説明

収納ラベルの製造方法

【課題】 周縁部が接着された2枚のフィルムの間に収納物が収納された収納ラベルを製造する際、収納物に接着剤が付着しないようにフィルムを接着できる収納ラベルの製造方法を提供する。
【解決手段】 下面に粘着部が設けられた下層フィルムと、下層フィルムの上面に重ね合わされる上層フィルムと、上下2層のフィルム間に介装される収納物と、を備え、上下2層のフィルムの周縁部を接着することにより、この周縁接着部で囲われる領域内に収納物を収納する収納部が形成されてなる収納ラベルの製造方法であって、上層フィルム原反41の下面又は下層フィルム原反31の上面の何れか一方の面に於ける周縁接着部形成予定部位に、接着剤を塗布する工程、接着剤を接着可能な状態にする工程、下層フィルム原反31の上面に於ける収納部形成予定部位に収納物7を置いた状態で、下層フィルム原反41に上層フィルム原反31を重ね合わせて押圧し、接着剤を介して上下2層のフィルム原反31,41を接着する工程、を経て収納ラベルを作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周縁部が接着された2枚のフィルムの間に説明書などの扁平状収納物が収納され、粘着剤を介して商品に貼付できる収納ラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬品能書、取扱説明書、商品説明書、懸賞応募説明書などの各種説明書、保証書などの各種証明書類、小冊子、各種カード類、付録などの扁平状の収納物を商品に添付するため、図に示すような収納ラベルが知られている。
この収納ラベルは、下面に粘着部が設けられた下層フィルムと、下層フィルムの上面に重ね合わされる上層フィルムと、この上下2層のフィルム間に介装される収納物と、を備え、上下2層のフィルムの周縁部を接着することにより、この周縁接着部で囲われる領域内に収納物を収納する収納部が形成された構成からなる。
かかる収納ラベルは、通常、収納物が収納部内に収納された状態で、粘着部を介して離型紙上に仮貼付されて供給される。使用時には、収納ラベルを離型紙から剥離し、粘着部を介して商品に貼付される。
このように商品に貼付された収納ラベルは、消費者が収納部を開封することによって収納物を取り出し、その収納物の用途に従い、例えば懸賞応募などの用に供される。
【0003】
上記収納ラベルは、一般に下記機械的製造過程によって製造される。
長尺上の離型紙上に粘着層を介して仮貼付された下層フィルム原反と、下面に感熱性接着剤がベタ状に塗布された上層フィルム原反と、収納用の扁平状の収納物と、を準備する。
図7に示すように、この離型紙に添付された下層フィルム原反100を引き出し、下層フィルム原反100の上面に、所定間隔を開けて収納物101を載置する。この下層フィルム原反100及び収納物101の上に上層フィルム原反102の下面を重ね合わせる。次に、収納物101外側を囲繞する(収納物101に重ならない)周縁接着部形成予定部位に対応させて、上層フィルム原反102の上面から加熱板103を当てる。これにより、上層フィルム原反102の下面全体に設けられた感熱性接着剤のうち周縁接着部形成予定部位に於ける感熱性接着剤が活性化され、上下層フィルム原反100,102が接着される。この加熱による接着工程を個々の収納物毎に連続的に行うことで、離型紙上に複数の収納ラベルが連続的に繋がった収納ラベル連続体が得られる。最後に、前記収納ラベル連続体を型抜きすることにより、一の収納ラベルを得ることができる。
【0004】
しかしながら、上記製造方法では、上層フィルム原反102の下面全体に感熱性接着剤がベタ状に設けられているので、上下層フィルム原反100,102を重ね合わせた状態で、周縁接着部形成予定部位に対応する感熱性接着剤を活性化するために加熱した際、周縁接着部形成予定部位を越えて熱が加わることがある。