説明

合成枕木及び合成枕木の製造方法

【課題】耐久性、難燃性、及び防振性に優れた合成枕木及び合成枕木の製造方法を提供する。
【解決手段】レールを支持する合成枕木12は、主に、合成樹脂材料を発泡成形した発泡母材13aを有する合成枕木本体11と、この合成枕木本体11の表層に位置する無発泡樹脂材料によって構成される保護層13cとを有し、この保護層13c内には、補強材が設けられている。
そして、この保護層13c内の補強材として、不織布14及び、ガラスマット17が用いられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に鉄車輪支持式のリニアモーターカー等の鉄道に用いられて、特に耐久性、難燃性、及び防振性に優れた合成枕木及び合成枕木の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から鉄道に用いられる枕木の製造方法として、図5に示すような引き抜き成型機10が、知られている。
【0003】
このようなものでは、多数の長尺ガラス繊維1…が、長尺ガラス繊維供給部2から所定間隔に引き揃えられながら、一方方向に進行される。
【0004】
これらの長尺ガラス繊維1…は、進行途中で、ウレタン樹脂液含浸部3に設けられた揉み板4及び含浸板5との間に挿通される。
【0005】
このうち、前記揉み板4は、前記長尺ガラス繊維1…の進行方向とは直交する方向に往復運動可能に構成されている。
【0006】
また、前記長尺ガラス繊維供給部2と、前記ウレタン樹脂液含浸部3との間には、上方からウレタン樹脂液を散布する散布ノズル6aを有する散布器6が設けられている。
【0007】
この散布ノズル6aには、各移送ポンプ6b,6cを介して、ポリオール混合液を貯留する第一貯留6dと、ポリイソシアネート液を貯留する第二貯留6eとが各々接続されている。
【0008】
そして、前記移送ポンプ6b,6cの駆動により、前記ポリオール混合液及び、ポリイソシアネート液が、混合されてウレタン樹脂液7となり、進行途中で引き揃えられたガラス繊維1…群の上方から散布されるように構成されている。
【0009】
この際、発泡剤が混入されるか或いは、液体発泡剤噴霧器8により上面側の表層部に散布されることにより、所望の発泡度が、全体或いは、上面側の表層部に与えられた繊維樹脂強化品が、成型用通路9を構成するエンドレスベルト9a〜9dによって囲まれながら、断面形状を略四角形形状とするように成型されながら、硬化して引き出される。
【特許文献1】特許公開2001−252938号公報(0024段落乃至0041段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このように構成された前記従来の合成枕木では、製造コストを減少させるため、枕木として用いられる繊維樹脂強化品の全体に、所望の発泡度で、気泡が形成される発泡か、或いは、上面側の表層部に気泡を多数有する高発泡部分が設けられている。
【0011】
このため、この枕木が、鉄道用の軌道に敷設される際、軌道に敷き詰められるバラスト(砕石)側の表面が、バラストの突き固め状態が良好ではない部分と接触すると、列車通過時に、前記バラストに擦りつけられて、摩耗してしまうといった問題があった。
【0012】
また、この繊維樹脂強化品を、一定の長さで、切断して得られる枕木11全体を不燃化、難燃化するためには、枕木11全体に不燃材が万遍なく行き渡るように、ウレタン樹脂液7内に混入される分量を設定しなければならない。
【0013】
このため、枕木11の製造コストが増大してしまうといった問題もあった。
【0014】
更に、列車が通過する際の振動や、騒音を抑制するため、枕木11とは別途、制振装置或いは制振材を装着することも考えられている。
【0015】
しかしながら、このような別部材で構成された制振装置或いは制振材を設けるためには、敷設施工工数が増大してしまうといった問題があった。
【0016】
そこで、この発明は、耐久性、難燃性、及び防振性に優れた合成枕木及び合成枕木の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、レールを支持する合成枕木であって、前記合成枕木は、合成樹脂材料を発泡成形した発泡母材を有する合成枕木本体と、該合成枕木本体の表層に位置する無発泡樹脂材料からなる保護層とが設けられている合成枕木を特徴としている。
【0018】
ここで、無発泡硬質樹脂材料の特性として、静的バネ定数:5〜30MN/m(載荷面積100mm×100mm 測定荷重1〜5KN)、損失係数tanδ:0.10以上(at20℃)を示す樹脂材料が用いられる。
