説明

受信機ネットワークを用いた複数の物体の位置特定

送信機によって放出され、物体によって複数の受信機に反射される信号を処理することによって複数の物体の正しいロケーションを求めるための技法を説明する。角度情報も高度情報も使用されない。物体−受信機対の到達時間差測定値を作成して、各物体から各受信機−受信機対において受信された信号間の到達時間差を計算する。次に、双曲線の位置特定を実施して、物体毎の可能なロケーションを識別する。受信機−物体対毎に直接・反射信号受信時間測定値を作成して、送信機からの直接信号の受信機による受信と、物体によって反射された信号の受信機による受信との時間差を計算する。直接・反射信号受信時間測定値は、物体−受信機対の到達時間差測定値に関連付けられ、その結果を使用して、双曲線の位置特定によって求められたロケーションを直接・反射信号受信時間測定値に関連付けることによって、正しい物体位置を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ受信機及び少なくとも1つの送信機を使用した、複数の物体の一意の位置特定(localisation)に関する。
【背景技術】
【0002】
パッシブ受信機ネットワークは、RF信号源及び/又は信号反射物体の位置特定のための、正確且つ効果的な技法と見なされている。パッシブ受信機ネットワークの主要な利点は、該パッシブ受信機ネットワークが、到来する信号の知識を必要とせずに動作し、位置特定信号の送信を要求しないことである。
【0003】
パッシブ受信機ネットワークにおいて位置特定するための一般的な技法は、マルチラテレーション(双曲線位置決めとしても知られている)である。この技法は、様々な受信機間の到達時間差(TDOA)に基づく。三角測量と同様に、単一の物体を一意に位置特定するためには、特定の数の受信機が必要とされる。パッシブ受信機ネットワークでは、物体より多数の受信機を維持することが必要とされる(2D位置特定の場合、2つ以上の物体に対しては最低4つの受信機が必要とされる)。この条件が満たされない場合、結果として、実体が一切ない誤った物体位置をもたらす交点が生じる。これらは「幻像(phantom)」と呼ばれる。したがって、物体の真のロケーションを推定するために、これらの幻像を取り除くことが重要である。
【0004】
パッシブネットワークを使用する位置特定プロセスにおけるこの「空間的フィルタリング」、すなわち幻像の除去に関して多数の技法が提案されてきた。しかしながら、解決策は角度測定及び高度測定、網羅的処理、ハードウェア変更、並びに追跡に基づく。これらの解決策はいずれも、以下のシナリオには適用することができない。
・取得(acquisition)が複数存在しない。これは追跡を使用することができないことを意味する。
・受信機が固定されている場合がある。したがって、幻像を、物理的にあり得ない位置に動く交点として識別するために受信機を動かすことが不可能である。
・利用可能な受信機が、時間を除いた他のものを測定する能力を一切持たないので、角度情報及び高度情報が利用可能でない。
・各受信機が、独立型で動作し、受信信号及び/又は該信号からの他の関連情報、並びに受信機の位置をデータ処理ユニットに送信する。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、複数の物体の位置を、少なくとも1つの送信機から放出され、物体によって反射され、複数の受信機によって受信される信号を処理することによって求める方法が提供される。
本方法は、
物体毎及び受信機グループ毎に1つの測定値を含む時間差測定値の第1のセットを生成するために受信機からの信号を処理することであって、該測定値の第1のセットは、該グループ内の受信機のそれぞれにおいて物体から受信された信号間の到達時間差を定義する、受信機からの信号を処理すること、
物体毎及び受信機グループ毎に、それぞれの位置曲線(物体の位置がその上に存在するはずであるもの)を計算するために、時間差測定値の第1のセットを処理すること、
個々の物体のそれぞれに対する複数の可能な位置を生成するために、生成された位置曲線の交点を求めること、
受信機−物体対毎のそれぞれの測定値を含む時間差測定値の第2のセットを生成するために受信機からの信号を処理することであって、該測定値の第2のセットは、送信機からの直接信号の受信機による受信と、物体から反射された信号の受信機による受信との間の時間差を定義する、受信機からの信号を処理すること、
第1のセット内の時間差測定値を、第2のセット内の時間差測定値と関連付けること、及び、
生成された位置曲線の計算された交点を、第2のセット内の時間差測定値に関連させることによって物体の位置を求めること
を含む。
【0006】
本発明は、複数の物体の位置を、少なくとも1つの送信機から放出され、前記物体によって反射され、複数の受信機によって受信される信号を処理することによって求めるための装置も提供する。
本装置は、
物体毎及び受信機グループ毎の到達時間差測定値を含む反射信号到達時間差測定値を生成するために受信機からの信号を処理する手段であって、該測定値は、グループ内の受信機のそれぞれにおいて物体から受信される反射信号間の到達時間差を定義する、受信機からの信号を処理する手段と、
位置曲線を計算するために反射信号到達時間差測定値を処理する手段であって、位置曲線は、物体毎及び受信機グループ毎に、物体の位置がその上に存在するはずである曲線を定義する、反射信号到達時間差測定値を処理する手段と、
個々の物体それぞれに対する複数の可能な位置を計算するために、生成された位置曲線の交点を求める手段と、
受信機−物体対毎のそれぞれの時間測定値を含む直接・反射信号受信時間測定値(direct-reflected signal time reception measurement)を生成するために受信機からの信号を処理する手段であって、該測定値は、送信機からの直接信号の受信機による受信と、物体から反射された信号の受信機による受信との間の時間差を定義する、受信機からの信号を処理する手段と、
複数の計算された位置を直接・反射信号受信時間測定値に関連付けることによって、該物体毎の複数の計算された位置から物体毎に単一の位置を選択する手段と
を備える。
【0007】
本発明は、プログラム可能な処理装置を、上述した方法を実施するように動作可能となるように、又は上述した装置として構成されるものとなるように、プログラミングするためのコンピュータプログラム製品もさらに提供する。
