説明

取出口付き袋体

【課題】 小出し部に残った内容物を収容部に戻してジッパーをした後も、手間をかけることなく小出し部に埃やその他の物の混入を防止可能にすることにより衛生面および安全面での向上を図ることができる取出口付き袋体を提供する。
【解決手段】 突出部5bをつまみ蓋部5を小出し部3より剥離すると、遮蔽シート部3bが蓋部5の裏面に貼付した状態で立ち上がり、取出口が現れる。ジッパー4を開き、袋体1を小出し部3が下側になるように傾けることにより収容部2の内容物を取出口まで滑らせる。取出口の残り物は収容部に戻しジッパーを閉じ、取出口に蓋部を5を被せて突出部を折り曲げて小出し部の上端に係止することにより埃などの進入を確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピーナツ,さきいかなどのおつまみ類やお菓子などを収容する袋体、さらに詳しく云えば、収容された内容物を取り出すための取出口を持つ小出し部を有する袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂フィルムまたはシートからなる袋体は、あられや煎餅などの菓子類,さきいかやバターピーナツなどのおつまみ類を始めとして、各種物品の包装に広く各家庭ではもちろん、旅先でも利用されている。
本件出願人はこれら袋体について必要量取り出すために袋体の一部に、取出口を有する小出し部を設け、この小出し部と内容物を収容する収容部の中間にジッパーを取り付けた構造の袋体を提案している(特許文献1)。
この提案によれば、旅先などで必要量だけ内容物を収容部から小出し部に移動させることにより小出し部を小皿として機能させ、小出し部に移動させた内容物が残った場合には残りものを収容部に戻してジーパーを閉じることにより保管し、再度同じようにして一度開封した袋体の中身を繰り返し取り出すことができるようにしたもので、袋体の中身を必要量だけ取り出す場合に甚だ都合のよい構造である。
【特許文献1】特開2004−123152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで特許文献1には以下のような問題があった。
小出し部の取出口に移動させた内容物が残った場合、その内容物を収容部に戻しジッパーを閉じれば、つぎの機会に収容部より再度、取出部まで内容物を移動させ、容易に取り出すことができる。しかしながら、一旦、遮蔽シートを剥がしてしまうと、ジッパーにより小出し部と収容部との間は完全に遮蔽されるが、該袋体の保管中、取出部が開いているため、小出し部に埃やその他のものが入り込む可能性がある。これを防止するための手軽な方法として、開口している取出部の上に剥がした遮蔽シートで覆いをすることが考えられる。しかしながら、遮蔽シートは切り離してしまうため、開封時に捨てることが多く、また、この遮蔽シートで覆いをしても取出部の周囲に再度貼着できない(再剥離性感熱型粘着剤を使用)ため、保管中に取出口よりずれることがあり、防塵等に完全であるとはいえない。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するもので、その目的は、小出し部に残った内容物を収容部に戻してジッパーをした後も、手間をかけることなく小出し部に埃やその他のものの混入を確実に防止可能にすることにより衛生面および安全性の向上を図ることができる取出口付き袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、合成樹脂フィルムまたはシートからなる袋状の収容部と、合成樹脂フィルムまたはシートからなり、前記収容部の開口部に連設される袋状の小出し部と、前記収容部と前記小出し部の間を仕切る開閉自在のジッパーと、前記小出し部の一面を、前記収容部寄りに一端が繋がるように切り出すことにより取出口を形成するとともに該切り出した部分が取出口を遮蔽する機能を有する遮蔽シート部と、再剥離性感熱粘着材が塗布され前記遮蔽シート部を含む小出し部の略全体を覆って貼着され、その一部が前記小出し部の上端より延出した突出部を有する蓋部とを有し、前記突出部を摘んで前記蓋部を剥がし、剥がした蓋部に前記遮蔽シート部が該蓋部の裏面に貼着され、かつ一端が前記小出し部に結合された状態で前記取出口が開口され、前記剥がされた蓋部は前記収容部寄り位置を支点として収容部側に起立させられることを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明において前記小出し部の一面から切り出される遮蔽シート部は、該切り出される遮蔽シートの形状と該小出し部の一面側に残る取出口の形状は異なることを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1記載の発明において前記蓋部の突出部を除く部分に前記再剥離性感熱粘着材を適量塗布したことを特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項1記載の発明において前記小出し部の上端にフック掛用の孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、小出し部に移動させた内容物が余り、この内容物を収容部に戻しジッパーを閉じて保管するときには、蓋部の一端(遮蔽シート部の一端が小出し部に繋がっているため)が小出し部に確実に貼着されているため蓋部を取出口に被せるだけで取出口を覆い、埃などの混入を防止でき衛生面や安全性の向上に寄与できる。