説明

受信機

【課題】I信号とQ信号の位相誤差や振幅誤差を正確に補正してイメージノイズを効果的に抑制できるようにする。
【解決手段】中間周波信号を発生するIF信号発生部10と、IF信号発生部10により発生される中間周波信号がスイッチ7I,7Qにより選択されたときに、I信号用の第1の信号処理系統で処理された信号およびQ信号用の第2の信号処理系統で処理された信号の振幅誤差がなくなるように振幅補正部12のゲインを設定する振幅誤差補正処理部15とを備え、実際の受信信号を処理して発生される中間周波信号の代わりに、IF信号発生部10により発生される中間周波信号を用いて振幅誤差の補正を行うことにより、ミキサ4I,4Qや90°移相器6自身の素子ばらつきによる位相誤差を含んでいない信号を用いて、位相誤差の影響を受けずに振幅誤差を正確に検出できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受信機に関し、特に、高周波の受信信号を2つのミキサにより同相成分と直交成分とに振り分けて周波数変換し、得られた同相信号と直交信号とを用いて直交復調を行う受信機に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、情報を無線の電波信号として送信するためには、ベースバンド信号(直流近傍成分を含む低周波信号)を無線高周波信号に変換する、いわゆる変調処理が不可欠である。変調処理により生成された高周波信号を電波として受信する受信機では、受信アンテナにて受信した高周波信号と局部発振器から出力される局部発振信号とをミキサにて周波数混合することにより、検波(復調)処理に適した周波数に変換する。
【0003】
検波方式の1つであるスーパーヘテロダイン方式を採用する受信機では、受信した高周波信号と、その中心周波数(希望受信周波数)に対して所定の周波数だけ差を持たせた周波数(ローカル周波数)の局部発振信号とを周波数混合することにより、高周波信号を中間周波信号に変換する。直接検波方式を採用する受信機では、局部発振信号のローカル周波数として、希望受信周波数とほぼ同一の周波数を用いることにより、高周波信号を直接ベースバンド信号に変換して検波するように構成されている。
【0004】
なお、直接検波方式においては、希望受信周波数と局部発振器のローカル周波数とが同一であるため、局部発振信号の一部がミキサの入力側から漏れて再びミキサに戻り、局部発振信号と自己ミキシングすることによりベースバンド信号のDC成分にオフセットが生じる問題がある。このようなDCオフセットの問題を緩和するために、低IF方式が提案されている。低IF方式はDC成分付近に希望信号が存在しないため、DCオフセットが希望信号に干渉しない。
【0005】
ベースバンド信号を高周波信号に変換する変調方式の1つに、ベースバンド信号をIチャネル(同相成分)とQチャネル(直交成分)とに振り分けて変調する直交変調(IQ変調)が存在する。図4は、この直交変調方式にて変調された高周波信号を受信する受信機の従来の構成例を示す図である。なお、この図4は、スーパーヘテロダイン方式を採用した受信機の構成を示している。
【0006】
図4に示すように、従来の受信機は、受信アンテナ101、LNA(Low Noise Amplifier)102、バンドパスフィルタ(BPF)103、ミキサ104I,104Q、局部発振器105、90°移相器106、ローパスフィルタ(LPF)107I,107Q、A/D変換器108I,108QおよびDSP(Digital Signal Processor)109を備えている。
【0007】
LNA102は、受信アンテナ101で受信された高周波信号を増幅してBPF103に供給する。BPF103は、LNA102より出力された高周波信号を所要の帯域にフィルタリングして希望受信周波数を含む所定の周波数帯域の信号を抽出し、抽出した信号を2つのミキサ104I,104Qに出力する。局部発振器105は、所定周波数の局部発振信号を発生して出力する。90°移相器106は、局部発振器105から出力される局部発振信号の位相を90°ずらして出力する。
【0008】
第1のミキサ104Iは、BPF103から出力される高周波信号と、局部発振器105から出力される同相の局部発振信号とを周波数混合することによって、高周波信号を中間周波信号に変換する。この第1のミキサ104Iから出力される中間周波信号は、受信信号に対して位相がずれていない同相成分(Iチャネル)の信号(以下、I信号を称する)である。
【0009】
第2のミキサ104Qは、BPF103から出力される高周波信号と、90°移相器106から出力される直交の(90°位相がずれた)局部発振信号とを周波数混合することによって、高周波信号を中間周波信号に変換する。この第2のミキサ104Qから出力される中間周波信号は、受信信号に対して位相が90°ずれた直交成分(Qチャネル)の信号(以下、Q信号を称する)である。
【0010】
LPF107I,107Qは、ミキサ104I,104Qより出力されるI信号およびQ信号をフィルタリングして高調波を除去する。A/D変換器108I,108Qは、LPF107I,107Qにより高調波が除去されたI信号およびQ信号をデジタル信号に変換し、デジタルI信号およびデジタルQ信号を出力する。DSP109は、A/D変換器108I,108Qより出力されるデジタルI信号およびデジタルQ信号を用いてデジタル信号処理により復調処理を行い、復調信号を出力する。
【0011】
ところで、ミキサ104I,104Qによって高周波信号を中間周波信号に変換する場合、希望受信周波数と一定の周波数関係を持つ周波数チャネル(スプリアス・ポイント)において、イメージノイズなどの本来不要な成分が発生する。従来、このイメージノイズを除去するための処理構成を設けた受信機が提供されている。また、イメージノイズの除去をデジタル信号処理により行うことによって、イメージ除去比を向上する技術も提案されている。デジタル信号処理でイメージ除去を行う方法としては、例えば複素周波数変換を行う方法がある。
