説明

可変分散補償器およびその制御方法

【課題】分散補償量を可変する場合に損失劣化を最小限に抑える。
【解決手段】入力光コリメータ4と、可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部5−1,5−2と、出力光コリメータ6と、入力光コリメータ4から導入された光をなす光信号について分散補償すべく、群遅延特性付与部5−1,5−2での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部13,14と、入力光コリメータ4からの光が該複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部11と、前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部13,14と、をそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、光通信システムにおいて用いて好適の可変分散補償器およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1(a)に例示するように、伝送路である光ファイバ1を用いた光信号伝送では、光の伝搬速度が波長によって異なることから、伝送距離に比例して信号パルスの歪みが大きくなる。この図1(a)においては、送信側における光パルスP1が光ファイバ1を伝送されると、この光ファイバ1の波長分散によりパルス歪みの生じた光パルスP2となることを示している。
【0003】
この現象は波長分散と呼ばれ、高ビットレート化が著しい近年の光通信システムでは、光信号の伝送距離を制限する大きな障害となっている。現在光通信システムに一般的に用いられているシングルモードファイバ(Single Mode Fiber:以下、SMF)は波長1550nm付近で15〜17ps/nm・km程度の波長分散を有する。つまり、SMFを用いて100km伝送された光パルスはおよそ1500ps/nmの分散を受け、信号パルスの帯域内の波長成分毎に到達時間の差が生じることになる。
【0004】
波長分散補償(以下、分散補償)とは、伝送路における波長分散の影響により歪んだ光信号に対して、伝送路とは逆の符号を持つ波長分散を与えることにより元の信号波形を再現することをいう。例えば、図1(b)に示す分散補償器2においては、図1(a)に示すような歪みの生じた光パルスP2に、伝送路1とは逆の波長分散を与えて元の信号波形(P1)が再現された光パルスP2′としている。現在、分散補償において最もよく用いられているものが分散補償ファイバ(Dispersion Compensating Fiber:以下、DCF)である。
【0005】
DCFは特殊な屈折率分布によって通常のSMFとは逆の分散を持つように設計されたファイバであり、長距離の光伝送を行なう際は一定距離毎に中継局を設けてこのDCFを接続し、トータルの分散量がゼロになるようにして用いられる。
一方、近年急激に増加し続ける通信需要に対応するために、40Gbit/secや100Gbit/secといった超高速伝送システムの導入が進められている。このような高ビットレート伝送では、信号波長帯域の拡大により分散耐力はこれまでより更に小さくなり、従来問題とならなかった波長分散の温度変動をも補償する必要があると考えられている。
【0006】
そこで、40G以上の高速伝送システムでは固定式のDCFのほかに、DCFでは補償しきれない残留分散成分を補償するために補償量を任意に制御可能な可変分散補償器が必須となると考えられている。従来においても種々の可変分散補償器が提案されている。
【特許文献1】特開2003−264505号公報
【特許文献2】特開2007−298968号公報
【特許文献3】特開2006−221075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可変分散補償器においては、装置の小型化とともに分散補償の精度向上や損失の抑制等、トータルな面にわたる装置性能を向上させることが望まれている。
そこで、本願は、従来技術よりも装置性能を向上させた可変分散補償器およびその制御方法を提供することを目的の一つとすることができる。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成又は作用により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本願の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
たとえば、以下の手段を用いる。
(1)入力光を導入する入力光コリメータと、該入力光コリメータから導入された光について反射による光路を形成するように複数の反射型エタロンが対向して配置されて、前記複数の反射型エタロンでの反射により前記光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部と、該群遅延特性付与部で可変の群遅延特性が与えられた光を受ける出力光コリメータと、該入力光コリメータから導入された光をなす光信号について分散補償すべく、該群遅延特性付与部での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部と、該入力光コリメータからの光が該複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部と、前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部と、をそなえた可変分散補償器を用いることができる。
【0009】
(2)入力光を導入する入力光コリメータと、該入力光コリメータから導入された光について反射による光路を形成するように反射型エタロンが配置されて、前記反射型エタロンでの反射により前記光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部と、該群遅延特性付与部で可変の群遅延特性が与えられた光を受ける出力光コリメータと、該入力光コリメータから導入された光をなす光信号について分散補償すべく、該群遅延特性付与部での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部と、該入力光コリメータからの光が該反射型エタロンの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部と、前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部と、をそなえた可変分散補償器を用いることができる。
【0010】
(3)入力光コリメータから導入された光に対し、複数の反射型エタロンでの反射により分散補償のための群遅延特性を与えて出力光コリメータに導く可変分散補償器の制御方法であって、該複数の反射型エタロンで与える前記群遅延特性を制御し、前記入力光コリメータからの光が前記複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して前記出力光コリメータの側に出力される際の光軸位置と、前記出力光コリメータとの相対位置関係を、該制御する前記群遅延特性に対応づけて位置決め制御する、可変分散補償器の制御方法を用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、分散補償量を可変する場合において、損失劣化を最小限に抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。
〔A〕第1実施形態
〔A1〕対比例
