(c)図5に示すように台座50の上で光源10及び反射鏡11を取付ける。光源10の光源位置第2基準35と反射鏡11の反射鏡位置基準15とが接触している。
(d)前項の状態で図5に示すように光源用接着剤105及び反射鏡用接着剤106を充填し乾燥する。
この後は通常の方法で前面ガラスを接着し、口金を取付けることで、容易に光中心2と反射鏡焦点12が一致した反射鏡付ランプを製作することができる。
【0033】
以上の実施例では光源として放電灯発光管を内蔵したものについて本発明を説明したが、似たような形状を有する片口ハロゲンランプなどの白熱灯を光源として用いた場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0034】
実施例2.
実施例1では、2次的な光源位置基準と(1次的な)反射鏡位置基準とを用いて光源10と反射鏡11との位置決めをする例を示したが、本実施例では、2次的な光源位置基準と2次的な反射鏡位置基準とを用いるものを示す。
【0035】
図6は本発明の第2の実施例に係る反射鏡付ランプの縦断面図である。
図中、光源10(詳細を図8に示す)の中央部に黒丸記号で図示した位置が光源の光中心2である。また、図中、反射鏡11(詳細は図9に示す)の中央部に掛け算記号で図示した位置が反射鏡焦点12である。反射鏡11の光を照射する側には配光を制御するための前面ガラス13が設けられ、反対側には給電のための口金14が設けられている。
光源10と反射鏡11とは接着固定され、光中心2と反射鏡焦点12とが一致した位置にある。
【0036】
光源10を点灯させずに光中心2と反射鏡焦点12とを一致させるためには以下のような4つの位置基準の設定と、最終的にはそのうちの2つの位置基準を利用した固定及び接着の工程を含んだ製造方法を用いればよい。
(A)光源位置第1基準の設定
光源10の外面のどこかに光中心位置2の基準となる光源位置基準を設ける。
(B)反射鏡位置第1基準の設定
反射鏡11の反射鏡膨出部18内部又は開口部に設けられた光軸に垂直な平面に反射鏡焦点12位置の基準となる反射鏡位置基準を設ける。
(C)光源位置第2基準の設定
前記光源位置基準を利用して位置決め部材の位置を合わせ、光源10と位置決め部材7との位置を固定する。この位置決め部材の光中心側端面が光源位置第2基準となる。
ここで、前記反射鏡位置基準は金型成型した時点で反射鏡焦点に対する相対位置が定まっている。
(D)反射鏡位置第2基準の設定
この反射鏡位置基準から一定の位置で反射鏡膨出部の端部を切断する。この切断面が反射鏡位置第2基準となる。
(E)固定及び接着工程
前記光源位置第2基準と前記反射鏡位置第2基準とを接触させて光源10と反射鏡11との位置を固定し、両者を接着固定する。
以下に、具体的な位置合わせ方法の例について図面を用いて説明する。
【0037】
図7から図10は上記コンセプトに基づく反射鏡付ランプ製造方法の一例を、一部断面図を用いて図示したものである。
図7は光源10を作成する工程の一部を説明するための図である。発光管3および支持・給電部材を風袋4の内部に挿入し、風袋下部を加熱封止して図8に示す光源10を作成する。風袋4の一方の端部はピンチシールによって封止されシール部1を形成している。図中、発光管3の中心部に黒丸記号で示した位置が光源10の光中心2となる。
【0038】
本実施例における光源の製作法はG8.5仕様のランプ製作法と同一である。G8.5仕様のランプでは、一対の給電線6の先端、すなわち図7中の9の位置を基準として光中心までの寸法LAを許容差内に収めるように光源加工を行なう。そのため本実施例において使用する光源10はG8.5仕様のランプ材料および製造設備をそのまま利用できる。あるいはG8.5仕様のランプをそのまま使用しても良い。本実施例においては、給電線6の先端が光源位置基準9となる。
【0039】
図8は光源10のシール部1に位置決め部材7を取付けた状態の説明図である。ジグA30は光源基準受け33と光源保持部材32を有する。光源10の光源位置基準9を光源基準受け33に接触させると位置決め部材7は光源保持部材32の端面から一段内側に形成された座グリ面36に接触した状態で安定する。同時に位置決め部材7の最大外径部は光源保持部材32の前記端面と座グリ面36との間に形成される側壁内に保持され、光源10の中心軸と位置決め部材7の中心軸とを一致させることができる。図示しない光源チャックによって光源を座グリ面36に対し垂直に保持することにより、位置精度をさらに高めることができる。
