説明

可変抵抗デバイスを備えた電子機器およびコンピュータプログラム

【課題】電子機器の画面に直接触れずに画面のスクロールや拡大、縮小を行える入力手段を設けることで、画面を汚したり傷をつける機会を低減しつつ、画像の操作を容易にする。
【解決手段】電子機器1は、画像表示用の表示部11と、本体10の特定箇所13を挟むように両側にそれぞれ備えられる入力部20,21を設ける。この入力部は、特定箇所13に近づく方向および当該特定箇所13から離れる方向において内部方向に押圧可能であって、その押圧している箇所に応じて抵抗が変化する可変抵抗デバイスであり、制御部は入力部の抵抗の変化を検出してともに特定箇所13に近づく方向に走査されているか、ともに特定箇所13から離れる方向に走査されているかを判別し、近づく方向に走査されている場合に画像の拡大若しくは縮小のいずれか一方の処理を行い、離れる方向に走査されている場合に画像の拡大若しくは縮小のいずれか他方の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変抵抗デバイスを備えた電子機器、およびその電子機器における画面表示処理を行うためのコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯音響再生装置等の小型の電子機器には、益々の小型化および薄型化が求められている一方で、画面を備える機器の場合には、その画面の大型化が強く望まれている。これらの要求に応えるため、電子機器自体を小型にしつつ、電子機器に占める画面の面積比率を大きくし、操作手段の配置面積の比率を小さくした電子機器が知られている。
【0003】
上記電子機器には、通常、各種操作を行うための操作手段が備えられており、操作手段としては、例えば、押圧式のボタン、方向キー型セレクタ、ジョグダイヤル、ジョイスティックなどが知られている。かかる種々の操作手段の押圧、回転、傾倒等を行うことにより、画面内の画像をスクロールし、あるいは画面内の画像を拡大若しくは縮小することが可能な電子機器もある(特許文献1を参照)。また、操作手段をほとんど備えず、画面上へのタッチ操作にて、画像のスクロール、拡大若しくは縮小をはじめ種々の操作を行うことのできる電子機器も知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−155206
【特許文献2】米国特許第7,479,949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の従来技術には、次のような問題がある。特許文献1に開示される携帯端末の場合には、操作キーを押して画面上の画像の拡大若しくは縮小を行っているので、操作キーは必須の構成要素である。操作キーを備える以上、画面の大型化には自ずと限界がある。また、特許文献2に開示されるタッチスクリーンデバイスの場合には、画面以外に操作キーを備えず、画面上へのタッチ操作にて、画面上の画像のスクロール、拡大若しくは縮小を可能としているので、特許文献1に開示される携帯端末が持つ問題はない。しかし、操作者は、画像をスクロール、拡大若しくは縮小する際に画面を擦る操作を行う必要があるため、画面が汚れやすく、また、画面に傷をつける機会が増えるという問題がある。さらに、操作しにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたもので、電子機器の画面に汚れや傷をつける機会を低減しつつ、画像の操作を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、本発明の一形態は、画像表示用の表示部と、本体の特定箇所を挟むように両側にそれぞれ備えられる入力部と、表示部に表示される画像の表示を制御する制御部とを備え、それぞれの入力部が、特定箇所に近づく方向および当該特定箇所から離れる方向においてその入力部の内部方向に押圧可能であって、その押圧している箇所に応じて抵抗が変化する可変抵抗デバイスであり、制御部は、それぞれの入力部からの抵抗の変化を検出する検出手段と、入力部の抵抗の変化から、それぞれの入力部がともに特定箇所に近づく方向に走査されているか、ともに特定箇所から離れる方向に走査されているかを少なくとも判別する走査方向判別手段と、近づく方向に走査されている場合に画像の拡大若しくは縮小のいずれか一方の処理を行い、離れる方向に走査されている場合に画像の拡大若しくは縮小のいずれか他方の処理を行う表示処理手段とを備える、可変抵抗デバイスを備えた電子機器としている。
【0008】
本発明の別の一形態は、両側の入力部から抵抗の変化を検出したかどうかを判別する両抵抗変化判別手段をさらに備え、いずれか一方の入力部のみから抵抗の変化を検出した場合には、走査方向判別手段が、その抵抗の変化を検出した入力部の走査方向を決定し、表示処理手段が画像の拡大および縮小を行わずに、その決定した走査方向に画像を移動する処理を行う、可変抵抗デバイスを備えた電子機器としている。
【0009】
本発明のさらなる別の一形態は、それぞれの入力部の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値を超えているか否かを判別する速度差異判別手段と、各速度の差異が所定閾値を超えている場合に、速度の大きい入力部の走査を優先する第一優先走査決定手段とをさらに備え、各速度の差異が所定閾値を超えている場合、表示処理手段が画像の拡大および縮小を行わずに、第一優先走査決定手段が優先する入力部の走査方向に基づいて画像の移動処理を行う、可変抵抗デバイスを備えた電子機器としている。
【0010】
本発明のさらなる別の一形態は、それぞれの入力部の抵抗が変化する各速度の一方のみが所定速度を超えているか否かを判別する絶対速度判別手段と、各速度のいずれか一方が所定速度を超えている場合に、その所定速度を超えている方の入力部の走査を優先する第二優先走査決定手段とをさらに備え、各速度の一方のみが所定値を超えている場合、表示処理手段が画像の拡大および縮小を行わずに、第二優先走査決定手段が優先する入力部の走査方向に基づいて、画像の移動処理を行う、可変抵抗デバイスを備えた電子機器としている。
【0011】
