説明

可撓性フラット・パネル表示装置用の係数が小さい基板

本発明は、可撓性フラット・パネル表示装置用の基板に関する。本発明は、可撓性フラット・パネル表示装置(110)用の小さい曲率半径に湾曲可能な基板に関し、可撓性フラット・パネル表示装置(110)が圧力を加えられまたは曲がることによって影響を受けたときでさえ、セル・ギャップの偏りを制御し、好ましくは最小にする。ある態様によれば、高ヤング率を有する基板と、低ヤング率を有する基板とからなる複合基板が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(LCD)、有機LED表示装置、電界放出表示装置、あるいは薄膜または厚膜のエレクトロクロム表示装置またはエレクトロルミネセンス表示装置などの可撓性フラット・パネル表示装置に関する。詳しくは、本発明は、ある曲率半径まで湾曲することが可能な可撓性フラット・パネル表示装置に関する。さらに、本発明は、フラット・パネル表示装置用の可撓性基板に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性フラット・パネル表示装置は、現在開発段階にあるが、多種多様な環境の下で市場の拡大が予想されており、そこでは、特に、フラット・パネル表示装置の機能を維持しながら、可撓性フラット・パネル表示装置は、引っ張りおよび圧縮の剪断応力を受けている。パネル表示装置の製造中、フラット・パネル表示装置は、たとえば層が互いにボンディングされている間、圧縮負荷に曝されるが、フラット・パネル表示装置の可撓性によって、ほとんどすべてのフラット・パネル表示装置が機能することを保証される。
【0003】
可撓性フラット・パネル表示装置は、先の特許出願に記載されている。たとえば、英国特許出願第GB2,337,131A号に、壁を形作るスペーサによって隔置された2層の基板を備える、そのようなLCDおよびその製造方法が記載されている。LCDは、qL/Eh≦πV/48の条件を満足するように具体的に設計され、ここで、「q」は、製造中のボンディング圧力など加えられた圧力、「L」は、壁を形作るスペーサ間の間隔、「E」は、基板の弾性係数、「h」は、基板厚さ、「V」は、2層の基板と壁を形作るスペーサの間に画定されたセルの厚さの許容変化とする。上記条件を満足する物体は、LCD部品を製造するための英国特許出願によるLCDであり、そのLCDは、基板表面に垂直に圧力が加えられている間、セルの厚さ(ギャップ)を等しくなるように維持し、良好に表示する能力がある。いずれにしろ、LCDの製造工程中またはその使用中、LCDは、圧力に曝されるのに加えて、さらに曲げに曝されることがある。
【0004】
さらに、国際特許出願第WO02/43032号に、可撓性基板と、基板に取り付けられ、行電極と列電極の間に表示材料を有した基板に取り付けられた複数の行および列の電極とを含む可撓性表示デバイスが記載されている。基板用の材料は、無機ガラスまたはポリマー・フィルムとすることができる。しかし、この国際特許出願に記載された可撓性表示デバイスには、表示装置の通常の使用条件でガラス状態であるアモルファスの半結晶性ポリマーを利用している。
【0005】
さらに、従来技術では、表示動作を良好に維持しながら、可撓性フラット・パネル表示装置に適した、小さな曲率半径になることが可能な基板が満足に提供されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記のように従来技術が遭遇した問題、すなわち圧力および/または曲げに曝されるフラット・パネル表示部品を可撓的にさせることに関する問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、他の多数の目的、利点および特徴とともに、以下の詳細な説明から明らかになるはずで、第1の基板が1.5GPaより小さいまたはそれに等しい弾性係数を有することを特徴とする第1の基板を含む可撓性フラット・パネル表示装置によって、本発明の第1の態様に従い達成される。
【0008】
さらに、本発明の第1の態様による第1の基板は、1.3GPa、1.1GPa、1GPa、0.9GPa、0.8GPa、0.7GPa、0.6GPa、0.5GPa、0.4GPa、0.3GPa、0.2GPa、0.1GPaからなる群のうちから選択された係数より小さいまたは等しい弾性係数を有することができる。小さい弾性係数を有する材料を利用することによって、具体的な可撓性フラット・パネル表示装置を実現することができる。
【0009】
第1の基板は、通常のフラット・パネル表示装置用の通常の動作条件において、ゴム状態になるどんなポリマー・フィルムからも製造することができる。つまり、ガラス転移温度が、通常のフラット・パネル表示装置用の通常の動作条件より下の、たとえば80℃より下、60℃より下、40℃より下、30℃より下、0℃より下、−20℃より下、−40℃より下のガラス転移温度を有する材料である。