図2は本実施形態の対比例としての可変分散補償器を示す図である。この図2に示す可変分散補償器3は、特性の異なる複数のエタロン5−1,5−2を組み合わせたものである。エタロン5−1,5−2は、ともに平板状のエタロン基板5aとエタロン基板5aの両面に形成された反射膜5b,5cとをそなえる。ここで一方の反射膜5bは反射率を100%に近く設定され、他方の反射膜5cは反射膜5bよりも低い反射率が設定される。
【0013】
そして、エタロン5−1,5−2は、ともにFSR(Free Spectral Range)を100GHzとして与えられるが、エタロン5−1は、反射膜5cの反射率Rを2%に設定された相対的に低フィネスのエタロンである。又、エタロン5−2は、反射膜5cの反射率Rを7%に設定された相対的に高フィネスのエタロンである。これらのエタロン5−1,5−2は、入力光コリメータ4から導入される光の光路上において実質的に(許容範囲内での誤差範囲を含めて)平行となるように対向配置される。(FSRの値やエタロンの反射率の値はあくまでも例である。)
これにより、入力光コリメータ4からの光が各エタロン5−1,5−2を順番に入射角度θ=2°で入射および反射されて出力光コリメータ6に導かれる。また、各エタロン5−1,5−2にはそれぞれペルチェ素子7−1,7−2が結合される。又、電源8−1,8−2はペルチェ素子7−1,7−2に電流を通電し、温度制御部9−1,9−2は、電源8−1,8−2を通じたペルチェ素子7−1,7−2に対する電流量と通電方向とを制御することを通じ、エタロン5−1,5−2の温度を制御する。
【0014】
低フィネスエタロン(R=2%)の群遅延ピークを波長グリッドに合わせ、高フィネスエタロン(R=7%)の共振器長を変化させたときの合成群遅延特性の変化を図3に示す。尚、図3中において、共振器長の変化の程度は、エタロン5−1,5−2での使用波長帯域での波長分散特性が0nm/psとなるときの厚さを基準(0)として、エタロン5−2の厚さが中心グリッド波長(この場合には1546.917nm)の何倍だけ変化したかで表した。
【0015】
このような複数のエタロン5−1,5−2を有する光学系においては、出力光コリメータ6の位置と、損失および損失リップルと、の間には密接な関係がある。図2の構成において、分散補償量0ps/nmとなる場合に(図3における「0」の場合参照)に、出力光コリメータ6の位置xCを可変した場合に対する、スペクトル−損失の関係を図4に示す。ここでは、入出力光コリメータ4,6のビーム半径は100μmであるとした。
【0016】
なお、出力光コリメータ6の位置xCは、基準位置(xC=0)に対して、光の入射面内において出力光ビームに垂直かつ入力光コリメータ位置から遠ざかる方向をプラスとした。尚、ここでの基準位置は、エタロン5−1,5−2の光入射面5cの反射率が仮に100%であると想定したときのビーム到達位置としている。
この図4に示すように、図2の構成で分散補償量0ps/nmとしている場合には、出力光コリメータ6の位置がxC≒103μmの場合に最も損失リップルが小さくなり、xC≒95μmの場合に波長グリッド(1546.917nm)での損失が最小になることがわかる。
【0017】
ついで、図2に示す分散補償器3において、補償量を変化させた場合の損失スペクトルの変化を考える。出力光コリメータ6を、補償量0ps/nmの場合に損失リップルが最小となった位置(xC≒103μm)に固定し、高フィネスエタロン5−2の共振器長を変化させて補償量のチューニングを行なう。この場合の群遅延特性および損失スペクトルの変化を図5(a)と図5(b)にそれぞれ示す(図5(a)と図3はほとんど同等特性である)。
【0018】
この場合、群遅延特性(分散特性)の変化にともない、損失特性が波長シフトするだけでなくリップルの深さまでも変化してしまう。光の入射角度θを小さくすれば損失リップルを小さくすることができるが、補償量を変化させたときはやはりリップル深さが大きくなってしまい、損失特性が劣化することになる。
また、入射角度θを小さくすればするほど、ビーム半径の大きさが与える影響が無視できなくなる。即ち、エタロン5−1のエッジによるビームのケラレが生じること等が想定される。このようなケラレを避けるためにはエタロン5−1,5−2の間隔を広く取らなくてはならなくなる。つまり、反射型エタロン5−1,5−2を用いる可変分散補償器3を小型化しようとする場合、光の入射角度θはある程度大きいほうが望ましいことになる。
【0019】
以上のように、図2に示すような、反射型エタロン5−1,5−2と入出力用のコリメータ4,6を用いた斜め入射光学系を採用する可変分散補償器3では、エタロン5−2(および5−1)の共振器長を制御することによって分散補償特性をチューニングすると損失特性が劣化する。一方、光の入射角度θを小さくして損失特性劣化を抑制することも考えられるが、装置の小型化のためには光の入射角度θはある程度の大きさを確保することが求められる。従って、装置の小型化と損失特性劣化の抑制を両立するためには更なる技術的進歩が求められる。
【0020】
〔A2〕第1実施形態における可変分散補償器について
そこで、第1実施形態においては、図6に例示するような可変分散補償器10を提案する。この図6に示す可変分散補償器10は、前述の図2に示す可変分散補償器3と同等の入力光コリメータ4,エタロン5−1,5−2,出力光コリメータ6,ペルチェ素子7−1,7−2,電源8−1,8−2および温度制御部9−1,9−2をそなえている。
【0021】
すなわち、入力光コリメータ4においては入力光をエタロン5−1に導入する。群遅延特性付与部をなすエタロン5−1,5−2は、入力光コリメータ4から導入された光について反射による光路を形成するように対向して配置され、これらエタロン5−1,5−2での反射により、この導入された光に対し可変の群遅延特性が与えられる。又、出力光コリメータ6においては、エタロン5−2から分散補償のための群遅延特性が与えられた光を受け、波長分散が補償された光として出力する。
【0022】
なお、図6中においては、入力光コリメータ4から導入される光はエタロン5−1,5−2でそれぞれ1回ずつ反射して出力光コリメータ6に結合されるようになっているが、エタロン5−1,5−2において複数回反射するようにすることとしてもよい。
ここで、本実施形態の可変分散補償器10が図2に示す可変分散補償器3と異なるのは、更に、位置決めステージ11,駆動部12,プロセッサ(Central Processing Unit:CPU)13およびメモリ14をそなえている点である。
【0023】
位置決めステージ11は、駆動部12からの駆動制御を受けて、出力光コリメータ6を図2に示すxC軸上に相当する軸上でスライドさせて出力光コリメータ6の位置決めを行なう。即ち、エタロン5−1,5−2の部分反射膜をなす反射膜5cでそれぞれ反射した光の光軸が直交する方向であって、上述のxC軸上で交わる点を原点として置き、当該光軸に直交し、入力光コリメータ4の光軸から遠ざかる方向にxC軸正方向を設定する。そして、位置決めステージ11としては、上述のxC軸の原点から正方向のいずれかの座標値上において出力光コリメータ6が位置決めされるように配置される。
【0024】
また、位置決めステージ11としては、機械式のスライド機構をそなええたものの他、ピエゾ素子の特性を利用したものを適用できる。又、駆動部12は、後述のCPU13からの制御を受けて、出力光コリメータ6の位置決めのため位置決めステージ11を駆動する。
さらに、CPU13は、可変分散補償器10としての分散補償量を制御するコマンドを受け取って、受け取ったコマンド内容に対応する分散補償量を得るための制御量を温度制御部9−1,9−2に出力する。尚、コマンドにかかる分散補償量に対応する温度制御情報についてはメモリ14等を参照することにより抽出することができる。
