説明

受信装置

【課題】複数の種類のRF信号を1つの受信装置で受信する際に、受信装置の小規模化と制御の簡単化を図る。
【解決手段】第1のRF受信パス110と第2のRF受信パス120は、切り替えて動作する。段間フィルタ134は、第1のRF受信パス110と第2のRF受信パス120と接続され、動作中のRF受信パスから出力されたRF信号に対して所定の帯域のみを通過する。周波数変換部140は、段間フィルタ134から出力された信号をIF信号に変換する。段間フィルタ134は、第1のRF受信パス110により受信されるRF信号の中心周波数に対応するものである。第2のRF受信パス120は、 受信したRF信号に対して、段間フィルタ134が通過する帯域に含まれるように中心周波数のシフトを行う中心周波数シフト部124を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のRF信号特に衛星測位用信号を受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムなどのように、地球軌道を周回する人工衛星を利用して地上の現在位置を測定する全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satelites System)が普及しつつある。このようなGNSSとしては、米国が構築したGPS(Global Positioning System)、旧ソビエト連邦国が構築したGLONASS、欧州の諸国が中心となり構築は進められているGalileoなどがある。
【0003】
特許文献1には、GNSSを構成する人工衛星から送出された衛星測位用信号を受信して現在位置を算出する受信装置(特許文献1の図1)が開示されている。この受信装置は、衛星測位用信号であるRF(Radio Frequency:無線周波数)信号をIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号に周波数変換し、このIF信号をA/D(Analog/Digital)変換してデジタルIF信号を得る。そして、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにより構成されたデジタル処理部によりデジタルIF信号に対して航法メッセージの復調処理などを行って現在位置を算出する。
【0004】
特許文献1に開示された受信装置は、単一周波数帯域の衛星測位用信号を受信するものである。単一周波数帯域の受信機では、空中電離層や対流層などの影響で測位誤差が大きいという問題がある。そこで、複数の周波数帯域の衛星測位用信号を受信して利用することによって、従来以上の性能(受信エリアの広範囲化や、測位精度など)を実現することが希望されている。
【0005】
このような背景において、各GNSSも複数の周波数帯域を民間用に用意している。例えばGPSとGalileoでは、下記のようにそれぞれ複数の周波数帯域を民間用に開放されている。
【0006】
GPS:
L1帯域(中心周波数:1575.42MHz、帯域:±1.023MHz)
L2C帯域(中心周波数:1227.6MHz、帯域:±1.023MHz)
L5C帯域(中心周波数:1176.45MHz、帯域:±10.23MHz)
Galileo:
L1帯域(中心周波数:1575.42MHz、帯域:±2.046MHz)
E5a帯域(中心周波数:1176.45MHz、帯域:±10.23MHz)
E5b帯域(中心周波数:1207.14MHz、帯域:±10.23MHz)
E6帯域(中心周波数:1278.75MHz、帯域:±5.115MHz)

そこで、例えばGalileoのE5a帯域またはE5b帯域と、GPSのL1帯域の両方の衛星測位用信号を受信できるようにすれば、この両方の信号の周波数帯域が大きく異なるので、空中電離層や対流層などの影響を互いにキャンセルすることができる。そのため、高精度な測位ができる。また、複数の帯域の航法メッセージのデータを受信できるようにすれば、最適なデータを選択して用いることによって地上環境によるフェージングが測位精度へ与える影響を抑制することができる。
【0007】
1つの受信装置で複数の異なる周波数帯域の信号を受信できることを実現するために、周波数帯域毎に処理系を構成するのでは、受信装置の回路規模が大きくなりコストもかかるという問題がある。この問題を解決するために、特許文献2には、測位処理系の受信特性を切り替え可能に受信装置を構成し、所定の種類の衛星測位用信号を受信する際に、該衛星測位用信号に対応する受信特性になるように測位処理系の受信特性を切り替える技術が開示されている。この技術によれば、小規模な装置構成でありながら、複数種類の衛星測位用信号を利用できる。
【特許文献1】特開2003−255036号公報
【特許文献2】特開2005−207888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実際の測位処理系において、アンテナにより受信したRF信号は、ミキサにより周波数変換がなされる前に下記の処理が施されることが考えられる。まず、RFバンドパスフィルタにより所望帯域外の妨害波を除去した後にRFアンプに入力する。そして、RFアンプにより増幅された信号は、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタと呼ばれるRFバンドパスフィルタにより所望帯域外の妨害波のレベルを再度抑制する。このように、RFアンプ前後にバンドパスフィルタを挿入する処理は、特に携帯電話機に搭載される測位処理装置の場合には必要である。
【0009】
衛星測位用信号を受信して測位処理を行う処理系が備えられた携帯電話機は、通話データの送信中でも測位機能が正常に動作することが要求される。しかし、携帯電話機の小型化も要求され、各メーカが小型機種の開発にしのぎを削る背景において、携帯電話機の通話用アンテナと、衛星測位用信号の受信用アンテナとを大きく離れて設けることができず、送信信号と受信信号間のアイソレーションに限界がある。例えば、携帯電話機が+27dbmのような大パワーの信号を通話用アンテナを介して送信する場合、この送信信号は、アイソレーションの分だけ減衰されて、衛星測位用信号の受信用アンテナを介して測位処理系に妨害波として入力される。測位処理系のRFアンプの前後に上述したフィルタの挿入は、この妨害波を除去するための対策である。妨害波の除去効果を高め、測位処理系の動作を安定にするために、特にRFアンプの後に設けられるRFバンドフィルタとしては、狭帯域フィルタを用いる必要がある。
【0010】
RFアンプの前後に設けられる2つのRFバンドパスフィルタの特性(例えばフィルタが通す帯域)は、測位処理系の受信特性に含まれる。
【0011】
特許文献2に開示された技術は、衛星測位用信号の種類に応じて測位処理系の受信特性を切り替える。この技術によって例えば、GalileoのL1帯域(中心周波数:1575.42MHz)と、GalileoのE5a帯域(中心周波数:1176.45MHz)を1つの受信装置で対応する場合について考える。2つの帯域のRF信号に対して、同じRFバンドフィルタを用いるのでは、RFバンドフィルタは(1176.45−2)MHz〜(1575.42+10)MHzまで対応する必要があり、狭帯域フィルタとはいい難い。特にSAWを除去するためにRFアンプに後に設けられたRFバンドフィルタの妨害波の除去効果が低くなってしまう。一方、対象になり得る衛星測位用信号の種類毎に特性が異なるRFバンドパスフィルタを用意しておき、実際に受信する衛星測位用信号の種類に応じてこれらのRFバンドパスフィルタを切替えて使用するのでは、RFバンドパスフィルタの数が多くなってしまう。例えば、上記2つの例の帯域の信号を1つの装置で受信するために、下記の4個のRFバンドパスフィルタが必要である:GalileoのL1帯域の信号のためのRFバンドパスフィルタ(1575.42±2MHz)2個と、GalileoのE5a帯域の信号のためのRFバンドパスフィルタ(1176.45±10MHz)2個。
【0012】
