説明

台紙レスラベルプリンタ及び台紙レスラベル用紙

【課題】台紙レスラベル用紙に予めアイマーク等の識別用マークを付すことなく、発行するラベル毎にポップ印字領域にポップデータを印字できる台紙レスラベルプリンタ、及び台紙レスラベル用紙を提供する。
【解決手段】台紙レスラベル用紙装着部と、該台紙レスラベル用紙装着部にセットされた長尺帯状のラベル用紙を引き出し、該台紙レスラベル用紙6の引き出し方向と直交させて印字ヘッドを配置した印字発行部と、を備え、引き出された台紙レスラベル用紙に前記印字ヘッドで印字データを印字し、カットして枚葉状の台紙レスラベルを発行する台紙レスラベルプリンタであって、前記台紙レスラベル用紙2aは、該用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域7を有し、該ポップ印字領域7に、印字データの文字の天地が前記台紙レスラベル用紙の幅方向に向くよう印字データの向きを制御して印字する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺帯状の台紙レスラベル用紙を用いて、枚葉状の台紙レスラベルを印字発行する台紙レスラベルプリンタ、及び台紙レスラベル用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺帯状の台紙に、一定長さのラベル用紙が一定の間隔をおいて剥離可能に仮着された台紙付きラベル用紙において、前記ラベル用紙の幅方向全域と移動方向に沿った一定の長さで区画されるポップ印字領域を、例えば黄色等の目立つ色で着色し、そのポップ印字領域に例えば特売価格(ポップデータ)をポップ書体にて目立つように印字してラベルを発行することは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、昨今はゴミの削減等を目的として台紙を持たない、所謂台紙レスラベルの製品化が勧められており、この台紙レスラベルにおいても、前記台紙付きラベルにおける前記ポップ印字領域を設けて、該ラベルが貼付された商品を手に取るお客に対して訴求効果を促す試みがされている。
【0004】
しかし、台紙レスラベルの場合、長尺帯状の台紙レスラベル用紙から枚葉状のラベルをカットして形成する為、発行されるラベル長は決まっていない。その為、台紙レスラベル用紙上に一定間隔でポップ印字領域を識別するためのアイマーク(例えば、黒帯)をロール巻きされた台紙レスラベル用紙の全長に一定間隔に設け、そのアイマークをセンサが検知することで、前記ポップ印字領域にポップ情報を印字することが考えられる。
【0005】
しかしながら、前記したように長尺帯状の台紙レスラベル用紙にアイマークを付設する場合、ポップ印字領域をラベルに設ける以外に、一定間隔で前記アイマークを付設する必要が生じ、又、台紙レスラベル用紙に設けられたアイマークを検出するセンサが必要になる。よって、そのアイマークを付設する手間とコスト、更にアイマークを検出する為のセンサが必要になる。
また、前記アイマークは台紙レスラベル用紙の裏側に黒色で印字されるため、商品に台紙レスラベルを貼り付けた際、前記黒色のアイマークが透けて見えることで、商品を販売する店舗側に敬遠されがちであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−198238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、台紙レスラベル用紙に予めアイマーク等の識別用マークを付すことなく、発行するラベル毎にポップ印字領域にポップデータを印字できる台紙レスラベルプリンタ、及び台紙レスラベル用紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の台紙レスラベルプリンタは、台紙レスラベル用紙装着部と、該台紙レスラベル用紙装着部にセットされた長尺帯状の台紙レスラベル用紙を引き出し、該台紙レスラベル用紙の引き出し方向と直交させて印字ヘッドを配置した印字発行部と、を備え、引き出された台紙レスラベル用紙に前記印字ヘッドで印字データを印字し、カットして枚葉状の台紙レスラベルを発行する台紙レスラベルプリンタであって、前記台紙レスラベル用紙は、該用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域を有し、該ポップ印字領域に、印字データの文字の天地が前記台紙レスラベル用紙の幅方向に向くよう印字データの向きを制御して印字することを特徴とする。
