説明

受信側ネットワーク装置

【課題】破棄されるパケットの量を減少させて効率の良い受信動作をすることのできる受信側ネットワーク装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の経路を形成するネットワーク網3,4を介して送信側ネットワーク装置101と接続され、送信側ネットワーク装置101から送信される冗長化された信号を受信する受信側ネットワーク装置102であって、受信した信号の劣化を検出する信号劣化検出部231a,231bと、受信した信号を各信号毎に通過させるか遮断するか切り換える信号遮断部233a,233bと、信号劣化検出部231a,231bの検出結果に基づいて、劣化した信号の割合の多いネットワーク網3,4からの受信信号を遮断するように信号遮断部233a,233bを制御する遮断制御部232a,232bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の経路を形成するネットワーク網を介して送信側ネットワーク装置と接続され、送信側ネットワーク装置から送信される冗長化された信号を受信する受信側ネットワーク装置に関するものであり、特にレイヤ2ネットワーク網における通信の品質向上を目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
図9は従来のレイヤ2ネットワークシステムの構成図である。図9において、送信側ネットワーク装置201および受信側ネットワーク装置902は、それぞれレイヤ2ネットワーク網(以降、L2ネットワーク網と称す)3,4に接続されている。送信側ネットワーク装置201は、受信処理部11、タグ付与部13、送信元ID保持部14およびシーケンス番号生成部15を有している。一方、受信側ネットワーク装置902は、選択/廃棄処理部24、ID毎のシーケンス番号保持部25および送信処理部21を有している。
【0003】
送信側ネットワーク装置101は、端末装置等から信号を受信し、この信号に情報を付与してL2ネットワーク網3,4に送信する。詳細には、送信側ネットワーク装置101は、受信処理部11にて端末装置等からの信号を受信後、この信号にタグ付与部13にて送信元IDである自装置のIDとパケット単位のユニークなシーケンス番号を付与し、パケットとしてL2ネットワーク網3,4に送信する。受信側ネットワーク装置902は、選択/廃棄処理部24において、シーケンス番号保持部25の保持する送信元ID毎のシーケンス番号と、受信したパケットのシーケンス番号の大小関係を比較することで、当該パケットを選択して通過させるか廃棄するかを決定する。選択されて通過したパケットは、送信処理部21を経由し、対応する装置に送信される(例えば、非特許文献1)。
【0004】
【非特許文献1】レイヤ2技術による高信頼ネットワーク構成機能の実装と評価 信学技報 IEICE Technical Report CS2005−3(2005−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の冗長化されたパケットが送信されるL2ネットワーク網の技術においては、受信側ネットワーク装置において、パケットの劣化によりパケットが破棄されたり、L2ネットワーク網内でのQoS(Quality of Service)、VLAN(Virtual LAN)などの優先制御によりパケットの順番が入れ替わることでパケットが破棄されたりすることがあり、これにより、L2ネットワークを通過するパケットに損失が生じることがある。
【0006】
図10は受信側ネットワーク装置902によりパケットが破棄される動作を説明するための表を示す図である。図10において、時刻1においては、L2ネットワーク網3から、劣化のないパケットを受信する。当該パケットのシーケンス番号は、受信側ネットワーク装置902が保持しているシーケンス番号より大きいため、受信側ネットワーク装置902を通過する。この際、受信側ネットワーク装置902が保持しているシーケンス番号は、通過したパケットのシーケンス番号に更新される。時刻2においては、L2ネットワーク網3から劣化したパケットを受信したため、冗長化処理が行われる前に当該パケットが破棄される。時刻3においては、L2ネットワーク網4から、劣化のないパケットを受信するが、当該パケットのシーケンス番号が、受信側ネットワーク装置902が保持しているシーケンス番号より大きくないため、当該パケットは通過せずに破棄される。時刻4、7においては、時刻1と同様に動作し、パケットが通過し、受信側ネットワーク装置902が保持しているシーケンス番号が更新される。時刻5、6においては、時刻3と同様に動作し、パケットは破棄される。