【0025】
これにより、CPU13においては、エタロン5−1,5−2に与えるべき群遅延特性を温度制御部9−1,9−2への温度制御指示を通じて設定しているので、コマンドに対応した分散補償を実現している。換言すれば、上述のCPU13およびメモリ14は、入力光コリメータ4から導入された光をなす光信号について分散補償すべく、エタロン5−1,5−2での群遅延特性を制御する群遅延特性制御部の一例である。
【0026】
また、上述の反射型エタロン5−1,5−2,ペルチェ素子7−1,7−2,電源8−1,8−2および温度制御部9−1,9−2は、入力光コリメータ4から導入された光をなす光信号について、エタロン5−1,5−2での反射により、入力光コリメータ4からの導入光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部の一例である。
さらに、CPU13は、出力光コリメータ6の位置決めされる位置に関する情報を、コマンド内容にかかる分散補償量に対応付けてメモリ14から抽出して、抽出した情報により駆動部12を制御する。メモリ14には、可変分散補償器10において与えることが可能な範囲の群遅延特性(即ち分散補償特性)に対応して、後述するように損失特性を最適にする出力コリメータ6の配置位置に関する情報(例えば駆動部12への制御情報)を記憶しておくようになっている。
【0027】
これにより、CPU13は、コマンドに対応した分散補償の補償量(群遅延特性)に対応して、メモリ14を参照することを通じて得られた制御量で駆動部12を制御することで、出力光コリメータ6を最適な位置に位置決め制御することもできる。出力光コリメータ6の適切な位置は、入力光コリメータ4からの光がエタロン5−1,5−2の入射側面(反射膜5c)での反射を介して出力光コリメータ6に向けて出力される際の光軸位置との相対位置関係で定められる。
【0028】
すなわち、CPU13から駆動部12への制御信号には、出力光コリメータ6を据えるべき位置について、上述の光軸位置に対する距離の情報(又は駆動部12において上述の相対位置関係を確立するために必要な制御情報)が含まれる。駆動部12では、上述のCPU13から受けた制御信号の内容に応じて、位置決めステージ11を駆動することにより出力光コリメータ6の位置を設定する。
【0029】
したがって、上述の位置決めステージ11および駆動部12は、入力光コリメータ4からの光が反射型エタロン5−1,5−2のそれぞれの入射側面5cでの反射を介して出力光コリメータ6に向けて出力される際の光軸位置と出力光コリメータ6との相対位置関係を位置決めする位置決め部の一例である。又、CPU13およびメモリ14は、上述の相対位置関係が、当該CPU13で制御する群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように駆動部12を制御する位置決め制御部の一例である。
【0030】
また、メモリ14は、位置決め部をなす位置決めステージ11および駆動部12において位置決めするための制御情報を、反射型エタロン5−1,5−2における群遅延特性に対応して記憶する記憶部の一例である。更に、CPU13は、群遅延特性制御部をなす反射型エタロン5−1,5−2で制御する群遅延特性(分散補償量)に応じて、メモリ14の内容を参照することにより、位置決め部をなす駆動部12への制御指示を行なう制御指示部の一例である。
【0031】
第1実施形態における可変分散補償器10の反射型エタロン5−1,5−2は、入力光コリメータ4から導入された光に対し、反射により分散補償のための群遅延特性を与えて出力光コリメータ6に導く。このとき、反射型エタロン5−1,5−2が協働することにより与えることとなる群遅延特性は、目標分散補償量に応じて制御(チューニング)される。具体的には、いずれか一方又は双方の反射型エタロン5−1,5−2の共振器長を可変制御することを通じて群遅延特性を制御している。
【0032】
また、入力光コリメータ4からの光がエタロン5−1,5−2の入射側面(反射膜5c)での反射を介して出力光コリメータ6の側に出力される際の光軸位置と、出力光コリメータ6の配置位置との相対位置関係を、上述のごとく制御する群遅延特性に対応づけて位置決め制御している。具体的には、出力光コリメータ6の配置位置を位置決めステージ11の駆動を通じて設定することを通じ、上述の位置決め制御を行なっている。これにより、以下に示すように分散補償特性のチューニングに伴う損失特性の劣化を抑制させることができる。
【0033】
〔A3〕分散補償特性のチューニングに伴う損失特性の劣化の発生について
分散補償特性のチューニングに伴い抑制すべき対象となる、損失特性の劣化の発生について説明する。第1に、入出力光コリメータ4,6および反射型エタロン5−1,5−2からなる光学系の光損失について検討する。ここでは簡単のため、図7(a)に示すような一つの反射型エタロン5での反射に着目して検討する。即ち、この場合には入力光コリメータ4からの光は一の反射型エタロン5で反射されてから出力光コリメータ6に導かれる光学系を想定している。尚、反射型エタロン5は、例示的に、屈折率nで厚さLのエタロン基板5aの裏面に全反射膜5b、表面に振幅反射率r(強度反射率:R=r)の部分反射膜5cが形成されているものとする。
【0034】
このような反射型エタロン5に(図示しない入力光コリメータ4から)波長λの光(振幅を1とする)が入射角度θ(屈折角度φ)で入射する場合を考える。このとき、エタロン表面(部分反射膜5cの表面)で反射される光成分L0の振幅値はrである。又、共振器内を1往復してから出射される光成分L1の振幅値は−(1−r)であり、同2往復してから出射される光成分L2の振幅値は−r(1−r)であり、同3往復してから出射される光成分L3の振幅値は−r(1−r)である。このように、共振器内の往復回数が1回増すごとに、光成分はr倍だけ減衰してゆく。
【0035】
また、それぞれの光Li(i:0以上の整数)の成分の位相はΔ(≒4πnLcosφ/λ)倍ずつ異なり、経路は図7(a)中のx軸方向に(2Ltanφcosθ)倍ずつ異なる。ただし、x軸は、光の入射面内かつエタロン5からの反射光に垂直な直線上で、エタロンの部分反射膜5cの反射率が100%である場合のビーム中心位置をゼロ(原点)として入力光コリメータ4から遠ざかる方向をプラスとしている。この場合の光学系の損失は、これら全ての光成分について、出力光コリメータ6との結合効率を重ね合わせることにより求められる。
【0036】
図7(b)に示すような、入力光コリメータ4と出力光コリメータ6とからなる光学系であって、入力光コリメータ4および出力光コリメータ6のビーム半径がそれぞれW,Wであり、光軸間距離がdである光学系を想定する。このような光学系における入出力コリメータ4,6の結合効率ηは、ビームの広がりおよびコリメータ光軸の傾きズレが無視できるとした場合、一般的には、これらのW、Wおよびdを用いて以下の式1のように表すことができる。
【0037】
したがって、図7(a)において出力光コリメータ6の位置がxCである場合の、出力光コリメータ6に結合される光の振幅は、以上の関係を総合することにより式2で表すことができる。そして、この結合光の透過光強度は式2の振幅Aを用いて、式3のように表すことができる。因みに、光の群速度と位相速度との関係は式4のように表せることから、エタロン光学系の群遅延は式2の振幅Aの波長依存性を求め、その位相情報から算出することがきる。
【0038】
【数1】



【0039】
以上より、入力光コリメータ4からの光は一の反射型エタロン5で反射されてから出力光コリメータ6に導かれる光学系の透過光強度(つまり系の損失)は、エタロン5の共振器長(つまり式2における位相差Δ)に依存して変化することがわかる。