【0008】
本発明の一実施の形態は、パッシブ受信機ネットワークにおける複数の物体の一意の位置特定、すなわち空間的フィルタリングを提供する。該一意の位置特定は、
・単純なパッシブ受信機を使用して、時間測定のみに基づき、物体の位置(position)の一意の識別および「幻像」の位置の排除を可能にする。
・物体の位置を一意に識別するのに必要とされる最低限の量の受信機は3つであるが、実施の形態を、より多くのセンサーに関して拡張することができる。
・実施の形態は、2Dシナリオ及び3Dシナリオの双方に適用可能である。
・手順全体が、送信機によってもたらされる信号に基づくため、さらなる信号要件が一切ない。
・初期の物体位置に対する想定は行わず、位置特定から得られる値のみを使用する。
・アンテナに対するハードウェア変更が必要ないため、実施の形態は、単純な受信機を用いることができる。
・実施の形態は、環境の単一のスナップショットに対して動作することができ、物体を追跡する必要がない。すなわち、さらなる信号取得は必要とされない。
・受信機の複雑度及びコストを増大させる角度測定又は高度測定の必要がない。
・受信機の観点からの追加の送信要件は一切ない。
【0009】
ここで、添付の図面を参照して、例としてのみ本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態の信号処理装置内の機能ユニットを示すブロック図である。
【図2A】シナリオ例を示す図である。
【図2B】図2Aのシナリオを一般的な概略形式で示す図である。
【図3】受信機において受信される信号の形式例を示す図である。
【図4A】一実施形態において図1の装置によって実施される処理動作を示すフローチャートの一部である。
【図4B】一実施形態において図1の装置によって実施される処理動作を示すフローチャートの一部である。
【図5】送信機信号のための自己相関関数の例を示す図である。
【図6】受信機において受信される信号の自己相関関数の例を示す図である。
【図7】図2Aに示されるシナリオのためのプロットされた双曲線の例を示す図である。
【図8】送信機に対応する値を除去するための処理後の図7の双曲線を示す図である。
【図9】図4BのステップS4−14において実施される処理動作を示すフローチャートである。
【図10】図4BのステップS4−16において実施される処理動作を示すフローチャートである。
【図11】実施形態における処理の結果として計算される真の物体位置のアイデンティティを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この実施形態において実施される処理動作の原理を最初に説明する。例示的な実施例がそれに続く。
【0012】
上述したように、吟味されるシナリオにおいて使用される位置特定技法は、到達時間差(TDOA)に基づく。送信機から送信される信号も、該信号が送信された時刻も、知る必要がない。したがって、時間差推定技法から得られる唯一の利用可能な情報(たとえば相関)は、信号の、受信機までの伝播経路距離の差に幾何学的に対応することができる。便宜上、相関をこの実施形態における標準技法として使用するが、たとえば国際公開第00/39643号パンフレットに記載される時間遅延推定技法のような、代替的な時間遅延推定技法の実施を検討してもよい。
【0013】
パッシブ受信機は、受信信号(位置を求めるべき物体からの反射と、送信機からの直接信号とを結合したもの)か、又は該信号の他の適切な情報(米国特許第7170820号明細書に記載されるようなもの)を、集中型データ処理(CDP)ユニットに送信する。全てのデータが収集されると、TDOAに基づく標準的な位置特定が実施される。TDOA測定値が、センサ対i−jの相互相関関数のピークから取得される。TDOA位置特定は双曲線に基づく。1つの時間測定値は、受信機−受信機対i−jの相関Rijから得られるピークの1つに対応する。ここで、相関関数は、受信機jにおいて受信された信号に対して計算される。これらの時間測定値のそれぞれについて、調査されている受信機i及び受信機j間のTDOAに基づいて、1つの双曲線が生成される。n個の受信機で、全ての可能なセンサ対の組み合わせを使用する場合、個々の物体毎に、結果としての双曲線の利用可能な最大数hmaxは、以下となる。
【0014】
【数1】

【0015】
…(1)
さらに、個々の物体毎に、双曲線の位置特定によって2つの有効な交点がもたらされる。有効な交点とは、該点(又は雑音がある場合には領域)において交差するhmax個の双曲線から生じる交点である。したがって、2×(ν+1)個の有効な交点が存在し、ここでνは物体の個数である。ν+1が使用される理由は、この段階において送信機も物体として扱われるということに基づく。ただし、送信機の位置は、CDPユニット及び受信機に知られているため、一意に識別することができる。位置特定の最終段階は、各個々の物体に対応する交点の対を、hmax個の双曲線から生成される交点として識別することである。交点がhmax個未満の双曲線から成る場合、該交点は無視される。
【0016】
幾何学的には、単一の物体から結果として得られる有効な交点の双方が、それぞれの受信機i、j及び結果として得られる双曲線に対して同じ幾何学的特性を共有する。交点は双曲線上の点であるため、これらの2つの交点のうちの任意のものと、焦点(受信機i及びj)との間の距離の差は同じである。したがって、これを真の物体位置を抽出するのに使用することはできない。
【0017】
追加のハードウェアもさらなる受信信号も一切なしで得ることができる唯一の他の情報は、任意の受信機jに対する自己相関Rjjである。結果としての特徴は、特定の受信機に対する相対時間測定値を提供する。これを位置特定の目的のために直接使用することはできない。これは、Rjjから測定される時間差は物体への距離と直接連結していないためである。それにもかかわらず、これによって、以下の式に基づいて、時間測定値のための数値TAjを提供することができる。
【0018】
【数2】

【0019】
…(2)
この式は、受信機jに対する送信機信号の直接経路と、物体Aから反射されるルートとの相対的差しか提供しない。DTjは送信機から受信機jへの距離であり、DTAは送信機から物体Aへの距離であり、DAjは物体Aから受信機jへの距離であり、cは光速である。自己相関特徴は、相対時刻ゼロにおいてピークを有し、これは、最初に到達する経路であるため、送信機からの直接経路に対応する。残りのピークは、式(2)において与えられる、反射された物体からの経路に対応する。各物体について、且つ各受信機から式(2)を生成することによって、物体の位置を一意に識別するためのさらなる情報がもたらされる。第2の物体B、受信機iからの自己相関Riiを想定すると、以下の式に対応する、TBiのための数値が得られる。
