説明

受信器及び負荷制御システム

【課題】無線信号の確認作業に伴う不具合の発生を抑制する。
【解決手段】受信器1の受信制御部11は、送信器2から受信確認用の無線信号(受信確認用制御コマンドを含む無線信号)を受信した場合、スイッチ要素12を開閉せずに報知部17の報知のみを行う。そのため、受信器1の電圧変換部16が有するコンデンサの蓄電電力(充電電荷)が不足した状態でスイッチ要素12が開閉されることが回避できる。その結果、無線信号の確認作業において送信器2の操作部23が短時間に何度も操作されたとしても、受信器1における電力不足などの不具合の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器から送信される無線信号を受信する受信器並びにそれら送信器と受信器を含む負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送信器及び受信器を含む負荷制御システムの従来例として特許文献1に記載されている無線通信システムがある。この従来例は、周囲の明るさを検出したり人体の存在を検出し、電波を媒体とする無線信号によって検出結果を送信する送信器と、無線信号を受信して取得する前記検出結果に応じて負荷(例えば、照明負荷)を制御(点滅)する受信器とを有する。受信器は、商用電源に対して照明負荷と直列に接続されたスイッチ要素を備え、検出結果に応じてスイッチ要素を開閉することで照明負荷を点滅させている。
【0003】
例えば、部屋の壁に送信器及び受信器が設置され、当該部屋に人が居るときは送信器が人の存在を検出して照明負荷を点灯させるための無線信号で送信し、無線信号を受信した受信器においてスイッチ要素がオンされて照明負荷が点灯される。そして、部屋から人が居なくなると送信器が照明負荷を消灯させるための無線信号を送信し、無線信号を受信した受信器においてスイッチ要素がオフされて照明負荷が消灯される。
【0004】
ここで、受信器にはスイッチ要素をオン・オフしたり、無線信号を受信する受信回路などを動作させるための電源が必要である。この動作用電源を確保する方法としては、商用電源から動作用電源を得るための専用配線を設ける方法と、専用配線を設けずに商用電源と負荷(照明負荷)に接続されている配線を介して商用電源から得る方法とがある。そして、後者の方法では、スイッチ要素がオンしている間は商用電源と受信器と照明負荷の間に形成される閉回路に流れる電流(負荷電流)から動作用電源を得ている。一方、スイッチ要素がオフしている間はスイッチ要素を迂回する経路で微少な電流(動作電流)を流し、この動作電流をコンデンサに蓄電するなどして動作用電源を得ている。ただし、前記動作電流が流れることで照明負荷から僅かに光束が放射される場合があるので、動作電流は可能な限り少ないことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−198654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来例のように送信器及び受信器が壁などに設置されて使用される場合、設置作業の際に送信器から送信される無線信号が受信器で受信可能であることを確認する必要がある。例えば、手動操作される操作部(押釦スイッチなど)が送信器に設けられ、操作部が操作されたときに無線信号を強制的に送信させ、当該無線信号を受信した受信器が照明負荷を点灯から消灯又は消灯から点灯に切り替えさせることで無線信号の受信を確認できるようにすればよい。
【0007】
しかしながら、送信器の操作部が短時間のうちに何回も操作された場合、受信器ではスイッチ要素のオン・オフが何度も繰り返されるために電力消費が増大し、スイッチ要素や受信回路を動作させるための電源バッファ用のコンデンサの充電電荷が減少して十分な動作用電源の確保が困難となって不具合(例えば、照明負荷の不点)の生じる虞があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、無線信号の確認作業に伴う不具合の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の受信器は、無線信号を受信する受信手段と、外部電源から負荷への給電路に挿入されて前記給電路を開閉するスイッチ要素と、前記受信手段で受信する無線信号に含まれる制御コマンドに応じて前記スイッチ要素を制御する受信制御手段と、前記スイッチ要素が閉じているときに前記給電路に流れる電流から前記受信制御手段の動作電源を作成して供給する第1電源供給手段と、前記スイッチ要素が開いているときに前記給電路から電流を取り込んで前記受信制御手段の動作電源を作成して供給する第2電源供給手段と、音又は光で報知する報知手段とを備え、前記受信制御手段は、前記制御コマンドが負荷制御用の制御コマンドである場合、前記制御コマンドに応じて前記スイッチ要素を開閉し、前記制御コマンドが無線信号の受信確認用の制御コマンドである場合、前記スイッチ要素を開閉せずに前記受信確認用の制御コマンドが受信されたことを前記報知手段に報知させることを特徴とする。
