説明

受信装置、受信装置のアンテナ切替え回路、及び受信装置のチューナモジュール

【課題】車体に有する外付けアンテナと内蔵アンテナを切替えて使用するディジタルTV放送を受信するためのPNDやポータブルTVにおいて、大型のアンテナ切替えICとアンテナ切替え制御信号を不要化したい。
【解決手段】アンテナ切替えICの代わりにダイオードスイッチを設け、外付けアンテナの有するLNAに供給する電源のON/OFFに伴い、これをスイッチする。これにより前記二つのアンテナのうち、いずれか一つを選択することで、使用する部品や制御信号の簡素化と装置の小型化ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受信装置、受信装置のアンテナ切替え回路、及び受信装置のチューナモジュールに係わり、特にアンテナ切替え部を簡素化した受信装置、受信装置のアンテナ切替え回路、及び受信装置のチューナモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PND(Personal Navigation Device)やポータブルTV(Television)においては、車に搭載した状態で地上ディジタル放送を受信することが多い。従って受信エリアを広げるうえでも、受信感度が良好なことは重要である。現在の携帯電話などのモバイル装置には、装置に内蔵したセラミックチップアンテナか、装置に取付けられたロッドアンテナを用いて、地上ディジタル放送の一種であるワンセグ放送を受信するものがある。一方、前記PNDやポータブルTVでは、装置に内蔵されたフィルムアンテナ(フレキシブル基板に銅などの導体を内蔵して形成されることが多い)、または装置に取付けられたロッドアンテナのほかに、例えば車体に取付けられたLNA(Low Noise Amplifier)内蔵の外付けアンテナを接続して使用するものが多い。外付けアンテナを使用することで、前記した受信感度の大幅な改善が期待できる。一方、受信回路に供給する受信信号を切替えるためのアンテナ切替え回路とその切替え制御が必要となる。
【0003】
特許文献1はアンテナ切替え回路に係り、受信状態が強電界状態の場合はアンテナ切替え回路に供給する電源をオフし、基板間アイソレーションで信号出力を得るようにして、強電界地区であっても映像と音声の悪化や歪を抑え、良好な受信状態を確保する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−341185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PNDやポータブルTVの受信回路においては、前記したように、いずれのアンテナの受信信号を受信回路に供給するかを選択するためのアンテナ切替え回路と、その切替え制御が必要である。このためアンテナと受信回路の先頭にあるチューナモジュールとの間には切替え用のIC(Integrated Circuit)が搭載されており、MPU(Micro Processor Unit)からの制御信号でアンテナ切替えを行っていた。なお、前記外付けアンテナの有するLNAの電源は受信装置側から供給されている。
【0006】
しかし、前記アンテナ切替え用のICには、サイズの大きなMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のスイッチを内蔵する必要があり、大型で価格的にも高価になる問題がある。また、このスイッチを切替え制御するための制御信号が必要なこともあって、装置を小型化し簡素化するうえで好ましくなかった。
本発明の目的はこれら問題を解決し、アンテナ切替え部を簡素化した受信装置、受信装置のアンテナ切替え回路、及び受信装置のチューナモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明は、所定の変調を施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のチューナモジュールであって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナから供給された受信信号と、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号のいずれかを選択して受信信号を出力するダイオードスイッチと、該ダイオードスイッチに所定の直流電圧を供給してON/OFF動作を制御し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源の供給端子と、前記第1の電源が前記ダイオードスイッチに供給する直流電圧よりも低い直流電圧を前記ダイオードに供給する第2の電源の供給端子と、前記ダイオードスイッチのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部を有することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、MPEG方式に基づきデータ圧縮され、所定の変調が施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置であって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナと、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号が入力される入力端子と、前記第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に、前記入力端子から供給された受信信号がカソード端子に接続されたダイオードと、該ダイオードのカソード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、前記ダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記カソード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、前記第1の電源をON/OFF制御する制御部と、前記ダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部と、該復調部で復調された受信信号が供給され、送信時に施されたMPEG方式に基づくデータ圧縮を伸張して復号するMPEG復号部と、該MPEG復号部で復号された受信信号が供給され、画像表示するに適したフォーマットのアナログ信号に変換するAV−IF部と、該AV−IF部で変換された受信信号を画像表示するモニタを有することを特徴としている。
