説明

反応性前駆体組成物及び該組成物を用いた変性反応組成物、並びにそれらの製造方法

【課題】多種の変性剤を適用し得る反応性前駆体組成物、この反応性前駆体組成物を変性して得られ、接着性や相溶化機能などが向上した反応変性組成物、及びこれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】エチレン及びC3-C28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及びC3-C28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーと多官能モノマーとを共重合してなるオレフィン系共重合体[b]を含み、(1)オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]の合計量に対するオレフィン重合体[a]の質量百分率が5〜95質量%、(2)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/g、(3)熱パラキシレン不溶分が1質量%以下、を満足する反応性前駆体組成物、及びこの組成物を変性してなる変性反応組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性前駆体組成物及びこの組成物を用いた変性反応組成物、並びにそれらの製造方法に関し、詳しくは、オレフィン系重合体に対する高濃度の極性付与によって、良好な表面特性や接着性が付与され、塗膜形成が可能な変性反応組成物、この組成物の製造に用いる反応性前駆体組成物及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系重合体は、その分子量、モノマー種又は立体規則性を制御することにより、多岐の用途に用いられている。例えば、低分子量域では燃料油添加剤、離型剤、樹脂流動性向上剤及び粘着剤等に使用されている。また、高分子量体は機械強度と化学的安定性に優れるため、各種成形材料として使用されている。
しかしながら、オレフィン系重合体は極性を持たないため、極性樹脂や極性化合物との相溶化機能や異種界面での界面活性機能が低く、これらを解消することがオレフィン系重合体を種々の用途に展開する際の課題となっている。
そこで、オレフィン系重合体に極性を付与するために、溶融反応により無水マレイン酸のようなα,β−不飽和カルボン酸をラジカル触媒の存在下にオレフィン系重合体を変性するための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、金属触媒を用いて反応性を向上させる方法が、特許文献2には、変性剤を樹脂と均一に混合したものを使用して変性率を向上させる方法が、特許文献3には、変性剤の重合反応性をドナー成分により向上させる方法が、特許文献4には、基材として新たに開発したメタロセン系樹脂を用いる方法が開示されている。
また、重合反応に基づいて変性体を製造する技術として、特許文献5及び6には、オレフィン/ジビニルベンゼン共重合体の未反応不飽和基を反応点として、ビニルモノマーをグラフト重合する技術が開示され、特許文献7及び8には、共重合選択性の高いスチレン誘導体を変性点とした、各種変性反応に適する反応性前駆体が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている技術では変性反応量が十分でなく、また、特許文献5〜8に開示されている技術は、オレフィン主鎖の不飽和残基を活用するため変性率を上げることに可能性を有するが、ゲルが発生しやすく、各種用途展開の際に表面特性が低下するという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−292605号公報
【特許文献2】特開2004−300219号公報
【特許文献3】特開2004−256668号公報
【特許文献4】特開2004−269872号公報
【特許文献5】特開平1−118510号公報
【特許文献6】特開平3−255114号公報
【特許文献7】特開平5−194665号公報
【特許文献8】特開平5−194666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、変性率が高く、熱パラキシレン不溶分の発生量が低く、多種の変性剤を適用し得る反応性前駆体組成物、この反応性前駆体組成物を変性して得られる、接着性、界面活性、相溶化機能が向上した反応変性組成物、及びこれらの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のオレフィン系重合体と特定のオレフィン系共重合体を含み、特定の要件を満足する反応性前駆体組成物により、また、このものを特定の変性剤を用いて変性してなる変性反応組成物により上記目的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下の反応性前駆体組成物及びこの組成物を用いた変性反応組成物、並びにそれらの製造方法を提供するものである。
1. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーと多官能モノマーとを共重合してなるオレフィン系共重合体[b]を含み、以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする反応性前駆体組成物。
(1)オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]の合計量に対するオレフィン重合体[b]の質量百分率が5〜95質量%である。
(2)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(3)熱パラキシレン不溶分が1質量%以下である。
2. 多官能モノマーが、スチレン骨格、α−オレフィン骨格及び環状オレフィン骨格から選ばれる骨格を少なくとも2個有する不飽和化合物又はジビニルベンゼンである上記1に記載の反応性前駆体組成物。
【0006】
3. 上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物を、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤を用いて変性してなり、かつ以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする変性反応組成物。
(1)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(2)熱パラキシレン不溶分が2質量%以下である。
(3)変性剤の含有量が0.1〜50質量%である。
4. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを共重合してオレフィン系共重合体[b]を製造することを特徴とする上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物の製造方法
5. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを上記触媒の存在下で共重合してなるオレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドすることを特徴とする上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
6. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である上記4又は5に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
7. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(3B)有機アルミニウム化合物である上記4又は5に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
【0007】
8. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを共重合してオレフィン系共重合体[b]を製造し、引き続き、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする上記3に記載の変性反応組成物の製造方法。
9. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である上記8に記載の変性反応組成物の製造方法。
10. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(3B)有機アルミニウム化合物である上記8に記載の変性反応組成物の製造方法。
11. 上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物に、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする上記3に記載の変性反応組成物の製造方法。
12. 変性剤をルイス酸との接触混合物として用いる上記8〜11のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
13. 変性剤が、酸素、窒素、硫黄及び珪素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン並びにスチレン誘導体から選ばれる一種以上である上記8〜12のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
14. 上記3に記載の変性反応組成物を含有する接着剤。
15. 上記3に記載の変性反応組成物を含有する相溶化剤。
製造し、引き続き、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする上記3に記載の変性反応組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、変性率が高く、ゲル(熱パラキシレン不溶分)の発生量が低く、多種の変性剤を適用し得る反応性前駆体組成物、この反応性前駆体組成物を変性して得られ、変性部連鎖がブロック状、グラフト状で存在し、オレフィン重合体が有する機能と変性剤が有する機能の両者を併せ持ち、接着性、界面活性、相溶化機能が向上した反応変性組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の反応性前駆体組成物は、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーと多官能モノマーとを重合してなるオレフィン系共重合体[b]を含む。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセンなどが挙げられる。本発明においては、炭素数3〜16のα−オレフィンが好ましい。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
オレフィン系重合体[a]としては、エチレン単独重合体又はエチレン単位を50mol%以上含有するオレフィン系重合体[a−1]、プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50mol%以上含有するオレフィン系重合体[a−2]、炭素数4〜28のα−オレフィンの単独重合体又は炭素数4〜28のα−オレフィンを50mol%以上含有するオレフィン系重合体[a−3]が挙げられる。
オレフィン系重合体[a−1]の具体例としては、HDPE(高密度ポリエチレン)、ワックス、エチレンと炭素数3〜28のα−オレフィン一種以上からなる共重合体(例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/デセン共重合体、エチレン/オクタデセン共重合体及びエチレン/イコセン共重合体など)などを挙げることができる。
【0011】
オレフィン系重合体[a−2]としては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン又はプロピレンと炭素数4〜28のα−オレフィン一種以上からなる共重合体(例えば、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体、プロピレン/デセン共重合体及びプロピレン/イコセン共重合体など)などが挙げられる。
オレフィン系重合体[a−3]としては、炭素数4〜28のα−オレフィンの単独重合体(例えば、ポリブテン、ポリデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン及びポリイコセンなど)、炭素数4〜28のα−オレフィン二種以上、炭素数4〜28のα−オレフィン一種以上とエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体(例えば、デセン/ヘキサデセン共重合体、ヘキサデセン/イコセン共重合体、イコセン/エチレン共重合体、イコセン/プロピレン共重合体及びヘキサデセン/イコセン/ブテン共重合体など)が挙げられる。
上記オレフィン系重合体[a−1]、[a−2]及び[a−3]は、その性質を損なわない範囲において、モノマー成分の中にスチレン、スチレン誘導体又は環状オレフィン類を含んでもよい。
【0012】
オレフィン系重合体[a]の構造は、アタクチック構造、シンジオタクチック構造又はアイソタクチック構造であり、立体規則性については、アイソタクチック構造の場合、メソペンタッド分率[mmmm]が35〜99.9mol%であることが好ましく、シンジオタクチック構造の場合、ラセミペンタッド分率[rrrr]が35〜99.9mol%であることが好ましい。
オレフィン系重合体[a]は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.015〜8dl/g、更に好ましくは0.02〜7dl/g、最も好ましくは0.025〜6dl/gである。この極限粘度[η]が0.01dl/g以上であると、オレフィン系重合体[a]が低分子量体とはならないので、後述する変性反応組成物を成形してなる成形体においてブリードが発生することがない。また、極限粘度[η]が10dl/g以下であると、反応性前駆体組成物の溶融流動性が低下せず、良好な溶融流動性が得られる。
【0013】
オレフィン系重合体[a]の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜15程度、好ましくは1.5〜12、より好ましくは1.8〜10である。この分子量分布が1.5以上であると、反応性前駆体組成物の溶融流動性が低下せず、また15以下であると、低分子量部分の成分の増加が抑制されるので、べたつき成分の増加が抑制され、また、後述する変性反応組成物を成形してなる成形体においてブリードの発生が抑制される。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定して求めた値である。
【0014】
オレフィン系共重合体[b]は、オレフィン系重合体[a]に多官能モノマーが共重合したものである。エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーについてはオレフィン系重合体[a]と同様である。オレフィン系共重合体[b]において、α−オレフィンのモノマー組成及びモノマー種は任意に選択することができる。ただし、α−オレフィンと多官能モノマーとの組み合わせは、オレフィン系共重合体[b]が溶融状態でオレフィン系重合体[a]と相溶する組み合わせ、または、オレフィン系共重合体[b]がオレフィン系重合体[a]と同一溶媒に可溶となる組み合わせが好ましい。
オレフィン系共重合体[b]の立体規則性、極限粘度[η]及び分子量については、オレフィン系重合体[a]と同様である。
【0015】
オレフィン系共重合体[b]における多官能モノマーとしては、重合可能な炭素−炭素不飽和結合を2個以上有するものであればよい。多官能モノマーは一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。多官能モノマーとしては、スチレン骨格、α−オレフィン骨格及び環状オレフィン骨格から選ばれる骨格を少なくとも2個有する化合物及びジビニルベンゼンが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば以下に示す(i)〜(v)の化合物が挙げられる。
(i)スチレン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
一般式(i)
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、R1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、R2はハロゲン原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R3及びR4は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。aは、0〜4の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(i)において、R1で示される炭素数1〜20の二価の炭化水素基は、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基などであり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基あるいはトリレン基等が挙げられる。R2のうちのハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基などのアルキル基に代表される飽和炭化水素基あるいはビニル基などの不飽和炭化水素基などが挙げられる。また、R3及びR4のうちのハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基としては、上記と同じものを挙げることができる。
【0018】
上記一般式(i)で表される化合物として具体的には、一般式(i)中のR1がアルキレン基である場合、例えば、p−(2−プロペニル)スチレン、m−(2−プロペニル)スチレン、p−(3−ブテニル)スチレン、m−(3−ブテニル)スチレン、o−(3−ブテニル)スチレン、p−(4−ペンテニル)スチレン、m−(4−ペンテニル)スチレン、o−(4−ペンテニル)スチレン、p−(7−オクテニル)スチレン、p−(1−メチル−3−ブテニル)スチレン、p−(2−メチル−3−ブテニル)スチレン、m−(2−メチル−3−ブテニル)スチレン、o−(2−メチル−3−ブテニル)スチレン、p−(3−メチル−3−ブテニル)スチレン、p−(2−エチル−3−ブテニル)スチレン、p−(2−エチル−4−ペンテニル)スチレン、p−(3−ブテニル)−α−メチルスチレン、m−(3−ブテニル)−α−メチルスチレン及びo−(3−ブテニル)−α−メチルスチレンなどを挙げることができる。
【0019】
また、一般式(i)中のR1がアリーレン基である場合、例えば、4−ビニル−4’−(3−ブテニル)ビフェニル、4−ビニル−3’−(3−ブテニル)ビフェニル、4−ビニル−4’−(4−ペンテニル)ビフェニル、4−ビニル−2’−(4−ペンテニル)ビフェニル及び4−ビニル−4’−(2−メチル−3−ブテニル)ビフェニルなどを挙げることができる。
(ii)スチレン骨格/スチレン骨格を同一分子内に有する多官能モノマー
一般式(ii)
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、R5は水素原子、ハロゲン原子あるいは炭素原子及び/又は珪素原子を含む置換基、R6はスチレン骨格を有する置換基、bは1〜4の整数を示し、aが2以上の場合、複数のR5は同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物を挙げることができる。この多官能モノマーの具体例としては、ジ(p−ビニルフェニル)メタン、1,3−ビス(p−ビニルフェニル)プロパン及び1,5−ビス(p−ビニルフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
(iii)ジビニルベンゼン
p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びo−ジビニルベンゼンがある。これらの混合物を用いることもできる。
(iv)スチレン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
一般式(iv−1)
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、R8は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル基又はエステル基、R9は炭素数1〜20の炭化水素基、珪素原子含有基、エーテル基又はエステル基、R10は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又は珪素原子含有基を示す。ただし、芳香環と環状オレフィンとが直接結合している場合、R9は不要である。)
で表される化合物、または一般式(iv−2)
【0024】
【化4】

