説明

可溶化剤としての両親媒性共重合体の使用

本発明は、可溶化剤としての、
a) 式(I):


〔式中、
R1およびR2は独立してHまたはCHであり、
R3は、1つ以上の同じもしくは異なるC〜C−アルキルおよび/もしくはC〜C−アルコキシ置換基を有していてもよいC〜C10アリールまたはC〜C12−アラルキルであり、そして
nは0〜100の整数である〕
で表される少なくとも1つの化合物(単量体A)、
b) 2〜15個の炭素原子を有する、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよびN−ビニルアミンの群から選択される少なくとも1つの化合物(単量体B)、
c) 場合によって、1つ以上の異なる二官能性硬化成分、
d) 場合によって、1つ以上の異なる調節剤、ならびに
e) 場合によって、1つ以上のさらなる共重合成分(単量体C)
の重合により取得される共重合体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶化剤としての、モノエチレン系不飽和カルボン酸エステルとN−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミンまたはN−ビニルイミンとの重合により取得しうる共重合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
均一な医薬品または化粧品調製物を製造する上で、疎水性物質の可溶化は実用上極めて重要とされている。
【0003】
可溶化は、難水溶性または水不溶性の物質を、これらの物質の化学構造を変化させることなく透明な、せいぜい乳白色の水溶液に変えうる界面活性化合物による溶解度の改善を意味するものと理解されている。
【0004】
製造されている可溶化剤は、難水溶性または水不溶性の物質が、水溶液中に形成される界面活性化合物の分子会合体中に溶解した形で存在するという点で注目に値する。得られる溶液は、光学的には透明〜乳白色に見え、かつエネルギーを投入せずとも製造しうる安定な単相系である。
【0005】
可溶化剤により、例えば、製剤を透明にして化粧品製剤および食品調製物の見た目を良くすることができる。その上、医薬品調製物の場合には、可溶化剤の使用を介して薬物のバイオアベイラビリティーとそれによる効果を高めることができる。
【0006】
医薬および化粧品の有効成分に対して使用される可溶化剤は、主に次の製品:
・エトキシ化(水素化)ヒマシ油(例えばCremophor(登録商標)等級のもの、BASF)
・エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル(例えばTween(登録商標)等級のもの、ICI)
・エトキシ化ヒドロキシステアリン酸(例えばSolutol(登録商標)等級のもの、BASF)
である。
【0007】
しかし、現在まで使用されてきた上記可溶化剤は、その適用に関して不都合な点が数多くある。例えば、公知の可溶化剤は、例えばクロトリマゾールなどの一部の難溶性薬物、および有効成分および色素に対してわずかな可溶化効果しか示さないといった点である。また、明記した可溶化剤は、固溶体での使用には適していない。
【0008】
ランダム両親媒性共重合体もまた可溶化剤として使用されている。例えば、特許文献1は、可溶化剤としての、N−ビニルピロリドンとアクリル酸アルキルとの共重合体の使用に関するものである。
【0009】
特許文献2は、可溶化剤としての、ポリアルキレンオキシド含有グラフト重合体の使用に関するものである。
【0010】
特許文献3には、可溶化剤としての、重合脂肪酸誘導体および脂肪アルコール誘導体の使用について開示されている。
【0011】
特許文献4には、モノエチレン系不飽和カルボン酸共重合体の可溶化剤としての使用について記載されている。
【0012】
特許文献5には、疎水性重合体および水不溶性付加共重合体からなり、ここで該共重合体は、特定のアルキルフェノキシ−ポリアルキレングリコールアクリレートを一方としてこれとビニルスルホン酸、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド、アクリロニトリル、低級アルキル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンまたはこれらの混合物の群から選択される化合物とからなるものとする、微多孔質限外濾過膜について記載されている。
【0013】
特許文献6は、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルカルバマートおよびN−ビニルイミドからなる群より選択される少なくとも1つのN−ビニル系単量体を一方とし、特定のオキシアルキレン化(メタ)アクリル酸エステルをもう一方とした重合による架橋重合体、ならびに難燃材を製造するための該重合体の使用に関する。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0876819号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0953347号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0943340号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0948957号明細書
【特許文献5】米国特許第5,942,120号明細書
【特許文献6】特開平9−241335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
こうした理由から、上記の不都合な点がない医薬品用、化粧品用および食品用の可溶化剤を提供することが目的とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的は、本発明によれば、可溶化剤としての、
a) 式(I):
【化1】

〔式中、
R1およびR2は、互いに独立して、それぞれHまたはCHであり、
R3は、1つ以上の同一もしくは異なるC〜C−アルキルおよび/またはC〜C−アルコキシ置換基を有しうるC〜C10−アリールまたはC〜C12−アラルキルであり、そして
nは0〜100の整数である〕
で表される少なくとも1つの化合物(単量体A)、
b) 2〜15個の炭素原子を有する、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよびN−ビニルアミンの群から選択される少なくとも1つの化合物(単量体B)、
c) 適切であれば、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、ならびに
d) 適切であれば、1つ以上の異なる調節剤、ならびに
e) 適切であれば、1つ以上のさらなる共重合可能な成分(単量体C)
の重合により取得しうる共重合体の使用を介して達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に従って使用する共重合体は、式(I):
【化2】

で表される少なくとも1つの共重合可能な単量体(単量体A)と、2〜15個の炭素原子を有するN−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよびN−ビニルアミンからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる共重合可能な単量体(単量体B)との重合により取得できる。
【0017】
この場合、式(I)中の基R1およびR2は、それぞれ互いに独立して、Hおよび/またはメチルを意味するものと想定しうる。従って、これらはアクリル酸および/またはメタクリル酸の誘導体である。基R3は、C〜C10−アリール基(例えば、フェニルもしくはナフチルなど)、またはC〜C12−アラルキル基(例えば、ベンジル、フェニルエチルもしくはフェニルプロピルなど)を意味する。
【0018】
R3に対して特定した基は、直鎖または分岐、または開鎖、環式または脂環式であってもよい、1つ以上、一般には1〜3個の同一もしくは異なるC〜C−アルキルおよび/またはC〜C−アルコキシ置換基を有しうる。特定されうるC〜C−アルキル置換基の具体例は、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、1,1−ジメチルエチル、1−ペンチル、2−ペンチル、1−ヘキシル、シクロヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニルである。挙げることができるC〜C−アルコキシ置換基の具体例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、1−ブトキシ、2−ブトキシ、1,1−ジメチルエトキシ、1−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシである。好適な基R3は、例えば、フェニル、パラ−トリル、ベンジル、パラ−ヒドロキシベンジル、パラ−ヒドロキシフェニル、パラ−メトキシフェニル、パラ−メトキシベンジルまたはシクロヘキシルである。
【0019】
式(I)中の添え字nは、0〜100、好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜25、特に1〜10の整数である。nが1よりも大きい数字であるならば、個々の繰り返し単位の基R2はそれぞれ同じ意味を有していてもよく、または互いに独立して、適切であればランダム分布で、それぞれHもしくはCHである。この場合、基R2の好ましくは約50%〜約100%がHであり、また該基R2の約0〜約50%がCHである。本発明の工程の好適な実施形態では、nが1より大きい数である場合、全ての基は同じ意味を有するものと想定される。その際、R2は特に好ましくはHである。
【0020】
特定される式(I)の共重合可能な単量体は、例えば、Vollhardt, Peter; Organische Chemie [Organic Chemistry], pages 768-774, 1988, VCH, New Yorkまたは欧州特許出願公開第646567号明細書に記載されているような、それら自体は当業者に公知であるエステル合成法により取得できる。
【0021】
本発明に従って使用しうる共重合体は、使用する単量体の総重量を基準として一般に約0.1〜99.9mol%の少なくとも1つの単量体Aを含む単量体混合物を重合させることにより取得する。好ましくは、これらの単量体混合物は、約1〜約50mol%、特に好ましくは約1〜約30mol%の少なくとも1つの単量体Aを含む。単量体Aは、純粋な形態で、または式(I)で定義される2つ以上の異なる化合物の混合物の形で、使用することができる。
【0022】
また、本発明に従って使用する共重合体を調製するために、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよび/またはN−ビニルアミンの群から選択される、少なくとも1つのさらなる共重合可能な単量体(単量体B)を使用する。選択される単量体は、通常、2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する。挙げることができるN−ビニルアミドおよびN−ビニルラクタムの具体例は、次の式(II):
【化3】