【0009】
また本発明は、放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のアンテナ切替え回路であって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号がカソード端子に接続されたダイオードと、該ダイオードのカソード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、前記ダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記カソード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、前記第1の電源をON/OFF制御する制御部を有し、前記ダイオードのカソード側に現れた受信信号を切替え出力とすることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、所定の変調が施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のチューナモジュールであって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナで受信された受信信号が入力される第1の入力端子と、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号が入力される第2の入力端子と、前記第1の入力端子から供給された受信信号がアノード端子に、前記第2の入力端子から供給された受信信号がカソード端子に接続されたダイオードと、該ダイオードのカソード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源の供給端子と、前記ダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記カソード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源の供給端子と、前記ダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部を有することを特徴としている。
【0011】
また本発明は、MPEG方式に基づきデータ圧縮され、所定の変調が施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置であって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナと、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナで受信された受信信号が入力される入力端子と、前記第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に接続された第1のダイオードと、前記入力端子から供給された受信信号がアノード端子に接続され、カソード端子が前記第1のダイオードのカソード端子に接続された第2のダイオードと、前記第2のダイオードのアノード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、前記第1のダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記第2のダイオードのアノード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、前記第1の電源をON/OFF制御する制御部と、前記第1及び第2のダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部と、該復調部で復調された受信信号が供給され、送信時に施されたMPEG方式に基づくデータ圧縮を伸張して復号するMPEG復号部と、該MPEG復号部で復号された受信信号が供給され、画像表示するに適したフォーマットのアナログ信号に変換するAV−IF部と、該AV−IF部で変換された受信信号を画像表示するモニタを有することを特徴としている。
【0012】
また本発明は、放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のアンテナ切替え回路であって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に接続された第1のダイオードと、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に接続され、カソード端子が前記第1のダイオードのカソード端子に接続された第2のダイオードと、前記第2のダイオードのアノード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、前記第1のダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記第2のダイオードのアノード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、前記第1の電源をON/OFF制御する制御部を有し、前記第1及び第2のダイオードのカソード側に現れた受信信号を切替え出力とすることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、所定の変調を施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のチューナモジュールであって、前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナで受信された受信信号が入力される第1の入力端子と、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号が入力される第2の入力端子と、前記第1の入力端子から供給された受信信号がアノード端子に接続された第1のダイオードと、前記第2の入力端子から供給された受信信号がアノード端子