【0040】
図において、光源位置基準9から座グリ面までの寸法LCは、後工程の作業性を配慮し、図9に示す寸法LHを決めるための反射鏡切断位置が反射鏡膨出部18の適当な位置に収まる範囲内で、任意の寸法に設計してよい。
【0041】
LC及び位置決め部材7の厚さtは一定であるため、位置決め部材7の光中心側端面から光中心2までの寸法LBは一定となり、位置決め部材7の給電線側端面は光源位置第2基準35となる。
【0042】
位置決め部材7の外周形状は、図9に示すような反射鏡11に取付けられるときに挿入される反射鏡11の穴形状と同じで穴の内径よりやや大きい程度の寸法とする。また内側形状は、風袋4が封止された後の形状と同じでシール部1に挿入したときにわずかな隙間ができる程度の寸法とする。
位置決め部材7を金属板で製作する場合には、位置決め部材7に光源10を挿入したときにシール部1を押さえるような爪形状を位置決め部材7に設けておくことにより、接着剤を使用せずとも位置決め部材の位置を仮固定することができる。
特許文献2に開示されているように、光源10のシール部1に突起を設け、位置決め部材7が一定の位置に止まるようにすることもできる。
【0043】
図9は光源に組み合わせる反射鏡の切断方法の一例を示す一部断面図である。
反射鏡11は、その反射鏡位置基準15を、ジグB40の一方に固定された反射鏡位置決め部材142の先端面に接触させて位置固定される。
ジグB40の他方にはスライド台145が設けられ、スライド板146上に設置されたモータ147に取付けられた薄刃砥石148が回転しながら図4における下方に移動することにより反射鏡膨出部18の端部を反射鏡中心軸に対して垂直方向に切断できる。
図中、LE寸法は反射鏡位置基準15から反射鏡焦点12までの距離であり、反射鏡の設計時点で寸法が決まっている。LF寸法は作業性を考慮して実用範囲内で任意に設定できる。
LH部分の寸法は図3におけるLB寸法と同じ値にする必要がある。その条件を満たすためには、図4に示す位置関係から切断個所を決定するLG寸法を
LG=LF+LH−LE=LF+LB−LE
に設定する。
【0044】
図10は光源と反射鏡とを組み合わせて接着固定する工程の説明図である。
ジグC60は反射鏡11を、その中心軸を垂直に保って支持するためのもので、反射鏡が傾かない程度の平板であればよい。また反射鏡11からはみ出した光源10の一部がジグC60に当たらないように逃げ穴を設ける必要がある。
反射鏡11を垂直に支持する方法としてはジグC60のような方法に限らず、反射鏡外面のどの部分を利用して支持しても良い。
【0045】
これらの部材及びジグを用いた本実施例における製造方法は下記のようになる。
(a)図7に示すように、光源10を通常のG8.5仕様ランプと同様に製作する。
(b)図8に示すように、光源10のシール部1に位置決め部材7を通し、ジグA30に取付ける。ジグA30の光源基準受け33に光源位置基準9が接触し、光源保持部材32の座グリ面36に位置決め部材7の反光中心側端面が接触している状態で光源10と位置決め部材7とを接着し固定する。
(c)図9に示すように反射鏡11をジグB40に取付け、薄刃砥石48により反射鏡膨出部18の端部を反射鏡中心軸に対して垂直方向に切断する。
(d)図10に示すようにジグC60に光源10及び反射鏡11を取付ける。光源10の光源位置第2基準35と反射鏡位置第2基準34とが接触している。光源10の肩部とジグCとは接触していない。
(e)前項の状態で図10に示すように反射鏡用接着剤106を充填し乾燥する。
この後は通常の方法で前面ガラスを接着し、口金を取付けることで、容易に光中心2と反射鏡焦点12が一致した反射鏡付ランプを製作することができる。
【0046】
傾斜規制管37は反射鏡位置第2基準34に対して垂直に取り付けられる。本実施例においては光源10の全長のうち半分以上が傾斜規制管37内に収まっているため光源10は反射鏡位置第2基準34に対して垂直に保持され、反射鏡11の光軸が反射鏡位置基準15の面に対して垂直であることから光源の中心軸と反射鏡の光軸が一致する。
【0047】
以上の実施例では光源として放電灯発光管を内蔵したものについて本発明を説明したが、似たような形状を有する片口ハロゲンランプなどの白熱灯を光源として用いた場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0048】
実施例3〜実施例5.