【0025】
(式中、R7 、R8 、R9 及びR10 は上記記と同様であり、nは0以上の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【0026】
【化5】

【0027】
(v)その他の多官能モノマー
α−オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有する多官能モノマー(例えば、1,9−デカジエン及び1,7−オクタジエンなどのα,ω−ジエン化合物)、α−オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有する多官能モノマー(例えば、5−ビニル−2−ノルボルネン及び5−ヘキセニル−2−ノルボルネンなどのω−アルケニル−2−ノルボルネン化合物)などが挙げられる。
【0028】
オレフィン系共重合体[b]における多官能モノマーの含有量は、通常、0を超え20mol%以下、好ましくは15mol%以下、より好ましくは10mol%以下、更に好ましくは8mol%以下、最も好ましくは5mol%以下である。反応性前駆体組成物に多官能モノマーが含まれていると、反応性前駆体組成物としての変性反応性が向上し、20mol%以下であると、反応性前駆体組成物を変性反応に供した場合、不溶不融成分の発生が抑制される。
オレフィン系共重合体[b]においては、その一部に長鎖分岐が存在していてもよい。長鎖分岐の構造としては、分岐が多官能モノマーにより形成されるもの、分岐がビニル不飽和基末端を有するオレフィン重合体(マクロモノマー)により形成されるもの、分岐が多官能モノマーとマクロモノマーの両者が関与する重合反応により形成されるものが挙げられる。
【0029】
オレフィン系共重合体[b]における熱パラキシレン不溶分は、通常0〜5質量%程度であり、好ましくは0〜4質量%、より好ましくは0〜3質量%、更に好ましくは0〜2質量%、最も好ましくは0〜1質量%である。この熱パラキシレン不溶部が5質量%以下であると、反応性前駆体組成物を変性反応に供した場合、不溶不融成分の発生が抑制される。熱パラキシレン不溶分の測定と評価は以下の方法で行うことができる。
ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03mm,目開き0.034mm,空間率27.8%)で作製された籠に、サンプル(反応性前駆体組成物)50mgを入れ、攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコの攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)1gを含む700mlのパラキシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら、サンプルを溶解させた。熱パラキシレン不溶分が入った籠を回収し、十分に乾燥させ、秤量することにより熱パラキシレン不溶分量(メッシュ内残量)を求め、熱パラキシレン不溶分(質量%)を、以下の式により算出する。
熱パラキシレン不溶分=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
熱パラキシレン不溶部分はオレフィン系共重合体[b]において生成するため、上記測定で求めた熱パラキシレン不溶分率を、オレフィン系共重合体[b]の生成率[オレフィン系共重合体[b]/(オレフィン系重合体[a]+オレフィン共重合[b])]で除した値として算出する。
【0030】
本発明の反応性前駆体組成物は、オレフィン重合体[a]とオレフィン共重合体[b]からなる均一組成物であり、オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]の合計量に対するオレフィン重合体[b]の質量百分率([b]×100/([a]+[b]))が5〜95質量%であることを要し、好ましくは8〜92質量%、より好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは12〜87質量%、最も好ましくは15〜85質量%である。この質量百分率が95質量%以下であると、オレフィン系共重合体[b]の濃度が高すぎることがなく適度のものとなるため、不溶不融成分の発生が抑制される。また、5質量%以上であると、変性反応の反応点の減少が抑制されるため、有効な変性反応が促進される。
本発明の反応性前駆体組成物は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gであることを要し、好ましくは0.015〜8dl/g、より好ましくは0.02〜7dl/g、更に好ましくは0.025〜6dl/gである。この極限粘度[η]が0.01dl/g以上であると、反応性前駆体組成物が低分子量体とはならないので、後述する変性反応組成物を成形してなる成形体においてブリードが発生することがない。また、極限粘度[η]が10dl/g以下であると、反応性前駆体組成物の溶融流動性が低下せず、良好な溶融流動性が得られる。
【0031】
本発明の反応性前駆体組成物の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜70程度、好ましくは1.7〜50、より好ましくは1.8〜20である。この分子量分布が1.5以上であると、溶融流動性が向上するという利点があり、また、70以下であると、低分子量成分が少なくなるので、べたつき成分が少なくなるという利点がある。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)測定して求めた値である。
本発明の反応性前駆体組成物は、熱パラキシレン不溶分が1質量%以下であることを要し、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。熱パラキシレン不溶分が1質量%以下であると、反応性前駆体組成物を変性反応に供した場合、不溶不融成分の発生が抑制される。なお、この熱パラキシレン不溶分は、上記オレフィン系共重合体[b]における熱パラキシレン不溶分の測定と同様の方法で行うことができ、上述したように以下の式により算出された値(質量%)である。
熱パラキシレン不溶分=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
【0032】
本発明の反応性前駆体組成物は、例えば、(1)オレフィン系重合体[a]を製造した(以下、重合工程[I]と称することがある。)後、引き続き、オレフィン系共重合体[b]を製造する(以下、重合工程[II]と称することがある。)方法、(2)オレフィン系重合体[a]と、オレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドする方法により製造することができる。
オレフィン系重合体[a]の製造における重合、あるいはオレフィン系共重合体[b]の製造における共重合は、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で行う。
このような触媒としては、(A)成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)成分が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である触媒(触媒[1])、(A)成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)成分が、(3B)有機アルミニウム化合物である(触媒[2])などが挙げられる。
【0033】
触媒[1]において、(1A)成分の周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分としては、シクロペンタジエニル骨格を有する遷移金属化合物、キレート化合物及び下記一般式(A−1)
MR11a12b13c14d (A−1)
(式中、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示し、R11,R12,R13,及びR14はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R11,R12,R13,及びR14は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。)
から選ばれる金属化合物を挙げることができる。
シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第3〜10族、好ましくは第4族の遷移金属化合物としては、例えば、一般式(A−2)、(A−3)及び(A−4)で表される化合物から選ばれる一種以上を挙げることができる。
一般式(A−2)、(A−3)及び(A−4)で表される化合物は、
CpM115e16f17 (A−2)
Cp2115h16i (A−3)
(Cp−A−Cp)M115h16i (A−4)
[式(A−2)〜(A−4)において、M1は周期律表3〜10族、好ましくは第4族遷移金属(チタン,ジルコニウム又はハフニウムなど)を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基,置換フルオレニル基,オクタヒドロフルオレニル基,置換オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基、置換アズレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基及び置換ヘキサヒドロアズレニル基から選ばれる基を示し、R15,R16及びR17は、それぞれ独立に配位子を示し、Aは共有結合による架橋を示す。e,f及びgはそれぞれ0〜3の整数を、h及びiはそれぞれ0〜2の整数を示す。R15,R16及びR17は、その2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。式(A−3)式及び式(A−4)において、2つのCpは同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。]
である。
【0034】
Cp上の置換基としては、それぞれ独立に水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基が挙げられ、互いに隣接する置換基は結合して環を形成していてもよい。ハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,n−ヘキシル基,n−デシル基などのアルキル基、フェニル基,1−ナフチル基,2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ、また炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が挙げられる。また、隣接する基のうちの少なくとも一組は互いに結合して環を形成していてもよい。隣接する基が環を形成した例として、インデニル基の場合、例えば4,5−ベンゾインデニル基,α−アセトインデニル基及びその炭素数1〜10のアルキル置換体などを挙げることができる。
上記式(A−2)〜(A−4)におけるR15,R16及びR17は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,珪素原子を含む置換基などを例示でき、また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。R15,R16及びR17は、その2以上が互いに結合して環を形成してもよい。上記Cpが置換基を有する場合には、該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
【0035】
15,R16及びR17の具体例としては、例えばハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基,2,4,6−トリメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピル−4−メチルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ基、炭素数2〜20のアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,ジイソプロピルアミノ基,ジ−n−ブチルアミノ基,ジフェニルアミノ基,ビス(2,6−ジメチルフェニル)アミノ基,ビス(トリメチルフェニル)アミノ基、炭素数3〜50のアミジナート基としてN,N'−ジメチルトリルアミジナート基,N,N'−ジフェニルトリルアミジナート基,N,N'−ジシクロヘキシルトリルアミジナート基,N,N'−ベンズアミジナート基,N,N'−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート基、炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシルカルボニルオキシ基、珪素原子を含む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリル)メチル基、ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エチルベンゾエートなどのエステル類、アセトニトリル;ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリメチルアミン;トリエチルアミン;トリブチルアミン;N,N−ジメチルアニリン;ピリジン;2,2'−ビピリジン;フェナントロリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、エチレン;ブタジエン;1−ペンテン;イソプレン;ペンタジエン;1−ヘキセン及びこれらの誘導体などの鎖状不飽和炭化水素、ベンゼン;トルエン;キシレン;シクロヘプタトリエン;シクロオクタジエン;シクロオクタトリエン;シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体などの環状不飽和炭化水素などが挙げられる。
【0036】
また、上記式(A−4)におけるAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR18−、−PR18−、−P(O)R18−、−BR18−又は−AlR18−を示し、R18は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、メチレン基,ジメチルメチレン基,1,2−エチレン基,ジメチル−1,2−エチレン基,1,4−テトラメチレン基,1,2−シクロプロピレン基などのアルキレン基、ジフェニルメチレン基などのアリールアルキレン基などが挙げられる。炭素数1〜20の二価のハロゲン含有炭化水素基としては、クロロエチレン基,クロロメチレン基などが挙げられる。二価の珪素含有基としては、メチルシリレン基,ジメチルシリレン基,ジエチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基などが挙げられる。ゲルマニウム含有基、スズ含有基としては、上記珪素含有基において、珪素をゲルマニウム又はスズに置換した基を挙げることができる。
【0037】
上記一般式(A−2)で表される化合物としては、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,(シクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム,(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(トリメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(テトラメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2,6−イソプロピルフェノキシ)ジクロロチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(N,N'−ジフェニルトリルアミジナート)ジクロロチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタン,(オクタヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(1,2−ジメチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(2−メチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(1,3−ジメチルテトラヒドロアズレニル)トリメトキシチタンなどが挙げられる。
【0038】
上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5の化合物が挙げられる。特に好ましいのは置換基数4又は5の化合物であり、特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,及びこれらの化合物においてジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたものが挙げられる。
また、上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、チタン錯体が挙げられる。更に好ましくは一般式(A−2)において、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5のチタン化合物が好ましい。特に好ましいのは置換基数4又は5のチタン化合物であり、更に置換基が互いに環を形成したチタン化合物が好ましい。特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(シクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(オクタヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(2−メチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(1,2−ジメチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(2−(トリメチルシリルメチル)テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタンなどが挙げられる。
【0039】
上記一般式(A−3)で表される化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム,ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム,ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム,[(CH3552Hf(CH2Ph)2,[(CH3552Hf(C64−p−CH32,[(CH3552Zr(C64−p−CH32,[(CH3552Hf(CH32,[(C25552Hf(CH32,[(nC37552Hf(CH32,[(nC37552Zr(CH32,[(CH3552HfH(CH3),[(C25552HfH(CH3),[(C257552ZrH(CH3),[(CH3552Hf(H)2,[(CH3552Zr(H)2,[(C25)(CH3452Hf(CH32,[(C25)(CH3452Zr(CH32,[(nC37)(CH3452Hf(CH32,[(nC37)(CH3452Zr(CH32,[(nC49)(CH3452Hf(CH32,[(nC49)(CH3452Zr(CH32,[(CH3552HfCl2,[(CH3552HfH(Cl),[(CH3552ZrH(Cl)などが挙げられる。
【0040】
上記一般式(A−3)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、フルオレニル骨格を有する、無置換及び置換体が挙げられる。更に、置換基数1〜5のアルキル置換シクロペンタジエニルが好ましく、アルキル置換インデニルとしては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位アルキル基を有するものが好ましい。好ましいものの例示として、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,及びジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたもの、ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム,ジクロロ[ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム,ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウムが挙げられ、ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ハフニウムが最も好ましい。
【0041】
上記一般式(A−4)で表される化合物としては、例えば、メチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(インデニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム,エチレンビス(インデニル)クロロメチルジルコニウム,エチレンビス(インデニル)クロロメトキシジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジエトキシジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム,エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(2−エチルインデニル)ジクロロジルコニウム,エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,エチレン(2−メチル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(3'−t−ブチル−5'−メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,エチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2',4',5'−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデンビス(2−メチル−4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(3'−t−ブチル−5'−メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,シクロヘキシリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,
【0042】
ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3',5'−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2',4',5'−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジフェニレンシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,テトラメチルジシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,テトラメチルジシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジシクロヘキシルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,ジシクロヘキシルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ジシクロヘキシルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,メチルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルホスフィノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンボラノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアミノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(3−メチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フェナントレル)ジクロロジルコニウムなどを挙げることができる。
【0043】
また、上記一般式(A−4)で表される化合物としては、特開平6−184179号公報,特開平6−345809号公報などに記載されている化合物を挙げることができる。具体例としては、rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ブタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−α−メチル−α−アセナフトインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−α−アセナフトインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどのベンゾインデニル型又はアセナフトインデニル型化合物、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものなどを挙げることができる。
【0044】
さらに、上記一般式(A−4)で表される化合物としては、特開平4−268308号公報,同5−306304号公報,同6−100579号公報,同6−157661号公報,同7−149815号公報,同7−188318号公報,同7−258321号公報などに記載されている化合物を挙げることができる。
一般式(A−4)で表される化合物の具体例としては、ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−[2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−[2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル]ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−[2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,
【0045】
フェニルメチルシランジイル−ビス−1−[2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル]−ジルコニウムジクロリドなどのアリール置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−第三ブチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−エチル−4−メチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2,4−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)−ジルコニウムジメチルなどの2,4−位置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(3,4,7−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−ブタンジイル−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの4,7−位,2,4,7−位又は3,4,7−位置換体,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,
【0046】
rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジフェニルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2,4,6−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの2,4,6−位置換体,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2,5,6−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの2,5,6−位置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロー1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−エチレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジメチル,rac−エチレン−ビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジメチル,rac−エチレン−ビス−(4,7−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの4,5,6,7−テトラヒドロインデニル化合物など、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものなどを挙げることができる。
【0047】
一般式(A−4)で表される遷移金属化合物の好ましいものとして、C2対称構造のものが挙げられ、ラセミ型架橋インデニル錯体及びラセミ型架橋置換インデニル錯体、ラセミ型架橋シクロペンタジエニル錯体及びラセミ型架橋置換シクロペンタジエニル錯体が好ましい。置換インデニル錯体としては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位に置換基を有するものが好ましく、置換シクロペンタジエニル錯体としては、2,4位、2,3,5位に置換基を有するものが好ましい。特に好ましい例示としては、ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド,ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジメチル,ラセミ−エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレン)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0048】
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、高い立体規則性[mmmm]を発現させるC2対称構造のラセミ体が挙げられる。このラセミ体のうち、置換インデニル錯体としては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位に置換基を有するものが好ましく、置換シクロペンタジエニル錯体としては、2,4位、2,3,5位に置換基を有するものが好ましい。特に好ましい例示としては、ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、低い立体規則性[mmmm]を発現させるものが挙げられ、無置換インデニル錯体及び置換シクロペンタジエニル錯体(3位、3,4位)が好ましい。無置換インデニル錯体としては、ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド,ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジメチルが挙げられ、置換シクロペンタジエニル錯体としては、ラセミ−ジメチルシランジイルビス(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
【0049】
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、Cs対称構造を有するものが挙げられる。好ましい例示としては、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−シクロペンタ[1]フェナンスレル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フェナントリル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
【0050】
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、メソ体が挙げられる。好ましい例示としては、メソ−メチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメチルジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメトキシジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)ジエトキシジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(4,5,6,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンビス(2−メチルインデニル)ジメチルジルコニウム,メソ−エチレンビス(2−エチルインデニル)ジメチルジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルメチルシリレンビス(4,5,6,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジフェニレンシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−テトラフェニルジシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−メチルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルホスフィノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンボラノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルアミノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウムなどか挙げられる。
【0051】
シクロペンタジエニル骨格を有する二架橋の遷移金属化合物は、下記一般式(A−5)で表され、アイソタクチックポリマーを合成できる、C2対称及びC1対称の遷移金属化合物である。
【0052】
【化6】