に接続され、カソード端子が前記第1のダイオードのカソード端子に接続された第2のダイオードと、該第2のダイオードのアノード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源の供給端子と、前記第1のダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記第2のダイオードのアノード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源の供給端子と、前記第1及び第2のダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンテナ切替え部を簡素化した受信装置、受信装置のアンテナ切替え回路、及び受信装置のチューナモジュールを提供でき、装置の小型化やこれに伴う使い勝手の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の受信装置の放送受信部のブロック図である。
【図2】本発明の一実施例における受信装置の放送受信部のブロック図である。
【図3】本発明の一実施例における受信装置の放送受信部の別なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。
図1は従来の受信装置の放送受信部のブロック図であり、図2は本発明の一実施例における受信装置の放送受信部のブロック図である。先ず、従来の一例を述べたうえで、本実施例を詳しく説明する。
【0017】
図1で、1は受信装置に内蔵されるフィルムアンテナないし受信装置に取付けられたロッドアンテナであり、2は受信装置が搭載される移動体(車の車体など)に取付けられたLNA内蔵の外付けアンテナである。外付けアンテナ2は車体の外部に突出することが多い。1Aはアンテナ1で受信された受信信号の入力端子であり、2Aはアンテナ2で受信された受信信号の入力端子である。アンテナ2は前記したように放送受信部から離れた位置にあるため、放送受信部側にはこれと接続するための入力端子2Aを有している。一方、アンテナ1は放送受信部と一体のものであるため、入力端子1Aは特に構成要素として意識されなくとも良い。
アンテナ1で受信された受信信号は、容量C1を介してアンテナ切替えIC(4)の入力端子に供給される。アンテナ2で受信された受信信号は、LNA(3)で後段の回路での信号処理に適した所定のレベルに増幅されたうえで、容量C2を介してアンテナ切替えIC(4)の他の入力端子に供給される。
【0018】
LNA(3)には動作電源が必要であるが、第1の電源11(これもICを含むことが多い)で生成された直流電源が、容量C4で平滑化されたうえでコイルL1を介してLNA(3)に供給されている。なお、図中でLNA(3)の出力ラインは前記したようにアンテナ切替えIC(4)に受信信号を供給するが、前記直流電源もこの信号ラインに重畳してLNA(3)に供給されることが多い。またコイルL1と容量C4は、前記した直流電源を供給するとともに、LNA(3)側から見た入力インピーダンスを所定値とする作用も有している。
【0019】
MPU(Micro Processor Unit)12は、受信装置の少なくも放送受信部全体を制御する制御部である。MPU(12)は第1の電源11に対して、電源を供給するか否かを制御するLNA電源切替え制御信号を送り、第1の電源11のON/OFF制御を行う。また、アンテナ切替えIC(4)の制御端子に対して、1と2のいずれのアンテナからの受信信号を選択するかを制御するアンテナ切替え制御信号を送り、受信信号を選択させる。アンテナ切替え制御信号が外付けアンテナ2で受信した受信信号を選択した場合には、LNA電源切替え信号は第1の電源11をONするように制御する。反対に、前者がアンテナ1で受信した受信信号を選択した場合には、後者は第1の電源11をOFFするように制御する。
【0020】
アンテナ切替え信号に基づきアンテナ切替えIC(4)で選択された受信信号は、容量C3を介してチューナモジュール5に供給され、後記するような信号処理が施される。なお、チューナモジュール5の入力部にあるコイルL2と容量C5はフィルタ回路を形成しており、周波数変換部51に入力される受信信号の帯域制限を行っている。
アンテナ切替えIC(4)は、ON抵抗の少ない大型のMOSFETを含むものであり、部品としてのサイズが大きいために基板上の占有面積が大きく、価格的には高価となり易く、また前記したようにアンテナ切替え制御信号が必要であるなどの問題があった。
【0021】
これらを解決した本発明の第1の実施形態を、図2に基づいて詳しく述べる。
図2で図1と大きく異なる点は、アンテナ切替えIC(4)を使用せず、代わりにダイオードD1が設けられている点であり、またこれに伴いMPU(12)が生成していたアンテナ切替え制御信号が不要な点である。
【0022】
またアンテナ切替えIC(4)のような大型部品や容量C2が不要となったため、図示するようにダイオードD1をはじめ、容量C3、C4、コイルL1や抵抗R1を含む周辺部品をチューナモジュール5に搭載するようにしても良い。もちろん容量C1もチューナモジュール5に搭載しても良い。これにより、チューナモジュール5の単体での特性と、受信装置内部に実装した時の特性を近づけることができ、開発工程の短縮化に寄与することができる。
なお、図示したようなチューナモジュール5にとっては、図1の場合とは異なり、入力端子1Aと1Bは切り口となる構成要素としての意味がある。
【0023】
次に図2の回路ブロック図に基づき、全体の動作を説明する。ここでは図1で示した構成要素と同じで良いものには、同じ符号を付している。また容量C1、C3、C4、C5、コイルL1、L2などは対応する機能を有するものに同じ符号を付しているが、これは必ずしも値までが一致することを意味するものではない。例えば図1では、コイルL2と容量C5で周波数変換部51に入力される受信信号の帯域制限を行なうフィルタを形成するとしたが、図2では、主にはコイルL1とL2、容量C3、C4とC5で該当するフィルタを形成するため、各々の値自体は異なることが多い。
【0024】