本発明のさらなる別の一形態は、第一優先走査決定手段または第二優先走査決定手段が、それぞれの入力部の走査方向がそれぞれ特定箇所に近づく方向と特定箇所から離れる方向である場合にのみ、速度の大きい入力部の走査を優先する、可変抵抗デバイスを備えた電子機器としている。
【0012】
本発明のさらなる別の一形態は、本体が直方体形状であって、特定箇所を特定の角部とし、入力部が、その特定の角部を挟んで、その角部からそれぞれ別の角部に向かう方向に細長く、その本体の異なる側面に形成されている、可変抵抗デバイスを備えた電子機器としている。
【0013】
また、本発明の一形態は、画像表示用の表示部と、当該本体の特定箇所を挟むように両側にそれぞれ備えられる入力部と、表示部に表示される画像の表示を制御する制御部と、を備え、それぞれの入力部が、特定箇所に近づく方向および当該特定箇所から離れる方向においてその入力部の内部方向に押圧可能であって、その押圧している箇所に応じて抵抗が変化する可変抵抗デバイスである、可変抵抗デバイスを備えた電子機器のメモリに格納されるコンピュータプログラムであって、それをメモリから読み出して実行することによって、制御部を、それぞれの入力部からの抵抗の変化を検出する検出手段、入力部の抵抗の変化から、それぞれの入力部がともに特定箇所に近づく方向に走査されているか、ともに特定箇所から離れる方向に走査されているかを少なくとも判別する走査方向判別手段、近づく方向に走査されている場合に画像の拡大若しくは縮小のいずれか一方の処理を行い、離れる方向に走査されている場合に画像の拡大若しくは縮小のいずれか他方の処理を行う表示処理手段の内の少なくともいずれか1つの手段として機能させることを特徴とする、コンピュータプログラムとしている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器の画面に汚れや傷をつける機会を低減しつつ、画像の操作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態に係る電子機器の正面図、上側面図および右側面図である。
【図2】図2は、図1に示す入力部の構造を示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示す入力部の上方から指でなぞっている状態を示す断面図(3A)および導体板への接触箇所に応じて変化する抵抗を示す例示的なグラフ(3B)である。
【図4】図4は、図1に示す電子機器に設けられた2つの入力部を走査して、表示部に表示される画像を拡大する状況(4A)若しくは縮小する状況(4B)をそれぞれ示す図である。
【図5】図5は、図1に示す電子機器に設けられた入力部を走査して、表示部に表示される画像を移動する状況(5A〜5D)をそれぞれ示す図である。
【図6】図6は、図1に示す電子機器の本体に備えられる制御部の例示的なハードウェアの構成図である。
【図7】図7は、図1に示す電子機器が行う画像の拡大若しくは縮小または移動の処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【図8】図8は、図1に示す電子機器が行う画像の拡大若しくは縮小または移動の処理の流れを示すフローチャートの別の例である。
【図9】図9は、図1に示す電子機器が行う画像の拡大若しくは縮小または移動の処理の流れを示すフローチャートの別の例である。
【図10】図10は、図1に示す電子機器が行う画像の拡大若しくは縮小または移動の処理の流れを示すフローチャートの別の例である。
【図11】図11は、図1に示す電子機器と異なり、入力部の配置場所を変えた電子機器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の可変抵抗デバイスを備えた電子機器(以後、単に、「電子機器」という)およびコンピュータプログラムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
1.概略的な外観構成
図1は、実施の形態に係る電子機器の正面図、上側面図および右側面図である。
【0018】
実施の形態に係る電子機器1は、薄い直方体の形状の本体10を有し、その正面10aに画像表示用の表示部11と、起動ボタン12とを備える。表示部11は、正面10aの大部分を占める面積を有している。起動ボタン12は、表示部11より小さな円形の押圧式のボタンであって、表示部11の下に配置されている。本体10の上側面10bと右側面10cには、本体10の右上角(特定箇所の一例)13を挟むように、それぞれ入力部20および入力部21が備えられている。入力部20および入力部21は、略同じ形態のものであり、それぞれ、上側面10bおよび右側面10cの長さ方向に沿って細長い略直方体の形状を有する。入力部20,21は、それぞれの最表面を、上側面10bおよび右側面10cの表面とほぼ同じ高さとなるように本体10に埋設されている。
【0019】
2.入力部の構成
図2は、図1に示す入力部の構造を示す断面図である。
【0020】
入力部20,21は、絶縁基板22と、その基板面に所定間隔をあけて配置される固定接点23,24と、該基板面の上記所定間隔内に配置される導体板25と、各端部をそれぞれ固定接点23,24に接触させて導体板25と非接触状態で絶縁基板22上に配置される導電性弾性体26と、導電性弾性体26の上方に配置される絶縁性弾性フィルム27とを備える。
【0021】
絶縁基板22は、絶縁性の高い材料、例えば、樹脂(その中でも、ポリイミド樹脂が好ましい)、ガラス、セラミックスあるいはそれらの複合体から構成される。固定接点23,24および導体板25は、導電性の高い材料、例えば、銀、銅、金、タングステン等の金属から構成される。固定接点23には所定の電圧(VCC:例えば5V)が印加され、固定接点24は、アース(GND)されている。導体板25は、固定接点23,24の両方に非接触の状態で固定接点23と固定接点24の間に配置される細長い板状体である。導電性弾性体26は、平板状の端部26a、26bと、各端部26a,26bから略垂直に立ちあがり導体板25と平行に延出する平面部26cとを備える。端部26aは固定接点23と、端部26bは固定接点24と、それぞれ電気的に接続されている。平面部26cは、導体板25と所定の隙間を隔てた状態となっている。絶縁性弾性フィルム27は、導電性弾性体26の平面部26cの上に密着し、本体10と面一になるように配置されている。
