合成樹脂組立品の製造方法
【課題】 2つの合成樹脂部品を溶着した後に簡便且つ確実な方法により溶着度を判定して、溶着度に関する検査工数を低減するとともに溶着不良の合成樹脂組立品を確実に排除すること。
【解決手段】 インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製のバッファタンクに、頂部25a,26aの位置がバッファタンクの丘部20とフィルム22との溶着面20aよりも低く且つ頂部25a,26aの位置が互いに異なる2つの凸部25,26を形成し、丘部20の溶着面20aにフィルム22を溶着してから、2つの凸部25,26の各々について、その頂部25a,26aがフィルム22と溶着したか否かに基づいてバッファタンクとフィルム22との溶着度を判定する。
【解決手段】 インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製のバッファタンクに、頂部25a,26aの位置がバッファタンクの丘部20とフィルム22との溶着面20aよりも低く且つ頂部25a,26aの位置が互いに異なる2つの凸部25,26を形成し、丘部20の溶着面20aにフィルム22を溶着してから、2つの凸部25,26の各々について、その頂部25a,26aがフィルム22と溶着したか否かに基づいてバッファタンクとフィルム22との溶着度を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの合成樹脂部品を互いに溶着して合成樹脂組立品を構成する場合の、それら2つの合成樹脂部品の溶着度を確認する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能なインクカートリッジ等、複数の合成樹脂製の部品で構成される合成樹脂組立品においては、合成樹脂製の構成部品が熱溶着や超音波溶着等の種々の溶着方法により互いに溶着されて、合成樹脂組立品が組み立てられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。ここで、互いに溶着される2つの合成樹脂部品の溶着量が不足したり、逆に溶着量が多すぎると、シール性が要求される溶着部におけるシール性が十分確保できなかったり、溶着部における強度が不足してしまう虞があるため、従来では、2つの合成樹脂部品を溶着した後にそのシール性や強度等を検査していた。すなわち、正圧又は負圧の空気圧による全数リーク検査を行って溶着部のシール性を確認したり、あるいは、定期的に破壊検査を行って溶着部の強度を確認する等の検査方法がとられていた。
【特許文献1】特開2000−43285号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述のようなリーク検査や破壊検査等を、全ての合成樹脂組立品に対して行うと多大な手間と時間が必要となり、検査工数が増大する。しかし、これらの検査を抜き取りで行うとすると、溶着不良の合成樹脂組立品が検査で見逃されてそのまま出荷されてしまう虞がある。
【0004】
本発明の目的は、2つの合成樹脂部品を溶着した後に簡便且つ確実な方法により溶着度を判定して、溶着度に関する検査工数を低減するとともに溶着不良の合成樹脂組立品を確実に排除することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
第1の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、互いに溶着される2つの合成樹脂部品を含む合成樹脂組立品の製造方法であって、前記2つの合成樹脂部品の何れか一方に、その溶着面より低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する工程と、前記2つの合成樹脂部品を溶着する工程と、一方の合成樹脂部品に形成された複数の溶着度確認部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かに基づいて、2つの合成樹脂部品の溶着度を判定する工程とを有することを特徴とするものである。
【0006】
この合成樹脂組立品の製造方法においては、まず、合成樹脂組立品の構成部品である2つの合成樹脂部品を溶着する前に、これら2つの合成樹脂部品の何れか一方に、溶着面よりも低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する。次に、これら2つの合成樹脂部品を前記溶着面において溶着する。ここで、一方の合成樹脂部品に形成された複数の溶着度確認部は、溶着面からの離隔距離が互いに異なるように構成されているため、溶着面における溶着の度合い(溶着量)によって複数の溶着度確認部が他方の合成樹脂部品と溶着するか否かが変わる。そこで、これら複数の溶着度確認部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かを目視等で確認して、その溶着状態に基づいて2つの合成樹脂部品の溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。
【0007】
第2の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1の発明において、前記一方の合成樹脂部品に形成される前記複数の溶着度確認部の個数は2つであり、前記溶着度を判定する工程において、前記溶着面からの離隔距離が小さい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着し、且つ、前記離隔距離が大きい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着していない場合に、溶着度が正常であると判定することを特徴とするものである。このように、溶着面からの離隔距離が小さい方の溶着度確認部が他方の合成樹脂部品と溶着し、且つ、離隔距離が大きい方の溶着度確認部が他方の合成樹脂部品と溶着していない場合にのみ溶着度が正常であると判定し、それ以外の場合には溶着度が不良(溶着不足又は過溶着)であると判定することで、2つの合成樹脂部品の溶着度を容易に確認することができる。
【0008】
第3の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記一方の合成樹脂部品に、前記溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる複数の凹部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凹部の底部で構成することを特徴とするものである。従って、溶着面からの離隔距離が互いに異なる複数の凹部の底部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かを目視等で確認して、その溶着状態に基づいて2つの合成樹脂部品の溶着量が適切かどうかを容易に判定することができる。
【0009】
第4の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記一方の合成樹脂部品に、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる複数の凸部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凸部の頂部で構成することを特徴とするものである。従って、位置が互いに異なる複数の凸部の頂部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かを目視等で確認して、その溶着状態に基づいて2つの合成樹脂部品の溶着量が適切かどうかを容易に判定することができる。
【0010】
第5の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記2つの合成樹脂部品は、インクカートリッジを構成する部品であることを特徴とするものである。従って、インクカートリッジを構成する2つの合成樹脂部品の溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。