【0010】
さらに、第1の基板は、どんなゴム、または、たとえば、シリコン、ウレタン、ネオプレン、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、1−1プロピレンゴム、フッ化ゴム、スチレン・ブタジエン、天然ゴムなどに基づくゴム状のポリマー、または、それらの任意の組合せから製造することができる。
【0011】
フラット・パネル表示装置は、液晶、またはエレクトロクロム素子、電気泳動素子、発光素子、有機または無機発光素子、ポリマー発光素子、あるいはその任意の組合せなどの電気光学的媒体を含むことができる。材料特性を損なうことなく、したがって任意のタイプの電気光学的媒体を使用したフラット・パネル表示装置中の可撓性を保証して、フラット・パネル表示装置中に任意のタイプの電気光学的媒体を使用することができる。実際、電気光学的媒体としてプラズマさえ使用することができる。
【0012】
さらに、本発明の第1の態様による可撓性フラット・パネル表示装置は、実質的に同一平面で、第1の基板の上側表面および/または下側表面に隣接して配置された1つまたは複数の層を含むことができる。この層は、高弾性係数、つまり1.5GPaより大きい弾性係数を有することができる。あるいは、この層は、低弾性係数、つまり1.5GPaより小さいまたはそれに等しい弾性係数を有することができる。この層は、第1の基板に被覆され、第1の基板および第1の基板に加えられた追加の層の全厚さの80%までの厚さを有することができる。
【0013】
さらに、フラット・パネル表示装置は、第1の基板と同一平面に配置された表示基板を含むことができる。この表示基板は、1.5GPaより小さいまたは等しい弾性係数を有することができる。実際、フラット・パネル表示装置は、実質的に同一平面で、前記表示基板の上側表面および/または下側表面に隣接して配置された1つまたは複数の層を含むことができる。
【0014】
用語、第1の基板の上側表面および下側表面は、本文において第1および第2の表面と解釈すべきで、それと関係してそれらは、第1の基板または表示基板のより大きい方の表面と解釈すべきである。
【0015】
さらに、本発明の第1の態様による表示基板は、1.3GPa、1.1GPa、1GPa、0.9GPa、0.8GPa、0.7GPa、0.6GPa、0.5GPa、0.4GPa、0.3GPa、0.2GPa、0.1GPa、からなる群のうちから選択された係数より小さいまたは等しい弾性係数を有することができる。
【0016】
さらに、本発明の第1の態様による可撓性フラット・パネル表示装置は、第1の基板と表示基板の間に位置する第1のスペーサおよび第2のスペーサと、電気光学的媒体を収容するための、第1の基板、表示基板、第1のスペーサおよび第2のスペーサの間に画定されたセル構造とを含むことができる。このセル構造は、第1の基板と表示基板の間にセル・ギャップを画定することができる。
【0017】
さらに、本発明の第1の態様による可撓性フラット・パネル表示装置は、実質的に同一平面で第1の基板に隣接して配置された第1の層を含むことができる。この第1の層は、弾性係数Eを有し、第1の基板および第1の層の全厚さの80%までの厚さを有することができる。第1の基板は、弾性係数EIIを有することができ、ただしEは、EIIより大きい。
【0018】
さらに、本発明の第1の態様による可撓性フラット・パネル表示装置は、実質的に同一平面で表示基板に隣接して配置された第2の層を含むことができる。この第2の層は、弾性係数EIIIを有し、表示基板および第2の層の全厚さの80%までの厚さを有することができる。表示基板は、弾性係数EIVを有することができ、ただしEIIIは、EIVより大きい。層および基板の構成を確立することによって、具体的に有利なフラット・パネル表示装置が達成される。というのは、この構成によって、既知の手順に従って製造されるフラット・パネル表示装置の曲げ可撓性が高められるからである。たとえば、液晶表示装置の第1の層および/または第2の層の外側表面上をゴム薄片で被覆することによって、曲げから受けるセル・ギャップの変動が著しく低減される。余分の(柔らかい)層を追加すると、曲げ感受性(不感受性)が著しく改善され、曲げ可撓性は、わずかだけ影響を受ける。
【0019】