上述の説明においては、簡単のためエタロンを1枚だけ使用し光が1回だけ反射させるような光学系について検討したが、第1実施形態における可変分散補償器10(図6参照)のように、複数のエタロン5−1,5−2を組み合わせて用いる場合や折り返し構成により同じエタロンを複数回透過するような多段構成の場合も、上とほぼ同様の議論が成り立つ。即ち、上で示した式2に相当する式がやや複雑になるものの、エタロンの共振器長変化に依存して光学系の損失特性が変化する点については同様である。
【0040】
〔A4〕損失特性の劣化を抑制するための技術について
第1実施形態における可変分散補償器10は、上述のごとき共振器長に依存して変動する光学系の損失を、出力光コリメータ6の位置決め制御を通じて抑制できるようになっている。
すなわち、図6に示すように、位置決め制御部をなすCPU13およびメモリ14での駆動部12への制御を通じて出力光コリメータ6の位置xCを位置決め制御する。具体的には、分散補償特性のチューニングのためにエタロンの共振器長を変化させるたびに、式2(または式3)に準じた導出式から得られる振幅値が最大となるように(もしくは変動振幅つまりリップルが最小となるように)出力光コリメータ6の位置xCを位置決め制御する。
【0041】
前述したように、メモリ14には、上述の式2(又は式3)に準じた導出式から得られる、エタロン5−1,5−2の共振器長に応じた出力光コリメータ6の最適位置の値xCに関する情報(例えば、xC値に対応する駆動部12への制御量情報)を記憶しておく。これにより、CPU13においては、エタロン5−1,5−2への共振器長についての制御量に応じて、出力光コリメータ6の最適位置に位置決めするための駆動部12への制御量を得ることができるようになる。従って、CPU13から駆動部12への制御を通じ、分散補償特性(補償量)の変化にともなう光損失の劣化を最小限に抑えることができるようになっている。
【0042】
一例としての図8は、前述の図7(a)の反射型エタロン5を用いた1回反射光学系を想定して、反射型エタロン5の共振器長に応じた出力光コリメータ6の最適位置(グリッド波長における損失が最小となる位置)の関係を示す図である。即ち、この図8においては、光の入射角度θを1°,2°,3°、部分反射膜5cの入出力面の反射率Rを1%,3%,5%とした場合のバリエーションにおいて、共振器長(横軸)に応じて導出される適切な出力光コリメータ6の位置xC(縦軸)を示している。
【0043】
なお、例示的に、コリメータ4,6のビーム半径W、Wはともに100μmであるとし、エタロン5のFSRはいずれの場合も100GHzであるものとした。又、横軸に相当する共振器長については、エタロン5の光学厚さの変化について波長に対する割合として示した。
この図8から明らかなように、エタロン5の光学厚さが変化すると、出力光コリメータ6の最適位置(波長グリッドにおける損失が最小となる位置)はほぼ周期的に変化している。更に、最適位置に関して、図8からは、エタロン5の入出力面の反射率が0%であると仮定した場合のビーム到達位置(xC=2Ltanφcosθ)を中心として変動することもわかる。又、その変動の振幅は、入出力面の反射率が大きいほど大きく、光の入射角度が大きいほど大きい。尚、入射角度依存性に関してより厳密には、2Ltanφcosθがビーム半径に一致するときに最適コリメータ位置の変動が最大となる。
【0044】
そして、前述の対比例においては、損失特性を改善するためにはなるべく入射角度を小さくすることが求められていたが、ある程度の入射角度を設定しても、第1実施形態のごとき出力光コリメータ6の配置位置の調整を通じて損失特性が改善できる。これにより、エタロン5−1,5−2のエッジによるビームのケラレを避けるためにエタロン5−1,5−2の間隔を広く取るという要請が少なくなるため、装置全体としての規模の縮小化を期待できる。
【0045】
ここでの例示においても、説明の簡単のため、一のエタロン5を使用した1回反射の光学系を検討モデルとしたが、第1実施形態における可変分散補償器10における出力光コリメータ6の位置決め制御においても、同様の議論が成り立つ。更には、折り返し構成により同じエタロンを複数回透過するような多段構成の場合も同様である。
この場合においても、エタロン5−1,5−2の共振器長変化に伴いコリメータ6の最適位置がほぼ周期的に変化する点や、入射角度や膜の反射率に依存して最適コリメータ位置の変動量が大きくなる点などは、同様の振る舞いを見せる。又、複数のエタロン5−1,5−2を用いたり、折り返し多段構成を採用したりすることにより、最適位置の変動量はエタロン透過回数(段数)分だけ大きくなる。つまり、損失変動も大きい。
【0046】
即ち、複数のエタロン5−1,5−2を用いた光学系や、折り返し構成により同じエタロンを複数回透過するような多段構成の光学系とする場合おいては、上述のごとき位置決め制御を通じて、光損失の抑制効果をより大ならしめることが可能である。
〔A5〕損失特性の劣化の抑制効果について
つぎに、出力光コリメータ6の位置を固定している場合(図2参照)と、第1実施形態における可変分散補償器10のように出力光コリメータ6の位置決めを行なう場合とで、分散補償特性のチューニングに伴い発生する損失を対比する。
【0047】
まず、出力光コリメータ6を位置決め制御せずに固定している場合について説明する。
例として、前述の図2に示す可変分散補償器3において、低フィネスエタロンの群遅延ピークを波長グリッドに固定し、高フィネスエタロン5−2(R=7%)の共振器長を変化させることにより合成群遅延特性の傾きを制御する場合に生じる光損失について検討する。ここで、分散補償量が0ps/nmのとき(高フィネスエタロン5−2の群遅延特性のボトムと波長グリッドが一致する場合)に、波長グリッドにおける損失が最小になるように出力光コリメータ6の位置を固定しておく。
【0048】
図9は、出力光コリメータ6の位置を当該位置に固定したままで高フィネスエタロン5−2の共振器長を制御して分散補償特性を変化させた場合の群遅延特性の変化を示す図であり、図10はそのときの損失スペクトルの変化を示す図である。図10に示すように、グリッド波長λgrに着目すると、共振器長を変化させることに伴い(−0.3λ〜+0.3λ)、光損失(dB)が少なからず劣化する方向に変動していることを読み取ることができる。
【0049】
つぎに、図6に示す第1実施形態における可変分散補償器10において、分散補償量を変化させるたびに波長グリッドにおける損失値が最小となるように出力光コリメータ6の位置(またはエタロン位置、ビーム位置)を毎回調整した場合に生じる光損失を検討する。図11は、分散補償量を変化させるたびに出力光コリメータ6の位置を位置決め制御により調整した場合の出力光の群遅延特性の変化を示す図であり、図12はそのときの損失スペクトルの変化を示す図である。この図12に示すものにおいては、グリッド波長λgrに着目すると、光損失(dB)の変動についてはほとんど生じない程度に変動を抑制させていることを読み取ることができる。
【0050】
したがって、図10に示すように、出力光コリメータ6やエタロン5等の光学部品を固定する可変分散補償器3では、分散補償量のチューニングに伴う損失変動が少なからず発生してしまう。
これに対し、第1実施形態における可変分散補償器10においては、図12に示すように、損失特性劣化を最小限に抑えることが可能となる。図13は、図10,図12において得られる結果を分散補償量と波長グリッドにおける損失値との観点から纏め直したものである。この例の場合、最大で光損失の値を1/8に抑えられることがわかる。
【0051】