【0012】
周波数変換によるイメージ除去機能が有効に働くためには、ミキサ104I,104Qにより発生されイメージ除去回路に入力されるI信号とQ信号の振幅が正確に一致し、かつ、I信号とQ信号の位相が正確に90°ずれていることが望まれる。しかしながら、ミキサ104I,104Qや90°移相器106はアナログ回路で構成されている。また、ミキサ104I,104Qで発生されたI信号とQ信号がデジタル信号とされるまでの間にも、LPF107I,107Qなどのアナログ回路が存在する。そのため、アナログ素子のばらつき等により、イメージ除去回路に入力されるI信号とQ信号との間に振幅誤差が生じたり、位相差が正確に90°にならなかったりする場合がある。この場合には、イメージ除去比が充分でなくなってしまう。
【0013】
このような問題に対して、同相成分および直交成分のデジタル信号から位相誤差を検出して補正するとともに、振幅誤差を検出して補正することにより、受信信号に含まれるイメージノイズを除去するようにした受信機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、90°移相器の出力値を検波ミキサにて比較し、その出力から位相誤差をCPUで判断し、CPUが位相補正回路を制御することにより、90°移相器による位相誤差の補正を行う技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−266416号公報
【特許文献2】特開2000−308626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、位相誤差および振幅誤差の双方が含まれたI信号とQ信号を対象として振幅誤差を検出し、当該振幅誤差の補正を行っている。このため、振幅誤差を検出していると言っても、検出されるのは位相誤差も含んだ信号の振幅誤差であり、位相誤差がない場合の正確な振幅誤差ではない。すなわち、振幅誤差を検出して補正しても、その後で位相の補正が行われると、それに伴い振幅も変わるため、位相誤差を含んだ状態で検出した振幅誤差からは正確な振幅補正を行うことができないという問題があった。
【0015】
また、上記特許文献1,2に記載の従来技術では、I信号とQ信号の位相誤差そのものを検出して位相補正を行っている。そのため、位相誤差の検出精度が悪いと、I信号とQ信号の位相差を正確に90°にすることができない。特許文献1に記載されているように、例えばイメージ除去比を60dB程度以上確保するためには、位相誤差を0.05°程度以内とする必要があるが、これだけ小さい位相誤差を検出するための精度を確保するのは困難である。そのため、正確な位相補正を行うことができないという問題もあった。
【0016】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、I信号とQ信号の位相誤差や振幅誤差を正確に補正してイメージノイズを効果的に抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した課題を解決するために、本発明では、ミキサで発生される中間周波信号と同じ中間周波数の信号を発生する中間周波信号発生部と、ミキサにより発生される中間周波信号または中間周波信号発生部により発生される中間周波信号の何れかを選択して出力する切替部と、ミキサで発生される同相信号および直交信号の少なくとも一方の振幅を設定されたゲインに従って補正する振幅補正部と、中間周波信号発生部により発生される中間周波信号が切替部により選択されたときに、同相信号用の第1の信号処理系統で処理された信号および直交信号用の第2の信号処理系統で処理された信号の振幅誤差がなくなるように振幅補正部のゲインを設定する振幅誤差補正処理部とを備えている。
【0018】
本発明の他の態様では、第1の信号処理系統により処理された同相信号および第2の信号処理系統により処理された直交信号を合成する合成部と、受信周波数およびローカル周波数の関係で定まるイメージ周波数の信号を発生するイメージ信号発生部と、受信信号またはイメージ信号発生部により発生されるイメージ信号の何れかを選択してミキサに出力する第2の切替部と、イメージ信号発生部により発生されるイメージ信号が第2の切替部により選択されたときに、合成部より出力される信号のエネルギーが最小となるように同相信号と直交信号の位相誤差を補正する位相誤差補正処理部とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
上記のように構成した本発明によれば、実際の受信信号をミキサで処理して発生される中間周波信号の代わりに、中間周波信号発生部により発生される同じ中間周波数の信号が切替部にて選択されて、当該中間周波信号を対象としてミキサ以降の信号処理が行われる。そして、その信号処理された信号を用いて振幅誤差がなくなるように振幅補正部のゲインが調整されることとなる。このとき処理される信号はミキサを通っていないものであるため、90°移相器やミキサ自身の素子ばらつきによる位相誤差を含んでいない。これにより、ミキサ以降の信号処理系統におけるアナログ素子のばらつき等に起因する振幅誤差を、位相誤差の影響を受けずに正確に検出することができる。したがって、正確な振幅補正を行うことができ、イメージノイズの除去効果を高めることができる。
【0020】