〔式中、
R4、R5は、互いに独立してHもしくはC〜C−アルキルであるか、あるいは一緒になって、飽和または一価もしくは多価不飽和であってよくかつ適切であればさらなる置換基を有しうる4〜8員の環を形成しうる〕
を特徴とする。
【0023】
このタイプの適切な開鎖化合物は、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニル−N−プロピルホルムアミド、N−ビニル−N−イソプロピルホルムアミド、N−ビニル−N−n−ブチルホルムアミド、N−ビニル−N−イソブチルホルムアミド、N−ビニル−N−t−ブチルホルムアミド、N−ビニル−N−n−ペンチルホルムアミド、N−ビニル−N−n−ヘキシルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニル−N−メチルプロピオンアミドおよびN−ビニルブチルアミドである。N−ビニルホルムアミドおよびN−ビニル−N−メチルアセトアミドが特に好ましい。
【0024】
環式N−ビニルアミド、N−ビニルラクタムのうち、挙げることができる具体例は、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドンおよびN−ビニルカプロラクタムである。本発明によれば、N−ビニルピロリドンが好ましいが、開鎖N−ビニルアミドの中ではN−ビニルホルムアミドを使用することが好ましい。例えば、共重合体中に所望の比率で存在していてもよいN−ビニルホルムアミドとN−ビニルピロリドンとの共重合体を、本発明に従う様式で使用することもできる。
【0025】
その代替案として、N−ビニルアミン、特にN−ビニルアミン、およびN−ビニルイミン(例えば、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−ビニル−4−メチルイミダゾール、好ましくはN−ビニルイミダゾールなど)を、本発明に従って使用する共重合体を調製するための単量体として使用することもできる。
【0026】
本発明に従って使用しうる共重合体は、使用する単量体の総重量を基準として一般に約0.1〜99.9mol%の少なくとも1つの単量体Bを含む単量体混合物の重合により取得する。好ましくは、これらの単量体混合物は、約50〜約99mol%、特に好ましくは約70〜約99mol%の少なくとも1つの単量体Bを含む。単量体Bは、純粋な形態で、または2つ以上の異なる上記化合物の混合物の形で、使用することができる。
【0027】
本発明に従って使用する共重合体は、少なくとも1つの式(I)の単量体(単量体A)と、N−ビニルアミドおよびN−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよび/またはN−ビニルアミンの群から選択される少なくとも1つのさらなる単量体(単量体B)との共重合により取得する。重合は、原則として、当業者から見て適切と思われる全ての方法により実施することができる。フリーラジカル重合は、このタイプの重合に慣用される条件下および/またはこれに適した試薬(例えば、フリーラジカル開始剤など)の存在下で実施すると特に有利である。
【0028】
共重合体は、少なくとも7、好ましくは20〜50、特に好ましくは20〜45のK値を有する。K値は、H. Fikentscher, Cellulose-Chemie, Volume 13, 58 to 64 and 71 to 74(1932)に従い、K値範囲に応じて0.1%〜5%の濃度で、水溶液中25℃にて測定する。
【0029】
調製は、公知の工程により、例えば、重合条件下でフリーラジカルを生じる化合物を使用する溶液重合、沈殿重合または逆懸濁重合により実施する。
【0030】
重合温度は通常、30〜200℃、好ましくは40〜110℃である。適切な開始剤(フリーラジカル開始剤)は、例えば、アゾおよびペルオキシ化合物、ならびに過酸化水素と還元化合物、例えば亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムおよびヒドラジンとの組み合わせなどの慣用レドックス開始剤系である。
【0031】
使用する反応媒体は、単量体が可溶な慣用溶媒である。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールなどのアルコール溶媒を、純粋な形態で、またはそれらの混合物の形で使用することが好ましい。該溶媒は、水との混合物の形で使用することもできる。
【0032】
反応によって均一な生成物が確実に得られるようにするには、単量体および開始剤を別々に反応溶液に導入すると有利である。これは、例えば、個々の反応物質を別々に供給するという形で実施することができる。得られる有機溶液の固体含有量は通常、20〜60重量%、特に25〜40重量%である。
【0033】
重合に使用した溶媒は、その後、水蒸気蒸留により除去して水と置き換えることができる。
【0034】
共重合体の溶液は、例えば、噴霧乾燥、流動噴霧乾燥、ドラム乾燥または凍結乾燥などの種々の乾燥工程により粉末形態に変えることができるし、また該粉末形態を水に再分散させることによって水性分散体および水溶液を再び調製することができる。
【0035】
本発明に従って使用しうる共重合体の調製は、適切な二官能性架橋剤成分(架橋剤)の存在下および/または適切な調節剤の存在下で実施することもできる。
【0036】
適切な架橋剤は、架橋機能を有する単量体、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和非共役二重結合をその分子内に持つ化合物である。
【0037】
その具体例は、少なくとも二価のアルコールのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエーテルまたはビニルエーテルである。この場合、親アルコールのOH基は、完全にまたは部分的にエーテル化またはエステル化されうるが、架橋剤は少なくとも2つのエチレン系不飽和基を含む。
【0038】
親アルコールの具体例は、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ブタ−2−エン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2,5−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールモノエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル]プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、3−チオペンタン−1,5−ジオールなどの二価アルコール、ならびに分子量がそれぞれ200〜10000であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフランである。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの単独重合体だけでなく、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドのブロック共重合体、またはエチレンオキシド基およびプロピレンオキシド基を組み込まれた形で含む共重合体を使用することもできる。3つ以上のOH基を持つ親アルコールの具体例は、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエトキシシアヌル酸、ソルビタン、糖(例えば、スクロース、グルコース、マンノース)である。無論、多価アルコールをエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとの反応後にそれぞれ対応するエトキシレートまたはプロポキシレートとして使用することもできる。多価アルコールは、まずエピクロロヒドリンとの反応により対応するグリシジルエーテルに変換することもできる。
【0039】
さらなる適切な架橋剤は、一価不飽和アルコールとエチレン系不飽和C〜C−カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸とのビニルエステルまたはエステルである。かかるアルコールの具体例は、アリルアルコール、1−ブテン−3−オール、5−ヘキセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、9−デセン−1−オール、ジシクロペンテニルアルコール、10−ウンデセン−1−オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコールまたはシス−9−オクタデセン−1−オールである。また一方で、一価不飽和アルコールを、多塩基カルボン酸、例えば、マロン酸、酒石酸、トリメリト酸、フタル酸、テレフタル酸、クエン酸またはコハク酸でエステル化することもできる。
【0040】
さらなる適切な架橋剤は、不飽和カルボン酸、例えば、オレイン酸、クロトン酸、桂皮酸または10−ウンデセン酸と上記多価アルコールとのエステルである。
【0041】
適切な架橋剤は、脂肪族炭化水素の場合には共役していてはいけない少なくとも2つの二重結合を持つ直鎖または分岐の、線状または環式の、脂肪族または芳香族の炭化水素、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、トリビニルシクロヘクサンまたは分子量200〜20000のポリブタジエンでもある。
【0042】
適切な架橋剤は、少なくとも二官能性のアミンのアクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−アリルアミンでもある。かかるアミンは、例えば、1,2−ジアミノメタン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,12−ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミンまたはイソホロンジアミンである。同じく適切なのは、アリルアミンと、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、または先に記載したような少なくとも二塩基性のカルボン酸などの不飽和カルボン酸とのアミドである。
【0043】