実施例1及び2においては、反射鏡位置基準が反射鏡の膨出部に設けられた例を示したが、実施例3から実施例5においては、反射鏡位置基準を反射鏡の照射側に設けた例を示す。
【0049】
図11は本発明の第3、第4及び第5の実施例に係る反射鏡付ランプに共通する縦断面図である。
図中、光源10の中央部に黒丸記号で図示した位置が光源の光中心2である。また、図中、反射鏡11の中央部に掛け算記号で図示した位置が反射鏡焦点12である。反射鏡11の光を照射する側には配光を制御するための前面ガラス13が設けられ、反対側には給電のための口金14が設けられている。
このような反射鏡付ランプが設計仕様どおりの性能を発揮するためには、光源10と反射鏡11とが接着固定された時点で光中心2と反射鏡焦点12とが一致した位置になければならない。
【0050】
光源10を点灯させずに光中心2と反射鏡焦点12とを一致させるためには、以下のような2つの位置基準の設定と、その位置基準を利用した固定及び接着の工程を含んだ製造方法を用いればよい。
(A)光源位置基準の設定
光源10の外面のどこかに光中心位置2の基準となる基準点を設ける。
(B)反射鏡位置基準の設定
反射鏡11のどこかに反射鏡焦点12位置の基準となる基準点を設ける。
(C)固定及び接着工程
前記2つの基準点の両方に同時に接触しながら光源10と反射鏡11との位置を仮固定し、光中心2と反射鏡焦点12とを一致させた状態で両者の位置関係を保ったまま、両者の接着部に接着材を充填できるようなジグを用いて両者を接着固定する。
以下に具体的な位置合わせ方法の例について図面を用いて説明する。
【0051】
実施例3.
図12は本発明の第3の実施例の製造方法を、一部断面図を用いて図示したものである。
図12(a)は光源10を作成する工程の一部を説明するための図である。発光管3および支持・給電部材5を風袋4の内部に挿入し、風袋下部開口部を加熱封止して光源10を作成する。風袋4の一方の端部はピンチシールによって封止されシール部1を形成している。図中、発光管3の中心部に黒丸記号で示した位置が光源10の光中心2となる。
【0052】
前記加熱封止工程において、風袋4の肩部から光中心2までの寸法LDを許容差内に収めるように光源加工を行なう。これを実施するためには例えば図12(a)に示すように、発光管の支持部材5の先端を発光管肩部の内壁に突き当てることで発光管3を含むランプ部材が風袋4内の一定位置に挿入されるようにする。以上の方法により風袋4の肩部が光源10の光源位置基準9となる。なお、上記肩部とは、風袋4の先端付近の外表面部分であって、風袋4の側面を含まず、かつ、光軸から所定の距離だけ離れた部分である。即ち、風袋の外径をR、z軸からの距離をdとした場合に、風袋4の先端付近の外表面部分であって0<d<Rとなるような部分が肩部となる。
【0053】
図12(b)は光源10に漏れ止め部材70を取付けた状態の説明図である。接着材の漏れ止め部材70の外周形状は、図12(c)に示すような反射鏡11に取付けられるときに挿入される反射鏡11の穴形状と同じでわずかな隙間ができる程度の寸法とする。また内側形状は、風袋4が封止された後の形状と同じで光源のシール部1に挿入したときにわずかな隙間ができる程度の寸法とする。
漏れ止め部材70を金属板で製作する場合には、漏れ止め部材70に光源10を挿入したときに光源10のシール部1を押さえるような爪形状を漏れ止め部材70に設けておくことにより、接着剤を使用せずとも漏れ止め部材の位置を仮固定することができる。特許文献2に開示されているように、光源4のシール部1に突起を設け、漏れ止め部材70が一定の位置に止まるようにすることもできる。なお、漏れ止め部材70が固定されるべき位置は一定であれば厳密に定められた位置でなくてもよい。
【0054】
図12(c)はジグA21に光源10と反射鏡11とをセットするときの状態を説明するための図である。ジグA21は光源基準受け28と反射鏡基準受け29とを有する。光中心2から光源位置基準9までの寸法をLA、反射鏡焦点12から反射鏡位置基準15までの寸法をLEとすると、光源基準受け28の高さは反射鏡基準受け29の高さに対して、LAとLEとの差、LA−LEの値に相当する差を有している。LAの寸法がLEより大きいときには光源基準受け28の高さは反射鏡基準受けの高さ29より低くなる。
なお、上記位置関係の下に、ジグA21は、光源軸受け28によって風袋4の肩部を支持しつつ風袋の先端部(頭部)を逃がすことができるような凹部を有している(貫通していてもよい)。そして、反射鏡基準受け29は、反射鏡位置基準15を支持しつつ他の部分には接触しないようにその周囲に対して凸形状を有している。即ち、ジグA21は光源位置基準9(肩部)と反射鏡位置基準15のみを支持し、光源及び反射鏡の他の部分には接触しない形状を有していればよい。
【0055】