【0009】
前記台紙レスラベル用紙の長さ方向に連続して形成されるポップ印字領域の形態としては、例えば、台紙レスラベル用紙の幅方向の一方側縁に沿って形成し、そのポップ印字領域は該用紙の幅方向一方側端から他方側端に向けて所定幅とする。これにより、台紙付きラベルで各ラベルにラベルの上端から一定領域にポップ印字領域を有するラベルと同じラベルを、台紙レスラベルにてアイマーク等を設けずに発行することができる。
また、前記ポップ印字領域は該用紙の一方側縁から内方に向けて所定幅の空白部を介在して形成してもよい。
又、ポップ印字領域の区分けは、台紙レスラベル用紙の長さ方向に連続して幅方向の一方側端から所定幅を着色(べた塗り、部分塗り等)する形態、或いは幅方向の一方側端から内方所定幅の位置に線(連続線、点線)を表示する形態等、何れでもよい。
また、前記ポップ印字領域への印字は、ポップ書体に限らず、通常の文字と同じフォントでもよい。
【0010】
上記手段によれば、台紙レスラベル用紙はその長さ方向に連続してポップ印字領域が形成され、該領域に印字データの文字の天地が前記台紙レスラベル用紙の幅方向に向くよう印字データの向きが制御される為、台紙レスラベル用紙を引き出し、ラベル長が異なる枚葉状のラベルをカット形成しても、ポップ印字領域に印字データが印字された台紙レスラベルを発行することができる。つまり、台紙レスラベル用紙の発行方向(移動方向)に文字の天地が向きを有する通常のラベルに対し、例えば、ラベル用紙の長さ方向の側端から一定幅連続してポップ印字領域が設けられており、該領域に印字データが時計回転方向に90度回転した向きにて印字され、印字データの文字の天地が前記台紙レスラベル用紙の幅方向に向くよう印字データの向きが制御して印字されるので、台紙レスラベル用紙にアイマーク等を設けずにどの位置でカットされても、発行するラベルに確実にポップ印字領域が形成された台紙レスラベルを発行することができる。
【0011】
また、ポップ印字領域以外の領域に印字するデータにおいて、バーコードを印字する場合、バーコードのバーの向きは台紙レスラベル用紙の移動方向と平行となるようにする。
【0012】
これにより、バーコードのバーの向きとラベルの移動方向が同じになるので、バーコードの幅方向の印字(黒線と白線の幅、間隔)は変わらず、従ってスキャナによる誤読の少ないバーコードを印字することができる。
【0013】
また、本発明に係る台紙レスラベルプリンタは、台紙レスラベル用紙装着部と、該台紙レスラベル用紙装着部にセットされた長尺帯状のラベル用紙を引き出し、該台紙レスラベル用紙の引き出し方向と直交させて印字ヘッドを配置した印字発行部を1つ備えたものに限定されず、少なくとも2つ備えた台紙レスラベルプリンタであってもよい。その場合、一方の印字発行部の台紙レスラベル用紙装着部には、用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙がセットされ、他方の印字発行部の台紙レスラベル用紙装着部には、ポップ印字領域が形成されていない台紙レスラベル用紙がセットされ、発行するラベルの印字データを記憶する商品ファイルと、ラベル長を含むラベルフォーマットデータを記憶するラベルフォーマットファイルと、を有し、前記商品ファイルの商品が呼び出された際、印字する印字データ、ラベルフォーマットデータ、前記いずれかの印字発行部が駆動するかが特定され、前記ポップ印字領域が形成されていない台紙レスラベル用紙をセットした印字発行部が駆動する際は、該台紙レスラベル用紙の移動方向に印字データの文字の天地が向くよう制御され、所定の印字項目の印字データが該台紙レスラベル用紙の移動方向における印字領域を満たすか否かを判断する判断手段を有し、該判断手段により満たさないと判断された場合は、それ以降の他の印字項目を詰めて印字データが印字されてラベル長が算出され、該算出されたラベル長に基づき台紙レスラベルが発行され、前記ポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙をセットした印字発行部が駆動する際は、前記判断手段により判断がされず、前記台紙レスラベル用紙の幅方向に印字データの文字の天地が向くよう制御され、前記特定されたラベル長の台紙レスラベルを発行することを特徴とする。