本発明の他の態様によれば、第2の切替部での選択により、実際の受信信号をミキサに入力する代わりに、イメージ信号発生部により発生されたイメージ周波数の信号がミキサに入力されて、当該イメージ信号を対象として一連の信号処理が行われる。そして、その信号処理された同相信号と直交信号とが合成され、合成された信号のエネルギーが最小となるように同相信号と直交信号の位相誤差が補正されることとなる。イメージ信号が処理された結果として得られる信号のエネルギーが最小となるのは、同相信号と直交信号との位相差が90°となるときであるから、エネルギーが最小となるように位相を調整することにより、結果として、同相信号と直交信号との位相差が正確に90°となるようにすることができる。これにより、同相信号と直交信号との位相誤差そのものを検出する必要がなく、90°移相器やミキサ等におけるアナログ素子のばらつき等に起因する位相誤差を正確に補正し、イメージノイズの除去効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明による第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による受信機の構成例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態による受信機は、受信アンテナ1、LNA2、ポリフェーズフィルタ(PPF)3、ミキサ4I,4Q、局部発振器5、90°移相器6、スイッチ7I,7Q、LPF8I,8Q、A/D変換器9I,9Q、IF信号発生部10およびDSP11を備えている。なお、図1に示す各構成のうち、受信アンテナ1を除くその他の構成は全て、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスで1チップに集積化されている。
【0022】
LNA2は、受信アンテナ1で受信された高周波信号を増幅してPPF3に供給する。PPF3は、LNA2より出力された高周波信号を所要の帯域にフィルタリングして希望受信周波数を含む所定の周波数帯域の信号を抽出し、抽出した信号を第1および第2のミキサ4I,4Qに出力する。局部発振器5は、受信周波数に対して所定周波数のオフセットを有するローカル周波数の局部発振信号(以下、これを同相局部発振信号と称する)を発生して出力する。90°移相器6は、局部発振器5から出力される同相局部発振信号の位相を90°ずらした信号(以下、これを直交局部発振信号と称する)を発生して出力する。
【0023】
第1および第2のミキサ4I,4Qは、同相局部発振信号および直交局部発振信号で受信信号を中間周波信号に周波数変換し、受信信号から中間周波の同相成分から成るI信号および直交成分から成るQ信号を発生する。すなわち、第1のミキサ4Iは、PPF3から出力される高周波信号と、局部発振器5から出力される同相局部発振信号とを周波数混合することによって、高周波信号を中間周波信号に変換する。この第1のミキサ4Iから出力される中間周波信号は、受信信号に対して位相がずれていない同相成分のI信号である。また、第2のミキサ4Qは、PPF3から出力される高周波信号と、90°移相器6から出力される直交局部発振信号とを周波数混合することによって、高周波信号を中間周波信号に変換する。この第2のミキサ4Qから出力される中間周波信号は、受信信号に対して位相が90°ずれた直交成分のQ信号である。
【0024】
第1のミキサ4Iでの周波数変換により発生されたI信号は、第1のスイッチ7Iを通り、第1のLPF8Iおよび第1のA/D変換器9Iから成る第1の信号処理系統でアナログ信号処理される。また、第2のミキサ4Qでの周波数変換により発生されたQ信号は、第2のスイッチ7Qを通り、第2のLPF8Qおよび第2のA/D変換器9Qから成る第2の信号処理系統でアナログ信号処理される。IF信号発生部10(本発明の中間周波信号発生部に相当)は、第1および第2のミキサ4I,4Qで発生される中間周波信号(I信号およびQ信号)と同じ中間周波数の信号を発生する。
【0025】
スイッチ7I,7Q(本発明の切替部に相当)は、第1および第2のミキサ4I,4Qにより発生される中間周波信号(I信号およびQ信号)またはIF信号発生部10により発生される中間周波信号の何れかを選択して第1の信号処理系統および第2の信号処理系統に出力する。どちらの中間周波信号を選択するかは、DSP11より供給される制御信号に従う。
【0026】
LPF8I,8Qは、スイッチ7I,7Qを通して供給される中間周波信号(すなわち、第1および第2のミキサ4I,4Qにより発生されたI信号およびQ信号、またはIF信号発生部10により発生された中間周波信号の何れか)をフィルタリングして高調波を除去する。A/D変換器9I,9Qは、LPF8I,8Qにより高調波が除去された中間周波信号をデジタル信号に変換する。
【0027】
DSP11は、振幅補正部12、復調部13、振幅誤差検出部14、振幅誤差補正処理部15およびテストモード設定部16を備えている。振幅補正部12は、第1の信号処理系統で処理された中間周波信号の振幅を、振幅誤差補正処理部15により設定されたゲインに従って補正する。復調部13は、スイッチ7I,7Qにより第1および第2のミキサ4I,4QからのI信号およびQ信号が選択されている通常モード時に、第1のA/D変換器9Iより振幅補正部12を介して供給されるデジタルI信号および第2のA/D変換器9Qより供給されるデジタルQ信号を用いてデジタル信号処理により復調処理を行う。この復調部13は、例えば複素周波数変換を行う方法にてイメージノイズを除去する機能を有している。
【0028】
振幅誤差検出部14は、スイッチ7I,7QによりIF信号発生部10からの中間周波信号が選択されているテストモード時に、第1の信号処理系統で処理された中間周波信号(振幅補正部12の出力信号)と第2の信号処理系統で処理された中間周波信号(第2のA/D変換器9Qの出力信号)との振幅誤差を検出する。振幅誤差補正処理部15は、振幅誤差検出部14により検出された振幅誤差がなくなるように、振幅補正部12のゲインを設定する。