その結果、周縁接着部形成予定部位よりも広い範囲に於ける感熱性接着剤が活性化され、収納物101の外縁に接着剤が付着することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、周縁部が接着された2枚のフィルムの間に収納物が収納された収納ラベルを製造する際、収納物に接着剤が付着しないようにフィルムを接着できる収納ラベルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、下面に粘着部が設けられた下層フィルムと、下層フィルムの上面に重ね合わされる上層フィルムと、上下2層のフィルム間に介装される収納物と、を備え、上下2層のフィルムの周縁部を接着することにより、この周縁接着部で囲われる領域内に収納物を収納する収納部が形成されてなる収納ラベルの製造方法であって、上層フィルム原反の下面又は下層フィルム原反の上面の何れか一方の面に於ける周縁接着部形成予定部位に、接着剤を塗布する工程、接着剤を接着可能な状態にする工程、下層フィルム原反の上面に於ける収納部形成予定部位に収納物を置いた状態で、下層フィルム原反に上層フィルム原反を重ね合わせて押圧し、接着剤を介して上下2層のフィルム原反を接着する工程、を有する収納ラベルの製造方法を提供する。
【0007】
上記収納ラベルの製造方法によれば、上層フィルム原反の下面又は下層フィルム原反の上面の何れか一方の面に於ける周縁接着部形成予定部位に接着剤を塗布し、接着剤を接着可能な状態にした後、上下層フィルム原反を重ね合わせて接着するので、周縁接着部形成予定部位のみに於いて、上下層フィルム原反を接着することができる。
従って、上下層フィルムを接着剤にて接着する際に、収納物に接着剤が付着することがない。かかる製造方法で製造された収納ラベルは、収納部を開封することで、収納物を簡単に出し入れすることができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様では、上記接着剤が、遅効性紫外線硬化型接着剤である上記収納ラベルの製造方法を提供する。遅効性紫外線硬化型接着剤は、紫外線照射後、(直ちに硬化が始まらず)粘着状態がある程度持続した後、硬化する。従って、該遅効性紫外線硬化型接着剤を用いた場合には、紫外線を照射した後に、上下層フィルム原反を重ね合わせても両フィルム原反を確実に接着させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納ラベルの製造方法によれば、収納物を介装した状態で上下層フィルム原反を接着する際、接着剤が収納物に付着する虞がない。
従って、収納部を開封した後、収納物を簡単に出し入れすることができる収納ラベルを確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
(収納ラベルの構成)
図1〜図3に於いて、1は、下面に粘着部2が設けられた下層フィルム3と、下層フィルム3の上面に重ね合わされる上層フィルム4と、上下2層のフィルム3,4間に収納部5を形成すべく、上下層フィルム3,4の周縁部が接着された周縁接着部6と、この周縁接着部6で囲われる領域(収納部5)内に収納された収納物7と、を備える収納ラベルを示す。
周縁接着部6は、上下層フィルム3,4間に接着剤を介在させることによって形成されており、該接着剤は、周縁接着部6にのみ塗工されている。各図に於いて、網掛けは、周縁接着部6(接着剤が塗工されている部分)を示す。
この収納ラベル1は、図3に示すように、粘着部2を介して、長尺状の離型紙8の上に所定間隔をあけて複数仮貼付されて供給される。
尚、9は、周縁接着部の外縁の一部に形成された切込部を示す。この切込部9を起点として収納ラベル1を幅方向に切断することにより、収納部5を容易に開封でき、収納された収納物7を取り出すことができる。
【0011】
収納ラベル1は、平面視矩形状に形成されている。もっとも、収納ラベル1は、矩形状に限られず、例えば、図4(a)、(b)に示すように、略三角形状、略円形などに形成されていてもよい。
【0012】
上下2層のフィルム3,4は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、スチレン系などの合成樹脂製フィルム、紙、合成紙、不織布、合成樹脂フィルムと紙の積層体などの積層フィルムなど、公知のフィルムを使用することができる。上下層フィルム3,4は、同一又は同種のものでも良いし、又は異なる材質でもよい。
さらに、収納部5に収納された収納物7を透視するため、少なくとも上層のフィルム4は、透明又は半透明の合成樹脂製フィルムを用いることが好ましい。