架橋剤として同様に適切なのは、トリアリルアミンおよびトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、例えば、トリアリルメチルアンモニウムクロリドまたは硫酸メチルである。
【0044】
同様に適切なのは、尿素誘導体、少なくとも二官能性のアミド、シアヌラートまたはウレタンのN−ビニル化合物、例えば、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素または酒石酸ジアミドのN−ビニル化合物、例えば、N,N’−ジビニルエチレン尿素またはN,N’−ジビニルプロピレン尿素である。
【0045】
さらなる適切な架橋剤は、ジビニルジオキサン、テトラアリルシランまたはテトラビニルシランである。
【0046】
無論、上記化合物の混合物を使用することもできる。単量体混合物に可溶な架橋剤を使用することが好ましい。
【0047】
特に好んで使用される架橋剤は、例えば、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミンおよびトリアリルアルキルアンモニウム塩、ジビニルイミダゾール、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、N,N’−ジビニルエチレン尿素、多価アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸との反応生成物、ポリアルキレンオキシドまたはエチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドおよび/もしくはエピクロロヒドリンと反応させておいた多価アルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルである。
【0048】
とりわけ好適な架橋剤は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジビニルエチレン尿素、トリアリルアミンおよびトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、ならびにグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパンもしくはグリセロールのアクリル酸エステル、またはエチレンオキシドおよび/もしくはエピクロロヒドリンと反応させておいたグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパンもしくはグリセロールのアクリル酸エステルである。
【0049】
二官能性架橋剤成分は、本発明に従って使用する共重合体を調製するために、純粋な形態で、または2つ以上の架橋剤の混合物の形で、使用する単量体の総量を基準として0〜約5mol%、好ましくは0〜約3mol%の量で使用することができる。
【0050】
本発明に従って使用しうる共重合体の調製は、適切な調節剤の存在下で実施することもできる。調節剤(重合調節剤)とは、高い移動定数を持つ化合物について言及する際に一般に使用される用語である。調節剤は、連鎖移動反応を促進することにより、総反応速度に影響を与えることなく得られる重合体の重合度を低下させる。
【0051】
調節剤に関しては、1つ以上の連鎖移動反応をもたらしうる分子内の官能基の数に応じて、単官能性、二官能性または多官能性の調節剤を使い分けることができる。適切な調節剤は、例えば、K.C. BergerおよびG. BrandrupによりJ. Brandrup, E.H. Immergut, Polymer Handbook, 3rd Edition, John Wiley & Sons, New York, 1989, pp. II/81-II/141に詳細に記載されている。
【0052】
適切な調節剤は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒドなどのアルデヒドである。
【0053】
同様に使用してもよいさらなる調節剤は、ギ酸、その塩またはエステル、例えば、ギ酸アンモニウム、2,5−ジフェニル−1−ヘキセン、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、およびリン酸ヒドロキシルアンモニウムである。
【0054】
さらなる適切な調節剤は、ハロゲン化合物、例えば、テトラクロロメタン、クロロホルム、ブロモトリクロロメタン、ブロモホルム、臭化アリルなどのハロゲン化アルキル、およびベンジルクロリドまたはベンジルブロミドなどのベンジル化合物である。
【0055】
さらなる適切な調節剤は、例えば、アリルアルコールなどのアリル化合物、アリルエトキシラート、アルキルアリルエーテル、またはグリセリンモノアリルエーテルなどの官能化アリルエーテルである。
【0056】
使用することが好ましい調節剤は、硫黄を結合された形で含む化合物である。
【0057】
このタイプの化合物は、例えば、無機亜硫酸水素塩、二亜硫酸塩および亜ジチオン酸塩、または有機硫化物、二硫化物、多硫化物、スルホキシドおよびスルホンである。これらのものとしては、硫化ジ−n−ブチル、硫化ジ−n−オクチル、硫化ジフェニル、チオジグリコール、エチルチオエタノール、二硫化ジイソプロピル、二硫化ジ−n−ブチル、二硫化ジ−n−ヘキシル、二硫化ジアセチル、硫化ジエタノール、三硫化ジ−t−ブチル、ジメチルスルホキシド、硫化ジアルキル、二硫化ジアルキルおよび/または硫化ジアリールが挙げられる。
【0058】
硫黄を結合された形で含む有機化合物が特に好ましい。
【0059】
重合調節剤として使用することが好ましい化合物は、チオール(SH基の形で硫黄を含む化合物であり、メルカプタンとも呼ばれる)である。好適な調節剤は、単、二および多官能性のメルカプタン、メルカプトアルコールおよび/またはメルカプトカルボン酸である。
【0060】
これらの化合物の具体例は、アリルチオグリコラート、エチルチオグリコラート、システイン、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、1,4−メルカプトブタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、チオ酢酸、チオ尿素、およびn−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンまたはn−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンである。
【0061】
特に好適なチオールは、システイン、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、チオグリセリン、チオ尿素である。
【0062】
2つの硫黄を結合された形で含む二官能性調節剤の具体例は、例えば、ジメルカプトプロパンスルホン酸(ナトリウム塩)、ジメルカプトコハク酸、ジメルカプト−1−プロパノール、ジメルカプトエタン、ジメルカプトプロパン、ジメルカプトブタン、ジメルカプトペンタン、ジメルカプトヘキサン、エチレングリコールビス−チオグリコラートおよびブタンジオールビス−チオグリコラートなどの二官能性チオールである。
【0063】
多官能性調節剤の具体例は、3つ以上の硫黄を結合された形で含む化合物である。その具体例は、三官能性および/または四官能性のメルカプタンである。
【0064】
好適な三官能性調節剤は、例えば、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトエタナート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパントリス(4−メルカプトブタナート)、トリメチロールプロパントリス(5−メルカプトペンタナート)、トリメチロールプロパントリス(6−メルカプトヘキサナート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセタート)、グリセリルチオグリコラート、グリセリルチオプロピオナート、グリセリルチオエトキシド、グリセリルチオブタノアート、1,1,1−プロパントリイルトリス(メルカプトアセタート)、1,1,1−プロパントリイルトリス(メルカプトエタノアート)、1,1,1−プロパントリイルトリス(メルカプトプロピオナート)、1,1,1−プロパントリイルトリス(メルカプトブタノアート)、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールトリス(メルカプトアセタート)、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールトリス(メルカプトエタノアート)、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールトリス(メルカプトプロピオナート)、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールトリス(メルカプトブタノアート)などの三官能性メルカプタンである。
【0065】
特に好適な三官能性調節剤は、グリセリルチオグリコラート、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセタート)、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールトリス(メルカプトアセタート)である。
【0066】
好適な四官能性メルカプタンは、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセタート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトエタノアート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラキス(4−メルカプトブタノアート)、ペンタエリトリトールテトラキス(5−メルカプトペンタノアート)、ペンタエリトリトールテトラキス(6−メルカプトヘキサノアート)である。
【0067】
さらなる適切な多官能性調節剤は、下記式(IIIa)の化合物の反応により生成するSi化合物である。さらなる適切な多官能性調節剤は、下記式(IIIb)のSi化合物である。
【化4】