【0022】
導電性弾性体26は、好適には、シリコーンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴムの他、天然ゴム、スチレン系ゴム、ウレタン系ゴム、オレフィン系ゴム、フッ素系ゴム等のゴム状弾性体に、導電性フィラーを混練させた導電性に優れる弾性体である。導電性フィラーとしては、カーボンブラックに代表される粒子状の導電体、カーボン繊維に代表される繊維状の導電体、板状の導電体などを好適に使用できる。導電性弾性体26中の導電性フィラーの含有量は、5〜40重量%の範囲が好ましく、10〜35重量%がより好ましく、15〜25重量%がさらに好ましい。ただし、導電性フィラーの含有量は、当該フィラーの大きさ、材質あるいはゴム状弾性体に要求される弾性等の諸条件により適宜変更することができる。
【0023】
絶縁性弾性フィルム27には、導電性弾性体26の母材として用いられるゴム状弾性と同様の弾性体を好適に用いることができる。絶縁性弾性フィルム27は、その上から指でなぞった際に、その下方の導電性弾性体26を容易に変形させることができるように、薄く、かつ絶縁性に優れるフィルムである。絶縁性弾性フィルム27と本体10との間は、接着等により固定されていても良く、あるいは固定されていなくても良い。
【0024】
3.入力部の機能
図3は、図2に示す入力部の上方から指でなぞっている状態を示す断面図(3A)および導体板への接触箇所に応じて変化する抵抗を示す例示的なグラフ(3B)である。
【0025】
入力部20,21は、本体10の右上角13に近づく方向および右上角13から離れる方向に沿って、その入力部20,21の内部方向に押圧可能であって、その押圧している箇所に応じて抵抗が変化する可変抵抗デバイスである。絶縁性弾性フィルム27上から押圧していない状態では、VCCを印加している固定接点23から、導電性弾性体26を経て、アースされている固定接点24に電流が流れる。
【0026】
絶縁性弾性フィルム27上から導電性弾性体26を押して、図3に示す位置Aにて導電性弾性体26と導体板25とが接触すると、位置Aにて導体板25側に電流が流れる。導体板25には、電圧検出手段(図示せず)が接続されているため、位置Aでの電位を測定することができる。また、位置Aに比して固定接点23から遠い位置Bで導電性弾性体26と導体板25とが接触すると、位置Bでの電位を測定することができる。固定接点23と導体板25との間の抵抗(R)は、電流が流れる導電性弾性体26の長さに比例する。図3(3B)に、導体板25の固定接点23側からの距離(d)と抵抗(R)との関係を例示的に示している。このように、抵抗(R)は、距離(d)の増大に対して直線的に増大する。このため、導電性弾性体26と導体板25との接触位置における電位は、VCCから離れるほど大きくなる。したがって、位置Bでの電位は、位置Aでの電位より大きい。VCCに近い側から遠い側に向けて導電性弾性体26を指で押圧しながら走査すると(すなわち、図3(3A)の左側から右側に向かってなぞると)、導電性弾性体26と導体板25との接触位置がその指で走査する速度に応じて変化するので、導体板25を通じて測定される電位も同様の速度で変化する。
【0027】
4.画像拡大処理の状況
図4は、図1に示す電子機器に設けられた2つの入力部を走査して、表示部に表示される画像を拡大する状況(4A)若しくは縮小する状況(4B)をそれぞれ示す図である。
【0028】
入力部20は、VCC側が右上角13に近く、アース側(GND側)が左上角に近いように配置されている。入力部21は、VCC側が右上角13に近く、アース(GND側)が右下角に近いように配置されている。以後、特筆しない限り、入力部20,21は、上記のように配置されているものとする。図4(4A)において、2つの矢印Aで示すように、操作者が指等で入力部20および入力部21をともに右上角13から離れる方向にほぼ同じ走査速度で押圧しながら走査すると、本体10内に備えられた制御部(後述する)は、入力部20,21からの各電位の変化と当該変化の速度を検出し、入力部20,21をともに右上角13から離れる方向にほぼ同じ速度で走査していると判断することができる。その場合、制御部の画像表示処理により、画像30(実線で示す星型画像)が画像31(点線で示す星型画像)へと拡大される。また、その拡大される速度は、操作者による走査速度、特に入力部20,21の両走査速度の合算値に依存させるのが好ましい。その場合、閾値を設定しておき、入力部20,21の両走査速度の合算値がその閾値を超えた場合に、合算値に依存させて高速で画像を拡大する一方、その閾値以下の場合には一定速度で画像を拡大するようにすることもできる。なお、画像の拡大速度を、入力部20,21の各走査速度のいずれか速度の大きな値に依存させることもできる。
【0029】
図4(4B)において、2つの矢印Bで示すように、操作者が指等で入力部20および入力部21をともに右上角13に近づける方向にほぼ同じ走査速度で押圧しながら走査すると、制御部(後述する)は、前述と同様の処理により、入力部20,21をともに右上角13に近づける方向にほぼ同じ速度で走査していると判断することができる。その場合、制御部の画像表示処理により、画像32(実線で示す星型画像)が画像33(点線で示す星型画像)へと縮小される。また、その縮小される速度は、操作者による走査速度、特に入力部20,21の両走査速度の合算値に依存させるのが好ましい。その場合、画像の拡大の際と同様に閾値を設定しておき、入力部20,21の両走査速度の合算値がその閾値を超えた場合に、合算値に依存させて高速で画像を縮小する一方、その閾値以下の場合には一定速度で画像を縮小するようにすることもできる。なお、画像の縮小速度を、入力部20,21の各走査速度のいずれか速度の大きな値に依存させることもできる。
【0030】
5.画像移動処理の状況
図5は、図1に示す電子機器に設けられた入力部を走査して、表示部に表示される画像を移動する状況(5A〜5D)をそれぞれ示す図である。
【0031】
入力部20,21のいずれか一方のみを走査したときには、制御部は、画像を拡大若しくは縮小せずに、その走査方向に基づいて画像を移動する表示処理を行うことができる。また、入力部20,21の両方を走査した場合であっても、その走査速度の差異が大きい場合には、制御部は、走査速度の大きい方の入力部20(または入力部21)を優先し、その入力部20(または入力部21)の走査方向に基づいて画像を移動する表示処理を行うこともできる。
