説明

可変減衰器及び無線通信装置

【課題】高周波で使用する1段当たりの可変減衰量が大きい可変減衰器を提供する。
【解決手段】可変減衰器は、ゲート、ドレイン、ソース、ボディを有するMOSFET12と、減衰量制御回路14と、温度補償回路21とを備える。減衰量制御回路14は、ゲート、及びドレイン、ソースに制御電圧を与える。温度補償回路21は、ボディに温度補償電圧を与える。入力端子、出力端子は、それぞれMOSFET12のドレイン、ソースに接続する構成をとる。温度補償回路21は、MOSFET12の動作温度に応じて、ボディに供給する電圧を制御して、ホディ電圧とゲート電圧との関係で入力端子及び出力端子間に流れる電流の抵抗値を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の利得制御のための可変減衰器に係り、特に無線通信装置などに適応するIC化に適した可変減衰器及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話は第2世代のPDCやGSM方式から第3世代のWCDMA方式に進化している。WCDMA方式では基地局との距離に応じて端末の送信信号の出力レベルを制御することが必要不可欠である。現在の規格では80dBの送信レベル制御が必要である。
【0003】
以下に、WCDMA方式の無線機の一例を示す。具体的にはポーラー変調の無線機である。無線機において、ベースバンドの位相変調信号がPLLに入力され、PLLはVCOを制御する。VCOからはキャリア周波数のN倍の周波数の位相変調信号が出力され、分周器で1/Nに分周される。通常Nには2または4が用いられる。分周器の出力は可変減衰器、RFアンプを介して電力増幅器に入力される。また、電力増幅器には、ベースバンドの振幅変調信号と出力レベル制御信号も入力される。電力増幅器では、RFアンプから入力される位相変調信号に、ベースバンドの振幅変調信号に応じた振幅変調が重畳される。その結果、出力信号はQPSKや8PSKなどの振幅と位相の両方に変調された信号となる。また、その出力レベルは出力レベル制御信号に応じて電力増幅器で制御される。電力増幅器の出力信号はデュプレクサを介してアンテナから送信される。
【0004】
上記のように出力電力の制御は電力増幅器で行われるが、その可変範囲は30〜40dBが限界である。そのため40〜50dBの出力レベル制御が可変減衰器に求められる。
【0005】
図11〜14に、従来の可変減衰器の例(第1〜第4の例)を示す。図11は、特許文献1に記載の従来の可変減衰器501(第1の例)の構成を示す図である。図11において、従来の可変減衰器501には、GaAsFETが用いられており、ドレインとソースとに温度補償用のバイアス回路(すなわち、温度補償回路)502が接続されている。図12は、特許文献2に記載の従来の可変減衰器504(第2の例)の構成を示す図である。図12において、従来の可変減衰器504は、ROM506に格納されたテーブル、計算回路505、及びDAコンバータ507a、507bとを用いて、所望減衰量および前後の回路との反射係数の変化に応じてバイアス電圧を変化させることで減衰量を制御する。
【0006】
図13は、特許文献3に記載の従来の可変減衰器508(第3の例)の構成を示す図である。図13において、従来の可変減衰器508には、GaAsFETが用いられており、ゲートに温度補償回路509が接続されている。図14は、特許文献4に記載の従来の可変減衰器510(第4の例)の構成を示す図である。図14において、従来の可変減衰器510には、GaAsFETが用いられており、ドレインとソースとに図11とは異なる回路形式の温度補償回路511が接続されている。
【特許文献1】特許第3216808号公報
【特許文献2】特許第3784664号公報
【特許文献3】特開平9−46175号公報
【特許文献4】特開2005−244877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図15は、従来の可変減衰器の課題を説明する図である。図15において、縦軸は減衰量、横軸は可変減衰器の段数を示す。図15中の上側の実線は、可変減衰器の各段数に対する減衰量の最小値であり、下側の実線は減衰量の最大値である。両者の差が減衰量の可変範囲となる。図15からわかるように、可変減衰器の段数を増やすと減衰量の可変範囲が増えることがわかる。
【0008】
一方、可変減衰器の段数を増やすと減衰量の最小値が大きくなる。可変減衰器の減衰量はそのまま雑音となる。特に減衰量最小のときの減衰値は無線機の受信帯域雑音のスペックを満たすため、ある値以上にすることはできない。従来の無線機ではRFICと電力増幅器の間にフィルタが用いられていたため、減衰量最小のときの減衰値のスペックは10dB以上と非常に大きかったが、無線機の小型化のためこの段間のフィルタは削減される方向である。よって、減衰量最小のときの減衰値のスペックは数dBと非常に厳しいものとなっている。
【0009】
従来の可変減衰器は、1段で10〜20dB程度しか減衰量の可変範囲をとることができなかった。減衰量の可変範囲は段数に比例しないため、減衰量最大のときの減衰値のスペックを満たすためには、4〜5段の構成が必要となる。一方、この場合、減衰量最小のときの減衰値がスペック以上となってしまうという課題があった。このトレードオフを改善するためには、単段の可変減衰器の減衰量を大きくする必要がある。
【0010】
それ故に本発明の目的は、単段の可変減衰器の減衰量を大きくする可変減衰器及び無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様によれば、本発明の可変減衰器は、ゲート、ソース、ドレイン及びボディを含むMOSFETと、ゲートに供給される制御電圧の極性を反転して所定の増幅率で増幅する制御電圧をソース及びドレインに供給する減衰量制御回路と、MOSFETの動作温度に応じて、ボディに供給する電圧を制御してホディ電圧とゲート電圧との関係でドレイン及びソース間の抵抗値を調整する温度補償回路とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本態様により、可変減衰器の減衰量の最小値を所定の範囲に維持しながら減衰率を拡大しつつ、可変減衰器の温度補償を行うことができる。また、大きな減衰率を得るために用いられる多段減衰器の段数を減らすことができる。