また、これらの4個のRFバンドパスフィルタを切替できるようにするために、切替のためのスイッチや、これらのスイッチの制御が必要であり、装置の構成が複雑になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの態様は、受信装置である。この受信装置は、切り替えて動作する複数のRF受信パスと、該複数のRF受信パスと接続され、動作中のRF受信パスから出力されたRF信号に対して所定の帯域のみを通過するRFバンドパスフィルタと、該RFバンドパスフィルタから出力された信号をIF信号に変換する周波数変換部を備える。これらの複数のRF受信パスのうちの、RFバンドパスフィルタの所定の帯域外のRF信号を受信するRF受信パスは、受信したRF信号に対して、この所定の帯域に含まれるように中心周波数のシフトを行う中心周波数シフト部を有する。
【0014】
なお、上記態様を方法、システムまたは回路として表現したものも、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小規模かつ制御が簡単な受信装置で異なる種類のRF信号を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる受信装置100を示す。この受信装置100は、GNSSにおける2つの異なる周波数帯域の衛星測位用信号を切り換えて受信可能なマルチ周波数受信装置であり、第1のRF受信パス110、第2のRF受信パス120、同相結合器132、段間フィルタ134、周波数変換部140、IFバンドパスフィルタ150、VGA160、A/D変換器165、利得調整部170、デジタル処理部180、リファレンス信号発振器185、ヒューマンインターフェイス190を備える。
【0018】
ここで例として、受信装置100は、GalileoのL1帯域(中心周波数:1575.42MHz、帯域幅:±2.046MHz)と、GalileoのE5a帯域(中心周波数:1176.45MHz、帯域幅:±10.23MHz)を受信対象とする。
【0019】
第1のRF受信パス110は、GalileoのL1帯域の信号を受信するものであり、該帯域のRF信号を取得するアンテナ111、アンテナ111により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここでGalileoのL1帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ112、RFバンドパスフィルタ112から出力されたRF信号を増幅するLNA(低雑音増幅アンプ)113を有する。
【0020】
第2のRF受信パス120は、GalileoのE5a帯域の信号を受信するものであり、該帯域のRF信号を取得するアンテナ121、アンテナ121により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここでGalileoのE5a帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ122、RFバンドパスフィルタ122から出力されたRF信号を増幅するLNA(低雑音増幅アンプ)123、LNA123から出力されたRF信号に対して中心周波数のシフト(その詳細については後述する)を行う中心周波数シフト部124を有する。
【0021】
第1のRF受信パス110におけるLNA113と、第2のRF受信パス120におけるLNA123および中心周波数シフト部124は、排他的に動作する。すなわち、第1のRF受信パス110と第2のRF受信パス120とは、同時にRF信号を出力することが無く、同じ時刻においてはいずれか一方からのみRF信号が出力される。なお、いずれのRF受信パスが動作するかは、デジタル処理部180により制御される。
【0022】
第1のRF受信パス110と第2のRF受信パス120の出力端がそれぞれ同相結合器132に接続される。同相結合器132は、動作中のRF受信パスから出力されたRF信号をRFバンドフィルタ134に入力する。このRFバンドパスフィルタ134は、入力されたRF信号からイメージなどの不要妨害波信号を除去するためのものである。
【0023】
RFバンドフィルタ134は、バンドパス処理をして得たRF信号を周波数変換部140に入力する。周波数変換部140は、入力されたRF信号に対して周波数変換を行ってIF信号を得てIFバンドパスフィルタ150に入力する。
【0024】
なお、RFバンドパスフィルタ134は、RF信号段とIF信号段との間に設けられているので、以下の説明において、それぞれのRF受信パスにおいてLNAの前に設けられたRFバンドパスフィルタと区別するためにRFバンドパスフィルタ134を段間フィルタという。
【0025】
IFバンドパスフィルタ150は、周波数変換部140からのIF信号に対してバンドパス処理を行い、処理後の信号を利得可変増幅器(VGAという)160に入力する。
【0026】
VGA160は、IFバンドパスフィルタ150から入力されたIF信号をデジタル信号に変換してデジタル処理部180に出力する。また、A/D変換器165とVGA160の間に、VGA160の利得を調整する利得調整部170が接続されている。
【0027】
デジタル処理部180は、A/D変換器165により得られたデジタル信号に対して航法メッセージの復調処理や、現在位置算出処理などを行い、処理の結果をヒューマンインターフェイス190に出力する。
【0028】
ヒューマンインターフェイス190は、ユーザが受信装置100に対して種々の入力をするためのデバイスや、デジタル処理部180の処理結果を視覚/聴覚的に再生する装置などを有する。ユーザが入力する情報としては、例えば、第1のRF受信パス110と第2のRF受信パス120のいずれのRF受信パスが対応する帯域のRF信号を受信するかを挙げることができる。
【0029】
リファレンス信号発振器185は、デジタル処理部180と、第2のRF受信パス120における中心周波数シフト部124と、周波数変換部140が用いる外部クロック(以下リファレンス信号という)を生成するものであり、これらの機能ブロックと接続され、リファレンス信号を提供する。
【0030】
デジタル処理部180は、A/D変換器165により得られたデジタル信号の処理以外に、他の機能ブロックの制御も行う。これらの制御の詳細については、以下各機能ブロックの具体的な動作と共に説明する。なお、図面が分かりやすいように、これらの制御のための制御信号、および制御信号を伝送する信号線の図示は、省略する。
【0031】
前述したように、第1のRF受信パス110と第2のRF受信パス120は、排他的に動作する。デジタル処理部180は、ヒューマンインターフェイス190を介してユーザが行った選択に従って、または2つの受信パスが交互に動作するように2つのRF受信パスを制御する。
【0032】
第1のRF受信パス110はGalileoのL1帯域の信号を受信するものであり、それに含まれるアンテナ111、RFバンドパスフィルタ112、LNA113は、この帯域に対応する。
【0033】
第2のRF受信パス120はGalileoのE5a帯域の信号を受信するものであり、それに含まれるアンテナ121、RFバンドパスフィルタ122、LNA123は、この帯域に対応する。
【0034】
すなわち、第1のRF受信パス110におけるLNA113から出力されるRF信号は、1575.42±2.046MHzの信号であり、第2のRF受信パス120におけるLNA123から出力されるRF信号は、1176.45±10.23MHzの信号である。
【0035】
第1のRF受信パス110におけるLNA113からのRF信号は直接同相結合器132に出力されるが、第2のRF受信パス120におけるLNA123からのRF信号は、中心周波数シフト部124により中心周波数がシフトされてから同相結合器132に出力される。
【0036】
第2のRF受信パス120における中心周波数シフト部124は、PLL(Phase Locked Loop)周波数シンセサイザ(以下単にPLLという)125と、例えばVCO(電圧制御発振器)となる局部発振器126と、ミキサ127を備え、LNA123から出力されるRF信号の中心周波数を1176.45MHzから、第1のRF受信パス110から出力されるRF信号の中心周波数(1575.42MHz)にシフトする。
【0037】
PLL125と局部発振器126は、リファレンス信号発振器185からのリファレンス信号に基づいて、LNA123からのRF信号の中心周波数をシフトするための局部信号を生成してミキサ127に入力する。ここで、局部発振器126からミキサ127に出力される局部信号の周波数は398.97MHzである。
【0038】