ジグA21に光源10と反射鏡11とをセットすると、光中心2と反射鏡焦点12とが同一位置に重なる。具体的には、傾斜規制管22はジグA21の反射鏡基準受け29で作られる面に対して垂直に取り付けられている。そして、ジグA21と傾斜規制管22とをz軸上方から見た場合、傾斜規制管22の中心は反射鏡基準受け29の中心に一致し、傾斜規制管22の内径は風袋4の外径に略一致するものとなっている。なお、傾斜規制管22も反鏡基準受け29もz軸上方から見て完全な円形(環形)をしている必要はないが、それらは互いに同心円状に設置されるものである。そして、傾斜規制管22のz軸方向の高さについては、光源10の全長のうち半分以上が傾斜規制管22内に収まる程度であればよい。これにより、光源10は反射鏡基準受け29に対して垂直に保持され、反射鏡11の光軸が反射鏡位置基準15の面に対して垂直であることから光源の中心軸と反射鏡の光軸が一致する。
なお、図12(d)は焦点合わせ作業を終了した状態を示している。
【0056】
本実施例における製造方法は下記のようになる。
(a)光源10を、ランプ肩部が光源位置基準9になるように作成する。
(b)光源10のシール部1に漏れ止め部材70を挿入し、取付ける。
(c)光源10をその光源位置基準9がジグA21の光源基準受け28に接触するように取付け、反射鏡11をその反射鏡位置基準15が反射鏡基準受け29に接触するように取付ける。
(d)この状態のまま、図12(d)に示すように反射鏡用接着剤106を充填し乾燥する。
この後は通常の方法で前面ガラスを接着し、口金を取付けることで、容易に光中心2と反射鏡焦点12が一致した反射鏡付ランプを製作することができる。
【0057】
なお、本実施例は主に単純な円形の中心孔を有する反射鏡に適用できるものだが、図15に示すような膨出部中心孔19を有する反射鏡11を用いれば、上記
【0058】
(b)項のように漏れ止め部材70を取付けなくても反射鏡付ランプを製作することができる。なお、膨出部中心孔19の形状が長方形で、そこに挿入されるシール部1の形状に近く、両者間に大きな隙間が生じないため漏れ止め部材70を取り付けなくても接着剤が漏れることが無い。
【0059】
実施例4.
図13は本発明の第4の実施例の製造方法を、一部断面図を用いて図示したものである。
図13(a)は光源10を作成する工程の一部を説明するための図である。本実施例における光源の製作法はG8.5仕様のランプ製作法と同一である。G8.5仕様のランプでは、一対の給電線6の先端、すなわち図13(a)中の9の位置を基準として光中心までの寸法を決めている。そのため本実施例において使用する光源10はG8.5仕様のランプ材料および製造設備をそのまま利用できる。あるいはG8.5仕様のランプをそのまま使用しても良い。本実施例においては、給電線6の先端が光源位置基準9となる。
【0060】
図13(b)は光源10のシール部1に漏れ止め部材70を取付けた状態の説明図である。ジグB31は光源基準受け33と円筒32を有する。
光源10の光源位置基準9を光源基準受け33に接触させると漏れ止め部材70は円筒32端面に接触した状態で安定する。図において、円筒32の高さLCは、図13dに示すように光源10を反射鏡11に組み合わせた時、漏れ止め部材70が光源10と反射鏡11を接合するために適当な位置に収まる範囲内で、任意の寸法に設計してよい。即ち、漏れ止め部材70が光源10に対して一定のLCで光軸に対して垂直に取り付けられればよい。
【0061】
LCおよび漏れ止め部材70の厚さtは一定であるため、漏れ止め部材70の光中心側端面から光中心2までの寸法LBは一定となり、漏れ止め部材70の光中心側端面は光源位置第2基準35となる。
【0062】
図13(c)はジグC36に光源10と反射鏡11とをセットするときの状態を説明するための図である。ジグC36は光源基準受け38と反射鏡基準受け39とを有する。光源基準受け38から反射鏡基準受け39までの寸法LFは以下のように設計する。
【0063】
光源位置基準9から光中心2までの寸法をLAとし、漏れ止め部材70の厚さをtとすると、図13(b)中のLB寸法は、
LB=LA−LC−t
となる。
ジグC36に光源10と反射鏡11とがセットされ、光中心2と反射鏡焦点12とが一致したときには、
LF=LE+LB
すなわち、
LF=LE+LA−LC−t
となり、LE、LC、及びt寸法は製品仕様で決まっているため、ジグB30のLA寸法を設定すると、ジグCのLF寸法も決まる。
【0064】
これらのジグを用いた本実施例における製造方法は下記のようになる。
(a)光源10を通常のG8.5仕様ランプと同様に製作する。
(b)光源10のシール部1に漏れ止め部材を通し、ジグB31に取付ける。ジグB31の光源基準受け33に光源位置基準9が接触し、円筒32の上端面に漏れ止め部材70の下端面が接触している状態で漏れ止め部材70を仮固定する。
(c)ジグC36に光源10及び反射鏡11を取付ける。ジグC36の光源基準受け38と光源10の光源位置第2基準35とが接触し、同時に反射鏡基準受け39と反射鏡位置基準15とが接触している。光源10の肩部とジグCとは接触していない。
(d)前項の状態で図13(d)に示すように反射鏡用接着剤106を充填し乾燥する。
【0065】
実施例5.