【0013】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る可変減衰器10の構成例を示す図である。図1Aにおいて、入力信号は、DCカットのキャパシタ11を介して3−wellのNMOS12のソースに入力される。入力信号は、3−wellのNMOS12のドレイン・ソース間抵抗で減衰され、ドレインから出力される。出力信号は、DCカットのキャパシタ13を介して次段の回路(記載せず)に出力される。
【0015】
次に、減衰量制御回路14について説明する。本実施形態に係る可変減衰器10の減衰量は、3−wellのNMOS12のゲートとドレイン・ソースの電圧を変化させることによって調整される。減衰量制御回路14の出力電圧は、並列接続のキャパシタ15、及び直列接続の抵抗16を介してゲートに供給される。キャパシタ15は、減衰量制御回路14からの高周波雑音低減のために用いられ、抵抗16はソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路14にリークするのを低減するために用いられる。
【0016】
また、減衰量制御回路14の出力電圧は、反転増幅器17、並列接続のキャパシタ18、及び直列接続の抵抗19、20を介して、3−wellのNMOS12のドレインとソースとに供給される。ここで、反転増幅器17は、減衰量制御回路14の出力電圧を反転して出力する。このように構成することで、3−wellのNMOS12のゲートとドレイン・ソースとの間の電圧差を大きくできる。但し、ゲートに供給される電圧も、ドレイン・ソースに供給される電圧も、減衰量制御回路14から出力される電圧であるため、ドレイン・ソースへの出力電圧をゲートへの出力電圧と反転させたとしても、ゲートとドレイン・ソースとの間の電圧差を大きくするのには限界がある。
【0017】
そこで、3−wellのNMOS12のボディに温度特性補償回路21を接続し、温度によるMOSFETの閾値の変化に伴う減衰量の変化を低減する。ボティに供給される電圧は、温度特性補償回路21からの出力電圧であって減衰量制御回路14からの出力電圧ではないので、ボティへの供給電圧を変化させることで、ゲートとドレイン・ソースとの間の電圧差を大きくできる。
【0018】
従来はFETのゲート(またはドレイン、ソース)のみの電圧を可変することにより減衰量を変化させ、FETのドレインとソース(またはゲート)の電圧を変化させて温度特性補償を行っていた。しかしながら、減衰量はゲート電圧とドレイン・ソース電圧との差で決まるので、従来の可変減衰器には減衰量の可変範囲に限界があった。本発明ではボディ電圧を制御することで温度特性補償を行うことにより、ゲート電圧とドレイン・ソース電圧との両方を可変にできるため、可変範囲の大きな可変減衰器が実現できる。
【0019】
次に、温度特性補償回路21の構成について述べる。(数1)にMOSFETの閾値電圧とソース・ボディ間電圧の関係を示す。
【数1】

【0020】
(数1)において、Vthは閾値電圧、VSはソース電圧、VB圧、γは係数、φFはフェルミ準位である。可変減衰器10の減衰量の温度依存性を低減するためには、閾値電圧Vthが一定であればよい。すなわち、温度変化によってVth0が大きくなればボディ電位VBを高くし、Vth0が小さくなればボディ電位VBを低くすればよい。
【0021】
図1Bに温度特性補償回路21の構成例を示す。図1Bにおいて、抵抗22の一端はドレイン側基準電位Vddに接続され、もう一端は温度特性補償回路21の3−wellのNMOS23のドレインとゲートとに接続される。また、3−wellのNMOS23のソースとボディはソース側基準電圧Vssに接続される。そして、ドレインとゲートの電圧を温度補償電圧として可変減衰器10に供給している。なお、ソース側基準電圧Vssは負電圧であってもよい。
【0022】
図1Bに示した温度特性補償回路21によれば、NMOS23のドレインはドレイン側基準電位Vddに、ソースはソース側基準電圧Vssに接続され、かつソースとドレインが接続されている。このような構成であるため、温度特性補償回路21のNMOS23の温度変化に伴う閾値電圧Vthの変化を、抵抗22とNMOS23のドレインとの接続点から検出することができる。
【0023】
なお、図1Aに示した可変減衰器10を構成するNMOS12と、温度特性補償回路21とを同じ基板に形成することで、可変減衰器10を構成するNMOS12と、温度特性補償回路21を構成するNMOS23との温度変化をほぼ同じにすることができる。したがって、温度特性補償回路21を構成する抵抗22と、NMOS23のドレインとの接続点から検出した閾値電圧Vthの変化に基づき、可変減衰器10を構成するNMOS12のボディ電位を調整することで、可変減衰器10の減衰量の温度依存性を低減することができる。
【0024】
次に、従来の可変減衰器と、第1の実施形態に係る可変減衰器10との比較を行う。図15に示したように可変減衰器の段数を増やしたときの最小の減衰量と最大の減衰量とを比較する。
【0025】
図2Aに5段の可変減衰器の構成を示す。図2Aの可変減衰器は、図1Aの可変減衰器を直列及び並列に交互に接続した構成となっている。直列接続の可変減衰器に用いるMOSFETのゲート幅は、並列接続のMOSFETのゲート幅より大きいものを用いている。これは、減衰量最小のときの減衰量をできるだけ小さくするためである。すなわち、減衰量最小のとき直列接続のMOSFETの抵抗は最小となり、その値ができるだけ小さいことが求められる。一方、並列接続のMOSFETの抵抗は最大となり、その値ができるだけ大きいことが求められる。