【0029】
テストモード設定部16は、図示しないマイコンから与えられる指示信号に従って、受信機をテストモードに設定する。テストモードが設定されたとき、テストモード設定部16は、IF信号発生部10を動作させるように制御するとともに、IF信号発生部10により発生された中間周波信号を選択するようにスイッチ7I,7Qを制御する。また、テストモード設定部16は、DSP11の振幅誤差検出部14および振幅誤差補正処理部15を動作させるように制御する。
【0030】
なお、テストモードが設定されていない通常モードのときは、テストモード設定部16は、IF信号発生部10は非動作状態とし、第1および第2のミキサ4I,4Qにより発生されたI信号およびQ信号を選択するようにスイッチ7I,7Qを制御する。また、通常モード設定時は、DSP11の振幅誤差検出部14および振幅誤差補正処理部15も非動作状態となる。
【0031】
次に、上記のように構成した第1の実施形態による受信機の動作を説明する。図示しないマイコンからの指示に従ってテストモード設定部16によりテストモードが設定されると、IF信号発生部10が動作し、第1および第2のミキサ4I,4Qで発生されるI信号およびQ信号と同じ中間周波数の信号が生成される。IF信号発生部10により発生された中間周波信号は、各スイッチ7I,7Qに供給される。テストモード時にスイッチ7I,7Qは、IF信号発生部10にて発生される中間周波信号を選択するように切り替えられる。これにより、第1の信号処理系統および第2の信号処理系統には、IF信号発生部10により発生された中間周波信号が共に流れることになる。
【0032】
第1のLPF8Iおよび第1のA/D変換器9Iから成る第1の信号処理系統でテストモード時に処理された中間周波信号は、DSP11の振幅補正部12にて振幅が補正された後、振幅誤差検出部14に供給される。また、第2のLPF8Qおよび第2のA/D変換器9Qから成る第2の信号処理系統でテストモード時に処理された中間周波信号は、振幅誤差検出部14に供給される。そして、両中間周波信号の振幅誤差が振幅誤差検出部14により検出される。
【0033】
振幅誤差補正処理部15は、振幅誤差検出部14により検出された振幅誤差がなくなるように、振幅補正部12のゲインを設定する。これにより、第1の信号処理系統で処理された中間周波信号の振幅と、第2の信号処理系統で処理された中間周波信号の振幅とが一致する。以上でテストモードの動作が終了する。このテストモード時に振幅補正部12に設定されたゲインは、テストモード解除後も保持される。
【0034】
テストモード解除後の通常モード設定時には、IF信号発生部10、DSP11の振幅誤差検出部14および振幅誤差補正処理部15は非動作状態となる。また、スイッチ7I,7Qは、第1および第2のミキサ4I,4Qで発生されるI信号およびQ信号を選択するように切り替えられる。これにより、第1の信号処理系統には第1のミキサ4Iにより発生されたI信号が流れ、第2の信号処理系統には第2のミキサ4Qにより発生されたQ信号が流れることになる。
【0035】
第1の信号処理系統で処理されたI信号は、テストモード時に振幅補正部12に設定されたゲインに従って、当該振幅補正部12にて振幅が補正された後、復調部13に供給される。また、第2の信号処理系統で処理されたQ信号は、振幅の補正を受けずに復調部13に供給される。そして、復調部13においてI信号およびQ信号を用いて復調処理が行われる。振幅補正部12のゲインは、第1の信号処理系統で処理される信号と第2の信号処理系統で処理される信号との振幅誤差がなくなるように調整されている。このため、復調部13に入力されるI信号の振幅とQ信号の振幅は等しくなっている。復調部13では、この振幅が等しいI信号とQ信号とを用いて、例えば複素周波数変換によりイメージノイズを除去する処理が行われる。
【0036】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態によれば、テストモードの設定時に、実際の受信信号をミキサ4I,4Qで処理して発生されるI信号とQ信号の代わりに、IF信号発生部10により発生される中間周波信号がスイッチ7I,7Qにより選択されて、当該中間周波信号を対象としてミキサ4I,4Q以降の信号処理が行われる。そして、そのとき第1の信号処理系統で処理された信号と第2の信号処理系等で処理された信号との振幅誤差がなくなるように振幅補正部12のゲインが調整されることとなる。
【0037】
このテストモード時に処理される中間周波信号はミキサ4I,4Qを通っていないものであるため、ミキサ4I,4Qや90°移相器6自身の素子ばらつきによる位相誤差を含んでいない。これにより、DSP11の振幅誤差検出部14では、ミキサ4I,4Q以降の信号処理系統におけるアナログ素子のばらつき等に起因する振幅誤差を、ミキサ4I,4Qによる位相誤差の影響を受けずに正確に検出することができる。したがって、振幅誤差補正処理部15は正確な振幅補正を行うことができ、復調部13が有するイメージ除去機能の効果を高めることができる。
【0038】
なお、上記第1の実施形態では、振幅補正部12は、第1の信号処理系統で処理される中間周波信号の振幅を補正するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、第1のA/D変換器9Iの後段ではなく、第2のA/D変換器9Qの後段に振幅補正部12を設け、第2の信号処理系統で処理される中間周波信号の振幅を補正するようにしても良い。また、各A/D変換器9I,9Qの後段に振幅補正部12をそれぞれ設け、第1および第2の信号処理系統で処理される中間周波信号の振幅を双方とも補正するようにしても良い。
【0039】
