説明

可変容量型プランジャポンプ装置

【課題】吐出量を調整する機構を小型、簡単化することができるポンプ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング2と、プランジャ部材3と、加圧室4等を備えたポンプ装置1において、プランジャ部材3にその軸心と平行に形成されたロッド挿入孔31と、ハウジング2の先端部分の挿入穴22d,22eから加圧室42を貫通してロッド挿入孔31に位置調節可能に挿入された制御ロッド5と、制御ロッド5の長さ方向途中部分の内部に形成されたロッド内通路30と、このロッド内通路30の先端部を吸入ポート25aに連通させるハウジング内通路32aと、ロッド内通路30の基端部を加圧室4に連通可能な基端開口30bとを有し且つ加圧室4と吸入ポート25とを連通可能なバイパス通路6とを備え、制御ロッド5の軸心方向位置を調節することで、作動油の吐出量を可変に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャ部材に形成した挿入孔に挿入した制御ロッドの位置を調節することにより吐出量を調整可能な可変容量型プランジャポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンと油圧ポンプとを一体化した油圧式フリーピストンエンジンが提案されている。油圧式フリーピストンエンジンは、エンジンのピストンで直接駆動されると共にその油圧を蓄積可能なポンプ装置と、このポンプ装置から供給される一定圧力の油圧により駆動される可変容量型油圧モータとにより構成されている。
【0003】
従来より、流体圧を発生させる可変容量型プランジャポンプが知られている。特許文献1の背景技術の欄(図9参照)には、薬液等の吐出量を精密に制御するための、可変容量型プランジャポンプを介して流体の吐出量を可変にしたダイヤフラムポンプの典型的な例が開示されている。
【0004】
前記の可変容量型プランジャポンプは、一定ストローク往復移動可能なプランジャ部材と、プランジャ部材を往復駆動する駆動手段と、このプランジャ部材の端部から内部に形成された空洞孔と、この空洞孔の奥端を外周部に連通する連通孔と、このプランジャ部材に摺動自在に外嵌されたスリーブ部材と、このスリーブ部材の軸心方向位置を調節するラック・ピニオン機構を含む位置調節手段と、プランジャ部材の往動により流体を加圧可能な流体室と、吸入ポートから流体室への流れのみを許容する吸入側逆止弁と、流体室から吐出ポートへの流れのみを許容する吐出側逆止弁とを備え、前記連通孔を閉鎖可能なスリーブ部材の閉鎖位置を変更することで吐出量を調整している。
【0005】
前記の可変容量型プランジャポンプのように、プランジャ部材の往復移動ストロークを変更することなく、プランジャ部材の移動途中位置まで流体加圧動作を無効化するロストモーション機構を備えた可変吐出量型プランジャポンプでは、スリーブ部材の軸心方向長さをプランジャ部材のストローク長と連通孔を閉鎖するためのシール長とを合算した長さに設定している。
【0006】
それ故、プランジャ部材の軸心方向長さを、スリーブ部材の軸心方向長さとスリーブ部材の移動量とを合わせた長さ以上に設定する必要があり、プランジャポンプの大型化を招いていた。そこで、プランジャポンプによるロストモーション機能を維持しながら、ポンプ装置の小型化を図る種々の構造が提案されている。
【0007】
特許文献1の実施例のプランジャポンプ(図1〜図3参照)においては、前記スリーブ部材の代わりに、プランジャ部材の外周部上を摺動するスリーブ状の開口部閉鎖部材と、この開口部閉鎖部材に摺動自在に外嵌されて開口部閉鎖部材の摺動範囲を決定可能な外部スリーブと、開口部閉鎖部材を付勢するコイルバネとを設けている。このプランジャポンプでは、開口部閉鎖部材がプランジャ部材の往復移動に連動して移動可能に構成されているため、スリーブ部材の軸心方向長さを短縮化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−122131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の実施例のプランジャポンプでは、外側スリーブ、開口部閉鎖部材、コイルバネ等のように新規に設計する部材が必要となるため、部品点数の増加を招き、構造が複雑化する虞がある。しかも、開口部閉鎖部材を含めて各部材が、プランジャ部材の外周側に配置されているため、プランジャ部材の外周側に各部材を配置するためのスペースを確保する必要がある。
特に、特許文献1のプランジャポンプは、小容量の低圧のポンプに適するものの、種々の理由により、車両等を駆動する大容量の油圧モータに供給するような高圧の油圧を発生させるポンプには適していない。
【0010】
本発明の目的は、吐出量を調節する機構を小型、簡単化した可変容量型プランジャポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の可変容量型プランジャポンプ装置は、ハウジングと、このハウジングに形成したプランジャ作動孔と、このプランジャ作動孔に往復移動可能に挿入され且つ先端部にプランジャ部を備えたプランジャ部材と、前記プランジャ作動孔内にプランジャ部材により液体を加圧可能に形成した液体加圧室と、吸入ポートから前記液体加圧室へ連なる吸入通路に設けられた吸入用逆止弁と、前記液体加圧室から吐出ポートへ連なる吐出通路に設けられた吐出用逆止弁とを備えた可変容量型プランジャポンプ装置において、前記プランジャ部材にその先端から基端側へ延びるように前記プランジャ部材の軸心と平行に形成されたロッド挿入孔と、前記ハウジングの先端部分の挿入穴から前記液体加圧室を貫通してロッド挿入孔に摺動自在に且つ前記軸心方向に位置調節可能に挿入された制御ロッドと、前記制御ロッドの長さ方向途中部分の内部に形成されたロッド内通路と、このロッド内通路の先端部を吸入ポートに連通させる還流通路と、前記ロッド内通路の基端部を前記液体加圧室に連通可能な基端通路とを有するバイパス通路であって前記液体加圧室と吸入ポートとを連通可能なバイパス通路とを備え、前記制御ロッドの軸心方向位置を調節することで、吐出量を可変に構成したことを特徴としている。