【0026】
各可変減衰器の減衰量制御回路の制御電圧は、直列接続のMOSFETの値をVct1とする。Vct1は0〜1.2Vの値とした。一方、並列接続のMOSFETの値はVct1-2とする。ここで、Vct1-2は(1.2−Vct1)Vの値とした。
【0027】
図2Bに、可変減衰器の段数を1段から5段まで変化させたときの減衰量の最小値を、第1の実施形態による可変減衰器で構成した場合と、温度特性補償回路のない、例えば、図13の従来の可変減衰器で構成した場合とで比較した結果を示す。ここで、減衰量の最小値が例えば−0.8dB以上となることを要求されているとすると、段数は本発明と従来例ともに4段以下が必要となる。ただし、AATは可変減衰器の段数を示し、例えば、ATT1は可変減衰器が1段であることを意味する。
【0028】
図2Cに段数を1段から5段まで変化させたときの減衰量の最大値を示す。ここで、減衰量の最大値として例えば−40dB以下にすることが求められているとすると、段数は本発明であれば4段以上、従来例であれば5段以上で設計する必要がある。
【0029】
図2B、及び図2Cより、本発明であれば4段の可変減衰器で減衰量の最大値、最小値の所望スペックを満たすことができるが、従来例では同時に両方のスペックを満たすことができないことがわかる。
【0030】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る可変減衰器を用いることにより、減衰量の最小値を増やすことなく、可変減衰器の段数を例えば1つ減らして、例えば39.2dB分の大きな減衰量可変範囲を得ることができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図3に本発明の第2の実施形態に係る可変減衰器30の構成例を示す。図3は、3−wellのPMOSを用いた可変減衰器30の一例を示す図である。図3において、入力信号は、DCカットのキャパシタ31を介して3−wellのPMOS32のソースに入力される。入力信号は、3−wellのPMOS32のドレイン・ソース間抵抗で減衰され、ドレインから出力される。出力信号は、DCカットのキャパシタ33を介して次段の回路(記載せず)に出力される。
【0032】
次に、減衰量制御回路34について説明する。本実施形態の可変減衰器30の減衰量は、3−wellのPMOS32のゲートとドレイン・ソースの電圧を変化させることによって調整される。減衰量制御回路34の出力電圧は、並列接続のキャパシタ35、直列接続の抵抗36を介してゲートに供給される。キャパシタ35は、減衰量制御回路34からの高周波雑音低減のために用いられ、抵抗36はソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路34にリークするのを低減するために用いられる。
【0033】
また、減衰量制御回路34の出力電圧は、反転増幅器37、並列接続のキャパシタ38、及び直列接続の抵抗39,40を介して、3−wellのPMOS32のドレインとソースに供給される。ここで、反転増幅器37は、減衰量制御回路34の出力電圧を反転して出力する。このような構成とすることで、3−wellのPMOS32のゲートとドレイン・ソースとの間の電圧差を大きくできる。但し、ゲートに供給される電圧も、ドレイン・ソースに供給される電圧も、減衰量制御回路34から出力される電圧であるため、ドレイン・ソースへの出力電圧をゲートへの出力電圧と反転させたとしても、ゲートとドレイン・ソースとの間の電圧差を大きくするのには限界がある。
【0034】
そこで、第1の実施形態と同様に、3−wellのPMOS32のボディに温度特性補償回路41を接続し、温度によるMOSFETの閾値の変化に伴う減衰量の変化を低減する。ボティに供給される電圧は、温度特性補償回路41からの出力電圧であって減衰量制御回路34からの出力電圧ではないので、ボティへの供給電圧を変化させることで、ゲートとドレイン・ソースとの間の電圧差を大きくできる。
【0035】
第1の実施形態でも説明したように、MOSFETの閾値電圧とソース・ボディ間電圧との関係は、閾値電圧Vth、ソース電圧Vs、ボディ電圧VB、ソース電圧とボディ電圧とが同じ電圧のときの閾値電圧Vth0、係数γ、フェルミ準位φFを用いて(数1)で表すことができる。第1の実施形態と同様に、可変減衰器30の減衰量の温度依存性を低減するためには、閾値電圧Vthを一定にすればよい。したがって、温度変化によって閾値電圧Vth0が大きくなればボディ電位VBを高くし、閾値電圧Vth0が小さくなればボディ電位VBを低くすればよい。
【0036】
図4に温度特性補償回路41の構成例を示す。図4において、抵抗42の一端はソース側基準電位Vssに接続され、もう一端は3−wellのPMOS43のソースとゲートとに接続される。また、3−wellのPMOS43のドレインとボディとは、ドレイン側基準電圧Vddに接続される。そして、ソースとゲートの電圧を温度補償電圧として可変減衰器30に供給している。なお、ドレイン側基準電圧Vddは、本実施形態の可変減衰器が搭載されたICの電源電圧以上であってもよい。
【0037】
図4に示した温度特性補償回路41によれば、PMOS43のドレインはドレイン側ドレイン側基準電位Vddに、ソースはソース側基準電圧Vssに接続され、かつソースとドレインが接続されている。このような構成であるため、温度特性補償回路41のPMOS43の温度変化に伴う閾値電圧Vthの変化を、抵抗42とPMOS43のソースとの接続点から検出することができる。
【0038】