【0010】
この受信器において、前記受信手段で受信される前記受信確認用の制御コマンドを含む無線信号の信号強度を計測する計測手段を備え、前記受信制御手段は、前記計測手段で計測される前記信号強度を前記報知手段に報知させることが好ましい。
【0011】
この受信器において、前記報知手段はブザーを鳴動させて報知することが好ましい。
【0012】
この受信器において、前記報知手段は発光素子を発光させて報知することが好ましい。
【0013】
この受信器において、前記報知手段は液晶ディスプレイを有し、前記液晶ディスプレイに表示して報知することが好ましい。
【0014】
本発明の負荷制御システムは、前記何れかの受信器と、前記制御コマンドを含む無線信号を送信する送信器とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の受信器及び負荷制御システムは、無線信号の確認作業に伴う不具合の発生を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る受信器及び負荷制御システムを示すブロック図である。
【図2】同上における受信器の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明に係る受信器及び負荷制御システムの実施形態を詳細に説明する。ただし、本実施形態では、外部電源を商用交流電源とし、負荷を照明負荷としているが、外部電源及び負荷はそれぞれ商用交流電源や照明負荷に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態の負荷制御システムは、図1に示すように送信器2と受信器1で構成される。受信器1は、無線受信部10、受信制御部11、スイッチ要素12、電流変成器13、2つの整流器14,15、電圧変換部16、報知部17、一対の接続端子18,19などを備える。無線受信部10は、例えば、電波法に規定される特定小電力無線局との間で無線通信を行う無線通信回路とアンテナを有し、電波を媒体とする無線信号を受信するものである。ただし、このような無線受信部10は従来周知の無線通信技術を用いて実現可能であるから詳細な説明は省略する。
【0019】
一対の接続端子18,19には電線を介して外部電源(商用交流電源)3と照明負荷4がそれぞれ接続される。スイッチ要素12は、例えば、ラッチング式のメカニカルリレーからなり、一対の接続端子18,19を介して外部電源3から照明負荷4への給電路に挿入されて当該給電路を開閉(開成<オフ>・閉成<オン>)する。電流変成器13は1次巻線が前記給電路に挿入され、2次巻線に整流器14が接続されている。整流器14は、スイッチ要素12がオンしているときに電流変成器13の2次巻線に誘起される交流電圧(交流電流)を整流して電圧変換部16に出力する。また、整流器15は、スイッチ要素12がオフしているときにスイッチ要素12の両端に印加される交流電圧を整流して電圧変換部16に出力する。ただし、整流器15で整流される電流は、照明負荷4から放射される光束が無視できる程度の微少な値に制限されている。
【0020】
電圧変換部16は、図示しない蓄電用のコンデンサ(電解コンデンサ)と電源回路を有し、整流器14で整流されて前記コンデンサで平滑された直流電圧を無線受信部10及び受信制御部11の動作電源電圧に変換している。さらに電圧変換部16は、スイッチ要素12がオフしているときは整流器15で整流されて前記コンデンサで平滑された直流電圧を無線受信部10及び受信制御部11の動作電源電圧に変換している。すなわち、本実施形態では電流変成器13と整流器14と電圧変換部16とで第1電源供給手段が構成され、整流器15と電圧変換部16とで第2電源供給手段が構成されている。
【0021】
受信制御部11は、マイクロコントローラなどで構成され、後述するように無線受信部10で受信する無線信号に含まれる制御コマンドに応じてスイッチ要素12を開閉(オン・オフ)する。また報知部17は、ブザー又は発光ダイオードなどの発光素子の少なくとも何れか一方を有し、受信制御部11に制御されてブザーを鳴動させ、あるいは発光素子を発光させることで音又は光による報知を行う。