【0012】
請求項2の可変容量型プランジャポンプ装置は、請求項1において、前記還流通路は、前記ハウジング内において制御ロッドの外側近傍に形成され且つ前記ロッド内通路の先端部が常時連通するように形成されたハウジング内通路を有することを特徴としている。
【0013】
請求項3の可変容量型プランジャポンプ装置は、ハウジングと、このハウジングに形成したシリンダ孔と、このシリンダ孔に往復移動可能に挿入され且つ先端部にプランジャ部を備えたプランジャ部材と、前記シリンダ孔内にプランジャ部材により液体を加圧可能に形成した液体加圧室と、吸入ポートから前記液体加圧室へ連なる吸入通路に設けられた吸入用逆止弁と、前記液体加圧室から吐出ポートへ連なる吐出通路に設けられた吐出用逆止弁とを備えた可変容量型プランジャポンプ装置において、前記プランジャ部材にその先端から基端側へ延びるように前記プランジャ部材の軸心と平行に形成されたロッド挿入孔と、前記ハウジングの先端部分の挿入穴から前記液体加圧室を貫通してロッド挿入孔に摺動自在に且つ前記軸心方向に位置調節可能に挿入された制御ロッドと、前記制御ロッドの長さ方向途中部分の外周部に形成されたロッド外周側通路と、前記プランジャ部材のプランジャ部より基端側の長さ方向途中部分の外周部に形成されたプランジャ外周側通路と、前記プランジャ外周側通路の先端近傍部でロッド外周側通路をプランジャ外周側通路に連通させる連通孔と、前記プランジャ外周側通路を吸入ポートに連通する還流通路とを有するバイパス通路であって前記液体加圧室と吸入ポートとを連通可能なバイパス通路とを備え、前記制御ロッドの軸心方向位置を調節することで、吐出量を可変に構成したことを特徴としている。
【0014】
請求項4の可変容量型プランジャポンプ装置は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記吸入ポートに連通された吸入側アキュムレータと、前記吐出ポートに連通された吐出側アキュムレータとを有することを特徴としている。
請求項5の可変容量型プランジャポンプ装置は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記プランジャ部材の軸心と直交する軸心を有すると共に対向状に配置された1対の往復動エンジンによって、リンク機構を介して前記プランジャ部材を往復駆動するように構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項6の可変容量型プランジャポンプ装置は、請求項5の発明において、前記リンク機構のプランジャ部材を連結する連結部と反対側の連結部に、クランク機構を介してフライホイールを連結し、前記1対の往復動エンジンの作動を円滑にするように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、プランジャ部材にその先端から基端側へ延びるロッド挿入孔を形成し、このロッド挿入孔を利用して制御ロッドを配置するため、プランジャ部材の外周側に吐出量可変機能を得るための各部材の配置スペースを確保する必要がなく、プランジャ部材と制御ロッドとバイパス通路等で吐出量を調節する機構を構成できるため、部品点数を少なくし、構造を簡単化し、ポンプ装置を小型化することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ハウジング内通路を介して前記還流通路の構成を簡単化することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、基本的に請求項1と同様の効果が得られる。
【0019】
請求項4の発明によれば、吸入側アキュムレータにより吸入ポート付近に発生する脈圧を吸収することができ、また、吐出側アキュムレータにより吐出ポート付近に発生する脈圧を吸収することができるうえ、吐出ポートから吐出される流体のうちの余剰加圧流体を吐出側アキュムレータにより蓄積することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、エンジンからプランジャ部材への駆動力の伝達能率を高く維持することができる。
請求項6の発明によれば、エンジン及びポンプ装置の作動を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1に係る往復動エンジンとポンプ装置の縦断面図である。
【図2】最大吐出量状態のときのポンプ装置の縦断面図である。
【図3】最小吐出量状態のときのポンプ装置の縦断面図である。
【図4】エンジンユニットとポンプ装置の機構図である。
【図5】実施例1の変形例に係る電動モータとポンプ装置の機構図である。