ミキサ127は、LNA123からのRF信号と、局部発振器126からの局部信号を乗算するものであり、それによって、LNA123からのRF信号の中心周波数は398.97MHz分上方にシフトされ、1575.42MHzになる。すなわち、中心周波数シフト部124は、LNA123からのRF信号の周波数を高くするアップコンバータである。
【0039】
同相結合器132を介して、動作中のRF受信パスからのRF信号が段間フィルタ134に入力される。段間フィルタ134は、RF受信パスからのRF信号に対して再度所望帯域外の妨害波を取り除くものであり、狭帯域のものが望まれる。
【0040】
第1のRF受信パス110からのRF信号と、第2のRF受信パス120からのRF信号は、中心周波数が共に1575.42MHzであるため、段間フィルタ134は、1575.42MHzに対応するものが用いられる。2つのRF受信パスのいずれからのRF信号の中心周波数も1575.42MHzであるため、段間フィルタ134としては、狭帯域のフィルタを用いることができる。
【0041】
周波数変換部140は、段間フィルタ134から出力されたRF信号をIF信号に変換するダウンコンバータであり、PLL141と、局部発振器142と、イメージリジェクションミキサ143を備える。PLL141と局部発振器142は、リファレンス信号発振器185からのリファレンス信号に基づいて、段間フィルタ134からのRF信号をIF信号に周波数変換するための局部信号を生成してイメージリジェクションミキサ143に入力する。ここで、局部発振器142からイメージリジェクションミキサ143に出力される局部信号の周波数は、段間フィルタ134からのRF信号の中心周波数と同様な1575.42MHzである。
【0042】
イメージリジェクションミキサ143は、段間フィルタ134からのRF信号と、局部発振器142からの局部信号と乗算してIF信号を得る。なお、この乗算により、段間フィルタ134からのRF信号に含まれるイメージ周波数の妨害波信号も取り除かれる。
【0043】
IFバンドパスフィルタ150は、ローパスフィルタであり、周波数変換部140からのIF信号から低域成分を取り出してVGA160に入力する。本実施の形態において、IFバンドパスフィルタ150は、中心周波数が1575.42MHzの信号に対応するものであり、そのバンド幅が±2MHzと±10MHz間で切替可能である。
【0044】
IFバンドパスフィルタ150のバンド幅の切替の制御は、デジタル処理部180により行われる。具体的に、第1のRF受信パス110の動作時には該受信パスが受信するRF信号のバンド幅に適合する±2MHzに、第2のRF受信パス120の動作時には該受信パスが受信するRF信号のバンド幅に適合する±10MHzになるように切り替えられる。
【0045】
IFバンドパスフィルタ150により得られた信号は、VGA160に入力され、VGA160により増幅された後にA/D変換器165によりA/D変換される。VGA160の利得は、利得調整部170により調整される。ここで利得調整部170の詳細については説明する。
【0046】
一般的に、無線信号の受信装置において、量子化器すなわちA/D変換器の有効ビット数が大きいほど量子化誤差が小さくなり、受信感度が高くなる。また、A/D変換器の有効ビット数は、A/D変換器の物理ビット数のみならず、アナログ信号処理回路の線形性や、A/D変換器に入力される信号の振幅にも影響される。アナログ信号処理回路の線形性が良いほど、最大有効ビット数はA/D変換器の物理ビット数に近づく。なお、A/D変換器の有効ビット数が入力される信号の振幅によって変わり、有効ビット数が最大になるような入力振幅を持つ信号が入力されたときの有効ビット数は最大有効ビット数という。
【0047】
GPSのL1帯域やGalileoのL1帯域の信号を受信する受信装置において、A/D変換器として物理ビット数が1ビットのものを用いることもあるが、受信感度を上げるために、2ビット以上の物理ビット数を有するA/D変換器を用いることが多い。本実施の形態の受信装置100においても、A/D変換器165は2ビット以上例えば4ビットの物理ビット数を有する。この場合、有効ビット数が4ビットに近づくようにA/D変換器に入力されるIF信号の線形性を保ち、IF信号における歪みを抑制することが求められる。
【0048】
ところで、実際の受信装置において、アンテナを介して取得されたRF信号のレベルが、受信装置が置かれた環境に大きく左右されるため、受信装置内に利得調整可能な増幅器を設けなければ、A/D変換器に入力されるIF信号の振幅が変動する。そのため、A/D変換器の有効ビット数が減少し、感度低下が起こる。すなわち、2ビット以上の物理ビット数を有するA/D変換器を使用された受信機では、最大感度を達成するために、利得調整部170の設置が必須である。
【0049】
利得調整部170は、IF信号の振幅の変動を吸収するために設けられたものであり、ここで図2を参照してその構成を説明する。
【0050】
本実施の形態における利得調整部170は、負帰還制御ループの手法を用いるものであり、図2に示すように、積分器171とコントロールロジック172を備える。コントロールロジック172は、A/D変換器165に入力されるIF信号の振幅の幾何平均が一定になるように、A/D変換器165からのデジタル信号をコーディングし、パルス幅が可変なデジタルAGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)信号を得て積分器171に出力する。
【0051】
積分器171は、コントロールロジック172からのデジタルAGC信号を積分することによって平滑化し、DC(直流)コントロール信号としてVGA160の利得制御端子(図示せず)に入力する。
【0052】
利得調整部170によって、A/D変換器165に入力されるIF信号の振幅は、A/D変換器の有効ビット数が最大ビット数になるように制御される。そのため、良い受信感度を得ることができる。
【0053】
図1に戻る。A/D変換器165により得られたデジタル信号がデジタル処理部180に出力される。なお、デジタル処理部180による航法メッセージの復調などの詳細説明は、ここで省略する。
【0054】
このように、本実施の形態の受信装置100において、GalileoのE5a帯域のEF信号を受信する第2のRF受信パス120は、受信したRF信号の中心周波数を、第1のRF受信パス110により受信されるRF信号(GalileoのL1帯域信号)の中心周波数1575.42MHzに上方シフトする中心周波数シフト部124を備えることによって、1つの段間フィルタ134で、中心周波数が異なる2つのRF信号に対応することができる。また、いずれのRF受信パスからのRF信号の中心周波数も同じ周波数になるため、段間フィルタ134として、妨害波の除去に十分な狭帯域幅(ここではバンド幅が上記2つのRF信号の帯域幅をカバーできる±10MHz)のRFバンドパスフィルタ、例えばSAWフィルタなどを用いることができ、イメージ信号などの妨害波を有効に除去することができる。すなわち、妨害波の除去効果を保ちつつ、RFバンドパスフィルタの個数を減らすことによって受信装置の小規模化を実現でき、携帯電話機に実装されるものとしても高品質な受信が可能となる。
【0055】
また、受信する衛星測位用信号を切り替える際に、RF受信パスの切替えと、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅のみを切り替えればよいので、制御ひいては装置の構成が簡単である。
【0056】
本実施の形態の受信装置100において、例として中心周波数も帯域幅も大きく異なる2つの衛星測位用信号に対応するために、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅をそれぞれの衛星測位用信号の帯域幅に合わせて切替えているが、中心周波数が異なっても、帯域幅が略同じまたは差が小さい2つの衛星測位用信号の場合には、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅を切り替える必要が無いため、制御がより簡単になる。なお、帯域幅の差小さい2つの衛星測位用信号の場合には、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅を、大きい方の帯域幅に合わせればよい。
【0057】
また、本実施の形態の受信装置100において、RF受信パスからのRF信号の中心周波数を合わせることによって、周波数変換部140も1つで対応でき、受信装置をより小規模化することができる。
