説明

反応器

【課題】大きな異音(騒音)の発生を防止することを可能にした反応器を提供する。
【解決手段】バーナー2で発生した火炎Sによって炉体1の内部空間Hを加熱し、この内部空間H内を流れるガスを加熱して化学反応させる反応器であって、バーナー2のバーナーケーシング8の内部と連通させてバーナーケーシング8に一端13aを接続し、バーナーケーシング8の軸線O1と交差する方向に延設された管状部材13と、管状部材13の内部Pの前記交差方向に沿う所定位置に配置されて管状部材13の内部空間Pの長さLを調整する塞止板14とからなる吸音部12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガスを炉内で加熱して化学反応を生じさせる反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば化学プラントには、天然ガスなどの原料ガスを炉内で加熱して改質し、一酸化炭素と水素を主成分とする合成ガスなどの生成ガスを生成するための反応器(リフォーマ、反応炉、改質炉)を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、化学プラントなどには、例えば高さ10〜20m、幅5m程度の大型の反応器が具備され、この反応器をボックス型で構成することでコンパクト化を図るようにしている。そして、この種の反応器は、炉体の内部に複数の反応管を列設し、炉体(炉壁)に例えば数百の多数のバーナーを取り付けて構成され、炉体の内部をバーナーの火炎と燃焼ガスで加熱して、反応管内を流通する原料ガスに化学反応を生じさせ(炉体の内部を流通する原料ガスに輻射伝熱させることで化学反応を生じさせ)、生成ガスを生成することができる。なお、反応管に触媒を充填し、反応管を流通する原料ガスを輻射熱で加熱するとともに触媒作用によって化学反応を生じさせて生成ガスを生成する手法が多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−242158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、多数のバーナーから火炎を噴射した際に、バーナー位置と燃焼エネルギーの大きさに応じて炉内音響系が発振したり、バーナーから火炎を噴射する際に圧力変動が生じてバーナー音響系が発振したり、さらに、バーナーの圧力変動がバーナーの燃料に伝搬して燃料の供給量が変動し、炉内音響系とバーナー燃料系がフィードバックループを形成して発振が連成する場合があった。そして、このような現象に起因して、上記従来の反応器では、大きな異音(騒音)が発生する場合があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、大きな異音(騒音)の発生を防止することを可能にした反応器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0008】
本発明の反応器は、バーナーで発生した火炎によって炉体の内部空間を加熱し、該内部空間内を流れるガスを加熱して化学反応させる反応器であって、前記バーナーのバーナーケーシングの内部と連通させて該バーナーケーシングに一端を接続し、前記バーナーケーシングの軸線と交差する方向に延設された管状部材と、該管状部材の内部の前記交差方向に沿う所定位置に配置されて前記管状部材の内部空間の長さを調整する塞止板とからなる吸音部を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明においては、バーナーから火炎を噴射した際に、炉体の炉内音響系の発振、バーナーの圧力変動に伴うバーナー音響系の発振、さらに、バーナーの圧力変動がバーナーの燃料に伝搬して燃料の供給量が変動し、炉内音響系とバーナー燃料系の発振の連成が生じた場合であっても、これら発振に伴い発生した音エネルギーを吸音部で減衰させることが可能になる。例えば、管状部材の内部空間の長さが音エネルギーの1/4波長の長さとなるように塞止板を設けることで、音エネルギーを減衰させることが可能になる。
【0010】
また、本発明の反応器においては、前記バーナーケーシングの内部の音圧に応じて、前記管状部材の内部における前記塞止板の位置を調整する制御手段を備えていることが望ましい。
【0011】
この発明においては、バーナーケーシングの内部の音圧に応じて塞止板の位置を制御手段で調整することができるため、制御手段によって例えば音圧レベルが最も高い周波数の音(音エネルギー)に応じた位置に塞止板を配置することができ、確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることが可能になる。
【0012】
さらに、本発明の反応器においては、前記吸音部が、前記管状部材と前記バーナーケーシングの接続部に配設される多孔状の抵抗板を備えていることがより望ましい。