【0019】
また、請求項2に記載されたものは、前記保護層内には、補強材として、不織布,ガラスマット,若しくはガラスロービングのうち、少なくとも何れか一つが、該保護層を構成する樹脂材料を含浸させて設けられている請求項1記載の合成枕木を特徴としている。
【0020】
更に、請求項3に記載されたものは、前記不織布は、難燃性を有するカイノール繊維からなる請求項2記載の合成枕木を特徴としている。
【0021】
また、請求項4に記載されたものは、前記保護層内に、液体若しくは粉体の不燃材若しくは、難燃剤を混入して難燃層とする合成枕木を特徴としている。
【0022】
更に、請求項5に記載されたものは、前記合成枕木本体の表層に位置して、軟質樹脂材料若しくは、粘弾性を有する制振機能樹脂材料を有する制振層を設けた請求項1乃至4記載の合成枕木を特徴としている。
【0023】
そして、請求項6に記載されたものは、前記発泡母材を、引き抜き成型する際に、前記合成枕木本体の表層に、前記保護層若しくは制振層を一体に形成する合成枕木の製造方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
このように構成された請求項1記載のものは、前記合成枕木本体の表層には、無発泡樹脂材料からなる保護層が設けられているので、例えば、軌道に敷き詰められたバラストに擦りつけられても、前記合成枕木本体が摩耗する虞がない。
【0025】
このため、枕木として必要とされる一定の強度を、長期間に渡って保持できる。
【0026】
また、請求項2に記載されたものは、前記補強材として用いられる不織布,ガラスマット,若しくはガラスロービングは、前記保護層を形成する無発泡樹脂材料が、含浸されるので、別途、接着材や或いは、接着層を設けることなく、該無発泡樹脂材料と共に、前記合成枕木本体に一体化される。
【0027】
このため、更に、耐摩耗性が良好であると共に、保護層の厚み方向の寸法形状が安定して、各機能を安定させて発揮させることが出来る。
【0028】
更に、前記合成枕木本体の表層に、補強材が設けられた保護層が形成されているので、別途、保護層を敷設施工現場で設ける必要が無く、施工性も良好である。
【0029】
そして、請求項3に記載されたものは、前記不織布が、難燃性を有するカイノール繊維によって構成されているので、保護層に難燃性を付与することができる。
【0030】
また、請求項4に記載されたものは、前記枕木本体の表層に位置する保護層内に、液体若しくは粉体の不燃材若しくは、難燃剤が混入されて難燃層が形成されているので、外方からの熱や炎に対して、枕木本体を不燃若しくは難燃化できる。
【0031】
このため、枕木全体を不燃化する為に必要とされる不燃材若しくは、難燃剤の分量に比して、少量で所望の難燃性能を付与できるので、製造コストの増大が抑制される。
【0032】
更に、請求項5に記載されたものは、前記合成枕木本体の表層に、軟質樹脂材料若しくは、粘弾性を有する制振機能樹脂材料を有する制振層が設けられている。
【0033】
このため、列車通過時に前記レールを介して、枕木本体に伝達される衝撃が吸収されて、該枕木が敷設された地盤に対して、伝達される衝撃が緩和される。
【0034】
従って、別途、制振装置や制振材を設ける必要が無くなり、振動や騒音が抑制されるため、敷設施工コストの増大を抑制出来る。
【0035】
そして、請求項6に記載されたものは、前記合成枕木の製造工程で、前記発泡母材を、引き抜き成型する際に、前記合成枕木本体の表層に、前記保護層若しくは制振層が一体に形成される。
【0036】
このため、前記保護層若しくは制振層を別途、設ける必要が無くなり、レール敷設現場での施工工数を減少させて、敷設施工コストの増大を抑制出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、図1乃至図4に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の合成枕木について説明する。
【0038】
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0039】
まず、この実施の形態の合成枕木の引き抜き成型機20の構成から説明すると、この実施の形態の引き抜き成型機20では、図2に示すように、多数の長尺ガラス繊維1…を供給する長尺ガラス繊維供給部2と、揉み板4,4及び含浸板5を有するウレタン樹脂液含浸部3との間に、上方からウレタン樹脂液を散布する散布ノズル6aを有する散布器6が設けられている。
【0040】