【0022】
一方、送信器2は、送信制御部20、検知部21、無線送信部22、操作部23などを備える。無線送信部22は、例えば、電波法に規定される特定小電力無線局の規格に適合する無線通信回路とアンテナを有し、電波を媒体とする無線信号を送信する。ただし、このような無線送信部22は従来周知の無線通信技術を用いて実現可能であるから詳細な説明は省略する。
【0023】
検知部21は所定のトリガを検知するトリガ検知手段に相当し、例えば、人体から放射される熱線を検出することで人の存在を検知する人体検知センサや、周囲の明るさ(周囲照度)を検出する明るさセンサなどを有する。すなわち、検知部21は、人の存在や所定値以下の周囲照度をトリガとし、当該トリガを検知したときにトリガ信号を送信制御部20に出力する。操作部23は、例えば、図示しない押釦スイッチを有し、当該押釦スイッチが押操作されたときに操作入力を受け付けて操作信号を送信制御部20に出力する。
【0024】
送信制御部20は、マイクロコントローラなどで構成され、検知部21から出力されるトリガ信号並びに操作部23から出力される操作信号に基づく制御コマンド(照明負荷4を点灯させる制御コマンド)を生成して無線送信部22に渡す。なお、送信制御部20は、トリガ信号に基づく制御コマンドに点灯保持時間の情報を付加する。無線送信部22は、送信制御部20から渡された制御コマンドを含む無線信号を送信する。受信器1において前記無線信号を受信すると、受信制御部11は、制御コマンドに応じてスイッチ要素12をオンし、さらに制御コマンドに付加されている点灯保持時間の計時中はスイッチ要素12をオフしない。そして、受信制御部11は、点灯保持時間の計時中に点灯保持時間が付加された制御コマンドを受け取ると点灯保持時間の計時を再スタートし、点灯保持時間の計時が終了した時点でスイッチ要素12をオフして照明負荷4を消灯させる。
【0025】
ここで、送信制御部20の動作を詳細に説明する。送信制御部20は、操作部23から出力される操作信号の入力を待ち、操作信号の入力待ちの間に検知部21から出力されるトリガ信号が入力されると、照明負荷4を点灯させるための制御コマンド(負荷制御用コマンド)を生成する。そして、送信制御部20は生成した負荷制御用制御コマンドを含む無線信号を無線送信部22から送信させる。
【0026】
一方、操作部23から出力される操作信号が入力されると、送信制御部20は、無線信号の受信確認用の制御コマンドを生成し、生成した受信確認用制御コマンドを含む無線信号を無線送信部22から送信させる。
【0027】
次に、図2のフローチャートを参照して受信制御部11の動作を詳細に説明する。受信制御部11は、無線受信部10で無線信号が受信されるのを待つ(ステップS1)。無線受信部10で無線信号が受信されると、受信制御部11は、無線信号に含まれる制御コマンドが受信確認用制御コマンドであるか否かを判定する(ステップS2)。制御コマンドが受信確認用でなく負荷制御用制御コマンドであった場合、受信制御部11は、負荷制御用の制御コマンドに応じてスイッチ要素12を開閉(オン又はオフ)する(ステップS3)。
【0028】
一方、制御コマンドが受信確認用の制御コマンドであった場合、受信制御部11は、スイッチ要素12を開閉せずに報知部17にブザー音を鳴動させ、あるいは発光素子を発光させることで受信確認用の制御コマンドを受け取ったことを報知する(ステップS4)。
【0029】
上述のように本実施形態の受信器1では、送信器2から受信確認用の無線信号(受信確認用制御コマンドを含む無線信号)を受信した場合、スイッチ要素12を開閉せずに報知部17の報知のみを行う。そのため、受信器1の電圧変換部16が有するコンデンサの蓄電電力(充電電荷)が不足した状態でスイッチ要素12が開閉されることが回避できる。その結果、無線信号の確認作業において送信器2の操作部23が短時間に何度も操作されたとしても、受信器1における電力不足などの不具合の発生を抑制することができる。しかも、受信確認用の無線信号が受信されたことを報知部17で報知するので、受信器1に無線信号が届いているか否かを作業者が容易に判別できる。なお、報知部17が音(ブザー音)で報知する場合、送信器2の設置場所から直接目視できない場所に受信器1が設置されていても、作業者は無線信号が受信器1で受信されたことを容易に確認できる。一方、報知部17が光(発光素子の発光)で報知する場合、ブザーに比べて報知部17の報知に要する電力消費が低減でき、且つ複数の作業者が同じ確認作業を行っていても報知部17の報知が誤認され難いという利点がある。
