説明

口腔用殺菌剤

【課題】従来の口腔用殺菌剤では得られなかった優れた持続効果を得ると共に金属に対する腐食防止効果をも兼ね備えた性能を得る。
【解決手段】クエン酸に塩化セチルピリジニウム及び酸化防止剤を配合し、それをpHが2〜7の水溶液として使用する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クエン酸に塩化セチルピリジニウム及び酸化防止剤を配合した口腔用殺菌剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化セチルピリジニウムを配合した口腔用組成物が知られている。(特許文献1)また、金属の腐食を防止する成分を配合した抗菌剤や洗浄剤が提案されている(特許文献2〜5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−80334
【特許文献2】特開平11−222455
【特許文献3】特開2010−43055
【特許文献4】特開2008−13445
【特許文献5】特開2010−260809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口腔用の殺菌剤として、様々な菌に対して殺菌効果が持続し、さらに金属に対する優れた腐食防止効果を兼ね備えたものはなかった。
【0005】
本発明は、クエン酸に塩化セチルピリジニウム及び酸化防止剤を配合することで、一般細菌類への殺菌・抗菌効果に加えて、化膿レンサ球菌、虫歯菌や歯周菌への持続性に優れた殺菌効果を実現し更に、歯科用金属義歯や金属補綴物に対する腐食(酸化)防止効果をも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、クエン酸に塩化セチルピリジニウム及び酸化防止剤を配合し、それをpHが2〜7の水溶液として使用することで、優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明の口腔用殺菌剤はクエン酸100重量部に酸化防止剤を50〜150重量部と塩化セチルピリジニウムを0.5重量部以上配合してなる口腔用殺菌剤であり、また、その水溶液で、pHが2〜7であることを特徴とする口腔用殺菌剤であり、また、pHが2〜7のクエン酸と酸化防止剤の水溶液に塩化セチルピリジニウムを50ppm以上溶解してなる口腔用殺菌剤である。
さらに、酸化防止剤がアスコルビン酸及び/またはヒドロキノンである口腔用殺菌剤である。
【発明の効果】
【0008】
上述したように本発明の口腔用殺菌剤は、クエン酸と塩化セチルピリジニウムに酸化防止剤を加えることで優れた効果を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る口腔用殺菌剤は、クエン酸と酸化防止剤と塩化セチルピリジニウムを水に溶解して、pHを2〜7の水溶液として使用する。
【0010】
本発明で用いる酸化防止剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール、ヒドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、カテキン、ローズマリー抽出物等が使用可能であるが、アスコルビン酸とヒドロキノンが金属腐蝕防止効果に優れている。
【0011】
水溶液中のクエン酸濃度は、通常0.04重量%以上である。
クエン酸が0.04重量%未満になると、十分な除菌効果の持続性を維持することができないからである。
【0012】
水溶液のpHは、クエン酸の添加量を増やすと低下するが、クエン酸以外にリンゴ酸や酒石酸に代表される公知のヒドロキシカルボン酸類や酢酸に代表されるアルキルカルボン酸類を添加して調整することも可能である。また、これらのヒドロキシカルボン酸類やアルキルカルボン酸類のナトリウム塩やカリウム塩を添加することもできる。
【0013】
水溶液中にはアルコールを含むことができる。その濃度は、例えばエタノール単体を除菌剤として使用する場合の濃度よりも低い値であっても十分に除菌効果を奏することができ、アルコール濃度は40重量%未満に、より好ましくは30重量%以下に調整されている。
アルコールとしては、除菌効果のあるエタノールやイソプロピルアルコールを用いることができる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の口腔用殺菌剤の効果を実施例に基づき説明する。
【0015】
クエン酸100重量部にヒドロキノン100重量部と塩化セチルピリジニウム10重量部を均一に混合し、本発明の実施例の混合物を得た。
【0016】
本発明の実施例の混合物を滅菌イオン交換水に溶解し、クエン酸濃度5000ppm、ヒドロキノン濃度5000ppm、塩化セチルピリジニウム濃度500ppmの本発明の実施例の水溶液を得た。
【0017】
本発明の実施例の水溶液を用いて、化膿レンサ球菌、虫歯菌、歯周菌、口内カンジダ菌に対して、定法により14日間の抗菌試験を実施した。
いずれの菌も再現せず、長期間に亘る殺菌・抗菌効果の持続が確認された。
【0018】
金属義歯を本発明の実施例の水溶液に14日間の浸漬試験を行った結果、金属義歯に色調的変化は全く認められなかった。
【0019】
滅菌イオン交換水を用いてクエン酸濃度5000ppm、塩化セチルピリジニウム濃度500ppmの本発明の比較例の水溶液を得た。
【0020】
金属義歯を本発明の比較例の水溶液に14日間の浸漬試験を行った結果、金属義歯の表面に曇り(酸化物か水酸化)が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸100重量部に酸化防止剤を50〜150重量部と塩化セチルピリジニウムを0.5重量部以上配合してなる口腔用殺菌剤。
【請求項2】
酸化防止剤がアスコルビン酸および/またはヒドロキノンであることを特徴とする請求項1記載の口腔用殺菌剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の口腔用殺菌剤の水溶液で、pHが2〜7であることを特徴とする口腔用殺菌剤。
【請求項4】
pHが2〜7のクエン酸と酸化防止剤の混合水溶液に塩化セチルピリジニウムを50ppm以上溶解してなる口腔用殺菌剤。
【請求項5】
酸化防止剤がアスコルビン酸および/またはヒドロキノンであることを特徴とする請求項4記載の口腔用殺菌剤。

【公開番号】特開2012−158580(P2012−158580A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35154(P2011−35154)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(597029310)セパレ−タ−システム工業株式会社 (10)
【出願人】(399126802)美吉野製薬株式会社 (2)
【Fターム(参考)】