【0013】
粘着部2は、感圧型粘着剤、感熱性粘着剤などの公知の粘着剤を、下層フィルム3の下面全体にベタ状に設ける、又は下層フィルム3の下面に部分的に設けることによって形成されている。
【0014】
収納物7としては、薬品能書、取扱説明書、商品説明書、懸賞応募説明書などの各種説明書、保証書などの各種証明書類、小冊子、各種カード類、コイン状物品、付録などの扁平状の収納物が挙げられる。もっとも、このような扁平状の収納物に限られず、ある程度嵩高い収納物を収納することもできる。
【0015】
上記収納物7を収納する収納部5は、収納物7の形状などに応じて適宜設定され、図1に示すような矩形状の収納ラベル1に於いては、収納物7の外形よりも少し大きな平面視矩形状に形成され、図4(a)及び(b)に示すような収納ラベル1では、収納部5は、平面視略三角形状、略円形状に形成される。もっとも、収納ラベル1の平面形状と収納部5の平面形状は同じ形状に形成される場合に限定されるわけではない。
該収納部5は、上下層フィルム3,4の周縁部全体(但し、形成される収納部内の空気を逃がすため、エアー抜き用の小さな通路が確保されている)を所定幅接着することによって形成された、周縁接着部6で囲われる領域内に確保されている。もっとも、周縁接着部6は、図1などに示すように、収納物7の外側周囲を囲繞する無端状に形成されるものに限られず、有端状に形成されていてもよい(例えば、収納物7の3方側に周縁接着部6が形成されている構成など)。
上下層フィルム3,4に於ける周縁接着部6は、下層フィルム3の上面と上層フィルム4の下面とを接着可能な接着剤を用いて形成されている。
【0016】
周縁接着部6を形成するための接着剤は、上層フィルム3又は下層フィルム4の周縁部に塗布可能で且つ両フィルム同士を接着可能なものであれば特に限定されず、例えば、紫外線硬化型接着剤、感熱性接着剤、溶剤型接着剤、電子線硬化型接着剤などを用いることができる。これらの中では、紫外線硬化型接着剤が好ましく、特に、紫外線照射後、緩やかに硬化が進行する(直ちに硬化しない)ことから、遅効性紫外線硬化型接着剤を用いることがより好ましい。
【0017】
紫外線硬化型接着剤は、公知の印刷法などによって塗布可能で、且つ紫外線を照射することによって接着可能な状態となる接着剤が用いられ、例えば、公知の紫外線硬化型インキの樹脂成分を用いることができる。このような紫外線硬化型接着剤としては、オリゴマー成分、モノマー成分、及び光重合開始剤を含み、必要に応じて光重合促進剤、粘度改良剤、ミスト防止剤、安定剤などの各種添加剤が配合されたものが挙げられる。オリゴマーとしては、ポリオールアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アルキドアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどのアクリル系オリゴマー、不飽和ポリエステル等のラジカル重合型オリゴマー、エポキシ基などを有する樹脂等のカチオン重合型オリゴマーなどが例示される。モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドンなどの単官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、などの多官能モノマーなどが例示される。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルベンゾエートなどが挙げられる。
【0018】
また、遅効性紫外線硬化型接着剤は、上記紫外線硬化型接着剤に比して、紫外線を照射した後、緩やかに硬化が進行するタイプの紫外線硬化型接着剤である。このような遅効性紫外線硬化型接着剤としては、水酸基を有するアクリル系オリゴマーに、光重合開始剤としてイソシアネート基を有する化合物を混合したもの(例えば、ノーテープ工業(株)製、UV硬化型液状接着剤)などが挙げられる。