【0058】
以上の説明において、分かりやすいように、2つのRF受信パスがそれぞれ1種類の衛星測位用信号のみを受信するようにしているが、同じ中心周波数を有する複数の衛星測位用信号を同じRF受信パスで受信してもよい。例えば、第1のRF受信パス110は、GalileoのL1帯域信号以外に、同じ中心周波数を有するGPSのL1帯域信号を受信してもよく、第2のRF受信パス120は、GalileoのE5a帯域信号以外に、同じ中心周波数を有するGPSのL5C帯域信号を受信してもよい。
【0059】
GPSのL1帯域信号は1575.42±1.023MHzの信号であるため、それを受信する際には、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅を±1MHzに切り替えればよい。さらに、±2MHzと±1MHzの差が小さいため、GPSのL1帯域信号の受信時に、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅をGalileoのL1帯域信号のための±2MHzに切り替えるようにしてもよい。こうすることによって、IFバンドパスフィルタ150のバンド幅を±2MHzと±10MHzの間で切替えればよいので、制御が簡単である。
【0060】
本実施の形態の受信装置100において、第2のRF受信パス120では、受信するRF信号の周波数を第1のRF受信パス110により受信されるRF信号の中心周波数にシフトし、第1のRF受信パス110により受信されるRF信号の中心周波数を基準周波数としている。こうすることによって、第1のRF受信パス110には、RF信号の中心周波数にシフトする中心周波数シフト部を備える必要が無いので、装置の規模を抑制できる。例えば、段間フィルタ134および周波数変換部140を、所定の基準周波数に対応するものにし、各RF受信パスに、それぞれのRF信号の中心周波数をこの基準周波数にシフトする中心周波数シフト部を備えるようにしてもよい。
【0061】
さらに、わかり易いように、本実施の形態の受信装置100は、中心周波数の異なる2つの衛星測位用信号に対応するものであるが、中心周波数の異なる3つ以上の衛星測位用信号に対応する受信装置に、本発明の技術を適用してもよく、またその場合においても、受信装置100と同じ効果を得ることができる。
【0062】
<第2の実施の形態>
図3は、本発明の第2の実施の形態にかかる受信装置200を示す。この受信装置200は、利得調整部270が図1に示す受信装置100における利得調整部170と異なる点を除き、他の各機能ブロックは同じである。そのため、図2において、図1に示す受信装置100のものと同様の構成または機能を有する部分に対して同一の符号を付与すると共に、これらの部分に対する説明を省略する。
【0063】
ここで図4を参照して、図2に示す受信装置200における利得調整部270を説明する。
【0064】
利得調整部270は、受信装置100における利得調整部170と同じように負帰還制御ループの手法を用いてVGA160の利得を調整するものであり、図4に示すように、コントロールロジック272と、積分器271と、状態保存部273を備える。コントロールロジック272と積分器271は、受信装置100におけるコントロールロジック172と積分器171とそれぞれ同様に動作する。
【0065】
積分器271は、コントロールロジック272からのデジタルAGC信号を積分することによって平滑化し、DCコントロール信号としてVGA160の利得制御端子に入力する。ところで、このようなAGCコントロールループの動作開始から安定するまで、積分器271の時定数以上の時間がかかる。本実施の形態の受信装置200のように、複数の種類の衛星測位用信号を切替えて受信する場合に、1つの種類の衛星測位用信号から別種類の衛星測位用信号の受信に切り替える際に、利得調整部170では、AGCコントロールループが安定するまで時間がかかるため、ループが安定するまで待機する事態になり得る。これは、無駄な電力消費と効率の悪化につながる。
【0066】
受信装置200における利得調整部270の状態保存部273は、この問題を解決するために設けられたものである。図4に示すように、状態保存部273は、A/D変換器274と、書込部275と、レジスタ276と、読出部277と、D/A変換器278を備え、デジタル処理部180により制御される。
【0067】
デジタル処理部180は、RF受信パスを切り替えるのに際し、切替直前のAGCコントロールの状態(具体的には積分器271から出力されているDCコントロール信号)の保存を状態保存部273に行わせる。状態保存部273において、デジタル処理部180から「状態保存」を示す制御信号を受信すると、A/D変換器274は積分器271から出力されているDCコントロール信号をデジタル信号に変換し、書込部275はこのデジタル信号をレジスタ276に書き込む。そして、RF受信パスの切替後、読出部277はレジスタ276から当該デジタル信号を読出し、D/A変換器278は読出部277により読み出されたデジタル信号をアナログ信号に変換してVGA160の利得制御端子に印加する。なお、デジタル処理部180に制御により、印加時には、元のAGCコントロールループがオープンにされる一方、印加後は、状態保存部273とVGA160の利得制御端子の接続が切断され、AGCコントロールループがクローズドされる。
【0068】
本第2の実施の形態の受信装置200は、第1の実施の形態の受信装置100と同じ効果を得ることができると共に、上記のような状態保存部273を利得調整部270に設けることにより、RF受信バスの切替時に、利得調整部270におけるAGCコントロールループが迅速に安定することができる。そのため、受信する信号の切り替えに起因する時間のロスを削減でき、ひいては消費電力を抑制し、受信効率を高めることができる。
【0069】
<第3の実施の形態>
図5は、本発明の第3の実施の形態にかかる受信装置300を示す。この受信装置300は、中心周波数が異なる3つの衛星測位用信号を切り換えて受信可能なものであり、第1のRF受信パス310、第2のRF受信パス320、同相結合器332、段間フィルタ334、周波数変換部340、IFバンドパスフィルタ350、VGA360、A/D変換器365、利得調整部370、デジタル処理部380、リファレンス信号発振器385、ヒューマンインターフェイス390を備える。
【0070】
本実施の形態の受信装置300は、GalileoのL1帯域(中心周波数:1575.42MHz、帯域幅:±2.046MHz)、GPSのL5C帯域(中心周波数:1176.45MHz、帯域幅:±10.23MHz)、およびGalileoのE5b帯域(中心周波数:1207.14MHz、帯域幅:±10.23MHz)を受信対象とする。
【0071】
第1のRF受信パス310は、GalileoのL1帯域の信号を受信するものであり、該帯域のRF信号を取得するアンテナ311、アンテナ311により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここでGalileoのL1帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ312、RFバンドパスフィルタ312から出力されたRF信号を増幅するLNA(低雑音増幅アンプ)313を有する。
【0072】
第2のRF受信パス320は、GPSのL5C帯域とGalileoのE5b帯域を受信するものであり、この2つの帯域のRF信号を取得可能なアンテナ321、アンテナ321により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここではGPSのL5C帯域とGalileoのE5b帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ322、RFバンドパスフィルタ322から出力されたRF信号を増幅するLNA323、LNA323から出力されたRF信号に対して中心周波数のシフトを行う中心周波数シフト部324を有する。なお、第1のRF受信パス310と第2のRF受信パス320により受信される3つの衛星測位用信号の周波数帯域を図6の上部に示している。
【0073】