図14は本発明の第5の実施例を示すものである。
図14(a)及び図14(b)は光源10を作成する工程の一部を説明するための図であり、この部分は上記実施例4と同様である。
【0066】
図14(c)はジグD41に光源10と反射鏡11とをセットするときの状態を説明するための図である。反射鏡11は図15に示すような形状で、反射鏡膨出部18の内側にある膨出部中心孔19の一部に四角穴を有している。
ジグD41は光源基準受け48と反射鏡基準受け49とを有する。反射鏡基準受け49は、反射鏡位置基準15を支持しつつ他の部分には接触しないようにその周囲に対して凸形状を有している。支柱44によってストッパ45がジグDに対してz軸方向に固定されている。スライド板46は高さ方向に摺動可能であり、支柱44を中心軸として回転も可能である。また、スライド板46は支柱44に対して図の前方又は後方に移動できるようなものであってもよいし、図面左右方向に移動又は伸縮するようなものでもよい。即ち、反射鏡11をジグD41に置いた状態で光源10を反射鏡11の上方から傾斜規制管42にセットするときに、スライド板46の一部である光源軸受け48が、反射鏡上部付近から逃げられるようになっていればよい。光源10のセット後、スライド板46を降下させてストッパ45に接触させることにより光源基準受け48の高さを一定値に規定することができる。
【0067】
反射鏡基準受け49からストッパ45上面までの寸法LJを
LJ=LE+LA
とする。このように設計し、光源基準受け48とストッパ接触部との間に段差がないスライド板形状にすれば、反射鏡基準受け49から光源基準受け48までの寸法もLJとなり、光中心2と反射鏡焦点12の位置を一致させることができる。
【0068】
スライド板46において、光源基準受け48とストッパ接触部との間に段差を設けても良いが、反射鏡基準受け49からストッパ45上面までの寸法を、LJに段差分を加えるかまたは引いた値としてストッパ位置を調整する必要がある。
【0069】
ジグD41において、傾斜規制管42の一部には切り欠きが設けられて傾斜規制管の内表面が露出し、その切り欠き部にリング状のバネ43がかけられている。傾斜規制管42内に挿入された光源10は、バネ43によって切り欠きと反対側の傾斜規制管内表面に押し付けられ、位置固定される。ただし重力を超える外力を加えた時には中心軸方法に移動することができる。
【0070】
本実施例における製造方法は下記のようになる。
(a)図14(a)(b)に示すように、光源10を通常のG8.5仕様ランプと同様に製作する。
(b)図14(c)に示すように、ジグD41に光源10及び反射鏡11を取付ける。ジグD41の反射鏡基準受け49と反射鏡位置基準15とが接触しているが、この時スライド板46は光源10光源及び反射鏡11取付けの邪魔にならないように退避させており、光源基準受け48と光源10の光源位置基準9とは接触していない。
(c)図14(d)に示すように、スライド板46をストッパ45に接触させ、光源基準受け48を光源位置基準9に接触させる。反射鏡基準受け49から光源基準受け48までの寸法がLJとなり、光中心2と反射鏡焦点12の位置が一致する。
(d)前項の状態で反射鏡用接着剤106を充填し乾燥する。
【0071】
反射鏡用接着剤106の粘度が低く、反射鏡用接着剤106が光源10の光中心2側まで流れてしまう場合には、図14(d)に示すように、ジグD41の基板にガスを流通させる穴をあけ、少なくとも接着材を充填する直前から接着材が乾燥して反射鏡と光源とが仮固定されるまでの期間、前記ジグから反射鏡の反射面側及び接着個所を通るようにガスを流通させると良い。接着剤の流れ出しを防止し、乾燥時間を短縮することができる。
【0072】
または実施例3で使用した漏れ止め部材70を用いることもできる。この場合、反射鏡の中心孔は単純な円形であっても良い。
【0073】
本実施例においても光源10の全長のうち半分以上が傾斜規制管42内に収まっているため光源10は反射鏡基準受け49に対して垂直に保持され、反射鏡11の光軸が反射鏡位置基準15の面に対して垂直であることから光源の中心軸と反射鏡の光軸が一致する。
【0074】
傾斜規制管は円筒形状である必要はなく、反射鏡基準受けに対して垂直に保持するためにはV字形の保持部材を使用しても良い。また光源の保持方法もリング状のバネに限らず、同等の効果を得るには、ゴム、板バネ、ボールプランジャーなど多数の方法がある。
【0075】
以上の実施例では光源として放電灯発光管を内蔵したものについて本発明を説明したが、似たような形状を有する片口ハロゲンランプなどの白熱灯を光源として用いた場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0076】
実施例6.