【0011】
第6の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第5の発明において、前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能なカートリッジ本体と、このカートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する連通部形成部材であることを特徴とするものである。従って、複数の溶着度確認部の溶着状態に基づいてカートリッジ本体と連通部形成部材の溶着度を容易且つ確実に判定できる。従って、溶着部における溶着不良によりシール性や強度が不足したり、過溶着により過度に溶解した合成樹脂が溶着部からはみ出したりした、溶着不良のインクカートリッジを確実に排除できる。
【0012】
第7の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1、第2又は第4の発明において、前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な容器と、この容器に溶着されるフィルムであることを特徴とするものである。従って、容器とフィルムとの溶着度を容易に判定でき、フィルムとの溶着が不良である容器を確実に排除することができる。ここで、この容器としては、インクを貯留可能なものであればその種類は特に限定されない。例えば、インクジェットヘッドに装着されるインクカートリッジのカートリッジ本体や、インクジェットプリンタに設けられたインクタンク等にこの第7の発明を適用することが可能である。
【0013】
第8の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第7の発明において、前記フィルムは、透視可能なフィルムであることを特徴とするものである。フィルムが透視性であるため、複数の凸部の頂部とフィルムとが溶着したか否かを溶着されたフィルムの表面から目視により容易に確認することができる。
【0014】
第9の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第8の発明において、前記フィルムには、シボ加工が施されていることを特徴とするものである。透視性のフィルムにシボ加工が施されているため、凸部の頂部とフィルムとが溶着していない場合には、フィルムの表面側から目視したときに、フィルムと密着していない頂部はぼやけて見えるが、頂部とフィルムが溶着している場合には、その溶着箇所がくっきりと際だって見えるため、複数の凸部の頂部とフィルムとが溶着したか否かをフィルム表面からの目視により容易に確認することができる。
【0015】
第10の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第7〜第9の何れかの発明において、前記容器は、この容器の外面から突出した前記複数の凸部と、同じく前記外面から前記複数の凸部よりも隆起した丘部とを有し、前記丘部の表面部には、一端が容器内に大気を導入させる為の大気導入口に連通し他端が容器の外部と連通した溝部が形成され、前記フィルムは、前記溝部と前記複数の凸部とを覆うように前記丘部の表面に溶着され、前記溝部と前記フィルムとにより、容器内に大気を導入する大気導入路が構成されることを特徴とするものである。
【0016】
容器の表面にフィルムを溶着したときに、丘部に形成された溝部を覆うようにフィルムが溶着されて、これら溝部とフィルムとにより大気導入路が構成される。ここで、フィルムの溶着量が不足していると、大気導入路のシール性が不良となり大気導入路からエア抜けが生じてしまう。一方、フィルムの溶着量が多すぎると、溶着の際に溶解した合成樹脂により溝部が埋まり、大気導入路が塞がってしまう。そこで、頂部の位置が互いに異なり且つ頂部の位置が丘部の表面よりも低くなるように複数の凸部を設けることで、位置の異なる複数の凸部の頂部の各々がフィルムと溶着したか否かに基づいて、フィルムの溶着度を容易に確認することができる。
【0017】
第11の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材を備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する工程と、前記カートリッジ本体と連通部形成部材とを溶着する工程と、前記連通部形成部材に形成された前記2つの凹部の各々について、その底部がカートリッジ本体と溶着したか否かに基づいて、前記カートリッジ本体と前記連通部形成部材との溶着度を判定する工程とを有することを特徴とするものである。
【0018】
従って、連通部形成部材に形成された2つの凹部の各々について、その底部がカートリッジ本体と溶着したか否かを目視等により確認し、その確認結果に基づいてその溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。そのため、溶着不良のインクカートリッジを容易に排除でき、溶着不良により溶着部におけるシール性や強度が不足したり、過溶着の場合に過度に溶解した合成樹脂が溶着部からはみ出したりするのを防止できる。
【0019】
第12の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する工程と、前記容器に前記フィルムを溶着する工程と、前記2つの凸部の各々について、その頂部が前記フィルムと溶着したか否かに基づいて、前記容器と前記フィルムとの溶着度を判定する工程と有することを特徴とするものである。従って、容器に形成された2つの凸部の各々について、その頂部がフィルムと溶着したか否かを目視等により容易に確認でき、その確認結果に基づいて溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。
【0020】
第13の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する第1工程と、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態となるように、カートリッジ本体と連通部形成部材と溶着する第2工程とを有することを特徴とするものである。
【0021】
この合成樹脂組立品の製造方法においては、まず、第1工程において、カートリッジ本体と連通部形成部材とを溶着する前に、連通部形成部材に、溶着面よりも低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する。ここで、2つの凹部の底部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の底部がカートリッジ本体と溶着し且つ溶着面からの離隔距離が大きい方の底部がカートリッジ本体と溶着しない状態である場合に、その溶着度が良好となるように、溶着面から2つの凹部の底部までの離隔距離を設定しておく。次に、第2工程において、これらカートリッジ本体と連通部形成部材とを前記溶着面において溶着するが、ここで、溶着温度や溶着時間等の種々の溶着条件を適切な条件に設定することにより、2つの凹部の底部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の底部がカートリッジ本体と溶着し、一方、溶着面からの離隔距離が大きい方の底部はカートリッジ本体と溶着しないようにして、カートリッジ本体と連通部形成部材とを良好に溶着させる。
【0022】
第14の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第13の発明において、前記第2工程の後に、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とするものである。従って、カートリッジ本体と連通部形成部材との溶着後にその実際の溶着度を確認するため、溶着不良の製品を確実に排除することができる。