第1のRF受信パス310におけるLNA313、第2のRF受信パス320におけるLNA323および中心周波数シフト部324は、排他的に動作する。すなわち、第1のRF受信パス310と第2のRF受信パス320は、同時にRF信号を出力することが無く、同じ時刻においてはいずれか一方からのみRF信号が出力される。なお、いずれのRF受信パスが動作するかは、デジタル処理部380により制御される。
【0074】
ここで、第2のRF受信パス320における中心周波数シフト部324を説明する。中心周波数シフト部324は、PLL325と、局部発振器326と、ミキサ327を備える。
【0075】
PLL325と局部発振器326は、リファレンス信号発振器385からのリファレンス信号に基づいて、LNA323からのRF信号の中心周波数をシフトするための局部信号を生成してミキサ327に出力する。局部発振器326からミキサ327に出力される局部信号は、LNA323から出力されるRF信号と同相であり、周波数が398.97MHzである。
【0076】
ずなわち、中心周波数シフト部324は、アップコンバータであり、それにより、LNA323から出力されたRF信号の中心周波数は、398.97MHz分上方にシフトされる。
【0077】
前述したように、第2のRF受信パス320は、GPSのL5C帯域とGalileoのE5b帯域の信号を受信するものであり、それによって、GPSのL5C帯域の信号の中心周波数は1176.45MHzから1575.42MHzにシフトされ、GalileoのE5b帯域の信号の中心周波数は1207.14MHzから1606.11MHzにシフトされる。すなわち、第2のRF受信パス320から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzと1606.11MHzであり、それらの中心周波数の平均値は1590.765MHzとなる。なお、第1のRF受信パス310と第2のRF受信パス320から出力される各RF信号の周波数帯域は、図6の下部に示されている。
【0078】
第1のRF受信パス310と第2のRF受信パス320の出力端がそれぞれ同相結合器332に接続される。同相結合器332は、動作中のRF受信パスから出力されたRF信号を段間フィルタ334に入力する。
【0079】
段間フィルタ334は、RF受信パスからのRF信号に対して再度所望帯域該の妨害波を取り除くものであり、前述したように、狭帯域のものが望まれる。本実施の形態において、第1のRF受信パス310から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzであり、第2のRF受信パス320から出力されるRF信号の中心周波数は、1575.42MHzと1606.11MHzであり、高い方の中心周波数と低い方の中心周波数間の差が僅か30.69MHzである。そのため、段間フィルタ334としては、狭帯域のフィルタを用いることができる。
【0080】
段間フィルタ334は、バンドパス処理をして得たRF信号を周波数変換部340に入力する。周波数変換部340は、段間フィルタ334から出力されたRF信号をIF信号に変換するダウンコンバータであり、PLL341と、局部発振器342と、イメージリジェクションミキサ343を備える。PLL341と局部発振器342は、リファレンス信号発振器385からのリファレンス信号に基づいて、段間フィルタ334からのRF信号をIF信号に周波数変換するための局部信号を生成してイメージリジェクションミキサ343に入力する。ここで、局部発振器342からイメージリジェクションミキサ343に出力される局部信号の周波数は1590.765MHzである。この周波数は、第2のRF受信パス320から出力される2つのRF信号の中心周波数の平均値と同じである。
【0081】
本実施の形態の受信装置300において、周波数変換部340のイメージリジェクションミキサ343は、局部発振器342からの局部信号の上部サイドと下部サイドのいずれを使用するかが切替え可能に構成されている。この切替も、デジタル処理部380により制御される。
【0082】
前述したように、第1のRF受信パス310から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzであり、第2のRF受信パス320から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzと1606.11MHzである。イメージリジェクションミキサ343を上部サイドに設定すれば、1606.11MHzのRF信号は16.345MHzのIF信号に変換され、イメージリジェクションミキサ343を下部サイドに設定すれば、1575.42MHzのRF信号も16.345MHzに変換される。
【0083】
デジタル処理部380は、いずれの衛星測位用信号を受信するかに応じて、下記のように2つのRF受信パスおよびイメージリジェクションミキサ343を制御する:
A.GalileoのL1帯域の受信時:第1のRF受信パス310を動作させるとともに、イメージリジェクションミキサ343を下部サイドに設定する。
【0084】
B.GPSのL5C帯域の受信時:第2のRF受信パス320を動作させるとともに、イメージリジェクションミキサ343を下部サイドに設定する。
【0085】
C.GalileoのE5b帯域の受信時:第2のRF受信パス320を動作させるとともに、イメージリジェクションミキサ343を上部サイドに設定する。
【0086】
このような構成にすることによって、GalileoのL1帯域、GPSのL5C帯域、GalileoのE5b帯域の3つの信号のうちのいずれを受信する場合においても、同じイメージリジェクションミキサ343を用いることができる。
【0087】
また、イメージリジェクションミキサ343から出力されるIF信号は、いずれの帯域のRF信号の場合においても、15.345MHzの信号となるため、IFバンドパスフィルタ350としては同じものを用いることができる。
【0088】
IFバンドパスフィルタ350は15.345MHzに対応するものであり、そのバンド幅は、デジタル処理部380により、受信するRF信号の帯域幅に応じて±2MHzと±10MHz間で切り替えられる。
【0089】
なお、IF信号処理段を構成するVGA360、A/D変換器365、利得調整部370、およびリファレンス信号発振器385、ヒューマンインターフェイス390の詳細については、受信装置100における相対応する機能ブロックと同様であるので、ここで説明を省略する。
【0090】
このように、本第3の実施の形態の受信装置300において、第2のRF受信パス320は2つの帯域の信号を受信するとともに、受信した2つのRF信号の中心周波数が周波数変換部340の局部信号の両側に分布するようにRF信号の周波数を上方にシフトする。デジタル処理部380は、この2つの衛星測位用信号のいずれを受信するかによってイメージリジェクションミキサ343を上部サイドか下部サイドに設定する。こうすることによって、一方例えばGalileoのE5b帯域の信号を受信する際に、他方ここではGPSのL5C帯域の信号は妨害波信号として抑制される。GPSのL5C帯域の信号を受信する際においても同様に、GalileoのE5b帯域の信号は妨害波信号として抑制される。
【0091】
すなわち、受信装置の耐妨害波能力を保ちながら、中心周波数が異なるもののそれほど大きく離れていない2つの衛星測位用信号を1つのRF受信パスで切り替えて受信することができる。
【0092】
また、1つの段間フィルタ334で中心周波数が異なる複数の衛星測位用信号を受信できるなどの効果は、受信装置100と同様である。
【0093】
ここで、説明が分かりやすいように、第1のRF受信パス310がGalileoのL1帯域の信号のみを受信するものとして説明したが、GalileoのL1帯域と中心周波数が同じであるGPSのL1帯域の信号も受信するものとすることができる。第2のRF受信パス320についても同じであり、GPSのL5C帯域と中心周波数が同じであるGalileoのE5a帯域の受信するものとすることができる。すなわち、受信装置300によって、小さな装置規模で5つの衛星測位用信号を受信することができる。
【0094】
<第4の実施の形態>