【化5】

[式中、
nは0〜2の数値であり、
は、C〜C16−アルキル基またはフェニル基であり、
は、C〜C18−アルキル基、シクロヘキシル基またはフェニル基であり、
Zは、その炭素原子が非隣接酸素もしくはハロゲン原子により置き換えられていてもよいC〜C18−アルキル基、C〜C18−アルキレン基またはC〜C18−アルキニル基であるか、あるいは以下の基:
【化6】

〔式中、
はC〜C12−アルキル基であり、そして
はC〜C18−アルキル基である〕
のうちの1つである]
【0068】
式(IIIa)の化合物、特にこれらのメルカプトプロピルトリメトキシシランおよびメルカプトプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0069】
明記した調節剤はいずれも、個別にまたは互いに組み合わせて使用してもよい。この工程の好適な実施形態では、多官能性調節剤を使用する。
【0070】
本発明に従って使用する共重合体の調製時には、調節剤を、使用する単量体の総量を基準として0〜約4mol%、好ましくは0〜約3mol%の量で使用することができる。
【0071】
また、本発明に従って使用する共重合体の調製時には、1つ以上のさらなる共重合可能な成分(単量体C)を使用することもできる。挙げることができるその具体例は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ジメタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸およびイタコン酸などの、3〜8個の炭素原子を有するモノエチレン系不飽和カルボン酸である。この群の単量体の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または特定されたカルボン酸の混合物を使用することが好ましい。モノエチレン系不飽和カルボン酸は、遊離酸形態で、また、もし存在するのであれば無水物または部分的もしくは完全に中和された形態で、共重合に使用することができる。これらの単量体を中和するためには、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、アンモニアまたはアミン、例えば、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、ソーダ、カリ、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニアガスまたはアンモニア水、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ジエチレントリアミンまたはテトラエチレンペンタミンを使用することが好ましい。
【0072】
さらなる適切な単量体Cは、例えば、上記のC〜C30−アルキルエステル、アミドおよびニトリルまたはカルボン酸、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシイソブチル、メタクリル酸ヒドロキシイソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸オレイル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ミリスチル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸オレイル、メタクリル酸ベヘニルまたはアクリル酸tert−ブチルシクロヘキシルである。
【0073】
また、適切な単量体Cは、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、および前述の単量体とカルボン酸または鉱酸との塩、および四級化生成物である。
【0074】
さらに、適切な単量体Cは、そのアルキル基がC〜C18アルキルもしくはシクロアルキル基であるアクリル酸またはメタクリル酸のN−アルキル−またはN,N−ジアルキル−置換カルボキサミド、例えば、N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−ステアリルアクリルアミド、N−ステアリルメタクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N,N−ジオクチルアクリルアミド、N,N−ジオクチルメタクリルアミド、N−セチルアクリルアミド、N−セチルメタクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−ドデシルメタクリルアミド、N−ミリスチルアクリルアミドまたは2−エチルヘキシルアクリルアミドでもある。
【0075】
さらなる適切な単量体Cは、脂肪族カルボン酸(C〜C30−カルボン酸)のビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、および、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸またはベヘン酸またはオレイン酸のビニルエステルでもある。
【0076】
また、さらなる適切な単量体Cは、ビニルエーテル、例えばオクタデシルビニルエーテルである。
【0077】
さらなる適切な共重合可能な単量体Cは、アクリルアミドグリコール酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸3−スルホプロピル、メタクリル酸3−スルホプロピルおよびアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ならびにビニルホスホン酸、アリルホスホン酸およびアクリルアミドメタンプロパンホスホン酸などのホスホン酸基を含む単量体である。
【0078】
挙げることができるさらなる共重合可能な単量体Cは、ジアリルアンモニウムクロリドである。
【0079】
特定した単量体Cは、個別に、または特定した化合物のうちの2つ以上の混合物の形で使用することができる。
【0080】
1つ以上のさらなる単量体Cを、本発明に従って使用する共重合体の調製時に、使用する単量体の総量を基準として0〜約49mol%の量で使用することができる。
【0081】
特に好適な実施形態では、本発明は、可溶化剤としての、
a) 1〜30mol%の、式(I)
〔式中、
R1、R2は、それぞれ互いに独立してHまたはCHであり、
R3はフェニルであり、そして
nは1〜10の整数である〕
で表される少なくとも1つの単量体、
b) 50〜99mol%の、単量体N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムの群から選択される少なくとも1つの単量体、
c) 0〜3mol%の、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、
d) 0〜3mol%の、1つ以上の異なる調節剤、ならびに
e) 0〜49mol%の、少なくとも1つの単量体C、
の重合により取得しうる(ここで、個々の成分のmol%データの合計は必ず100mol%になるものとする)共重合体の使用に関する。
【0082】
さらなる態様では、本発明は、
a) 式(I):
【化7】

〔式中、
R1およびR2は、互いに独立して、それぞれHまたはCHであり、
R3は、1つ以上、好ましくは1〜3個の、同一もしくは異なるC〜C−アルキルおよび/またはC〜C−アルコキシ置換基を有していてもよいC〜C10−アリールまたはC〜C12−アラルキルであり、そして
nは1または2である〕
で表される少なくとも1つの化合物(単量体A)、
b) 2〜15個の炭素原子を有する、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよびN−ビニルアミンの群から選択される少なくとも1つの化合物(単量体B)、
c) 適切であれば、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、ならびに
d) 適切であれば、1つ以上の異なる調節剤、ならびに
e) 適切であれば、1つ以上のさらなる共重合可能な成分(単量体C)
の重合により取得しうる共重合体に関する。
【0083】
本発明は、医薬品および化粧品調製物ならびに食品調製物用の可溶化剤として使用するための両親媒性化合物を提供する。それらは、製薬学および美容の分野における難溶性有効成分、難溶性栄養補助食品、例えば、ビタミンおよびカロテノイド、さらには作物保護用組成物に使用するための難溶性有効成分、ならびに獣医学的に有効な成分を可溶化するという性質を持つ。
【0084】
本発明に従って使用する共重合体は、固溶体における可溶化剤としての使用に特に適している。
【0085】
本発明に従って使用する共重合体は、化粧品製剤における可溶化剤として使用することができる。例えば、それらは化粧オイル用の可溶化剤として適している。それらは、ピーナッツ油、ホホバ油、ヤシ油、アーモンド油、オリーブ油、パーム油、ヒマシ油、大豆油もしくはコムギ麦芽油などの油脂、または小松油、ラベンダー油、ローズマリー油、モミの葉の油、トウヒの葉の油、ユーカリ油、ペパーミント油、セージ油、ベルガモット油、テレビン油、メリッサ油、セージ油、ジュニパーベリー油、レモン油、アニス油、カルダモン油、ペパーミント油、カンフル油などといった精油、またはこれらの油の混合物に対する優れた可溶化力を備えている。
【0086】
その上、本発明に従って使用する共重合体は、後述する水に対して難溶性または不溶性のUV吸収剤用の可溶化剤として使用することができる。
【0087】
本発明の目的上、UV吸収剤という用語は広い定義を持ち、UV−A、UV−Bおよび/または広帯域フィルターを含む。
【0088】
本発明に従って可溶化すると有利な広帯域フィルター、UV−AまたはUV−Bフィルター物質は、例えば、次の種類の化合物に代表される。
【0089】
次の構造:
【化8】

〔式中のR、RおよびRは、互いに独立して、1〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基の群から選択されるか、または個々に水素原子である〕
を持つビスレゾルシニルトリアジン誘導体。
【0090】
CIBA-Chemikalien GmbHからTinosorb(登録商標) Sという商品名で入手しうる2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCI名はAniso Triazine)が特に好ましい。
【0091】
下記構造式:
【化9】

を有する他のUVフィルター物質もまた本発明の目的上可溶化すると有利なUVフィルター物質であって、例えば、欧州特許出願公開第570838号明細書に記載のs−トリアジン誘導体(その化学構造は、一般式:
【化10】

[式中、
13は、1つ以上のC〜C−アルキル基で置換されていてもよい分岐または非分岐のC〜C18−アルキル基、C〜C12−シクロアルキル基であり、
Zは酸素原子あるいはNH基であり、
14は、1つ以上のC〜C−アルキル基で置換されていてもよい分岐もしくは非分岐のC〜C18−アルキル基、C〜C12−シクロアルキル基であるか、または水素原子、アルカリ金属原子、アンモニア基もしくは下記式:
【化11】

〔式中、
Aは、1つ以上のC〜C−アルキル基で置換されていてもよい分岐または非分岐のC〜C18−アルキル基、C〜C12−シクロアルキルまたはアリール基であり、
16は水素原子またはメチル基であり、
nは1〜10の数字である〕
の基であり、
15は、XがNH基である場合には、1つ以上のC〜C−アルキル基で置換されていてもよい分岐または非分岐のC〜C18−アルキル基、C〜C12−シクロアルキル基であり、またXが酸素原子の場合には、1つ以上のC〜C−アルキル基で置換されていてもよい分岐もしくは非分岐のC〜C18−アルキル基、C〜C12−シクロアルキル基であるか、または水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基もしくは下記式:
【化12】

〔式中、
Aは、1つ以上のC〜C−アルキル基で置換されていてもよい分岐または非分岐のC〜C18−アルキル基、C〜C12−シクロアルキルまたはアリール基であり、
16は水素原子またはメチル基であり、
nは1〜10の数字である〕
の基である]
で与えられる)が挙げられる。
【0092】
本発明の目的上、本発明に従う様式で可溶化することが特に好ましいUVフィルター物質は、後にジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI名はDiethylhexylbutamidotriazone)とも記し、またSigma 3VからUVASORB(登録商標)HEBという商品名で入手しうる、非対称置換s−トリアジン(その化学構造は、下記式:
【化13】