【0023】
第15の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する第1工程と、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していない状態となるように、前記容器に前記フィルムを溶着する第2工程とを有することを特徴とするものである。
【0024】
この合成樹脂組立品の製造方法においては、まず、第1工程において、容器にフィルムを溶着する前に、容器に、溶着面よりも低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する。ここで、2つの凸部の頂部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部がフィルムと溶着し且つ溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部がフィルムと溶着しない状態である場合に、その溶着度が良好となるように、2つの凸部の頂部までの位置(溶着面からの離隔距離)を設定しておく。次に、第2工程において、容器にフィルムを溶着するが、ここで、溶着温度や溶着時間等の種々の溶着条件を適切な条件に設定することにより、2つの凸部の頂部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部がフィルムと溶着し、一方、溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部はフィルムと溶着しないようにして、容器とフィルムとを良好に溶着させる。
【0025】
第16の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第15の発明において、前記第2工程の後に、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着してしない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とするものである。従って、フィルムを容器に溶着した後にその実際の溶着度を確認するため、溶着不良の製品を確実に排除することができる。
【0026】
第17の発明の合成樹脂部品は、溶着面よりも低く且つこの溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部が形成され、前記溶着面において他の合成樹脂部品と溶着された場合に、前記複数の溶着度確認部の各々が前記他の合成樹脂部品と溶着されたか否かの状態により、その溶着度が判定されるように構成されたことを特徴とするものである。従って、この合成樹脂部品の溶着面に他の合成樹脂部品を溶着したときに、その溶着度が適切かどうかを確認するのが容易になる。
【0027】
第18の発明の合成樹脂組立品は、前記第17の発明の合成樹脂部品に他の合成樹脂部品が溶着されて構成された合成樹脂組立品であって、前記複数の溶着度確認部のうち、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着しており、且つ、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着していないことを特徴とするものである。従って、合成樹脂組立品を構成する2つの合成樹脂部品の溶着度が適切であることを目視等により容易に確認することができる。
【0028】
第19の発明の合成樹脂組立品は、インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品であって、前記連通部形成部材は、前記カートリッジ本体と溶着される溶着面と、この溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部とを有し、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していないことを特徴とするものである。従って、カートリッジ本体と連通部形成部材との溶着度が適切であることを目視等により容易に確認することができる。
【0029】
第20の発明の合成樹脂組立品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器と、この容器に溶着された合成樹脂製のフィルムとを有する合成樹脂組立品であって、前記容器は、前記フィルムと溶着される溶着面と、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を有し、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していないことを特徴とするものである。従って、容器に溶着されたフィルムの溶着度が適切であることを目視等により容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は、インクカートリッジ及びこのインクカートリッジが装着されるインクジェットプリンタに本発明を適用したものである。
【0031】
まず、インクカートリッジ3が装着されるインクジェットプリンタ1について説明する。
【0032】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、記録用紙Pに向けてインクIを吐出するノズル2aを備えたインクジェットヘッド2と、このインクジェットヘッド2に供給チューブ8を介して接続され、その上方に装着されるインクカートリッジ3から流入するインクIを保持するバッファタンク4と、インクジェットヘッド2を一方向に直線的に往復移動させるキャリッジ5と、記録用紙Pを搬送する搬送機構6と、インクジェットヘッド2内のエアや高粘度化したインクIを吸引するパージ装置7等を備えている。
【0033】
このインクジェットプリンタ1においては、インクカートリッジ3が装着されたバッファタンク4から供給チューブ8を介してインクジェットヘッド2のノズル2aにインクIが供給され、インクジェットヘッド2がキャリッジ5により図1の紙面垂直方向に往復駆動されつつ、搬送機構6により図1の左右方向に搬送される記録用紙Pに向けてノズル2aからインクIが吐出されて、記録用紙Pが印刷される。尚、ノズル2aからインクIが吐出されていない状態で、ノズル2aからインクIが漏れるのを防止するために、ノズル2aは、バッファタンク4内のインクIの液面よりも高い位置に配置されている。
【0034】
また、パージ装置7は、インク吐出面に対して接近/離隔する方向に移動可能で且つインクジェットヘッド2にインク吐出面を覆うように装着可能なパージキャップ10と、ノズル2aからインクIを吸引する吸引ポンプ11を備えている。そして、インクジェットヘッド2が記録用紙Pに印刷可能な印刷範囲外にあるときには、吸引ポンプ11により、インクジェットヘッド2内に混入したエアや水分が蒸発して高粘度化したインクIをノズル2aから吸引することが可能である。
【0035】
バッファタンク4は、その内部に保持するインクIの液面を一定に保つことにより、ノズル2aに作用する背圧の変動を抑制する為のものであり、図1に示すように、バッファタンク4の上方にインクカートリッジ3が装着されて、このインクカートリッジ3内のインクIがバッファタンク4内に流入するように構成されている。バッファタンク4は、インクIを貯留するタンク本体30と、このタンク本体30の上方を覆う天板部31とを備えており、これらタンク本体30と天板部31は夫々合成樹脂で形成されている。また、バッファタンク4には、バッファタンク4内に大気を導入する大気導入口32が形成されている。タンク本体30の底部には、供給チューブ8が接続されてノズル2aにインクIを流出させる為のインク流出口33も形成されている。
【0036】
また、バッファタンク4の天板部31には、インクカートリッジ3内のインクIをバッファタンク4へ流入させるインク流入管36と、インクカートリッジ3へ大気を流出させる大気流出管38とが、上下貫通状に設けられている。
【0037】