【図6】実施例2に係るポンプ装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。尚、図において左右方向を左右方向とし、上下方向を上下方向として説明する。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例1について図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施例は、エンジンユニットEと可変容量型プランジャポンプ装置1と油圧モータMとにより、車両(図示略)を走行駆動する走行駆動手段を構成した場合の例である。可変容量型プランジャポンプ装置1は、複数の往復動エンジンを有するエンジンユニットEにより駆動され、加圧油を油圧モータMへ吐出可能な装置である。
【0024】
ポンプ装置1は、ハウジング2と、このハウジング2に形成されたプランジャ作動孔2aと、プランジャ部3aを備えプランジャ作動孔2a内を左右方向に一定ストローク往復移動可能なプランジャ部材3と、作動油(液体)を加圧可能な作動油加圧室4(液体加圧室)と、加圧油の吐出量を調節するための制御ロッド5及びバイパス通路6と、これら制御ロッド5とバイパス通路6とロッド位置調節手段7等を備えた吐出量可変機構(符号省略)などを備えている。さらに、ポンプ装置1は、車両のアクセルペダルからの指令に応じてエンジンユニットEとロッド位置調節手段7を制御する制御手段(図示略)を備えている。
【0025】
ハウジング2について説明する。
図1に示すように、ハウジング2は、その左側約半分を構成している略円筒状のハウジング本体部20と、このハウジング本体部20から右側へ延びる略円筒状のハウジング延長部21と、ハウジング延長部21の内部に固定された内部ハウジング22と、ハウジング本体部20及びハウジング延長部21から上方と下方へ突出するように形成された吸入ポート形成部23及び吐出ポート形成部24等を備えている。ハウジング本体部20には左右方向に延びるプランジャ作動孔2aが形成され、吸入ポート形成部23には吸入通路25が形成され、吐出ポート形成部24には吐出通路26が形成されている。
【0026】
プランジャ作動孔2aは、ハウジング本体部20を貫通する断面円形の孔に形成され、このプランジャ作動孔2aにプランジャ部材3が左右方向へ摺動自在に挿入されている。プランジャ作動孔2aの右端部は、上側へ延びる吸入通路25と、下側へ延びる吐出通路26とに連通されている。プランジャ作動孔2aのうちのプランジャ部3aより右側部分に作動油を加圧可能な作動油加圧室4(以下、加圧室という)が形成されている。
【0027】
吸入通路25の上端部に吸入ポート25aが形成され、吸入通路25の途中部に吸入用逆止弁27が設けられている。吸入ポート25aは、作動油が貯留された油タンクTに供給通路8を介して接続されている。吸入用逆止弁27は、吸入ポート25aとプランジャ作動孔2aとの間に設けられ、吸入ポート25aから加圧室4への作動油の流れのみを許容するように形成されている。この吸入用逆止弁27は、テーパ状の弁座27aと、この弁座27aに当接する鋼球27bと、この鋼球27bを弁座27aに押圧付勢する圧縮コイルバネ27cとで構成されている。尚、鋼球27bを用いない構成の逆止弁も採用可能である。
【0028】
吐出通路26の下端部に吐出ポート26aが形成され、吐出通路26の途中位置に吐出用逆止弁28が設けられている。吐出ポート26aは、油圧通路9を介して、車両の車輪(図示略)に連結された車軸Aを回転駆動する油圧モータMに接続されている。吐出用逆止弁28は、吐出ポート26aとプランジャ作動孔2aとの間に設けられ、加圧室4から吐出ポート26aへの加圧油の流れのみを許容するように構成されている。この吐出用逆止弁28は、テーパ状の弁座28aと、この弁座28aに当接する鋼球28bと、この鋼球28bを弁座28aに付勢する圧縮コイルバネ28cとで構成されている。尚、鋼球28bを用いない構成の逆止弁も採用可能である。
【0029】
ハウジング延長部21には前記のプランジャ作動孔2aと同径の嵌合孔2bが形成され、この嵌合孔2bに内部ハウジング22が内嵌状に嵌合して固定されている。内部ハウジング22は、筒状部22aと、この筒状部22aの右端の右端壁22bと、筒状部22aの左端の左端壁22cとを有する。右端壁22bと左端壁22cには、制御ロッド5が油密に挿通する挿入穴22d,22eが夫々形成されている。
【0030】
次に、プランジャ部材3について説明する。
図1に示すように、プランジャ部材3は、プランジャ作動孔2a内に左右方向へ一定ストローク往復移動可能に挿入されている。プランジャ部材3は、その先端部(右端部)のプランジャ部3aと、このプランジャ部3aから基端側(左方)へ延び且つプランジャ部3aよりも小径のプランジャ本体部3bと、プランジャ本体部3bの途中部にプランジャ部3aから基端側へ所定間隔離隔させて形成され且つプランジャ部3aと同径のガイド部3cと、ロッド挿入孔31とを備えている。プランジャ部3aは、プランジャ作動孔2aの内周面に対して油密に且つ左右方向へ摺動自在に装着されている。
【0031】
プランジャ部材3が右方へ往動するとき、加圧室4の容積を減少させて作動油を加圧し、加圧室4から吐出用逆止弁28を通って作動油を吐出ポート26aへ吐出させることができる。その反対に、プランジャ部材3が左方へ復動するとき、加圧室4の容積を増加させて吸入ポート25aから吸入用逆止弁27を通って作動油を加圧室4へ吸入させることができる。
【0032】