図3に示した可変減衰器30を構成するPMOS32と、温度特性補償回路41とを同じ基板に形成することで、可変減衰器30を構成するPMOS32と、温度特性補償回路41を構成するPMOS43との温度変化をほぼ同じにすることができる。したがって、温度特性補償回路41を構成する抵抗42と、PMOS43のソースとの接続点から検出した閾値電圧Vthの変化に基づき、可変減衰器30を構成するPMOS32のボディ電位を調整することで、可変減衰器30の減衰量の温度依存性を低減することができる。
【0039】
上記に説明した第2の実施形態に係る可変減衰器30によれば、減衰量の温度依存性を低減することができる。そのため、第1の実施形態の場合と同様に、少ない段数の可変減衰器で減衰量の最大値、最小値の所望スペックを満たすことができる。そのため、第2の実施形態に係る可変減衰器30を用いることにより、減衰量の最小値を増やすことなく、多段減衰器の段数を減らして、大きな減衰量可変範囲を得ることができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図5は、第1の実施形態に係る可変減衰器10に用いられる温度特性補償回路の他の構成例である。図5において、3−wellのNMOS51のソースは、抵抗52を介して接地されている。また、NMOS51のドレインは定電流源53に接続され、ドレイン電流idは一定に保たれている。NMOS51のゲートには定電圧源54に接続され、ゲート電圧Vrefgは一定に保たれている。
【0041】
抵抗52の一端はソース側基準電位Vssに接続され、もう一端は3−wellのNMOS51のソースとゲートとに接続される。また、3−wellのNMOS51のドレインとボディとは、ドレイン側基準電圧Vddに接続される。そして、ソースとゲートの電圧を温度補償電圧として可変減衰器10に供給している。
【0042】
上記した構成を有するため、図5の温度特性補償回路は、ゲート電圧Vrefgが一定、ドレイン電流idが一定、ソース電圧id/Rsが一定となる。ここで、Rsは抵抗52の抵抗値である。さらに、第3の実施形態に係る温度特性補償回路は、定電圧源Vrefd55、比較器56、積分器57から構成されるフィードバック回路58を備えている。比較器56の一方の入力には定電圧源Vrefd55が接続され、比較器56の他方の入力はNMOS51のドレインと定電流源53との接続点に接続されている。また、積分器57の出力は、NMOS51のボディと接続されている。このような構成となっているため、NMOS51のゲート電圧Vrefgが一定、ドレイン電流idが一定、ソース電圧id/Rsが一定となっている。なお、Vrefg、Vrefd、idは、例えば、バンドギャップレギュレータ(図示せず)などの温度特性補償された回路から供給することができる。
【0043】
ここで、閾値電圧Vthが一定の場合のボディ電圧VBは、ゲート、ドレイン、ソース電圧をある決まった値に固定し、ある決まったドレイン電流idを流したときのボディ電圧VBとして測定することができる。すなわち、(数1)から、ソース電圧Vsとボディ電圧VBとがそれぞれ一定電圧のとき、閾値電圧Vthとソース電圧Vsとを一定にし、温度変化に伴って閾値電圧Vth0が変化するのに応じて発生するボディ電圧VBの変化をモニタすることができる。
【0044】
図5に示した温度特性補償回路では、積分器57が温度変化に伴って閾値電圧Vth0が変化するボディ電圧VBを出力する。したがって、このボディ電圧VBの出力を第1の実施形態に係る可変減衰器10のNMOS12のボディ電圧として印加することで、温度特性補償をより精度よく行うことができる。
【0045】
図6は、第1の実施形態に係る可変減衰器10に用いられる温度特性補償回路21の他の構成例である。図6において、(数1)より、閾値電圧Vthはソース電圧Vsによって異なることがわかる。そのため、可変減衰器10のMOSFETのソース電圧に応じてボディ電圧VBの温度特性補償電圧値を微調整することが望ましい。(数1)より、(数2)が成り立つ。
【数2】

【0046】
ここで、VSXはノードXの電位、VBYはノードYの電位、T0、VBAは可変減衰器10のFETのボディに与える電圧である。(数2)より、(数3)が成り立つ。
【数3】

【0047】
(数3)でφfは物理定数、VSXは減衰器の制御電圧、VBY(T)は温度補償回路の出力電圧であり、VSX、VBY(T0)=VBA(T0)は設計時に予めわかっている。そのため、可変減衰器10のFETのボディに与える電圧VBA(T)は計算できる。温度補償回路の出力電圧VBY(T)を、ADコンバータ59でデジタル信号に変換し、DSP60でVBA(T)を計算し、その結果をDAコンバータ61で変換して、可変減衰器のMOSFETに供給する。以上の構成により、精度の良い温度補償回路が可能となる。
【0048】
(第4の実施形態)
図7に、本発明の第4の実施形態に係る可変減衰器70の構成例を示す。図7において、入力信号は、DCカットのキャパシタ71を介して3−wellのNMOS72のソースに入力される。入力信号は、3−wellのNMOS72のドレイン・ソース間抵抗で減衰され、ドレインから出力される。出力信号は、DCカットのキャパシタ73を介して次段の回路(記載せず)に出力される。
【0049】
次に、減衰量制御回路74について説明する。本実施形態の可変減衰器70の減衰量は、3−wellのNMOS72のゲートとドレイン・ソースの電圧を変化させることによって調整される。減衰量制御回路74の出力電圧は、反転増幅器75、並列接続のキャパシタ76、及び直列接続の抵抗77を介してゲートに供給される。反転増幅器75は、減衰量制御回路74の出力電圧を反転して出力する。キャパシタ76は、減衰量制御回路74からの高周波雑音低減のために用いられ、抵抗77はソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路74にリークするのを低減するために用いられる。
【0050】
