説明

口腔用組成物

【課題】唾液中のIgA抗体の分泌を促進し、口腔疾患の基となるバイオフィルムの形成予防効果に優れる口腔用組成物の提供。
【解決手段】(A)シンナミックアルコール及びペリラアルデヒドから選ばれる香気性化合物、並びに(B)ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン性界面活性化合物を含有する唾液中へのIgA分泌促進剤、及び口腔用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用感に優れ、う蝕や歯周病、口臭等の予防効果を有する唾液中へのイムノグロブリンA分泌促進剤及び口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内には歯垢や舌苔等のバイオフィルムが存在し、歯垢はう蝕や歯周病の原因となり、舌苔は口臭の原因となる。唾液中に含まれるイムノグロブリンA(以下IgA)は、血清中に存在するIgAと異なり二量体の分泌型のものが多く存在していることが知られている。この分泌型イムノグロブリンA(以下分泌型IgA)は、感染防御として侵入細菌に取り付き、その付着・定着を阻止する働きをすることが知られている。
【0003】
例えば精神的ストレスを含む様々なストレス等により唾液中のIgA分泌量が低下すると、口腔組織への細菌が付着・定着しやすくなる。定着した細菌は増殖し、歯垢や舌苔等のバイオフィルムが形成され、その結果、う触、歯周病等の口腔疾患に至ると考えられている。
【0004】
一方、香りを嗅ぐことにより唾液中IgA分泌能を亢進させる試みがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながらこれら香味成分を口腔用組成物として直接口腔に適用しても、唾液によるクリアランス作用などにより、効果は認められていない。また、唾液中に抗体を産生させるべく抗原を含む経口投与ワクチン(例えば、特許文献2参照)や、口腔細菌に特異的なIgAを配合することにより受動免疫を付与した口腔用組成物が試みられている(例えば、特許文献3参照)。しかし、口腔には数百種を超える口腔細菌が存在するため、特異的な抗原や抗体を用いたバイオフィルム抑制効果は限定的である。
【特許文献1】特開平7−20115号公報
【特許文献2】特開平4−5243号公報
【特許文献3】特開昭58−164518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこの様な背景を鑑み、ストレス等で減少する唾液中IgA分泌量を増加させることにより口腔内のバイオフィルムを抑制する唾液中へのIgA分泌促進剤、口腔内のバイオフィルム生成抑制剤を提供し、これらを含有するう蝕や歯周病、口臭を予防するための口腔用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者らは、口腔内に適用したとき、分泌型IgA産生量を増加させ、歯垢等のバイオフィルム生成を抑制する成分について検討したところ、シンナミックアルコール及びペリラアルデヒドから選ばれる香気性化合物と、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン性界面活性化合物とを組み合せて用いた場合に、唾液中への顕著なIgA分泌促進効果、並びに口腔内のバイオフィルム生成抑制による歯垢付着抑制効果を有する口腔用組成物が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、(A)シンナミックアルコール及びペリラアルデヒドから選ばれる香気性化合物、並びに(B)ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン性界面活性化合物を含有する唾液中へのIgA分泌促進剤及びこれらを含有する口腔用組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口腔用組成物を用いれば、唾液中IgA分泌量が顕著に増加し、歯垢、舌苔等の口腔内のバイオフィルムの生成が抑制され、う触、歯周病、口臭等を予防できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いられる成分(A)シンナミックアルコール及びペリラアルデヒドから選ばれる香気性化合物は、唾液中IgA分泌促進作用を有する。これらの化合物に唾液中IgA分泌促進作用があることは全く知られておらず、本発明者が初めて見出したことである。これらの化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種を組み合せて使用してもよい。またこれらの化合物は天然精油からの精製品でもよく、合成品でもよい。また、ペリラアルデヒドの代わりに、ペリラアルデヒドを含有する紫蘇精油や紫蘇オレオレジンを用いてもよいし、シンナミックアルコールの代わりに、シンナミックアルコールを含有するライラック精油やスズラン葉精油を用いても良い。
【0010】
本発明組成物中の成分(A)の含有量は、IgA分泌促進効果、及び嗜好性や安定性の点から、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜2質量%がさらに好ましく、0.02〜1.5質量%が最も好ましい。ペリラアルデヒドの含有量は、特徴的な香気のため0.005〜1質量%が好ましく、シンナミックアルコールの含有量は、嗜好性とIgA分泌促進効果の点から0.1質量%以上が好ましい。
【0011】