【0053】
上記一般式(A−5)において、Mは周期律表第3〜10族の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属などが挙げられるが、これらの中ではオレフィン重合活性などの点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適である。
1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基[>CR−,>C<]及び珪素含有基[>SiR−,>Si<](但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。また、E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
【0054】
また、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。該Xの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィン基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。
一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1,E2又はXと架橋していてもよい。該Yのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。
【0055】
次に、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR19−、−PR19−、−P(O)R19−、−BR19−又は−AlR19−を示し、R19は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。このような架橋基としては、例えば、一般式
【0056】
【化7】

【0057】
(Dは炭素、珪素、ゲルマニウム又はスズ、R21及びR22はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、又互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中では、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。cは1〜5の整数で[(Mの原子価)−2]を示し、dは0〜3の整数を示す。
このような一般式(A−5)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(A−5a)
【0058】
【化8】

【0059】
で表される二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物が好ましい。
上記一般式(A−5a)において、M,A1,A2,c及びdは、一般式(A−5)と同じである。X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(A−5)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(A−5)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
23〜R28はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R23〜R28は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。なかでも、R25とR26は環を形成していること及びR27とR28は環を形成していることが好ましい。R23及びR24としては、酸素、ハロゲン、珪素などのヘテロ原子を含有する基が、重合活性が高くなり好ましい。
【0060】
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子間の架橋基に珪素を含むものが好ましい。
一般式(A−5)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−イソプロピリデン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,
【0061】
(1,2'−メチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
【0062】
(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(4,7−ジ−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
【0063】
(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジフェニルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジフェニルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジフェニルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジフェニルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,
【0064】
(1,2'−ジフェニルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジフェニルシリレン)(2,1'−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−エチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3'−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
【0065】
(1,2'−イソプロピリデン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−エチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1'−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
【0066】
(1,2'−メチレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−イソプロピリデン)(2,1'−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンジエニル)(3'−メチル−5'−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
【0067】
(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−フェニルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−エチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−エチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−エチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
【0068】
(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−エチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−エチルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−メチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,
【0069】
(1,2'−メチレン)(2,1'−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3'−メチル−5'−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジイソプロピルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジイソプロピルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレンインデニル)(2,2'−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレンインデニル) (2,2'−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2'−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0070】
(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレン)(2,2'−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジイソプロピルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジイソプロピルシリレン)(2,2'−ジイソブロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレン)(2,2'−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジフェニルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジイソプロピルシリレン)(2,2'−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジメチルシリレン)(2,2'−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1'−ジイソプロピルシリレン)(2,2'−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドなど及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。もちろんこれらに限定されるものではない。また、他の族又はランタノイド系列の金属元素の類似化合物であってもよい。
また、上記化合物において、(1,1'−)(2,2'−)が(1,2'−)(2,1'−)であってもよく、(1,2'−)(2,1'−)が(1,1'−)(2,2'−)であってもよい。
【0071】
シクロペンタジエニル骨格を有する拘束幾何化合物としては、下記一般式(A−6)で表される化合物が挙げられる。
【0072】
【化9】

【0073】
[式中、M2はチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレニル基などの環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基を示す。X2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。ZはSiR292,CR292,SiR292SiR292,CR292CR292,CR292CRR292CRR292,CR29=CR29,CR292SiR292又はGeR292を示し、Y2は−N(R30)−,−O−,−S−又は−P(R30)−を示す。上記R29は水素原子又は20個までの非水素原子をもつアルキル,アリール,シリル,ハロゲン化アルキル,ハロゲン化アリール基及びそれらの組合せから選ばれる基であり、R30は炭素数1〜10のアルキル若しくは炭素数6〜10のアリール基であるか、または1個若しくはそれ以上のR29と30個までの非水素原子の結合環系を形成してもよい。sは1又は2を示す。]
【0074】
上記一般式(A−6)で表される化合物の具体例としては、(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド:(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロリド;(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド:(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1.2−エタンジイルチタンジクロリド;(エチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−メチレンチタンジクロリド:(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド:(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−インデニル)シランチタンジクロリド:(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル;(ベンジルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η5−シクペンタジエニル)シランチタンジクロリド;(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなどが挙げられる。(A−6)成分としてはM2がチタンであるものが好ましい。(A−6)成分は、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(A−6)で表される化合物の好ましいものとして、一般式(A−6)における例示の全てが挙げられる。特に好ましいものとして、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジインチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジメチル,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジメトキシド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−インデニル)シランチタンジクロリドなどが挙げられる。
【0075】
(1A)成分のうちのキレート化合物としては、一般キレート型錯体を挙げることができる。具体的には、ジブロモ(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケル、ジブロモ(1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン)ニッケル、ジブロモ(1,1'−ジフェニルビスホスフィノフェロセン)ニッケル、ジメチル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケル、メチル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケルテトラフルオロボレート、(2−ジフェニルホスフィノ−1−フェニルエチレンオキシ)フェニルピリジンニッケル、ジクロロ(1,2−ビスフェニルホスフィノエタン)パラジウム、ビス(2,2'−ビピリジン)メチル鉄テトラフルオロボレートエーテラート、1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−トリイルチタニウムクロリド、7−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4−ジイルチタニウムジクロリド、4,7−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン−1−イルチタニウムトリクロリドなどを挙げることができる。
【0076】
さらに、Gibson型錯体;ジイミン化合物を配位子とするBrookhert型錯体;、ビス[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、
ビス(N,N’−ジフェニルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N’−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N’−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニル[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド及びシクロペンタジエニル(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリドなどのアミジナート型錯体;下記化学式
【0077】
【化10】

【0078】
(式中、Meはメチル基を示し、tBuはt−ブチル基を示す。)
で表される化合物などの二つの錯体の配位子間が、アルキレン基やシリレン基を介して結合した二核錯体などを挙げることができる。
一般式(A−1)
MR11a12b13c14d (A−1)
で表される化合物において、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示す。具体的にはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、R11,R12,R13及びR14は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,珪素原子を含む置換基などを例示できる。また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。a,b,c及びdは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。R11,R12,R13及びR14は、その2以上が互いに結合して環を形成してもよい。
【0079】
11〜R14の具体例としては、例えばハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基,2,4,6−トリメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピル−4−メチルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ基、炭素数2〜20のアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,ジイソプロピルアミノ基,ジ−n−ブチルアミノ基,ジフェニルアミノ基,ビス(2,6−ジメチルフェニル)アミノ基,ビス(トリメチルフェニル)アミノ基、炭素数3〜50のアミジナート基としてN,N'−ジメチルトリルアミジナート基,N,N'−ジフェニルトリルアミジナート基,N,N'−ジシクロヘキシルトリルアミジナート基,N,N'−ベンズアミジナート基,N,N'−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート基、炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシルカルボニルオキシ基、珪素原子を含む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリル)メチル基、ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エチルベンゾエートなどのエステル類、アセトニトリル;ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリメチルアミン;トリエチルアミン;トリブチルアミン;N,N−ジメチルアニリン;ピリジン;2,2'−ビピリジン;フェナントロリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、エチレン;ブタジエン;1−ペンテン;イソプレン;ペンタジエン;1−ヘキセン及びこれらの誘導体などの鎖状不飽和炭化水素、ベンゼン;トルエン;キシレン;シクロヘプタトリエン;シクロオクタジエン;シクロオクタトリエン;シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体などの環状不飽和炭化水素などが挙げられる。
上記一般式で表される遷移金属化合物の具体例としては、四塩化チタン,三塩化チタン,テトラエトキシチタン,テトラブトキシチタン,ジメトキシジクロルチタン,アセチルアセトナートチタン,ビス(N,N'−ジシクロヘキシルトリルアミジナート)ジクロロチタン、上記遷移金属化合物が塩化マグネシウムに担持したもの、更には電子供与体を含有するもので、チタン/マグネシウム/塩素又はこれに電子供与体を含有するものを例示することができる。
上記一般式で示した遷移金属化合物のうち、少なくとも2個のハロゲン原子又はアルコキシ基、あるいはそれぞれ2個のハロゲン原子とアルコキシ基が中心金属に結合した遷移金属化合物と、一般式(I)〜(VI)
【0080】
【化11】

【0081】
で表されるジオールとの反応生成物も用いることができる。
上記一般式(I)〜(VI)で表される化合物において、R31及びR32は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Y3は炭素数1〜20の炭化水素基、
【0082】
【化12】

【0083】
で示される基(ここで、R37は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)である。R31,R32及びY3で表される炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレン,ジフェニルメチレン,エチリデン,n−プロピリデン,イソプロピリデン,n−ブチリデン,イソブチリデン基などが挙げられるが、これらの中で、メチレン,エチレン,エチリデン,イソプロピリデン及びイソブチリデン基が好適である。nは0以上の整数を示すが、特に0又は1が好ましい。
【0084】
また、R33,R34,R35及びR36は、それぞれ炭素数1〜20の炭化水素基,水酸基,ニトロ基,ニトリル基,ヒドロカルビロキシ基又はハロゲン原子を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,t−ブチル,n−アミル,イソアミル,n−ヘキシル,n−ヘプチル,n−オクチル,n−デシル,n−ドデシル基などのアルキル基、フェニル,ナフチル基などのアリール基、シクロヘキシル,シクロペンチル基などのシクロアルキル基、プロペニル基などのアルケニル基、ベンジル基などのアラルキル基を挙げることができるが、これらの中で炭素数1〜10のアルキル基が好適である。a,b,c,d,e,f,g及びhは、芳香族環に結合している置換基の数を表し、a,b,e及びfは0〜4の整数、c及びgは0〜2の整数、d及びhは0〜3の整数を示す。
該遷移金属化合物と、上記一般式(I)〜(VI)で表されるジオールとの反応生成物の一例としては、一般式(VII)
【0085】
【化13】