比E/EIIおよび/または比EIII/EIVは、2、2.5、3、5、8、10、15または20のうちから選ばれた数より大きくすることができる。第1の層および/または第2の層は、電気光学的媒体に最も近接して配置することができ、第1の基板および表示基板は、電気光学的媒体から最も遠くに配置することができる。曲げられた可撓性フラット・パネル表示装置中の引っ張りひずみは、最も外側の表面において最大になるので、可撓性フラット・パネル表示装置の設計では、最も外側の表面における弾性係数が最小になるように保証すべきである。可撓性フラット・パネル表示装置の可撓性および特にシール上の応力が、より小さい弾性係数を有する第1の基板および表示基板によって低減される。
【0020】
本発明の第1の態様による可撓性フラット・パネル表示装置は、セル・ギャップの相対的変動Δ/dが5%より小さいまたは等しいことを保証しながら、曲がって湾曲するようになすことができる。可撓性フラット・パネル表示装置は、次の式を満足する。
【数1】

ただし、dは、セル・ギャップ、hは、第1または第2の基板の厚さ、Lは、第1および第2のスペーサの間の間隔、kGeoは、幾何学的定数、およびRは、湾曲中のフラット・パネル表示装置の曲率半径である。
【0021】
幾何学的定数kGeoは、フラット・パネル表示装置が対称的な第1および第2の基板を有するとき、1から64の範囲の値に等しく、たとえばkGeoが32に等しくすることができる。この値は、フラット・パネル表示装置の幾何学的形状に依存する。
【0022】
d<<hのとき、前記の式は、次のように簡略化できる。
【数2】

ただし、Δは、実際のセル・ギャップ変動である。
【0023】
本発明の別の目的は、不均一性および/または曲げによって引き起こされる、確実に各セル・ピッチ上のセル・ギャップの偏りを5%より小さく減少させるように、セル厚さ(ギャップ)を制御することである。用語、セル・ピッチは、本文ではスペーサ間の間隔、またはスペーサ間の径間長として解釈すべきである。
【0024】
本発明の第1の態様による相対的なセル・ギャップの変動は、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.25%、0.1%からなる群のうちから選択された相対的なセル・ギャップの変動より小さくまたは等しくすることができる。セル・ギャップ変動が小さくなればなるほど、液晶表示装置の品質全体、具体的には液晶表示装置上に表示される情報の品質全体がますます良好になる。
【0025】
本発明の第1の態様による第1の基板および/または表示基板は、透明または不透明である可撓性ポリマーを含むことができる。好ましくは、ポリマーの損傷を避けるべきであり、したがってより小さい弾性係数を有する第1の基板および/または表示基板は、小さいひずみで損傷するより大きい弾性係数を有する基板とは反対に、大きい損傷ひずみに耐える。
【0026】
本発明の第1の態様による基板は、300、200、100、50、40、30、20、15、10、5、3、1mmからなる群のうちから選択された半径より小さな曲率半径に湾曲可能とすることができる。低弾性係数を有する第1の基板および/または表示基板を選択すると、小さな曲率半径に湾曲可能な可撓性フラット・パネル表示装置が得られる。したがって、より大きい曲率半径が設計基準の場合、第1の基板および/または表示基板用の材料は、より大きい弾性係数を有する材料を選択肢として選択することができる。低弾性係数を有する材料を選択すると、可撓性フラット・パネル表示装置セルのシール・ライン上の剪断負荷が小さくなり、セルの破損する危険が低下した可撓性フラット・パネル表示装置が得られる。
【0027】
曲げ可能な基板を提供すると、たとえば、可撓性フラット・パネル表示装置を広範囲な対象物の周りに巻き付けることができ、したがってフラット・パネル表示装置の有用性が高まることが保証される。実際、曲げ可能な基板は、どんな携帯型モバイル機器用にも電子回路を搭載するために使用でき、したがってそのような機器中のスペースの活用性を向上させるユニークな可能性を得ることができる。
【0028】
さらに、本発明の第1の態様による可撓性フラット・パネル表示装置は、第1の基板および表示基板の間にあり複数のセル構造をその間に画定する複数の第1および第2のスペーサを含むことができる。
【0029】
上記の目的は、他の多数の目的、利点および特徴とともに、以下の詳細な説明から明らかになるはずで、1.5GPaより小さいまたは等しい弾性係数を有することを特徴とする可撓性基板によって、本発明の第2の態様に従い実現される。
【0030】
本発明の第2の態様による可撓性基板は、本発明の第1の態様を参照して説明した特徴のうちのどれでも組み込むことができる。
【0031】