このように、第1実施形態によれば、分散補償量を可変する場合において、損失特性劣化を最小限に抑えることが可能となる利点がある。
また、装置全体としての規模を縮小化させることもできるという利点がある。
なお、上述の説明においても、エタロン5−1,5−2を1回ずつ透過するような1段構成について検討したが、種々の変形に対しても同様に光損失の低減効果を説明できる。例えば、図14に示すように、向かい合う複数のエタロン5−1,5−2間を何度も往復するような光学系を採用する場合においても、損失の低減効果としては同様に説明できる。
【0052】
このような光学系においては、1段構成の場合に比べて分散補償量を拡大することが容易である。このように多段化した場合、これまで述べた特性チューニングにともなう損失特性劣化(または損失リップル特性の劣化)は多段化の段数分だけ大きくなる。従って、このような多段化された可変分散補償器においては、上述の位置決め制御を通じた光損失の低減効果をより大ならしめることが可能である。
【0053】
なお、第1実施形態においては、位置決めステージ11において出力光コリメータ6の移動調整により位置決めを行っているが、入力光コリメータ4についての移動調整により位置決めを行なうこととしてもよい。このようにしても、光損失が抑制されることが可能である。入力光コリメータ4の位置が図6からの光がエタロン5−1,5−2の入射側面(反射膜5c)での反射を介して出力光コリメータ6の側に出力される際の光軸位置と、出力光コリメータ6の配置位置との相対位置関係を、制御される群遅延特性に対応づけて位置決めすることが可能であるからである。
【0054】
〔B〕第2実施形態
図15は第2実施形態にかかる可変分散補償器20を示す図である。この図15に示す可変分散補償器20は、前述の第1実施形態における可変分散補償器10の場合における位置決め制御に相当する制御の態様が異なっている。具体的には、分散補償量に応じて、2つの反射型エタロン5−1,5−2のうちの少なくとも一方(この場合には反射型エタロン5−2)の配置位置を移動調整する制御を行なっている。尚、図15中において図6と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0055】
また、出力光コリメータ6については、前述の第1実施形態の場合とは異なり、例えば反射型エタロン5−1,5−2間の距離をある基準値に設定したときに入力光コリメータ4からの光がエタロン5−1,5−2の入射側面(反射膜5c)での反射を介して出力光コリメータ6の側に出力される際の光軸位置に設定しておく。尚、このときのエタロン5−2の位置を基準位置とする。
【0056】
そして、反射型エタロン5−1,5−2間の距離を反射型エタロン5−2を移動させることにより調整することにより、各エタロン5−1,5−2の入射面側での反射により得られる出力光ビームの光軸と出力光コリメータ6の光軸との相対位置関係が調整される。この反射型エタロン5−2の配置位置の調整を通じて、出力光コリメータ6へ結合する光の光損失を抑制できるようになる。
【0057】
このため、第2実施形態においては、図6に示す位置決めステージ11に代えて、反射型エタロン5−2の配置位置を反射面について平行を保持しながら移動させる位置決めステージ21をそなえている。又、駆動部22は、CPU23からの制御を受けて位置決めステージ21を駆動するものである。
なお、CPU23は第1実施形態と同様に、コマンドに応じた分散補償量を設定すべく温度制御部9−1,9−2を制御するとともに、この分散補償量に応じてメモリ24を参照することにより駆動部22を制御する。反射型エタロン5−2を移動させる方式を採用する場合、エタロン5−1,5−2間の距離(D)の変化に対する出力ビームの移動量xとの関係は以下の式5で表せる。ただし、折り返しによる多段化の段数をNで表した。
【0058】
【数2】



【0059】
すなわち、メモリ24においては、分散補償量の設定値に対応して、光損失を最適に抑制できる出力光ビーム位置xについて記憶しておく。更に、式5に応じて、当該出力光ビーム位置xを実現するための制御パラメータとして、駆動部22への制御パラメータとなるエタロン5−2の上述の基準位置に対する移動量情報として記憶しておく。本実施形態においては、エタロン5−1については固定に配置されるので、このエタロン5−2の基準位置に対する移動量を、式5で得られるエタロン間距離Dに対応付けることができる。
【0060】
なお、出力光ビーム位置xについては、上述のごとく固定に配置された出力光コリメータ6の光軸に対する、エタロン5−2の移動により設定されたエタロン間距離Dに応じた出力光ビームの光軸の相対位置関係として把握できる。即ち、CPU23がメモリ24を参照して駆動部22を制御することを通じて、出力光ビームの移動量xに対応づけて反射型エタロン5−2が位置決めすることができる。換言すれば、反射型エタロン5−1,5−2間の距離を、分散補償量(群遅延特性)に応じて光損失を所期の量(最適に抑制する量)とするような出力光ビームの移動量xを実現する距離とすることができる。
【0061】
また、通常、入力光コリメータ4からの入射角θはたかだか数度程度の値であることから、式5の右辺は(Nの大きさにもよるが)1より小さな値となる。図6に示すようなコリメータ6の位置を可変させるものよりも、図15に示すようなエタロン5−1,5−2間の距離を可変させるもののほうが移動距離に対する光軸間距離の変化が小さい。すなわち、第2実施形態の可変分散補償器20は、第1実施形態の可変分散補償器10よりも、位置あわせのトレランスが大きく、より精度の高い損失管理が行える。
【0062】
したがって、上述の位置決めステージ21および駆動部22は、入力光コリメータ4からの光が反射型エタロン5−1,5−2のそれぞれの入射側面5cでの反射を介して出力光コリメータ6に向けて出力される際の光軸位置と出力光コリメータ6との相対位置関係を位置決めする位置決め部の一例である。又、CPU23およびメモリ24は、上述の相対位置関係が、当該CPU23で制御する群遅延特性(分散補償量)に対応づけて設定された位置関係となるように駆動部12を制御する位置決め制御部の一例である。
【0063】
この場合においては、位置決め部としての位置決めステージ21および駆動部22は、群遅延特性付与部をなす反射型エタロン5−1,5−2の移動調整により上述の位置決めを行なっている。尚、本実施形態においては、一方の反射型エタロン5−2についての移動調整により位置決めを行なっているが、他方の反射型エタロン5−1についての移動調整により位置決めを行なってもよく、又双方のエタロン5−1,5−2についての移動調整により行なうこととしてもよい。
【0064】
また、メモリ24は、位置決め部をなす位置決めステージ21および駆動部22において位置決めするための制御情報を、反射型エタロン5−1,5−2における群遅延特性に対応して記憶する記憶部の一例である。更に、CPU23は、群遅延特性制御部をなす反射型エタロン5−1,5−2で制御する群遅延特性(分散補償量)に応じて、メモリ24の内容を参照することにより、位置決め部をなす駆動部22への制御指示を行なう制御指示部の一例である。
【0065】
このように、第2実施形態によれば、前述の第1実施形態の場合と同様、分散補償量を可変する場合において、装置規模の縮小化を図りつつ、損失劣化を最小限に抑えることが可能となる利点があるほか、第1実施形態の場合よりも損失劣化の抑制のための制御を高精度に行なうことができる利点もある。
〔C〕第3実施形態の説明