【0014】
上記手段によれば、印字する商品が選択されて、ポップ印字領域を含まない台紙レスラベル用紙に印字されるときは、通常のラベルのように印字される文字の天地がラベルの移動方向に向き、この場合に所定の印字項目の印字データがラベルの移動方向における印字領域を満たすか否かを判断し、満たないと判断された場合には、それ以降の印字項目が詰めて印字されるようになり、より空白の無いラベルを発行することができるので用紙を無駄なく使用できる。また、ポップ印字領域を含む台紙レスラベル用紙に印字されるときは、印字される文字の天地がラベル用紙の幅方向に向くように印字され、この場合、前記判断はされずに、当該商品のラベルで固定のラベル長にて台紙レスラベルが発行される。
【0015】
つまり、ポップ印字領域を含む台紙レスラベル用紙に印字される場合、前記と同様に可変のラベル長とすると、印字される文字の天地がラベル用紙の幅方向に向くように印字されるので、ラベル長を短くするかを判断するには、対象となる印字項目における印字データがラベルの移動方向における印字領域を満たすか否かだけでなく、他の当該ラベルにおける上下方向に位置する印字項目が、印字領域をどれほど満たすかを含めて判断することが必要になるので、当該発行するラベルでは固定のラベル長にて発行することで、多くの判断、制御をすることなく迅速にラベルを発行することが可能になる。
【0016】
また、ポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙を有する印字発行部、又はポップ印字領域が形成されていない台紙レスラベル用紙を有する印字発行部のいずれを駆動させるかは、例えば商品ファイル中にポップ印字領域に印字すべき印字データがあることを示すフラグを設けておき、該フラグにより判断するか、あるいは、ポップ印字領域に印字すべき印字データそのものが商品ファイル中の各商品に設定させているか否かにより、いずれの印字発行部を駆動させるかを特定する。
また、ラベルフォーマットデータにその旨を示すデータを設定しておき、ラベルフォーマットデータが商品ファイル中の商品に設定されており、商品が指定されたときに、ポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙を有する印字発行部を駆動させるか否かを判断するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の台紙レスラベルプリンタに使用する台紙レスラベル用紙は、長尺帯状の台紙レスラベル用紙がロール状に巻き取られ、且つ該用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域が形成されていることを特徴とする。
それにより、台紙レスラベル用紙を引き出し、長さ方向のどの位置でカットしても、カットされた台紙レスラベルには必ずポップ印字領域が存在する。従って、従来のように用紙の裏側にアイマークを付ける手間とコストを削減でき、且つアイマークを検出する為のセンサも不要となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の台紙レスラベルプリンタは、使用する台紙レスラベル用紙にアイマークが付設されていなくとも、発行するラベルに確実にポップ印字領域が形成された台紙レスラベルを発行することができる。
また、台紙レスラベル用紙は、長さ方向のどの位置でカットしても、カットされた台紙レスラベルには必ずポップ印字領域が存在する。従って、従来のように用紙の裏側にアイマークを付ける手間とコストを削減でき、且つプリンタにおいてはアイマークを検出する為のセンサも不要となる。よって経済的に優れた台紙レスラベル用紙を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る台紙レスラベルプリンタの機構を示す概略図。
【図2】(a)〜(d)は台紙レスラベル用紙に形成されるポップ印字領域の形態を示す概略図。
【図3】台紙レスラベルプリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図4】台紙レスラベルプリンタで管理するラベルフォーマットファイルのデータ構成を示す概念図。