この散布ノズル6aには、各移送ポンプ6b,6cを介して、ポリオール混合液を貯留する第一貯留6dと、ポリイソシアネート液を貯留する第二貯留6eとが各々接続されている。
【0041】
そして、前記移送ポンプ6b,6cの駆動により、前記ポリオール混合液及び、ポリイソシアネート液が、混合されてウレタン樹脂液7となり、進行途中で引き揃えられたガラス繊維1…群の上方から散布されるように構成されている。
【0042】
また、前記ウレタン樹脂液含浸部3内のウレタン樹脂液若しくは、この散布されるウレタン樹脂液7内には、発泡剤が混入されて、成型硬化時の合成枕木本体13の発泡母材13aの比重を約0.74程度とするように混合比が調整されている。
【0043】
所定間隔に引き揃えられながら、一方方向に進行される前記長尺ガラス繊維1…は、進行途中で、ウレタン樹脂液含浸部3に設けられた揉み板4及び含浸板5との間に挿通される。
【0044】
このうち、前記揉み板4は、前記長尺ガラス繊維1…の進行方向とは直交する方向に往復運動可能に構成されている。
【0045】
また、このウレタン樹脂液含浸部3と、前記成型用通路9との間には、合成枕木12のうち、合成枕木本体13の表層13bに位置する不織布14を送出する不織布供給ローラ15及び不織布押圧ローラ16が、回転可能に設けられている。
【0046】
更に、この不織布押圧ローラ16と、前記成型用通路9との間には、合成枕木12のうち、合成枕木本体13の表層13bに位置する不織布14の外側に、ガラスマット17を送出するガラスマット供給ローラ18及びガラスマット押圧ローラ19が、回転可能に設けられている。
【0047】
この不織布押圧ローラ16と、前記成型用通路9との間には、上方からウレタン樹脂液を散布する散布ノズル21aが設けられた硬質樹脂散布器21が設けられている。
【0048】
この散布ノズル21aには、各移送ポンプ21b,21cを介して、ポリオール混合液を貯留する第一貯留21dと、ポリイソシアネート液を貯留する第二貯留21eとが各々接続されている。
【0049】
そして、前記移送ポンプ21b,21cの駆動により、前記ポリオール混合液及び、ポリイソシアネート液が、混合されてウレタン樹脂液7となり、進行途中で引き揃えられたガラス繊維1…群及び前記不織布14,ガラスマット17の上方から散布されるように構成されている。
【0050】
この際、この散布ノズル21aから散布される前記ウレタン樹脂液7内には、発泡剤が、混入されないように構成されている。
【0051】
そして、上面側の表面に、無発泡硬質樹脂層を有する繊維樹脂強化品である合成枕木12が、成型用通路9を構成するエンドレスベルト9a〜9dによって囲まれながら、断面形状を略四角形形状とするように成型されて、硬化されて引き出されるように構成されている。
【0052】
次に、この実施の形態の作用効果について説明する。
【0053】
このように構成された実施の形態の合成枕木及び合成枕木の製造方法では、前記合成枕木の製造工程で、前記発泡母材13aが、引き抜き成型される際に、前記合成枕木本体13の表層に、前記保護層13cが一体に形成される。
【0054】
このため、前記保護層13cを別途、設ける必要が無くなり、レール敷設現場での施工工数を減少させて、敷設施工コストの増大を抑制出来る。
【実施例1】
【0055】
図1に示すこの実施の形態の実施例1の合成枕木では、表層13bの最外側面に、無発泡硬質樹脂材料からなる保護層13cが形成される。
【0056】
この保護層13c内には、前記補強材として用いられる不織布14及び、ガラスマット17が、この保護層13cを構成するウレタン樹脂液7が含浸されて、設けられている。
【0057】
このため、この保護層13cを、例えば、軌道に敷き詰められたバラスト側に向けて、敷設することにより、列車通過時に、前記バラストにこの保護層13cが擦りつけられて、前記合成枕木本体13が摩耗する虞がない。
【0058】
このため、合成枕木12として必要とされる一定の強度を、長期間に渡って保持できる。
【0059】
しかも、前記合成枕木本体13の表層13bに、不織布14及び、ガラスマット17が設けられた保護層13cが形成されているので、別途、保護層13cを敷設施工現場で設ける必要が無く、施工性も良好である。
【0060】
また、前記補強材として用いられる不織布14,ガラスマット17は、前記保護層13cを形成する無発泡硬質樹脂材料が、含浸されているので、別途、接着材や或いは、接着層を設けることなく、これらの無発泡硬質樹脂材料と共に、前記合成枕木本体13に一体化される。
【0061】