また、減衰量制御回路74の出力電圧は、反転増幅器78、並列接続のキャパシタ79、及び直列接続の抵抗80を介して、3−wellのNMOS72のドレインに供給される。ここで、反転増幅器78は、減衰量制御回路74の出力電圧を反転して出力する。また、減衰量制御回路74の出力電圧は、反転増幅器81、並列接続のキャパシタ82、及び直列接続の抵抗83を介して、3−wellのNMOS72のソースに供給される。ここで、反転増幅器81は減衰量制御回路74の出力電圧を反転して出力する。
【0051】
このように、第4の実施形態では、NMOS72のゲート電圧、ドレイン電圧、及びソース電圧の制御電圧を、それぞれ独立した反転増幅器75、78、81を介して供給する構成となっている。このような構成とすることで、NMOS72のゲート・ドレイン間、ゲート・ドレイン間、及びソース・ドレイン間のアイソレーションを確保することができる。
【0052】
減衰量最大のとき、ソース・ドレイン間のアイソレーションを45〜55dB程度まで確保する必要がある。ゲート電圧、ドレイン電圧、及びソース電圧の制御ラインを介して信号がリークすると、この仕様を満足できなくなるので、ドレインの制御ラインとソースの制御ラインとのアイソレーションを取ることは非常に重要である。第4の実施形態では、制御ラインを介した信号リークを低減することが可能であり、ソース・ドレイン間のアイソレーションを高めることが期待できる。
【0053】
なお、第1〜第3の実施形態で説明した温度特性補償回路を、温度特性補償回路84に適用してNMOS72のボディ電圧を制御することで、少ない段数の可変減衰器で減衰量の最大値、最小値の所望スペックを満たすことが期待できる。また、減衰量の最小値を増やすことなく、大きな減衰量可変範囲を得ることも期待できる。
【0054】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係る可変減衰器90の構成例を示す。図8において、入力信号は、DCカットのキャパシタ91を介して3−wellのNMOS92のソースに入力される。入力信号は、3−wellのNMOS92のドレイン・ソース間抵抗で減衰され、ドレインから出力される。出力信号は、DCカットのキャパシタ93を介して次段の回路(記載せず)に出力される。
【0055】
次に、第1の減衰量制御回路94、及び第2の減衰量制御回路95について説明する。本実施形態の可変減衰器90の減衰量は、3−wellのNMOS92のゲートとドレイン・ソースの電圧を変化させることによって調整される。第1の減衰量制御回路94の出力電圧は、並列接続のキャパシタ96、及び直列接続の抵抗97を介してNMOS92のゲートに供給される。キャパシタ96は、第1の減衰量制御回路94からの高周波雑音低減のために用いられ、抵抗97はソースに入力された信号がゲートから第1の減衰量制御回路94にリークするのを低減するために用いられる。また、第2の減衰量制御回路95の出力電圧は、並列接続のキャパシタ98、及び直列接続の抵抗99、100を介して3−wellのNMOS92のドレインとソースとに供給される。
【0056】
このように、第5の実施形態では、ゲートの制御電圧とドレイン・ソースの制御電圧とをそれぞれ異なる第1、第2の減衰量制御回路94、95から供給する構成となっている。このような構成とすることで、NMOS92のゲート・ドレイン間、ゲート・ソース間、ソース・ドレイン間のアイソレーションを確保することができる。
【0057】
減衰量最大のとき、ソース・ドレイン間のアイソレーションが45〜55dB程度まで確保する必要がある。ゲート電圧、ドレイン電圧、及びソース電圧の制御ラインを介して信号がリークすると、この仕様を満足できなくなるので、ドレインの制御ラインとソースの制御ラインのアイソレーションを取ることは非常に重要である。
【0058】
一般に、ゲート電圧に対する減衰量の変化と、ドレイン・ソース電圧に対する減衰量の変化とは異なる特性を示す。そのため、より高精度の減衰量のコントロールをするためには、制御回路を別々に持つことが有効である。また、第1、第2の減衰量制御回路94、95のように制御回路を別回路とすることで、ゲートとドレイン・ソースの間のアイソレーションを向上させることが期待できる。
【0059】
なお、第1〜第3の実施形態で説明した温度特性補償回路を、温度特性補償回路101に適用してNMOS92のボディ電圧を制御することで、少ない段数の可変減衰器で減衰量の最大値、最小値の所望スペックを満たすことが期待できる。また、減衰量の最小値を増やすことなく、大きな減衰量可変範囲を得ることも期待できる。
【0060】
(第6の実施形態)
図9Aは、本発明の第6の実施形態に係る可変減衰器110の構成例を示す図である。図9Aに示す可変減衰器110は、NMOS及びPMOSを交互に3段接続した可変減衰器の一例である。具体的には、可変減衰器110には、直列に接続された2つの3−wellのNMOS112,113が接続されている。一方のNMOS112のドレインと、他方のNMOS113のソースの接続点に、2つのNMOSに対して並列に接続されたPMOS114から制御電圧を与えている。入力端子は、キャパシタ111を介してNMOS112のソースに接続されている。NMOS112のドレインは、NMOS113のソースとPMOS114のソースとに接続されている。NMOS113のドレインは、キャパシタ115を介して出力端子に接続されている。
【0061】
NMOS112、113のゲートには、並列接続のキャパシタ117、及び直列接続の抵抗118、119を介して、減衰量制御回路116の出力が入力されている。キャパシタ117は、減衰量制御回路116の高周波雑音を低減するために信号線とグラウンドの間に接続されている。また、抵抗118、119は、NMOS112、113のソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路116にリークするのを低減するために用いられる。
【0062】