本発明に用いられる成分(B)ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン性界面活性剤は、成分(A)のIgA分泌促進作用を相乗的に増強させる作用を有する。これらのノニオン性界面活性剤を用いた場合には、唾液分泌量を低下させることなく、成分(A)のIgA分泌促進作用を相乗的に増強させる作用がみられる。これらのノニオン性界面活性剤の各脂肪酸部分の平均炭素数は10〜18であるのが、IgA分泌促進作用増強効果の点から好ましい。本発明のIgA分泌促進作用を大きく変化させない限りにおいて、他の脂肪酸を含んでいても構わない。即ち、本発明に使用されるソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルには、炭素数が10以上、18以下でない他の種類の脂肪酸を一部に含むものも含まれるが、各脂肪酸部分の炭素数の平均が10〜18であるものが好ましい。
また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加モル数は1〜300、さらに1〜100、特に1〜50が好ましい。より具体的には、ショ糖脂肪酸エステルとしてショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ウンデシル酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖トリデシル酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖ペンタデシル酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステルが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしてソルビタンモノカプリン酸エステル、ソルビタンモノウンデシル酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノトリデシル酸エステル、ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル、ソルビタンテトラオレイン酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステルなどが挙げられる。
【0012】
本発明のIgA分泌促進剤における成分(A)と成分(B)との質量比〔(A):(B)〕は、IgA分泌促進作用増強効果の点及び成分(A)の口腔内滞留性の点から、1:0.2〜1:50が好ましく、1:0.5〜1:50がより好ましく、1:0.5〜1:25がさらに好ましく、1:1〜1:15が特に好ましい。また、本発明組成物における成分(A)及び(B)の含有量は、IgA分泌促進作用増強効果の他、使用感等の点から6質量%以下であることが好ましい。
【0013】
また、本発明組成物中の成分(B)の含有量は、IgA分泌促進作用増強効果の他、使用感等の点から、0.01〜5.0質量%、さらに0.02〜4.0質量%、特に0.05〜3.0質量%が好ましい。
【0014】
本発明の口腔用組成物には、前記必須成分のほか、その形態に応じて種々の公知成分を含有させることができる。例えば第2リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、無水ケイ酸、水酸化アルミニウム、アルミナ、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ゼオライト、合成アルミノケイ酸塩、ベンガラ等の研磨剤;前記の研磨剤を結合剤を用いて造粒した顆粒状研磨剤;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等の湿潤剤;カルボキシメチルセルロース及びその塩類、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、トラガカントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビーガム、ラポナイト等の粘結剤;モノフルオルリン酸ナトリウム、フッ化スズ、フッ化ナトリウム等の歯質強化剤;クロルヘキシジン及びその塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、チモール類、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤;リン酸ナトリウム等のpH調整剤;デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リゾチーム、ムタナーゼ等の酵素類;塩化ナトリウム、ヒノキチオール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アラントイン類、トコフェロール類、オクチルフタリド、ニコチン酸エステル類、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩類、グリセロホスフェート、クロロフィル、水溶性無機リン酸化合物、アズレン類、カミツレ、センブリ、当帰、センキュウ、生薬類等の抗炎症剤・血行促進剤;サッカリンナトリウム、ステビオサイド、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等の甘味剤;p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、安息香酸ナトリウム等の防腐剤;二酸化チタン等の着色剤・色素類;ペパーミント油、スペアミント油、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、メチルアセテート、シトロネリルアセテート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、アニス油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油等の香料等を適宜使用することができる。