【0086】
で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(VII)において、M7はチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、E1及びE2は、炭素数1〜20の炭化水素基で、r及びsは、それぞれ0又は1を示し、E1及びE2は、Y4を介して架橋構造を形成するものである。E3及びE4は、σ結合性配位子、キレート性の配位子又はルイス塩基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。
t及びuは、それぞれ0〜2の整数〔t+u(M7の原子価−2)の整数〕を示す。Y4は炭素数1〜20の炭化水素基,E565,酸素原子又は硫黄原子を示し、mは0〜4の整数を示す。E5及びE6は、炭素数1〜20の炭化水素基、Y5は炭素原子又は珪素原子を示す。
一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものとして、TiCl4,三塩化チタン、Ti(OEt)4,Ti(OnBu)4及びこれらのチタン化合物とマグネシウム/塩素/電子供与体からなるものが挙げられる
【0087】
触媒[1]において、(1B)アルミノキサン及び(2B)上述の遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上を助触媒成分として用いる。(1B)アルミノキサンとしては、一般式(B−1)
【0088】
【化14】

【0089】
(式中、R41は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基などの炭化水素基あるいはハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。なお、各R41は同じでも異なっていてもよい。)
で表される鎖状アルミノキサン、及び一般式(B−2)
【0090】
【化15】

【0091】
(式中、R41及びwは上記一般式(B−1)におけるものと同じである。)
で表される環状アルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1) 有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2) 重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3) 金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4) テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、更に水を反応させる方法などがある。
【0092】
アルミノキサンとしては、炭化水素溶媒に不溶性のものであってもよいし、炭化水素溶媒に可溶であってもよい。好ましくは、炭化水素溶媒に可溶であって、かつ 1H−NMRより測定した残留有機アルミニウム化合物(アルミノキサン以外の有機アルミニウム化合物)が10質量%以下の場合である。更に好ましくは、残留有機アルミニウム化合物が3〜5質量%以下、特に好ましくは、2〜4質量%以下である。このようなアルミノキサンを用いると、アルミノキサンが担体に担持される割合(担持率とも言う)が増加し好ましい。更に炭化水素溶媒に可溶であるので、担持されなかったアルミノキサンをリサイクルして再使用することができるという利点もある。更に、アルミノキサンの性状が安定しているので、使用に際して特に処理を必要としないという長所もある。また、このようなアルミノキサンを用いると重合により得られるポリオレフィンの平均粒径や粒径分布(総称してモルフォロジーとも言われる)が向上し、好ましい。残留有機アルミニウム化合物が10質量%を超えると担持率が低下し、重合活性が低下することがある。
【0093】
このようなアルミノキサンを得る方法としては、例えば、アルミノキサンの溶液を加温減圧により溶媒を留去し乾固させる方法(ドライアップ法とも言う)が挙げられる。ドライアップ法では、加温減圧による溶媒の留去は90℃以下が好ましく、更に好ましくは、80℃以下である。
また、アルミノキサンから炭化水素溶媒に不溶な成分を除去する方法としては、例えば、炭化水素溶媒に不溶な成分を自然沈降させ、その後デカンテーションにより分離する方法が挙げられる。あるいは遠心分離等の操作により分離する方法でもよい。その後、更に回収した可溶解成分をG5ガラス製フィルター等を用い、窒素気流下にてろ過した方が不溶な成分が充分除去されるので好ましい。このようにして得られるアルミノキサンは時間の経過とともにゲル成分が増加することがあるが、調製後48時間以内に使用することが好ましく、調製後直ちに使用することが特に好ましい。アルミノキサンと炭化水素溶媒の割合は、特に制限はないが、炭化水素溶媒1Lに対しアルミノキサン中のアルミニウム原子が0.5〜10molとなるような濃度で用いることが好ましい。
なお、上記の炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等芳香族炭化水素やペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等脂肪族炭化水素やシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等脂環式炭化水素やナフサ、ケロシン、ライトガスオイル等石油留分等が挙げられる。
【0094】
一方、(2B)成分としては、上記(1A)成分の遷移金属化合物と反応して、イオン性の化合物を生成するイオン化剤であれば、いずれのものでも使用できるが、特に効率的に重合活性点を形成できるなどの点から、下記一般式(B−3),(B−4)
([L1−R50k+a([Z]-b ・・・(B−3)
([L2k+a([Z]-b ・・・(B−4)
(ただし、L2はM4、R51525、R533C又はR545である。)
[(B−3),(B−4)式中、L1はルイス塩基、[Z]-は、非配位性アニオン[Z1-及び[Z2-、ここで[Z1-は複数の基が元素に結合したアニオンすなわち[M312・・・Gf-(ここで、M3は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは[(中心金属M3の原子価)+1]の整数を示す。)、[Z2-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組み合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R50は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R51及びR52はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R53は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R54はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは[L1−R50],[L2]のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M4は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M5は、周期律表第7〜12族元素を示す。]
で表されるものを好適に使用することができる。
【0095】
ここで、L1 の具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン,ジフェニルホスフィンなどのホスフィン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、安息香酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル類などを挙げることができる。
【0096】
50の具体例としては水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができ、R51,R52の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などを挙げることができる。
53の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基などを挙げることができ、R54の具体例としてはテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン,アリル,メタリルなどを挙げることができる。
また、M4の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3などを挙げることができ、M5の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
【0097】
また、[Z1-、すなわち[M312・・・Gf]において、M3の具体例としてはB,Al,Si,P,As,Sbなど、好ましくはB及びAlが挙げられる。また、G1,G2〜Gfの具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−イコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素などが挙げられる。
【0098】
また、非配位性のアニオンすなわちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組み合わせの共役塩基[Z2-の具体例としてはトリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CF3SO3-,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド,過塩素酸アニオン(ClO4-,トリフルオロ酢酸アニオン(CF3CO2-,ヘキサフルオロアンチモンアニオン(SbF6-,フルオロスルホン酸アニオン(FSO3-,クロロスルホン酸アニオン(ClSO3-,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO3/SbF5-,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化砒素(FSO3/AsF5-,トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CF3SO3/SbF5-などを挙げることができる。二核アニオンとしては、下記式
【0099】
【化16】