【0007】
このように、受信側ネットワーク装置902においては、劣化のないパケットとして、シーケンス番号が01から04の4個のパケットを受信するが、通過するパケットはL2ネットワーク網から受信する順番とパケットの劣化により、01、03、04の3個となる。パケットの劣化が定常的に発生した場合、受信側ネットワーク装置902を通過せずに破棄されるパケットも定常的に生じる。
【0008】
図11は、L2ネットワーク網内でQoS、VLANなどの優先制御により、L2ネットワーク網に送信されたパケットの順番と、L2ネットワーク網から受信するパケットの順番が入れ替わった場合の動作を説明するための図である。具体的には、QoS、VLANなどの優先制御により、シーケンス番号13のパケットがシーケンス番号11、12のパケットよりも先に受信された例である。図11において、時刻1、2、5では、受信側ネットワーク装置902が保持しているシーケンス番号より大きいシーケンス番号を有するパケットであるため、受信側ネットワーク装置902を通過する。一方、時刻3、4では、L2ネットワーク網内の優先制御により、受信するパケットのシーケンス番号は受信側ネットワーク装置902が保持しているシーケンス番号より小さいものとなり、パケットは破棄される。
【0009】
このように、L2ネットワーク網内の優先制御により送受信間でのパケットの順番に変更が生じた場合、受信側ネットワーク装置902を通過せずに破棄されるパケットが生じる。
【0010】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、破棄されるパケットの量を減少させて効率の良い受信動作を実現する受信側ネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述のような課題を解決するために、この発明にかかる受信側ネットワーク装置は、受信した信号の劣化を検出する信号劣化検出部と、受信した信号を各信号毎に通過させるか遮断するか切り換える信号遮断部と、信号劣化検出部の検出結果に基づいて、劣化した信号の割合の多いネットワーク網からの受信信号を遮断するように信号遮断部を制御する遮断制御部とを有している。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる受信側ネットワーク装置においては、劣化した信号の割合の多いネットワーク網からの受信信号が本来の選択/廃棄処理を行う前に遮断される。これにより、選択/廃棄処理部において破棄されるパケットの量が減少して効率の良い受信動作をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる受信側ネットワーク装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は本発明にかかる実施の形態1の受信側ネットワーク装置を含むネットワークシステムのシステム構成図である。図1において、送信側ネットワーク装置101と受信側ネットワーク装置102とがL2ネットワーク網に接続されている。L2ネットワーク網は、送信側ネットワーク装置101と受信側ネットワーク装置102との間に複数の経路を形成する(この複数の経路を図においてL2ネットワーク網3とL2ネットワーク網4と表現する)。
【0015】
送信側ネットワーク装置101は、端末装置などからパケットを受信する受信処理部11と、受信したパケットをL2ネットワーク網3,4に対応した冗長化されたパケットに変換して送信する送信側冗長化処理部11とを有している。
【0016】
一方、受信側ネットワーク装置102は、L2ネットワーク網3,4から受信するパケットを劣化の頻度により遮断する遮断処理部23と、冗長化されたパケットを変換する受信側冗長化処理部22と、変換したパケットを端末装置などに送信する送信処理部21とを有している。