図7は、本発明の第4の実施の形態にかかる受信装置400を示す。この受信装置400は、第3の実施の形態の受信装置300を、GPSのすべての帯域の衛星測位用信号と、Galileoの全ての帯域の衛星測位用信号を受信することに適用したものであり、2つのRF受信パスを有し、その第2のRF受信パス420が受信装置300における第2のRF受信パス320と異なる点、およびデジタル処理部480が行う制御と受信装置300におけるデジタル処理部380が行う制御と一部異なる点を除き、他の各機能ブロックは、受信装置300における相対応する部分と同じである。そのため、図7において、図5に示す受信装置300のものと同様の構成または機能を有する部分に対して同一の符号を付与すると共に、これらの部分に対する説明を省略する。
【0095】
ここでまず、GPSとGalileoの帯域の信号の中心周波数に注目してみる。GPSのL1帯域とGalileoのL1帯域の中心周波数は1575.42MHzであり、他の帯域の信号の中心周波数は1176.45MHz〜1278.6MHzの範囲にある。前者を第1のグループとし、後者を第2のグループとする。本第4の実施の形態の受信装置400は、受信装置300の第1のRF受信パス310と同じRF受信パスで第1のグループの各信号を受信し、もう1つのRF受信パスすなわち第2のRF受信パス420で第2のグループの各信号を受信する。
【0096】
第2のRF受信パス420は、第2のグループの各信号を取得可能なアンテナ421、アンテナ421により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここで第2グループの全ての信号の帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ422、RFバンドパスフィルタ422から出力されたRF信号を増幅するLNA423、LNA423から出力されたRF信号に対して中心周波数のシフトを行う中心周波数シフト部424を有する。
【0097】
第1のRF受信パス310におけるLNA313、第2のRF受信パス420におけるLNA423および中心周波数シフト部424は、排他的に動作する。すなわち、第1のRF受信パス310と第2のRF受信パス420は、同時にRF信号を出力することが無く、同じ時刻においてはいずれか一方からのみRF信号が出力される。なお、いずれのRF受信パスが動作するかは、デジタル処理部480により制御される。さらに、第2のRF受信パス420は、中心周波数が異なる複数のRF信号を切り替えて受信するものであり、これらの複数のRF信号のうちのいずれを受信するかもデジタル処理部480により制御される。
【0098】
受信装置300の説明時に述べたように、周波数変換部340のイメージリジェクションミキサ343は、局部発振器342からの局部信号の上部サイドと下部サイドを切替えて使用可能に構成されている。この切替は、デジタル処理部480により制御される。
【0099】
第2のRF受信パス420における中心周波数シフト部424は、PLL425と、局部発振器426と、ミキサ427を備え、受信したRF信号の中心周波数を周波数変換部340におけるイメージリジェクションミキサ343の上部サイドまたは下部サイドに一致するようにシフトする。このシフトは、デジタル処理部480により、受信するRF信号の種類に応じて、PLL425と局部発振器426により生成される局部信号の周波数を変更させることによって制御される。
【0100】
デジタル処理部480は、第2のRF受信パス420から出力されるRF信号の中心周波数が、周波数変換部340の局部信号の周波数1590.765MHzの両側に分布するようにPLL425と局部発振器426による局部信号の生成を制御する。具体的には下記のように制御する。
【0101】
A.GPSのL5C(中心周波数:1176.45MHz)、GalileoのE5a(中心周波数:1176.45MHz)、GalileoのE5b(中心周波数:1207.14MHz)のいずれを受信するとき:398.97MHzの局部信号を生成させる。
【0102】
これにより、GPSのL5CとGalileoのE5aのRF信号の中心周波数は1575.42MHzにシフトされ、GalileoのE5bのRF信号の中心周波数は1606.11MHzにシフトされる。
【0103】
B.GPSのL2C(中心周波数:1227.6MHz)を受信するとき:347.82MHzの局部信号を生成させる。
【0104】
これにより、GPSのL2CのRF信号の中心周波数は1575.42MHzにシフトされる。
【0105】
C.GalileoのE6(中心周波数:1278.75MHz)を受信するとき:296.97MHzの局部信号を生成させる。
【0106】
これにより、GalileoのE6のRF信号の中心周波数は1575.72MHzにシフトされる。
【0107】
このような構成によって、受信装置400における第1のRF受信パス310から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzであり、第2のRF受信パス420から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzか1606.11MHzのいずれかであり、差が小さい。そのため、狭帯域の段間フィルタ334を用いることができる。
【0108】
デジタル処理部480によるイメージリジェクションミキサ343およびIFバンドパスフィルタ350の制御は、ここで省略する。
【0109】
このように、本実施の形態の受信装置400は、GPSとGalileoのすべての帯域の信号を小規模な装置で切替えて受信可能になる。
【0110】
<第5の実施の形態>
図8は、本発明の第5の実施の形態にかかる受信装置500を示す。受信装置500は、第3の実施の形態の受信装置300と同じように、中心周波数が異なる3つ衛星測位用信号(GalileoのL1帯域、GPSのL5C帯域、GalileoのE5b帯域)を切替えて受信するものであり、第1のRF受信パス510、第2のRF受信パス520、同相結合器532、段間フィルタ534、周波数変換部540、周波数変換部540、VGA560、利得調整部570、デジタル処理部580、リファレンス信号発振器585、ヒューマンインターフェイス590を備える。
【0111】
第1のRF受信パス510は、GalileoのL1帯域の信号を受信するものであり、該帯域のRF信号を取得するアンテナ511、アンテナ511により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここでGalileoのL1帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ512、RFバンドパスフィルタ512から出力されたRF信号を増幅するLNA513を有する。
【0112】
第2のRF受信パス520は、GPSのL5C帯域とGalileoのE5b帯域を受信するものであり、この2つの帯域のRF信号を取得可能なアンテナ521、アンテナ521により取得したRF信号に対してバンドパス処理を行って所望帯域(ここではGPSのL5C帯域とGalileoのE5b帯域)以外の妨害波信号を除去するRFバンドパスフィルタ522、RFバンドパスフィルタ522から出力されたRF信号を増幅するLNA523、LNA523から出力されたRF信号に対して中心周波数のシフトを行う中心周波数シフト部524を有する。なお、第1のRF受信パス510と第2のRF受信パス520により受信される3つの衛星測位用信号の周波数帯域を図9の上部に示している。
【0113】
第1のRF受信パス510におけるLNA513、第2のRF受信パス520におけるLNA523および中心周波数シフト部524は、排他的に動作する。すなわち、第1のRF受信パス510と第2のRF受信パス520は、同時にRF信号を出力することが無く、同じ時刻においてはいずれか一方からのみRF信号が出力される。なお、いずれのRF受信パスが動作するかは、デジタル処理部580により制御される。
【0114】
ここで、第2のRF受信パス520における中心周波数シフト部524を説明する。中心周波数シフト部524は、分周器525とミキサ527を備える。
【0115】
分周器525は、後述する周波数変換部540における局部発振器542からの信号を分周し、中心周波数をシフトするための局部信号を得てミキサ527に供する。詳細については後述するが、局部発振器542の発振周波数が3120MHzに固定されており、分周器525の分周数が144/17に固定されているため、分周器525からミキサ527に供される局部信号の周波数は約368.33MHzである。
【0116】
ミキサ527は、分周器525から供される局部信号とLNA523からのRF信号を乗算することによって、LNA523からのRF信号の中心周波数を368.33分上方にシフトする。