で与えられる)でもある。
【0093】
同様に本発明の目的上可溶化すると有利なのは、対称置換s−トリアジン、トリス(2−エチルヘキシル)4,4’,4’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリスベンゾアート(UVINUL(登録商標) T 150という商品名でBASF Aktiengesellschaftから販売されている2,4,6−トリス[アニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン(INCI名はEthylhexyl Triazone)と同義)である。
【0094】
欧州特許出願公開第775698号明細書にも、本発明に従う様式で可溶化することが好ましいビスレゾルシニルトリアジン誘導体(その化学構造は、下記一般式:
【化14】

〔式中のR17およびR18は、とりわけ、C〜C18−アルキルまたはC〜C18−アルケニルを表しており、Aは芳香族基である〕
で与えられる)が記載されている。
【0095】
同様に本発明の目的上可溶化すると有利なのは、2,4−ビス{[4−(3−スルホナート)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンナトリウム塩、2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−[4−(2−メトキシエチルカルボキシル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−[4−(2−エチルカルボキシル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(1−メチルピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−トリス(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{[4−(2’’−メチルプロペニルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンおよび2,4−ビス{[4−(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’−ヘプタメチルシロキシ−2’’−メチルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンである。
【0096】
本発明の使用を介して可溶化する有利な油溶性UV−Bおよび/または広帯域フィルター物質は、例えば、
3−ベンジリデンショウノウ誘導体、好ましくは、3−(4−メチルベンジリデン)ショウノウ、3−ベンジリデンショウノウ、
4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾアート、アミル4−(ジメチルアミノ)ベンゾアート、
ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(BASFからUvinul(登録商標)M40という商品名で入手可能)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(BASFからUvinul(登録商標)D 50という商品名で入手可能)
である。
【0097】
本発明に従って可溶化すると特に有利であり、かつ本発明の目的上室温では液体であるUVフィルター物質は、サリチル酸ホモメンチル、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート、2−エチルヘキシル2−ヒドロキシベンゾアートならびに桂皮酸のエステル、好ましくは、2−エチルヘキシル4−メトキシシンナマートおよびイソペンチル4−メトキシシンナマートである。
【0098】
サリチル酸ホモメンチル(INCI名はHomosalate)は、次の構造:
【化15】

を特徴とする。
【0099】
2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート(INCI名はOctorylene)は、BASFからUvinul(登録商標)N 539Tという名称で入手可能であり、次の構造:
【化16】

を特徴とする。
【0100】
2−エチルヘキシル2−ヒドロキシベンゾアート(サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、INCI名はEthylhexyl Salicylate)は、例えばHaarmann & ReimerからNeo Heliopan(登録商標)OSという商品名で入手可能であり、次の構造:
【化17】

を特徴とする。
【0101】
2−エチルヘキシル4−メトキシシンナマート(INCI名はEthylhexyl Methoxycinnamate)は、例えばBASFからUvinul(登録商標)MC 80という商品名で入手可能であり、次の構造:
【化18】

を特徴とする。
【0102】
イソペンチル4−メトキシシンナマート(INCI名はIsoamyl p-Methoxycinnamate)は、例えばHaarmann & ReimerからNeo Heliopan(登録商標)E 1000という名称で入手可能であり、次の構造:
【化19】

を特徴とする。
【0103】
本発明の目的上有利なジベンゾイルメタン誘導体は、特に、BASFからUvinul(登録商標)BMBMという名称で、またMerckからはEusolex(登録商標)9020という商品名で販売されており、かつ次の構造:
【化20】

を特徴とする、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS番号70356−09−1)である。
【0104】
さらなる有利なジベンゾイルメタン誘導体は、MerckからEusolex(登録商標)8020という名称で販売されている4−イソプロピルジベンゾイルメタン(CAS番号63250−25−9)である。Eusolex 8020は次の構造:
【化21】

を特徴とする。
【0105】
ベンゾトリアゾールは、次の構造式:
【化22】

〔式中、
19およびR20は、互いに独立して、1〜18個の炭素原子を有する、線状または分岐の、飽和または不飽和の、置換(例えばフェニル基による置換)または非置換のアルキル基である〕
を特徴とする。
【0106】
本発明の目的上可溶化すると有利なベンゾトリアゾールは、ChimexからMexoryl(登録商標)XLという名称で販売されていて、かつ次の化学構造式:
【化23】

を特徴とし、Drometrizole TrisiloxaneというINCI名を持つ2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノール(CAS番号155633−54−8)でもある。
【0107】
本発明の目的上可溶化すると有利なさらなるベンゾトリアゾールは、[2,4’−ジヒドロキシ−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2’−n−オクトキシ−5’−ベンゾイル]ジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0108】
本発明の目的上可溶化すると有利なさらなるUVフィルターは、欧州特許出願公開第0916335号明細書に記載されている、次の式:
【化24】

のジフェニルブタジエン化合物である。
【0109】
本発明の目的上可溶化すると有利なさらなるUV−Aフィルターは、欧州特許出願公開第0895776号明細書に記載されている、次の式:
【化25】

の2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパンジカルボン酸ジエチルエステルである。
【0110】
同じく本発明の目的上可溶化すると有利なのは、BASF AktiengesellschaftからUV−AフィルターとしてUVINUL(登録商標)A Plusという商品名で販売されている、次の式:
【化26】

のアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンである。
【0111】
従って本発明は、最初に特定した、本発明に従って可溶化剤として使用する組成物の共重合体のうちの少なくとも1つを含む化粧品調製物もまた提供する。可溶化剤の他に1つ以上の難溶性化粧品有効成分、例えば、上記の油またはUV吸収剤または色素を含む調製物が好ましい。
【0112】
これらの製剤は、水または水/アルコールをベースとする可溶化物である。本発明に従って使用する可溶化剤は、難溶性化粧品有効成分に対して0.2:1〜20:1、好ましくは1:1〜15:1、特に好ましくは2:1〜12:1の比で使用する。
【0113】
本発明に従って使用する可溶化剤の化粧品調製物における含有量は、その有効成分にもよるが、1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
【0114】
その上、さらなる助剤、例えば、アルキルポリグリコシド、脂肪アルコールスルファート、脂肪アルコールエーテルスルファート、アルカンスルホナート、脂肪アルコールエトキシラート、脂肪アルコールホスファート、アルキルベタイン、ソルビタンエステル、POEソルビタンエステル、糖脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸部分グリセリド、脂肪酸カルボキシラート、脂肪アルコールスルホスクシナート、脂肪酸サルコシナート、脂肪酸イセチオナート、脂肪酸タウリナート、クエン酸エステル、シリコーン共重合体、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミド、第4級アンモニウム化合物、アルキルフェノールオキセチラート、脂肪族アミンオキセチラートなどの非イオン性、カチオン性またはアニオン性の界面活性剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどといった共溶媒をこの製剤に加えることができる。
【0115】
加えてもよいさらなる構成要素は、天然または合成の化合物、例えば、ラノリン誘導体、コレステロール誘導体、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、電解質、色素、防腐剤、酸(例えば、乳酸、クエン酸)である。
【0116】
これらの製剤は、例えば、バスオイル、シェービングローション、フェイストニック、マウスウォッシュ、ヘアトニック、オーデコロン、オードトワレなどの浴室用調製物および日焼け止め組成物に使用される。
【0117】
化粧品製剤用の可溶化物を調製する場合、本発明に従って使用する共重合体を、100%濃度の物質として、または好ましくは水溶液として使用することができる。
【0118】
通常は、可溶化剤を水に溶解させてから、各場合に使用する難溶性化粧品有効成分と激しく混合する。
【0119】
しかし、可溶化剤を、各場合に使用する難溶性化粧品有効成分と激しく混合し、その後引き続き攪拌しながら脱塩水と混ぜてもよい。
【0120】
本発明に従って使用する共重合体は、1つ以上の難水溶性もしくは水不溶性の有効成分または薬物およびビタミンおよび/またはカロテノイドを含みうることが知られているあらゆるタイプの医薬品調製物における可溶化剤として使用するのにも適している。特に、これらは、経口または非経口適用のための水溶液または可溶化物である。
【0121】
さらに、本発明に従って使用する共重合体は、錠剤、カプセル剤、粉剤、液剤などの経口投与形態に使用するのに適している。この場合、それらの共重合体により、バイオアベイラビリティーが増大した難溶性薬物を入手できるようになる。
【0122】
非経口適用の場合、可溶化剤の他に、乳剤、例えば脂肪乳剤を使用することもできる。この目的でも、本発明の共重合体は、難溶性薬物を組み込むのに適している。
【0123】
先に特定したタイプの医薬品製剤は、本発明に従って使用する共重合体を、従来法で公知および新規の有効成分を使用して、医薬品有効成分と共に加工することにより取得することができる。
【0124】
本発明の使用は、医薬品助剤および/または希釈剤をさらに含みうる。助剤としては、共溶媒、安定化剤、防腐剤が具体的に挙げられる。
【0125】
使用する医薬品有効成分は、水に対して不溶性または難溶性の物質である。DAB 9(ドイツ薬局方)によれば、医薬品有効成分の溶解度の等級付けは次の通りである:溶けにくい(30〜100部の溶媒に可溶)、難溶性(100〜1000部の溶媒に可溶)、ほとんど溶けない(10000部超の溶媒に可溶)。有効成分は、いずれの表示範囲に由来するものでもありうる。
【0126】
本発明に従って使用する共重合体により溶解させうるものであり、かつここに挙げてもよい有効成分の種類および/または有効成分の具体例は、ベンゾジアゼピン、抗高血圧薬、ビタミン、細胞増殖抑制剤、特にタキソール、麻酔薬、神経弛緩薬、抗鬱薬、抗生物質、抗真菌薬、殺菌剤、化学療法薬、泌尿器薬、血小板凝集阻害剤、スルホンアミド、鎮痙薬、ホルモン、免疫グロブリン、血清、生物学的薬物、精神薬理学的薬剤、パーキンソン病を治療するための薬剤および他の抗多動症薬、点眼薬、神経障害製剤、カルシウム代謝調節剤、筋弛緩薬、麻薬、抗高脂血症薬、肝治療薬、冠動脈薬、強心剤、免疫治療薬、調節ペプチドおよびそれらの阻害剤、睡眠薬、鎮静薬、婦人科薬、痛風治療薬、繊維素溶解薬、酵素製剤および輸送タンパク質、酵素阻害剤、催吐薬、調節促進物質、利尿薬、診断薬、コルチコイド、コリン作動薬、胆管治療薬、抗喘息薬、気管支溶解剤、β受容体遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害剤、動脈硬化薬、消炎剤、抗凝固剤、抗低張薬、抗低血糖薬、抗高血圧症薬、抗繊維素溶解薬、抗てんかん薬、制吐薬、解毒剤、抗糖尿病薬、抗不整脈薬、抗貧血薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、鎮痛薬、興奮薬、アルドステロン拮抗薬ならびに減量薬である。
【0127】
1つの想定しうる調製の変形態様は、可溶化剤を、適切であれば穏やかに加熱しながら水相に溶解させた後に、有効成分をこの可溶化剤の水溶液に溶解させることを含む。可溶化剤と有効成分を同時に溶解させることも想定しうる。
【0128】
溶解度促進物質としての本発明の共重合体の使用は、例えば、有効成分を、適切であれば加熱しながら可溶化剤中に分散させた後、これを攪拌しながら水と混合することにより実施することもできる。
【0129】
従って本発明は、本発明に従って使用する共重合体のうちの少なくとも1つを可溶化剤として含む医薬品調製物もまた提供する。可溶化剤の他に、例えば上記表示領域から見て水に対して難溶性であるかまたは水不溶性の医薬品有効成分を含む調製物が好ましい。
【0130】
上記医薬品調製物の中でも、非経口的に適用しうる製剤が特に好ましい。
【0131】
本発明の可溶化剤の医薬品調製物における含有量は、その有効成分にもよるが、1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
【0132】
本発明のさらなる態様は、分子分散系における可溶化剤としての、特定した共重合体の使用に関する。固体分散体、すなわち、2種以上の固体が均一かつ極めて微細に分散した系およびそれらの特殊なケースであるいわゆる「固溶体」(分子分散系)、ならびに製薬技術におけるそれらの使用は一般に知られている(Chiou and Riegelmann, J. Pharm. Sci., 1971, 60, 1281-1300を参照されたい)。さらに、本発明は、本発明に従って使用する少なくとも1つの共重合体を含む固溶体にも関する。
【0133】
固溶体は、溶融法を利用して、または溶液法により、調製することができる。
【0134】
本発明の共重合体は、重合助剤、すなわち、かかる固体分散体または固溶体を調製するための可溶化剤として適している。
【0135】
一例として、固溶体の調製およびそれに続く、200mgの有効成分、例えばカルバマゼピンを含む固体投与形態を処方するための、共重合体の本発明による使用について記載する。ここで一例として選択する共重合体は、この場合、98mol%のN−ビニルピロリドンと2mol%のフェノキシアクリラートからなる。
【0136】
溶融法では、カルバマゼピンおよび選択した共重合体を、例えば、所望の比率で(例えば、等量ずつ)計り取って混合することができる。混合には、例えば、フリーフォールミキサーが適している。その後、この混合物を、例えば2軸押し出し機で押し出すことができる。このようにして取得した、本発明に従って使用する選択した共重合体中の選択した有効成分の固溶体からなる冷却生成物ストランドの直径は、押し出し機の穴あき盤のミシン目の直径に依存する。回転ナイフを使用して該冷却生成物ストランドを切断することにより、円筒状粒子(その高さは穴あき盤とナイフの距離に依存する)を製造することができる。円筒状粒子の平均直径は一般に約1000〜約3000μmであり、その高さは一般に約2000〜約5000μmである。比較的大きな押し出し物は、その後の段階で粉砕することができる。
【0137】
あるいは、固溶体を、溶液法で製造することもできる。この場合、選択した難溶性有効成分、および可溶化剤として機能する本発明に従って使用される選択した共重合体を、一般には、適切な溶媒に溶解させる。その後、この溶液を通常は適切な鋳型に注ぎ、溶媒を例えば乾燥により除去する。乾燥条件は、有効成分の性質(例えば、熱不安定性)および溶媒の性質(例えば、沸点)に合わせて選択すると有利である。
【0138】
材料挙動を考慮して、得られた成形物または押し出し物を、例えば適切な粉砕機(例えばピンミル)を使用して粉砕することができる。固溶体は、平均粒径が約2000μm未満、好ましくは約1000μm未満、および特に好ましくは約500μm未満となるように粉砕すると有利である。
【0139】
その後、得られたバルク材料を適切な助剤を用いて加工することにより、打錠用混合物を得るかまたはカプセル充填材を得ることができる。硬度が約35Nよりも高い、好ましくは約60Nよりも高い、特に好ましくは約80〜約100Nである錠剤が得られるように打錠を行うと有利である。
【0140】
従来の製剤と同様に、このようにして取得しうる製剤もまた、必要に応じて適切なコーティング材料でコーティングすることにより胃液耐性、持続放出、苦味マスキングなどを達成することができる。
【0141】
化粧品および医薬品における使用の他に、本発明に従って使用する共重合体は、食品部門における、水に対して不溶性または難溶性の栄養素、助剤または添加物(例えば、脂溶性ビタミンまたはカロテノイドなど)のための可溶化剤としても適している。挙げることができる具体例は、カロテノイドで着色した清澄な飲料である。従って本発明は、可溶化剤として本発明に従って使用する共重合体のうちの少なくとも1つを含む食品調製物もまた提供する。本発明の目的上、食品調製物は、例えば、食用色素および食事療法食を含む調製物などの栄養補助食品もまた意味するものと理解されたい。また、特定した共重合体は、動物栄養のための栄養補助飼料用の可溶化剤としても適している。
【0142】
農芸化学における可溶化剤としての本発明に従って使用する共重合体の使用は、とりわけ、農薬、除草剤、殺菌剤または殺虫剤を含む製剤、特にスプレーまたは注入(pour)混合物として使用される作物保護調製物を含みうる。
【実施例】
【0143】
本発明に従って使用する共重合体の調製および使用に関する下記実施例は、本発明を例示するものであって、決して限定するものではない。
【0144】
実施例1:共重合体1の調製
0.4gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、105gのエタノール、8.6gのN−ビニルピロリドン、0.1gの2,2’−アゾビス−2−(アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(Wako V50、Wako)および105gの水からなる溶液を、窒素雰囲気下で75℃に加熱した。77.8gのビニルピロリドン、15gのエタノール、3.2gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)および15gの水からなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、17.7gのエタノール、0.8gの2,2’−アゾビス−2−(アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(Wako V50、Wako)および17.7gの水からなる第3溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、生成物を水蒸気蒸留に供してから、減圧下75℃で乾燥させた。得られた重合体のK値は30.4であった(N−メチルピロリドン中1%)。
【0145】
実施例2:共重合体2の調製
0.4gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、210gのエタノール、9.6gのビニルピロリドンおよび0.5gの2,2’−アゾビス−2−(メチルブチロニトリル)(Wako V59、Wako)からなる溶液を、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。86.4gのN−ビニルピロリドン、30gのエタノールおよび3.6gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)からなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、35gのエタノールおよび0.45gの2,2’−アゾビス−2−(メチルブチロニトリル)(Wako V59、Wako)からなる第3溶液を4時間かけて加えた。さらに2時間後、生成物を水蒸気蒸留に供してから、減圧下75℃で乾燥させた。得られた重合体のK値は42.3であった(N−メチルピロリドン中1%)。
【0146】
実施例3:共重合体3の調製