ガイド部3cは、プランジャ作動孔2aの内周に対して摺動自在に形成されている。これにより、プランジャ部材3がプランジャ作動孔2a内を往復移動するとき、プランジャ部3aとガイド部3cとが所定間隔離間してプランジャ作動孔2aの内周に摺接しているため、プランジャ部材3の軸心とプランジャ作動孔2aの軸心とを同軸上に揃えることができ、プランジャ部材3の基端部(左端部)の揺動を抑制することができる。
【0033】
前記ロッド挿入孔31はプランジャ本体部3bよりも小径の孔であり、プランジャ本体部3bは必要な壁厚を有するパイプ構造に形成されている。このロッド挿入孔31は、プランジャ部材3の内部に、プランジャ部3aの先端(右端)からプランジャ本体部3bの基端部に亙ってプランジャ部材3の軸心と平行に形成されている。ロッド挿入孔31の右端は加圧室4に開放されている。ロッド挿入孔31は挿入穴22d,22eと同径に形成され、ロッド挿入孔31の軸心は、挿入穴22d,22eの中心を結ぶ軸心の延長線上に位置している。
【0034】
次に、制御ロッド5について説明する。
図1に示すように、制御ロッド5は、左右方向へ延びる断面円形のストレートのロッド状に形成されている。この制御ロッド5は、挿入穴22dから挿入され、挿入穴22eを挿通して加圧室4を貫通した状態でロッド挿入孔31内へ油密に摺動自在に挿入さる。制御ロッド5の右端側部分は、挿入穴22dからハウジング2外へ延び、制御ロッド5の先端部(右端部)は、例えば、ラック・ピニオン機構を備え且つ制御手段からの指令に基づいて制御ロッド5の左右方向の位置を精密に調節可能なロッド位置調節手段7に作動的に連結されている。
【0035】
この制御ロッド5は、ロッド内通路30と、このロッド内通路30の先端部(右端部)を外周側に連通させる先端開口30a(先端通路)と、ロッド内通路30の基端部(左端部)を外周側に連通させる基端開口30b(基端通路)とを備えている。ロッド内通路30は、制御ロッド5の長さ方向途中部分の内部に制御ロッド5の軸心と平行に延びるように所定長さに形成されている。
【0036】
ロッド内通路30の軸心方向長さは、ポンプ装置1が最大吐出量に調節されたとき、基端開口30bがプランジャ作動孔2a内において左端壁22cから基端側(左側)へ最も離隔した位置に配置され且つ先端開口30aがハウジング内通路32a内において左端壁22cに最も近接した位置に配置されると共に、ポンプ装置1が最小吐出量に調節されたとき、基端開口30bがプランジャ作動孔2a内において左端壁22cに可能な範囲内で最も近接した位置に配置され且つ先端開口30aがハウジング内通路32a内において左端壁22cから先端側へ最も離隔した位置に配置されるように形成されている。
【0037】
次に、吐出量を調節する為に、加圧室4を吸入ポート25aに連通させるバイパス通路6について説明する。バイパス通路6は、ロッド内通路30と、このロッド内通路30の先端部を先端開口30aを介して吸入ポート25aに連通させる還流通路32と、ロッド内通路30の基端部(左端部)を加圧室4に連通可能な基端開口30bとを有する。
前記還流通路32は、内部ハウジング22内において制御ロッド5の外周側に形成され且つロッド内通路30の先端部と先端開口30aを介して常時連通するように形成されたハウジング内通路32aと、吸入ポート形成部23内に形成されてハウジング内通路32aを吸入ポート25aに連通させる接続通路32bとで形成され、接続通路32bはハウジング内通路32aの基端部に形成された開口22fを備えている。
【0038】
この還流通路32の接続通路32bには、吸入ポート25aの付近において作動油に発生する脈圧を吸収する吸入側アキュムレータ41が接続されている。吐出通路26には吐出ポート26aの付近において加圧油に発生する脈圧を吸収し且つ余剰の加圧油を収容可能な吐出側アキュムレータ42が接続されている。これらアキュムレータ41,42は、例えば、圧力容器と、内部に収容された圧縮窒素ガスと、この窒素ガスと作動油とを分離するブラダ等を有するブラダ形アキュムレータである。尚、ブラダ形以外の種々の形式のアキュムレータも採用可能である。
【0039】
図1〜図3に示すように、ロッド位置調節手段7により、制御ロッド5を左右方向へ進退移動可能に構成している。吐出量可変機構は、ロッド位置調節手段7により、制御ロッド5の軸心方向位置、つまり、ロッド内通路30の軸心方向位置を変更することによりプランジャ部材3の移動途中位置まで作動油の加圧動作を無効化して作動油の吐出量を調節している。尚、本実施例における「吐出量」は、プランジャ部材3の1回の往復動(1サイクル)による吐出量を意味する。
【0040】
図1〜3に基づいて、ポンプ装置1の吐出量を吐出量可変機構を介して調節する吐出量調節原理について説明する。
図1は、最大吐出量と最小吐出量の間の中間的吐出量の状態を示しており、図示したプランジャ部材3は、最大進出位置と最大退入位置の途中の位置にある。バイパス通路6を介して加圧室4が作動油を吸入ポート25aに還流している状態、つまり、プランジャ部3aが基端開口30bよりも基端側に位置してロッド内通路30が加圧室4に連通状態にある場合には、プランジャ部3aが先端側(右方)へ駆動されても、加圧室4において加圧されるべき作動油がバイパス通路6を通って吸入ポート25aに還流されるため、無効動作状態(ロストモーション状態)となり、加圧油が吐出ポート26aに吐出されない。また、上記の状態において、プランジャ部3aが基端側(左方)へ駆動されるときには、バイパス通路6と吸入用逆止弁27とを通って作動油が加圧室4に吸入される。
【0041】