【0017】
図2は遮断処理部23の詳細な構成を示す機能ブロック図である。遮断処理部23には、L2ネットワーク網3,4に対応してそれぞれ設けられてL2ネットワーク網3,4からのパケットの劣化を検出する信号劣化検出部231a、231bと、この信号劣化検出部231a、231bの後段に設けられて、L2ネットワーク網3,4からのパケットを遮断する信号遮断部233a、233bと、信号劣化検出部231a、231bの検出結果に基づいて信号遮断部233a、233bを制御する遮断制御部232a、232bとが設けられている。
【0018】
次に動作を説明する。送信側ネットワーク装置101は、受信処理部11で端末装置などから送信されるパケットを受信する。受信したパケットは、所定の情報を付与されて冗長化に対応した形式のパケットとされて、送信側冗長化処理部12から、L2ネットワーク網3,4に送信される。
【0019】
受信側ネットワーク装置102は、遮断処理部23において、冗長化されたパケットをL2ネットワーク網3,4から信号劣化検出部231a、231bにて受信して、信号遮断部233a、233bを経由して、受信側冗長化処理部22に転送する。受信側冗長化処理部22では、受信したパケットに冗長化の処理を実施される。その後、パケットは送信処理部21により端末装置などに送信される。
【0020】
ここで、L2ネットワーク網3から受信するパケットにおいて定常的に信号劣化が発生しており、L2ネットワーク網4から受信するパケットは劣化がないものとする。遮断処理部23では、L2ネットワーク網3から受信するパケットは信号劣化検出部231aにより、パケットの劣化が検出され、検出された劣化の頻度(信号全体に対する劣化した信号の割合)が遮断制御部232aに送信される。そして、この頻度がある閾値を超えた場合、遮断制御部232aは、L2ネットワーク網3に定常的にパケットの劣化が発生していると判断して、信号遮断部233aに対してL2ネットワーク網3から受信側冗長化処理部22へのパケットの通信を遮断するように制御する。
【0021】
受信側冗長化処理部22では、遮断処理部23の上記の動作によりパケットの劣化の頻度が高いL2ネットワーク網3からの信号を受信しなくなり、L2ネットワーク網4からの信号のみを処理して送信処理部21に転送することとなる。このようにして、受信側ネットワーク装置102は、パケットの劣化の頻度が高いL2ネットワーク網3からの信号の影響を受けず、効率の良い受信動作をする。
【0022】
なお、遮断処理部23は、例えばL2ネットワーク網3からの通信を遮断した後に、このL2ネットワーク網3が修復されてパケットの劣化の頻度が減少した場合には、L2ネットワーク網3からの通信を通過させるように制御する。なお、この通信の遮断/回復の処理においては、閾値計測にヒステリシスを用いることで、安定した遮断/回復の処理をするようにされている。なお、この処理は、詳細には遮断制御部232a、232bの処理に含まれる。このようにして、遮断したネットワーク網の回復が自動で行われる。
【0023】
以上のように本実施の形態の受信側ネットワーク装置102は、複数の経路を形成するL2ネットワーク網3,4を介して送信側ネットワーク装置101と接続されていて、送信側ネットワーク装置101から送信される冗長化されたパケットを受信するようにされており、受信したパケットの劣化を検出する信号劣化検出部231a、231bと、受信した信号を各信号毎に通過させるか遮断するか切り換える信号遮断部233a、233bと、記信号劣化検出部231a、231bの検出結果に基づいて、劣化した信号の割合の多いネットワーク網からの受信信号を遮断するように信号遮断部233a、233bを制御する遮断制御部233a、233bとを有しているので、劣化した信号の割合の多いネットワーク網からの受信パケットが冗長処理を行う前に遮断され、効率の良い受信動作をする。
【0024】
また、遮断制御部233a、233bは、いずれかのネットワーク網からの受信信号を遮断した後、同ネットワーク網からの受信信号の劣化が所定量以下に減少すると遮断を開放してこのネットワーク網からの受信パケットを通過させるように動作する。これにより、遮断したネットワーク網の回復を自動で行うことができる。
【0025】
実施の形態2.