【0020】
【数3】

【0021】
…(3)
表記は、前の式において記述された型に従う。検討されるシナリオにおける物体及び受信機の数に基づいて、式(2)及び式(3)と同様なさらなる式を生成することが可能である。
【0022】
ここでの問題は、どの受信機の自己相関関数のピークも、特定の物体に直接関連付けることができないということである。相互相関関数は、i又はjの受信機の自己相関関数によって提供される時間測定値に直接関連させられない物体に対するTDOA測定値τijを提供する。ここで、受信機−受信機対i−j(これをnとラベル付けする)からの相互相関関数を想定すると、物体νに対応するTDOA測定値τνnが存在する。この値は以下のように書くことができる。
【0023】
【数4】

【0024】
…(4)
時間測定値Tνkのための全ての値を数値的に確立した後、それらの値の組み合わせTνi−Tνjに基づいてベクトルが生成される。ここで、kはk番目の受信機である。次に、TDOA位置特定によってもたらされる有効な交点に基づいて、以下の関数を使用してベクトルを生成する。
【0025】
【数5】

【0026】
…(5)
ここで、Dintiは、選択された物体νの有効な交点の、受信機iからの距離であり、Dintjは、同じ物体の同じ有効な交点の、受信機jへの距離である。構成要素Dinti−Dintjは、物体の真のロケーションを選択するか又は幻像のロケーションを選択するかに関わらず、(双曲線及びその焦点の特性に起因して)同じであり、時間領域において、n番目の受信機−受信機対に対する相互相関を使用して得られるTDOA測定値τνnに対応する。したがって、特定の物体の任意の交点を選択することによって、物体毎のThyp_difを計算することが可能である。次に、Thyp_difの値と、Tνi−Tνjから得られる諸数値とを比較することによって、自己相関ピークを、受信機−受信機対からの相互相関からのTDOA測定値と関連付けることが可能である。上記で説明した技法は、自己相関の時間測定値を、相互相関のTDOA測定値に関連付けることが可能であることを示しているが、この技法はこれを達成するための唯一の方法では決してない。たとえば、確率誤差円(circular error probable)や、rmsに基づく技法等のような、当業者に周知の使用可能な代替的な技法が存在する。
【0027】
この関係を確立した後、(真の又は幻像の)有効な交点を、自己相関からの特定の時間測定値と関連させることが可能である。以下に示すように検査関数(testing function)が生成される(2つの物体、及び3つの受信機を想定する例)。
【0028】
【数6】

【0029】
…(6)
ここで、TB2は受信機2からの物体Bに対する自己相関時間測定値であり、TA1は受信機1からの物体Aに対する自己相関時間測定値であり、TA3は受信機3からの物体Aに対する自己相関時間測定値である。これらの値が既知であるため、数α/cも既知であり、本明細書において目的数(objective number)と呼ばれる。次に、潜在的な物体位置の全ての可能な組み合わせのリストが生成され、該組み合わせはこの場合4つ、すなわちInt A1−Int B1、Int A1−Int B2、Int A2−Int B1、及びInt A2−Int B2である。ここで、Intは有効な潜在的な交点の1つに対応し、文字A又はBは物体A又はBに対応し、数字はその物体に対する潜在的な位置に対応する。次に、式(6)の左辺の構成要素から以下の関数が形成される。これは仮説関数(hypothesis function)H(pos1,pos2)と呼ばれる。
【0030】
【数7】

【0031】
…(7)
上記の例は、式(6)に対応する。ここで、pos1は物体Aに対する仮定位置であり、pos2は物体Bからの仮定位置である。DTnは、受信機nに対する送信機の距離であり、DTposνは物体νの仮定位置に対する送信機の距離であり、Dposνnは受信機nからの物体νの仮定位置の距離である。
【0032】
【数8】

【0033】
…(8)
を選択することによって、物体Aの真の位置及び物体Bの真の位置の組み合わせが明らかになる。
【0034】
物体がより多い場合、式(6)及び式(7)と同等な関数を生成しなくてはならない。より多くの受信機が利用可能である場合、それらを式に組み込むことができるが、必須ではない。各構成要素を各受信機の自己相関関数から得られた時間測定値を用いて個々にチェックすると、これによって対称なシナリオのケースにおいてエラーが生じる。したがって、異なる受信機及び異なる物体からの測定値を相互チェックすることによって、完全に対称なケースとなる確率が低減される。さらに、上記の関数は単なる例示であり、より複雑な関数を生成することができる。ただし、ここで留意すべき主要な点は、DAj−DAiのような構成要素のみを含むことを避けることである。これは、その物体の真の交点及び幻像の交点の双方に関して結果が同じであるためである。したがって、仮説関数及び検査関数は、異なる物体及び異なる受信機からの時間測定値を相互に組み合わせることによって生成されなくてはならない。上記で説明した処理に関して留意すべき重要な点は、以下である。
・良好な時間差推定技法が利用可能であるべきであり、反射によって受信されるパルスとインタリーブすることを回避する目的のために、送信機からの短いパルスが有利であろう。ただし、処理は与えられる交点に基づいているため、雑音の多い環境においても、特別に設計された信号を用いずに動作することができる。
・追加の信号が受信機からCDPユニットに送信される必要はない。
・さらなるタイプの測定値(角度、高度等)を必要としない。
・複雑なハードウェアの追加を必要としない。
・上記に示される仮説関数は線形であり、距離の差及び和に基づく。
・仮説関数及び目的数に関して、受信機及び物体の組み合わせが柔軟である。
・解は、空間における一意の位置に基づいているため、一意である。
・専用の仮説関数を設計することによって、正確度を改善することができる。
・処理は距離及び時間測定値に基づいているため、該処理の構造を大きく変更することなく、該処理を3D問題に適用することができる。