【0032】
例えば、図5(5A)に示すように、入力部20の走査速度(矢印B)が入力部21の走査速度(矢印B’)より大きく、かつそれらの走査速度の差異が所定閾値を超えている場合には、入力部20の走査を優先することができる。当該所定閾値は、任意に設定できるが、一例を挙げるなら、両走査速度の比が2〜7倍の範囲、さらには3〜5倍の範囲、特に4倍に設定するのが好ましい。以後の「所定閾値」についても同様である。また、入力部20の走査速度(矢印B)が入力部21の走査速度(矢印B’)より大きく、かつ入力部20の走査速度のみが所定速度を超えている場合に、入力部20の走査を優先することもできる。当該所定速度は、任意に設定できるが、一例を挙げるなら、0.05〜0.3mm/secの範囲、特に0.1〜0.2mm/secの範囲に設定するのが好ましい。以後の「所定速度」についても同様である。そのような結果、画像34(実線で示す星型画像)は、拡大および縮小されずに、画像35(点線で示す星型画像)へと移動する。また、図5(5B)に示すように、入力部21の走査速度(矢印B)が入力部20の走査速度(矢印B’)より大きく、それらの走査速度の差異が所定閾値を超えている場合には、入力部21の走査を優先することができる。また、先の例と同様に、入力部21の走査速度のみが所定速度を超えている場合に、入力部21の走査を優先することもできる。そのような結果、画像36(実線で示す星型画像)は、画像37(点線で示す星型画像)へと移動する。また、図5(5C)および(5D)に例示するように、入力部20,21の走査方向がともに右上角13に近づく方向でない場合であっても、走査速度の大小関係で優先する入力部20(または入力部21)を決定することができる。その結果、矢印A’の方向に走査するよりも矢印Bの方向に走査される方が優先され、図5(5C)の場合には、図5(5A)の場合と同様に画像34が画像35へと移動し、図5(5D)の場合には、図5(5B)の場合と同様に画像36が画像37へと移動する。
【0033】
6.制御部の概略構成
図6は、図1に示す電子機器の本体に備えられる制御部の例示的なハードウェアの構成図である。
【0034】
制御部40は、表示部11に表示される画像の表示を制御する機能を有する構成部であり、中央処理装置(Central Processing Unit: CPU)41と、読み出し専用のメモリ(Read Only Memory: ROM)42と、読み書き可能なメモリ(Random Access Memory: RAM)43と、ビデオRAM(Video Random Access Memory: VRAM)44と、電気若しくは電圧の操作でデータの消去若しくは書き換えを可能としたメモリ(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory: EEPROM)45と、インターフェイス(Interface: I/F)46とを備える。
【0035】
ROM42は、CPU41の制御用プログラム等の読み出し専用の情報を格納したメモリである。RAM43は、オペレーションシステム(Operation System: OS)、各種アプリケーションソフト、この実施の形態における各種画像処理用のコンピュータプログラム等を格納した、読み書き可能なメモリである。VRAM44は、多くの画像を表示部11に表示する際に、画像を一時的にストックしておくメモリである。EEPROM45も、一時的にデータを書き込んでおくメモリである。インターフェイス46は、制御部40の外部からの信号を受信あるいはその外部に信号を送信する部分である。ここで、「制御部40の外部」には、「電子機器1の外部」も含まれる。外部のネットワーク(例えば、インターネット)回線との間でデータの送受信を行う機能を備えた電子機器1の場合であっても、上記インターフェイス46を利用することができる。
【0036】
CPU41は、入力部20,21からの抵抗の変化を検出する検出手段と、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されているか、ともに右上角13から離れる方向に走査されているかを少なくとも判別する走査方向判別手段と、近づく方向に走査されている場合に画像の縮小処理を行い、離れる方向に走査されている場合に画像の拡大処理を行う表示処理手段とを兼ねる。CPU41は、さらに、入力部20,21の走査速度(好ましくは入力部20,21の両走査速度の合算値)に応じて画像の拡大若しくは縮小の各速度を決定する速度決定手段として機能することもできる。検出手段は、この実施の形態では、抵抗の変化に起因する電位の変化を検出している。このため、「抵抗の変化を検出する」の意味は、抵抗の変化を直接的に検出する場合のみならず、電位の変化等により間接的に抵抗の変化を検出する場合も含むように広義に解釈されるものとする。また、この実施の形態では、表示処理手段は右上角13に近づく方向に走査されている場合に画像の縮小を行い、右上角13から離れる方向に走査されている場合に画像の拡大を行っているが、近づく方向に走査されている場合に拡大処理を行い、離れる方向に走査されている場合に縮小処理を行うように設定することもできる。
【0037】
また、CPU41は、両側の入力部20,21から抵抗の変化を検出したかどうかを判別する両抵抗変化判別手段としてその機能を発揮することもできる。いずれか一方の入力部20(または21)のみからの抵抗の変化を検出した場合には、走査方向判別手段としてのCPU41は、その抵抗の変化を検出した入力部20(または21)の走査方向を決定し、表示処理手段としてのCPU41は、画像の拡大および縮小を行わずに、その決定した走査方向に画像を移動する処理を行うこともできる。この際にも、CPU41は、さらに、入力部20(または21)の走査速度に応じて画像の移動速度を決定する速度決定手段として機能することができる。
【0038】