図3は本発明にかかる実施の形態2の受信側ネットワーク装置の遮断処理部の機能ブロック図である。本実施の形態の遮断処理部23Bには、L2ネットワーク網3側とL2ネットワーク網4側とを統一して制御する遮断制御部232cが設けられている。上述した実施の形態1の遮断処理部23においては、2つの遮断制御部232a、232bがそれぞれ独立して動作するため、L2ネットワーク網3,4のパケットが共に劣化していた場合、信号遮断部233a、233bの両方で遮断を行う。これに対し、本実施の形態においては、独立していた遮断制御部を統合して、1つの遮断制御部232cとし遮断処理の制御を統一的に行う。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0026】
動作を説明する。L2ネットワーク網からパケットを受信して、劣化があった際にそのL2ネットワーク網からのパケットを遮断する動作は、実施の形態1と同様である。しかしながら、全てのL2ネットワーク網からのパケットが劣化していた場合の動作が実施の形態1のものとは異なる。全てのL2ネットワーク網からの信号が劣化していた場合、遮断制御部232cは、L2ネットワーク網におけるパケットの劣化の頻度が最も少ないネットワーク網、若しくは最後にパケットの劣化の生じたネットワーク網を選択し、そのL2ネットワーク網からの信号が冗長化処理部24に出力されるように制御する。
【0027】
以上のように本実施の形態の受信側ネットワーク装置は、実施の形態1の構成に加えて、遮断制御部232cは、L2ネットワーク網におけるパケットの劣化の頻度が最も少ないネットワーク網、若しくは最後にパケットの劣化の生じたネットワーク網を選択することにより、少なくとも一つのネットワーク網からの受信信号は遮断しないように制御するので、パケットの劣化の頻度が高いL2ネットワーク網の影響を抑制することができるとともに、全てのL2ネットワーク網でパケットの劣化が生じた場合であってもネットワーク網を介して通信を行うことが可能となる。
【0028】
なお、本実施の形態の遮断制御部232cは、実施の形態1のものと同様に、所定のL2ネットワーク網の遮断後、同L2ネットワーク網が修復した場合には、遮断を開放して同L2ネットワーク網からのパケットの通過を許可する制御をする。
【0029】
実施の形態3.
図4は本発明にかかる実施の形態3の受信側ネットワーク装置を含むネットワークシステムのシステム構成図である。図4において、送信側ネットワーク装置201は、上記背景技術で述べたものと同様に、パケットを端末などから受信する受信処理部11と、IDタグなどを付与した上で各L2ネットワーク網に送信するタグ付与部13と、ネットワーク装置201のIDを保持する送信元ID保持部14、パケットに付加するシーケンス番号を生成するシーケンス番号生成部15とを有している。
【0030】
一方、受信側ネットワーク装置202は、L2ネットワーク網から受信するパケットをパケットの劣化の頻度により遮断する遮断処理部23と、L2ネットワーク網からのパケットの選択/廃棄を判断する選択/廃棄処理部24と、選択/廃棄処理24の比較対象となるID毎のシーケンス番号保持部25とを有している。遮断処理部23は、実施の形態1の遮断処理部23または実施の形態2の遮断処理部23Bと同様の構成をもつものとされている。
【0031】
動作を説明する。L2ネットワーク網3から受信するパケットにおいて、定常的にパケットの劣化が発生しているとする。実施の形態1と同様の動作により、L2ネットワーク網3からの通信を遮断する。L2ネットワーク網3からの通信の遮断後、L2ネットワーク網4から受信するパケットの処理を図5に示す。図5において、時刻1、2、4、7では、L2ネットワーク網3からのパケットを受信するが、遮断処理部23によりパケットは遮断され、選択/廃棄処理部24に転送されない。保持しているシーケンス番号の更新等の処理も行われない。一方、時刻3、5、6では、L2ネットワーク網4からのパケットを受信し、遮断処理部23はそのまま通過する。そして、選択/廃棄処理部24での保持しているシーケンス番号の更新等の処理が行われる。その結果、受信側ネットワーク装置202は、01〜03の全てのパケットを通過させる。
【0032】
以上により、受信側ネットワーク装置202は、L2ネットワーク網3から受信する定常的なパケットの劣化による影響を受けることなく、L2ネットワーク網4から受信する正常なパケットのみを通過させるので、通過するパケットの損失が抑制される。
【0033】
このように本実施の形態の受信側ネットワーク装置202においては、送信側ネットワーク装置201が、送信元IDおよびシーケンス番号をパケットに付与してネットワーク網上の各経路に同報送信するものであり、受信側ネットワーク装置202は、送信元ID毎にシーケンス番号を保持するシーケンス番号保持部25と、保持されたシーケンス番号と比較することにより、未受信のパケットであればこれを通過させ、既受信のものであればこれを廃棄する選択/廃棄処理部24とをさらに有しているので、送信元IDとシーケンス番号とが付与されたパケットがネットワーク網上の複数の経路に同報送信されるネットワークシステムにおいて、損失するパケットの数を減少させることができ、効率の良い受信動作をさせることができる。
【0034】
実施の形態4.