【0100】
で表されるものが挙げられる。
このような化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,
【0101】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル) 硼酸メチル( 4−シアノピリジニウム) ,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス[ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル]硼酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1'−ジメチルフェロセニウム) ,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀などを挙げることができる。(2B)成分としては、上記の硼素化合物が好ましい。
この(2B)成分のイオン化剤は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
上記(1A)成分の使用量は、通常3×10-9〜1×10-3mol/L程度であり、上記一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5)又は(A−6)で表される化合物を用いる場合、その濃度は3×10-9〜5×10-4mol/Lが好ましく、より好ましくは1×10-8〜1×10-4mol/Lである。また、上記一般式(A−1)で表される化合物を用いる場合、その濃度は1×10-8〜1×10-4mol/Lが好ましく、より好ましくは1×10-7〜5×10-4mol/Lである。
助触媒成分である上記(1B)アルミノキサン又は(2B)イオン化剤と、上記(1A)成分との使用割合は、(1A)成分1molに対して、(1B)又は(2B)成分104〜109molが好ましく、より好ましくは2×104〜108molである。助触媒成分として(1B)アルミノキサンを用いる場合、(1A)/(1B)はモル比で、好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲である。この範囲にあれば、単位質量ポリマー当りの触媒コストがあまり高くならず、実用的である。また、助触媒成分として(2B)イオン化剤を用いる場合、(1A)/(2B)はモル比で、好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10の範囲である。上記範囲にあれば、単位質量ポリマー当りの触媒コストがあまり高くならず、実用的である。
(1B)成分及び(2B)成分は、それぞれ単独で又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0103】
本発明において用いる触媒[1]は、上記(1A)触媒成分、(1B)成分及び/又は(2B)成分に加えて(1C)アルキルアルミニウム化合物を含有するものであってもよい。(1C)成分のアルキルアルミニウム化合物としては、下記一般式
vAlQ3-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である)
で表される化合物が用いられる。
上記一般式で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。この中でトリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。
これらのアルキルアルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
(1A)触媒成分と(1C)アルキルアルミニウム化合物の使用割合(1A)/(1C)は、モル比で通常1/1〜1/20000、好ましくは1/5〜1/2000、より好ましくは1/10〜1/1000である。(1C)成分の使用量が少なすぎると活性向上効果が小さく、多すぎると重合体中のアルミニウム残渣が多くなるおそれがある。
【0104】
本発明において、触媒[I]は、非担持触媒及び担持触媒のいずれであってもよく、また、予備重合を行わないものでも予備重合を行ったもののいずれも用いることができる。また、上述した重合工程[I]と重合工程[II]とで同一の触媒を用いることもできる。
非担持触媒は、グラフト共重合を実施する以前に予備重合を行なうことが好適である。予備重合において用いる単量体としては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類、スチレン類及びポリエンなどが挙げられる。具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。この中で、重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン及びプロピレンである。単量体の濃度は10mmol/L〜20mol/Lが好ましい。
【0105】
触媒[2]において、触媒成分としては、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む。(2A)三塩化チタン系化合物としては、TiCl4を水素原子で還元したもの[TiCl3(H)]、チタン金属で還元したもの[TiCl3(T)]、アルミニウム金属で還元したもの[TiCl3(A)]及び有機アルミニウム金属で還元したもの(例えばジエチルアルミニウムクロライド還元によるTiCl3)などを始めとして多くの種類がある。本発明においては、使用するTiCl3の種類によって触媒活性に差が生ずる場合があって、得られる触媒性能は必ずしも同一となるものではないが、いわゆるチーグラー触媒(チーグラー・ナッタ触媒を含む)の三塩化チタン系触媒成分として使用しうるものはすべて使用することができる。従って、この三塩化チタン系触媒成分は純粋にTiCl3である必要はなく、例えばTiCl3(A)において1/3molのAlCl3が付加したものでもよく、事後的に電子供与体等の補助成分を導入したものでもよく、あるいは不可避的又は目的意識的に少量の未還元のTiCl4、過還元のTiCl2若しくは還元剤の酸化生成物等を含むものであってもよい。
【0106】
(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒としては、特開昭53−45688号公報、特開昭54−3894号公報、特開昭54−31092号公報、特開昭54−39483号公報、特開昭54−94591号公報、特開昭54−118484号公報、特開昭54−131589号公報、特開昭58−5309号公報、特開昭58−5310号公報、特開昭58−5311号公報、特開昭58−8706号公報、特開昭58−27732号公報、特開昭58−32604号公報、特開昭58−32605号公報、特開昭58−67703号公報、特開昭58−117206号公報、特開昭58−127708号公報、特開昭58−183708号公報、特開昭58−183709号公報、特開昭59−149905号公報、特開昭59−149906号公報、特開昭64−69608号公報、特開平10−25318号公報及び特開平11−269218号公報等に記載のものを用いることができる。
【0107】
上記のチタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒においては、チタン化合物及びマグネシウム化合物のうちの少なくとも一方がハロゲン元素を含むものであるか、あるいは他の成分がハロゲン元素を含むものであればよい。チタン化合物としては、テトラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン;四塩化チタン,四臭化チタン,四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン;メトキシチタントリクロリド,エトキシチタントリクロリド,プロポキシチタントリクロリド,n−ブトキシチタントリクロリド,エトキシチタントリブロミド等のトリハロゲン化アルコキシチタン;ジメトキシチタンジクロリド,ジエトキシチタンジクロリド,ジイソプロポキシチタンジクロリド,ジ−n−プロポキシチタンジクロリド,ジエトキシチタンジブロミド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;トリメトキシチタンクロリド,トリエトキシチタンクロリド,トリイソプロポキシチタンクロリド,トリ−n−プロポキシチタンクロリド,トリ−n−ブトキシチタンクロリド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタンなどを挙げることができる。これらの中で、重合活性の面から、高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
マグネシウム化合物としては、ジメチルマグネシウム,ジエチルマグネシウム,ジイソプロピルマグネシウム,ジブチルマグネシウム,ジヘキシルマグネシウム,ジオクチルマグネシウム,エチルブチルマグネシウム,ジフェニルマグネシウム,ジシクロヘキシルマグネシウム等のアルキルマグネシウム,アリールマグネシウム;ジメトキシマグネシウム,ジエトキシマグネシウム,ジプロポキシマグネシウム,ジブトキシマグネシウム,ジヘキシロキシマグネシウム,ジオクトキシマグネシウム,ジフェノキシマグネシウム,ジシクロヘキシロキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム,アリロキシマグネシウム;エチルマグネシウムクロリド,ブチルマグネシウムクロリド,ヘキシルマグネシウムクロリド,イソプロピルマグネシウムクロリド,イソブチルマグネシウムクロリド,t−ブチルマグネシウムクロリド,フェニルマグネシウムブロミド,ベンジルマグネシウムクロリド,エチルマグネシウムブロミド,ブチルマグネシウムブロミド,フェニルマグネシウムクロリド,ブチルマグネシウムイオダイド等のアルキルマグネシウムハライド,アリールマグネシウムハライド;ブトキシマグネシウムクロリド,シクロヘキシロキシマグネシウムクロリド,フェノキシマグネシウムクロリド,エトキシマグネシウムブロミド,ブトキシマグネシウムブロミド,エトキシマグネシウムイオダイド等のアルコキシマグネシウムハライド,アリロキシマグネシウムハライド;塩化マグネシウム,臭化マグネシウム,ヨウ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム等を挙げることができる。
これらのマグネシウム化合物の中でも、重合活性及び立体規則性の面から、マグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライドが好適に使用できる。上記のマグネシウム化合物は、金属マグネシウム、またはマグネシウムを含有する化合物から調製することができる。
【0109】
触媒成分(3A)は、(i)チタン化合物及び(ii)マグネシウム化合物に加えて(iii)電子供与性化合物(a)を含むものであってもよい。この電子供与性化合物(a)としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等のエーテル類等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。これらの中では、多価カルボン酸のエステル類が好ましく、更に好ましくは、芳香族多価カルボン酸のエステル類である。重合活性の面から、特に芳香族ジカルボン酸のモノエステル及び/またはジエステルが好ましい。また、エステル部の有機基が直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素が好ましい。
具体的には、フタル酸、ナフタレン−1,2−ジカルボン酸,ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸、インダン−4,5−ジカルボン酸、インダン−5,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジエステル類が好ましく、また、エステル部の有機基の炭素数が4個以上の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素が好ましい。
この具体例としては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジエチルなどを好ましく挙げることができる。また、これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
触媒成分(3A)は、(i)チタン化合物、(ii)マグネシウム化合物及び(iii)電子供与性化合物(a)に加えて(iv)珪素化合物を含むものであってもよい。珪素化合物としては、四塩化珪素、メトキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、トリプロポキシクロロシランなどを挙げることができる。これらの中で特に四塩化珪素が好ましい。これらの珪素化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒成分(3A)は、更に(v)有機アルミニウム化合物を含むものであってもよい。有機アルミニウム化合物としては、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を有するもの、アルミノキサン及びそれらの混合物を好ましく用いることができる。具体的には、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド,ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド,ジイソブチルアルミニウムモノクロリド,ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド;エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5個の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリプロピルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これらの有機アルミニウム化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
触媒成分(3A)は、更に(vi)電子供与性化合物(b)を含むものであってもよい。電子供与性化合物(b)としては、Si−O−C結合を有する有機珪素化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、酸素含有化合物を用いることができる。このうち、重合活性及び立体規則性の面から、Si−O−C結合を有する有機珪素化合物、エーテル類及びエステル類を用いることが好ましく、特にSi−O−C結合を有する有機珪素化合物を用いることが好ましい。
このSi−O−C結合を有する有機珪素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、エチルイソプロピルジメトキシシラン、プロピルイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルブチルジメトキシシラン、t−ブチルイソブチルジメトキシシラン、t−ブチル(s−ブチル)ジメトキシシラン、t−ブチルアミルジメトキシシラン、t−ブチルヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルヘプチルジメトキシシラン、t−ブチルオクチルジメトキシシラン、t−ブチルノニルジメトキシシラン、t−ブチルデシルジメトキシシラン、t−ブチル(3,3,3−トリフルオロメチルプロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ビス(2−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、
【0112】
イソブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、アミルトリメトキシシラン、イソアミルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ノルボルナントリメトキシシラン、インデニルトリメトキシシラン、2−メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、イソプロピル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、t−ブチル(イソブトキシ)ジメトキシシラン、t−ブチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、テキシルイソプロポキシジメトキシシラン、テキシル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、テキシルメチルジメトキシシラン、テキシルエチルジメトキシシラン、テキシルイソプロピルジメトキシシラン、テキシルシクロペンチルジメトキシシラン、テキシルミリスチルジメトキシシラン、テキシルシクロヘキシルジメトキシシラン、ビス(3−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2−エチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジエチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,4−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,5−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3,4−トリメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3,4−トリエチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3,5−トリメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(テトラメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン等が挙げられる。これらの有機珪素化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0113】
窒素含有化合物の具体例としては、2,6−ジイソプロピルピペリジン,2,6−ジイソプロピル−4−メチルピペリジン,N−メチル2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの2,6−置換ピペリジン類;2,5−ジイソプロピルアゾリジン,N−メチル2,2,5,5−テトラメチルアゾリジンなどの2,5−置換アゾリジン類;N,N,N',N'−テトラメチルメチレンジアミン,N,N,N',N'−テトラエチルメチレンジアミンなどの置換メチレンジアミン類;1,3−ジベンジルイミダゾリジン,1,3−ジベンジル−2−フェニルイミダゾリジンなどの置換イミダゾリジン類等が挙げられる。
【0114】
リン含有化合物の具体例としては、トリエチルホスファイト、トリn−プロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、ジエチルn−ブチルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類等である。酸素含有化合物の具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルテトラヒドロフラン,2,2,6,6−テトラエチルテトラヒドロフランなどの2,6−置換テトラヒドロフラン類;1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン,9,9−ジメトキシフルオレン,ジフェニルジメトキシメタンなどのジメトキシメタン誘導体等が挙げられる。
ここで、(i)チタン化合物は、(ii)マグネシウム化合物1molに対して、通常、0.5〜100mol、好ましくは1〜50mol使用する。このモル比が上記範囲内であると、触媒活性が十分となる。また、(iii)電子供与性化合物(a)又は(vi)電子供与性化合物(b)は、(ii)マグネシウム化合物のマグネシウム1molに対して、通常、0.01〜10mol、好ましくは、0.05〜1.0mol使用する。このモル比が上記範囲内であると、触媒活性や立体規則性が十分となる。更に、(iv)珪素化合物を用いるときは、(ii)マグネシウム化合物のマグネシウム1molに対して、通常、0.001〜100mol、好ましくは、0.005〜5.0mol使用する。このモル比が上記範囲内であると、触媒活性や立体規則性の向上効果が十分に発揮され、かつ生成ポリマー中の微粉量が抑制される。
【0115】
触媒成分(3A)の調製法としては、(1)(i)チタン化合物、(ii)マグネシウム化合物及び(iii) 電子供与性化合物(a)を120〜150℃程度の温度で接触させて100〜150℃程度の温度で洗浄する方法、(2)(i)チタン化合物、(ii)マグネシウム化合物、(iii) 電子供与性化合物(a)及び(iv)珪素化合物を120〜150℃程度の温度で接触させて100〜150℃程度の温度で洗浄する方法、(3)(i)チタン化合物、(ii)マグネシウム化合物及び(iii)電子供与性化合物(a)を接触させて固体触媒成分を得た後、(vi)電子供与性化合物(b)及び(v)有機アルミニウム化合物を接触させる方法、(4)(i)チタン化合物、(ii)マグネシウム化合物及び(iii) 電子供与性化合物(a)を120〜150℃程度の温度で接触させて100〜150℃程度の温度で洗浄して固体触媒成分を得た後、(vi)電子供与性化合物(b)及び(v)有機アルミニウム化合物を接触させる方法が挙げられる。
また、(ii)マグネシウム化合物のうちのエトキシマグネシウムを(vii)アルキルベンゼン中に懸濁させ、しかる後に該アルキルベンゼンに対する容量比で1/2以下の(i)チタン化合物のうちの四塩化チタン及び(iii) 電子供与性化合物(a)のうちのフタル酸ジエステルを80〜135℃程度の温度で接触させて得られた固体物質をアルキルベンゼンで洗浄し、該固体物質に更にアルキルベンゼンの存在下で該アルキルベンゼンに対する容量比で1/2以下の四塩化チタンを反応させることにより調製する方法(特開昭64−69608号公報に記載の方法)などを用いることができる。アルキルベンゼンとしては、トルエン,キシレン,エチルベンゼン,プロピルベンゼン,トリメチルベンゼン等が挙げられる。
【0116】
本発明の製造方法で用いる触媒[2]において、(3B)有機アルミニウム化合物としては、上記(v)有機アルミニウム化合物として例示したものと同様のものを用いることができる。具体的には、トリアルキルアルミニウム,ジアルキルアルミニウムモノクロリド,アルキルアルミニウムセスキクロリドが好ましく、特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。トルアルキルアルミニウムとしては、トリエチルアルミニウムやトリイソブチルアルミニウムを好ましい化合物として挙げることができる。
本発明の製造方法で用いる触媒の調製には必要に応じて、(2C)第3成分としての電子供与性化合物が用いられる。この(2C)第3成分としての電子供与性化合物としては、上記(vi)電子供与性化合物(b)として例示したものと同様ものを用いることができる。
(3A)成分の触媒成分は、チタン原子に換算して、反応容積1L当たり、通常0.00005〜1mmolの範囲になるような量が用いられ、(3B)成分の有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子比が通常1〜1000、好ましくは10〜500の範囲になるような量が用いられる。この原子比が上記範囲であると、十分な触媒活性が得られる。また、(2C)第3成分としての電子供与性化合物を用いるときは、(2C)電子供与性化合物/(3B)有機アルミニウム化合物のモル比が、通常0.001〜5.0、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.05〜1.0の範囲になるような量が用いられる。このモル比が上記範囲であると、十分な触媒活性及び立体規則性が得られる。ただし、予備重合を行う場合は、更に低減することができる。
【0117】
触媒[2]は、グラフト共重合を実施する以前に予備重合を行なうことができる。予備重合において用いる単量体としては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類、スチレン類及びポリエンなどが挙げられる。具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。この中で、重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、又はエチレン及びプロピレンである。単量体の濃度は10〜20mol/Lが好ましい。
【0118】
予備重合量は、通常0.01〜200g/g触媒(触媒とは触媒成分及び有機アルミニウム化合物などすべての触媒成分の和を指す。)であり、好ましくは0.1〜150g/g触媒、より好ましくは0.3〜50g/g触媒である。予備重合の条件としては、温度−30〜80℃程度、好ましくは−10〜40℃、オレフィン類とポリエンの総和と触媒の量比が、オレフィン類とポリエンの総和を1molとしたときに、主触媒成分が2×10-7〜2×10-2mol、好ましくは2×10-6〜1×10-2mol、より好ましくは1×10-6〜1×10-2molの範囲、重合時間が1秒〜8時間の条件で行なうことが好ましい。
【0119】
予備重合に用いる触媒における(3A)触媒成分と(3B)有機アルミニウム化合物の使用割合は、上述したものと同様とすることができ、上記と同様に更に(2C)電子供与性化合物を用いることもできる。すなわち、(3A)触媒成分は、チタン原子に換算して、反応容積1L当たり、通常0.00005〜1mmolの範囲になるような量が用いられ、(3B)成分の有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子比が通常1〜1000、好ましくは10〜500の範囲になるような量が用いられる。また、(2C)電子供与性化合物/(3B)有機アルミニウム化合物モル比が、通常0.001〜5.0、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.05〜1.0の範囲になるような量が用いられる。
予備重合の方法としては、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれでもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
製造した予備重合触媒は、そのまま保存してもよく、溶媒を用いて洗浄し、固体物質として分離したもの、あるいは再度、溶媒に分散した状態のものを保存してもよい。保存は、30℃以下の低温で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合工程[I]に用いるものと同一の反応器で予備重合を実施し、引き続き重合工程[I]に供することもできる。
【0120】
上述したように、本発明の反応性前駆体組成物は、(1)重合工程[I]でオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、重合工程[II]でオレフィン系共重合体[b]を製造する方法(製造方法1)、(2)オレフィン系重合体[a]と、オレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドする方法(製造方法2)により製造することができる。
オレフィン系重合体[a]は、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれの方法でも製造することができる。反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