バイパス通路6を介して加圧室4が吸入ポート25aに連通していない状態において、プランジャ部3aが先端側(右方)へ駆動されるときには、加圧室4内の作動油が加圧されて、吐出用逆止弁28を通って加圧油が吐出ポート26aに吐出される。上記の状態において、プランジャ部3aが基端側(左方)へ駆動されるときには、吸入用逆止弁27を通って作動油が加圧室4に吸入される。
【0042】
吐出量を最大(100%)に調節する場合には、図2に示すように、ロッド位置調節手段7により、制御ロッド5の位置を最大限基端側(左方)へ切換え、先端開口30aをハウジング内通路32aの基端部(左端部)に位置させる。このとき、基端開口30bは加圧室4の右端面(左端壁22cの左端)から距離L1の位置にあり、プランジャ部材3が最大限復動しても、基端開口30bは加圧室4に連通することなくロッド挿入孔31内に位置している。
【0043】
例えば、プランジャ部3aは、1点鎖線で示す最大往動位置3axと、破線で示す最大復動位置3ayとの間を往復移動する。このとき、プランジャ部3aの加圧動作は全ストロークに亙って有効となるため、吐出量が最大になる。尚、図示したプランジャ部3aの往復動ストロークは例示であり、距離L1の範囲内の任意の往復動ストロークとなるように、エンジンユニットE等の駆動手段を構成することにより、最大吐出量を自由に設定することができる。
【0044】
図2の状態から、制御ロッド5の位置を先端側(右方)へ切換えると、例えば図1に示すように、プランジャ部3aの全ストロークのうちの、プランジャ部3aが基端開口30bを閉鎖した後のストローク(距離L2に相当するストローク)のみが有効ストロークとなるため、吐出量が少なくなり、距離L2に対応する吐出量に調節することができる。
【0045】
図1の状態から制御ロッド5の位置をさらに先端側(右方)へ切換えると、例えば図3に示すように、プランジャ部3aの全ストロークのうちの、プランジャ部3aが基端開口30bを閉鎖した後のストローク(距離L3に相当するストローク)のみが有効ストロークとなるため、吐出量を零に近い最小吐出量に調節することができる。
【0046】
次に、エンジンユニットEについて説明する。
図4に示すように、エンジンユニットEは、複数、例えば1対の対向する往復動レシプロエンジン50,52(以下、エンジンという)と、フライホイール機構51と、リンク機構53等により構成され、各エンジン50,52の燃焼サイクルは、プランジャ部材3の2回の往復動作に対応している。
エンジン50,52は、プランジャ部材3の軸心と直交する共通の軸心を有し、互いに対向状に配置されている。エンジン50,52は、配置位置を除いて、同様の構造であるため、以下、主にエンジン50について説明する。
【0047】
エンジン50は、筒状のシリンダ50aと、吸排気ポート(図示略)と、両ポート間に設置された点火プラグ(図示略)と、ピストン50b等を備えている。
シリンダ50a内には、エンジン50の燃焼サイクルに応じて軸心方向へ一定ストローク移動可能なピストン50bが設けられ、ピストン50bの背面中央部にボス部50cが突出形成されている。
【0048】
エンジン50とエンジン52との燃焼サイクルは、360°位相をずらした行程を実行可能に設定されている。それ故、エンジン50が吸気行程(膨張行程)のとき、エンジン52は膨張行程(吸気行程)を実行しているため、ピストン50bが下死点(上死点)位置のとき、ピストン52bはピストン50bと同様に下死点(上死点)に位置している。
【0049】
リンク機構53は、4つの等辺リンク53a〜53dにより形成された平行四辺形(菱形)が変形自在に構成されている。これらリンク53a〜53dは、リンク53aの基端とリンク53bの先端とが連結部54aにより、リンク53bの基端とリンク53cの基端とが連結部54bにより、リンク53cの先端とリンク53dの基端とが連結部54cにより、リンク53dの先端とリンク53aの先端とが連結部54dにより夫々回動自在に連結されている。各連結部54a,54cは、接続部材55a,55cを介してピストン50b,52bのボス部50c,52cに夫々連結され、連結部54dは接続部材55dを介してプランジャ部材3の基端部に連結されている。
【0050】
前記リンク機構53には、連結リンク45a,45bが設けられている。連結リンク45aの両端はリンク53a,53cの中間点に回動可能に連結され、連結リンク45bの両端はリンク53b,53dの中間点に回動可能に連結されている。連結リンク45a,45bの中間点はリンク機構53のリンク面と直交する軸心回りに回転可能にピン46によりピン連結されている。
【0051】
フライホイール機構51は、エンジンユニットE及びポンプ装置1の作動を円滑にする為のものであり、リンク機構53のプランジャ部材3側の連結部54dと反対側の連結部54bに、クランク機構51mを介してフライホイール51wを作動的に連結したものである。フライホイール機構51は、リンク機構53を挟んでポンプ装置1と反対側に配置されている。フライホイール機構51は、図示外の機枠に回転自在に支持されたジャーナル軸51aと、このジャーナル軸51aの回りに回転するクランクアーム51bと、クランクアーム51bの先端に一体的に連結されたクランク軸51cと、このクランク軸51cに一端が回転自在に連結され且つ他端が接続部材55bの基端に回転自在に連結されたコンロッド51dと、ジャーナル軸51aに連結されてジャーナル軸51aと一体的に回転するフライホイール51wとを備えている。接続部材55bは、接続部材55d及びプランジャ部材3と同心状に配置され、その先端が連結部54bに回転自在に連結され、接続部材55bは軸受け47により案内されている。