上記遅効性紫外線硬化型接着剤としては、例えば、塗布時の粘度(20℃、JIS K 7117に準じて測定)が30000〜50000mPa・s程度で、紫外線(150mJ/cm)を照射した後、硬化を開始し、粘着性を発揮するものが好ましく用いられる。尚、この粘着性の程度は、JIS Z 0237(傾斜式ボールタック試験)に準じて測定した結果が、少なくともボールナンバー5となるものが好ましい。具体的には、適当な基材(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム)に、遅効性紫外線硬化型接着剤を厚み約5μmで塗工し、紫外線(150mJ/cm)を照射した後、JIS Z 0237(傾斜式ボールタック試験)に規定する傾斜板(傾斜角30度)上に基材の裏面を固定し、事後、JIS Z 0237に準じて各大きさのボールを転がすことによって測定される。
かかるボールナンバー5にて停止しない接着剤では、後述する製造工程に於いて、上下層フィルム原反31,41を重ね合わせた際に、部分的に剥がれたり或いは両者が着かず、該フィルム原反31,41が位置ずれする虞があるからである。
また、遅効性紫外線硬化型接着剤は、上記粘着性が、概ね1〜120分程度継続し、最終的に硬化しうるものを用いることが好ましい。
遅効性のものを含む紫外線硬化型接着剤に対する紫外線照射量は、特に限定されないが、概ね80〜200mJ/cm程度が例示される。
【0019】
次に、感熱性接着剤は、公知の印刷法などによって塗布可能であって、室温では接着性を示さず且つ加熱(例えば60〜150℃など)されることによって接着可能な状態となる接着剤が用いられる。このような感熱性接着剤としては、例えば、パートコート型感熱接着剤、遅効性(ディレードタック型)感熱接着剤などが挙げられる。
【0020】
パートコート型感熱接着剤は、室温で接着性を示さず且つ加熱によって接着性を示し、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤である。パートコート型感熱接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを有機溶剤などに溶解又は分散させた溶液などが例示され、塗工後乾燥して使用される。
遅効性(ディレードタック型)感熱接着剤は、室温で接着性を示さず、加熱することによって活性化して接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってそれが持続する接着剤であり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能な接着剤である。遅効性感熱接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたエマルジョン型のものなどが例示される。
【0021】
溶剤型接着剤は、公知の印刷法などによって塗布可能であって、溶剤を揮発させることによって接着可能な状態となる接着剤が用いられ、例えば、(フィルムの積層法の一手段である)公知のドライラミネート法で用いられている溶剤型接着剤などを用いることができる。溶剤型接着剤としては、例えば、アクリル系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエーテル系などが例示される。
【0022】
また、電子線硬化型接着剤は、公知の印刷法などによって塗布可能であって、電子線照射によって硬化が進行する接着剤が用いられる。このような電子線硬化型接着剤は、例えば、電子線重合反応性のある炭素二重結合や環状結合を有するモノマーやオリゴマーなどの電子線反応性化合物、反応性希釈剤、重合開始剤、増感剤、粘度調整用のモノマーやポリマー、その他の添加剤が混合されたものが例示される。電子線反応性化合物としては、アクリロイル基、シンナモイル基などを有する重合性オリゴマーなどが挙げられ、反応性希釈剤としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸などが挙げられる。
【0023】
(収納ラベルの製造方法)
次に、上記収納ラベル1の製造方法について説明する。
図5に示すように、長尺状の離型紙81上に粘着剤を介して仮貼付された下層フィルム原反31(下層フィルム3が連続的に繋がったもの)と、上層フィルム原反41(上層フィルム4が連続的に繋がったもの)と、複数個の収納物7と、を準備する。通常、下層フィルム原反31及び上層フィルム原反41は、ロール状に巻き取られた状態で提供される。