【0030】
ただし、報知部17が液晶ディスプレイを有し、例えば、「送信器から受信確認用の無線信号を受信しました。」というようなメッセージを前記液晶ディスプレイに表示して報知すれば、作業者に確実且つ容易に報知することができる。
【0031】
ところで、一般的な無線通信回路は、通常、受信した無線信号の信号強度を計測する機能を搭載し、受信信号強度の大小に比例した直流電圧信号である受信信号強度表示信号(Receiving Signal Strength Indication:RSSI信号)を出力している。本実施形態における無線受信部10も上記信号強度計測機能を搭載しており、無線受信部10から受信制御部11へRSSI信号を出力することが可能である。すなわち、本実施形態では無線受信部10が受信手段と計測手段を兼ねている。
【0032】
そして、無線受信部10で計測される受信信号強度(RSSI信号の信号レベル)を受信制御部11が報知部17に報知させれば、送信器2と受信器1の間の無線通信の状態を作業者が詳細に把握できるようになる。その結果、送信器2及び受信器1の設置作業の簡素化が図れる。なお、受信信号強度を報知部17に報知させる場合、例えば、複数個の発光素子を同時に発光させる個数などで受信信号強度を報知したり、あるいは受信信号強度に応じてブザーの音(音の周波数)を変えればよい。若しくは、報知部17が液晶ディスプレイを有する場合、受信信号強度を示す数値や強弱のランクなどを液晶ディスプレイに表示してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 受信器
2 送信器
3 外部電源(商用交流電源)
4 照明負荷(負荷)
10 無線受信部(受信手段)
11 受信制御部(受信制御手段)
12 スイッチ要素
13 電流変成器(第1電源供給手段)
14 整流器(第1電源供給手段)
15 整流器(第2電源供給手段)
16 電圧変換部(第1及び第2電源供給手段)
17 報知部(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信する受信手段と、外部電源から負荷への給電路に挿入されて前記給電路を開閉するスイッチ要素と、前記受信手段で受信する無線信号に含まれる制御コマンドに応じて前記スイッチ要素を制御する受信制御手段と、前記スイッチ要素が閉じているときに前記給電路に流れる電流から前記受信制御手段の動作電源を作成して供給する第1電源供給手段と、前記スイッチ要素が開いているときに前記給電路から電流を取り込んで前記受信制御手段の動作電源を作成して供給する第2電源供給手段と、音又は光で報知する報知手段とを備え、前記受信制御手段は、前記制御コマンドが負荷制御用の制御コマンドである場合、前記制御コマンドに応じて前記スイッチ要素を開閉し、前記制御コマンドが無線信号の受信確認用の制御コマンドである場合、前記スイッチ要素を開閉せずに前記受信確認用の制御コマンドが受信されたことを前記報知手段に報知させることを特徴とする受信器。
【請求項2】
前記受信手段で受信される前記受信確認用の制御コマンドを含む無線信号の信号強度を計測する計測手段を備え、前記受信制御手段は、前記計測手段で計測される前記信号強度を前記報知手段に報知させることを特徴とする請求項1記載の受信器。
【請求項3】
前記報知手段はブザーを鳴動させて報知することを特徴とする請求項1又は2記載の受信器。
【請求項4】
前記報知手段は発光素子を発光させて報知することを特徴とする請求項1又は2記載の受信器。
【請求項5】
前記報知手段は液晶ディスプレイを有し、前記液晶ディスプレイに表示して報知することを特徴とする請求項1又は2記載の受信器。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかの受信器と、前記制御コマンドを含む無線信号を送信する送信器とを有することを特徴とする負荷制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−98039(P2013−98039A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240291(P2011−240291)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】