また、上記第1の実施形態では、アナログの中間周波信号を第1のA/D変換器9Iにてデジタル信号に変換した後、DSP11の振幅補正部12において振幅の補正を行う例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1のLPF8Iの後段に振幅補正部を設け、アナログの中間周波信号に対して振幅の補正を行うようにしても良い。また、この場合も上述の変形例と同様に、第2のLPF8Qより出力される中間周波信号に対して振幅の補正を行うようにしても良いし、各LPF8I,8Qより出力される中間周波信号に対してそれぞれ振幅の補正を行うようにしても良い。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明による第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図2は、第2の実施形態による受信機の構成例を示す図である。なお、この図2において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0041】
図2に示すように、第2の実施形態による受信機は、受信アンテナ1、LNA2、PPF3、ミキサ4I,4Q、局部発振器5、90°移相器6、スイッチ7、LPF8I,8Q、A/D変換器9I,9Q、イメージ信号発生部21、位相補正部22およびDSP23を備えている。なお、図2に示す各構成のうち、受信アンテナ1を除くその他の構成は全て、例えばCMOSプロセスで1チップに集積化されている。
【0042】
イメージ信号発生部21は、受信アンテナ1およびLNA2を通して受信される信号の受信周波数と局部発振器5のローカル周波数との関係で定まるイメージ周波数の信号を発生する。すなわち、ミキサ4I,4Qによって高周波信号を中間周波信号に変換する場合、受信周波数と一定の周波数関係を持つ周波数チャネルにイメージノイズが発生する。イメージ信号発生部21は、このイメージノイズと同じ周波数の信号(以下、イメージ信号と称する)を発生する。
【0043】
スイッチ7(本発明の第2の切替部に相当)は、LNA2より出力される受信信号またはイメージ信号発生部21により発生されるイメージ信号の何れかを選択してPPF3に出力する。位相補正部22は、90°移相器6より出力される直交局部発振信号の位相を、DSP23により設定された補正量に従って補正する。
【0044】
DSP23は、復調部13、テストモード設定部16、合成部25、エネルギー検出部26および位相誤差補正処理部27を備えている。復調部13は、スイッチ7によりLNA2からの受信信号が選択されている通常モード時に、A/D変換器9I,9Qより供給されるデジタルI信号およびQ信号を用いてデジタル信号処理により復調処理を行う。この復調部13は、例えば複素周波数変換を行う方法にてイメージノイズを除去する機能を有している。
【0045】
合成部25は、スイッチ7によりイメージ信号発生部21からのイメージ信号が選択されているテストモード時に、第1および第2のミキサ4I,4Qでの周波数変換により発生され第1および第2の信号処理系統で処理されたI信号およびQ信号を合成する。この合成部25は、具体的には、三角波発生部31、ミキサ32,33および加算器34を備えて構成されている。三角波発生器31は、比較的低い周波数で同相のcos波を発生し、これを各ミキサ32,33に供給する。この三角波発生器31は、例えばcosテーブル情報を有しており、このテーブル情報を使ってcos(ωt)の三角波を発生する。
【0046】
ミキサ32,33は、三角波発生器31より入力される同相の三角波cos(ωt)を用いて、各A/D変換器9I,9Qから出力されるI信号とQ信号をミキシングする。加算器34は、ミキサ32,33により同相の三角波cos(ωt)でミキシングされたI信号とQ信号を加算することにより、I信号とQ信号とを合成した信号の実数成分を得る。
【0047】
なお、ここでは三角波発生部31が同相のcos波を発生し、同相の三角波cos(ωt)を用いてI信号とQ信号をミキシングすることにより、合成信号の実数成分を得る例について説明したが、これに限定されない。例えば、三角波発生部31が直交のsin波を発生し、直交の三角波sin(ωt)を用いてI信号とQ信号をミキシングすることにより、合成信号の複素成分を得るようにしても良い。
【0048】
エネルギー検出部26は、合成部25より出力される合成信号のエネルギー(パワー)を検出する。位相誤差補正処理部27は、エネルギー検出部26により検出された合成信号のエネルギーが最小となるように、位相補正部22の補正量を設定する。
【0049】
テストモード設定部16は、図示しないマイコンから与えられる指示信号に従って、受信機をテストモードに設定する。テストモードが設定されたとき、テストモード設定部16は、イメージ信号発生部21を動作させるように制御するとともに、イメージ信号発生部21により発生されたイメージ信号を選択するようにスイッチ7を制御する。また、テストモード設定部16は、DSP23の合成部25、エネルギー検出部26および位相誤差補正処理部27を動作させるように制御する。
【0050】
なお、テストモードが設定されていない通常モードのときは、テストモード設定部16は、イメージ信号発生部21は非動作状態とし、LNA2より出力された受信信号を選択するようにスイッチ7を制御する。また、通常モード設定時は、DSP23の合成部25、エネルギー検出部26および位相誤差補正処理部27も非動作状態となる。
【0051】
次に、上記のように構成した第2の実施形態による受信機の動作を説明する。図示しないマイコンからの指示に従ってテストモード設定部16によりテストモードが設定されると、イメージ信号発生部21が動作し、イメージノイズと同じ周波数のイメージ信号が発生される。イメージ信号発生部21により発生されたイメージ信号は、スイッチ7に供給される。このときスイッチ7は、当該イメージ信号発生部21にて発生されるイメージ信号を選択するように切り替えられる。よって、PPF3には、イメージ信号発生部21により発生されたイメージ信号が供給されることになる。