溶媒中で重合を行う場合、溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び灯油などを用いることができる。脂肪族炭化水素化合物としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びデカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及び異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素化合物としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン及びメチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。
【0121】
オレフィン系重合体[a]の製造において、重合温度は、通常−100〜300℃程度、好ましくは0〜200℃である。反応の際の圧力は、通常0.001〜10MPa程度、好ましくは0.05〜3MPaである。重合時間は、通常10秒〜10時間程度、好ましくは1分〜5時間である。
オレフィン系重合体[a]の分子量は、水素添加量、重合温度、モノマーの濃度及び重合圧力などにより制御することができる。重合体組成は、モノマー仕込み量比を変更することにより変更することができる。
【0122】
上記製造方法1の場合、オレフィン系共重合体[b]は、オレフィン系重合体[a]の生成反応終了後、触媒が活性な状態で多官能モノマーを添加し、オレフィン系重合体[a]の製造条件と同一の条件又は異なる条件で共重合する。オレフィン系共重合体[b]における分子量及び組成の制御は、オレフィン系重合体[a]の場合と同様にして行うことができる。
オレフィン系共重合体[b]における多官能モノマーの含有量は、その仕込み量を変更することにより増減することができる。多官能モノマーの使用割合は、用いる触媒の(A)成分1×10-7molに対して、多官能モノマー10-6〜1mol(モル比で1:10〜107)が好ましく、2×10-6〜0.5mol(モル比で1:20〜5×106)がより好ましい。
【0123】
上記製造方法1において、触媒種と多官能モノマー構造による、多官能モノマーの仕込み組成条件は以下のとおりである。
(1-i)触媒として、(1A)成分と、(1B)成分及び(2B)成分から選ばれる一種以上から構成される触媒(触媒[1])を用い、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、p−ジビニルベンゼン、1,9−デカジエン、1,7−オクタジエンなどを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常1.0×10-7〜2.0×10-4mol程度、好ましくは2.0×10-7〜1.0×10-4mol、より好ましくは3.0×10-7〜0.8×10-4mol、更に好ましくは4.0×10−7〜0.4×10-4mol、最も好ましくは5.0×10-7〜0.2×10-4molである。
【0124】
(1-ii)触媒[1]を用い、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとしてo−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びその核置換体、p−ジビニルベンゼン骨格を有し、核置換体である1−置換の置換p−ジビニルベンゼン、3−置換の置換p−ジビニルベンゼン及びω−アルケニルスチレンなどを用いる場合である。
この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常5.0×10-7〜1.0×10-3mol程度、好ましくは1.0×10-6〜5.0×10-4mol、より好ましくは1.5×10-6〜4.0×10-4mol、更に好ましくは2.0×10-6〜2.0×10-4mol、最も好ましくは2.5×10-6〜1.0×10-4molである。
【0125】
(1-iii)触媒として、(2A)成分又は(3A)成分と、(3B)成分から構成される触媒(触媒[2])を用い、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-i)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常0.5×10-6〜1.0×10-2mol程度、好ましくは0.7×10-6〜7.0×10-3mol、より好ましくは1.0×10-6〜6.0×10-3mol、更に好ましくは1.5×10-6〜5.0×10-3mol、最も好ましくは2.0×10-6〜4.0×10-3molである。
【0126】
(1-iv)触媒[2]を用い、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-ii)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常2.5×10-6〜5.0×10-2mol程度、好ましくは3.5×10-6〜3.5×10-2mol、より好ましくは5.0×10-6〜3.0×10-2mol、更に好ましくは7.5×10-6〜2.5×10-2mol、最も好ましくは1.0×10-5〜2.0×10-2molである。
【0127】
上記(1-i)〜(1-iv)において、多官能モノマーの使用量が上記範囲にあると、変性反応組成物の製造工程において、反応点の多官能モノマー残基濃度が低くならず適度ものとなり、また、使用量が多すぎることがないので、熱パラキシレン不溶分(ゲル)の生成が抑制される。
重合条件である、多官能モノマー構造、多官能モノマー使用量、触媒の性能、オレフィン系重合体[a]生成量によってゲル発生量は変化するが、この他に、温度、オレフィンモノマーの仕込み量、反応時間によってもゲル量は変化する。従って、熱パラキシレン不溶分が1質量%以下となる範囲において、製造条件(温度、圧力、時間)を選定することができる。
オレフィン系重合体[a]と、オレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドする方法(製造方法2)において、オレフィン系重合体[a]として、上記オレフィン系重合体[a]について定義した条件を満足する市販品や、上記製造方法以外の方法で製造した重合体を用いることもできる。
オレフィン系共重合体[b]としては、上述したものを用いることができ、多官能モノマーの使用量は以下の範囲が好ましい。
【0128】
(2-i)触媒[1]を用い、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-i)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は0.1〜10mmol/Lの範囲である。
(2-ii)触媒[1]を用い、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして上記(1-ii)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマーの使用量は1〜100mmol/Lの範囲である。
(2-iii)触媒[2]を用い、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-i)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマーの使用量は0.5〜50mmol/Lの範囲である。
(2-iv)触媒[2]を用い、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして上記(1-ii)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマーの使用量は1〜100mmol/Lの範囲である。
【0129】
本発明の変性反応組成物は、反応性前駆体組成物を変性剤で化学変性した変性物である。この変性反応組成物は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gであることを要し、好ましくは0.015〜8dl/g、より好ましくは0.02〜7dl/g、更に好ましくは0.025〜6dl/gである。この極限粘度[η]が0.01dl/g以上であると、変性反応組成物が低分子量体とはならないので、この変性反応組成物を成形してなる成形体においてブリードが発生することがない。また、極限粘度[η]が10dl/g以下であると、変性反応組成物の溶融流動性が低下せず、良好な溶融流動性が得られる。
この変性反応組成物における、構成モノマー種、モノマー組成、立体規則性、分子量及び分子量分布は、上述した反応性前駆体組成物と同様の範囲を満足する。また、この変性反応組成物において、熱パラキシレン不溶分は2質量%であることを要し、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、最も好ましくは0.6質量%以下である。熱バラキシレン不溶分が2質量%以下であると、成形物の表面外観や接着性能が良好となる。熱パラキシレン不溶分は、上述した反応性前駆体組成物の場合と同様にして測定することができる。
【0130】
本発明の変性反応組成物においては、変性反応に関与した変性剤の含有量が0.1〜50質量%であることを要し、好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは1.5〜50質量%、最も好ましくは3〜50質量%である。変性剤の含有量が0.1質量%以上であると、変性に基づく接着性や相溶化等の機能が十分に発現される。なお、変性剤含有量は、変性反応に関与した変性剤質量(a)を、変性反応組成物から変性反応に関与しなかった変性剤を除外した質量(b)で除した値を百分率で表示した値[(a/b)×100]として定義される。
変性反応に関与しなかった変性剤の単独重合物及び残存変性剤が変性反応組成物に共存する場合、単独重合物の存在量は、変性反応組成物基準で50%以下である。この量が50質量%以下であると、変性反応物の含有量が低下しないので、接着性や相溶化等の機能が十分に発現される。
本発明の変性反応組成物の構造は、変性反応前駆体組成物中に存在する多官能モノマーの炭素−炭素不飽和結構残基を介して付加重合した構造であり、いわゆるグラフト構造である。
【0131】
本発明においては、変性剤として、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びにオレフィン類から選ばれる一種以上を用いる。変性剤として具体的には、以下のものが挙げられる。
(i)アクリル誘導体
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム、アクリロニトリル、アクロレイン及びシアン化ビニリデンなど、
(ii)スチレン及びスチレン誘導体
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン及び3,5−ジメチルスチレン等のアルキルスチレン類、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン及びm−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン及びo−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン、更にはトリメチルシリルスチレン及びビニル安息香酸エステルなど、
【0132】
(iii)ハロゲン化ビニル類
塩化ビニル、臭化ビニル、四フッ化エチレン及び塩化ビニリデンなど、
(iv)ビニルピリジン類
2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン及び4−ビニルピリジンなど、
(v)メタアクロイル化合物
メタクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、グリシジルメタクリレート、アクリル酸クロリド及びメタクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど、
(vi)ジエン類
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及び2,3−ジメチルブタジエンなど、
(vii)ビニルエステル類
安息香酸ビニル、酢酸ビニル及び酪酸ビニルなど、
(viii)ケトン類
エチルビニルケトンなど、
(ix)エーテル類
エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテルなど、
(x)オレフィン類
プロピレン及びイソブチレンなど、
(xi)含珪素類
ビニルメトキシシランなど、
(xi)α,β−置換不飽和化合物
無水マレイン酸、フマール酸、マレイン酸、フマルイミド、無水イタコン酸、ムコン酸ジエチル、フマール酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレロニトリル、マレイン酸モノメチル、N−フェニルマレイミド及びN−メチルマレイミドなど。
【0133】
上記変性剤は、予め錯体を形成し、反応性を向上させる観点から、また、溶液状態あるいは分散状態として取り扱い性を容易にする観点からルイス酸との混合接触物として用いることが好ましい。
ルイス酸としては、(i)周期律表第2〜4族元素の、ハロゲン化物(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、アルキル化物(炭素数1〜20のアルキル基)又はハロゲン化アルキル化物、(ii)アルミニウム、硼素、亜鉛、スズ、マグネシウム又はカルシウム原子からなるルイス酸が挙げられる。
ルイス酸として具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシゥム、塩化亜鉛、三塩化硼素、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、四塩化珪素、及びこれらの化合物の塩素を臭素又はフッ素に変えたもの、ブチルエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム、トリメチル硼素、トリエチル硼素、トリエチルガリウム、トリメチルガリウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムジクロリド及びエチルアルミニウムセスキクロリドなどが挙げられる。
【0134】
これらの中で、本発明においては、亜鉛化合物、アルミニウム化合物及び硼素化合物が好ましく、より好ましくはアルミニウム化合物である。
ルイス酸と変性剤との使用割合は、ルイス酸1molに対して、変性剤が通常1〜200mol程度、好ましくは2〜150mol、更に好ましくは4〜100molである。ルイス酸1molに対する変性剤の使用量が1mol以上であると、ルイス酸量が適度のものとなるので、後処理が容易となる。また、ルイス酸1molに対する変性剤の使用量が200mol以下であると、熱パラキシレン不溶分の低減効果が向上する。
上記変性剤とルイス酸との混合接触方法としては、接触方法は直接変性剤とルイス酸を接触する方法、ルイス酸、変性剤の両者又は一方を、溶媒に溶解又は分散させて接触する方法などが挙げられる。
【0135】
本発明の変性反応組成物は、例えば、上記製造方法1又は2により製造された反応性前駆体組成物を、上記変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の存在下に変性反応を行うことにより製造することができる。なお、変性剤は、上述したように、ルイス酸との接触混合物として用いるこができる。上記製造方法1の場合は、オレフィン系共重合体[b]の製造に引き続いて変性反応を行うことができる。
上記ラジカル開始剤としては、例えば、過酸化物やアゾニトリル化合物等、通常のラジカル開始剤を使用することができる。
過酸化物としては、ブチルペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルジエチルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)へキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、4,4−ジ−t−ブチルペルオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサハイドロフタレート、ジ−t−ブチルペルオキシアゼレート、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキソエート、t−ブチルペルオキシ−イソプロピルカーボネート、サクシニックアシッドペルオキシド及びビニルトリス−(t−ブチルペルオキシ)シラン、過酸化水素、過硫酸カリウム、過ギ酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び過安息香酸t−ブチルなどが挙げられる。
【0136】
アゾニトリル化合物としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソブチルアミド、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2'−アゾビスイソブタン、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1'−アゾビスクメン、p−ブロモベンゼンジアゾニウムフルオロボレート、p−トリルジアゾアミノベンゼン、p−ブロモベンゼンジアゾニウムヒドロキシド、アゾメタン及びフェニルジアゾニウムハライドなどが挙げられる。
ラジカル開始剤としては、高分子主鎖への反応を抑制するために、低温で分解するものが好ましい。この観点から、好ましい過酸化物は、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、(ジ−t−ブチルペルオキシド及びt−ブチルペルオキシベンゾエート)であり、好ましいアゾニトリル化合物は、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスイソプロピルニトリルである。
【0137】
上記アニオン開始剤としては、通常のアニオン開始剤を使用することができる。アニオン開始剤の具体的例としては、アルカリ金属として、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム及びルビジウムなど、アルカリ金属アルキル化合物及びアルカリ土類金属化合物として、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−デシルリチウム、ベンジルリチウム、オクチルカリウム、ジベンジルバリウム及びアミルナトリウムなど、アルカリ金属芳香属化合物錯体として、ナトリウムナフタレンなど、アルカリ金属アミド化合物として、KNH2、LiN(C252など、マグネシウム化合物として、ジメチルマグネシウム、フェニルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド及びジブチルマグネシウムなど、アート錯体として、リチウムアルミニウムハイドライド及びNaAlH2(OCH2CH2OCH32など、アルコキシドとして、ノルマルブトキシカリウムなどが挙げられる。これらのうち、ノルマルブチルリチウムなどのアルキルリチウムが好ましい。
【0138】
上記ラジカル開始剤又はアニオン開始剤に加えて、通常のカチオン開始剤から適宜選択して使用することができる。カチオン開始剤の具体的例としては、ハロゲン化水素として、塩化水素及びヨウ化水素など、オキソ酸として、硫酸及びメタンスルホン酸など、ハロゲン化金属化合物として、塩化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化チタン、三弗化硼素及び三塩化硼素など、ハロゲン化金属付加体として、三フッ化硼素エーテラートなど、有機金属化合物として、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム及びジエチルアルミニウムモノクロリドなどが挙げられる。
ラジカル開始剤を用いたラジカル変性反応は、スラリー法、溶液法又は溶融法により行うことができる。溶融法の場合は通常の粘調物質の攪拌が可能な槽型反応機、ロールミル、バンバリーミキサー又は押出機などを使用することができる。反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
溶媒中でラジカル変性反応を行う場合、溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び灯油などを用いることができる。これらの具体例は、上記オレフィン系重合体[a]において説明したとおりである。ラジカル変性反応においては、水系懸濁又は乳化状態での変性を行うこともできる。
【0139】
ラジカル変性反応における変性温度は、溶融法では、通常30〜300℃程度、好ましくは40〜260℃、より好ましくは40〜200℃である。スラリー法又は溶液法では、通常−100〜200℃程度、好ましくは0〜200℃である。反応時間は、通常10秒〜10時間程度、好ましくは1分〜5時間である。溶融混練(滞留)時間は、好ましくは10〜120秒であり、任意に設定することができる。変性反応は、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
ラジカル変性反応における変性剤の使用量は、反応性前駆体組成物100質量部に対して、通常1〜200質量部程度、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。変性剤の使用量が1質量部以上であると、変性量が十分であり、200質量部以下であると、変性反応に関与しない変性剤の増加が抑制される。
【0140】
また、ラジカル開始剤の使用量は、変性剤100質量部に対して、通常0.01〜20質量部程度、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。ラジカル開始剤の使用量が0.01質量部以上であると、変性反応が十分に進行し、20質量部以下であると、架橋反応や分解反応などの副反応の進行が抑制される。
反応性前駆体組成物の製造後、連続的に変性反応組成物を製造する場合、オレフィン系重合体[a]の製造に引き続いてオレフィン系共重合体[b]の製造が終了した段階で、必要に応じて、上記触媒[1]又は[2]を失活させ、反応性前駆体組成物を洗浄し、スラリー又は溶液状態で上記の方法により変性反応を行う。
【0141】
アニオン開始剤を用いたアニオン変性反応は、スラリー法、溶液法又は溶融法により行うことができる。溶融法の場合は通常の粘調物質の攪拌が可能な槽型反応機、ロールミル、バンバリーミキサー又は押出機などを使用することができる。反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
溶媒中でラジカル変性反応を行う場合、溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び灯油などを用いることができる。これらの具体例は、上記オレフィン系重合体[a]において説明したとおりである。
【0142】
アニオン変性反応における変性温度は、溶融法では、通常30〜300℃程度、好ましくは40〜260℃、より好ましくは40〜200℃である。スラリー法又は溶液法では、通常−100〜200℃程度、好ましくは−78〜100℃である。反応時間は、通常10秒〜10時間程度、好ましくは1分〜5時間である。変性反応は、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましく、さらに、脱酸素、脱水が十分に行われた反応環境が好ましい。
アニオン変性反応における変性剤の使用量は、反応性前駆体組成物100質量部に対して、通常1〜200質量部程度、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。変性剤の使用量が1質量部以上であると、変性量が十分であり、200質量部以下であると、変性反応に関与しない変性剤の増加が抑制される。
【0143】
また、アニオン開始剤の使用量は、反応前駆体組成物100質量部に対して、通常0.01〜20質量部程度、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。アニオン開始剤の少量が0.01質量部以上であると、変性反応が十分に進行し、20質量部以下であると、架橋反応や分解反応などの副反応の進行が抑制される。
アニオン開始剤を用いる場合、予め−100〜40℃において、反応性前駆体組成物とアニオン開始剤とを接触させることが好ましい。接触時間は10秒〜2時間が好ましい。
反応性前駆体組成物の製造後、連続的に変性反応組成物を製造する場合、オレフィン系重合体[a]の製造に引き続いてオレフィン系共重合体[b]の製造が終了した段階で、必要に応じて、上記触媒[1]又は[2]を失活させ、反応性前駆体組成物を洗浄し、スラリー又は溶液状態で上記の方法により変性反応を行う。反応終了後、スラリー法による反応の場合は未反応のアニオン開始剤をデカンテーション法等により回収除去することができる。
【0144】
上述のようにして得られた本発明の変性反応組成物が結晶性の変性反応組成物である場合、接着剤の主成分として用いることができる。変性反応組成物が結晶性である場合とは、例えば、(1) HDPE連鎖、エチレン共重合連鎖を有し、融点が135〜50℃の範囲の変性反応組成物、(2) アイソタクチックポリプロピレン連鎖、シンジオタクチックポリプロピレン連鎖を有し、融点が165〜50℃の範囲の変性反応組成物、(3) その他、炭素数4以上のα−オレフィン連鎖を有し、融点が50℃以上の変性反応組成物、などである場合であり、これらはポリオレフィン系基材への密着性に優れている。変性反応組成物がポリオレフィン基材と同一の連鎖を有する場合、より密着性に優れる。
本発明の変性反応組成物は、ポリプロピレンと合成ゴムとからなる成型品、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる成型品、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属板、ポリウレタン樹脂、脂肪酸変性ポリエステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂に対しても密着性を有する。また、本発明の変性反応組成物は、耐熱性を有するホットメルト接着剤またはその成分として用いることもできる。
【0145】
また、本発明の変性反応組成物が溶媒に可溶である場合も、接着剤の主成分として用いることができる。変性反応組成物が溶媒に可溶である場合とは、例えば、(1) 実質的に、結晶融点が存在しないか、または結晶化エンタルピーの値が5J/g以下の変性反応組成物、(2) エチレン共重合連鎖、アイソタクチックポリプロピレン連鎖、シンジオタクチックポリプロピレン連鎖、その他炭素数4以上のα−オレフィン連鎖を有する変性反応組成物、などである場合である。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式脂肪族系炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロルエチレン、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、n−エチルアセテート、n−ブチルアセテート等のエステル類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられ、これらの中でも、芳香族炭化水素もしくは脂環族炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが好ましい。
変性反応組成物を上記溶媒に溶解してコーティング組成物とした場合、この組成物は塗膜を形成することが可能であり、この塗膜を接着剤層とすることができる。また、変性反応組成物が溶媒に可溶である場合も、変性反応組成物が結晶性の場合と同様に各種基材における接着剤として用いることができる。
【0146】
本発明の変性反応組成物は、ポリオレフィン基材、下記の樹脂、有機顔料、フィラーと相溶化機能又は界面活性化機能を有し、相溶化剤又は界面活性化剤として用いることができる。樹脂としては、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、脂肪酸変性ポリエステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂などが挙げられる。
本発明の変性反応組成物をポリオレフィン基材と上記樹脂との相溶化剤として用いる場合、上記樹脂を含む組成物100質量部に対して、変性反応組成物の配合量は、通常0.1〜30質量部程度、好ましくは0.2〜15質量部、より好ましくは0.4〜10質量部である。この配合量が0.1質量部以上であると、相溶化機能が発現し、30質量部以下であると、相溶化機能と経済性のバランスが良好となる。