【0013】
この発明においては、管状部材とバーナーケーシングの接続部に多孔板などの抵抗板を設けることで、管状部材及び塞止板による音エネルギーの減衰効果に加え、抵抗板を通過する際に抵抗板の抵抗によって音エネルギーを減衰させる効果を得ることができる。すなわち、より確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることができる。
【0014】
また、バーナーケーシングの内部に連通させて管状部材(吸音部)を設けた場合には、バーナーケーシングの内部を高速で流通するガスが管状部材の接続部近傍で剥離して渦流が発生し、この渦流によって圧力変動が生じてバーナー音響系の発振を誘発するおそれがある。これに対し、管状部材とバーナーケーシングの接続部に抵抗板を設けることで、バーナーケーシングの内部を高速で流通するガスに剥離が生じることを抑止でき、ガスを整流状態で流通させることが可能になる。これにより、この点からも、より確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることが可能になる。
【0015】
また、本発明の反応器においては、前記抵抗板が発泡金属であることが望ましい。
【0016】
この発明においては、抵抗板が多孔質の発泡金属であることにより、確実に抵抗板の抵抗による音エネルギーの減衰効果を得ることが可能になる。
【0017】
さらに、本発明の反応器においては、前記抵抗板が吸音材であってもよい。
【0018】
この発明においても、抵抗板が例えばグラスウール、ロックウールなどの吸音材であることにより、音エネルギーが複雑な構造の吸音材(抵抗板)の空隙を通過する際の抵抗によって、確実に音エネルギーの減衰効果を得ることが可能になる。
【0019】
また、本発明の反応器においては、前記炉体の内側に前記内部空間を囲むように吸音層が設けられていることがより望ましい。
【0020】
この発明においては、炉体の内側に設けられた吸音層によって炉体の炉内音響系の発振に伴い発生する音エネルギーを減衰させることが可能になる。これにより、吸音部による音エネルギーの減衰効果に加え、炉体に設けた吸音層による音エネルギーの減衰効果を得ることができる。
【0021】
さらに、本発明の反応器においては、前記バーナーケーシングの内部の音を検出する音検出手段と、前記バーナーに燃料を供給する燃料供給ラインに、前記音検出手段で検出した音と逆位相の音を印加する音印加手段を備えていることが望ましい。
【0022】
この発明においては、音検出手段によってバーナーケーシングの内部の音を検出し、この音と逆位相の音を音印加手段によって燃料供給ラインに印加することで、燃料変動を抑制することが可能になる。これにより、バーナー燃料系と炉内音響系の発振の連成を防止することができ、さらに確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の反応器においては、バーナーから火炎を噴射した際に、箱状の炉体の炉内音響系の発振、圧力変動が生じてバーナー音響系の発振、さらに、バーナーの圧力変動がバーナーの燃料に伝搬して燃料の供給量が変動し、炉内音響系とバーナー燃料系の発振の連成が生じた場合であっても、吸音部によって音エネルギーを減衰させることが可能になる。これにより、多数のバーナーを備えた反応器であっても、大きな異音(騒音)の発生を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る反応器を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る反応器を示す正面図である。
【図3】図2のX1−X1線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る反応器を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る反応器のバーナー及び吸音部を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る反応器のバーナー(バーナーケーシング)及び吸音部を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る反応器のバーナー(バーナーケーシング)及び吸音部を示す正面図である。
【図7】図6のX1−X1線矢視図である。
【図8】バーナー及び吸音部を示す図であり、本発明の一実施形態に係る反応器の変形例を示す図である。