【0015】
本発明の組成物の実施形態としては、練り歯磨きの場合においては、上記成分のうち、研磨剤は、本発明組成物中に5.0〜50質量%、さらに15〜40質量%含有するのが好ましい。粘結剤は0.2〜4.0質量%、さらに0.5〜2.0質量%含有するのが好ましい。また湿潤剤は10〜50質量%、さらに20〜40質量%含有するのが好ましい。また、洗口剤の場合においては、湿潤剤は2.0〜30質量%、さらに4.0〜20質量%含有するのが好ましい。トローチやガムの場合においては、湿潤剤を50〜99質量%、さらに60〜95質量%含有するのが好ましい。
【0016】
さらに、上述した特定のノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤をIgAの分泌促進効果を阻害しない範囲(含有量、製法、剤型等)で使用することができる。例えばラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アシルモノグリセリド硫酸塩、石鹸、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグリコシド、イミダゾリニウムベタイン、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、アミンオキサイド等を併用することもできる。これらの界面活性剤は本発明組成物中に0.05〜5.0質量%、さらに0.1〜2.0質量%含有するのが好ましい。
【0017】
本発明の口腔用組成物は、常法により製造することができ、練歯磨、粉歯磨、液状歯磨、口腔パスタ、マウスウォッシュ(洗口剤)、含嗽剤、含嗽液、歯肉マッサージクリーム、チューインガム、トローチ、キャンディ等の形態とすることができる。
【実施例】
【0018】
実施例1〜4(唾液中分泌型イムノグロブリンA濃度に及ぼす影響)
フウセンガムベース1gを咀嚼したときの唾液分泌量が毎分1.2mL以下である、唾液分泌速度が低い2名の被験者に、種々のチューインガムを咀嚼させ、唾液中分泌型IgA分泌量を測定した。シンナミックアルコールもしくはペリラアルデヒドにノニオン性界面活性剤を配合したチューイングガム(実施例1〜4)、シンナミックアルコールもしくはペリラアルデヒドのみ配合したもの(比較例1〜2)、ノニオン性界面活性剤のみ配合したもの(比較例3〜4)、成分を全く含まないガムベース(比較例5)、その他の香気性成分にノニオン性界面活性剤を配合したもの(比較例6〜9)を試験用サンプルとした(表1〜3)。
【0019】
イムノグロブリンの測定は、西田らのサンドウィッチ抗体法に準じて行った(「医学のあゆみ」129(11)767−779、1984)。以下に具体的に説明する。
【0020】
実施例1〜4又は比較例1〜9の試験用サンプル1gを1分間当り60回のストロークで2分間咀嚼させ、その間口内に溜まった全唾液と試験用サンプルを一旦全て吐き出させた。その後新しい試験用サンプル1gを、再び1分間当り60ストロークで咀嚼させ、分泌した唾液全てを吐出法により回収した。採取した全唾液を、反応用緩衝液を用いて40倍希釈した。試験管に反応用緩衝液を0.4mL入れ、上述の希釈唾液を10μL加えて混和した。抗ヒトセクレタリーコンポーネント(以下SCと略す)を均一に結合させたポリスチレン製ボールを加え、37℃で1時間静置加温した。反応終了後、反応液を吸引除去し、PBS(pH7.4)を1mL加え、よく振とうした後、再び吸引除去し洗浄した。この洗浄操作は2回繰り返した。洗浄後の試験管にペルオキシダーゼ標識した抗ヒトIgAを0.3mL加え、室温にて1時間静置した。反応終了後、反応液を吸引除去し、PBS(pH7.4)を1mL加え、よく振とうした後、再び吸引除去し洗浄した。この洗浄操作は3回繰り返した。新しい試験管にo−フェニレンジアミン及び過酸化水素を含有する基質溶液を0.5mL入れておき、洗浄したSC結合ポリスチレン製ボールを移した。室温にて30分間反応後、4.1N硫酸を2mL添加し、反応を停止させた。試験管を十分混和したのち、試薬ブランクを分光光度計の対照として、2,2−ジアミノアゾベンゾールの発色である492nmにおける吸光度を測定した。また、定量計算のために標準ヒトs−IgAを0.06〜64μg/mLの範囲で検量線を作成した。試薬は全て、医学生物学研究所社製のものを使用した。
【0021】
結果を表1〜3及び図1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
表1〜3及び図1から、次のことが判明した。
シンナミックアルコール又はペリラアルデヒドと、ショ糖脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとを配合した口腔用組成物は、唾液中のIgA濃度を顕著に増加させる(実施例1〜4)。その効果は、シンナミックアルコール又はペリラアルデヒドをショ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの特定ノニオン性界面活性剤を併用することなく単独で配合した場合(比較例1、2)や、他の香料とショ糖脂肪酸エステル又はポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルとの組み合せ(比較例6、7)の場合に比べて顕著である。
【0026】
表1〜3から明らかなように、シンナミックアルコール又はペリラアルデヒドと、ショ糖脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとを含む組成物は、唾液分泌量を低下させることなくIgA濃度を増加させた。
【0027】
実施例5〜6(口腔バイオフィルムに及ぼす臨床効果)