【0052】
これにより、PPF3およびその後段に接続された第1および第2のミキサ4I,4Qでの処理により、イメージ信号発生部21より出力されたイメージ信号からI信号とQ信号とが発生される。そして、そのI信号およびQ信号が第1の信号処理系統および第2の信号処理系統でそれぞれ処理された後、デジタルのI信号およびQ信号としてDSP23に供給される。DSP23では、合成部25によってI信号とQ信号とが合成され、その合成信号のエネルギーがエネルギー検出部26により検出される。
【0053】
位相誤差補正処理部27は、エネルギー検出部26により検出されたエネルギーが最小となるように、位相補正部22の補正量を設定する。これにより、第1の信号処理系統で処理されるI信号と、第2の信号処理系統で処理されるQ信号との位相差がちょうど90°となる。以上でテストモードの動作が終了する。このテストモード時に位相補正部22に設定された位相補正量は、テストモード解除後も保持される。
【0054】
テストモード解除後の通常モード設定時には、イメージ信号発生部21、DSP23の合成部25、エネルギー検出部26および位相誤差補正処理部27は非動作状態となる。また、スイッチ7は、LNA2より出力される受信信号を選択するように切り替えられる。これにより、PPF3には、LNA2より出力された受信信号が供給されることになる。
【0055】
LNA2よりスイッチ7を介して出力された受信信号は、PPF3でフィルタ処理された後、第1および第2のミキサ4I,4Qで周波数変換される。これにより、当該受信信号から中間周波のI信号とQ信号とが発生される。この周波数変換処理では、第2のミキサ4Qに供給される直交局部発振信号の位相が、テストモード時に位相補正部22に設定された補正量に従って補正されている。
【0056】
第1および第2のミキサ4I,4Qにより発生されたI信号とQ信号は、第1の信号処理系統および第2の信号処理系統でそれぞれ処理された後、デジタルのI信号およびQ信号としてDSP23に供給される。そして、復調部13においてI信号およびQ信号を用いて復調処理が行われる。この復調の際に、位相補正部22により位相差が正確に90°とされたI信号とQ信号とを用いて、例えば複素周波数変換によりイメージノイズを除去する処理が行われる。
【0057】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態によれば、テストモードの設定時に、実際の受信信号をミキサ4I,4Qに入力する代わりに、イメージ信号発生部21により発生されたイメージ信号がミキサ4I,4Qに入力されて、当該イメージ信号を対象として一連の信号処理が行われる。そして、その信号処理されたI信号とQ信号とが合成され、合成された信号のエネルギーが最小となるように位相補正部22の補正量が設定されることとなる。
【0058】
イメージ信号が処理された結果として得られる合成信号のエネルギーが最小となるのは、I信号とQ信号との位相差が90°となるときであるから、エネルギーが最小となるように直交局部発振信号の位相を調整することにより、結果として、I信号とQ信号との位相差が正確に90°となるようにすることができる。これにより、I信号とQ信号との位相誤差そのものを検出する必要がなく、ミキサ4I,4Qや90°移相器6等におけるアナログ素子のばらつき等に起因する位相誤差を正確に補正し、イメージノイズの除去効果を高めることができる。
【0059】
また、第2の実施形態では、受信アンテナ1で実際に受信された信号を用いて位相の補正を行うのではなく、テストモードの設定時にイメージ信号発生部21からイメージ信号を発生してあらかじめ位相の補正を行っている。これにより、実際に受信機を使用する場面において位相の補正を行う必要がないというメリットも有する。
【0060】
なお、上記第2の実施形態では、位相補正部22は、90°移相器6から第2のミキサ4Qに供給される直交局部発振信号の位相を補正するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、90°移相器6の後段ではなく、局部発振器5の後段で第1のミキサ4Iへのパス上に位相補正部22を設け、局部発振器5から第1のミキサ4Iに供給される同相局部発振信号の位相を補正するようにしても良い。また、局部発振器5および90°移相器6の後段に位相補正部22をそれぞれ設け、同相局部発振信号の位相および直交局部発振信号の位相を双方とも補正するようにしても良い。
【0061】
また、上記第2の実施形態では、局部発振信号の位相をアナログ的に補正する例について説明したが、これに限定されない。例えば、DSP23において、第1のA/D変換器9Iおよび/または第2のA/D変換器9Qの後段に位相補正部を設け、第1の信号処理系統で処理されたI信号および第2の信号処理系統で処理されたQ信号の何れか一方または両方に対してデジタル信号処理により位相の補正を行うようにしても良い。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明による第3の実施形態を図面に基づいて説明する。図3は、第3の実施形態による受信機の構成例を示す図である。なお、図3において、図1および図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。第3の実施形態は、第1の実施形態で説明した機能と第2の実施形態で説明した機能とを合わせたものである。
【0063】