【図9】バーナー及び吸音部を示す図であり、本発明の一実施形態に係る反応器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1から図7を参照し、本発明の一実施形態に係る反応器について説明する。本実施形態は、例えば化学プラントなどに設けられ、天然ガスなどの原料ガスを炉内で加熱して改質し、一酸化炭素と水素を主成分とする合成ガスなどの生成ガスを生成するための反応器(リフォーマ、反応炉、改質炉)に関するものである。
【0026】
本実施形態の反応器Aは、図1から図3に示すように、炉体(炉)1と、炉体1の炉壁1aに取り付けられた多数のバーナー2と、炉体1の内部空間Hに列設されて原料ガスが流通する複数の反応管(不図示)とを備えて構成されている。
【0027】
炉体1は、水平方向の前後方向T1に延び、水平方向の左右方向T2に間隔をあけて立設された方形箱状の一対の炉本体部3、4と、一対の炉本体部3、4の上端側同士を連結し、一対の炉本体部3、4の内部空間Hを上端側で連通させる連通部5とを備えて断面略コ字状に形成されている。また、連通部5は、後端1bから前端1cに向かうに従い漸次その高さが大となるように形成されている。
【0028】
そして、各炉本体部3、4の左右一対の炉壁1aにそれぞれ、多数のバーナー2が多段状に列設されている。また、各炉本体部3、4の内部に複数の反応管が配設され、各反応管内を流通する原料ガスがバーナー2の火炎と燃焼ガスで加熱されて、化学反応が生じ、生成された生成ガスGが連通部5で合流するように構成されている。
【0029】
さらに、このように構成した炉体1は、一端を連通部5の前端1aに接続して下方に延設され、さらに水平方向前方側に延設された略L字状の導出部6を介して煙突7に接続されている。これにより、炉体1の連通部5で合流した生成ガスGは、導出部6の内部空間を流通して煙突7に送られる。
【0030】
一方、各炉本体部3、4の炉壁1aに設けられたバーナー2は、図4に示すように、バーナーケーシング8の一端側を炉壁1aの内面側(炉本体部3、4の内部空間H)に、他端側を炉本体部3、4の外側に配して設けられている。さらに、バーナーケーシング8の一端には、火炎Sを炉壁1aの内面に沿う放射方向に噴射させるためのスリット部材9が取り付けられている。バーナーケーシング8の他端側には、バーナーケーシング8の軸線O1方向に燃料(燃料ガス)Nを噴射して供給する燃料供給ライン10が接続され、また、バーナーケーシング8の内部に空気Mを導入するための空気導入部材11が設けられている。
【0031】
そして、本実施形態の反応器Aにおいては、図4から図7に示すように、このバーナー2に吸音部12が取り付けられている。吸音部12は、バーナーケーシング8の内部と連通させてバーナーケーシング8に一端13aを接続し、バーナーケーシング8の軸線O1と交差する方向(本実施形態では直交方向)に突設された管状部材13と、この管状部材13の内部の前記交差方向に沿う所定位置に配置されて管状部材13の内部空間Pの長さLを調整する塞止板14と、管状部材13とバーナーケーシング8の接続部15に配設された多孔状の抵抗板16を備えて構成されている。
【0032】
本実施形態の吸音部12は、管状部材13の長さL(管状部材13の内部空間Pの長さL)が、炉体1やバーナー2で発生し、音圧レベルが最も大きな音エネルギーの波長の1/4の長さになるように、管状部材13の他端13bに塞止板14を一体に固定して形成されている。また、本実施形態の抵抗板16は、一面から他面に貫通する複数の貫通孔を備えた多孔板とされている。
【0033】
そして、上記構成からなる本実施形態の反応器Aにおいては、多数のバーナー2から火炎Sを噴射し、バーナー位置と燃焼エネルギーの大きさに応じて炉内音響系が発振した際、この炉内音響系の発振に伴って発生した音エネルギーがバーナーケーシング8の内部を伝搬して吸音部12の管状部材13の内部Pに達する。そして、この管状部材13の長さLの4倍の波長の音エネルギーが管状部材13(吸音部12)で吸収されて減衰する。
【0034】
また、バーナー2から火炎Sを噴射する際に圧力変動が生じてバーナー音響系が発振した場合や、バーナー2の圧力変動がバーナー2の燃料Nに伝搬して燃料Nの供給量が変動し、炉内音響系とバーナー燃料系がフィードバックループを形成して発振が連成した場合においても、これら発振に伴って発生した音エネルギーがバーナーケーシング8の内部を伝搬して吸音部12の管状部材13の内部に達する。そして、この管状部材13の長さLの4倍の波長の音エネルギーが管状部材13(吸音部12)で吸収されて減衰する。
【0035】
このため、音圧レベルが最も大きな音エネルギーの波長の1/4の長さになるように予め塞止板14の位置を決めて、管状部材13の他端13b側の内部Pに塞止板14を一体に固定しておくことで、音圧レベルが最も大きな音エネルギーが減衰し、多数のバーナー2を備えた反応器Aであっても、効果的に大きな異音(騒音)の発生が防止される。
【0036】