図6は本発明にかかる実施の形態4の受信側ネットワーク装置を含むネットワークシステムのシステム構成図である。図6において、本実施の形態の受信側ネットワーク装置302は、L2ネットワーク網3,4からのパケットの劣化を検出する第1の信号劣化検出部26a、第2の信号劣化検出部26b、およびパケットの遮断を制御する網強制選択制御部27を有している。
【0035】
実施の形態3の受信側ネットワーク装置202においては、選択/廃棄処理部24の他に遮断処理部23が設けられていたが、パケットの劣化によるパケットの遮断処理と冗長化による選択/廃棄処理とを同じ機能ブロックの中で同時に行うことも可能である。そのため、本実施の形態においては、遮断処理の制御と選択/廃棄処理の制御とを統合して網強制選択制御部27に行わせている。
【0036】
信号劣化検出部26a、26bは実施の形態1の信号劣化検出部231a、231bと同様の動作をする。網強制選択制御部27は実施の形態1の遮断制御部233a、233bまたは実施の形態2の遮断制御部233cと同様の動作をする。すなわち、選択/廃棄処理部24は、ID毎のシーケンス番号保持部25から得られる情報に基づいて選択/廃棄処理を行う他、網強制選択制御部27からの情報により遮断すべき網から受信するパケットを通過させない。これにより、信号遮断部を別途設けることなく、実施の形態3の受信側ネットワーク装置202と同様の動作をさせて同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、本実施の形態の網強制選択制御部27は、実施の形態1のものと同様に、いずれかのネットワーク網からの受信信号を遮断した後、同ネットワーク網からの受信信号の劣化が所定量以下に減少すると遮断を開放してこのネットワーク網からの受信パケットを通過させるように動作するので、遮断したネットワーク網の回復を自動で行うことができる。
【0038】
実施の形態5.
シーケンス番号保持部にて保持されるシーケンス番号は、L2ネットワーク網で順番が入れ替わるパケット群単位で管理される。上述の実施の形態においては、シーケンス番号保持部25では、L2ネットワーク網で順番が入れ替わるパケット群単位として、システム内で固有の認識番号である送信元IDが用いられていたが、本実施の形態においては、図7に示されるようにQoS認識番号を、L2ネットワーク網で順番が入れ替わるパケット群の単位として管理する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0039】
L2ネットワーク網3から受信するパケットにおいて、L2ネットワーク網内におけるQoSの優先制御により、シーケンス番号13がシーケンス番号11、12よりも先に受信した場合の動作例を図8に示す。図8において、時刻1では、QoS1のシーケンス番号10のパケットを受信する。QoS1の保持しているシーケンス番号00より大きいため、パケットは通過し、QoS1の保持しているシーケンス番号を更新する。時刻2では、QoS2のシーケンス番号13のパケットを受信する。QoS2の保持しているシーケンス番号03より大きいため、パケットを通過し、QoS2の保持しているシーケンス番号を更新する。時刻3では、QoS1のシーケンス番号11のパケットを受信する。時刻2のシーケンス番号よりも小さいが、QoS1の保持しているシーケンス番号は10であるため、パケットは通過する。時刻4、5も同様に信号は通過する。
【0040】
これにより、L2ネットワーク網内でパケットの順番が変更した場合でも、受信する全てのパケットが受信側ネットワーク装置102を通過し、パケットの損失が生じない。
【0041】
また、図7のような管理方法は、実施の形態3および4においても実現でき、L2ネットワーク網から受信するパケットの劣化およびL2ネットワーク網内におけるパケットの順番の入れ替わりに対し、パケットの損失を防止することが可能である。
【0042】
なお、上記実施の形態1から5の受信側ネットワーク装置は、L2ネットワーク網から冗長化されたパケットを受信するものであるが、これに限らず、本発明に係る受信側ネットワーク装置は、広くL2ネットワーク網から冗長化された信号を受信するものであれば適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明にかかる受信側ネットワーク装置は、より信頼性が高いネットワークシステムを、レイヤ2の階層で実現することを要求されるネットワークシステムを構築する際に組み込まれて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明にかかる実施の形態1の受信側ネットワーク装置を含むネットワークシステムのシステム構成図である。