また、蓋部に可塑性シートを用いれば蓋部を取出口に被せた後、突出部を折り曲げて小出し部の端部に係止することができるので、遮蔽シート部の弾性力などにより被せた蓋部が取出口から浮き上がることはなく確実な防塵を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面等を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明による取出口付き袋体は、1つの筒状に形成されたフィルムまたはシート等の内部に小出し部と収容部に分割するジッパーを設けて製造する場合や、菓子やつまみなど内容物を収容する収容部と小皿替わりとして機能する取出口を有する小出し部を別々に設けてこれらを熱融着して製造する場合があるが、この実施の形態は前者の方法である。
図1は、本発明による取出口付き袋体の実施の形態を示す図で、(a)は正面図,(b)はA−A断面図,(c)はB−B断面図である。
この発明の取出口付き袋体1は、通常矩形状の合成樹脂フィルムまたはシートから成形された袋体からなるもので、それらの袋体はポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン,塩化ビニル,ナイロン製のフィルムまたはシートを折り畳んで、または2枚を重ねて、さらには筒状に形成されたフィルムまたはシート等の端部を熱融着などして接合することにより形成される。本発明は1つの袋体のフィルムまたはシート等(以下「フィルム等」という)の中に開閉自在なジッパー4を熱融着して小出し部3と収容部2を分割形成するものである。
【0008】
このとき、収容部2は内容物収容機能を満たす必要があるので、ジッパー4は収容部2側が小出し部3に対し数倍の容量になる位置に配置される。ジッパー4は合成樹脂製の所謂面チャックとして袋物に広く使用されているもので、雌雄の凹凸体からなるシングル式と2連に形成されるダブル式がある。いずれの形式のものも利用可能である。
小出し部3の上端部および収容部2の下端部の上面と下面部分を熱融着することにより袋体を完成させる。なお、収容部2には内容物を充填した後に下端部を熱融着する。
【0009】
小出し部3の上面には内容物を取り出す取出口6を形成するための切り口3cが設けられている。切り口3cによって遮蔽シート部3bが形成され、この遮蔽シート部3bは小出し部3の収容部2寄りの位置を支点に収容部側に開くようになっている。
また、上端の中央部にはフックなどに掛けるための孔3fを有するフック掛3dが設けられている。
【0010】
図2は、本発明による取出口付き袋体に熱貼着する蓋部の実施の形態を示す図で、(a)は正面図,(b)は側面図である。
蓋部5は図1の小出し部3の上面全体を覆うように点線9で示す部分に熱貼着されるものである。蓋部5は小出し部3の左右端より突出し(突出部5c)、さらに上端およびフック掛3dより突出した(突出部5b)状態で貼着される。上端の突出部5bは開封するためのつまみ部として機能する。なお、左右端の突出部5cも補助的なつまみ部として機能させることが可能である。
蓋部5の裏面の貼着剤は再剥離性感熱型粘着剤等であり、突出部5b,5cを除いた部分に適量塗布されて遮蔽シート部を含む周囲まで密閉するもので、消費者が内容物を取り出すために蓋部5を剥がした場合には、再密封することが困難なものである。小出し部3を構成するフィルム等に非再熱シール性のシーラントなどを塗布しておけば、さらに確実に再密封を防止することができる。
【0011】
図3は、本発明による取出口付き袋体の蓋部を剥がす方向を説明するための部分斜視図である。
熱貼着された蓋部5の突出部5bをつまみ、小出し部3を押さえて蓋部5を引っ張りあげると、蓋部5を剥がすことができる。剥がす方向は収容部2側の方向である。蓋部5の裏面に遮蔽シート部3bが貼着されているので、蓋部5の起立に伴い、遮蔽シート部3bも起立する。切り出して形成される遮蔽シート3bは3eの位置で小出し部3に繋がっているため、蓋部5は3eの位置まで剥がすことができる。これにより取出口6は完全に開口する。図3は蓋部5が二点鎖線で表され、3eの位置で折れ曲がり略90度起立させられた状態を示している。
【0012】
図4は、本発明による取出口付き袋体の使用状態を説明するための図で、(a)は蓋部が開封されジッパーが開けられ収容部より内容物が小出し部の取出部に出ている状態を示す斜視図,(b)は蓋部の突出部を小出し部の上端に係止した状態を示す拡大部分図である。
図4(a)において内容物としてピーナツ7と煎餅8が多数収容されている。上述のように突出部5bを摘んで蓋部5を小出し部3より剥がすと、遮蔽シート部3bが蓋部5の裏面に付いた状態で開き取出部6が現れる。遮蔽シート部3bの切れていない端部の位置3eを支点として蓋部5が収容部2を背にして起き上がる。取出部6を押さえ3eの内側に指を入れて上に持ち上げると、ジッパー4を外すことができる。図4(a)はジッパー4が外れて収容部2の中心部が膨らんだ状態を示している。この状態で、袋体1を小出し部3側が下がるように傾けるとピーナツ7と煎餅8が小出し部3に向かって滑っていくため取出口6にピーナツ7と煎餅8を導くことができる。