また、CPU41に、それぞれの入力部20,21の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値を超えているか否かを判別する速度差異判別手段と、各速度の差異がその所定閾値を超えている場合に、速度の大きい入力部20(または21)の走査を優先する第一優先走査決定手段としての機能を備えることもできる。各速度の差異がその所定閾値を超えている場合には、表示処理手段としてのCPU41は、画像の拡大および縮小を行わずに、第一優先走査決定手段が優先する入力部20(または21)の走査方向に基づいて、画像の移動処理を行うことができる。ここで、各速度の差異および所定閾値は、各入力部20,21の電位が変化する速度(あるいは抵抗が変化する速度)の差であっても比であっても良い。
【0039】
また、CPU41に、それぞれの入力部20,21の抵抗が変化する各速度の一方のみが所定速度を超えているか否かを判別する絶対速度判別手段と、各速度のいずれか一方がその所定速度を超えている場合に、その所定速度を超えている方の入力部20(または21)の走査を優先する第二優先走査決定手段としての機能を備えることもできる。各速度のいずれか一方のみがその所定速度を超えている場合には、表示処理手段としてのCPU41は、画像の拡大および縮小を行わずに、第二優先走査決定手段が優先する入力部20(または21)の走査方向に基づいて、画像の移動処理を行うことができる。
【0040】
さらに、前述の第一優先走査決定手段または第二優先走査決定手段としてのCPU41は、それぞれの入力部20,21の走査方向がそれぞれ右上角13に近づく方向と離れる方向である場合にのみ、速度の大きい入力部20(または21)の走査を優先することもできる。したがって、入力部20の走査方向が右上角13に近づく方向であるが、入力部21の走査方向が右上角13から離れる方向である場合には、第一優先走査決定手段または第二優先走査決定手段としてのCPU41は、入力部20,21の内のいずれか一方を優先する処理を行わない。この結果、画像の移動は行われない。
【0041】
また、CPU41に、検出手段、走査方向判別手段、表示処理手段、両抵抗変化判別手段、速度差異判別手段、第一優先走査決定手段、絶対速度判別手段、第二優先走査決定手段の少なくともいずれか1つの機能を持たせるためのコンピュータプログラムを、RAM43若しくはEEPROM45に格納し、当該コンピュータプログラムを読み出し、実行することにより、上記各種手段の内の少なくとも一つの機能を発揮して画像処理を行わせることができる。コンピュータプログラムの実行により発揮する機能は、上記各種手段の内の少なくとも1つで良く、全ての手段の機能である必要はない。例えば、検出手段としての機能は、コンピュータプログラムの実行によらず、ハードウェアのみにより発揮するようにしても良い。コンピュータプログラムは、外部のネットワークを経由して電子機器1にインストールし、あるいは情報記録媒体を電子機器1内のスロット(図示せず)に装填し、その情報記録媒体に格納されたコンピュータプログラムを、制御部40内のRAM43若しくはEEPROM45に格納しても良い。
【0042】
7.例示的な画像処理の流れ
図7〜10は、図1に示す電子機器が行う画像の拡大若しくは縮小または移動の処理の流れを示すフローチャートの代表例である。
【0043】
図7に示すフローチャートは、入力部20および/または入力部21が走査された際に、ともに右上角13に近づく方向に走査された場合に画像の縮小を行い、ともに右上角13から離れる方向に走査された場合に画像の拡大を行い、それ以外の場合には何ら新たな処理を行わない、最もシンプルな処理の流れを示す。
【0044】
入力部20および/または入力部21が走査された場合、CPU41は、検出手段として、入力部20,21からの抵抗の変化(電位の変化も含まれる)を検出する(ステップST1)。次に、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されているか否かを判別する(ステップST2)。右上角13に近づく方向に走査されている場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で縮小する処理を行う(ステップST3)。所定の割合は、走査速度(特に、入力部20,21の両走査速度の合算値が好ましい)に基づくのが好ましい。以後の画像の拡大若しくは縮小の処理についても同様である。走査速度が大きい場合には所定の割合も大きくなり、画像の縮小速度が大きくなる。逆に、走査速度が小さい場合には、画像の縮小速度が小さくなる。画像の拡大および移動も同様である。ただし、所定の割合を、走査速度と何ら関連なく決めても良い。
【0045】
一方、ステップST2の判別の結果、右上角13に近づく方向に走査されていない場合には、CPU41は、引き続き、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13から離れる方向に走査されているか否かを判別する(ステップST4)。右上角13から離れる方向に走査されている場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で拡大する処理を行う(ステップST5)。一方、右上角13から離れる方向に走査されていない場合には、CPU41は、何の処理も行わない(ステップST6)。
【0046】
図8に示すフローチャートは、入力部が走査された際に、両方の入力部が走査された場合には、その走査方向に応じて画像の拡大若しくは縮小の処理を行うが、いずれか一方の入力部のみが走査された場合には、その一方の入力部の走査方向に画像の移動を行う処理の流れを示す。
【0047】