受信アンテナとして外付けアンテナ2が装置に接続されておらず、フィルムアンテナないしロッドアンテナ1のみが機能する場合には、MPU(12)は第1の電源11にLNA電源切替え制御信号を送り、第1の電源11をOFFさせる。すなわちLNA(3)に電源を供給しない。一方、ダイオードD1のアノード側には、抵抗R2を介して第2の電源9からの正電位が与えられている。このためダイオードD1は順バイアスとなって、第2の電源9から抵抗R2、ダイオードD1、コイルL1と抵抗R1を経由するバイアス電流が流れる。これはダイオードD1がスイッチONの状態であることを意味し、アンテナ1で受信された受信信号は、容量C1、ダイオードD1、容量C3とC5を介して周波数変換部51に供給される。
【0025】
一方、外付けアンテナ2が装置に接続されている場合には、MPU(12)は第1の電源11にLNA電源切替え制御信号を送り、第1の電源11をONさせる。すなわち、LNA(3)にコイルL1と受信信号ラインを介して電源を供給する。これにより外付けアンテナ2で受信され、LNA(3)で所定のレベルに増幅された受信信号は、ダイオードD1のカソード側に現れる。ここで第1の電源11の電源電圧を、第2の電源9の電源電圧よりも高く設定すれば(一般に前者は3V程度、後者は5〜8V程度であるため、この条件は満足される)、ダイオードD1はOFFの状態となり、外付けアンテナ2で受信された受信信号が容量C3、C5を介して周波数変換部51に供給され、一方アンテナ1で受信された受信信号はダイオードD1で阻止される。
【0026】
すなわちダイオードD1を用いることで、アンテナ切替えのための素子の小型化や簡素化はもちろん、図1のアンテナ切替え制御信号も不要となることが分かる。第1の電源11と第2の電源9の出力する電圧値の大小関係が、図1のアンテナ切替え制御信号の作用を兼ねるからである。特に第2の電源9はLNA3への動作電源の供給と、このアンテナ切替え動作の双方に関わることとなる。
【0027】
外付けアンテナ2が接続されている場合に、これで受信した受信信号を使用すると良い。当然ながら車体に取付けられたアンテナ2の方が、受信装置に付されたアンテナ1よりも受信状態が良いことが多いからである。
これに対し、いずれのアンテナの受信信号を使用するかを決める際に、手動で設定するようにしても良い。また外付けアンテナ2が接続されているか否かを自動検出し、接続されている場合には、これを選択するようにしても良い。自動検出にはいくつかの方法が考えられる。受信装置の回路基板に検出用のスイッチ部品があっても良く、また第1の電源11をON状態にした際に、所定の負荷電流が流れるか否かで検出しても良い。
【0028】
以上のようにして、ダイオードD1の作用によって選択された受信信号は、周波数変換部51に供給される。周波数変換部51では受信した高周波の受信信号を、次のOFDM復調部52で復調作用を行なうに適した周波数帯域に周波数変換する。元々は中間周波数帯域に変換するヘテロダイン変換が多用されてきたが、最近ではベースバンド帯域へ直接変換するダイレクト変換を使用することが多くなっている。
【0029】
周波数変換部51で周波数変換された受信信号は、OFDM復調部52へ供給される。地上波ディジタル放送では放送局からの送信時に、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex;直交周波数分割多重)変調が施されており、この変調はOFDM復調部52で復調され、受信したデータが復調される。このデータには送受信するデータの容量を圧縮するためのMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮符号化が施されている。そこで、OFDM復調部52で復調された被圧縮データはMPEG復号部6に供給され、MPEG圧縮前のデータに戻される。
【0030】
MPEG復号部6で復号されたデータは、AV−IF(Audio Video Interface)部7に供給され、LCDモニタ8で画像表示するに適したフォーマットのアナログ信号となり、さらにLCD(Liquid Crystal Display)モニタ8に供給され、その画像表示部には放送された画像が視聴者に対して表示される。モニタ8の表示部はLCDに限らず、PDP(Plasma Display Panel)、ELD(Electronic Luminescence Display)、ブラウン管など何であっても良い。
【0031】
さきの第2の電源9は、内蔵するバッテリないし外部から供給される電源10を供給され、これをレギュレートすることで生成されている。これはチューナモジュール5、MPEG復調部6、AV−IF(7)をはじめとする各構成要素の電源としても使われている。MPU(12)は、さきのLNA電源切替え制御信号を生成するほか、チューナモジュール5に対して同調させるチャンネルを制御するチューナ制御信号を生成し、さらにはMPEG復号部6、AV−IF(7)、LCDモニタ8、第2の電源9の動作を制御し、すなわち、受信装置の少なくも放送受信部全体を制御している。
【0032】
なお、第1の電源11も電源10をレギュレートして生成しても良い。またチューナモジュール5にとっては、第1の電源11と第2の電源9は外部の構成要素となることが多い。この場合は、図示した入力端子5Aと5Bは電源の供給端子として構成要素の意味を持つ。
以上述べたように本実施例によれば、アンテナスイッチ部に小型化また簡素化された部品を適用し、これによりアンテナ切替え制御信号を不要とし、部品の基板上の占有面積を低減することで、装置の小型化や低価格化を達成することができる。
【0033】
次に図3の回路ブロック図に基づき、本発明の一実施例を説明する。図3は、本発明の一実施例における受信装置の放送受信部の図2とは別なブロック図である。
図3は図2の場合と比較し、ダイオードD2をコイルL1の一端と容量C3の一端との間に設け、さきのダイオードD1とカソード側を共通に接続し、ダイオードD1、D2のON電流を流す抵抗を、図2のR1に変えて図3のR3としている点が異なる。この場合も図2と同様、MPU(12)からのLNA電源切替え制御信号に応じて、第1の電源11がON/OFF制御される。
【0034】
第1の電源11がONであれば、LNA(3)には第1の電源11からの動作電源が与えられ、またダイオードD2がONしてダイオードD1がOFFすることで、外付けアンテナ2で受信された受信信号が周波数変換部51に供給される。逆に第1の電源11がOFFであれば、LNA(3)には動作電源は与えられず、またダイオードD1がONしてダイオードD2がOFFすることで、アンテナ1で受信された受信信号が周波数変換部51に供給される。