上述した実施例1〜4及び比較例1〜9と同じ被験者2名を用いて、シンナミックアルコール(実施例5)又はペリラアルデヒド(実施例6)にショ糖ラウリン酸エステルをさらに含有する洗口剤の歯垢形成に及ぼす臨床評価を行った。対照洗口剤として、シンナミックアルコールもしくはペリラアルデヒドをエチルアルコールに置換したもの(比較例10)を調製して、本臨床試験に供試した。30歳代の被験者2名に、歯科衛生士による徹底的な歯垢の除去を施し、その後歯磨きや楊枝、ガムの使用など全ての口腔衛生習慣を停止させた上で、いずれかの洗口剤を毎食後及び就寝前に1日4回含嗽させ、48時間後の歯垢形成量及び舌苔形成量を測定した。歯垢形成量はQuigley&Heinのプラークインデックス(QHI)を用いて、側切歯、第一小臼歯、第1大臼歯を観察歯とし、頬側及び舌側の計24歯面を診査対象とし、平均値を平均QHI値とした。診査は一人の歯科衛生士により行われ、二重盲検にて実施された。
【0028】
実施例5で用いた洗口剤の組成
エチルアルコール 12
エリスリトール 5
濃グリセリン 4
ショ糖ラウリン酸エステル 1.5
シンナミックアルコール 0.3
サッカリンナトリウム 0.01
精製水 残 部
計 100(質量部)
【0029】
実施例6で用いた洗口剤の組成
エチルアルコール 12
エリスリトール 5
濃グリセリン 4
ショ糖ラウリン酸エステル 1.5
ペリラアルデヒド 0.3
サッカリンナトリウム 0.01
精製水 残 部
計 100(質量部)
【0030】
比較例10で用いた洗口剤の組成
エチルアルコール 12.3
エリスリトール 5
濃グリセリン 4
ショ糖ラウリン酸エステル 1.5
サッカリンナトリウム 0.01
精製水 残 部
計 100(質量部)
【0031】
その結果、表4に示すように、シンナミックアルコール、ペリラアルデヒド及びモノラウリン酸ショ糖エステルを含有する洗口剤は、モノラウリン酸ショ糖エステルを含有する対照洗口剤と比べて有意な歯垢形成量を減少させた。
【0032】
【表4】

【0033】
実施例7
本発明の練歯磨の典型的な処方は、以下の通りである。
練歯磨
ソルビット液 50
無水ケイ酸 20
濃グリセリン 5
アルキルグルコシド 1.3
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1
歯磨き用香料 1
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル 0.25
フッ化ナトリウム 0.2
ペリラアルデヒド 0.05
精製水 残 部
計 100(質量部)
【0034】
実施例8
本発明の洗口剤の典型的な処方は、以下の通りである。
洗口剤
エチルアルコール 12
キシリトール 5
濃グリセリン 4
ショ糖オレイン酸エステル 1.5
シンナミックアルコール 0.1
l−メントール 0.1
エチルパラベン 0.01
サッカリンナトリウム 0.01
精製水 残 部
計 100(質量部)
【0035】
実施例9
本発明のトローチの典型的な処方は、以下の通りである。
トローチ
パラチニット 60
キシリトール 20
グアガム 5
ショ糖ステアリン酸エステル 3
ポリデキストロース 3
炭酸カルシウム 1.2
香料 0.5
シンナミックアルコール 0.2
アスパルテーム 0.1
計 100(質量部)
【0036】
実施例10
本発明のチューイングガムの典型的な処方は以下の通りである
ガムベース 25
キシリトール 60
水飴 9.4
香料 0.5
ショ糖ステアリン酸エステル 0.05
ペリラアルデヒド 0.05
計 100(質量部)
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1〜4及び比較例1〜9の組成物の唾液中分泌量IgA分泌量(棒グラフ)と唾液量(折れ線グラフ)の関係を示す図である。図中、なし(比較例5)、なし+S(比較例3)、なし+R(比較例4)、シンナミックアルコール(比較例1)、ペリラアルデヒド(比較例2)、シンナミックアルコール+S(実施例1)、ペリラアルデヒド+S(実施例3)、シンナミックアルコール+R(実施例3)、ペリラアルデヒド+R(実施例4)、ユーカリプトール+S(比較例6)、ラバンジン+S(比較例7)、アネトール+S(比較例8)、ペパーミント油+S(比較例9)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シンナミックアルコール及びペリラアルデヒドから選ばれる香気性化合物、並びに(B)ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン性界面活性化合物を含有する唾液中へのイムノグロブリンA分泌促進剤。
【請求項2】
成分(A)と成分(B)との質量比〔(A):(B)〕が1:0.2〜1:50である請求項1記載の唾液中へのイムノグロブリンA分泌促進剤。
【請求項3】
成分(B)のノニオン性界面活性剤の各脂肪酸部分の平均炭素数が10〜18である請求項1又は2記載の唾液中へのイムノグロブリンA分泌促進剤。
【請求項4】
(A)シンナミックアルコール及びペリラアルデヒドから選ばれる香気性化合物、並びに(B)ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン性界面化合物を含有する口腔用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−161447(P2009−161447A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339643(P2007−339643)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】