一方、PMOS114のゲートには、並列接続のキャパシタ120、及び直列接続の抵抗121を介して、減衰量制御回路116の出力が入力されている。キャパシタ120は、減衰量制御回路116の高周波雑音を低減するために信号線とグラウンドとの間に接続されている。また、抵抗121は、PMOS114のソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路116にリークするのを低減するために用いられる。
【0063】
さらに、PMOS114のドレインには、反転増幅器122の信号が入力されている。反転増幅器122は、減衰量制御回路116の出力電圧を反転して出力する。また、キャパシタ123は、PMOS114のドレインを高周波接地するために接続されている。
【0064】
本実施形態の可変減衰器110の動作について説明する。可変減衰器110の減衰量が最少のとき、NMOS112、及びNMOS113のゲートには減衰量制御回路116からHIGHの電圧が印加され、NMOS112、及びNMOS113のドレイン・ソース間の抵抗値が最少となる。一方、PMOS114のゲートにもHIGHの電圧が印加され、PMOS114の抵抗値が最大となる。この構成により、可変減衰器110の減衰量は最小となる。さらに本構成では、PMOS114のドレインにLOWの電圧が印加される。これにより、単にゲートをHIGHにする以上にドレイン・ソース間抵抗値が得られ、可変減衰器110の減衰量がさらに小さくなる。
【0065】
次に、可変減衰器110の減衰量が最大のとき、NMOS112、及びNMOS113のゲートには減衰量制御回路116からHIGHの電圧が印加され、NMOS112、及びNMOS113のドレイン・ソース間の抵抗値が最大となる。一方、PMOS114のゲートにもLOWの電圧が印加され、PMOS114の抵抗値が最少となる。この構成により、可変減衰器110の減衰量は最大となる。さらに本構成では、PMOS114のドレインにHIGHの電圧が印加される。このとき、NMOS112のソース、及びNMOS113のドレインにHIGHの電圧が印加される。これにより、単にNMOS112のゲートをLOWにする以上にドレイン・ソース間抵抗値が高くなり、さらに可変減衰器110の減衰量が大きくなる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の可変減衰器110は、可変減衰量の範囲を広げることが期待できる。また、本実施形態の可変減衰器110は、制御ラインやバイアス回路の抵抗の数を減らせる。そのため、チップ面積が小さくでき、制御ラインを介した入出力間のアイソレーション劣化を低減することが期待できる。
【0067】
なお、第1〜第3の実施形態で説明した温度特性補償回路を、温度特性補償回路124に適用してNMOS112、113、PMON114のボディ電圧を制御することで、少ない段数の可変減衰器で減衰量の最大値、最小値の所望スペックを満たすことが期待できる。また、減衰量の最小値を増やすことなく、大きな減衰量の可変範囲を得ることも期待できる。
【0068】
図9Bに、図9AのNMOSとPMOSとを入れ替えた可変減衰器130の構成例を示す。図9Bの可変減衰器130には、直列に接続された2つの3−wellのPMOS132,133が接続されている。一方のPMOS132のドレインと、他方のPMOS133のソースの接続点に、2つのPMOSに対して並列に接続されたNMOS134から制御電圧を与えている。入力端子は、キャパシタ131を介してPMOS132のソースに接続され、PMOS132のドレインはPMOS133のソースとNMOS134のソースに接続されている。PMOS133のドレインは、キャパシタ135を介して出力端子に接続されている。
【0069】
PMOS132、133のゲートには、減衰量制御回路136の出力が並列接続のキャパシタ137、及び直列接続の抵抗138、139を介して入力されている。キャパシタ137は、減衰量制御回路136の高周波雑音を低減するために信号線とグラウンドの間に接続されている。また、抵抗138、139は、PMOS132、133のソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路136にリークするのを低減するために用いられる。
【0070】
一方、NMOS134のゲートには、減衰量制御回路136の出力が並列接続のキャパシタ140、及び直列接続の抵抗141を介して入力されている。キャパシタ140は、減衰量制御回路136の高周波雑音を低減するために信号線とグラウンドとの間に接続されている。また、抵抗141は、NMOS134のソースに入力された信号がゲートから減衰量制御回路136にリークするのを低減するために用いられる。
【0071】
さらに、NMOS134のドレインには、反転増幅器142の信号が入力されている。反転増幅器142は、減衰量制御回路136の出力電圧を反転して出力する。また、キャパシタ143は、NMOS134のドレインを高周波接地するために接続されている。
【0072】
図9Bの可変減衰器130の動作は、図9Aに示した可変減衰器110と、電圧の極性が入れ替わるだけである。上記したように、本実施形態の変形例である可変減衰器130は、可変減衰量の範囲を広げることが期待できる。
【0073】
また、本実施形態の変形例である可変減衰器130は、制御ラインやバイアス回路の抵抗の数を減らせる。そのため、チップ面積を小さくでき、制御ラインを介した入出力間のアイソレーション劣化を低減することが期待できる。
【0074】
なお、第1〜第3の実施形態で説明した温度特性補償回路を、温度特性補償回路144に適用してPMOS132、133、NMOS134のボディ電圧を制御することで、少ない段数の可変減衰器で減衰量の最大値、最小値の所望スペックを満たすことが期待できる。また、減衰量の最小値を増やすことなく、大きな減衰量可変範囲を得ることも期待できる。
【0075】
また、図9Aと図9Bに示した可変減衰器110、130を並列に接続することにより、入力電圧の電圧振幅が大きい場合でも歪みの発生を抑制できる可変減衰器の実現が期待できる。