特に、この実施例1では、無発泡硬質樹脂材料として、前記長尺ガラス繊維1…が設けられた発泡母材13aを形成するポリウレタン系樹脂材料と、略同一材質のポリウレタン系樹脂材料が、表層13bを構成する樹脂として用いられている。
【0062】
このため、引き抜き成型時に、表層13bが、前記発泡母材13aと共に、強固に一体化されて、別途、接着材等を用いる必要も無く、施工作業性を良好なものとすることが出来ると共に、耐候性も良好である。
【0063】
しかも、前記補強材として不織布14,ガラスマット17が用いられているため、更に、耐摩耗性が良好であると共に、保護層13cの厚み方向の寸法形状が安定して、耐摩耗性や、後述する難燃性等の各機能を安定させて発揮させることが出来る。
【0064】
そして、この実施例1では、前記不織布14が、難燃性を有するカイノール繊維によって構成されている。
【0065】
このため、前記表層13bの無発泡樹脂によって構成される保護層13cに難燃性を付与することができる。
【0066】
従って、外方からの熱や炎に対して、枕木本体を不燃若しくは難燃化出来、枕木全体を不燃化する為に必要とされる不燃材若しくは、難燃剤の分量に比して、少量で所望の難燃性能を付与できるので、製造コストの増大が抑制される。
【実施例2】
【0067】
図3は、この発明の実施の形態の実施例2の合成枕木及び合成枕木の製造方法を示すものである。
【0068】
なお、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0069】
この実施例2の合成枕木22では、合成枕木本体23の表層23bが、無発泡硬質樹脂材料からなる保護層23cによって、主に構成されている。
【0070】
この保護層23cは、難燃性を液体若しくは粉体の不燃材若しくは、難燃剤24…が混入されていて、難燃層としての機能を発揮できるように構成されている。
【0071】
次に、この実施例2の合成枕木22の作用効果について説明する。
【0072】
この実施例2の合成枕木22では、実施の形態及び実施例1の作用効果に加えて、更に、前記図2に示すような合成枕木の引き抜き成型機20を用いて、前記移送ポンプ6b,6cの駆動で前記ポリオール混合液及び、ポリイソシアネート液を混合して、ウレタン樹脂液7からなる表層23bを構成する際、前記難燃剤24…を混入することにより、容易に、保護層23cに難燃性を与えて、難燃層とすることが出来る。
【0073】
このように構成された合成枕木22では、前記枕木本体23の表層に位置する保護層23c内に、液体若しくは粉体の不燃材若しくは、難燃剤が混入されて難燃層が形成されているので、外方からの熱や炎に対して、枕木本体23を不燃若しくは難燃化できる。
【0074】
このため、枕木本体23全体を不燃化する為に必要とされる不燃材若しくは、難燃剤の分量に比して、少量で所望の難燃性能を付与できるので、製造コストの増大が抑制される。
【0075】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0076】
図4は、この発明の実施の形態の実施例3の合成枕木を示すものである。
【0077】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0078】
この実施例3の合成枕木32では、合成枕木本体33の表層33bに、制振層33cが設けられている。
【0079】
この制振層33cは、軟質樹脂材料若しくは、粘弾性を有する制振機能樹脂材料としてのシリコンゴム若しくは、ブチルゴム等の合成ゴム材料を設けることにより、主に構成されている。
【0080】
次に、この実施例3の合成枕木の作用効果について説明する。
【0081】
この実施例3の合成枕木32では、前記実施の形態及び実施例1,2の作用効果に加えて、更に、前記合成枕木本体33の表層33bに、軟質樹脂材料若しくは、粘弾性を有する制振機能樹脂材料を有する制振層33cが設けられている。
【0082】
このため、列車通過時に前記レールを介して、合成枕木本体33に伝達される衝撃が吸収されて、この枕木32が敷設された地盤に対して、伝達される衝撃が緩和される。
【0083】
従って、別途、制振装置や制振材を設ける必要が無くなり、振動や騒音が抑制されるため、敷設施工コストの増大を抑制出来る。
【0084】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一であるので、説明を省略する。
【0085】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0086】