0.4gのポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(Mn≒324 D、Aldrich)、210gのエタノール、9.6gのビニルピロリドンおよび0.1gの2,2’−アゾビス−2−(メチルブチロニトリル)(Wako V59、Wako)からなる溶液を、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。85.4gのN−ビニルピロリドン、30gのエタノールおよび4.6gのポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(Mn≒324 D、Aldrich)からなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、35gのエタノールおよび0.9gの2,2’−アゾビス−2−(メチルブチロニトリル)(Wako V59、Wako)からなる第3溶液を4時間かけて加えた。さらに2時間後、生成物を水蒸気蒸留に供してから、減圧下75℃で乾燥させた。得られた重合体のK値は32.3であった(N−メチルピロリドン中1%)。
【0147】
実施例4:共重合体4の調製
0.4gのポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(Mn≒280 D、Aldrich)、210gのエタノール、9.6gのビニルピロリドンおよび0.1gの2,2’−アゾビス−2−(メチルブチロニトリル)(Wako V59、Wako)からなる溶液を、窒素雰囲気下で70℃に加熱した。85.4gのN−ビニルピロリドン、30gのエタノールおよび4.6gのポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(Mn≒280 D、Aldrich)からなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、35gのエタノールおよび0.9gの2,2’−アゾビス−2−(メチルブチロニトリル)(Wako V59、Wako)からなる第3溶液を4時間かけて加えた。さらに2時間後、生成物を水蒸気蒸留に供してから、減圧下75℃で乾燥させた。得られた重合体のK値は32.8であった(N−メチルピロリドン中1%)。
【0148】
実施例5:共重合体5の調製
5gのビニルピロリドンおよび100gのイソプロパノールからなる溶液を、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。10gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)および200gのイソプロパノールからなる第2溶液を5時間かけて加えた。これと並行して、85.0gのビニルピロリドンおよび200gのイソプロパノールからなる第3溶液を5.5時間かけて加え、また4.0gのtert−ブチルペルピバラート(75%濃度)および50gのイソプロパノールからなる第4溶液を6.0時間かけて加えた。さらに1時間後、生成物を減圧下75℃で乾燥させた。
【0149】
実施例6:共重合体6の調製
5gのビニルピロリドンおよび100gのイソプロパノールからなる溶液を、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。10gのポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(Mn≒280 D、Aldrich)および200gのイソプロパノールからなる第2溶液を5時間かけて加えた。これと並行して、85.0gのビニルピロリドンおよび200gのイソプロパノールからなる第3溶液を5.5時間かけて加え、また4gのtert−ブチルペルピバラート(75%濃度)および50gのイソプロパノールからなる第4溶液を6時間かけて加えた。さらに1時間後、生成物を減圧下75℃で乾燥させた。このようにして取得した重合体のK値は13.7であった(水中1%)。
【0150】
実施例7:共重合体7の調製
5gのビニルピロリドンおよび100gのイソプロパノールからなる溶液を、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。10gのポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(Mn≒324 D、Aldrich)および200gのイソプロパノールからなる第2溶液を5時間かけて加えた。これと並行して、85.0gのビニルピロリドンおよび200gのイソプロパノールからなる第3溶液を5.5時間かけて加え、また4.0gのtert−ブチルペルピバラート(75%濃度)および50gのイソプロパノールからなる第4溶液を6.0時間かけて加えた。さらに1時間後、生成物を減圧下75℃で乾燥させた。得られた重合体のK値は14.8であった(水中1%)。
【0151】
実施例8:共重合体8の調製
0.4gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、105gのエタノール、105gの水、8.6gのビニルピロリドンおよび0.1gの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(Wako V50、Wako)からなる溶液を、窒素雰囲気下で75℃に加熱した。77.8gのN−ビニルピロリドン、15gのエタノール、15gの水、3.2gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)および0.45gのトリアリルアミンからなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、17.7gのエタノール、17.7gの水および0.8gの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(Wako V50、Wako)からなる第3溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、生成物を水蒸気蒸留に供してから、減圧下70℃で乾燥させた。
【0152】
実施例9:共重合体9の調製
0.4gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、105gのエタノール、105gの水、8.6gのビニルピロリドンおよび0.1gの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(Wako V50、Wako)からなる溶液を、窒素雰囲気下で75℃に加熱した。77.8gのN−ビニルピロリドン、15gのエタノール、15gの水、3.2gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)および0.45gのジビニルエチレン尿素からなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、17.7gのエタノール、17.7gの水および0.8gの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(Wako V50、Wako)からなる第3溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、生成物を水蒸気蒸留に供してから、減圧下70℃で乾燥させた。
【0153】
実施例10:共重合体10の調製
2.1gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、75gのイソプロパノール、15.3gのビニルピロリドン、2.1gのラウリルアクリラート、10.5gのビニルカプロラクタムからなる溶液を窒素雰囲気下で加熱した。75℃に達した後に、0.2gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および3.0gのイソプロパノールを加えた。10分後、18.9gの2−フェノキシエチルアクリラート、135gのイソプロパノール、137.7gのビニルピロリドン、18.9gのラウリルアクリラートおよび94.5gのビニルカプロラクタムからなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、3.8gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および57.0gのイソプロパノールからなる第3溶液を5時間かけて加えた。さらに3時間後、イソプロパノールを蒸留により除去し、その後水で希釈した。生成物を水蒸気蒸留に供してから凍結乾燥させた。
【0154】
実施例11:共重合体11の調製
2.1gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、70gのイソプロパノール、15.1gのビニルピロリドン、2.1gのラウリルアクリラート、10.5gのビニルカプロラクタムからなる溶液を窒素雰囲気下で75℃に加熱し、0.2gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および3.0gのイソプロパノールを加えた。10分後、18.9gの2−フェノキシエチルアクリラート、90gのイソプロパノール、136.4gのビニルピロリドン、18.9gのラウリルアクリラートおよび94.5gのビニルカプロラクタムからなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、1.5gのジビニルエチレン尿素および50gのイソプロパノールからなる第3溶液を4時間かけて加え、また3.8gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および57.0gのイソプロパノールからなる第4溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、イソプロパノールを蒸留により除去し、その後水で希釈した。生成物を水蒸気蒸留に供してから凍結乾燥させた。
【0155】
実施例12:共重合体12の調製
3.0gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、70gのイソプロパノール、23.9gのビニルピロリドン、3.0gのラウリルアクリラートからなる溶液を窒素雰囲気下で75℃に加熱し、その後0.2gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および3.0gのイソプロパノールを加えた。10分後、27.0gの2−フェノキシエチルアクリラート、90gのイソプロパノール、215.1gのビニルピロリドンおよび27.0gのラウリルアクリラートからなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、0.9gのジビニルエチレン尿素および50gのイソプロパノールからなる第3溶液を4時間かけて加え、また3.8gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および57.0gのイソプロパノールからなる第4溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、イソプロパノールを蒸留により除去し、その後水で希釈した。生成物を水蒸気蒸留に供してから凍結乾燥させた。
【0156】
実施例13:共重合体13の調製
2.5gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、125gのイソプロパノール、45gのビニルピロリドン、2.5gのラウリルアクリラートからなる溶液を窒素雰囲気下で加熱した。73℃に達した後に、0.33gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および5.0gのイソプロパノールを加えた。10分後、22.5gの2−フェノキシエチルアクリラート、225gのイソプロパノール、405gのビニルピロリドンおよび22.5gのラウリルアクリラートからなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、6.33gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および95gのイソプロパノールからなる第3溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、イソプロパノールを蒸留により除去し、その後水で希釈した。得られた生成物を水蒸気蒸留に供してから凍結乾燥させた。
【0157】
実施例14:共重合体14の調製
5gの2−フェノキシエチルアクリラート(Laromer(登録商標)POEA、BASF Aktiengesellschaft)、225gのイソプロパノール、42.5gのビニルピロリドン、2.5gのラウリルアクリラートからなる溶液を窒素雰囲気下で加熱した。73℃に達した後に、0.33gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および5.0gのイソプロパノールを加えた。10分後、45gの2−フェノキシエチルアクリラート、225gのイソプロパノール、382.5gのビニルピロリドンおよび22.5gのラウリルアクリラートからなる第2溶液を4時間かけて加えた。これと並行して、6.33gのtert−ブチルペルピバラート(75%)および95.0gのイソプロパノールからなる第3溶液を5時間かけて加えた。さらに2時間後、イソプロパノールを蒸留により除去し、その後水で希釈した。生成物を水蒸気蒸留に供してから凍結乾燥させた。
【0158】
実施例15および16:共重合体1〜14の可溶化特性の測定
実施例15:一般的手順1:
選択した重合体0.5および水に溶解させる化合物0.1gを、約20mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。この混合物を攪拌し、その後DMFを除去した。これにより、選択した共重合体を用いて溶解させた、選択した化合物の固体分散体を得た。該固体分散体を100mLの水(pH6.8に緩衝化したもの)に加え、この混合物を24時間攪拌した。濾過後に、溶液を取得し、その溶液についての溶解させた化合物の含有量をUV分光法を利用して測定した。結果を表1に要約する。表3には、選択した化合物の水中での溶解度に関する文献値およびUV分光計測の波長を挙げる。
【表1】