【図5】台紙レスラベルプリンタで管理する商品ファイルのデータ構成を示す概念図。
【図6】台紙レスラベルプリンタで管理するプリンタファイルのデータ構成を示す概念図。
【図7】(a)は印字データの通常の印字位置を示す概念図、(b)は印字データを90度回転する場合の印字位置を示す概念図。
【図8】台紙レスラベルプリンタの動作を示すフローチャート。
【図9】図7(b)で印字された台紙レスラベルの一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る台紙レスラベルプリンタの実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態による台紙レスラベルプリンタの機構を示す概略図である。 図1において、1はラベル用紙装着部、2は該ラベル用紙装着部1にセットされた台紙レスラベル用紙2aをロール状に巻いたラベルロールで、該ラベルロール2の台紙レスラベル用紙2aをサーマルヘッド(印字ヘッド)3とステッピングモータで駆動されるプラテンローラ4との間で挟んで前記台紙レスラベル用紙2aを引き出すと共に、前記台紙レスラベル用紙2aの表面(感熱発色面)を加熱して印字し、さらに、印字後の台紙レスラベル用紙2aをカッター5でカットし、台紙レスラベル6として発行するようになっている。
【0021】
前記ラベル用紙装着部1にセットされる台紙レスラベルロール2の台紙レスラベル用紙2aは、表面に感熱発色面、裏面に粘着面が形成され、更に、前記感熱発色面には該台紙レスラベル用紙2aの幅方向の一方側端から他方側端に向かって所定幅がポップ印字領域7として該用紙2aの長さ方向に連続して形成されている。
【0022】
前記ポップ印字領域7は、台紙レスラベル6が発行される商品に設定されたポップ(POP)データを、商品データ(商品名、値段、添加物、バーコード等)の印字領域と区分けして印字する領域で、該ポップ印字領域7にはポップデータが、例えばポップ書体の文字で且つ大きく印字される。尚、ポップ印字領域7へのポップデータの印字は、ポップ書体に限定されず、商品データの印字に使用される文字と同じフォントでもよい。
前記ポップ印字領域7の形態としては、例えば図2に示す形態が挙げられるが、図2は長尺の台紙レスラベル用紙の一部を示している。
図2(a)は、台紙レスラベル用紙2aの幅方向の一方側端から他方側端に向かって所定幅を目立つ色彩に着色(べた塗り)形成する。
図2(b)は、台紙レスラベル用紙2aの幅方向の一方側端から他方側端に向かって所定幅の箇所に点線(又は連続線)を表示形成する。
図2(c)は、台紙レスラベル用紙2aの幅方向の一方側端から他方側端に向かって所定幅を目立つ色彩でゼブラ模様(斜め帯模様)に形成する。
図2(d)は、前記図2(a)の着色(べた塗り)を、台紙レスラベル用紙2aの幅方向の一方側端から他方側端に向かって所定幅の空白部をおいて形成する。
【0023】
図3は、前記ラベル用紙装着部1と、サーマルヘッド(印字ヘッド)3とプラテンローラ4(用紙引き出し手段)、及びカッター5を有する印字発行部を2組備えた台紙レスラベルプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
その構成は、CPU8、フラッシュメモリ9、RAM10、操作部11、表示部12、通信部13、印字制御部14、第1印字発行部15、第2印字発行部16、カッター17を備える。
【0024】
前記CPU8は、フラッシュメモリ9に記憶されたプログラムを実行して本ラベルプリンタの動作を統括する中央演算処理装置である。
フラッシュメモリ9は、本ラベルプリンタの制御プログラムや、制御用データ等を記憶する読み出し専用メモリである。
RAM10は、一時的にデータを呼び出して処理する為のワークエリアがあり、その中には、印字データをドットデータに展開するドット展開エリア、ラベルフォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データを呼び出して記憶する呼出商品エリア等がある。
【0025】
また、このRAM10には、ラベル印字のフォーマットが設定されたラベルフォーマットファイル(図4参照)、ラベル印字用の各種商品データが設定された商品ファイル(図5参照)、前記商品ファイルに設定されたポップ(POP)データの有無により選択使用する印字発行部が設定されたプリンタファイル(図6参照)や、フォントファイル(キャラクタジェネレータ)等が記憶されており、電源オフ時も商品ファイルやフォーマットファイルを保持するようにバッテリでバックアップされている。