・処理は3つ以上の物体があるシナリオに適用可能である。ここで、検査関数は、追加となった物体のための時間測定値を組み込む。
・4つ以上の受信機が位置特定のために使用されるか、又は利用可能である場合、それらの受信機を、検査関数及び仮説関数において使用することが可能である。ただし、上記で論考した関数に基づくと、3つの受信機しか必要でない。したがって、最適な3つの受信機を選択してエラーの確率を最小にすることができる。
・処理は、集中型、分散型の双方、又は任意の他のハイブリッド構造の位置特定ネットワークに適用することができる。
【0035】
図1は、上記で説明した原理に基づいて処理動作を実施するためのCDPユニット100の一実施形態のブロック図を示している。
【0036】
図1を参照すると、中央制御装置120は、他の機能ユニットの制御及び協調を提供するように動作可能である。作業メモリ130は、中央制御装置120及び他の機能ユニットによって使用されるために設けられる。
【0037】
入力データインタフェース140は、受信機からCDPユニット100に送信された信号150を受信するように動作可能であり、さらに、データストア160内の信号を定義するデータのストレージを制御するように動作可能である。
【0038】
物体−受信機対TDOA計算機170は、受信機からの信号を処理して到達時間差測定値を生成するように動作可能である。各到達時間差測定値は、それぞれの物体及びそれぞれの受信機−受信機対に対する測定値を含み、この測定値は、物体から対内の各受信機への信号の到達時間の差を定義する。
【0039】
双曲線プロセッサ180は、物体−受信機対TDOA計算機170によって生成された到達時間差測定値に基づいて、物体に対する双曲線位置特定を実施するように動作可能である。より詳細には、双曲線プロセッサ180は、受信機の位置が双曲線の両焦点を含み、且つ双曲線自身が、物体の位置がその上に存在するはずである線を含むような、物体毎及び受信機−受信機対毎のそれぞれの双曲線を計算するように動作可能である。双曲線プロセッサ180は、双曲線の交点を計算し、そこから各個々の物体の可能な位置に対応する交点を識別するようにさらに動作可能である。
【0040】
直接・反射信号時間差計算機(direct-reflected signal time difference calculator)190は、受信機からの信号を処理して、受信機−物体対毎の直接・反射信号受信時間測定値(direct-reflected signal time reception measurement)を計算するように動作可能であり、この測定値は、送信機からの直接信号の受信機による受信と、物体によって反射された信号の受信機による受信との間の時間差を定義する。直接・反射信号時間差計算機190は、式(2)〜式(4)を参照して上記で説明した原理に従って処理を実施するように動作可能である。
【0041】
時間測定値アソシエータ200は、到達時間差測定値(物体−受信機対TDOA計算機170によって、当該物体及び各受信機−受信機対に関して計算される)を、直接・反射信号受信時間測定値(直接・反射信号時間差計算機190によって、受信機−物体対に関して計算される)と関連付ける処理を実施するように動作可能である。時間測定値アソシエータ200は、式(5)を参照して上記で説明した原理に従って処理を実施するように動作可能である。
【0042】
時間測定値−位置アソシエータ210は、可能な物体位置(双曲線プロセッサ180によって求められる)を、直接・反射信号受信時間測定値(直接・反射信号時間差計算機190によって受信機−物体対に関して計算される)と関連付ける処理を実施するように動作可能である。時間測定値−位置アソシエータ210は、この処理に基づいて物体に対する正しい位置を求めるようにさらに動作可能である。時間測定値−位置アソシエータ210は、式(6)〜式(8)を参照して上記で説明した原理に従って処理を実施するように動作可能である。
【0043】
図1に示す機能ユニットは、ハードウェアユニットとして、且つ/又はプログラム可能な処理装置をプログラミングした結果としてのユニットとして実装することができる。プログラム可能な処理装置の場合、装置は、コンピュータプログラム命令入力に従って動作するようにプログラミングすることができる。コンピュータプログラム命令入力は、たとえば、データストレージ媒体110(光学CD ROM、半導体ROM、磁気記録媒体等)上に記憶されるデータとしてのものであり、且つ/又は、プログラム可能な処理装置に入力される信号112としてのものである。信号112は、たとえば電気信号又は光信号であり、また、たとえば遠隔データベースから、インターネットのような通信ネットワークを介した送信、若しくは無線を通じた送信によるものである。
【0044】
ここで、一実施形態における処理のより良好な理解のために、例示的な実施例を説明する。この特定の実施例は、システムが直面する場合がある、最低限の量の物体及び受信機(RF受信機)を用いたシナリオを説明する。事前フィルタリング及び最適な技法を使用して、相互相関関数及び自己相関関数のいずれからも、雑音および物体の動きの結果生じる大きな曖昧性を伴うことなく、正確な時間測定が提供されると想定する。ただし、実施形態は空間内で動作するため、雑音の多い測定値のケースにおいて動作することもできるが、交点に基づく距離計算は、時間測定値によって損なわれるため、偏ったものとなるであろう。
【0045】
パッシブ位置特定が使用される多数の用途が存在する。スペクトル使用に関するさらなる制限に起因して、パッシブシステムは、一層厳しくなっている法律に対する「最も環境にやさしい(greenest)」解決策とみなされている。これは、パッシブシステムが、既存の周波数帯域を再利用するためである。下記で説明する実施例において、自動車道路上の交通がモニタリングされ、道路の脇に配置される他の用途の既存の送信機を使用することが可能である。受信機は自動車道路に沿って分散されるが、必ずしも道路の湾曲に従わない。目的は、幾何学的精度希釈(Geometric Dilution of Precision)(GDOP)を増大させることである。これは、直線上に受信機がある場合、特定の物体配向において位置特定の正確度の劣化を引き起こす場合があることが既知であるためである。
【0046】