図16(a),図16(b)は第3実施形態にかかる可変分散補償器30を示す図であり、図16(a)はその模式的上視図、図16(b)はその模式的正視図である。この図16(a),図16(b)に示す可変分散補償器30は、前述の第1,第2実施形態における可変分散補償器10,20の場合における位置決め制御に相当する制御の態様が異なっている。具体的には、分散補償量に応じて、出力光コリメータ6に結合される出力光ビームの光軸位置をビーム位置制御板31で制御する。尚、図16(a),図16(b)中において図6と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0066】
ここで、第3実施形態にかかる可変分散補償器30においては、筐体39に入力光コリメータ4,反射型エタロン5−1,5−2および出力光コリメータ6とともに、ビーム位置制御板31,ビーム位置制御板31の角度を調整する角度調整機構32aが配置固定される。尚、第3実施形態における可変分散補償器30では、入力光コリメータ4から入射された光は、反射型エタロン5−1,5−2間を反射により4往復してから、ビーム位置制御板31を介して出力光コリメータ6に出力される。
【0067】
さらに、可変分散補償器30においては、角度調整機構32aを駆動する駆動部32b,CPU33およびメモリ34をそなえている。尚、図16(b)中においては、電源8−1,8−2,温度制御部9−1,9−2,駆動部32b,CPU33およびメモリ34については図示を省略している。
ビーム位置制御板31は、例えばエタロン5−1,5−2での反射を通じて出射された光を通過させる透明板からなり、その角度が制御されることによりエタロン5−2からの出力光ビームの光軸位置を直接にシフトさせることができる。又、角度調整機構32aは、駆動部32bからの駆動制御を受けて、ビーム位置制御板31の角度を例えばモータ動力またはピエゾ素子を適用した動力等により可動調整する。
【0068】
さらに、CPU33は、メモリ34を参照することにより、コマンド等により設定される分散補償量に応じて温度制御部9−1,9−2での温度調整を制御するとともに、当該分散補償量に対応して駆動部32bへの制御量を与える。
すなわち、メモリ34においては、前述の式2に準じた式(2つのエタロン5−1,5−2が4回ずつ反射する光学系に適合した、出力光ビームの光軸位置xに応じた結合効率を導出する式))に基づいて、分散補償量の設定値に対応して、光損失を最適に抑制できる出力光ビーム位置xについて記憶しておく。更に、当該出力光ビーム位置xを実現するための制御パラメータとして、駆動部32bへの制御パラメータとなる角度情報を記憶しておく。
【0069】
これにより、CPU33がメモリ34を参照して駆動部32aを制御することを通じて、光損失を最適とする出力光ビームの移動量xが得られるようにビーム位置制御板31の角度が設定される。
したがって、上述のビーム位置制御板31,角度調整機構32aおよび駆動部32bは、入力光コリメータ4からの光が反射型エタロン5−1,5−2のそれぞれの入射側面5cでの反射を介して出力光コリメータ6に向けて出力される際の光軸位置と出力光コリメータ6との相対位置関係を位置決めする位置決め部の一例である。又、CPU33およびメモリ34は、上述の相対位置関係が、当該CPU33で制御する群遅延特性(分散補償量)に対応づけて設定された位置関係となるように駆動部32bを制御する位置決め制御部の一例である。
【0070】
なお、この場合においては、位置決め部としてのビーム位置制御板31,角度調整機構32aおよび駆動部32bは、出力光コリメータ6に導かれる光の光軸位置の移動調整により上述の位置決めを行なっているのである。
また、メモリ34は、位置決め部をなすビーム位置制御板31,角度調整機構32aおよび駆動部32bにおいて位置決めするための制御情報を、反射型エタロン5−1,5−2における群遅延特性に対応して記憶する記憶部の一例である。更に、CPU33は、群遅延特性制御部をなす反射型エタロン5−1,5−2で制御する群遅延特性(分散補償量)に応じて、メモリ34の内容を参照することにより、位置決め部をなす駆動部32bへの制御指示を行なう制御指示部の一例である。
【0071】
このように、第3実施形態においても、前述の第1実施形態の場合と同様、装置規模の縮小化を図りつつ、分散補償量を可変する場合において、損失劣化を最小限に抑えることが可能となる。
〔D〕第4実施形態の説明
図17(a),図17(b)は第4実施形態にかかる可変分散補償器40を示す図であり、図17(a)はその模式的上視図、図17(b)はその模式的正視図である。この図17(a),図17(b)に示す可変分散補償器40は、前述の第1〜第3実施形態における可変分散補償器10,20,30の場合における光学系の配置と、位置決め制御に相当する制御の態様が異なっている。尚、図17(a),図17(b)中において図6と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0072】
ここで、第4実施形態にかかる可変分散補償器40においては、筐体49に入力光コリメータ44,反射型エタロン5−1,5−2および出力光コリメータ46とともに、反射ミラー41,反射ミラー41の配置位置を例えばモータ動力またはピエゾ素子を適用した動力等により調整する調整機構42aが配置固定される。更に、調整機構42aを駆動する駆動部42b,CPU47およびメモリ48をそなえている。尚、図17(b)中においては、電源8−1,8−2,温度制御部9−1,9−2,駆動部42b,CPU47およびメモリ48については図示を省略している。
【0073】
第4実施形態における可変分散補償器40においては、入力光コリメータ44および出力光コリメータ46が互いに並んで筐体49に配置固定されている。そして、入力光コリメータ44から出力された光が2枚の反射型エタロン5−1,5−2間を4往復して出射された後、反射ミラー41によって反射されて再び反射型エタロン5−1,5−2間を4往復してから出力光コリメータ46に導かれる。
【0074】
したがって、反射ミラー41は、群遅延特性付与部をなす反射型エタロン5−1,5−2から出力される光を反射させて、入力光コリメータ44および出力光コリメータ46との間において、反射型エタロン5−1,5−2を経由した往復光路を形成する反射部材の一例である。
反射ミラー41は、例えばコーナキューブ又はリトロリフレクタ等からなり、調整機構42aでの配置位置の調整を通じて、エタロン5−2から入射する光に対して反射した光の光軸の相対位置を可動調整する。駆動部42bはCPU47からの制御を受けて位置調整機構42aを駆動する。
【0075】
調整機構42aにおいては、具体的には、反射光の光軸について、入射光に対する平行を保ったまま、例えば図17(a)に示す方向Ax1に可動調整されるように、反射ミラー41の配置位置又は角度について可動調整する。反射ミラー41での反射光の光軸について方向Ax1について可動調整することにより、出力光コリメータ46に入射される光は、その光軸を、方向Ax1に対応する方向Ax2について可動調整されることになる。
【0076】
さらに、CPU47は、前述の各実施形態の場合と基本的に同様に、メモリ48を参照することにより、コマンド等により設定される分散補償量に応じて温度制御部9−1,9−2での温度調整を制御するとともに、当該分散補償量に対応して駆動部42bへの制御量を与えるようになっている。
すなわち、メモリ48においては、前述の式2に準じた式(2つのエタロン5−1,5−2が4回ずつ反射する光学系に適合した、出力光ビームの光軸位置xに応じた結合効率を導出する式)に基づいて、分散補償量の設定値に対応して、光損失を最適に抑制できる出力光ビーム位置xについて記憶しておく。更に、当該出力光ビーム位置xを実現するための制御パラメータとして、駆動部42bへの制御パラメータとなる調整機構42aへの制御量情報を記憶しておく。