上記の目的は、他の多数の目的、利点および特徴とともに、以下の詳細な説明から明らかになるはずで、第1および第2の層を剛体のフラット・パネル表示装置に加えるステップを含むことができ、その第1および第2の層がゴム薄片のような低弾性係数を有している、フラット・パネル表示装置を製造する方法によって、本発明の第3の態様に従い実現される。あるいは、この方法は、第1および第2の層を同一平面関係で設けるステップと、電気光学的媒体を収容するためのセル構造をその間に画定するように第1および第2の層の間にスペーサを加えるステップと、実質的に同一平面で、第1および第2の層の最も外側の表面に隣接して配置され、第1および第2の層より小さい弾性係数を有する追加の層を加えるステップとを含むことができる。
【0032】
可撓性フラット・パネル表示装置を本発明の第3の態様に従って製造する方法は、本発明の第1および第2の態様を参照して説明した特徴のうちのどれでも組み込むことができる。
【0033】
本発明の上記、ならびに追加の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態についての、添付の図面を参照して行う以下の例示的で非限定的な詳細説明からより良く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、2個のスペーサ14、15を搭載した第1の基板12の断面図を示す概略図10である。この図は、尺度が合っていない。この図中に、パラメータL、dおよびhを示す。Lは、径間長、すなわちスペーサの中心間の間隔、dは、初期セル・ギャップ、およびhは、基板厚さである。
【0035】
図2は、等しいパラメータを有した2層のセル、ただしΔ=0.1μmについて、ピッチの関数として高さの臨界値を表す。実線は、固定値Rで曲がったセルの場合について算出し、一方破線は、加えた圧力qが一定で、Eを固定した平坦なセルの場合について算出したものである。圧力を受け曲がったという両方の条件で、機能するのに適した動作領域は、この図の左上方の隅部である。
【0036】
図3は、本発明による可撓性LCD110の一部分の概略断面図である。この図は、尺度が合っていない。可撓性LCD110は、第1の基板122と、第1の層124と、表示基板128と第2の層126とを含む。第1の層124および第2の層126は、いくつかのスペーサ142、144および146によって隔置される。第1の層124は、第1の基板122より大きい弾性係数を有し、第2の層126は、表示基板128より大きい弾性係数を有する。
【実施例1】
【0037】
行列でアドレスする可撓性LCD表示装置中のスペーサ・ピッチは、ピクセル・ピッチと一致するように選択することが好ましい。曲げによるセル・ギャップの変動は、基板高さおよびスペーサ・ピッチ(式1)に依存する。本実施例では、実用的な表示装置には、許容可能なセル・ギャップ変動をΔ=0.1mmと仮定する。厚さが150mmの基板でスペーサ・ピッチがL=500μmの場合、最小曲げ半径は、R=11.4mmが得られる。この半径では、基板中の最大ひずみは、1.3%である。
【0038】
高弾性係数(E=2000MPa)の基板の使用を、低弾性係数(E=100MPa)の基板の使用と比較する。
【0039】
臨界伸びになると、塑性変形の発生によって、または機械的破壊に起因して、基板はもう弾性的に挙動しない。高弾性係数の材料の場合、臨界伸びは、一般に1%程度であり、一方低弾性係数の材料の場合、それは、約10%である。
【0040】
高弾性係数の基板を有するLCD表示装置は、R=15mmで臨界変形限度(1%)に達する。低弾性係数の基板(10%)の場合、R=1.5mmで限度に達する。
【0041】
等しい曲率では、低弾性係数の基板を有する表示装置中の応力は、著しくより小さい(基板の係数の比になり、この例ではファクタが20である)。これによって、たとえば周辺部のシール・ラインの損傷の危険が低下する。
【0042】
低弾性係数の基板を用いることによって、著しく小さい曲げ半径が実現できる。表示装置または表示部品の損傷する危険は、基板またはシールと同様に、非常に低減される。
【実施例2】
【0043】
高弾性係数(E=2000MPa)の薄い(h=50μm)基板によってLCDを作成する。セル中のスペーサ間隔はL=500μmである。適切なセル・ギャップの制御(Δ<0.1μm)が必要である。次いで、制限曲げ半径は、R=20mmである。
【0044】
より良好な曲げ性能を達成するために、第2の層(150μm、低弾性係数E=100MPa)を両方の表示表面に加える。この付加された層によって、著しくより良好な曲げ性能が得られる。適切なセル・ギャップの制御(Δ<0.1μm)が達成されて、曲げ半径がR=9mmまでになる。
【0045】
現在のセルの幾何的形状では、偏光子(polarizer)およびリターダ(retarder)のような光学的層を高弾性係数の基板中に組み込むことができる。
【0046】
基板に柔らかい層を加えると、曲げに関するセル性能が向上する。
【実施例3】
【0047】