【0117】
前述したように、第2のRF受信パス520は、GPSのL5C帯域とGalileoのE5b帯域の信号を受信するものである。GPSのL5C帯域の信号を受信する際に、中心周波数シフト部524はその中心周波数を1176.45MHzから1544.78MHzにシフトする。また、GalileoのE5b帯域の信号を受信する際に、中心周波数シフト部524はその中心周波数を1575.47MHzにシフトする。すなわち、第2のRF受信パス520から出力されるRF信号の中心周波数は1544.78MHzまたは1575.47MHzである。
【0118】
図9の下部には、第1のRF受信パス510と第2のRF受信パス520から出力される各RF信号の周波数帯域が示されている。
【0119】
第1のRF受信パス510と第2のRF受信パス520の出力端がそれぞれ同相結合器532に接続される。同相結合器532は、動作中のRF受信パスから出力されたRF信号を段間フィルタ534に入力する。
【0120】
図9の下部に示すように、第1のRF受信パス510から出力されるRF信号の中心周波数は1575.42MHzであり、第2のRF受信パス520から出力されるRF信号の中心周波数は、1544.78MHzと1575.47MHzであり、高い方の中心周波数と低い方の中心周波数間の差が僅か20.69MHzである。そのため、段間フィルタ534としては、狭帯域のフィルタを用いることができる。
【0121】
段間フィルタ534は、バンドパス処理をして得たRF信号を周波数変換部540に入力する。周波数変換部540は、段間フィルタ534から出力されたRF信号をIF信号に変換するダウンコンバータであり、PLL600と、局部発振器542と、イメージリジェクションミキサ543を備える。PLL541と局部発振器542は、リファレンス信号発振器585からのリファレンス信号に基づいて、段間フィルタ534からのRF信号をIF信号に周波数変換するための局部信号を生成してイメージリジェクションミキサ543に入力する。
【0122】
PLL600は、分周器610、PD&CP620、ループフィルタ630、分周器640、分周器650を有する。分周器610は、リファレンス信号発振器585からのリファレンス信号を分周してPD&CP(PD:Phase Dector、CP:Charge Pump)620に入力し、PD&CP620は、分周器610と分周器650からの信号の位相差を検出すると共に、検出した位相差に応じたパルス幅を有する信号を出力する。ループフィルタ630は、PD&CP620からの信号のパルス幅に応じた直流電圧を生成して局部発振器542に入力する。局部発振器542は、電圧制御発振器であり、ループフィルタ630からの直流電圧に応じた周波数の信号を生成して分周器640、および中心周波数シフト部524における分周器525に出力する。分周器640は、局部発振器542からの信号を2分周して、局部発振器542の発振周波数の半分の周波数の局部信号を得る。また、分周器640は、局部信号として、周波数が同様で、相対位相差が0度、90度、180度、270度の4相の信号を生成する。
【0123】
本実施の形態の受信装置500において、デジタル処理部580は、局部発振器542の発振周波数が3120MHzに固定されるようにPLL600を制御する。そのために、リファレンス信号発振器585により生成されるリファレンス信号の周波数が13MHzの1倍、または2倍または4倍とされている。また、分周器640により得られて周波数変換部540に入力される局部信号の周波数が1650MHzとなる。
【0124】
第1のRF受信パス510または第2のRF受信パス520から出力されたRF信号は、同相結合器532を介して段間フィルタ534に入力され、段間フィルタ534によりバイパス処理が施されて周波数変換部540に入力される。周波数変換部540におけるイメージリジェクションミキサ543は、分周器640からの局部信号の上部サイドと下部サイドのいずれかを用いて、段間フィルタ534からのRF信号をIF信号に変換する。イメージリジェクションミキサ543が局部信号の上部サイドと下部サイドのいずれを用いるかは、デジタル処理部580によりRF信号の種類に応じて切替えられる。具体的には、段間フィルタ534からRF信号が分周器640からの局部信号の周波数1650MHzより低い場合(ここではGPSのL5Cを受信する場合)には下部サイドを用い、1650MHzより高い場合(ここではGalileoのL1またはE5bを受信する場合)には上部サイドを用いる。
【0125】
このような構成によって、第2のRF受信パス520が動作し、GPSのL5C帯域の信号を受信する際に、段間フィルタ534から出力されるRF信号の中心周波数が1544.78MHzとなる。周波数変換部540のイメージリジェクションミキサ543は、分周器640からの局部信号の下部サイドを用いてこのRF信号をIF信号に変換するため、周波数変換部540から出力されるIF信号の中心周波数が15.22MHzとなる。
【0126】
また、第2のRF受信パス520が動作し、GalileoのE5b帯域の信号を受信する際に、段間フィルタ534から出力されるRF信号の中心周波数が1575.47MHzとなる。イメージリジェクションミキサ543は、分周器640からの局部信号の上部サイドを用いてこのRF信号をIF信号に変換した結果、中心周波数が15.47MHzのIF信号が得られる。
【0127】
また、第1のRF受信パス510が動作し、GalileoのL1帯域の信号を受信する際に、段間フィルタ534から出力されるRF信号の中心周波数が175.42MHzとなる。イメージリジェクションミキサ543は、分周器640からの局部信号の上部サイドを用いてこのRF信号をIF信号に変換した結果、中心周波数が15.45MHzのIF信号が得られる。
【0128】
すなわち、3つの衛星測位用信号に対して、周波数変換部540により得られるIF信号の中心周波数はそれぞれ15.22MHz、15.45MHz、15.47MHzである。これらのIF信号の中心周波数の差が僅かであるため、IFバンドパスフィルタ550として同じものを用いることができる。
【0129】
なお、3つのIF信号の中心周波数の差が僅かであるため、後にデジタル処理部580においてデジタル信号処理時にリサンプラーを用いれば容易に対応することができる。
【0130】
IFバンドパスフィルタ550、VGA560、A/D変換器565、利得調整部570、ヒューマンインターフェイス590は、受信装置100〜受信装置400のいずれにおける相対応するものと同じ構成および機能を有するので、ここで詳細な説明を省略する。
【0131】
このように本実施の形態の受信装置500によれば、第3の実施の形態の受信装置300と同じ効果を得ることができると共に、分周器525とミキサ527のみで中心周波数シフト部524を構成しているため、より装置の小規模化を図ることができる。
【0132】
上記各実施の形態の受信装置は、中心周波数が異なる複数のRF信号を受信する際に、フィルタの数を減らすことができるため、装置の小規模化を図ることができる。また、RF受信パスにおけるRFアンプの後のRFフィルタを狭帯域のフィルタを用いることができるので、携帯電話機のようなど大パワー送信を行う場合もある通信機器に搭載する場合にも高い耐妨害波能力を発揮できる。
【0133】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、さまざまな変更、増減、各実施の形態の要素の組合せなどをしてもよい。これらの変更、増減、組合せがなされた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる受信装置を示す図である。
【図2】図1に示す受信装置における利得調整部を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる受信装置を示す図である。
【図4】図2に示す受信装置における利得調整部を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる受信装置を示す図である。
【図6】図5に示す受信装置における第2のRF受信パスの動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態にかかる受信装置を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態にかかる受信装置を示す図である。