図16は本発明の第6の実施例を示す図であり、図17は本発明に係るディスク形状の一例を示す一部断面図である。図17中、φDD寸法は反射鏡中心孔の直径より0.1〜2mm程度小さい寸法となっており、φDF寸法は逆に反射鏡中心孔の直径より0.1〜2mm程度大きく反射鏡膨出部端面の外径よりは小さい寸法が望ましい。
【0077】
これらの部材及びジグを用いた本実施例における製造方法は下記のようになる。
図16(a)に示すように、給電線6の末端から光中心2までの距離LAを一定にして、光源10を通常のG8.5仕様ランプと同様に製作する。G8.5ランプにおいても形式仕様上給電線6の末端から光中心2までの距離LAを一定にする必要があり、本発明の反射鏡付ランプ用光源としてG8.5ランプをそのまま流用することも可能である。光源完成後には図16(b) のように給電線6の末端が光源位置基準9となる。
【0078】
図16(c) に示すように、光源10を傾斜規制管42に挿入する。傾斜規制管42の一部を切り欠いてバネをかけるなどの方法で、光源10が自重で下がらないようにしておく。光中心2の位置が規定位置より少し上になるようにセットしておくと以降の作業がやりやすい。
【0079】
光源10の上から反射鏡11をジグD41に乗せる。この時、反射鏡位置基準15が反射鏡基準受け49に接触するようにセットする。反射鏡基準受け49の端面は円形であり、反射鏡の中心軸直交断面も円形なので、反射鏡焦点12は反射鏡基準受け49の中心軸とほぼ一致する合わせ軸51上にある。
【0080】
光源10のシール部1に図17に示すような形状のディスク100を挿入する。ディスク100のつばの部分が反射鏡11の端面に当たるまで押し込む。
【0081】
図16(d)に示すように、光源基準受け48が光源位置基準9に当たるようにしながらスライド板46をストッパ45にあたる高さまで下げる。この時光源基準受け48反射鏡基準受け49との距離LJは、光源位置基準から光中心までの距離LAと反射鏡位置基準15から反射鏡焦点12までの距離LEとの和と一致し、光中心2と反射鏡焦点12との位置が一致する。
【0082】
前項の状態でディスク100と光源10との間及びディスク100と反射鏡11との間に反射鏡用接着剤106を充填し仮乾燥する。この時ジグD41の下部から熱風などを送風すると、仮乾燥に要する時間を短縮できる。
【0083】
仮乾燥後の反射鏡付光源をジグから外し、数個から数百個まとめて図示しない乾燥炉に入れ、接着剤を完全に乾燥する。
この後は通常の方法で前面ガラスを接着し、口金を取付けることで、容易に光中心2と反射鏡焦点12が一致した反射鏡付ランプを製作することができる。
【0084】
実施例7.