インク流入管36と大気流出管38は、先の尖った金属製の中空の針状部材で構成されており、インク流入管36と大気流出管38の先端部には、夫々開口36a,38aが形成されている。また、インク流入管36は、大気流出管38よりも下方へ延びている。
【0038】
そして、インクカートリッジ3の2つの栓部材24にインク流入管36及び大気流出管38を貫通させて、インクカートリッジ3をバッファタンク4の上側に装着したときには、大気流出管38を介してバッファタンク4内の大気がインクカートリッジ3へ流出し、大気と入れ替わりに、インク流入管36を介してインクカートリッジ3内のインクIがバッファタンク4へ流入する。ここで、図1に示すように、バッファタンク4内のインクIの液面が大気流出管38の下端付近まで上昇すると、大気が大気流出管38からインクカートリッジ3へ流出しなくなるため、インクカートリッジ3内のインクIもバッファタンク4内に流入しなくなる。
【0039】
その状態で、インクジェットヘッド2においてノズル2aからインクIが吐出されると、バッファタンク4内のインクIがインクジェットヘッド2に供給されるため、バッファタンク4内のインクIの液面が低下して大気流出管38の下端からインクIの液面が離れる。すると、大気流出管38の下端から大気流出管38内に大気が流れ込むようになり、バッファタンク4内の大気がインクカートリッジ3へ流出し、同時にインク流入管36を介してバッファタンク4へインクIが流入する。
【0040】
ところで、図2、図3に示すように、バッファタンク4の天板部31に形成された大気導入口32の周辺部分には、天板部31の外面から部分的に隆起した丘部20が形成されている。この丘部20の表面部にはバッファタンク4の外面に平行な水平面(溶着面20a)が形成されている。そして、この丘部20の表面部には、一端が大気導入口32に連通し他端がバッファタンク4の外部と連通した長い溝部21(ラビリンス)が、曲がりくねった迷路状に形成されている。
【0041】
そして、図4(a),(b)に示すように、溝部21を覆うように、透視可能な合成樹脂製のフィルム22が丘部20の溶着面20aに熱溶着により溶着され、溝部21とフィルム22とによりバッファタンク4内に大気を導入する大気導入路23が構成される。この大気導入路23は、バッファタンク4の大気導入口32に大気を供給する流路であるとともに、その複雑且つ長い流路形状により、バッファタンク4内に塵等が入り込むのを防止し、さらに、バッファタンク4内のインクI中の水分が蒸発してインクIが高粘度化するのを抑える役割を果たしている。尚、フィルム22にはシボ加工が施されており、このフィルム22が密着していないバッファタンク4の部分がフィルム22を介してややぼやけて見えるようになっている。
【0042】
ここで、合成樹脂製のフィルム22を溶着面20aに溶着する際に、その溶着量が不足していると、溶着面20aにおいてフィルム22が十分に溶着されない部分ができ、その部分で大気導入路23が短絡した状態となってエア抜けが生じ、塵等の侵入やインクの水分蒸発を防止するために必要な大気導入路23の長さを十分に確保できない(図6(a),(b)参照)。一方、フィルム22の溶着量が多すぎると、溝部21の内部に溶融した合成樹脂が流れ込み、溝部21が部分的に埋まって大気導入路23が閉塞されてしまう(図7(a),(b)参照)。
【0043】
そこで、丘部20の近傍に、頂部25a,26aの位置がバッファタンク4とフィルム22との溶着面20aよりも低く且つ頂部25a,26aの高さが互いに異なる2つの円柱状の凸部25,26を形成する。これら2つの凸部25,26の頂部25a,26aは水平面状に形成されている。ここで、これら2つの凸部25,26の頂部25a,26aの位置は、溶着面20aに近い(溶着面20aからの離隔距離が小さい)方の凸部25の頂部25aがフィルム22と溶着しており、且つ、溶着面20aから離れている(溶着面20aからの離隔距離が大きい)方の凸部26の頂部26aがフィルム22と溶着していない状態で、フィルム22の溶着度が良好になるように設定されている。
【0044】
次に、バッファタンク4を組み立てる製造工程について説明する。まず、上述の構成を備えたバッファタンク4とフィルム22とを形成し(第1工程)、次に、バッファタンク4に、丘部20及び2つの凸部25,26を覆うようにフィルム22を溶着するが、このとき、溶着面20aから近い方の頂部25aがフィルム22と溶着しており、且つ、溶着面20aからの離れている方の頂部26aがフィルム22と溶着していない状態になるように、溶着温度や溶着時間等の溶着条件を適切な条件に設定してフィルム22を溶着する(第2工程)。
【0045】
このようにしてフィルム22をバッファタンク4に溶着した後に、実際の溶着度を確認するために、2つの凸部25,26の頂部25a,26aがフィルム22と溶着されたか否かをフィルム22の表面からの目視により確認し、その結果に応じて溶着度を判定する(第3工程)。即ち、図5(a),(b)に示すように、溶着面20aから近い方の凸部25の頂部25aがフィルム22と溶着しており、且つ、溶着面20aからの離れている方の凸部26の頂部26aがフィルム22と溶着していないときには、溶着度が正常であると判定する。一方、図6(a),(b)に示すように、2つの凸部25,26の頂部25a,26aがともにフィルム22と溶着していない場合には溶着不足であると判定し、図7(a),(b)に示すように、2つの凸部25,26の頂部25a,26aがともにフィルム22と溶着してしまっている場合には過溶着であると判定して、このような溶着不良のバッファタンク4を排除する。
【0046】
ここで、フィルム22は透視可能であるため、頂部25a,26aにフィルム22が溶着したか否かをフィルム22の表面からの目視により容易に確認できる。即ち、図5〜図7に示すように、頂部25a,26aにフィルム22が溶着している場合には、円形の頂部25a,26aの形状が変化しているが、溶着していない場合には頂部の形状は円形のままであり、このような頂部25a,26aの形状変化を表面から容易に確認できる。さらに、フィルム22にはシボ加工が施されているため、凸部25,26の頂部25a,26aにフィルム22が溶着していない状態では、フィルム22を介して頂部25a,26aがぼやけて見えるが、頂部25a,26aにフィルム22が溶着すると頂部25a,26aがはっきり見えるようになり、頂部25a,26aが溶着しているか否かをさらに容易に確認することができる。
【0047】
次に、インクカートリッジ3について説明する。
【0048】
図1、図8に示すように、インクカートリッジ3は、インクIを貯留可能なカートリッジ本体40と、このカートリッジ本体40に溶着され、カートリッジ本体40の内部と外部とを連通させる連通孔(連通部)を形成する連通部形成部材41と、カートリッジ本体40の下部を覆う蓋部材42とを備えている。
【0049】
カートリッジ本体40は、合成樹脂製の直方体状のケースである。このカートリッジ本体40には上下方向に延びる4本のリブ45が設けられている。これら4本のリブ45は、カートリッジ本体40内にインクIを注入した後に脱気のためにカートリッジ本体40内を負圧にしたときに、その負圧状態におけるカートリッジ本体40の強度を確保する為のものである。カートリッジ本体40の下端部にはフランジ部46が設けられ、このフランジ部46には、カートリッジ本体40に連通部形成部材41を装着する為の2つの装着孔47が形成されている。
【0050】
図9(a),(b)に示すように、連通部形成部材41は、基部50とこの基部50から上方へ延びる2つの筒部51を合成樹脂により一体形成したものである。基部50は、平面視で略楕円形状に形成されている。この基部50の内側にはカートリッジ本体40の内部と外部とを連通させる2つの連通孔52が形成されており、これら2つの連通孔52にはインク漏れを防止する為の弾力性を有する(例えば、ゴム製の)2つの栓部材24が圧入されている。そして、インクカートリッジ3をバッファタンク4の上側に装着したときには、2つの栓部材24を中空針状のインク流入管36及び大気流出管38の先端部が夫々貫通するようになっている。図9、図10に示すように、基部50の上端部には、2つの筒部51を夫々取り囲む2つの環状突起部55と、図9の左右に延びてこれら2つの環状突起部55をつなぐ連結突起部56とが、上方突出状に形成されている。