【図9】図8に示す受信装置における第2のRF受信パスの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0135】
100 受信装置 110 第1のRF受信パス
111 アンテナ 112 RFバンドパスフィルタ
113 LNA 120 第2のRF受信パス
121 アンテナ 122 RFバンドパスフィルタ
123 LNA 124 中心周波数シフト部
125 PLL 126 局部発振器
127 ミキサ 132 同相結合器
134 段間フィルタ 140 周波数変換部
141 PLL 142 局部発振器
143 イメージリジェクションミキサ 150 IFバンドパスフィルタ
160 VGA 165 A/D変換器
170 利得調整部 171 積分器
172 コントロールロジック 180 デジタル処理部
185 リファレンス信号発振器 190 ヒューマンインターフェイス
200 受信装置 270 利得調整部
271 積分器 272 コントロールロジック
273 状態保存部 274 A/D変換器
275 書込部 276 レジスタ
277 読出部 278 D/A変換器
300 受信装置 310 第1のRF受信パス
311 アンテナ 312 RFバンドパスフィルタ
313 LNA 320 第2のRF受信パス
321 アンテナ 322 RFバンドパスフィルタ
323 LNA 324 中心周波数シフト部
325 PLL 326 局部発振器
327 ミキサ 332 同相結合器
334 段間フィルタ 340 周波数変換部
341 PLL 342 局部発振器
343 イメージリジェクションミキサ 350 IFバンドパスフィルタ
360 VGA 365 A/D変換器
370 利得調整部 380 デジタル処理部
385 リファレンス信号発振器 390 ヒューマンインターフェイス
400 受信装置 420 第2のRF受信パス
421 アンテナ 422 RFバンドパスフィルタ
423 LNA 424 中心周波数シフト部
425 PLL 426 局部発振器
427 ミキサ 480 デジタル処理部
500 受信装置 510 第1のRF受信パス
511 アンテナ 512 RFバンドパスフィルタ
513 LNA 520 第2のRF受信パス
521 アンテナ 522 RFバンドパスフィルタ
523 LNA 524 中心周波数シフト部
525 分周器 527 ミキサ
532 同相結合器 534 段間フィルタ
540 周波数変換部 542 局部発振器
543 イメージリジェクションミキサ 550 IFバンドパスフィルタ
560 VGA 565 A/D変換器
570 利得調整部 580 デジタル処理部
585 リファレンス信号発振器 590 ヒューマンインターフェイス
600 PLL 610 分周器
620 PD&CP 630 ループフィルタ
640 分周器 650 分周器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り替えて動作する複数のRF受信パスと、
該複数のRF受信パスと接続され、動作中のRF受信パスから出力されたRF信号に対して所定の帯域のみを通過するRFバンドパスフィルタと、
該RFバンドパスフィルタから出力された信号をIF信号に変換する周波数変換部を備え、
前記複数のRF受信パスのうちの、前記所定の帯域外のRF信号を受信するRF受信パスは、受信したRF信号に対して、前記RFバンドパスフィルタの前記所定の帯域に含まれるように中心周波数のシフトを行う中心周波数シフト部を有することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記複数のRF受信パスは、中心周波数が異なる複数のRF信号をそれぞれ受信するものであり、
前記所定の帯域は、所定の基準周波数を中心とする帯域であり、
前記中心周波数シフト部は、受信したRF信号の中心周波数を前記基準周波数にシフトすることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記基準周波数は、前記複数のRF受信パスのうちのいずれか1つにより受信されるRF信号の中心周波数であることを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記周波数変換部により得られたIF信号に対して所定の帯域のみを通過するIFバンドパスフィルタをさらに備え、
該IFバンドパスフィルタは、受信したRF信号の帯域幅に応じてバンド幅が切替え可能に構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記中心周波数シフト部を有するRF受信パスは、中心周波数が互いに異なる複数のRF信号であって、前記シフトによって前記所定の帯域に含まれるようになる前記複数のRF信号を切替えて受信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
前記周波数変換部は、前記RFバンドパスフィルタから出力された信号と、周波数変換用局部信号とを乗算するミキサを備え、
該ミキサは、前記RFバンドパスフィルタから出力された信号の中心周波数が前記周波数変換用局部信号の周波数より高いときに前記周波数変換用局部信号の上部サイドを用い、前記RFバンドパスフィルタから出力された信号の中心周波数が前記周波数変換用局部信号の周波数より低いときに前記周波数変換用局部信号の下部サイドを用いるように、周波数変換用局部信号の上部サイドと下部サイドのいずれを用いるかが切替え可能に構成されていることを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記中心周波数シフト部は、
中心周波数シフト用局部信号を生成するシフト用局部信号生成部と、
該シフト用局部信号生成部により生成された中心周波数シフト用局部信号を、受信したRF信号に乗算するミキサとを備え、
前記シフト用局部信号生成部は、前記シフトがなされた後の前記複数のRF信号の中心周波数が前記周波数変換用局部信号の周波数の両側に分布するように、前記複数のRF信号のそれぞれの中心周波数に応じた中心周波数シフト用局部信号を生成可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記シフト用局部信号生成部は、
PLL(Phase Locked Loop)回路と、
電圧制御発振器とを備えることを特徴とする請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記中心周波数シフト部は、
中心周波数シフト用局部信号を生成するシフト用局部信号生成部と、
該シフト用局部信号生成部により生成された中心周波数シフト用局部信号を、受信したRF信号に乗算するミキサとを備え、
前記周波数変換部は、周波数変換用の局部信号を生成する周波数変換用局部信号生成部と、
該周波数変換用局部信号生成部により生成された周波数変換用局部信号を、前記RFバンドパスフィルタからの信号に乗算するミキサとを備え、
前記周波数変換用局部信号生成部は、
PLL(Phase Locked Loop)回路と、
電圧制御発振器とを有し、
前記シフト用局部信号生成部は、前記周波数変換用局部信号生成部における前記電圧制御発振器からの信号を分周する分周器であることを特徴とする請求項5または6に記載の受信装置。
【請求項10】
前記IF信号を増幅する利得可変増幅器と、
該利得可変増幅により得られた信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、
該A/D変換器の出力に応じた制御値を前記利得可変増幅器の利得制御端子に印加する負帰還制御ループ式の利得調整部とをさらに備え、
該利得調整部は、受信するRF信号の切替えがなされる際に、前記制御値を記憶し、前記切替えがなされた後に前記制御値を読み出して前記利得制御端子に印加する状態保存部を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−177954(P2008−177954A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10735(P2007−10735)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】