また、このとき、本実施形態の吸音部12が管状部材13とバーナーケーシング8の接続部15に多孔板の抵抗板16を設けて構成されていることで、管状部材13及び塞止板14による音エネルギーの減衰効果に加え、抵抗板16を通過する際に抵抗板16の抵抗によって音エネルギーが減衰する。これにより、音圧レベルや波長が異なる音エネルギー全般が抵抗板16によって減衰することになり、より確実且つ効果的に大きな異音の発生が防止されることになる。
【0037】
さらに、バーナーケーシング8の内部に連通させて管状部材13(吸音部12)を設けた場合には、バーナーケーシング8の内部を高速で流通するガス(燃料ガスN、空気M)が管状部材13の接続部15近傍で剥離して渦流が発生し、この渦流によって圧力変動が生じてバーナー音響系の発振を誘発するおそれがある。これに対し、管状部材13とバーナーケーシング8の接続部15に抵抗板16を設けることで、バーナーケーシング8の内部を高速で流通するガスN、Mに剥離が生じることが抑止され、ガスM、Nが整流状態でバーナーケーシング8の内部を流通する。このため、管状部材13をバーナーケーシング8に一体に取り付けた場合であっても、バーナー音響系の発振を誘発するおそれがなく、確実且つ効果的に大きな異音の発生が防止される。
【0038】
したがって、本実施形態の反応器Aにおいては、バーナー2から火炎Sを噴射した際に、炉体1の炉内音響系の発振、バーナー2の圧力変動に伴うバーナー音響系の発振、さらに、バーナー2の圧力変動がバーナー2の燃料Nに伝搬して燃料Nの供給量が変動し、炉内音響系とバーナー燃料系の発振の連成が生じた場合であっても、これら発振に伴い発生した音エネルギーを吸音部12で減衰させることが可能になる。よって、多数のバーナー2を備えた反応器Aであっても、大きな異音の発生を防止することが可能になる。
【0039】
また、本実施形態の反応器Aにおいては、管状部材13とバーナーケーシング8の接続部15に多孔板の抵抗板16を備えているため、管状部材13及び塞止板14による音エネルギーの減衰効果に加え、抵抗板16を通過する際に抵抗板16の抵抗によって音エネルギーを減衰させる効果を得ることができる。すなわち、より確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることができる。
【0040】
また、管状部材13とバーナーケーシング8の接続部15に抵抗板16を設けることで、バーナーケーシング8の内部を高速で流通するガスN、Mに剥離が生じることを抑止でき、ガスN、Mを整流状態で流通させることが可能になる。これにより、この点からも、より確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることが可能になる。
【0041】
以上、本発明に係る反応器の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
例えば、本実施形態では、抵抗板16が多孔板であるものとして説明を行ったが、本発明に係る抵抗板は、発泡金属や吸音材であってもよい。そして、抵抗板として発泡金属を用いた場合には、多孔質の発泡金属の空隙を音エネルギーが通過する際に、その抵抗によって減衰効果を得ることが可能である。また、抵抗板として例えばグラスウール、ロックウールなどの吸音材を用いた場合には、音エネルギーが複雑な構造の吸音材の空隙を通過する際の抵抗によって、やはり、音エネルギーの減衰効果を得ることが可能になる。よって、抵抗板として発泡金属や吸音材を用いることで、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能になる。
【0043】
また、本実施形態では、吸音部12が管状部材13の他端13b側に塞止板14を一体に固定して形成されているものとしたが、図8に示すように、管状部材13の内部Pで進退自在に塞止板14を取り付けて吸音部12を構成するようにしてもよい。さらに、バーナーケーシング8の内部の音を検出するマイクロホンなどの音検出手段20を設け、この音検出手段20で検出したバーナーケーシング8内の音信号をコントローラ(制御手段)21に入力し、コントローラ21からバーナーケーシング8内の音信号に基づいて駆動手段22に動作指令を出力し、駆動手段22の駆動によって塞止板14を進退させてその位置を決めるように構成してもよい。そして、このように塞止板14を進退自在に設けた場合には、管状部材13の内部Pにおける塞止板14を例えば音圧レベルが最も高い周波数の音(音エネルギー)に応じた位置に配置することができ、所望の音圧レベルや波長の音エネルギーを減衰させることが可能になる。よって、より確実且つ効果的に大きな異音の発生を防止することが可能になる。
【0044】