本発明の変性反応組成物を相溶化剤として用いた場合、分散粒子径の微細化による、物性、表面外観、塗装性及び接着性の向上が図られる。相溶化剤としての使用方法としては、樹脂組成物の溶融混練の際に変性反応組成物を添加する方法、変性反応組成物のマスターバッチを予め製造して用いる方法などが挙げられる。
【実施例】
【0147】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
製造例1(触媒成分の調製)
窒素で置換した内容積200mlの攪拌装置付き丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10g及びトルエン80mlを投入して懸濁状態とし、次いでこの懸濁液にTiCl4 20mlを加え、90℃に昇温してn−ブチルフタレート27mlを加え、更に115℃に昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、90℃のトルエン100mlで2回洗浄し、新たにTiCl4 20ml及びトルエン80mlを加え、115℃において攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、反応生成物を40℃のn−ヘプタン200ミリで10回洗浄した。得られた固体触媒成分を中のチタン含有率を測定したところ、2.61質量%であった。
【0148】
製造例2(触媒成分の調製)
三塩化チタン(東ソー・アクゾ社製)を窒素雰囲気下で2.0g採取し、ヘプタン200mlに窒素雰囲気下で懸濁させ、チタン触媒成分を調製した。
【0149】
製造例3(触媒成分の調製)
(1)アルミニウムオキシ化合物の調製
メチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.27mol/L,アルベマール社製)1000mlを減圧下(約2660Pa)、60℃で溶媒を留去した。その後、75℃で減圧下(約266Pa)で4時間保持した後、室温まで降温し、ドライアップしたメチルアルミノキサンを得た。
このドライアップメチルアルミノキサンに脱水トルエンを投入し、再溶解させ溶媒を留去する前の容量にもどし、1H−NMRによりメチルアルミノキサン中のトリメチルアルミニウムを定量した結果2.3質量%であった。この溶液を48時間静置し、不溶成分を沈降させた。溶液部分をG5ガラスフィルターでろ過し、トルエン可溶のメチルアルミノキサンを得た。一部サンプリングし、減圧下で固体成分を分離し、その質量から算出したトルエン可溶メチルアルミノキサンの濃度は0.8mol/Lであった。
(2)担体の調製と担持メチルアルミノキサンの調製
SiO2(富士シリシア株式会社製,平均粒子径40μm)70gを140℃で15時間、微量窒素気流下で乾燥させた。乾燥SiO2を9.4g秤量し、脱水トルエン200mlに投入した。窒素雰囲気下、攪拌しながら0℃に温度を一定とした後、上記(1)で調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液196mlを40分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げこの状態で30分間反応させ、更に65℃で3時間反応させた。反応終了後、60℃に保持し、固体成分を脱水トルエン200mlで2回、脱水ヘプタン200mlで2回洗浄し、50℃で減圧乾燥して17.1gのSiO2担持メチルアルミノキサンを得た。再度、脱水ヘプタンを投入して、0.5mol/Lの濃度に調整した。
(3)メタロセン担持触媒成分の調製
50mlのシュレンク管を乾燥し、窒素置換した後、乾燥ヘプタン10ml、上記(2)のSiO2担持メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2mmol加え、攪拌を開始した。これに、ラセミ−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド[rac−SiMe2−(2−Me−4−Ph−Ind)2ZrCl2]をジルコニウム原子換算で2μmolを含むトルエン溶液1mlをゆっくり添加し、25℃で10分間反応させた。
【0150】
製造例4(触媒成分の調製)
以下のようにして、[(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを製造した。
シュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97mmol)をTHF(テトラヒドロフラン)50mlに溶解し−78℃に冷却した。ヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。
溶媒を留去し、エーテル50mlを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)とエーテル50mlを入れた。−78℃に冷却し、n−BuLiのヘキサン溶液(1.54M、7.6ml(1.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40mlで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.04(s,18H,トリメチルシリル);0.48(s,12H,ジメチルシリレン);
1.10(t,6H,メチル);2.59(s,4H,メチレン);3.38(q,4H,メチレン);6.2-7.7(m,8H,Ar-H)
【0151】
窒素気流下で得られたリチウム塩をトルエン50mlに溶解した。−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20ml)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6時間撹拌した。その反応溶液の溶媒を留去した。得られた残渣をジクロロメタンにより再結晶化することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル) ジルコニウムジクロライドを0.9g(1.33mmol)を得た(収率26%)。
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.0(s,18H,トリメチルシリル);1.02,1.12(s,12H,ジメチルシリレン);2.51(dd,4H,メチレン);7.1-7.6(m,8H,Ar-H)
【0152】
実施例1(反応性前駆体組成物の製造)
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム2.0mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.066mmolを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記製造例1で調製した固体触媒成分をチタン原子換算で6.5μmol添加し、これに水素0.015MPa導入した。温度を70℃に上昇させ、プロピレン分圧を0.4MPaとして、20分間重合を行い、プロピレン重合体を製造した。この時点で少量の反応混合物を、測定に供するためサンプリングラインから採取し、メタノールで洗浄後、十分乾燥させ、極限粘度及び分子量分布(Mw/Mn)の測定を行った。プロピレン重合体の極限粘度は3.2dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
その後、3−ブテニル−スチレン11.8mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、90分間重合を行った。重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]からなる変性前駆体組成物136gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は4.6dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.5であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[b]×100/([a]+[b])}は71.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.3質量%であった。
なお、極限粘度、分子量分布、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比及び熱パラキシレン不溶分は下記のようにして測定した。以下の実施例等においても同様である。
(1)極限粘度
135℃のデカリン中、ウベローデ型粘度計で比粘度(ηsp)を測定し、下記一般式(ハギンスの式)を用いて算出した。
ηsp/c=[η]+k[η]2
ηsp/c(dl/g):還元粘度
[η](dl/g):極限粘度
C(g/dl)ポリマー濃度
k=0.35(ハギンス定数)
(2)分子量分布
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の装置及び条件で、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
【0153】
GPC測定装置
検出器 :液体クロマトグラフィー用RI検出器 ウオーターズ 150C
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :0.3質量%
(3)プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}
反応器に導入された消費されたプロピレン量をマスフローセンサーで検出し、重合開始から終了までに消費されたプロピレン量を測定し、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の収量を決定し、[a]×100/([a]+[b])により求めた。
なお、プロピレン重合部[a]は,重合開始から3−ブテニル−スチレン投入直前までのマスフローセンサーによるプロピレン量であり、プロピレン共重合部[b]は,3−ブテニル−スチレン投入開始から重合終了までのマスフローセンサーによるプロピレン量である。
(4)熱パラキシレン不溶分
ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03mm,目開き0.034mm,空間率27.8%)で作製された籠に、サンプル(反応性前駆体組成物)50mgを入れ、攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコの攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)1gを含む700mlのパラキシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら、サンプルを溶解させた。熱パラキシレン不溶分が入った籠を回収し、十分に乾燥させ、秤量することにより熱パラキシレン不溶分量(メッシュ内残量)を求め、熱パラキシレン不溶分(質量%)を、以下の式により算出した。
熱パラキシレン不溶分=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
【0154】
実施例2(反応性前駆体組成物の製造)
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、製造例2で調製した触媒成分50mg及び有機アルミニウム化合物としてジエチルアルミニウムモノクロリド100mgを添加した。これに水素0.1MPa導入した。温度を60℃に上昇させ、プロピレン分圧を0.4MPaとして、40分間重合を行った。その後、3−ブテニル−スチレン11.8mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、70分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]からなる反応性前駆体組成物42.6gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は3.5dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.2であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は44.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.2質量%であった。
【0155】
実施例3(反応性前駆体組成物の製造)
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、上記製造例3で調製したメタロセン担持触媒成分をジルコニウム原子換算で1μmol添加し、25℃、0.2MPaのプロピレン圧で30分間予備重合した。次に温度を65℃に上昇させ、水素を40ml注入し、プロピレン圧0.65MPaで30分間重合を行った。3−ブテニル−スチレン4mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、更に40分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、反応性前駆体組成物148gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は2.5dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を、微小ピークとして1640cm-1のα−オレフィン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。スチレン骨格の不飽和基の含有量は0.4mol%、α−オレフィン骨格の不飽和基の含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は63.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.4質量%であった。
【0156】
実施例4(反応性前駆体組成物の製造)
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、脱気した後、水素0.2MPaを導入し、更に、プロピレンを導入し、重合温度80℃、全圧0.8MPaまで昇温、昇圧した。トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.5μmol、上記製造例4で調製した(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド0.1μmolを加え、30分間重合を行った。更に3−ブテニル−スチレン4mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、更に40分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し均一溶液の反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、反応性前駆体組成物125gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は0.32dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を、微小ピークとして1640cm-1のα−オレフィン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。スチレン骨格の不飽和基の含有量は0.4mol%、α−オレフィン骨格の不飽和基の含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は63.3質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.4質量%であった。
【0157】
実施例5(反応性前駆体組成物の製造)
実施例1において、3−ブテニル−スチレンに代えてジビニルベンゼン(新日鉄化学株式会社製、DVB810、純度81%、m/p混合体)を10mmol用いた以外は実施例1と同様にして、反応性前駆体組成物134gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は4.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.0であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.3mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は66.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.4質量%であった。
【0158】
実施例6 反応性前駆体組成物の製造
実施例1において、3−ブテニル−スチレンに代えて3−ブテニル−α−メチルスチレンを15mmol用いた以外は実施例1と同様にして、反応性前駆体組成物120gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は4.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.9であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.4mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は64.5質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0質量%であった。
【0159】
実施例7(反応性前駆体組成物の製造)
実施例4において、3−ブテニル−スチレンに代えて3−ブテニル−α−メチルスチレンを10mmol用いた以外は実施例4と同様にして、反応性前駆体組成物130gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は0.33dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.4mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は65.4質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0質量%であった。
【0160】
実施例8(メチルメタクリレート(MMA)を用いた変性反応組成物の製造)
実施例1の反応性前駆体組成物5gを攪拌装置付のシュレンク反応管に採り、80℃、減圧下で1時間乾燥させた。これに脱水ヘプタン20mlを注入し、n−ブチルリチウム0.5mmolを含むヘキサン溶液を0.33ml添加し、室温下攪拌しながら30分間反応させた。攪拌を停止し、静置した後、ヘプタンを回収した。これにカルシウムハイドライドで脱水処理し、蒸留により精製したメチルメタアクリレート46.7mmolを含むトルエン溶液20mlを添加し、30℃で3時間攪拌しながら変性反応を行った。
反応終了後、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、変性反応組成物6.21gを得た。メチルエチルケトンにより、変性反応に関与しなかったMMA成分をソックスレー抽出により除去し、抽出残部の変性剤含有量を測定したところ8.4質量%であった。
この変性反応組成物の極限粘度は4.9dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.5、熱パラキシレン不溶分は0.5質量%であった。
【0161】
実施例9(MMAを用いた変性反応組成物の製造)
実施例8において、実施例1の反応性前駆体組成物に代えて実施例6の反応前駆体組成物を用いた以外は実施例8と同様にして、変性反応組成物7.1gを得た。この変性反応組成物における変性剤含有量は6.5質量%であった。また、極限粘度は4.5dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.8、熱パラキシレン不溶分は0質量%であった。
【0162】
実施例10(MMAを用いた変性反応組成物の製造)
実施例8において、メチルメタクリレート46.7mmolを含むトルエン溶液20mlにトリイソブチルアルミニウム0.6mmolを添加し室温下20分間攪拌したものを用いた以外は実施例8と同様にして、変性反応組成物8.51gを得た。この変性反応組成物における変性剤含有量は26.5質量%であった。また、極限粘度は4.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.0、熱パラキシレン不溶部は0.2質量%であった。
【0163】
実施例11(反応性前駆体組成物の製造に引き続く変性反応組成物の製造)
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン600ml、トリイソブチルアルミニウム2.0mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.1mmolを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記製造例1で調製した固体触媒成分をチタニウム原子換算で10μmol添加し、これに水素0.015MPa導入した。温度を70℃に上昇させ、プロピレン分圧を0.4MPaとして、60分間重合を行った(プロピレン重合部[a]の重合)。
その後、3−ブテニル−スチレン4mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、133分間重合を行った(プロピレン共重合部[b]の重合)。ここで、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は50質量%であり、供給モノマー量から算出した反応性前駆体組成物の収量は200gであった。
重合終了後、未反応ガスを除去し、室温下で液相部を抜き出し、脱水ヘプタン600mlを用いて2回、デカンテーション法により反応性前駆体組成物を洗浄した。これにn−ブチルリチゥム12.5mmolを添加し、30℃で30分間反応を行った。回収可能な未反応n−ブチルリチウムを除去するために、液相部を回収した。
カルシウムハイドライドで脱水処理し蒸留により精製したメチルメタクリレート88.8gを脱水トルエン200mlに溶解し、これにトリイソブチルアルミニウム12mmolを添加し20分間攪拌反応したものを全量リチウム処理した反応性前駆体組成物に投入し、攪拌しながら40℃で120分間反応させた。
反応終了後、冷却してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、変性反応組成物284gを得た。この変性反応組成物における変性剤含有量は17.8質量%であった。また、極限粘度は3.8dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.2、熱パラキシレン不溶部は0.1質量%であった。
【0164】
実施例12(反応性前駆体組成物の製造に引き続く変性反応組成物の製造)
実施例11において、3−ブテニル−スチレンに代えて3−ブテニル−α−メチルスチレン11mmolを用い、プロピレン重合部[a]の重合時間を54分、プロピレン共重合部[b]の重合時間を131分とし、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}を50質量%とし、供給モノマー量から算出した反応性前駆体組成物の量を200gとした以外は実施例11と同様にして、変性反応組成物288gを得た。
この変性反応組成物における変性剤含有量は15.7質量%であった。また、極限粘度は3.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.5、熱パラキシレン不溶部は0質量%であった。
【0165】
比較例1
(1)反応性前駆体組成物の製造
実施例1において、プロピレンの単独重合を実施しない以外は実施例1と同様にして反応性前駆体を製造した。すなわち、内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム2.0mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.066mmolを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記製造例1で調製した固体触媒成分をチタニウム原子換算で6.5μmol添加し、更に3−ブテニル−スチレン11.8mmolを含むヘプタン溶液20mlを投入した。これに水素0.015MPa導入した。温度を70℃に上昇し、プロピレン分圧を0.4MPaとして、90分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、反応性前駆体組成物70.2gを得た。この反応性前駆体組成物の熱パラキシレン不溶分は6.7質量%であった。
(2)メチルメタクリレート(MMA)を用いた変性反応組成物の製造
上記(1)で製造した反応性前駆体組成物5gを用いること以外は実施例8と同様にして、MMA変性反応組成物6.1gを得た。メチルエチルケトンにより、変性反応に関与しなかったMMA成分をソックスレー抽出により除去し、抽出残部の変性剤含有量を測定したところ9.5質量%であった。
この変性反応組成物の熱パラキシレン不溶分は30.5質量%であった。極限粘度、分子量分布は、多量の不溶分が存在するため、測定することができなかった。
【0166】
実施例13(相溶化剤としての使用)
ポリプロピレン(出光興産株式会社製、J3000GV)3847.5g、ポリメチルメタクリレート(広島和光株式会社製)416.2g、実施例11で得られた変性反応組成物236.3g及びフェノール系酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)4.5gを予め十分に混合しておき、スクリュー径32mmの二軸押出機TEX−30(株式会社日本製鋼所製)により、シリンダー設定温度200℃、回転数300回転/分、押出量30kg/時間の条件で混練し、ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られた組成物の物性を下記の方法により測定した。結果を表1に示す。
なお、樹脂組成はJ3000GV/PMMA=90/10(質量比)に対して真の変性反応組成物が4.5質量%となるよう、変性反応組成物中の未反応PMMA量を補正して仕込み組成を決定した。ここで、真の変性反応組成物は,変性組成物中に存在するグラフト反応に関与しなかったポリメチルメタクリレートを差し引いたものである。このグラフト反応に関与しなかったポリメチルメタクリレートと後に添加するポリメチルメタクリレートの量が10質量部となり、真の変性反応組成物が4.5質量%となるように、ポリプロピレン、後に添加するポリメチルメタクリレート及び変性反応組成物の各混合量を調整した。
【0167】
(1)曲げ弾性率
JIS K7202に準拠して、射出成形試験片を作製し、曲げ弾性率を測定した。
(2)引張り強度及び引張り伸び
JIS K7113に準拠して、射出成形試験片を作製し、引張り強度及び引張り伸びを測定した。
(3)耐衝撃強度
JIS K7110に準拠して、射出成形試験片を作製し、23℃及び−20℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0168】
実施例14(相溶化剤としての使用)
実施例13において、実施例11で得られた変性反応組成物に代えて実施例12で得られた変性反応体組成物248.7gを用い、PMMAの使用量を404.3gとした以外は実施例13と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られた組成物の物性を上記の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0169】
比較例2
実施例13において、実施例11で得られた変性反応組成物を用いず、ポリプロピレン(出光興産株式会社製、J3000GV)4050gとPMMA450g(質量比90/10)を用いたた以外は実施例13と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られた組成物の物性を上記の方法により測定した。結果を表1に示す。
【0170】
【表1】