【0026】
操作部11は、本ラベルプリンタの操作を行うための入力装置であり、表示部12と一体に構成されたタッチパネルになっている。
表示部12は、各種のメニュー画面やデータを表示する液晶ディスプレイである。
通信部13は、ホストコンピュータと通信を行い、データの授受を行う。
【0027】
印字制御部14は、CPU8の指令に基づいて第1印字発行部15、第2印字発行部16の動作を制御する。
第1印字発行部15は、本実施例ではラベル用紙装着部に、ポップ印字領域7が形成された台紙レスラベル用紙のラベルロールがセットされ、印字発行する台紙レスラベルにポップデータを一緒に印字するようになっている。
第2印字発行部16は、本実施例ではラベル用紙装着部に、ポップ印字領域7が形成されていない通常の台紙レスラベル用紙のラベルロールがセットされ、商品データのみが印字された台紙レスラベルを印字するようになっている。
カッター17は、CPU8の指令に基づいて、印字後の台紙レスラベル用紙1をカットし、台紙レスラベル6を発行する。
【0028】
図4は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタで管理するラベルフォーマットファイルのデータ構成を示す概念図である。
このラベルフォーマットファイルには、印字フォーマットを各種設定でき、フォーマットの種類を特定するラベルフォーマット番号や、ラベル用紙のカット長さを決定するラベル長、印字データを所定角度(図示例はサーマルヘッドの向きに対して時計回り方向に90°)回転の有無(フラグ1:回転有り、フラグ0:回転なし)、ラベル印字に使用するプリンタ(印字発行部)番号(プリンタ1:第1印字発行部、プリンタ2:第2印字発行部)、更に、印字項目として、商品名、添加物、ポップ(POP)データ、原材料、値段、バーコード、単位、加工日時、消費期限、店名等があり、それらの印字項目には、それぞれ、印字位置(ラベルの左上を0,0とし、印字範囲の左上端を指す)、用紙移動方向の印字範囲である高さ(ΔX、例えば、行数)、用紙幅方向の印字範囲の長さ(ΔY)、文字フォントの種類を特定するフォントが設定されている。
【0029】
図5は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタで管理する商品ファイルのデータ構成の概念図である。
この商品ファイルには、品番、品名、値段、バーコード、添加物、ポップ(POP)データ、ラベルフォーマット番号、原材料等の項目が設定されている。尚、各項目で複数行の印字データを設定する場合には、各行の最後に改行コードを入れる。
【0030】
図6は、本実施形態による台紙レスラベルプリンタが備える2台の印字発行部(第1印字発行部、第2印字発行部)を管理するプリンタファイルの概念図で、プリンタ番号1は第1印字発行部を、プリンタ番号2は第2印字発行部を指し、それぞれのプリンタ番号に対し、印字データを90度回転(印字された文字の天地がラベル用紙の幅方向に向く状態)するか否か(印字された文字の天地がラベル用紙の移動方向に向く通常の状態)のフラグが設定されている。図示例では、フラグ「1」は90度回転する、フラグ「0」は90度回転しない、を表す。
【0031】
図7は、前記RAM10に記憶されたラベルフォーマットファイル(図4参照)に設定された各印字項目のレイアウトを示す図で、同図(a)は印字データを90度回転しない(印字された文字の天地がラベル用紙の移動方向に向く通常の状態)で印字する場合、同図(b)は印字データを90度回転して(印字された文字の天地がラベル用紙の幅方向に向く状態)印字する場合を示す。但し、印字データを90度回転して印字する場合でも、バーコードだけは90度回転しない場合と同じ状態で印字されるように設定されている。
本ラベルプリンタでは、ラベルフォーマットファイルに印字フォーマットを登録しておくことで、様々なサイズや書式でラベルを作成できるようになっている。
【0032】