入力部20および/または入力部21が走査された場合、CPU41は、検出手段として、入力部20,21からの抵抗の変化(電位の変化も含まれる)を検出する(ステップST11)。次に、CPU41は、両抵抗変化判別手段として、両方の入力部20,21が走査されているかどうかを判別する(ステップST12)。両方の入力部20,21が走査されている場合には、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されているかを判別する(ステップST13)。右上角13に近づく方向に走査されている場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で縮小する処理を行う(ステップST14)。一方、右上角13に近づく方向に走査されていない場合には、CPU41は、引き続き、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13から離れる方向に走査されているかを判別する(ステップST15)。右上角13から離れる方向に走査されている場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で拡大する処理を行う(ステップST16)。一方、右上角13から離れる方向に走査されていない場合には、CPU41は、何の処理も行わない(ステップST17)。ステップST12に戻って、入力部20,21の内のいずれか一方のみしか走査されていない場合には、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化を検出した入力部20(または21)の走査方向を決定する(ステップST18)。続いて、CPU41は、表示処理手段として、画像の拡大および縮小を行わずに、その一方の走査方向に画像を移動する(ステップST19)。画像の移動速度は、入力部20(または21)の走査速度に依存させるのが好ましい。以後の画像の移動処理についても同様である。
【0048】
図9に示すフローチャートは、入力部が走査された際に、両入力部の抵抗変化の速度の差異が所定閾値以下の場合にのみ、その走査方向に応じて画像の拡大若しくは縮小の処理を行うが、当該差異が所定閾値を超えている場合には、速度の大きい方を優先してその優先された入力部の走査方向に画像の移動を行う処理の流れを示す。
【0049】
入力部20および/または入力部21が走査された場合、CPU41は、検出手段として、入力部20,21からの抵抗の変化(電位の変化も含まれる)を検出する(ステップST21)。次に、CPU41は、両抵抗変化判別手段として、両方の入力部20,21が走査されているかどうかを判別する(ステップST22)。両方の入力部20,21が走査されている場合には、CPU41は、速度差異判別手段として、それぞれの入力部20,21の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値以下であるか否かを判別する(ステップST23)。その結果、所定閾値以下である場合には、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13から離れる方向に走査されているか否かを判別する(ステップST24)。右上角13から離れる方向に走査されている場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で拡大する処理を行う(ステップST25)。一方、右上角13から離れる方向に走査されていない場合には、CPU41は、引き続き、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されているか否かを判別する(ステップST26)。右上角13に近づく方向に走査されている場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で縮小する処理を行う(ステップST27)。一方、右上角13に近づく方向に走査されていない場合には、CPU41は、何の処理も行わない(ステップST28)。
【0050】
ステップST23に戻って、所定閾値を超えている場合には、CPU41は、第一優先走査決定手段として、速度の大きい入力部20(または21)の走査を優先する処理を行う(ステップST29)。ステップST22に戻って、入力部20,21の内のいずれか一方のみしか走査されていない場合には、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化を検出した入力部20(または21)の走査方向を決定する(ステップST30)。先のステップST29およびステップST30に続いて、CPU41は、表示処理手段として、画像の拡大および縮小を行わずに、その優先されあるいは決定された入力部20(または21)の走査方向に基づいて画像の移動処理を行う(ステップST31)。
【0051】
図10に示すフローチャートは、入力部が走査された際に、両入力部の抵抗変化の速度の差異が所定閾値以下の場合にのみ、その走査方向に応じて画像の拡大若しくは縮小の処理を行うが、所定閾値を超えている場合には、両入力部の走査方向がともに右上角に近づく方向である場合と離れる方向であるときのみ、速度の大きい入力部の走査を優先してその優先した方の走査方向に画像の移動を行う処理の流れを示す。
【0052】
入力部20および/または入力部21が走査された場合、CPU41は、検出手段として、入力部20,21からの抵抗の変化(電位の変化も含まれる)を検出する(ステップST41)。次に、CPU41は、両抵抗変化判別手段として、両方の入力部20,21が走査されているかどうかを判別する(ステップST42)。両方の入力部20,21が走査されている場合には、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化から、それぞれの入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されているか否かを判別する(ステップST43)。その結果、それぞれの入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されている場合には、CPU41は、速度差異判別手段として、それぞれの入力部20,21の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値以下であるか否かを判別する(ステップST44)。その結果、所定閾値以下である場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で縮小する処理を行う(ステップST45)。一方、ステップST44の判別の結果、所定閾値を超えている場合には、CPU41は、第一優先走査決定手段として、速度の大きい入力部20(または21)の走査を優先する処理を行う(ステップST46)。ステップST43に戻って、入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されていない場合には、CPU41は、引き続き、走査方向判別手段として、それぞれの入力部20,21がともに右上角13から離れる方向に走査されているか否かを判別する(ステップST47)。その結果、入力部20,21がともに右上角13から離れる方向に走査されている場合には、CPU41は、速度差異判別手段として、それぞれの入力部20,21の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値以下であるか否かを判別する(ステップST48)。その結果、所定閾値以下である場合には、CPU41は、表示処理手段として、画像を所定の割合で拡大する処理を行う(ステップST49)。一方、ステップST48の判別の結果、所定閾値を超えている場合には、ステップST46に進む。