【0051】
2つの筒部51は、カートリッジ本体40に形成された2つの装着孔47に夫々挿通される。これら2つの筒部51の側面部には筒部51の長手方向に延びるスリット51aが夫々形成されている。このスリット51aは、カートリッジ本体40内のインクIを最後まで使い切るために、カートリッジ本体40内に残留するインクIを筒部51内に流入させるものである。
【0052】
そして、連通部形成部材41がカートリッジ本体40の下端部に取り付けられた状態で、蓋部材42がカートリッジ本体40の下部に超音波溶着等により接合される。
【0053】
ここで、連通部形成部材41は、2つの筒部51が2つの装着孔47に挿通された状態で、基部50の環状突起部55と連結突起部56の上端の溶着面55a,56aがフランジ部46の下端面に超音波溶着等の溶着方法により溶着される。ここで、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着量が不足していると、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との間のシール性が確保されず、インク漏れが発生したり、あるいは、溶着部における強度が不足する虞がある。一方、カートリッジ本体40と連通部形成部材41の溶着量が多すぎると、インクカートリッジ3の高さ方向の寸法誤差が大きくなって、例えば、インクカートリッジ3をバッファタンク4に対して正しい位置に装着することができなくなる虞がある。あるいは、過溶着により余分に溶解した合成樹脂が溶着部からはみ出して、連通部形成部材41がカートリッジ本体40の装着孔47に正しく嵌合されない虞もある。
【0054】
そこで、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着度を確認するための溶着度確認部として、基部50の連結突起部56に、図10(b)の紙面垂直方向に延び溶着面56aから底部60a,61aまでの離隔距離が互いに異なる2つの溝状の凹部60,61を形成する。これら2つの溝状の凹部60,61の図10(b)の紙面垂直方向の両端部が開放しており、凹部60,61の底部60a,61aの溶着状態を目視で確認できるようになっている。ここで、これら2つの凹部60,61の底部60a,61aの位置は、溶着面56aに近い(溶着面56aからの離隔距離が小さい)方の凹部60の底部60aがカートリッジ本体40と溶着しており、且つ、溶着面56aから離れている(溶着面56aからの離隔距離が大きい)方の凹部61の底部61aがカートリッジ本体40と溶着していない状態である場合に、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着度が良好になるように設定されている。
【0055】
次に、インクカートリッジ3を組み立てる製造工程について説明する。まず、上述の構成を備えたカートリッジ本体40と連通部形成部材91とを形成する(第1工程)。次に、溶着面56aから近い方の底部60aがカートリッジ本体40のフランジ部46と溶着し、且つ、溶着面56aから離れている方の底部61aがフランジ部46と溶着しない状態となるように、溶着時間等の溶着条件を適切な条件に設定して、カートリッジ本体40と連通部形成部材41とを溶着する(第2工程)。
【0056】
そして、連通部形成部材41の基部50をフランジ部46に溶着させた後に、実際の溶着度を確認するために、2つの凹部60,61の底部60a,61aがカートリッジ本体40のフランジ部46の下端面と溶着されたか否かを側方(図10(b)の紙面垂直方向)から目視により確認し、その結果に応じて溶着度を判定する(第3工程)。即ち、図11(a)に示すように、溶着面56aから近い方の凹部60の底部60aがフランジ部46に溶着し、且つ、溶着面56aから離れている方の凹部61の底部61aがフランジ部46に溶着していないときには、溶着度が正常であると判定する。一方、図11(b)に示すように、2つの凹部60,61の底部60a,61aがともにフランジ部46に溶着していないときには溶着不足と判定し、図11(c)に示すように、2つの凹部60,61の底部60a,61aがともにフランジ部46に溶着してしまっている場合には過溶着と判定して、このような溶着不良のインクカートリッジ3を出荷前に排除することができる。
【0057】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0058】
1]前記実施形態においては、バッファタンク4にフィルム22を溶着する際に一方の頂部25aがフィルム22に溶着され、他方の頂部26aがフィルム22に溶着しない状態になるように、溶着時間等の溶着条件を適切な条件に設定しているが、特に溶着条件を設定せずにフィルム22をバッファタンク4に溶着させてから、2つの頂部25a,26aがフィルム22に溶着したか否かを確認することにより溶着度が良好であるか判定するようにしてもよい。また、インクカートリッジ3のカートリッジ本体40に連通部形成部材41を溶着する際も同様に、特に溶着条件を設定せずに溶着させてから、2つの凹部60,61の底部60a,61aがカートリッジ本体40に溶着したか否かを確認することにより溶着度が良好であるかを判定するようにしてもよい。
【0059】
2]前記実施形態においては、バッファタンク4にフィルム22を溶着させてから(第2工程)、2つの頂部25a,26aがフィルム22に溶着したか否かを確認することにより溶着度を判定しているが(第3工程)、この判定工程は、フィルム22が溶着されたバッファタンク4の全てに対して行う必要はなく、任意の割合で抜き出した一部のバッファタンク4に対してのみ行うようにしてもよい。尚、この場合には、歩留まりを低下させないために、上述した溶着条件の適切な設定は必ず行わなければならない。同様に、インクカートリッジ3のカートリッジ本体40に連通部形成部材41を溶着する場合も、一部のインクカートリッジ3に対してのみ溶着度を判定するようにしてもよい。
【0060】
3]バッファタンク4とフィルム22との溶着度を確認する為の凸部の数は2つに限られるものではなく、3つ以上の複数の凸部をバッファタンク4に形成して、それら複数の凸部の頂部がフィルム22と溶着したか否かに基づいて、溶着度を判定するようにしてもよい。同様に、インクカートリッジ3のカートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着度を確認する為の凹部の数も2つに限られるものではなく、3つ以上の複数の凹部を連通部形成部材に形成してもよい。さらに、これら複数の凹部をカートリッジ本体40側に形成してもよい。
【0061】
4]バッファタンク4に溶着されるフィルム22は、透視可能なものに限られず、透視することが不可能なフィルムを使用してもよい。但し、この場合には、バッファタンク4の横から目視することにより、2つの凸部25,26にフィルム22が溶着したか否かを確認することになる。
【0062】
5]前記実施形態のインクジェットプリンタ1はインクIを貯留可能なバッファタンク4を有し、このバッファタンク4にフィルム22が溶着されて大気導入路23が形成されているが、バッファタンクを有しないインクジェットプリンタにも本発明を適用可能である。例えば、インクIを貯留可能なインクカートリッジ3のカートリッジ本体40の表面に溝部を形成し、この溝部を覆うようにカートリッジ本体40の表面に合成樹脂製のフィルム22を溶着することで、カートリッジ本体40内へ大気を導入する大気導入路を構成するようにしてもよい。そして、このフィルム22の溶着度を確認するためには、カートリッジ本体40に形成された溝部の近傍に、頂部の位置がフィルム22の溶着面よりも低く且つ互いに異なる複数の凸部を形成すればよい。
【0063】