これらの薄片の取り扱いはうんざりする仕事である。しわになると、薄い基板が損傷を受ける恐れがある。しわになったところの局部応力は、許容ひずみを超える。
【0048】
例として、エレクトロルミネセンス表示装置(OLED)を使用する。薄い高弾性係数のポリマー基板(E=3000MPa、h=30μm)上に、この表示装置を作成する。実際の表示装置の構造は、基板の上部の厚さが制限され(<4μm)、機能する層をすべて含み、(応力)気密被覆も含む。低弾性係数の層を表示装置の上部に貼り付ける(E=100MPa、h=200mm)。少なくとも1つの低弾性係数の層を薄い基板に付加すると、しわの形成が防止される。
【0049】
応力気密被覆など表示装置中のいくつかの層は、臨界ひずみを越えると破損する。臨界ひずみが0.5%の場合、厚さが30μmの基板を3mmの半径まで丸めることができる。(丸めた表示装置の)外側の表面上に低弾性係数の層を付加することによって、より小さい曲げ半径さえ実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】基板の概略断面図である。
【図2】等しいパラメータを有した基板の2層のセルの壁間隔(ピッチ)の関数として表した、高さの臨界値のグラフの図である。
【図3】可撓性LCDの一部分の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板を備えており、前記第1の基板は、第1.5GPaより小さいまたはそれに等しい弾性係数を有することを特徴とする、可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項2】
前記第1の基板が、1.3GPa、1.1GPa、1GPa、0.9GPa、0.8GPa、0.7GPa、0.6GPa、0.5GPa、0.4GPa、0.3GPa、0.2GPa、0.1GPaからなる群のうちから選択された係数より小さいまたは等しい弾性係数を有する、請求項1に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項3】
前記フラット・パネル表示装置が、液晶、またはエレクトロクロム素子、電気泳動素子、発光素子、有機または無機発光素子、ポリマー発光素子、あるいはその任意の組合せなどの電気光学的媒体を備える、請求項1または2に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項4】
実質的に同一平面で、前記第1の基板の上側表面および/または下側表面に隣接して配置された1つまたは複数の層をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項5】
実質的に同一平面で前記第1の基板に隣接して配置され、Eの弾性係数を有する第1の層をさらに備え、前記第1の基板がEIIの弾性係数を有し、ただしEは、EIIより大きい、請求項1から4のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項6】
前記第1の層を前記電気光学的媒体に最も近接して配置し、前記第1の基板を前記電気光学的媒体から最も遠くに配置する、請求項5に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項7】
比E/EIIが、2、2.5、3、5、8、10、15または20の数の群のうちから選ばれた数より大きい、請求項5または6のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項8】
前記第1の層が、前記第1の基板および前記第1の層の全厚さの80%までの厚さを有する、請求項5から7のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項9】
前記第1の基板が、300、200、100、50、40、30、20、15、10、5、3、1mmからなる群のうちから選択された半径より小さな曲率半径に湾曲可能である、請求項1から8のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項10】
前記第1の基板と同一平面で配置され、1.5GPaより小さいまたはそれに等しい弾性係数を有する表示基板をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項11】
前記表示基板が、1.3GPa、1.1GPa、1GPa、0.9GPa、0.8GPa、0.7GPa、0.6GPa、0.5GPa、0.4GPa、0.3GPa、0.2GPa、0.1GPaからなる群のうちから選択された係数より小さいまたは等しい弾性係数を有する、請求項10に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項12】