【0053】
ステップST47に戻って、右上角13から離れる方向に走査されていない場合には、CPU41は何の処理も行わない(ステップST50)。ステップST42に戻って、入力部20,21の内のいずれか一方のみしか走査されていない場合には、CPU41は、走査方向判別手段として、その抵抗の変化を検出した入力部20(または21)の走査方向を決定する(ステップST51)。先のステップST46およびステップST51に続いて、CPU41は、表示処理手段として、画像の拡大および縮小を行わずに、その優先されあるいは決定された入力部20(または21)の走査方向に基づいて画像の移動処理を行う(ステップST52)。
【0054】
8.入力部の配置の変形例
図11は、図1に示す電子機器と異なり、入力部の配置場所を変えた電子機器の変形例を示す図である。
【0055】
入力部20,21は、図11(11A)に示すように、正面10aの表示部11の上方および右側の各スペースに配置されても良い。また、図11(11B)に示すように、入力部20を上側面10bに、入力部21を正面10aの表示部11の右側スペースに配置しても良い。さらに、図示しないが、入力部20を正面10aの表示部11の上方スペースに配置し、入力部21を右側面10cに配置しても良い。
【0056】
9.その他の変形
以上、本発明の好適な実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、種々変更した形態にて実施可能である。
【0057】
入力部20,21は、上述の実施の形態では本体10の右上角13を挟むように配置されているが、右下角であっても良く、さらに左利きの操作者のために、左上角あるいは左下角を挟むように配置しても良い。また、本体10の形状は、直方体に限定されない。したがって、角の無い形状を有する電子機器の場合には、角以外の任意の場所を特定箇所とし、その特定箇所を挟むように入力部を備えることもできる。さらに、入力部は、2つに限定されず3以上の個数を備えても良い。例えば、立方体に近い電子機器の角を挟むように3個の入力部を備えても良い。
【0058】
入力部20,21は、右上角13に近い側に、VCCを印加する固定接点23が向くように配置されているが、右上角13に近い側に、アースしている固定接点24が向くように配置されていても良い。さらに、入力部20と入力部21の固定接点23側(若しくは固定接点24側)を互いに対向しないように配置しても良い。上述の実施の形態では、移動、拡大あるいは縮小の対象は画像であるが、画像に限定されず、テキストデータ等も含む広義の表示情報であっても良い。
【0059】
図9のステップST23、図10のステップST44およびステップST48では、速度差異判別手段としてのCPU41が抵抗変化の速度の差異が所定閾値以下であるか否かを判別しているが、これに代えて、絶対速度判別手段としてのCPU41が、いずれか一方の入力部の抵抗変化の速度のみが所定速度を超えているか否かを判別するステップを採用しても良い。その場合、いずれか一方のみが所定速度を超えている場合に、第二優先走査決定手段としてのCPU41が図9のステップST29あるいは図10のステップST46の優先処理を行い、両方が所定速度を超えている場合あるいは所定速度以下の場合には、図9のステップST24あるいは図10のステップST45若しくはステップ49に進むようにしても良い。
【0060】
10.実施の形態の作用・効果
電子機器1の右上角13を挟むように両側に可変抵抗デバイスである入力部20,21を備え、制御部40が入力部20,21からの抵抗の変化を検出し、その抵抗の変化から、入力部20,21がともに右上角13に近づく方向に走査されているか、離れる方向に走査されているかを判別し、前者の場合には画像縮小を、後者の場合には画像拡大を行うようにしているので、表示部11に触れることなく、簡単な操作にて画像の拡大および縮小が可能である。
【0061】
特に、いずれか一方の入力部20(または21)のみから抵抗の変化を検出した場合には、制御部40は、画像の拡大若しくは縮小を行わずに、その走査された入力部20(または21)の走査方向に画像を移動する処理を行うので、入力部20,21を備えることにより、画像の拡大、縮小のみならず、画像の移動も自在となる。
【0062】
また、制御部40は、入力部20,21の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値を超えているか否かを判別し、所定閾値を超えていれば、速度の大きい入力部の走査を優先して、その走査方向に基づいて画像の移動処理を行うようにしている。さらに、制御部40は、入力部20,21の抵抗が変化する各速度のいずれか一方のみが所定速度を超えているか否かを判別し、一方のみが所定速度を超えていれば、その一方の入力部の走査を優先して、その走査方向に基づいて画像の移動処理を行うことも可能である。このため、両方の入力部20,21を走査している場合でも、画像の移動を行うことができる。例えば、2本の指を入力部20,21に置いたまま、拡大・縮小と移動を繰り返し行っている場合、移動の際に2本の指が動いても、走査速度の大きい方が優先されて画像の移動が可能である。
【0063】
さらに、制御部40は、入力部20,21の走査方向がそれぞれ右上角13に近づく方向と離れる方向である場合にのみ、速度の大きい方の入力部の走査を優先するようにしているので、それ以外の不自然な走査では画像の移動を行わないようにすることができる。
【0064】