【0076】
(第7の実施の形態)
図10Aは、本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成例である。図10Aにおいて、振幅位相分離部201は、入力信号(デジタル信号)から振幅成分信号と位相成分信号とを生成する。電圧供給部203は、振幅成分信号に応じた電圧を電力増幅器204に供給する。位相変調部202は、位相成分信号から位相変調信号を生成する。位相変調部202は、例えば、PLL、VCO及び分周器(Divider)から構成される。位相変調信号は、可変減衰器205で減衰された後、電力増幅器204に入力される。可変減衰器205には、上述した第1〜6の実施形態のいずれかの可変減衰器が用いられる。電力増幅器204は、位相変調信号を電圧供給部203から供給される電圧に応じて増幅することで、位相振幅合成された信号を出力する。電力増幅器204から出力された信号は、デュプレクサ206を介して、アンテナ207から送信される。以上のような構成にすることにより、無線通信装置200からの出力信号レベルを大きく可変することができる。
【0077】
図10Bは、本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置300の構成例である。図10Bにおいて、入力信号(デジタル信号)は、それぞれ変調器301、302を介して、ミキサ303、304に入力される。ミキサ303、304に入力された信号は、位相分周回路305の出力信号でミキシングされた後、互いに合成され、可変減衰器306に入力される。可変減衰器306には、上述した第1〜6の実施形態のいずれかの可変減衰器が用いられる。可変減衰器306で減衰された信号は、電力増幅器307で増幅され、デュプレクサ308を介して、アンテナ309から送信される。以上のような構成にすることにより、無線通信装置300からの出力信号レベルを大きく可変することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の可変減衰器は、無線回路の可変範囲の広い送信回路の出力電力制御等に使用するのに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る可変減衰器10の構成例を示す図
【図1B】本発明第1の実施形態に係る温度特性補償回路21の構成例を示す図
【図2A】本発明第1の実施形態に係る可変減衰器の多段構成を示す図
【図2B】段数と減衰量の最小値の関係を示す図
【図2C】段数と減衰量の最大値の関係を示す図
【図3】本発明の第2の実施形態に係る可変減衰器30の構成例を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る温度特性補償回路41の構成例を示す図
【図5】本発明の第3の実施形態に係る温度特性補償回路の構成例を示す図
【図6】本発明の第3の実施形態に係る温度特性補償回路の他の構成例を示す図
【図7】本発明の第4の実施形態に係る可変減衰器70の構成例を示す図
【図8】本発明の第5の実施形態に係る可変減衰器90の構成例を示す図
【図9A】本発明の第6の実施形態に係る可変減衰器110の構成例を示す図
【図9B】本発明の第6の実施形態に係る可変減衰器130の構成例を示す図
【図10A】本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成例を示す図
【図10B】本発明の第7の実施形態に係る無線通信装置300の構成例を示す図
【図11】従来の可変減衰器501(第1の例)の構成を示す図
【図12】従来の可変減衰器504(第2の例)の構成を示す図
【図13】従来の可変減衰器508(第3の例)の構成を示す図
【図14】従来の可変減衰器510(第4の例)の構成を示す図
【図15】従来の可変減衰器の課題を示す図
【符号の説明】
【0080】
10,30,70,90,110,130 可変減衰器
11,13,15,18、31,33,35,38 キャパシタ
71,73,79,82,91,93,96,98 キャパシタ
111,117,120,123 キャパシタ
131,135,137,140,143 キャパシタ
12,23,51,112,113,134 NMOS
32,43,114,132,133 PMOS
14,34,74,94,95,116,136 減衰量制御回路
16,19,20,22,36,39,40,52 抵抗
77,80,83,97,99,100,118,119,121 抵抗
134,138,139 抵抗
17,37,78,80,122,142 反転増幅回路
21,41,84,101,124,144 温度特性補償回路
53 定電流源
54,55 定電圧源
56 比較器
57 積分器
58 フィードバック回路
59 ADコンバータ
60 DSP
61 DAコンバータ
200 無線通信装置
201 振幅位相分離部
202 位相変調部
203 電圧供給部
204 電力増幅器
205 可変減衰器
206 デュプレクサ
207 アンテナ
300 無線通信装置
301,302 変調器
303,304 ミキサ
305 位相分周回路
306 可変減衰器
307 電力増幅器
308 デュプレクサ
309 アンテナ
501,504,508,510 可変減衰器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート、ソース、ドレイン及びボディを含むMOSFETと、
前記ゲートに供給される制御電圧の極性を反転して所定の増幅率で増幅する制御電圧を前記ソース及び前記ドレインに供給する減衰量制御回路と、
前記MOSFETの動作温度に応じて、前記ボディに供給する電圧を制御してホディ電圧とゲート電圧との関係で前記ドレイン及び前記ソース間の抵抗値を調整する温度補償回路とを備えた、可変減衰器。
【請求項2】