図2Aにシナリオが示されている。3つの受信機2、4、6は、送信機8から直接的に信号を取得する。同時に、2つの車両(物体)10、12は、送信器の信号を反射して、受信機2、4、6に戻す。位置特定のコスト及び複雑度を最小にするために、最低限の数の受信機のみが設置されている。さらに、受信機が正しく機能しない場合があり、使用することができない場合がある可能性がある。したがって、前のセクションで説明したような、双曲線の位置特定の結果生じる幻像の交点を除去するための処理を使用することが必要である。次に、信号は受信機からCDPユニット100に中継され、CDPユニット100において、光学手段を必要とせずに、車両の位置が計算され、交通流量がモニタリングされる。ただし、本提案のRFシステムを、既存の光学系と互いを補うように組み合わせることが可能である。
【0047】
図2Aに示すシナリオは、図2Bに示す一般的な概略形式に変換される。ここで、受信機2、4、6は円として表され、送信機8は白抜きの菱形として表され、物体(車)10、12は塗りつぶした菱形として表される。モニタリングされているエリア内に分散された3つのパッシブ受信機2、4、6が存在する。この特定のシナリオの場合、受信機は空間内にランダムに分散される。3つの受信機2、4、6は、[−90 0]、[10 0]、及び[50 −45]に配置される。ここで使用し説明するシナリオでは、引き合いに出される全ての距離及び座標はメートル単位である。これらはパッシブ全方位受信機2、4、6であり、受信信号又は該受信信号の他の必要な情報を、位置特定の目的でCDPユニット100に送信することのみができる(集中型構造)。分散型センサネットワークのケースでは、処理は各受信機2、4、6において個々に発生するため、それらの受信機は、他の各受信機からの情報を必要とする。受信機2、4、6の位置は既知である。さらに、受信機ネットワークからの位置特定に使用される信号を送信する送信機8が存在する。送信機8の位置はCDPユニット100に既知である。最後に、モニタリングエリア内に、図2Bに示されるように[−20 65]及び[10 −15]に位置する2つの物体10、12が存在する。システムは、物体10、12の位置を知らない。
【0048】
この例において、送信機8は短いパルスを送信する。ただし、短いパルスは位置特定に適切な任意の信号とすることができる。各受信機2、4、6は、見通し直線からのパルス、物体Aから反射されたパルス、及び物体Bから反射されたパルスを含む信号を捕捉することになる。パルスの持続時間が距離(時間に変換したもの)よりも短い場合、任意の受信機2、4、6において受信される信号は、図3に示す形式を有する。最初の受信パルスは、常に送信機8に属し、後続の受信パルスは物体10、12に属する。ただし、この点において、パルスを特定の物体と関連付けることは不可能である。本実施形態は集中型構造のネットワークを備えるため、次に、この信号はCDPユニット100に送信される。
【0049】
図4Aおよび図4Bは、この実施形態においてCDPユニット100によって実施される処理動作を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS4−2において、データをデータストア160内に記憶し、送信機8のロケーション及び各受信機2、4、6のそれぞれのロケーションを定義する。
【0051】
ステップS4−4において、入力データインタフェース140が受信機2、4、6から送信された信号150を受信し、データをデータストア160内に記憶して受信信号を定義する。
【0052】
ステップS4−6及びS4−8において、物体−受信機対TDOA計算機170及び直接・反射信号時間差計算機190は、要求される時間測定値を得るための処理を実施する。
【0053】
ステップS4−6及びS4−8において、相関に基づく技法、又は任意の他のプロセス(たとえば国際公開第00/39643号パンフレットに記載されるような、2つ以上の信号の到達間の時間差を求めるのに使用できるもの)を使用して、TDOA測定値τ及び直接・反射信号時間測定値Tを得ることができる。
【0054】
本実施形態では、ステップ4−6において、直接・反射信号時間差計算機190が自己相関技法を実施して、受信機−物体対毎のそれぞれの直接・反射信号受信時間測定値を生成する。これらの各測定値は、送信機からの直接信号の受信機による受信と、物体によって反射された信号の受信機による受信との間の時間差を定義する。送信機信号が、線形周波数変調(LFM)パルスである場合、その自己相関関数は、図5に示すものと類似する。ただし、各受信機2、4、6において観測される信号は、直接経路及び間接経路の双方からの全てのパルスを含む。したがって、図2Bのシナリオの場合、送信機8からの送信パルスに基づく、受信機iにおいて受信される信号の自己相関関数は、図6に示すようになる。上述したように、ステップS4−6における自己相関は、CDPユニット100において行われるが、代わりに受信機において行うこともできる。自己相関は様々な方法で行うことができる。第1に、信号は従来の技法を使用して自身のコピーと自己相関することができる。しかしながら、自己相関関数の品質を向上させるために、本実施形態において、特定の受信機における送信機の信号の受信を模倣する信号が合成によって生成される。これは、受信機に対する送信機の距離が既知であることと、信号が既知又は取得可能であることとの双方に起因して可能である。次に、受信機毎に合成によって生成された信号を使用して、その信号に対応する受信機と自己相関させる。結果としてのピークは、式(2)から得られるように、直接経路信号の受信と、反射信号の受信との時間差に対応する。受信機iについて、自己相関関数は値TAi及びTBiをもたらす。ただし、上記で説明した理由から、これを半径方向の位置特定(すなわち、受信機からの物体の距離に対する直接の関係を与えること)に使用することはできない。したがって、CDPユニット100は、さらなる処理のために、各個々の受信機の自己相関からの全ての値を記憶する。この例に示されるシナリオの場合、結果は以下となる。
【0055】
【数9】

【0056】
…(9)
ここで、νはν番目の物体であり、nはn番目の受信機である。
【0057】