6]前記実施形態においては、2つの凸部25,26の頂部25a,26aからなる溶着度確認部がその溶着対象である溝部21(ラビリンス)に対して2組形成されているが(図3参照)、溶着度確認部は少なくとも1組形成されていればよく、必要に応じて3組以上形成してもよい。また、前記実施形態においては、2つの凸部25,26の頂部25a,26aからなる溶着度確認部が溝部21の周囲に形成されているが、溝部21が占める領域の面積(丘部20の面積)が大きい場合には、溝部21を形成する蛇行状の溝の間(例えば、丘部20の中央付近)での溶着度を確認するために、溶着度確認部の少なくとも1組を溝部21の蛇行状の溝の間に形成してもよい。その他、溶着領域の面積や形状に応じて、溶着度確認部を所望の位置に所望の数だけ設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るインクカートリッジ及びインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】図1の大気導入口付近におけるバッファタンクの拡大断面図である。
【図3】図1の大気導入口付近におけるバッファタンクの平面図である。
【図4】図3の2つの凸部近傍の拡大図(フィルム溶着前)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のIVB-IVB線断面図である。
【図5】図3の2つの凸部近傍の拡大図(溶着良好状態)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のVB-VB線断面図である。
【図6】図3の2つの凸部近傍の拡大図(溶着不足状態)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のVIB-VIB線断面図である。
【図7】図3の2つの凸部近傍の拡大図(過溶着状態)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のVIIB-VIIB線断面図である。
【図8】インクカートリッジの一部切欠平面図である。
【図9】連通部形成部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図10】図9の要部拡大図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図11】カートリッジ本体と連通部形成部材との溶着状態を示す図であり、(a)は溶着良好状態、(b)は溶着不足状態、(c)は過溶着状態を夫々示す図である。
【符号の説明】
【0065】
I インク2 インクジェットヘッド3 インクカートリッジ4 バッファタンク20 丘部20a 溶着面21 溝部22 フィルム23 大気導入路25,26 凸部25a,26a 頂部40 カートリッジ本体41 連通部形成部材52 連通孔56a 溶着面60,61 凹部60a,61a 底部
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの合成樹脂部品を互いに溶着して合成樹脂組立品を構成する場合の、それら2つの合成樹脂部品の溶着度を確認する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能なインクカートリッジ等、複数の合成樹脂製の部品で構成される合成樹脂組立品においては、合成樹脂製の構成部品が熱溶着や超音波溶着等の種々の溶着方法により互いに溶着されて、合成樹脂組立品が組み立てられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。ここで、互いに溶着される2つの合成樹脂部品の溶着量が不足したり、逆に溶着量が多すぎると、シール性が要求される溶着部におけるシール性が十分確保できなかったり、溶着部における強度が不足してしまう虞があるため、従来では、2つの合成樹脂部品を溶着した後にそのシール性や強度等を検査していた。すなわち、正圧又は負圧の空気圧による全数リーク検査を行って溶着部のシール性を確認したり、あるいは、定期的に破壊検査を行って溶着部の強度を確認する等の検査方法がとられていた。
【特許文献1】特開2000−43285号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述のようなリーク検査や破壊検査等を、全ての合成樹脂組立品に対して行うと多大な手間と時間が必要となり、検査工数が増大する。しかし、これらの検査を抜き取りで行うとすると、溶着不良の合成樹脂組立品が検査で見逃されてそのまま出荷されてしまう虞がある。
【0004】
本発明の目的は、2つの合成樹脂部品を溶着した後に簡便且つ確実な方法により溶着度を判定して、溶着度に関する検査工数を低減するとともに溶着不良の合成樹脂組立品を確実に排除することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
第1の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、互いに溶着される2つの合成樹脂部品を含む合成樹脂組立品の製造方法であって、前記2つの合成樹脂部品の何れか一方に、その溶着面より低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する工程と、前記2つの合成樹脂部品を溶着する工程と、一方の合成樹脂部品に形成された複数の溶着度確認部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かに基づいて、2つの合成樹脂部品の溶着度を判定する工程とを有することを特徴とするものである。
【0006】
この合成樹脂組立品の製造方法においては、まず、合成樹脂組立品の構成部品である2つの合成樹脂部品を溶着する前に、これら2つの合成樹脂部品の何れか一方に、溶着面よりも低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する。次に、これら2つの合成樹脂部品を前記溶着面において溶着する。ここで、一方の合成樹脂部品に形成された複数の溶着度確認部は、溶着面からの離隔距離が互いに異なるように構成されているため、溶着面における溶着の度合い(溶着量)によって複数の溶着度確認部が他方の合成樹脂部品と溶着するか否かが変わる。そこで、これら複数の溶着度確認部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かを目視等で確認して、その溶着状態に基づいて2つの合成樹脂部品の溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。
【0007】
第2の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1の発明において、前記一方の合成樹脂部品に形成される前記複数の溶着度確認部の個数は2つであり、前記溶着度を判定する工程において、前記溶着面からの離隔距離が小さい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着し、且つ、前記離隔距離が大きい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着していない場合に、溶着度が正常であると判定することを特徴とするものである。このように、溶着面からの離隔距離が小さい方の溶着度確認部が他方の合成樹脂部品と溶着し、且つ、離隔距離が大きい方の溶着度確認部が他方の合成樹脂部品と溶着していない場合にのみ溶着度が正常であると判定し、それ以外の場合には溶着度が不良(溶着不足又は過溶着)であると判定することで、2つの合成樹脂部品の溶着度を容易に確認することができる。
【0008】