以下、印字発行部を二台備えた台紙レスラベルプリンタの動作を図8のフローチャートに基づいて説明する。尚、二台の印字発行部のうち、一方の印字発行部(第1印字発行部)のラベル用紙装着部1にはポップ印字領域7が形成された台紙レスラベルロール2が、他方の印字発行部(第2印字発行部)のラベル用紙装着部1にはポップ印字領域7が形成されていない通常の台紙レスラベルロール2’がセットされているものとする。
(ステップS1)…ラベルを印字発行する品番(商品)を、操作部11を操作して商品ファイルから選択し呼び出す。図5に示す商品ファイルがRAM10に記憶されている場合に、品番0001が選択された時は、商品データとして、品番0001によって特定される商品の商品データを呼び出すことになる。
(ステップS2)…選択した品番(商品)のラベルフォーマット番号に設定されたラベルフォーマット番号により、ラベルフォーマットファイルが参照され、「90度回転」有りか、否かが判断される。例えば、選択した品番のラベルフォーマット番号に「1」が設定されていれば、ラベルフォーマットファイルの「90度回転」のフラグ「1」と、プリンタファイルとよりプリンタ1(第1印字発行部)が選択され、印字データを90度回転する(印字される文字の天地がラベル用紙の幅方向に向く状態)(YES)としてステップS3に進む。選択した品番のラベルフォーマット番号に「2」が設定されていれば、ラベルフォーマットファイルの「90度回転」のフラグ「2」と、プリンタファイルとよりプリンタ2(第2印字発行部)が選択され、印字データを90度回転しない(印字される文字の天地がラベル用紙の移動方向に向く状態)(NO)としてステップS4に進む。
【0033】
(ステップS3)…ステップS2で呼び出した商品ファイルのラベルフォーマットに従って、呼び出した商品データの印字データを、90度回転(印字される文字の天地がラベル用紙の幅方向に向く状態)してドットデータに展開する。
(ステップS4)…ステップS2で呼び出した商品ファイルのラベルフォーマットに従って、呼び出した商品データの印字データを、90度回転しない通常の印字の向きでドットデータに展開する。
(ステップS5)…ステップS4で展開した各印字項目が、フォーマットデータの当該印字項目の高さ(用紙移動方向の印字範囲)を満たすか否かを判断し、ラベル長を算出する。つまり、各印字項目について、ステップS2で呼び出したフォーマットデータの高さ(用紙移動方向の印字範囲)と、呼び出した商品データにおける用紙移動方向の印字データ量とを比較し、高さに対し印字データ量が少ない場合には満たさないと判断し、少なくない場合には満たすと判断する。例えば、印字項目「品名」の場合、フォーマットデータに設定された品名の用紙移動方向の印字範囲(高さ)が3行分(ΔX)であるのに対し、印字データが1行分と少ない場合、満たさないと判断される。そして、印字データが、フォーマットデータの該当印字項目の高さを満たさないと判断した場合には、満たさない部分(余裕の高さ部分)と用紙移動方向との位置が重なる他の印字項目の印字データがあるか否かを判断し、高さ位置が重なる印字データの他の印字項目が無いと判断した場合には、印字フォーマットデータ中の印字位置順において以降の全項目の用紙移動方向の位置データを、上方に詰めるように減算して位置を変更する。前記例で、「品名」について2行分余裕が有る場合、「品名」以降の印字項目は、用紙移動方向に対して2行分上流に詰めて印字されるようになる。そして、ラベル長データは「品名」の2行分減算されて算出される。
【0034】
(ステップS6)…操作部11によりラベル発行キーを押下げ操作する。
(ステップS7)…ステップS3またはステップS4で展開したドットデータに基づいて、サーマルヘッド3とプラテンローラ4とを制御し、台紙レスラベル用紙2または2’に印字を行なう。ステップS3で展開したドットデータの場合は、ポップ印字領域7が形成された台紙レスラベル用紙2aのラベルロール2がセットされた第1印字発行部が駆動され、ポップデータはポップ印字領域7に、ポップデータ以外の商品データ(但し、バーコードは除く)は前記ポップ印字領域7以外の領域7’に、印字される文字の天地が台紙レスラベル用紙の幅方向に向くように印字され、バーコードは通常と同じ状態(バーコードの黒線、白線の向きが用紙移動方向と平行な状態)に印字される(図9参照)。そして、ポップデータはポップ印字領域7にポップ書体で大きく印字される。