ステップS4−8〜S4−12において、物体−受信機対TDOA計算機170及び双曲線プロセッサ180が双曲線の位置特定のための標準的な手順を実施する。受信機−受信機対に到達する信号間のTDOAを推定することが必要とされる。推定を行うために、物体−受信機対TDOA計算機170が、受信機jからの信号に基づいて、受信機iの信号の相互相関を計算する。次に、双曲線プロセッサ180が、各TDOA測定値を使用して、相関関数から使用された2つの受信機を両焦点として使用する1つの双曲線を生成する。この技法は当業者には周知である(たとえば、「Wireless Sensor Networks, An Information Processing Approach」(The Morgan Kaufmann series in networking by F. Zhao, L. Guibas, 2004, ISBN 1558609148)を参照されたい)。したがって、ここでは説明しない。ただし、物体毎の潜在的な位置(真の交点及び幻像の交点)の量を最小にするために、全ての可能な受信機−受信機対が使用されることに留意しなくてはならない。このケースでは、可能な受信機−受信機対は、受信機1−受信機2(この対では受信機2がマスターとしての役割を果たす)、受信機3−受信機2(受信機2がマスター)、及び受信機3−受信機1(受信機1がマスター)である。マスター受信機は、時間差の計算のための時間基準を与えるのに使用される受信機に対応する。ステップS4−8における相互相関関数から、TDOA時間測定値τを以下のように得ることができる。
【0058】
【数10】

【0059】
…(10)
ここで、νはν番目の物体であり、kはk番目の受信機−受信機対である。ここで、各列を物体に関連付けることが必要とされる。しかし、必要とされる反復を最小にするために、送信機に対応するτ値を得るために最初に双曲線をプロットすることが望ましい。この処理は、ステップS4−12において双曲線プロセッサ180によって実施される。τ行列からプロットされた双曲線を図7に見ることができる。これらの各双曲線は個々のTDOAに対応し、容易に識別することができる。したがって、送信機に対応する値を除去することが可能である。これは、送信機の位置においてどの3本の双曲線が交差するかを見つけることが可能であるためであり、これは周知であり、空間的にフィルタリングされる必要がない。このため、最低限の数の双曲線及び最低限の数の交点が残り、このシナリオの場合、図8に示すように4つ(物体毎に2つ)である。同時に、ここで、各物体を、各受信機−受信機対からの該物体のそれぞれのTDOA測定値と関連付けることが可能である。ここで、τは以下のように書き換えることができる。
【0060】
【数11】

【0061】
…(11)
ここで、νはν番目の物体であり、kはk番目の受信機−受信機対である。
【0062】
ステップS4ー14において、時間測定値アソシエータ200はTDOA時間測定値τを、自己相関から得られた時間測定値Tと関連付ける処理を実施する。図9はこれを行うための、時間測定値アソシエータ200によって実施される処理動作を示している。これらの処理動作は、式(5)を参照して上記で説明した原理に基づく。特定の物体の交点の1つを使用することのみが必要とされる。これは、式(5)において、括弧内の減算項が、真の位置及び幻像の位置の双方について等しいためである。さらに、式(11)の行列から、τ値のそれぞれが、1つの双曲線、したがって特定の交点と関連付けられている。このため、T行列を、時間測定を特定の物体と関連付けるように再編成することが可能である。追加の情報がまったく存在しない場合、可能な組み合わせのそれぞれを使用して、第1の物体を全ての単一の受信機ピークに対して検査し、最も近い値に関連付け、次に第2の物体を残りの値について検査し、以下同様にする。
【0063】
各T値をそれぞれ対応するτ値と関連付けた後、時間測定位置アソシエータ210は、ステップS4−16において、ステップS4−12において計算された双曲線交点(物体の可能な位置を定義する)を、ステップS4−6において計算された時間測定値Tと関連させ、それによって物体の一意で真の位置を求めるための処理を実施する。この処理は図10に示されており、式(6)〜式(8)を参照して上記で説明した原理に基づく。
【0064】
最初に、全ての潜在的な物体の組み合わせを識別する(ステップS10−2)。このケースでは4つしか存在しない。ここで、物体は同じ双曲線上に2度位置することはできないことに留意されたい。各双曲線は、単一の物体の潜在的な位置すべてに対応する。数値から、式(6)の検査関数を形成し(ステップS10−4)、位置の組み合わせ毎に、式(7)の仮説関数を計算する(ステップS10−6)。正しい物体配置は、関数8を最小にする組み合わせに対応し、ステップS10−8において選択される。上記の手順を使用すると、図11に示すように物体の真の位置を一意に識別することが可能である。
【0065】
[変更及び変形]
上記で説明した実施形態に対し、多くの変更及び変形を行うことができる。
【0066】
たとえば、上記で説明した実施形態では、単一の送信機8が用いられる。ただし、上記の実施形態における処理は、複数の送信機が利用可能であるときにも適用することができる。適用を行う1つの方法は、物体位置特定の全体の正確度を改善することを目的として、信号電力、時間特性及びスペクトル特性、並びに/又は送信機の可用性に基づいて、最も望ましい送信機を選択することである。さらに、代替的な手法は、物体及び受信機からの時間測定値のみでなく、異なる複数の送信機からの時間測定値も同様に相互に組み合わせるように検査関数を再構成することによって、利用可能な全ての送信機を同時に使用することを想定する。このケースでは、上記の実施形態において説明された原理に従って、様々な送信機からの複数の信号の処理を容易にすると共に、時間測定値アソシエータ200が様々な信号を区別することを可能にするために、時間測定値アソシエータ200をアップグレードしなくてはならない。
【0067】
上記の技法は、より多くの物体又はより多くの受信機を組み込むようにさらに展開することができる。位置特定に利用可能な4つ以上の受信機を有するケースでは、上記で論考した式に従って最適な3つのみを使用してもよいことに留意されたい。しかしながら、式を適宜再構成することによって、追加の受信機をやはり使用することもできる。
【0068】
加えて、処理を3Dシナリオに適用することができる。処理分析において説明した式に従うと、検討されているシナリオが2次元であるか又は3次元であるかに直接関連しない、時間測定値及び距離測定値のみが使用されることが明らかである。したがって、3Dのケースへの処理の適用は、3次元の有効な交点を処理に組み込み、2次元座標ではなく3次元座標から距離測定値を取得することによって達成することができる。