図3に示すように、第3の実施形態による受信機では、90°移相器6の後段に位相補正部22を設ける代わりに、DSP41の処理機能として位相補正部42を設け、第1の信号処理系統により処理されたI信号の位相を、位相誤差補正処理部27により設定された補正量に従って補正するようにしている。もちろん、第2の実施形態と同様に90°移相器6の後段に位相補正部22を設けても良い。
【0064】
以下に、第3の実施形態による受信機の動作を説明する。図示しないマイコンからの指示に従ってテストモード設定部16によりテストモードが設定されると、まずはIF信号発生部10が動作し、ミキサ4I,4Qで発生されるI信号およびQ信号と同じ中間周波数の信号が生成される。このときスイッチ7I,7Qは、当該IF信号発生部10にて発生される中間周波信号を選択するように切り替えられる。これにより、第1の信号処理系統および第2の信号処理系統には、IF信号発生部10により発生された中間周波信号が共に流れることになる。
【0065】
このとき、DSP41の振幅誤差検出部14および振幅誤差補正処理部15が動作状態となる。振幅誤差検出部14は、第1の信号処理系統で処理された中間周波信号と、第2の信号処理系統で処理された中間周波信号との振幅誤差を検出する。また、振幅誤差補正処理部15は、振幅誤差検出部14により検出された振幅誤差がなくなるように振幅補正部12のゲインを設定する。これにより、第1の信号処理系統で処理された中間周波信号の振幅と、第2の信号処理系統で処理された中間周波信号の振幅とが一致する。
【0066】
次に、IF信号発生部10、DSP41の振幅誤差検出部14および振幅誤差補正処理部15が非動作状態となり、イメージ信号発生部21、DSP41の合成部25、エネルギー検出部26および位相誤差補正処理部27が動作状態となる。このときスイッチ7I,7Qは、第1および第2のミキサ4I,4Qから出力される信号を選択するように切り替えられる。また、スイッチ7は、イメージ信号発生部21にて発生されるイメージ信号を選択するように切り替えられる。よって、第1および第2のミキサ4I,4Qには、イメージ信号発生部21により発生されたイメージ信号が供給されることになる。
【0067】
これにより、第1および第2のミキサ4I,4Qでの処理により、イメージ信号発生部21より出力されたイメージ信号からI信号とQ信号とが発生される。ここで発生されたI信号とQ信号は、スイッチ7I,7Qを介して第1および第2の信号処理系統にそれぞれ出力される。そして、I信号およびQ信号が第1の信号処理系統および第2の信号処理系統でそれぞれ処理された後、デジタルのI信号およびQ信号としてDSP41に供給される。
【0068】
DSP41では、第2の実施形態で説明したのと同様の手順で、合成部25およびエネルギー検出部26によってI信号とQ信号との合成信号のエネルギーが検出され、位相誤差補正処理部27によってそのエネルギーが最小となるように位相補正部42の補正量が設定される。これにより、第1の信号処理系統で処理されるI信号と、第2の信号処理系統で処理されるQ信号との位相差がちょうど90°となる。以上でテストモードの動作が終了する。このテストモード時に振幅補正部12に設定されたゲインおよび位相補正部42に設定された位相補正量は、テストモード解除後も保持される。
【0069】
テストモード解除後の通常モード設定時には、IF信号発生部10、イメージ信号発生部21、DSP41の振幅誤差検出部14、振幅誤差補正処理部15、合成部25、エネルギー検出部26および位相誤差補正処理部27は非動作状態となる。また、スイッチ7は、LNA2より出力される受信信号を選択するように切り替えられ、スイッチ7I,7Qは、ミキサ4I,4Qより出力されるI信号とQ信号を選択するように切り替えられる。これにより、ミキサ4I,4Qには、LNA2より出力された受信信号がPPF3を介して供給されることになる。
【0070】
LNA2よりスイッチ7およびPPF3を介して出力された受信信号は、第1および第2のミキサ4I,4Qで周波数変換される。これにより、当該受信信号から中間周波のI信号とQ信号とが発生される。第1および第2のミキサ4I,4Qにより発生されたI信号とQ信号は、スイッチ7I,7Qを通り、第1の信号処理系統および第2の信号処理系統でそれぞれ処理された後、デジタルのI信号およびQ信号としてDSP41に供給される。そして、デジタルI信号に対して振幅補正部12により振幅の補正が行われるとともに、位相補正部22により位相の補正が行われる。
【0071】
復調部13では、第1のA/D変換器9IでのA/D変換後に振幅補正および位相補正が施されたI信号と、第2のA/D変換器9QでA/D変換されたQ信号とを用いて復調処理が行われる。この復調の際に、振幅補正部12により振幅が揃えられるとともに位相補正部42により位相差が正確に90°とされたI信号とQ信号とを用いて、例えば複素周波数変換によりイメージノイズを除去する処理が行われる。
【0072】
以上詳しく説明したように、第3の実施形態によれば、テストモードの設定時に、I信号とQ信号との振幅誤差を正確に検出して補正した後、I信号とQ信号との合成信号のエネルギーをもとに位相誤差を正確に補正することができる。すなわち、アナログ素子のばらつき等に起因する振幅誤差も位相誤差も両方とも正確に検出して補正することができ、DSP41での周波数変換によるイメージノイズ除去効果を更に高めることができる。
【0073】
なお、上記第1〜第3の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、高周波の受信信号を2つのミキサにより同相成分と直交成分とに振り分けて周波数変換し、得られた同相信号と直交信号とを用いて直交復調を行う受信機に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施形態による受信機の構成例を示す図である。