【図2】実施の形態1の遮断処理部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明にかかる実施の形態2の受信側ネットワーク装置の遮断処理部の機能ブロック図である。
【図4】本発明にかかる実施の形態3の受信側ネットワーク装置を含むネットワークシステムのシステム構成図である。
【図5】高信頼性ネットワーク網における受信信号の通過可否の第1の例を説明するための図である。
【図6】本発明にかかる実施の形態4の受信側ネットワーク装置を含むネットワークシステムのシステム構成図である。
【図7】高信頼性ネットワーク網における保持するシーケンス番号の構成例を説明するための図である。
【図8】高信頼性ネットワーク網における受信信号の通過可否の第2の例を説明するための図である。
【図9】従来のレイヤ2ネットワークシステムの構成図である。
【図10】従来技術のネットワーク網における受信信号の通過可否の第1の例を説明するための図である。
【図11】従来技術のネットワーク網における受信信号の通過可否の第2の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0045】
3,4 L2ネットワーク網(ネットワーク網)
12 送信側冗長化処理部
13 タグ付与部
22 受信側冗長化処理部
23,23B 遮断処理部
231a 第1の信号劣化検出部
231b 第2の信号劣化検出部
232a 第1の遮断制御部
232b 第2の遮断制御部
233a 第1の信号遮断部
233b 第2の信号遮断部
24 選択/廃棄処理部
25 ID毎のシーケンス番号保持部
26 信号劣化検出部
27 網強制選択制御部
101,201 送信側ネットワーク装置
102,202,302 受信側ネットワーク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の経路を形成するネットワーク網を介して送信側ネットワーク装置と接続され、送信側ネットワーク装置から送信される冗長化された信号を受信する受信側ネットワーク装置であって、
受信した信号の劣化を検出する信号劣化検出部と、
受信した信号を各信号毎に通過させるか遮断するか切り換える信号遮断部と、
前記信号劣化検出部の検出結果に基づいて、劣化した信号の割合の多いネットワーク網からの受信信号を遮断するように前記信号遮断部を制御する遮断制御部と
を備えたことを特徴とする受信側ネットワーク装置。
【請求項2】
前記遮断制御部は、少なくとも一つのネットワーク網からの受信信号は遮断しないように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の受信側ネットワーク装置。
【請求項3】
前記遮断制御部は、ネットワーク網からの受信信号を遮断した後、同ネットワーク網からの受信信号の劣化が所定量以下に減少すると遮断を開放して当該ネットワーク網からの受信信号を通過させるように制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の受信側ネットワーク装置。
【請求項4】
前記送信側ネットワーク装置は、前記冗長化された信号として、パケットにシステム内で固有の認識番号とシーケンス番号とを付与してネットワーク網上の複数の経路に同報送信するものであり、
受信側ネットワーク装置は、
前記システム内で固有の認識番号毎に前記シーケンス番号を保持するシーケンス番号保持部と、
保持された前記シーケンス番号と比較をして未受信のパケットであればこれを通過させ、既受信のものであればこれを廃棄する選択/廃棄処理部とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の受信側ネットワーク装置。
【請求項5】
前記システム内で固有の認識番号が送信元IDである
ことを特徴とする請求項4に記載の受信側ネットワーク装置。
【請求項6】
前記システム内で固有の認識番号がQoS認識番号である
ことを特徴とする請求項4に記載の受信側ネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−28671(P2008−28671A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198592(P2006−198592)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】