【0069】
仮説関数及び検査関数をより複雑な形式に変更することが可能である。これは、対称性による潜在的な問題を除去するか、又は位置の様々な組み合わせについて得られた値間の分離を最大にするのに必要とされる特徴を反映する検査関数(線形又は非線形)を数学的に設計することによって達成することができる。
【0070】
上記で説明した処理は、時間測定値に基づいて曖昧性のある物体のロケーションを生成するパッシブ位置特定方式において説明された。ただし、処理の主要な説明から逸脱することなく、上記処理を、該処理が他のパッシブ位置特定方式、アクティブ位置特定方式、又はハイブリッド位置特定方式に適用され得るように適合させることが可能である。上述したように、該処理は該処理の核心部に対する変更を行うことなく2D及び3Dの双方に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体の位置を、少なくとも1つの送信機から放出され、前記物体によって反射され、複数の受信機によって受信される信号を処理することによって求める方法であって、前記方法は、
前記物体毎及び受信機−受信機対毎に、前記対内の各前記受信機において前記物体から受信された前記信号間の到達時間差を含む、それぞれの物体−受信機対到達時間差測定値を生成するために、前記受信機からの信号を処理すること、
前記物体毎及び前記受信機−受信機対毎に、前記受信機の位置を焦点として有するそれぞれの双曲線を計算するために前記生成された物体−受信機対到達時間差測定値を処理することであって、前記双曲線は前記物体に対する可能な位置のセットを定義する、物体−受信機対到達時間差測定値を処理すること、
前記生成された双曲線の交点を計算すると共に、個々の物体それぞれに対する可能な位置に対応する前記交点を識別すること、
前記受信機−物体対毎に、前記送信機からの前記直接信号の前記受信機による受信と、前記物体によって反射された前記信号の前記受信機による受信との間の時間差を含む、直接反射信号受信時間測定値を生成するために、前記受信機からの信号を処理すること、
測定値関連付け結果を生成するために、前記生成された直接・反射信号受信時間測定値を、前記生成された物体−受信機対到達時間差測定値と関連付けること、及び
前記測定値関連付け結果を使用して、前記生成された双曲線の前記計算された交点を前記生成された直接・反射信号受信時間測定値と関連させることによって、前記物体の前記位置を求めること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記物体−受信機対到達時間差測定値は、前記受信機からの前記信号の相互相関を実施することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記直接・反射信号受信時間測定値は、前記受信機からの前記信号の自己相関を実施することによって生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成された直接・反射信号受信時間測定値を、前記生成された物体−受信機対到達時間差測定値と関連付ける前記処理は、
結合された値の第1のセットを生成するために、同一の物体に対する複数の前記直接・反射信号受信時間測定値を結合すること、
前記直接・反射信号受信時間が結合された前記値に対応する物体−受信機対到達時間差が結合された値を計算することであって、それによって、結合された値の第2のセットを生成する、物体−受信機対到達時間差が結合された値を計算すること、及び
前記直接・反射信号受信時間測定値を前記物体−受信機対到達時間差測定値と関連付けるために、前記結合された値の第1のセット及び前記結合された値の第2のセットを比較すること、
を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記直接・反射信号受信時間測定値は、前記物体毎及び前記受信機−受信機対毎に、前記物体及び前記対内の第1の受信機に対する前記直接・反射信号受信時間測定値と、前記物体及び前記対内の第2の受信機に対する前記直接・反射信号受信時間測定値との間の差を計算することによって結合される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物体−受信機対到達時間差が結合された前記値は、前記生成された双曲線の前記計算された交点に基づいて計算される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体−受信機対到達時間差が結合された前記値は、前記生成された双曲線の前記交点と、前記受信機の前記位置に対応する点との間の距離に基づいて計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生成された双曲線の前記計算された交点を、前記生成された直接・反射信号受信時間測定値に関連させることによって、前記物体の前記位置を求める前記処理は、
前記直接・反射信号受信時間測定値の検査関数を少なくとも1つ評価することによって目的数を計算すること、
前記可能な物体位置の組み合わせに対する仮定数を計算するために、前記双曲線から識別される可能な物体位置の複数の組み合わせのそれぞれについて、前記検査関数に対応する少なくとも1つの仮説関数を評価すること、及び
前記仮定数と前記目的数との間の差が最小である前記可能な物体位置の組み合わせを選択すること、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記目的数は検査関数を評価することによって計算され、前記検査関数は、前記物体毎に少なくとも1つの直接・反射信号受信時間測定値を含み、前記受信機毎に少なくとも1つの直接・反射信号受信時間測定値を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の物体の位置を、少なくとも1つの送信機から放出され、前記物体によって反射され、複数の受信機によって受信される信号を処理することによって求めるための装置であって、前記装置は、
前記物体毎及び受信機−受信機対毎に、前記対内の各前記受信機において前記物体から受信された前記信号間の到達時間差を含む、それぞれの物体−受信機対到達時間差測定値を生成するために、前記受信機からの信号を処理する手段と、