【0035】
なお図3では、ダイオードD1がONしてアンテナ1で受信された受信信号が周波数変換部51に供給される際に、OFF状態にあるダイオードD2の作用により、そのカソード側以降の回路部からは、チューナモジュール5の外側でLNA(3)に到る間の長い引回し部が有するインピーダンスが見え難くなっている。このため、アンテナ1を使用する際の周波数特性が、この引回し部の影響で変化する問題を低減する働きがある。すなわち、受信装置と外付けアンテナ2の間の距離が変化し、また回路基板上のパターン引回しが変更された場合でも、特性の大きな変化をきたさないようにする効果がある。一般に受信装置と外付けアンテナ2の間の距離やケーブルの引回しの状態は、使用状況や搭載する車によって大きく変化するため、これは本実施例の特徴的な効果の一つとなっている。
【0036】
以上の実施形態はあくまで一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えばチューナモジュール5に内蔵する部品については、多くの異なる例を考えることが出来る。また実施形態において、TV放送の受信部を記載して説明したが、このほかモバイル通信部をはじめとする多くの構成要素があっても良い。このほかにも、さらに多くの異なる実施形態が考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0037】
1:アンテナ、2:外付けアンテナ、2A:入力端子、3:LNA、5:チューナモジュール、6:MPEG復号部、7:AV−IF部、8:モニタ、9:第2の電源、11:第1の電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の変調を施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のチューナモジュールであって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナから供給された受信信号と、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号のいずれかを選択して受信信号を出力するダイオードスイッチと、
該ダイオードスイッチに所定の直流電圧を供給してON/OFF動作を制御し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源の供給端子と、
前記第1の電源が前記ダイオードスイッチに供給する直流電圧よりも低い直流電圧を前記ダイオードに供給する第2の電源の供給端子と、
前記ダイオードスイッチのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、
該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部
を有することを特徴とする受信装置のチューナモジュール。
【請求項2】
MPEG方式に基づきデータ圧縮され、所定の変調が施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置であって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナと、
前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号が入力される入力端子と、
前記第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に、前記入力端子から供給された受信信号がカソード端子に接続されたダイオードと、
該ダイオードのカソード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、
前記ダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記カソード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、
前記第1の電源をON/OFF制御する制御部と、
前記ダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、
該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部と、
該復調部で復調された受信信号が供給され、送信時に施されたMPEG方式に基づくデータ圧縮を伸張して復号するMPEG復号部と、
該MPEG復号部で復号された受信信号が供給され、画像表示するに適したフォーマットのアナログ信号に変換するAV−IF部と、
該AV−IF部で変換された受信信号を画像表示するモニタ
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項3】
放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のアンテナ切替え回路であって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に、前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号がカソード端子に接続されたダイオードと、
該ダイオードのカソード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、
前記ダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記カソード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、
前記第1の電源をON/OFF制御する制御部
を有し、前記ダイオードのカソード側に現れた受信信号を切替え出力とすることを特徴とする受信装置のアンテナ切替え回路。
【請求項4】
所定の変調が施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のチューナモジュールであって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナで受信された受信信号が入力される第1の入力端子と、