下層フィルム原反ロール32を(離型紙を下側に向けた状態で)ラミネート装置の上流側にセットし、該下層フィルム原反31を下流側へと送り出し、下層フィルム原反31の上面(下層フィルム3の上面)に於ける収納部形成予定部位に収まるように、収納物7を所定間隔を開けて載置していく(図6(a)参照)。
【0024】
他方、上層フィルム原反ロール42から上層フィルム原反41を下流側へと送り出し、上層フィルム原反41の下面に於ける周縁接着部形成予定部位61に、遅効性紫外線硬化型接着剤を塗工する(図6(b)参照)。該接着剤の塗工は、凸版輪転印刷機などの公知の印刷機20にて行うことができる。
尚、ポリオレフィン系フィルムなどのような接着性に劣るフィルムが用いられる場合には、接着剤を塗工する前に、上層フィルム原反41の下面(少なくとも接着剤の塗工面)にコロナ放電処理などの表面改質処理を行うことが好ましい。
【0025】
接着剤を塗工した後、該上層フィルム原反41を、印刷機20の下流側に設けられた紫外線照射装置21(例えば高圧水銀ランプ、波長360nm)に送り出し、紫外線を照射する(上層フィルム原反41に対して光量80〜150mJ/cm)。該紫外線照射によって遅効性紫外線硬化型接着剤は、一部分が重合反応を開始し、接着可能なほどに粘度が上がる(粘着性を発揮する)が、直ぐには硬化しない。
該上層フィルム原反41の下面に塗布された接着剤が下層フィルム原反31の上面に載置された収納物7を囲繞するように、上層フィルム原反41を下層フィルム原反31に重ね合わせる。この上下層フィルム原反31,41を押圧ローラ22にて押圧することにより、上下層フィルム原反31,41のうち、収納物7の外側周囲が接着される。そして、時間の経過により、遅効性紫外線硬化型接着剤の硬化が進み、上下層フィルム原反31,41の接着が完了する。
この接着工程を個々の収納物7毎に連続的に行うことで、離型紙上に複数の収納ラベル1が連続的に繋がった収納ラベル連続体が得られる。
最後に、周縁接着部6の外縁にて上下層フィルム原反31,41を切断し、収納ラベル1以外の上下層フィルム原反(不要となった抜き滓フィルム)を取り除く。これにより、図3に示すような、内部に一の収納物7を収納した収納ラベル1が、長尺状の離型紙8の上に所定間隔をあけて並べて仮貼付された収納ラベル連続体を得ることができる。
【0026】
上記収納ラベル1の製造方法によれば、上層フィルム原反41の下面に於ける周縁接着部形成予定部位61に遅効性紫外線硬化型接着剤を塗布し、該接着剤を接着可能な状態にした後、上下層フィルム原反31,41を重ね合わせて接着するので、周縁接着部形成予定部位61のみに於いて、上下層フィルム原反31,41を接着することができる。
従って、収納物7に接着剤が付着していない収納ラベル1を確実に製造することでき、かかる収納ラベル1は、切込部9などを利用して収納部5を開封することで、収納物7を簡単に出し入れすることができる。
さらに、上記製法によれば、接着剤の塗布工程、接着剤を接着可能な状態にする工程、上下層フィルム原反31,41の貼り合わせ工程を、同一ライン上で行うことができる。
【0027】
また、上記遅効性紫外線硬化型接着剤は、紫外線照射後、(直ちに硬化が始まらず)粘着状態がある程度持続した後、硬化する。従って、該遅効性紫外線硬化型接着剤は、接着可能な状態(粘着状態)が比較的長く持続するので、紫外線を照射した後、少し時間を開けて上下層フィルム原反31,41を重ね合わせても、重ね合わせる前に接着剤が完全硬化して接着不能な状態にならず、両フィルムを確実に接着させることができる。
さらに、上記製法にて得られた収納ラベル1は、周縁接着部6のみに接着剤が塗布されている、つまり、収納部5に対応する上層フィルム4には、接着剤層を有しない。従って、本発明の収納ラベル1は、感熱性接着剤が上層フィルムの下面全体に塗布された従来の収納ラベルに比して、収納部5に於ける上層フィルム4の透明性を損ねることがなく、外部から収納物7を鮮明に視認することができる。
【0028】
(収納ラベルの製造方法の変形例)
次に、上記製法の変形例を示す。以下、主として、上記実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成、効果などについては説明を省略し、図番などを援用する場合がある。