【0052】
以上により、対向するピストン50b,52bが接近(エンジン50が吸気行程又は膨張行程且つエンジン52が膨張行程又は吸気行程)するとき、接続部材55bとプランジャ部材3とが左右方向に離隔動作を行い、プランジャ部材3が往動による作動油を加圧する加圧動作を行う。また、ピストン50b,52bが上下方向に離隔動作するとき、接続部材55bとプランジャ部材3とが接近動作を行い、プランジャ部材3が復動動作を行う。尚、接続部材55dは軸受け48により案内されている。
【0053】
次に、上記の可変容量型プランジャポンプ装置1の作用、効果について説明する。
4つのリンク53a〜53dにより、ピストン50b,52bが下死点に近い程、エンジン50,52から大きな左右方向の分力を取り出し可能な倍力機構を構成しているため、また、ピストン50b,52bの大きな慣性力も作用するため、プランジャ部材3の往動ストロークの終端付近において、プランジャ部3aによる強力な加圧力を発生させて作動油を高圧に圧縮できるため、エンジンユニットEによるポンプ装置1の駆動効率を高めることができる。
【0054】
プランジャ部材3内部に形成されたロッド挿入孔31を利用して制御ロッド5を配置することができるため、プランジャ部材3の外周側に吐出量可変機構を得るための各部材の配置スペースを確保する必要がなく、プランジャ部材3と制御ロッド5とバイパス通路6等で吐出量を調節する機構を構成できるため、部品点数を少なくし、構造を簡単化し、ポンプ装置1を小型化することができる。
【0055】
還流通路32は、内部ハウジング22内において制御ロッド5の外側近傍に形成され且つロッド内通路30の先端部が常時連通するように形成されたハウジング内通路32aを有しているため、ハウジング内通路32aを介して還流通路32の構成を簡単化することができる。
【0056】
吸入ポート25aに連通された吸入側アキュムレータ41と、吐出ポート26aに連通された吐出側アキュムレータ42とを有しているため、吸入側アキュムレータ41により吸入ポート25a付近に発生する脈圧を吸収することができ、また、吐出側アキュムレータ42により吐出ポート26a付近に発生する脈圧を吸収することができるうえ、吐出ポート26aから吐出される作動油のうち使用されない余剰流体を吐出側アキュムレータ42により蓄積することができ、次の油圧モータMの使用時、早期に油圧を高くすることができる。
【0057】
プランジャ部材3の軸心と直交する軸心を有すると共に対向状に配置された1対のエンジン50,52によって、リンク機構53を介してプランジャ部材3を往復駆動するように構成したため、既述のようにエンジン50,52からプランジャ部材3への駆動力の伝達効率を高く維持することができる。また、フライホイール機構51を設けたため、エンジンユニットE及びポンプ装置1の作動が円滑化する。
【0058】
次に、実施例1の変形例について説明する。
この変形例では、図5に示すように、前記のエンジンユニットEに代えて、電動モータ56によってクランク機構を介してプランジャ部材3を往復駆動するように構成している。尚、実施例1と同様の部材は、同一の符号を付している。
【0059】
電動モータ56は、通電された電流に比例して図中矢印方向へ回転駆動される回転軸56aと、回転駆動力を往復動駆動力に変換可能なクランク機構57と、往復動駆動力をプランジャ部材3へ伝達する連結部材58等を備えている。
クランク機構57は、一端が回転軸56aに連結され且つ他端が回転軸56aを中心とした半径rの円形軌跡を移動するクランクアーム57aと、一端がクランクアーム57aの他端に回動自在に連結され且つ他端が連結部材58の一端に回動自在に連結されたコンロッド57bとにより構成されている。連結部材58は、他端がプランジャ部材3の基端に連結され、プランジャ部材3の軸心延長線上を左右方向に一定ストローク(2r)往復移動可能に形成されている。尚、連結部材58をガイドする軸受けを設けてもよい。
【0060】
以上により、クランクアーム57aの他端が左端位置から右端位置へ回転移動するとき、プランジャ部材3が最大進出位置から最大退入位置へ移動され、クランクアーム57aの他端が右端位置から左端位置へ回転移動するとき、プランジャ部材3が最大退入位置から最大進出位置へ移動される。
【実施例2】
【0061】
次に、実施例2に係る可変容量型プランジャポンプ装置1Aについて、図6に基づいて説明する。尚、実施例1のポンプ装置1と異なる構成についてのみ説明し、実施例1と同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
実施例1では、バイパス通路6をロッド内通路30と還流通路32(ハウジング内通路32a、接続通路32b、開口22f)と基端開口30bにより形成したが、本実施例では、バイパス通路6Aをロッド外周側通路5dとプランジャ外周側通路3eと連通孔3fと還流通路32A等により形成している。
【0062】
図6に示すように、ハウジング2Aは、ハウジング本体部20Aと、このハウジング本体部20Aから右側へ延びるハウジング延長部21Aと、ハウジング延長部21Aの内部に固定された内部ハウジング22Aと、ハウジング本体部20A及びハウジング延長部21Aから突出するように形成された吸入ポート形成部23A及び吐出ポート形成部24等を備えている。
【0063】