【0159】
スルファチアゾールの溶解度を測定する際には、2.5gの各共重合体を0.5gのスルファチアゾールと共に使用した。
【0160】
実施例16:一般的手順2:
約2gの重合体をビーカーに計り取った。その後、この混合物にそれぞれ0.2gのピロキシカムまたは0.3gのカルバマゼピンを計り入れて、過飽和溶液を取得した。その後、20gのリン酸緩衝液(pH7.0)を加えた。濾過後に、溶液を取得し、その溶液についての溶解させた化合物の含有量をUV分光法により測定した。結果を表2に要約する。
【表2】

【表3】

【0161】
実施例17:固溶体の調製
重合体と有効成分との混合物を調製するため、共重合体1または6〜14のうちの1つをそれぞれ2gと、有効成分であるクロトリマゾール、ピロキシカム、エストラジオールまたはカルバマゼピン各2gを、適切なガラス容器に計り入れた。その後、16mLのN,N−ジメチルホルムアミドを加えた。この混合物を、磁気攪拌機を使用して室温で24時間攪拌した。その後、溶液を、120μmドクターブレードを使用してガラス板上に広げてから、乾燥キャビネット内で室温にて0.5時間乾燥させた。その後、コーティングされたものを同様に乾燥キャビネット内で50℃および10mbarにてさらに0.5時間乾燥させることにより、溶媒を全て除去した。これにより、固溶体の形で共重合体内に分子分散形態で溶解した有効成分を得た。
【0162】
実施例18:固溶体を使用した医薬品製剤の調製
【表4】

【0163】
有効成分であるカルバマゼピン、クロトリマゾール、ピロキシカムまたはエストラジオールのうちの1つが50重量%を占め、かつ98mol%のN−ビニルピロリドンと2mol%のフェノキシアクリラートとの共重合体が50重量%を占める実施例17で調製した固溶体、崩壊剤、結合剤ならびに流動調節剤を計り分け、フリーフォールミキサーで10分間混合した。その後滑剤を加え、この混合物を再度5分間混合した。バルク材料を、成形圧力を20kNとして回転式打錠機で圧縮した(パンチ:楕円形、割り溝付き)。破砕性、崩壊および有効成分放出は、薬局方の規格に合っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶化剤としての、
a) 式(I):
【化1】

〔式中、
R1およびR2は、互いに独立して、それぞれHまたはCHであり、
R3は、1つ以上の同一もしくは異なるC〜C−アルキルおよび/またはC〜C−アルコキシ置換基を有しうるC〜C10−アリールまたはC〜C12−アラルキルであり、そして
nは0〜100の整数である〕
で表される少なくとも1つの化合物(単量体A)、
b) 2〜15個の炭素原子を有する、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよびN−ビニルアミンの群から選択される少なくとも1つの化合物(単量体B)、
c) 適切であれば、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、ならびに
d) 適切であれば、1つ以上の異なる調節剤、ならびに
e) 適切であれば、1つ以上のさらなる共重合可能な成分(単量体C)
の重合により取得しうる共重合体の使用。
【請求項2】
a) 1〜50mol%の、少なくとも1つの単量体A、
b) 50〜99mol%の、少なくとも1つの単量体B、
c) 0〜5mol%の、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、および
d) 0〜4mol%の、1つ以上の異なる調節剤、および
e) 0〜49mol%の、少なくとも1つの単量体C、
の重合により取得しうる(ここで、個々の成分のmol%データの合計は必ず100mol%になるものとする)請求項1記載の共重合体の使用。
【請求項3】
a) 1〜30mol%の、少なくとも1つの単量体A、
b) 50〜99mol%の、少なくとも1つの単量体B、
c) 0〜3mol%の、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、および
d) 0〜3mol%の、1つ以上の異なる調節剤、および
e) 0〜49mol%の、少なくとも1つの単量体C、
の重合により取得しうる(ここで、個々の成分のmol%データの合計は必ず100mol%になるものとする)請求項1または2記載の共重合体の使用。
【請求項4】
少なくとも1つの単量体Aが、R1およびR2がそれぞれHであり、R3がフェニルであり、かつnが1〜10の整数である式(I)の単量体の群から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも1つの単量体Bが、単量体であるN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、ビニルアミンおよびN−ビニルイミダゾールの群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
医薬品および/または化粧品調製物および/または食品調製物または作物保護調製物における可溶化剤としての請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体の使用。
【請求項7】
固溶体における可溶化剤としての請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体の使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体のうちの少なくとも1つを含む医薬品調製物。
【請求項9】
水に対して難溶性または不溶性の少なくとも1つの医薬品有効成分を含む請求項8記載の調製物。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体のうちの少なくとも1つを含む化粧品調製物。
【請求項11】
水に対して難溶性または不溶性の少なくとも1つの化粧品有効成分を含む請求項10記載の調製物。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体のうちの少なくとも1つを含む食品調製物。
【請求項13】
a) 式(I):
【化2】

〔式中、
R1およびR2は、互いに独立して、それぞれHまたはCHであり、
R3は、1つ以上の同一もしくは異なるC〜C−アルキルおよび/またはC〜C−アルコキシ置換基を有しうるC〜C10−アリールまたはC〜C12−アラルキルであり、そして
nは1または2である〕
で表される少なくとも1つの化合物(単量体A)、
b) 2〜15個の炭素原子を有する、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルイミンおよびN−ビニルアミンの群から選択される少なくとも1つの化合物(単量体B)、
c) 適切であれば、1つ以上の異なる二官能性架橋剤成分、ならびに
d) 適切であれば、1つ以上の異なる調節剤、ならびに
e) 適切であれば、1つ以上のさらなる共重合可能な成分(単量体C)、
の重合により取得しうる(ここで、個々の成分のmol%データの合計は必ず100mol%になるものとする)共重合体。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも1つの共重合体を含む固溶体。

【公表番号】特表2008−510043(P2008−510043A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526333(P2007−526333)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008408
【国際公開番号】WO2006/018135
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】