第3の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記一方の合成樹脂部品に、前記溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる複数の凹部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凹部の底部で構成することを特徴とするものである。従って、溶着面からの離隔距離が互いに異なる複数の凹部の底部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かを目視等で確認して、その溶着状態に基づいて2つの合成樹脂部品の溶着量が適切かどうかを容易に判定することができる。
【0009】
第4の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記一方の合成樹脂部品に、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる複数の凸部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凸部の頂部で構成することを特徴とするものである。従って、位置が互いに異なる複数の凸部の頂部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かを目視等で確認して、その溶着状態に基づいて2つの合成樹脂部品の溶着量が適切かどうかを容易に判定することができる。
【0010】
第5の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記2つの合成樹脂部品は、インクカートリッジを構成する部品であることを特徴とするものである。従って、インクカートリッジを構成する2つの合成樹脂部品の溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。
【0011】
第6の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第5の発明において、前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能なカートリッジ本体と、このカートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する連通部形成部材であることを特徴とするものである。従って、複数の溶着度確認部の溶着状態に基づいてカートリッジ本体と連通部形成部材の溶着度を容易且つ確実に判定できる。従って、溶着部における溶着不良によりシール性や強度が不足したり、過溶着により過度に溶解した合成樹脂が溶着部からはみ出したりした、溶着不良のインクカートリッジを確実に排除できる。
【0012】
第7の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第1、第2又は第4の発明において、前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な容器と、この容器に溶着されるフィルムであることを特徴とするものである。従って、容器とフィルムとの溶着度を容易に判定でき、フィルムとの溶着が不良である容器を確実に排除することができる。ここで、この容器としては、インクを貯留可能なものであればその種類は特に限定されない。例えば、インクジェットヘッドに装着されるインクカートリッジのカートリッジ本体や、インクジェットプリンタに設けられたインクタンク等にこの第7の発明を適用することが可能である。
【0013】
第8の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第7の発明において、前記フィルムは、透視可能なフィルムであることを特徴とするものである。フィルムが透視性であるため、複数の凸部の頂部とフィルムとが溶着したか否かを溶着されたフィルムの表面から目視により容易に確認することができる。
【0014】
第9の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第8の発明において、前記フィルムには、シボ加工が施されていることを特徴とするものである。透視性のフィルムにシボ加工が施されているため、凸部の頂部とフィルムとが溶着していない場合には、フィルムの表面側から目視したときに、フィルムと密着していない頂部はぼやけて見えるが、頂部とフィルムが溶着している場合には、その溶着箇所がくっきりと際だって見えるため、複数の凸部の頂部とフィルムとが溶着したか否かをフィルム表面からの目視により容易に確認することができる。
【0015】
第10の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第7〜第9の何れかの発明において、前記容器は、この容器の外面から突出した前記複数の凸部と、同じく前記外面から前記複数の凸部よりも隆起した丘部とを有し、前記丘部の表面部には、一端が容器内に大気を導入させる為の大気導入口に連通し他端が容器の外部と連通した溝部が形成され、前記フィルムは、前記溝部と前記複数の凸部とを覆うように前記丘部の表面に溶着され、前記溝部と前記フィルムとにより、容器内に大気を導入する大気導入路が構成されることを特徴とするものである。
【0016】
容器の表面にフィルムを溶着したときに、丘部に形成された溝部を覆うようにフィルムが溶着されて、これら溝部とフィルムとにより大気導入路が構成される。ここで、フィルムの溶着量が不足していると、大気導入路のシール性が不良となり大気導入路からエア抜けが生じてしまう。一方、フィルムの溶着量が多すぎると、溶着の際に溶解した合成樹脂により溝部が埋まり、大気導入路が塞がってしまう。そこで、頂部の位置が互いに異なり且つ頂部の位置が丘部の表面よりも低くなるように複数の凸部を設けることで、位置の異なる複数の凸部の頂部の各々がフィルムと溶着したか否かに基づいて、フィルムの溶着度を容易に確認することができる。
【0017】
第11の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材を備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する工程と、前記カートリッジ本体と連通部形成部材とを溶着する工程と、前記連通部形成部材に形成された前記2つの凹部の各々について、その底部がカートリッジ本体と溶着したか否かに基づいて、前記カートリッジ本体と前記連通部形成部材との溶着度を判定する工程とを有することを特徴とするものである。
【0018】
従って、連通部形成部材に形成された2つの凹部の各々について、その底部がカートリッジ本体と溶着したか否かを目視等により確認し、その確認結果に基づいてその溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。そのため、溶着不良のインクカートリッジを容易に排除でき、溶着不良により溶着部におけるシール性や強度が不足したり、過溶着の場合に過度に溶解した合成樹脂が溶着部からはみ出したりするのを防止できる。
【0019】
第12の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する工程と、前記容器に前記フィルムを溶着する工程と、前記2つの凸部の各々について、その頂部が前記フィルムと溶着したか否かに基づいて、前記容器と前記フィルムとの溶着度を判定する工程と有することを特徴とするものである。従って、容器に形成された2つの凸部の各々について、その頂部がフィルムと溶着したか否かを目視等により容易に確認でき、その確認結果に基づいて溶着度が適切かどうかを容易に判定できる。
【0020】
第13の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する第1工程と、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態となるように、カートリッジ本体と連通部形成部材と溶着する第2工程とを有することを特徴とするものである。
【0021】