プランジャ作動孔2aには、プランジャ部材3Aが左右方向へ摺動自在に挿入されている。プランジャ作動孔2aのうちのプランジャ部3aより右側部分に作動油を加圧可能な加圧室4Aが形成されている。ハウジング延長部21Aの嵌合孔2bには、内部ハウジング22Aが内嵌状に嵌合して固定されている。内部ハウジング22Aは、ハウジング延長部21Aの右端から嵌合孔2bに挿入され、内部ハウジング22Aにはその中央部を左右方向に貫通する挿入穴22gが形成されている。
【0064】
プランジャ部材3Aは、その先端部のプランジャ部3aと、このプランジャ部3aから基端側へ延び且つプランジャ部3aよりも小径のプランジャ本体部3bと、プランジャ本体部3bの途中部から基端部に亙って形成され且つプランジャ部3aと同径のガイド部3dと、プランジャ部3aより基端側の長さ方向途中部分の外周部に形成されたプランジャ外周側通路3eと、プランジャ外周側通路3eの先端近傍部分に設けられた上下1対の連通孔3fと、挿入穴22gと同径に形成されたロッド挿入孔31とを備えている。このロッド挿入孔31の基端部には、ロッド挿入孔31を外界に連通する空気孔31aが形成されている。尚、プランジャ外周側通路3eは、プランジャ部3aの移動位置に拘わらず還流通路32Aと常時連通するように軸心方向長さが設定されている。
【0065】
制御ロッド5Aは、挿入穴22gから挿入され、加圧室4Aを貫通した状態でロッド挿入孔31内へ摺動自在に挿入されている。この制御ロッド5Aは、ストレート状のロッド本体部5aと、ロッド本体部5aの基端から基端側へ延びる小径部5bと、小径部5bの基端に設けられロッド本体部5aと同径のロッド基端部5cと、小径部5bの外周部に形成されたロッド外周側通路5dとを備えている。ロッド本体部5aとロッド基端部5cとは、ロッド挿入孔31の内周に対して油密に且つ軸心(左右)方向へ摺動自在に形成されている。ロッド本体部5aの右端側部分は、挿入穴22gからハウジング2A外へ延び、その先端部は、ロッド位置調節手段7に作動的に連結されている。
【0066】
次に、加圧室4Aを吸入ポート25aに連通させるバイパス通路6Aについて説明する。バイパス通路6Aは、ロッド外周側通路5dと、プランジャ外周側通路3eと、ロッド外周側通路5dをプランジャ外周側通路3eに連通させる上下1対の連通孔3fと、プランジャ外周側通路3eをハウジング開口2cを介して吸入ポート25aに連通させる還流通路32Aとを有する。還流通路32Aは、ハウジング2Aの外部に設けられ、吸入ポート25aの付近において作動油に発生する脈圧を吸収する吸入側アキュムレータ41Aが接続されている。
【0067】
ポンプ装置1Aの吐出量を吐出量可変機構を介して調節する吐出量調節原理について説明する。バイパス通路6Aを介して加圧室4Aが吸入ポート25aに連通している場合(プランジャ部3aがロッド本体部5aの基端よりも基端側に位置する場合)、プランジャ部3aが先端側へ駆動されても、プランジャ部3aの先端とロッド本体部5aの基端との間に隙間が形成されているため、加圧室4Aとロッド外周側通路5dとが連通されている。それ故、加圧室4Aにおいて加圧されるべき作動油がバイパス通路6Aを通って吸入ポート25aに還流されるため、無効動作状態となり、加圧油が吐出ポート26aに吐出されない。また、上記の状態において、プランジャ部3aが基端側へ駆動されるときには、バイパス通路6Aと吸入用逆止弁27を通って作動油が加圧室4Aに吸入される。
【0068】
バイパス通路6Aを介して加圧室4Aが吸入ポート25aに連通していない場合、プランジャ部3aが先端側へ駆動されるときには、プランジャ部3aの先端とロッド本体部5aの基端との間の隙間が閉鎖され、加圧室4Aとロッド外周側通路5dとが遮断されている。それ故、プランジャ部3aにより加圧室4内の作動油が加圧されて、加圧油が吐出用逆止弁28を通って吐出ポート26aに吐出される。上記の状態において、プランジャ部3aが基端側へ駆動されるときには、吸入用逆止弁27を通って作動油が加圧室4Aに吸入される。
【0069】
以上により、実施例1と同様に、ロッド位置調節手段7を操作して、制御ロッド5Aの位置を最大限基端側(左方)へ切換えることにより、吐出量を最大(100%)に調節でき、制御ロッド5Aの位置を最大限先端側(右方)へ切換えることにより、吐出量を最小(0%)に調節することができる。
【0070】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1〕前記実施例においては、ポンプ装置を車両の走行駆動手段に適用した例を説明したが、車両の走行駆動手段に限らず、高圧の油圧が必要な土木工事や建築用の重機(建設機械)、その他種々の機械装置等に適用することも可能である。
【0071】
2〕前記実施例のエンジンユニットEは、1気筒のエンジンによりクランク機構を介してポンプ装置1を駆動するように構成してもよい。この場合、前記リンク機構53を省略し、エンジンはプランジャ部材3と同心状に配置し、ジャーナル軸にはフライホイールも設けるものとする。
【0072】
3〕前記実施例においては、接続通路をハウジング内に形成した例を説明したが、接続通路を金属や合成樹脂製の配管により、ハウジングの外部に構成してもよい。