前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号が入力される第2の入力端子と、
前記第1の入力端子から供給された受信信号がアノード端子に、前記第2の入力端子から供給された受信信号がカソード端子に接続されたダイオードと、
該ダイオードのカソード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源の供給端子と、
前記ダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記カソード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源の供給端子と、
前記ダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、
該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部
を有することを特徴とする受信装置のチューナモジュール。
【請求項5】
MPEG方式に基づきデータ圧縮され、所定の変調が施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置であって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナと、
前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナで受信された受信信号が入力される入力端子と、
前記第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に接続された第1のダイオードと、
前記入力端子から供給された受信信号がアノード端子に接続され、カソード端子が前記第1のダイオードのカソード端子に接続された第2のダイオードと、
前記第2のダイオードのアノード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、
前記第1のダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記第2のダイオードのアノード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、
前記第1の電源をON/OFF制御する制御部と、
前記第1及び第2のダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、
該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部と、
該復調部で復調された受信信号が供給され、送信時に施されたMPEG方式に基づくデータ圧縮を伸張して復号するMPEG復号部と、
該MPEG復号部で復号された受信信号が供給され、画像表示するに適したフォーマットのアナログ信号に変換するAV−IF部と、
該AV−IF部で変換された受信信号を画像表示するモニタ
を有することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のアンテナ切替え回路であって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に接続された第1のダイオードと、
前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号がアノード端子に接続され、カソード端子が前記第1のダイオードのカソード端子に接続された第2のダイオードと、
前記第2のダイオードのアノード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源と、
前記第1のダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記第2のダイオードのアノード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源と、
前記第1の電源をON/OFF制御する制御部
を有し、前記第1及び第2のダイオードのカソード側に現れた受信信号を切替え出力とすることを特徴とする受信装置のアンテナ切替え回路。
【請求項7】
所定の変調を施されて送信された放送信号を受信し、受信信号を処理するテレビジョン放送の受信装置のチューナモジュールであって、
前記テレビジョン放送を受信する第1のアンテナで受信された受信信号が入力される第1の入力端子と、
前記テレビジョン放送を受信し受信信号を内蔵するLNAで増幅する第2のアンテナから供給された受信信号が入力される第2の入力端子と、
前記第1の入力端子から供給された受信信号がアノード端子に接続された第1のダイオードと、
前記第2の入力端子から供給された受信信号がアノード端子に接続され、カソード端子が前記第1のダイオードのカソード端子に接続された第2のダイオードと、
該第2のダイオードのアノード端子に直流電圧を供給し、さらに前記第2のアンテナの内蔵するLNAに動作電源を供給する第1の電源の供給端子と、
前記第1のダイオードのアノード端子に前記第1の電源が前記第2のダイオードのアノード端子に供給する直流電圧よりも低い直流電圧を供給する第2の電源の供給端子と、
前記第1及び第2のダイオードのカソード側に現れた受信信号が供給され、これを所定の周波数帯に周波数変換する周波数変換部と、
該周波数変換部で変換された受信信号が供給され、送信時に施された前記変調を復調する復調部
を有することを特徴とする受信装置のチューナモジュール。
【請求項8】
請求項2または請求項5に記載の受信装置であって、前記復調部は直交周波数分割多重方式による変調を復調することを特徴とする受信装置。
【請求項9】
請求項1、請求項4及び請求項7のいずれか一項に記載の受信装置のチューナモジュールであって、前記復調部は直交周波数分割多重方式による変調を復調することを特徴とする受信装置のチューナモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−77666(P2011−77666A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224923(P2009−224923)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】