前記物体毎及び前記受信機−受信機対毎に、前記受信機の位置を焦点として有するそれぞれの双曲線を計算するために、前記生成された物体−受信機対到達時間差測定値を処理する手段であって、前記双曲線は前記物体に対する可能な位置のセットを定義する、物体−受信機対到達時間差測定値を処理する手段と、
前記生成された双曲線の交点を計算すると共に、個々の物体それぞれに対する可能な位置に対応する前記交点を識別する手段と、
前記受信機−物体対毎に、前記送信機からの前記直接信号の前記受信機による受信と、前記物体によって反射された前記信号の前記受信機による受信との間の時間差を含む、直接・反射信号受信時間測定値を生成するために、前記受信機からの信号を処理する手段と、
測定値関連付け結果を生成するために、前記生成された直接・反射信号受信時間測定値を、前記生成された物体−受信機対到達時間差測定値と関連付ける手段と、
前記測定値関連付け結果を使用して、前記生成された双曲線の前記計算された交点を前記生成された直接・反射信号受信時間測定値と関連させることによって、前記物体の前記位置を求める手段と、
備える、装置。
【請求項11】
物体毎及び受信機−受信機対毎にそれぞれの物体−受信機対到達時間差測定値を生成するために前記受信機からの信号を処理する前記手段は、前記受信機からの前記信号の相互相関を実施することによって前記物体−受信機対到達時間差測定値を生成するように動作可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
受信機−物体対毎の直接・反射信号受信時間測定値を生成するために前記受信機からの信号を処理する前記手段は、前記受信機からの前記信号の自己相関を実施することによって前記直接・反射信号受信時間測定値を生成するように動作可能である、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記生成された直接・反射信号受信時間測定値を、前記生成された物体−受信機対到達時間差測定値と関連付ける前記手段は、
結合された値の第1のセットを生成するために、同一の物体に対する複数の前記直接・反射信号受信時間測定値を結合する手段と、
前記直接・反射信号受信時間が結合された前記値に対応する物体−受信機対到達時間差が結合された値を計算する手段であって、それによって、結合された値の第2のセットを生成する、計算する手段と、
前記直接・反射信号受信時間測定値を前記物体−受信機対到達時間差測定値と関連付けるために、前記結合された値の第1のセット及び前記結合された値の第2のセットを比較する手段と、
を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記直接・反射信号受信時間測定値を結合する前記手段は、
前記物体毎及び前記受信機−受信機対毎に、
前記物体及び前記対内の第1の受信機に対する前記直接・反射信号受信時間測定値と、
前記物体及び前記対内の第2の受信機に対する前記直接・反射信号受信時間測定値と
の間の差を計算することによって、前記直接・反射信号受信時間測定値を結合するように動作可能である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記物体−受信機対到達時間差が結合された前記値を計算する前記手段は、前記値を、前記生成された双曲線の前記計算された交点に基づいて計算するように動作可能である、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記物体−受信機対到達時間差が結合された前記値を計算する手段は、前記値を、前記生成された双曲線の前記交点と、前記受信機の前記位置に対応する点との間の距離に基づいて計算するように動作可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記物体の前記位置を求める前記手段は、
前記直接・反射信号受信時間測定値の検査関数を少なくとも1つ評価することによって目的数を計算する手段と、
前記可能な物体位置の組み合わせに対する仮定数を計算するために、前記双曲線から識別される可能な物体位置の複数の組み合わせのそれぞれについて、前記検査関数に対応する少なくとも1つの仮説関数を評価する手段と、
前記仮定数と前記目的数との間の差が最小である前記可能な物体位置の組み合わせを選択する手段と、
を備える、請求項10〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記目的数を計算する前記手段は、検査関数を評価することによって前記目的数を計算するように動作可能であり、前記検査関数は、前記物体毎に少なくとも1つの直接・反射信号受信時間測定値を含み、前記受信機毎に少なくとも1つの直接・反射信号受信時間測定値を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
プログラム可能な処理装置を、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の方法を実施するように動作可能となるようにプログラミングするためのコンピュータプログラム命令を記憶するストレージ媒体。
【請求項20】
プログラム可能な処理装置を、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の方法を実施するように動作可能となるようにプログラミングするためのコンピュータプログラム命令を搬送する信号。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−510283(P2011−510283A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542640(P2010−542640)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050498
【国際公開番号】WO2009/090246
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(501253316)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (77)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】20 Frederick Sanger Road, The Surrey Research Park, Guildford, Surrey GU2 5YD, Great Britain
【Fターム(参考)】