実質的に同一平面で、前記表示基板の上側表面および/または下側表面に隣接して配置された1つまたは複数の層をさらに備える、請求項10または11のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項13】
実質的に同一平面で前記表示基板に隣接して配置された、EIIIの弾性係数を有する第2の層をさらに備え、前記表示基板がEIVの弾性係数を有し、ただし前記EIIIは、前記EIVより大きい、請求項10から12のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項14】
比EIII/EIVが、2、2.5、3、5、8、10、15または20の数の群のうちから選ばれた数より大きい、請求項13に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項15】
前記第2の層が、前記表示基板および前記第2の層の全厚さの80%までの厚さを有する、請求項13または14に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項16】
前記第1の基板と前記表示基板の間に位置する第1のスペーサおよび第2のスペーサと、前記電気光学的媒体を収容するための、前記第1の基板、前記表示基板、前記第1のスペーサおよび前記第2のスペーサの間に画定されたセル構造とをさらに備え、前記セル構造が、前記第1の基板と前記表示基板の間にセル・ギャップを画定する、請求項10から15のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項17】
前記第2の層を前記電気光学的媒体に最も近接して配置し、前記表示基板を前記電気光学的媒体から最も遠くに配置する、請求項16に記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項18】
前記セル・ギャップの相対的変動Δ/dが5%より小さいまたはそれに等しいことを保証しながら、前記可撓性フラット・パネル表示装置が、曲がって湾曲するようになされた、請求項16または17のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項19】
前記可撓性フラット・パネル表示装置が、次式を満足し、
【数1】

ただし、dは前記セル・ギャップ、hは前記第1または前記第2の基板の厚さ、Lは前記第1および前記第2のスペーサの間の間隔、kGeoは幾何学的定数、およびRは湾曲中の前記フラット・パネル表示装置の曲率半径である、請求項16から18のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項20】
前記相対的なセル・ギャップの変動が、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.25%、0.1%からなる群のうちから選択された相対的セル・ギャップ変動より小さいまたは等しい、請求項16から19のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項21】
前記第1および前記第2の基板の間に配置され、複数のセル構造をその間に画定する複数の第1および第2のスペーサをさらに含む、請求項10から20のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項22】
前記第1の基板が、透明または不透明である可撓性ポリマーを含む、請求項1から21のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項23】
前記表示基板が、透明または不透明である可撓性ポリマーを含む、請求項10から22のいずれかに記載の可撓性フラット・パネル表示装置。
【請求項24】
1.5GPaより小さいまたはそれに等しい弾性係数を有することを特徴とする可撓性基板。
【請求項25】
前記基板が、請求項1から23に記載の前記可撓性フラット・パネル表示装置の任意の特徴を組み込んだ、請求項24に記載の可撓性基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−503322(P2006−503322A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544536(P2004−544536)
【出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004176
【国際公開番号】WO2004/036298
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】