また、電子機器1の本体10を直方体形状とし、入力部20,21を、右上角13を挟み、その右上角13からそれぞれ別の角部に向かう方向に細長くのびるように別側面に備えているので、指を使った走査が行いやすい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、電子機器、特に小型の電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電子機器
10 本体
10b 上側面(側面の一例)
10c 右側面(側面の一例)
11 表示部
13 右上角(特定箇所、特定の角部の一例)
20,21 入力部
41 CPU(検出手段、走査方向判別手段、表示処理手段、両抵抗変化判別手段、速度差異判別手段、第一優先走査決定手段、絶対速度判別手段、第二優先走査決定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示用の表示部と、
本体の特定箇所を挟むように両側にそれぞれ備えられる入力部と、
上記表示部に表示される画像の表示を制御する制御部と、
を備え、
それぞれの上記入力部は、
上記特定箇所に近づく方向および当該特定箇所から離れる方向においてその入力部の内部方向に押圧可能であって、その押圧している箇所に応じて抵抗が変化する可変抵抗デバイスであり、
上記制御部は、
それぞれの上記入力部からの抵抗の変化を検出する検出手段と、
上記入力部の抵抗の変化から、それぞれの上記入力部がともに上記特定箇所に近づく方向に走査されているか、ともに上記特定箇所から離れる方向に走査されているかを少なくとも判別する走査方向判別手段と、
上記近づく方向に走査されている場合に上記画像の拡大若しくは縮小のいずれか一方の処理を行い、上記離れる方向に走査されている場合に上記画像の拡大若しくは縮小のいずれか他方の処理を行う表示処理手段と、
を備えることを特徴とする、可変抵抗デバイスを備えた電子機器。
【請求項2】
両側の前記入力部から抵抗の変化を検出したかどうかを判別する両抵抗変化判別手段をさらに備え、
いずれか一方の前記入力部のみから抵抗の変化を検出した場合には、
前記走査方向判別手段は、その抵抗の変化を検出した前記入力部の走査方向を決定し、
前記表示処理手段は、前記画像の拡大および縮小を行わずに、その決定した走査方向に前記画像を移動する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の、可変抵抗デバイスを備えた電子機器。
【請求項3】
それぞれの前記入力部の抵抗が変化する各速度の差異が所定閾値を超えているか否かを判別する速度差異判別手段と、
上記各速度の差異が上記所定閾値を超えている場合に、速度の大きい前記入力部の走査を優先する第一優先走査決定手段と、
をさらに備え、
上記各速度の差異が上記所定閾値を超えている場合、
前記表示処理手段は、前記画像の拡大および縮小を行わずに、上記第一優先走査決定手段が優先する前記入力部の走査方向に基づいて、前記画像の移動処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の、可変抵抗デバイスを備えた電子機器。
【請求項4】
それぞれの前記入力部の抵抗が変化する各速度の一方のみが所定速度を超えているか否かを判別する絶対速度判別手段と、
上記各速度のいずれか一方が上記所定速度を超えている場合に、上記所定速度を超えている方の前記入力部の走査を優先する第二優先走査決定手段と、
をさらに備え、
上記各速度の一方のみが上記所定値を超えている場合、
前記表示処理手段は、前記画像の拡大および縮小を行わずに、上記第二優先走査決定手段が優先する前記入力部の走査方向に基づいて、前記画像の移動処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の、可変抵抗デバイスを備えた電子機器。
【請求項5】
前記第一優先走査決定手段または前記第二優先走査決定手段は、それぞれの前記入力部の走査方向がそれぞれ前記特定箇所に近づく方向と前記特定箇所から離れる方向である場合にのみ、前記速度の大きい前記入力部の走査を優先することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の、可変抵抗デバイスを備えた電子機器。
【請求項6】
本体が直方体形状であって、
前記特定箇所を特定の角部とし、
前記入力部は、その特定の角部を挟んで、その角部からそれぞれ別の角部に向かう方向に細長く、その本体の異なる側面に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の、可変抵抗デバイスを備えた電子機器。
【請求項7】
画像表示用の表示部と、当該本体の特定箇所を挟むように両側にそれぞれ備えられる入力部と、
上記表示部に表示される画像の表示を制御する制御部と、を備え、それぞれの上記入力部が、上記特定箇所に近づく方向および当該特定箇所から離れる方向においてその入力部の内部方向に押圧可能であって、その押圧している箇所に応じて抵抗が変化する可変抵抗デバイスである、可変抵抗デバイスを備えた電子機器のメモリに格納されるコンピュータプログラムであって、
それを上記メモリから読み出して実行することによって、
上記制御部を、
それぞれの上記入力部からの抵抗の変化を検出する検出手段、
上記入力部の抵抗の変化から、それぞれの上記入力部がともに上記特定箇所に近づく方向に走査されているか、ともに上記特定箇所から離れる方向に走査されているかを少なくとも判別する走査方向判別手段、
上記近づく方向に走査されている場合に上記画像の拡大若しくは縮小のいずれか一方の処理を行い、上記離れる方向に走査されている場合に上記画像の拡大若しくは縮小のいずれか他方の処理を行う表示処理手段の内の少なくともいずれか1つの手段として機能させることを特徴とする、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−48717(P2011−48717A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197645(P2009−197645)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】