【0171】
実施例15(接着剤としての使用)
試料Aは、実施例11の変性反応組成物を、熱プレスにより厚み40μmのシートに成形して作製した。試料Bは、実施例11の変性反応組成物0.5gに98質量%硫酸10ml加え、室温で48時間加水分解し、これを氷浴に投入し、十分に水洗し、乾燥させたものを、熱プレスにより厚み40μmのシートに成形して作製した。これらのシートについて、下記の方法により接着強度を評価した。結果を表2に示す。
<接着強度評価>
シートを10mm×10mmに切断したものをアルミニウム板(幅10mm、長さ80mm、厚さ0.3mm)の一端に乗せ、アルミニウム側を230℃に加熱して、溶融密着した。これにポリプロピレン(出光興産株式会社製、J3000GV)からなるシート(幅10mm、長さ80mm、厚さ2mm)を重ね、熱プレス機を用いて60秒間予熱した後、0.5MPaの圧力で10秒間圧着した。各試料の接着面は、あらかじめアセトンで表面を洗浄後、室温で十分に乾燥させた。プレス温度は、アルミニウム板側を240℃、ポリプロピレン側を150℃に設定した。この接着試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度50mm/分で引張剪断接着強さ試験を行なった。測定には株式会社島津製作所製オートグラフ DSC−200 を用い、破壊するまでの最大荷重から引張剪断接着強さを求めた
【0172】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明の変性反応組成物は、接着剤分野(ホットメルト、粘着剤、感圧接着剤など)、塗料分野((水系)プライマーなど)、樹脂改質剤分野(成形性改良、透明性改良、ブロックキングの制御、ヒートシール性能向上など)及び相溶化剤分野(オレフィン系樹脂と極性ポリマーとのブレンド、自動車樹脂材料など)において好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーと多官能モノマーとを共重合してなるオレフィン系共重合体[b]を含み、以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする反応性前駆体組成物。
(1)オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]の合計量に対するオレフィン重合体[b]の質量百分率が5〜95質量%である。
(2)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(3)熱パラキシレン不溶分が1質量%以下である。
【請求項2】
多官能モノマーが、スチレン骨格、α−オレフィン骨格及び環状オレフィン骨格から選ばれる骨格を少なくとも2個有する不飽和化合物又はジビニルベンゼンである請求項1に記載の反応性前駆体組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の反応性前駆体組成物を、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤を用いて変性してなり、かつ以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする変性反応組成物。
(1)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(2)熱パラキシレン不溶分が2質量%以下である。
(3)変性剤の含有量が0.1〜50質量%である。
【請求項4】
エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを共重合してオレフィン系共重合体[b]を製造することを特徴とする請求項1又は2に記載の反応性前駆体組成物の製造方法
【請求項5】
エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを上記触媒の存在下で共重合してなるオレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドすることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
【請求項6】
(A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である請求項4又は5に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
【請求項7】
(A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(3B)有機アルミニウム化合物である請求項4又は5に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
【請求項8】
エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを共重合してオレフィン系共重合体[b]を製造し、引き続き、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする請求項3に記載の変性反応組成物の製造方法。
【請求項9】
(A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である請求項8に記載の変性反応組成物の製造方法。
【請求項10】
(A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(3B)有機アルミニウム化合物である請求項9に記載の変性反応組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の反応性前駆体組成物に、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする請求項3に記載の変性反応組成物の製造方法。
【請求項12】
変性剤をルイス酸との接触混合物として用いる請求項8〜11のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
【請求項13】
変性剤が、酸素、窒素、硫黄及び珪素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン並びにスチレン誘導体から選ばれる一種以上である請求項8〜12のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項3に記載の変性反応組成物を含有する接着剤。
【請求項15】
請求項3記載の変性反応組成物を含有する相溶化剤。

【公開番号】特開2007−126561(P2007−126561A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320524(P2005−320524)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】