また、ステップS4で展開したドットデータの場合は、ポップ印字領域7が形成されていない通常の台紙レスラベル用紙のラベルロール2’がセットされた第2印字発行部が駆動され、印字される文字は通常の向き(印字される文字の天地がラベル用紙の移動方向に向く状態)で印字される。
(ステップS8)…印字データを90度回転して印字(第1印字発行部)する場合は、S1の品番選択で特定されたラベルフォーマット番号に設定されたラベル長データに基づいて、カッター5を制御し、台紙レスラベル用紙2aをカットして、枚葉状の台紙レスラベル6を発行する。つまり、S2でサーマルヘッドの向きに対して時計回り方向に90°回転する場合は、選択されたラベル長で台紙レスラベル用紙がカットされるようになる。
また、印字データを通常の向きで印字(第2印字発行部)場合は、ステップS5で算出したラベル長に基づいてカッター5を制御し、台紙レスラベル用紙をカットし、枚葉状の台紙レスラベル6を発行する。つまり、通常の印字の向き(ラベル移動方向に文字の天地が向く)でラベルが発行される場合は、S5のように、例えば品名の印字データがラベルの移動方向の当該印字領域を満たさない場合は、印字項目を詰めて印字し、ラベル長が新たに算出されるようになるが、S2で、サーマルヘッドの向きに対して時計周り方向に90°回転すると判断された場合には固定のラベル長になる。
すなわち、例えば図9のラベル例で言えば、品名「天ぷら盛り合わせ「8点」」がより短くなったとして、品名より下方に印字される添加物の印字領域の印字データが短くなった品名よりも長い場合には、ラベルを短くしてカットすることはできない。このように、他の印字項目のラベル移動方向の印字データの量も判断する必要があり、複雑な制御と判断が必要になるので、S2でYESの場合には、S1で特定されたラベル長でカットされるので、余計な判断や制御が不要なので迅速なラベル発行が可能になる。
【0035】
上記構成の台紙レスラベルプリンタは、商品ファイルに設定されたポップデータの有無、ラベルフォーマット番号によって、ポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙のラベルロールがセットされた印字発行部、或いはポップ印字領域が形成されていない通常の台紙レスラベル用紙のラベルロールがセットされた印字発行部が選択され、ポップデータが印字された台紙レスラベル、ポップデータのない通常の台紙レスラベルを印字発行することができる。そして、ポップデータは台紙レスラベル用紙の長手方向に連続して設けたポップ印字領域に印字されるため、ラベル長は固定長として簡単に制御できる。
また、前記ポップ印字領域は台紙レスラベル用紙の長手方向に連続して設けられているため、ラベル用紙の長さ方向のどの位置でカットしても、カットされた台紙レスラベルには確実にポップ印字領域が含まれ、印字及びカットの制御を簡単に行うことができる。
また、ポップデータがある場合でも、商品データのバーコードについては、バーである黒線、白線の向きがラベル用紙の移動方向と平行に印字するため、装置の経年変化等(例えば、サーマルヘッドと対向し、該ヘッドに押し付けられてラベル用紙を送るために回転するプラテンローラの回転ギアが経年変化により摩耗し歯飛びを生じたり、前記回転ギアの回転に負荷が掛かり所定量回転しない場合、プラテンローラの一回転によるラベル用紙の移動距離が変わってくる場合等)により印字の縮みや伸びなどが生じても、バーコードの幅方向の印字(黒線と白線の幅、間隔)は変わらず、従ってスキャナによる誤読の少ないバーコードを印字することができる。
【0036】
本発明は図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、印字発行部を2台備えた例を示したが、これに限定されず、印字発行部を1台備え、その印字発行部のラベル用紙装着部に、ポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙のラベルロールをセットした台紙レスラベルプリンタでもよいものである。
(2)実施の形態では、ポップ印字領域に印字されるポップ印字の天地の向きがラベル用紙の幅方向に向いた例を示したが、これに限定されず、例えば、ポップ印字の天地が用紙の移動方向を向いて、ポップ印字領域に縦に印字されるようにしてもよい。