前記ソース又は前記ドレインのいずれか一方に接続された入力端子と、前記ソース又は前記ドレインのいずれか他方に接続された出力端子とを備え、
前記ドレイン及び前記ソース間の抵抗値は、前記入力端子及び前記出力端子間に流れる電流の抵抗値であることを特徴とする、請求項1に記載の可変減衰器。
【請求項3】
ゲート、ソース、ドレイン及びボディを含むMOSFETと、
前記ソース又は前記ドレインのいずれか一方に接続された入力端子と、
前記ソース又は前記ドレインのいずれか他方に接続された出力端子と、
前記ゲートに供給される制御電圧の極性を反転して所定の増幅率で増幅する制御電圧を前記ソース及び前記ドレインに供給する減衰量制御回路と、
前記MOSFETの動作温度に応じて、前記ボディに供給する電圧を制御して、ホディ電圧とゲート電圧との関係で前記入力端子及び前記出力端子間に流れる電流の抵抗値を調整する温度補償回路とを備えた、可変減衰器。
【請求項4】
前記温度補償回路は、トリプルウェルNMOSを備え、
前記トリプルウェルNMOSのゲートとドレインとは接続され、
前記トリプルウェルNMOSのソースとボディとは接続され、
前記トリプルウェルNMOSのドレインは、抵抗を介して第1の基準電位に接続され、ソースは前記第1の基準電位よりも電位が低い第2の基準電位に接続されており、
前記トリプルウェルNMOSのゲート及びドレインに印加される電圧を前記MOSFETのボディに供給して、前記MOSFETの閾値電圧を所定値に設定することを特徴とする、請求項2に記載の可変減衰器。
【請求項5】
前記温度補償回路は、トリプルウェルNMOSと、比較器と、積分器とを備え、
前記トリプルウェルNMOSのゲートは第1の基準電位と接続され、ドレインは定電流源と接続され、ソースは抵抗を介して接地され、
前記比較器のプラス端子は第2の基準電位と接続され、マイナス端子は前記トリプルウェルNMOSのドレインと接続され、さらに前記比較器の出力と前記MOSFET及び前記トリプルウェルNMOSのボディとが接続されており、
前記トリプルウェルNMOSのドレイン電圧が前記第2の基準電位になるように、前記MOSFET及び前記トリプルウェルNMOSのボディに供給する電圧を調整して、前記MOSFETの閾値電圧を所定値に設定することを特徴とする、請求項2に記載の可変減衰器。
【請求項6】
前記トリプルウェルNMOSのボディと、前記MOSFETのボディの間にADコンバータと、DSPと、DAコンバータとが直列に接続され、
前記ADコンバータは、前記トリプルウェルNMOSのボディ電圧をデジタル信号に変換し、
前記DSPは、前記デジタル信号と前記MOSFETのソース電圧に応じて出力デジタル電圧を出力し、
前記DAコンバータは、前記出力デジタル電圧をアナログ電圧に変換することを特徴とする、請求項5に記載の可変減衰器。
【請求項7】
前記減衰量制御回路は、第1および第2の反転増幅器に接続され、
前記第1の反転増幅器の出力は、第1の容量を介して接地されると共に、第1の抵抗を介して前記MOSFETのドレインと接続され、
前記第2の反転増幅器の出力は、第2の容量を介して接地されると共に、第2の抵抗を介して前記MOSFETのソースに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の可変減衰器。
【請求項8】
ゲート、ソース、ドレイン及びボディを含む第1のMOSFETと、
ゲート、ソース、ドレイン及びボディを含む第2のMOSFETと、
前記第1及び前記第2のMOSFETのゲートに供給される制御電圧の極性を反転して所定の増幅率で増幅する制御電圧を、前記第1及び前記第2のMOSFETのソースとドレインの少なくとも一方に供給する減衰量制御回路と、
前記第1及び前記第2のMOSFETの動作温度に応じて、前記第1及び前記第2のMOSFETの前記ボディに供給する電圧を制御してホディ電圧とゲート電圧との関係で前記ドレイン及び前記ソース間の抵抗値を調整する温度補償回路とを備えた、可変減衰器。
【請求項9】
通信信号から振幅成分信号と位相成分信号を形成する振幅位相分離部と、
前記位相成分信号から位相変調信号を形成する位相変調部と、
前記位相変調部に接続され前記位相変調部から出力される位相変調信号を減衰させる請求項1に記載の可変減衰器と、
前記可変減衰器の前記出力端子に接続され、前記出力端子から出力される信号を前記振幅成分信号で位相振幅合成する増幅器と、
前記増幅器に前記振幅成分信号に応じた電圧を供給する電圧供給部と、 前記増幅器から出力された信号を送信するアンテナと、
前記増幅器の出力レベルを示す制御信号を所定の基地局から受信する受信部とを備え、
前記制御信号に応じた電圧値を前記可変減衰器の前記制御端子に与え、前記増幅器に出力する前記位相変調信号を減衰させることを特徴とする、無線通信装置。
【請求項10】
通信信号を変調して出力する変調器と、
前記変調器に接続され、前記変調器から出力される信号をコンバートするアップコンバータと、
前記アップコンバータに接続され、前記アップコンバータから出力される信号を減衰させる請求項1に記載の可変減衰器と、
前記可変減衰器の前記出力端子に接続され、前記出力端子から出力される信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器から出力された信号を送信するアンテナと、
前記増幅器の出力レベルを示す制御信号を所定の基地局から受信する受信部とを備え、
前記制御信号に応じた電圧値を前記可変減衰器の前記制御端子に与え、前記増幅器に出力する信号を減衰させることを特徴とする、無線通信装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−71812(P2009−71812A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210314(P2008−210314)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】