【0077】
これにより、CPU47がメモリ48を参照して駆動部42aを制御することを通じて、光損失を最適とする出力光ビームの移動量xが得られるように反射ミラー41の配置が設定される。
したがって、上述の反射ミラー41,調整機構42aおよび駆動部42bは、入力光コリメータ44からの光が反射型エタロン5−1,5−2のそれぞれの入射側面5cでの反射を介して出力光コリメータ46に向けて出力される際の光軸位置と出力光コリメータ6との相対位置関係を位置決めする位置決め部の一例である。又、CPU47およびメモリ48は、上述の相対位置関係が、当該CPU47で制御する群遅延特性(分散補償量)に対応づけて設定された位置関係となるように駆動部42bを制御する位置決め制御部の一例である。
【0078】
なお、この場合には、位置決め部としての位置決め動作を、反射ミラー41,調整機構42aおよび駆動部42bは、出力光コリメータ6に導かれる光の光軸位置Ax2の移動調整を、反射ミラー41での反射光の光軸位置Ax1の調整を通じて実現している。
また、メモリ48は、位置決め部をなす反射ミラー41,調整機構42aおよび駆動部42bにおいて位置決めするための制御情報を、反射型エタロン5−1,5−2における群遅延特性に対応して記憶する記憶部の一例である。更に、CPU47は、群遅延特性制御部をなす反射型エタロン5−1,5−2で制御する群遅延特性(分散補償量)に応じて、メモリ48の内容を参照することにより、位置決め部をなす駆動部42bへの制御指示を行なう制御指示部の一例である。
【0079】
このように、第4実施形態においても、前述の第1実施形態の場合と同様、装置規模の縮小化を図りつつ、分散補償量を可変する場合において、損失劣化を最小限に抑えることが可能となる。
〔E〕その他
上述の各実施形態においては、群遅延特性付与部をなす反射型エタロン5−1,5−2としては複数そなえたものについて例示しているが、一枚の反射型エタロンと当該反射型エタロンに対向するミラーとをそなえた場合においても、前述のA3で説明したように、分散補償量に応じて出力光ビームの光軸と出力光コリメータ6の光軸に対する相対位置関係を位置決めすることで、光損失を低減させることが可能である点で有益である。
【0080】
〔F〕付記
(付記1)
入力光を導入する入力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光について反射による光路を形成するように複数の反射型エタロンが対向して配置されて、前記複数の反射型エタロンでの反射により前記光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部と、
該群遅延特性付与部で可変の群遅延特性が与えられた光を受ける出力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光をなす光信号について分散補償すべく、該群遅延特性付与部での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部と、
該入力光コリメータからの光が該複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部と、
前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部と、をそなえたことを特徴とする、可変分散補償器。
【0081】
(付記2)
該位置決め部は、該入力光コリメータ又は出力光コリメータが配置される位置の移動調整により前記位置決めを行なうことを特徴とする、付記1記載の可変分散補償器。
(付記3)
該位置決め部は、該群遅延特性付与部の配置位置の移動調整により前記位置決めを行なうことを特徴とする、付記1記載の可変分散補償器。
【0082】
(付記4)
該位置決め部は、該出力光コリメータに導かれる光の光軸位置の移動調整により前記位置決めを行なうことを特徴とする、付記1記載の可変分散補償器。
(付記5)
該位置決め制御部は、
前記位置決め部において位置決めするための制御情報を、該群遅延特性付与部における前記群遅延特性に対応して記憶する記憶部と、
該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に応じて、該記憶部の内容を参照することにより、該位置決め部への制御指示を行なう制御指示部と、をそなえたことを特徴とする、付記1記載の可変分散補償器。
【0083】
(付記6)
該位置決め部は機械式の位置決め機構を含むことを特徴とする、付記2〜4のいずれか1項記載の可変分散補償器。
(付記7)
該位置決め部はピエゾ素子を含むことを特徴とする、付記2〜4のいずれか1項記載の可変分散補償器。
【0084】
(付記8)
該位置決め部は、
該群遅延特性付与部からの光を通過させる透明板と、
該透明板の角度を可動調整する角度調整機構と、を含むことを特徴とする、付記4記載の可変分散補償器。
【0085】
(付記9)
該位置決め部は、
該群遅延特性付与部から出力される光を反射させて、該入力光コリメータおよび該出力光コリメータとの間において、該群遅延特性付与部を経由した往復光路を形成する反射部材と、
該反射部材の反射角度を可動調整する角度調整機構と、を含むことを特徴とする付記4記載の可変分散補償器。
【0086】
(付記10)
該群遅延特性制御部は、該群遅延特性付与部をなす該複数の反射型エタロンのうちの少なくとも一つにおける共振器長を可変することを特徴とする、付記1記載の可変分散補償器。
(付記11)
該群遅延特性制御部は、該複数の反射型エタロンのうちの2つ以上における共振器長を独立に可変することを特徴とする、付記10記載の可変分散補償器。
【0087】
(付記12)
該群遅延特性制御部は、該群遅延特性付与部の温度を制御することにより、前記共振器長を可変することを特徴とする、付記10記載の可変分散補償器。
(付記13)
入力光を導入する入力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光について反射による光路を形成するように反射型エタロンが配置されて、前記反射型エタロンでの反射により前記光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部と、
該群遅延特性付与部で可変の群遅延特性が与えられた光を受ける出力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光をなす光信号について分散補償すべく、該群遅延特性付与部での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部と、
該入力光コリメータからの光が該反射型エタロンの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部と、
前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部と、をそなえたことを特徴とする、可変分散補償器。
【0088】
(付記14)
入力光コリメータから導入された光に対し、複数の反射型エタロンでの反射により分散補償のための群遅延特性を与えて出力光コリメータに導く可変分散補償器の制御方法であって、
該複数の反射型エタロンで与える前記群遅延特性を制御し、
前記入力光コリメータからの光が前記複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して前記出力光コリメータの側に出力される際の光軸位置と、前記出力光コリメータとの相対位置関係を、該制御する前記群遅延特性に対応づけて位置決め制御する、