(3)ポップ印字領域をラベル用紙の幅方向の一方側端から所定の空白部を設けて形成する例として図2(d)に示す一側端寄りの例を示したが、これに限定されず、例えば、ポップ印字領域をラベル用紙の幅方向の略中央部に形成してもよい。
(4)実施の形態では、ポップ印字領域をラベル用紙の幅方向右側(ラベル用紙の移動と正対した時)に形成した例を示したが、これに限定されず、ラベル用紙の幅方向の反対側(左側)に形成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…ラベル用紙装着部 2,2’…ラベルロール
3…サーマルヘッド(印字ヘッド) 4…プラテンローラ(用紙引き出し手段)
5…カッター 6…台紙レスラベル
7…ポップ印字領域 7’…ポップ印字領域以外の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙レスラベル用紙装着部と、該台紙レスラベル用紙装着部にセットされた長尺帯状の台紙レスラベル用紙を引き出し、該台紙レスラベル用紙の引き出し方向と直交させて印字ヘッドを配置した印字発行部と、を備え、引き出された台紙レスラベル用紙に前記印字ヘッドで印字データを印字し、カットして枚葉状の台紙レスラベルを発行する台紙レスラベルプリンタであって、
前記台紙レスラベル用紙は、該用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域を有し、該ポップ印字領域に、印字データの文字の天地が前記台紙レスラベル用紙の幅方向に向くよう印字データの向きを制御して印字することを特徴とする台紙レスラベルプリンタ。
【請求項2】
前記ポップ印字領域は、前記台紙レスラベル用紙の幅方向の一方側端から他方側端に向かって所定幅形成されていることを特徴とする請求項1記載の台紙レスラベルプリンタ。
【請求項3】
前記ポップ印字領域以外の領域に印字するバーコードの向きは、該バーコードのバーの向きが台紙レスラベル用紙の移動方向と平行な向きに印字することを特徴とする請求項1、2記載の台紙レスラベルプリンタ。
【請求項4】
前記印字発行部を少なくとも2つ備え、一方の印字発行部の台紙レスラベル用紙装着部には、用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙がセットされ、他方の印字発行部の台紙レスラベル用紙装着部には、ポップ印字領域が形成されていない台紙レスラベル用紙がセットされ、
発行するラベルの印字データを記憶する商品ファイルと、
ラベル長を含むラベルフォーマットデータを記憶するラベルフォーマットファイルと、
を有し、
前記商品ファイルの商品が呼び出された際、印字する印字データ、ラベルフォーマットデータ、前記いずれかの印字発行部が駆動するかが特定され、
前記ポップ印字領域が形成されていない台紙レスラベル用紙をセットした印字発行部が駆動する際は、該台紙レスラベル用紙の移動方向に印字データの文字の天地が向くよう制御され、所定の印字項目の印字データが該台紙レスラベル用紙の移動方向における印字領域を満たすか否かを判断する判断手段を有し、該判断手段により満たさないと判断された場合は、それ以降の他の印字項目を詰めて印字データが印字されてラベル長が算出され、該算出されたラベル長に基づき台紙レスラベルが発行され、
前記ポップ印字領域が形成された台紙レスラベル用紙をセットした印字発行部が駆動する際は、前記判断手段により判断がされず、前記台紙レスラベル用紙の幅方向に印字データの文字の天地が向くよう制御され、前記特定されたラベル長の台紙レスラベルを発行することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の台紙レスラベルプリンタ。
【請求項5】
台紙レスラベルプリンタに使用する台紙レスラベル用紙であって、長尺帯状の台紙レスラベル用紙がロール状に巻き取られ、且つ該用紙の長さ方向に連続してポップ印字領域が形成されていることを特徴とする台紙レスラベル用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−153073(P2012−153073A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15790(P2011−15790)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】