図18は本発明に係る反射鏡付ランプの製造例を示す一部断面図である。図18中、23は反射鏡付ランプの焦点合わせに使用するジグAであり、中央部に設けられた光源基準受け28はその周囲に設けられた反射鏡基準受け29に対してLA−LEの値に相当する寸法だけ低くなっている。
【0085】
本実施例においては、図17と同様の形状のディスクを用いる。φDF寸法は逆に反射鏡中心孔の直径より0.1〜2mm程度大きく反射鏡膨出部端面の外径よりは小さい寸法が望ましい。
【0086】
これらの部材及びジグを用いた本実施例における製造方法は下記のようになる。
図18(a)に示すように、風袋4の内部に発光管3支持部材5などの光源構成部材をあらかじめ接合して組み立てたマウントを挿入し、風袋4の一方の端部はピンチシールによって封止されシール部1を形成している。
【0087】
光源封止後に行なわれる排気工程の最後に、光源トップ部端面から光中心2までの距離LAを一定且つ光源中心軸と光源トップ部端面が垂直になるように光源トップ部の排気管を成形し、光源10を製作する。光源完成後には図18(b)のように光源トップ部端面が光源位置基準9となる。なお、光源位置基準の形状は図示の形状に限らず、例えば光源トップ部端部が半球状に成形されているものであってもLA寸法が一定値になるように成形できればそれでよい。
【0088】
図18(c) に示すように、光源10を傾斜規制管22に挿入する。光源10は自重により傾斜規制管22内を滑り落ち、光源位置基準9がジグA23の光源基準受け28に接触したところで止まる。
【0089】
光源10の上から反射鏡11をジグA23に乗せる。この時、反射鏡位置基準15が反射鏡基準受け29に接触するようにセットする。この時光源基準受け28の高さは反射鏡基準受け29の高さに対して、LAとLEとの差、LA−LEの値に相当する差を有しているため、光中心2と反射鏡焦点12との位置が一致する。
【0090】
光源10のシール部1に上述のディスク100を挿入する。ディスク100のつばの部分が反射鏡11の端面に当たるまで押し込む。
【0091】
前項の状態でディスク100と光源10との間及びディスク100と反射鏡11との間に光源用接着剤105及び反射鏡用接着剤106を充填し仮乾燥する。
【0092】
仮乾燥後の反射鏡付光源をジグから外し、数個から数百個まとめて図示しない本乾燥炉に入れ、接着剤を完全に乾燥する。この時仮乾燥を省略または短時間で切り上げ、ジグごと本乾燥炉に入れてもよい。
【0093】
この後は通常の方法で前面ガラスを接着し、口金を取付けることで、容易に光中心2と反射鏡焦点12が一致した反射鏡付ランプを製作することができる。
【0094】
なお、上記実施例においては最も好適なもののいくつかを示したが、例えば、反射鏡位置基準、光源位置基準、各取り付け部材、ジグ等の組み合わせ、取り付け板、漏れ止め部材、ディスクの有無等は適宜選択可能である。
また、各ジグ、傾斜規制管等について、同一の名称・符号を付したものは同一実施例においては同一の部材を指しているが、他の実施例との関係においては別個独立の部材を示すものとする。例えば、実施例5のジグD41、反射規制管42等と、実施例6のジグD41、反射規制管42等とは、名称・符号は同一であるがそれぞれ別形態のものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、一般照明用の反射鏡一体形のランプに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明第1の実施例に係る反射鏡付ランプを示す縦断面図。
【図2】第1の実施例における光源の図
【図3】第1の実施例における光源の図
【図4】第1の実施例における反射鏡の図
【図5】第1の実施例の製造工程を説明するための図
【図6】第2の実施例に係る反射鏡付ランプを示す縦断面図。
【図7】第2の実施例における光源の図
【図8】第2の実施例における光源の図
【図9】第2の実施例における反射鏡の図
【図10】第2の実施例の製造工程を説明するための図
【図11】第3から第5の実施例に係る反射鏡付ランプを示す縦断面図。
【図12】第3の実施例の製造工程を説明するための図
【図13】第4の実施例の製造工程を説明するための図
【図14】第5の実施例の製造工程を説明するための図
【図15】第3から第5の実施例における反射鏡の図
【図16】第6の実施例の製造工程を説明するための図。
【図17】第6の実施例におけるディスクの図
【図18】第7の実施例の製造工程を説明するための図。
【符号の説明】
【0097】
1.シール部
2.光中心
3.発光管
4.風袋
6.給電線
7.位置決め部材
9.光源位置基準
10.光源
11.反射鏡
12.反射鏡焦点
13.前面ガラス
14.口金
15.反射鏡位置基準
18.反射鏡膨出部
21.ジグA
22.傾斜規制管
28.光源基準受け
29.反射鏡基準受け
30.ジグA
32.傾斜規制管
34.反射鏡位置第2基準
35.光源位置第2基準
38.光源基準受け
39.反射鏡基準受け
40.ジグB
41.ジグD
42.傾斜規制管
43.バネ
44.支柱
45.ストッパ
46.スライド板
47.吹出口
48.光源基準受け
49.反射鏡基準受け
50.台座
51.合わせ軸
52.傾斜規制管
60.ジグC
70.漏れ止め部材
100.ディスク
101.ディスク穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と反射鏡とを組み合わせた反射鏡付ランプの製造方法であって、
該光源は略円筒形状の風袋、該風袋内部に保持される発光管、該風袋の一方を封止するシール部、及び該シール部から突出した給電線を有し、該発光管内部の光中心から所定の位置関係にある光源基準位置が設けられ、
該反射鏡は該シール部が固定される膨出部及び光照射のための開口部を有して光軸を形成し、該光軸上に形成される焦点から所定の位置関係にある反射鏡基準位置が設けられ、
前記製造方法が、
該光源を消灯した状態で、