4]前記実施例においては、作動油を加圧するプランジャポンプ装置に本発明を適用した場合を例にして説明したが、作動油に限らず、冷媒や食品や薬品や燃料や化学物質などの種々の液体を圧縮するプランジャポンプ装置、或いは、空気や燃料ガスや化学物質ガスなどの種々の気体を圧縮するプランジャポンプ装置(コンプレッサ装置)にも本発明を適用することが可能である。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、プランジャ部材に挿入された制御ロッドの軸心方向位置を調節することにより吐出量を調整可能な簡単な構造の可変容量型プランジャポンプをであって、種々の用途に適用可能な可変容量型プランジャポンプを提供する。
【符号の説明】
【0074】
1,1A ポンプ装置
2,2A ハウジング
2a プランジャ作動孔
3,3A プランジャ部材
3e プランジャ外周側通路
3f 連通孔
4,4A 加圧室
5,5A 制御ロッド
5d ロッド外周側通路
6,6A バイパス通路
22d,22e,22g 挿入穴
25 吸入通路
25a 吸入ポート
26 吐出通路
26a 吐出ポート
27 吸入用逆止弁
28 吐出用逆止弁
30 ロッド内通路
30b 基端開口
31 ロッド挿入孔
32,32A 還流通路
41,41A 吸入側アキュムレータ
42 吐出側アキュムレータ
50,52 エンジン
51m クランク機構
51w フライホイール
53 リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、このハウジングに形成したプランジャ作動孔と、このプランジャ作動孔に往復移動可能に挿入され且つ先端部にプランジャ部を備えたプランジャ部材と、前記プランジャ作動孔内にプランジャ部材により液体を加圧可能に形成した液体加圧室と、吸入ポートから前記液体加圧室へ連なる吸入通路に設けられた吸入用逆止弁と、前記液体加圧室から吐出ポートへ連なる吐出通路に設けられた吐出用逆止弁とを備えた可変容量型プランジャポンプ装置において、
前記プランジャ部材にその先端から基端側へ延びるように前記プランジャ部材の軸心と平行に形成されたロッド挿入孔と、
前記ハウジングの先端部分の挿入穴から前記液体加圧室を貫通してロッド挿入孔に摺動自在に且つ前記軸心方向に位置調節可能に挿入された制御ロッドと、
前記制御ロッドの長さ方向途中部分の内部に形成されたロッド内通路と、このロッド内通路の先端部を吸入ポートに連通させる還流通路と、前記ロッド内通路の基端部を前記液体加圧室に連通可能な基端通路とを有するバイパス通路であって前記液体加圧室と吸入ポートとを連通可能なバイパス通路とを備え、
前記制御ロッドの軸心方向位置を調節することで、吐出量を可変に構成したことを特徴とする可変容量型プランジャポンプ装置。
【請求項2】
前記還流通路は、前記ハウジング内において制御ロッドの外側近傍に形成され且つ前記ロッド内通路の先端部が常時連通するように形成されたハウジング内通路を有することを特徴とする請求項1に記載の可変容量型プランジャポンプ装置。
【請求項3】
ハウジングと、このハウジングに形成したプランジャ作動孔と、このプランジャ作動孔に往復移動可能に挿入され且つ先端部にプランジャ部を備えたプランジャ部材と、前記プランジャ作動孔内にプランジャ部材により液体を加圧可能に形成した液体加圧室と、吸入ポートから前記液体加圧室へ連なる吸入通路に設けられた吸入用逆止弁と、前記液体加圧室から吐出ポートへ連なる吐出通路に設けられた吐出用逆止弁とを備えた可変容量型プランジャポンプ装置において、
前記プランジャ部材にその先端から基端側へ延びるように前記プランジャ部材の軸心と平行に形成されたロッド挿入孔と、
前記ハウジングの先端部分の挿入穴から前記液体加圧室を貫通してロッド挿入孔に摺動自在に且つ前記軸心方向に位置調節可能に挿入された制御ロッドと、
前記制御ロッドの長さ方向途中部分の外周部に形成されたロッド外周側通路と、前記プランジャ部材のプランジャ部より基端側の長さ方向途中部分の外周部に形成されたプランジャ外周側通路と、前記プランジャ外周側通路の先端近傍部でロッド外周側通路をプランジャ外周側通路に連通させる連通孔と、前記プランジャ外周側通路を吸入ポートに連通する還流通路とを有するバイパス通路であって前記液体加圧室と吸入ポートとを連通可能なバイパス通路とを備え、
前記制御ロッドの軸心方向位置を調節することで、吐出量を可変に構成したことを特徴とする可変容量型プランジャポンプ装置。
【請求項4】
前記吸入ポートに連通された吸入側アキュムレータと、前記吐出ポートに連通された吐出側アキュムレータとを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の可変容量型プランジャポンプ装置。
【請求項5】
前記プランジャ部材の軸心と直交する軸心を有すると共に対向状に配置された1対の往復動エンジンによって、リンク機構を介して前記プランジャ部材を往復駆動するように構成したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の可変容量型プランジャポンプ装置。
【請求項6】
前記リンク機構のプランジャ部材を連結する連結部と反対側の連結部に、クランク機構を介してフライホイールを連結し、前記1対の往復動エンジンの作動を円滑にするように構成したことを特徴とする請求項5に記載の可変容量型プランジャポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79585(P2013−79585A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218936(P2011−218936)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(594182029)
【Fターム(参考)】