上記収納ラベル1の製造方法に於いては、上層フィルム原反41の下面に於ける周縁接着部形成予定部位61に接着剤を塗布したが、これに代えて、下層フィルム原反31の上面に於ける周縁接着部形成予定部位61に接着剤を塗布してもよい。この場合、下層フィルム原反31の周縁接着部形成予定部位61に接着剤を塗工した後、該接着剤を接着可能な状態にし、その周縁接着部形成予定部位の内側に収納物7を載置した後、上層フィルム原反41を重ね合わせる。このように下層フィルム原反31の上面に、接着部を塗布すれば、上記上層フィルム原反41に接着剤を塗布する製法に比して、上下層フィルム原反31,41の送出タイミング調整が不要となる。
【0029】
さらに、上記収納ラベル1の製造方法に於いては、接着剤として遅効性紫外線硬化型接着剤が用いられているが、通常の紫外線硬化型接着剤を用いることもできる。また、接着剤として、溶剤型接着剤、感熱性接着剤、電子線硬化型接着剤などを用いることも可能である。溶剤型接着剤を用いる場合には、該接着剤を塗工した後、溶剤を揮発させて該接着剤を接着可能な状態にした後、上下層フィルム原反31,41を重ね合わせればよい。また、感熱性接着剤を用いる場合には、該接着剤を塗工した後、加熱して該接着剤を接着可能な状態にした後、上下層フィルム原反31,41を重ね合わせればよく、電子線硬化型接着剤の場合は、塗布後、電子線照射装置にて活性化すればよい。何れの接着剤も、上層フィルム原反41の下面又は下層フィルム原反31の上面の周縁接着部形成予定部位61に塗布することは、上記製造方法と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は、収納ラベルの一実施形態を示す上面図、(b)は、同下面図。但し、網掛けは、接着剤が塗布された部分(周縁接着部)を示す(以下同様)。
【図2】(a)は、図1のA−A線端面図、(b)は、同B−B線端面図。
【図3】(a)は、複数の収納ラベルが離型紙上に仮貼付された状態を示す一部省略側面図、(b)は、同一部省略上面図。
【図4】(a)、(b)共に、収納ラベルの他の実施形態を示す上面図。
【図5】収納ラベルの製造工程を模式化した参考側面図。
【図6】(a)は、図5の矢印C方向から見た下層フィルム原反を示す一部省略上面図、(b)は、図5の矢印D方向から見た上層フィルム原反を示す一部省略下面図。
【図7】従来の収納ラベルの製造工程を模式化した参考側面図。
【符号の説明】
【0031】
1…収納ラベル、2…粘着部、3…上層フィルム、31…上層フィルム原反、4…下層フィルム、41…下層フィルム原反、5…収納部、6…周縁接着部、61…周縁接着部形成予定部位、7…収納物、8…離型紙、9…切込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に粘着部が設けられた下層フィルムと、前記下層フィルムの上面に重ね合わされる上層フィルムと、前記上下2層のフィルム間に介装される収納物と、を備え、前記上下2層のフィルムの周縁部を接着することにより、この周縁接着部で囲われる領域内に収納物を収納する収納部が形成されてなる収納ラベルの製造方法であって、
上層フィルム原反の下面又は下層フィルム原反の上面の何れか一方の面に於ける周縁接着部形成予定部位に、接着剤を塗布する工程、前記接着剤を接着可能な状態にする工程、下層フィルム原反の上面に於ける収納部形成予定部位に収納物を置いた状態で、前記下層フィルム原反に上層フィルム原反を重ね合わせて押圧し、接着剤を介して上下2層のフィルム原反を接着する工程、を有する収納ラベルの製造方法。
【請求項2】
前記接着剤が、遅効性紫外線硬化型接着剤である請求項1記載の収納ラベルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−38547(P2007−38547A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225988(P2005−225988)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】