即ち、前記実施の形態及び実施例1では、前記合成枕木本体13の表層に、不織布14及び、ガラスマット17が設けられた保護層13cが形成されているが、特にこれに限らず、例えば、前記補強材として、不織布,ガラスマット,若しくはガラスロービングのうち、少なくとも何れか一つを用いるものであれば、どのような組み合わせであってもよい。
【0087】
また、前記実施例1では、不織布として難燃性を有するカイノール繊維からなるものを用いて難燃性を、前記保護層13cに与えているが、特にこれに限らず、例えば、保護層13cを構成する樹脂を、フェノール樹脂やイソシアヌレート樹脂(ウレタンの変性樹脂)等の難燃性を有するものとしてもよい。
【0088】
この場合、カイノール樹脂に、前記フェノール樹脂やイソシアヌレート樹脂(ウレタンの変性樹脂)等の難燃性を有する樹脂を含浸させて、保護層を構成すれば、更に、良好な難燃性を得られる。
【0089】
また、前記実施の形態では、引き抜き成型機20として、発泡母材13aの一側面に、表層13bを一体成型するものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、上,下両面や或いは、三面若しくは四面全てに、各々補強材を設けた表層13b…を一体に設けるものであってもよい。
【0090】
更に、前記各実施例1,2では、保護層13c,23cを構成する無発泡樹脂材料として、無発泡硬質樹脂材料であるポリウレタン系樹脂材料が用いられているが、特にこれに限らず、無発泡樹脂材料であれば、例えば、発泡母材13aの発泡率に比して低い発泡率の微発泡を有する樹脂材料で構成されるものや、或いは、他の樹脂材料で構成される等、耐摩耗性を発揮できるものであれば、硬質樹脂材料でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木を示し、母材に一体に設けられた表層の構成を説明する縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の合成枕木の製造方法に用いられる引き抜き製造機を示し、全体の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の実施例2の合成枕木を示し、母材に一体に設けられた表層の構成を説明する縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の実施例3の合成枕木を示し、母材に一体に設けられた表層の構成を説明する縦断面図である。
【図5】従来例の合成枕木の製造装置を示し、全体の構成を説明する模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
12,22,32 合成枕木
13,23,33 合成枕木本体
13a 発泡母材
13b,23b,33b
表層
13c,23c 保護層
14 不織布
17 ガラスマット
24 難燃剤
33c 制振層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを支持する合成枕木であって、
前記合成枕木は、合成樹脂材料を発泡成形した発泡母材を有する合成枕木本体と、該合成枕木本体の表層に位置する無発泡樹脂材料からなる保護層とが設けられていることを特徴とする合成枕木。
【請求項2】
前記保護層内には、補強材として、不織布,ガラスマット,若しくはガラスロービングのうち、少なくとも何れか一つが、該保護層を構成する樹脂材料を含浸させて設けられていることを特徴とする請求項1記載の合成枕木。
【請求項3】
前記不織布は、難燃性を有するカイノール繊維からなることを特徴とする請求項2記載の合成枕木。
【請求項4】
前記保護層内に、液体若しくは粉体の不燃材若しくは、難燃剤を混入して難燃層とすることを特徴とする合成枕木。
【請求項5】
前記合成枕木本体の表層に位置して、軟質樹脂材料若しくは、粘弾性を有する制振機能樹脂材料を有する制振層を設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載の合成枕木。
【請求項6】
前記発泡母材を、引き抜き成型する際に、前記合成枕木本体の表層に、前記保護層若しくは制振層を一体に形成することを特徴とする合成枕木の製造方法。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−262863(P2007−262863A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93319(P2006−93319)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】