なお、塞止板14を進退自在に設ける場合、塞止板14の外周にOリングなどのシール部材を取り付け、管状部材13の内面との間をシールすればよい。そして、このようなOリングなどのシール部材でシールを行っても、管状部材13の内外の差圧は非常に小さいので、確実にシール効果を得ることが可能である。
【0045】
さらに、図3の破線で示すように、炉体1の内側に内部空間Hを囲むように吸音層23を設けるようにしてもよい。この場合には、炉体1の内側に設けられた吸音層23によって炉体1の炉内音響系の発振に伴い発生する音エネルギーを減衰させることが可能になる。これにより、吸音部12による音エネルギーの減衰効果に加え、炉体1に設けた吸音層23による音エネルギーの減衰効果を得ることができる。
【0046】
さらに、図9に示すように、バーナーケーシング8の内部の音を検出するマイクロホンなどの音検出手段20と、バーナー2に燃料Nを供給する燃料供給ライン10に、音検出手段20で検出した音と逆位相の音を印加するスピーカなどの音印加手段24を備えて、反応器Aを構成してもよい。この場合には、音検出手段20によってバーナーケーシング8の内部の音を検出し、このバーナーケーシング8内の音信号をコントローラ(制御手段)21に入力し、この音と逆位相の音信号を音印加手段24によって燃料供給ライン10に放射して印加する。これにより、燃料変動を抑制することが可能になる。よって、バーナー燃料系と炉内音響系の発振の連成を防止することができ、さらに確実且つ効果的に音エネルギーを減衰させることが可能になる。
【0047】
なお、本発明に係る反応器は、バーナー2で発生した火炎Sによって炉体1の内部空間Hを加熱し、この内部空間H内を流れるガスを加熱して化学反応させるために使用されればよく、特にその用途を限定する必要はない。また、炉体1の構成、バーナー2の数、配置などは、本実施形態のように限定する必要はない。
【符号の説明】
【0048】
1 炉体(炉)
1a 炉壁
1b 後端
1c 前端
2 バーナー
3 炉本体部
4 炉本体部
5 連通部
6 導出部
7 煙突
8 バーナーケーシング
9 スリット部材
10 燃料供給ライン
11 空気導入部材
12 吸音部
13 管状部材
13a 一端
13b 他端
14 塞止板
15 接続部
16 抵抗板
20 音検出手段
21 コントローラ(制御手段)
22 駆動手段
23 吸音層
24 音印加手段
A 反応器(リフォーマ、反応炉、改質炉)
G 生成ガス
H 内部空間
L 管状部材の内部空間の長さ
M 空気
N 燃料
O1 バーナーケーシングの軸線
P 管状部材の内部空間
S 火炎
T1 前後方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーで発生した火炎によって炉体の内部空間を加熱し、該内部空間内を流れるガスを加熱して化学反応させる反応器であって、
前記バーナーのバーナーケーシングの内部と連通させて該バーナーケーシングに一端を接続し、前記バーナーケーシングの軸線と交差する方向に延設された管状部材と、
該管状部材の内部の前記交差方向に沿う所定位置に配置されて前記管状部材の内部空間の長さを調整する塞止板とからなる吸音部を備えていることを特徴とする反応器。
【請求項2】
請求項1記載の反応器において、
前記バーナーケーシングの内部の音圧に応じて、前記管状部材の内部における前記塞止板の位置を調整する制御手段を備えていることを特徴とする反応器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の反応器において、
前記吸音部が、前記管状部材と前記バーナーケーシングの接続部に配設される多孔状の抵抗板を備えていることを特徴とする反応器。
【請求項4】
請求項3記載の反応器において、
前記抵抗板が発泡金属であることを特徴とする反応器。
【請求項5】
請求項3記載の反応器において、
前記抵抗板が吸音材であることを特徴とする反応器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の反応器において、
前記炉体の内側に前記内部空間を囲むように吸音層が設けられていることを特徴とする反応器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の反応器において、
前記バーナーケーシングの内部の音を検出する音検出手段と、前記バーナーに燃料を供給する燃料供給ラインに、前記音検出手段で検出した音と逆位相の音を印加する音印加手段を備えていることを特徴とする反応器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−81393(P2012−81393A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228729(P2010−228729)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】