【図2】第2の実施形態による受信機の構成例を示す図である。
【図3】第3の実施形態による受信機の構成例を示す図である。
【図4】従来の受信機の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
4I,4Q ミキサ
5 局部発振器
6 90°移相器
7,7I,7Q スイッチ
10 IF信号発生部
11 DSP
12 振幅補正部
13 復調部
14 振幅誤差検出部
15 振幅誤差補正処理部
16 テストモード設定部
21 イメージ信号発生部
22 位相補正部
23 DSP
25 合成部
26 エネルギー検出部
27 位相誤差補正処理部
41 DSP
42 位相補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信周波数に対して中間周波数分のオフセットを有するローカル周波数の同相局部発振信号および当該同相局部発振信号の位相を90°ずらした直交局部発振信号で受信信号を中間周波信号に周波数変換し、上記受信信号から中間周波の同相信号および直交信号を発生する第1のミキサおよび第2のミキサと、
上記第1のミキサでの周波数変換により発生された同相信号を処理する第1の信号処理系統と、
上記第2のミキサでの周波数変換により発生された直交信号を処理する第2の信号処理系統と、
上記第1および第2のミキサで発生される中間周波信号と同じ中間周波数の信号を発生する中間周波信号発生部と、
上記第1および第2のミキサにより発生される中間周波信号または上記中間周波信号発生部により発生される中間周波信号の何れかを選択して上記第1の信号処理系統および上記第2の信号処理系統に出力する切替部と、
上記第1の信号処理系統で処理される信号および上記第2の信号処理系統で処理される信号の少なくとも一方の振幅を、設定されたゲインに従って補正する振幅補正部と、
上記中間周波信号発生部により発生される中間周波信号が上記切替部により選択されたときに、上記第1の信号処理系統で処理された信号および上記第2の信号処理系統で処理された信号の振幅誤差がなくなるように、上記振幅補正部のゲインを設定する振幅誤差補正処理部とを備えたことを特徴とする受信機。
【請求項2】
上記第1および第2のミキサにより発生される中間周波信号が上記切替部により選択されたときに上記第1の信号処理系統により処理された同相信号および上記第2の信号処理系統により処理された直交信号を合成する合成部と、
上記受信周波数および上記ローカル周波数の関係で定まるイメージ周波数の信号を発生するイメージ信号発生部と、
上記受信信号または上記イメージ信号発生部により発生されるイメージ信号の何れかを選択して上記第1および第2のミキサに出力する第2の切替部と、
上記イメージ信号発生部により発生されるイメージ信号が上記第2の切替部により選択されたときに、上記合成部より出力される信号のエネルギーが最小となるように上記同相信号と上記直交信号の位相誤差を補正する位相誤差補正処理部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
上記第1の信号処理系統により処理された同相信号および上記第2の信号処理系統により処理された直交信号の少なくとも一方の位相を、設定された補正量に従って補正する位相補正部を備え、
上記位相誤差補正処理部は、上記合成部より出力される信号のエネルギーが最小となるように上記位相補正部の補正量を設定することを特徴とする請求項2に記載の受信機。
【請求項4】
上記同相局部発振信号を発生する局部発振器と、
上記同相局部発振信号の位相を90°ずらして上記直交局部発振信号を発生する90°移相器と、
上記局部発振器より出力される上記同相局部発振信号および上記90°移相器より出力される上記直交局部発振信号の少なくとも一方の位相を、設定された補正量に従って補正する位相補正部とを備え、
上記位相誤差補正処理部は、上記合成部より出力される信号のエネルギーが最小となるように上記位相補正部の補正量を設定することを特徴とする請求項2に記載の受信機。
【請求項5】
受信周波数に対して中間周波数分のオフセットを有するローカル周波数の同相局部発振信号および当該同相局部発振信号の位相を90°ずらした直交局部発振信号で受信信号を中間周波信号に周波数変換し、上記受信信号から中間周波の同相信号および直交信号を発生する第1のミキサおよび第2のミキサと、
上記第1のミキサでの周波数変換により発生された同相信号を処理する第1の信号処理系統と、
上記第2のミキサでの周波数変換により発生された直交信号を処理する第2の信号処理系統と、
上記第1の信号処理系統により処理された同相信号および上記第2の信号処理系統により処理された直交信号を合成する合成部と、
上記受信周波数および上記ローカル周波数の関係で定まるイメージ周波数の信号を発生するイメージ信号発生部と、
上記受信信号または上記イメージ信号発生部により発生されるイメージ信号の何れかを選択して上記第1および第2のミキサに出力する切替部と、
上記イメージ信号発生部により発生されるイメージ信号が上記切替部により選択されたときに、上記合成部より出力される信号のエネルギーが最小となるように上記同相信号と上記直交信号の位相誤差を補正する位相誤差補正処理部とを備えたことを特徴とする受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−118114(P2009−118114A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288116(P2007−288116)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(591220850)NSC株式会社 (77)
【Fターム(参考)】