該反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、該光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とに基づいて該反射鏡に対する該光源の相対位置を決める位置決め工程、及び
該反射鏡と該光源とを接着する接着工程
からなる製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法において、
前記位置決め工程が、該反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、該光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とを、取り付け部材を介して当接させる工程からなる製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の製造方法において、
前記取り付け部材は、前記光源に予め取り付けられた位置決め板であり、前記給電線の端部と該位置決め板の該給電線側の面との距離が光軸方向に所定の距離を離して取り付けられており、
前記反射鏡基準位置が前記膨出部内部の内部端面であり、
前記光源基準位置が該給電線端部であり、
前記光源2次基準位置が該位置決め板の該給電線側の面であり、
前記位置決め工程が、該反射鏡基準位置に該光源2次基準位置を当接させる工程からなる製造方法。
【請求項4】
請求項2記載の製造方法において、
前記取り付け部材は、前記光源に予め取り付けられた位置決め板であり、前記給電線の端部と該位置決め板の光中心側の面との距離が光軸方向に所定の距離を離して取り付けられており、
前記反射鏡基準位置が前記膨出部の内部端面又は前記開口部に設けられた光軸に垂直な平面であり、
前記反射2次鏡基準位置が前記反射鏡基準位置から所定の距離でカットされた外部端面であり、
前記光源基準位置が該給電線の端部であり、
前記光源2次基準位置が該位置決め板の光中心側の面であり、
前記位置決め工程が、該反射2次鏡基準位置に該光源2次基準位置を当接させる工程からなる製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の製造方法において、
前記位置決め工程が、該反射鏡基準位置又はそれに基づいて決まる反射鏡2次基準位置と、該光源基準位置又はそれに基づいて決まる光源2次基準位置とを、該反射鏡基準位置と該光源基準位置との相対位置を画定する固定ジグに当接させる工程からなる製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の製造方法において、前記光源が前記風袋の他方の終端面を形成する肩部を有し、
前記反射鏡基準位置が、前記開口部に設けられた光軸に垂直な平面であり、
前記光源基準位置が該肩部であり、
前記位置決め工程が、該反射鏡基準位置と該光源基準位置とを前記固定ジグに対して同時に当接する工程からなる製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の製造方法において、
位置決め板が前記光源に予め取り付けられ、前記給電線の端部と該位置決め板の該光中心側の面との距離が光軸方向に所定の距離を離して取り付けられており、
前記反射鏡基準位置が、前記開口部に設けられた光軸に垂直な面であり、
前記光源基準位置が該給電線の端部であり、
前記光源2次基準位置が該位置決め板の該光中心側の面であり、
前記位置決め工程が、該反射鏡基準位置と該光源2次基準位置とを該固定ジグに対して同時に当接する工程からなる製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の製造方法において、
前記位置決め工程が仮位置決め工程及び本位置決め工程からなり、
該仮位置決め工程が、
前記反射鏡基準位置を固定ジグにセットする工程、及び
前記光源の前記光中心を取り付け部材によって前記光軸上に配置させるとともに、該光源を摺動及び静止可能な半固定ジグにセットする工程からなり、
前記本位置決め工程が、
該光軸方向をz軸として、前記反射鏡基準位置のz座標と前記光源基準位置のz座標との差が規定値になるように該光源と該反射鏡との相対位置を可動ジグによって調整する工程からなる製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の製造方法において、
前記反射鏡基準位置が、前記開口部に設けられた光軸に垂直な平面であり、
前記光源基準位置が前記給電線端部であり、
前記本位置決め工程が、前記可動ジグによって該給電線端部の位置を調整する工程からなる製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の製造方法において、
前記反射鏡基準位置が前記膨出部内部の支持領域であり、
前記光源基準位置が前記給電線端部であり、
前記本位置決め工程が、前記可動ジグによって該給電線端部の位置を調整する工程からなる製造方法。
【請求項11】
請求項5記載の製造方法において、前記光源が更に、前記風袋の他方の終端において光軸上に突出した頭部を有し、
前記反射鏡基準位置が、前記開口部に設けられた光軸に垂直な平面であり、
前記光源基準位置が該頭部であり、
前記位置決め工程が、該反射鏡基準位置と該光源基準位置とを前記固定ジグに対して同時に当接する工程からなる製造方法。
【請求項12】
請求項5から請求項11いずれか一項に記載の製造方法であって、さらに、
前記反射鏡及び前記光源が前記固定ジグに装着された状態で、前記反射鏡の該開口部方向から該膨出部方向に向けて通風する乾燥工程を含む製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12いずれか一項に記載の製造方法によって製造された反射鏡付ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−220470(P2007−220470A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39415(P2006−39415)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】