ことを特徴とする、可変分散補償器の制御方法。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】(a)は波長分散について説明する図であり、(b)は分散補償器の機能について説明する図である。
【図2】本実施形態の対比例としての可変分散補償器を示す図である。
【図3】対比例としての可変分散補償器の機能について説明するための図である。
【図4】対比例としての可変分散補償器の機能について説明するための図である。
【図5】(a),(b)はともに対比例としての可変分散補償器の機能について説明するための図である。
【図6】第1実施形態の可変分散補償器を示す図である。
【図7】(a),(b)はともに第1実施形態の可変分散補償器の機能について説明するための図である。
【図8】第1実施形態の可変分散補償器の機能について説明するための図である。
【図9】出力光コリメータの位置を当該位置に固定したままで高フィネスエタロンの共振器長を制御して分散補償特性を変化させた場合の群遅延特性の変化を示す図である。
【図10】出力光コリメータの位置を当該位置に固定したままで高フィネスエタロンの共振器長を制御して分散補償特性を変化させた場合の損失スペクトルの変化を示す図である。
【図11】分散補償量を変化させるたびに出力光コリメータの位置を位置決め制御により調整した場合の出力光の群遅延特性の変化を示す図である。
【図12】分散補償量を変化させるたびに出力光コリメータの位置を位置決め制御により調整した場合の損失スペクトルの変化を示す図である。
【図13】図10,図12において得られる結果を分散補償量と波長グリッドにおける損失値との観点から纏め直した図である。
【図14】第1実施形態の変形例を説明するための図である。
【図15】第2実施形態の可変分散補償器を示す図である。
【図16】(a),(b)はともに第3実施形態の可変分散補償器を示す図である。
【図17】(a),(b)はともに第4実施形態の可変分散補償器を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 光ファイバ
2 分散補償器
3 可変分散補償器
4 入力光コリメータ
5−1,5−2 反射型エタロン
5a エタロン基板
5b 全反射膜
5c 部分反射膜
6 出力光コリメータ
7−1,7−2 ペルチェ素子
8−1,8−2 電源
9−1,9−2 温度制御部
10,20,30,40 可変分散補償器
11 位置決めステージ
12,22,32b,42b 駆動部
13,23,33,47 CPU
14,24,34,48 メモリ
31 ビーム位置制御板
32a 角度制御機構
39,49 筐体
42a 調整機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光を導入する入力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光について反射による光路を形成するように複数の反射型エタロンが対向して配置されて、前記複数の反射型エタロンでの反射により前記光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部と、
該群遅延特性付与部で可変の群遅延特性が与えられた光を受ける出力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光をなす光信号について分散補償すべく、該群遅延特性付与部での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部と、
該入力光コリメータからの光が該複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部と、
前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部と、をそなえたことを特徴とする、可変分散補償器。
【請求項2】
該位置決め部は、該入力光コリメータ又は出力光コリメータが配置される位置の移動調整により前記位置決めを行なうことを特徴とする、請求項1記載の可変分散補償器。
【請求項3】
該位置決め部は、該群遅延特性付与部の配置位置の移動調整により前記位置決めを行なうことを特徴とする、請求項1記載の可変分散補償器。
【請求項4】
該位置決め部は、該出力光コリメータに導かれる光の光軸位置の移動調整により前記位置決めを行なうことを特徴とする、請求項1記載の可変分散補償器。
【請求項5】
該位置決め制御部は、
前記位置決め部において位置決めするための制御情報を、該群遅延特性付与部における前記群遅延特性に対応して記憶する記憶部と、
該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に応じて、該記憶部の内容を参照することにより、該位置決め部への制御指示を行なう制御指示部と、をそなえたことを特徴とする、請求項1記載の可変分散補償器。
【請求項6】
該群遅延特性制御部は、該群遅延特性付与部をなす該複数の反射型エタロンのうちの少なくとも一つにおける共振器長を可変することを特徴とする、請求項1記載の可変分散補償器。
【請求項7】
該群遅延特性制御部は、該複数の反射型エタロンのうちの2つ以上における共振器長を独立に可変することを特徴とする、請求項6記載の可変分散補償器。
【請求項8】
該群遅延特性制御部は、該群遅延特性付与部の温度を制御することにより、前記共振器長を可変することを特徴とする、請求項6記載の可変分散補償器。
【請求項9】
入力光を導入する入力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光について反射による光路を形成するように反射型エタロンが配置されて、前記反射型エタロンでの反射により前記光に対し可変の群遅延特性を与える群遅延特性付与部と、
該群遅延特性付与部で可変の群遅延特性が与えられた光を受ける出力光コリメータと、
該入力光コリメータから導入された光をなす光信号について分散補償すべく、該群遅延特性付与部での前記群遅延特性を制御する群遅延特性制御部と、
該入力光コリメータからの光が該反射型エタロンの入射側面での反射を介して該出力光コリメータに向けて出力される際の光軸位置と該出力光コリメータとの相対位置関係を位置決めする位置決め部と、
前記相対位置関係が、該群遅延特性制御部で制御する前記群遅延特性に対応づけて設定された位置関係となるように該位置決め部を制御する位置決め制御部と、をそなえたことを特徴とする、可変分散補償器。
【請求項10】
入力光コリメータから導入された光に対し、複数の反射型エタロンでの反射により分散補償のための群遅延特性を与えて出力光コリメータに導く可変分散補償器の制御方法であって、
該複数の反射型エタロンで与える前記群遅延特性を制御し、
前記入力光コリメータからの光が前記複数の反射型エタロンのそれぞれの入射側面での反射を介して前記出力光コリメータの側に出力される際の光軸位置と、前記出力光コリメータとの相対位置関係を、該制御する前記群遅延特性に対応づけて位置決め制御する、
ことを特徴とする、可変分散補償器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−32630(P2010−32630A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192391(P2008−192391)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人情報通信研究機構、「経済的な光ネットワークを実現する高機能集積化光スイッチングノードの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】