【0013】
小出し部3に移動させた内容物が余った場合には、袋体1を収容部2側が下がるように傾けることにより、残ったピーナツ7と煎餅8を元の収容部2に容易に戻すことができ、ジッパー4を閉じることにより湿気など防止して保管することができる。蓋部5を立ち下げることにより取出口6が覆われるので埃やその他の物の小出し部3への進入を防ぐことができ、衛生面および安全性を向上させることができる。蓋部5の支点となる3e部分は小出し部3に繋がっているため、被せた蓋部5が取出口6からずれることはなく、また蓋部5は小出し部3より大きいため、確実に埃などの進入を防ぐことができる。
また、蓋部5は再度被せても小出し部3に貼着することがないため、袋体を内側に折り曲げて蓋部5を収容部で押すような状態で保管するか、または折り曲げないで上向きに保管する場合には蓋部5を重りなどで押さえ付けない限り、遮蔽シート部の弾性により浮き上がったり、または保管場所が戸外のシーツの上などの場合には風などの影響により簡単に浮き上がってしまい小出し部に埃などが進入してしまう。
しかしながら蓋部に可塑性シートを用いれば、図3(b)に示すように小出し部3より突出している突出部5b,5cを折り曲げて小出し部3の側端や上端(フック掛け3d)に係止することが可能なため、保管中の遮蔽シート部の弾性や風などによる浮き上がりを確実に防止できる。
【0014】
以上の実施の形態は、切り出される遮蔽シート部と切り出しにより形成される取出口の大きさ,形状が同じ場合の例について説明したが、遮蔽シート部の形状,大きさを取出口に比較して小さい形状に加工しても良い。
また、筒状のフィルム内の所定の箇所にジッパーを熱融着させるとともに小出し部と収容部をそれぞれ形成し、小出し部に取出口を形成すべき切り込みを形成し、収容部に菓子などの内容物を充填し、小出し部と収容部の上下端部を熱融着し、蓋部を小出し部に加熱貼着する工程により製造する例を説明したが、例えば小出し部と収容部を別々に設け、後に貼着接合して袋体を形成する工程も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
菓子袋,つまみ袋その他の入れ物として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による取出口付き袋体の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明による取出口付き袋体に熱貼着する蓋部の実施の形態を示す図である。
【図3】本発明による取出口付き袋体の蓋部を剥がす方向を説明するための部分斜視図である。
【図4】本発明による取出口付き袋体の使用状態を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 取出口付き袋体
2 収容部
2a,3a 熱融着部
3 小出し部
3b 遮蔽シート部
3d,5a フック掛
3f 孔
4 ジッパー
5 蓋部
5b,5c 突出部
6 取出口
7,8 内容物(ピーナツ,煎餅など)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィルムまたはシートからなる袋状の収容部と、
合成樹脂フィルムまたはシートからなり、前記収容部の開口部に連設される袋状の小出し部と、
前記収容部と前記小出し部の間を仕切る開閉自在のジッパーと、
前記小出し部の一面を、前記収容部寄りに一端が繋がるように切り出すことにより取出口を形成するとともに該切り出した部分が取出口を遮蔽する機能を有する遮蔽シート部と、
再剥離性感熱粘着材が塗布され前記遮蔽シート部を含む小出し部の略全体を覆って貼着され、その一部が前記小出し部の上端より延出した突出部を有する蓋部とを有し、
前記突出部を摘んで前記蓋部を剥がし、剥がした蓋部に前記遮蔽シート部が該蓋部の裏面に貼着され、かつ一端が前記小出し部に結合された状態で前記取出口が開口され、
前記剥がされた蓋部は前記収容部寄り位置を支点として収容部側に起立させられることを特徴とする取出口付き袋体。
【請求項2】
前記小出し部の一面から切り出される遮蔽シート部は、該切り出される遮蔽シートの形状と該小出し部の一面側に残る取出口の形状は異なることを特徴とする請求項1記載の取出口付き袋体。
【請求項3】
前記蓋部の突出部を除く部分に前記再剥離性感熱粘着剤を適量塗布したことを特徴とする請求項1記載の取出口付き袋体。
【請求項4】
前記小出し部の上端にフック掛用の孔を有することを特徴とする請求項1記載の取出口付き袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−56537(P2006−56537A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238132(P2004−238132)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(502074080)有限会社 ダイヨシ (3)
【Fターム(参考)】