この合成樹脂組立品の製造方法においては、まず、第1工程において、カートリッジ本体と連通部形成部材とを溶着する前に、連通部形成部材に、溶着面よりも低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する。ここで、2つの凹部の底部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の底部がカートリッジ本体と溶着し且つ溶着面からの離隔距離が大きい方の底部がカートリッジ本体と溶着しない状態である場合に、その溶着度が良好となるように、溶着面から2つの凹部の底部までの離隔距離を設定しておく。次に、第2工程において、これらカートリッジ本体と連通部形成部材とを前記溶着面において溶着するが、ここで、溶着温度や溶着時間等の種々の溶着条件を適切な条件に設定することにより、2つの凹部の底部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の底部がカートリッジ本体と溶着し、一方、溶着面からの離隔距離が大きい方の底部はカートリッジ本体と溶着しないようにして、カートリッジ本体と連通部形成部材とを良好に溶着させる。
【0022】
第14の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第13の発明において、前記第2工程の後に、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とするものである。従って、カートリッジ本体と連通部形成部材との溶着後にその実際の溶着度を確認するため、溶着不良の製品を確実に排除することができる。
【0023】
第15の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する第1工程と、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していない状態となるように、前記容器に前記フィルムを溶着する第2工程とを有することを特徴とするものである。
【0024】
この合成樹脂組立品の製造方法においては、まず、第1工程において、容器にフィルムを溶着する前に、容器に、溶着面よりも低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する。ここで、2つの凸部の頂部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部がフィルムと溶着し且つ溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部がフィルムと溶着しない状態である場合に、その溶着度が良好となるように、2つの凸部の頂部までの位置(溶着面からの離隔距離)を設定しておく。次に、第2工程において、容器にフィルムを溶着するが、ここで、溶着温度や溶着時間等の種々の溶着条件を適切な条件に設定することにより、2つの凸部の頂部のうちの溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部がフィルムと溶着し、一方、溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部はフィルムと溶着しないようにして、容器とフィルムとを良好に溶着させる。
【0025】
第16の発明の合成樹脂組立品の製造方法は、前記第15の発明において、前記第2工程の後に、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着してしない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とするものである。従って、フィルムを容器に溶着した後にその実際の溶着度を確認するため、溶着不良の製品を確実に排除することができる。
【0026】
第17の発明の合成樹脂部品は、溶着面よりも低く且つこの溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部が形成され、前記溶着面において他の合成樹脂部品と溶着された場合に、前記複数の溶着度確認部の各々が前記他の合成樹脂部品と溶着されたか否かの状態により、その溶着度が判定されるように構成されたことを特徴とするものである。従って、この合成樹脂部品の溶着面に他の合成樹脂部品を溶着したときに、その溶着度が適切かどうかを確認するのが容易になる。
【0027】
第18の発明の合成樹脂組立品は、前記第17の発明の合成樹脂部品に他の合成樹脂部品が溶着されて構成された合成樹脂組立品であって、前記複数の溶着度確認部のうち、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着しており、且つ、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着していないことを特徴とするものである。従って、合成樹脂組立品を構成する2つの合成樹脂部品の溶着度が適切であることを目視等により容易に確認することができる。
【0028】
第19の発明の合成樹脂組立品は、インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品であって、前記連通部形成部材は、前記カートリッジ本体と溶着される溶着面と、この溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部とを有し、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していないことを特徴とするものである。従って、カートリッジ本体と連通部形成部材との溶着度が適切であることを目視等により容易に確認することができる。
【0029】
第20の発明の合成樹脂組立品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器と、この容器に溶着された合成樹脂製のフィルムとを有する合成樹脂組立品であって、前記容器は、前記フィルムと溶着される溶着面と、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を有し、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していないことを特徴とするものである。従って、容器に溶着されたフィルムの溶着度が適切であることを目視等により容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態は、インクカートリッジ及びこのインクカートリッジが装着されるインクジェットプリンタに本発明を適用したものである。
【0031】
まず、インクカートリッジ3が装着されるインクジェットプリンタ1について説明する。
【0032】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、記録用紙Pに向けてインクIを吐出するノズル2aを備えたインクジェットヘッド2と、このインクジェットヘッド2に供給チューブ8を介して接続され、その上方に装着されるインクカートリッジ3から流入するインクIを保持するバッファタンク4と、インクジェットヘッド2を一方向に直線的に往復移動させるキャリッジ5と、記録用紙Pを搬送する搬送機構6と、インクジェットヘッド2内のエアや高粘度化したインクIを吸引するパージ装置7等を備えている。
【0033】
このインクジェットプリンタ1においては、インクカートリッジ3が装着されたバッファタンク4から供給チューブ8を介してインクジェットヘッド2のノズル2aにインクIが供給され、インクジェットヘッド2がキャリッジ5により図1の紙面垂直方向に往復駆動されつつ、搬送機構6により図1の左右方向に搬送される記録用紙Pに向けてノズル2aからインクIが吐出されて、記録用紙Pが印刷される。尚、ノズル2aからインクIが吐出されていない状態で、ノズル2aからインクIが漏れるのを防止するために、ノズル2aは、バッファタンク4内のインクIの液面よりも高い位置に配置されている。
【0034】
また、パージ装置7は、インク吐出面に対して接近/離隔する方向に移動可能で且つインクジェットヘッド2にインク吐出面を覆うように装着可能なパージキャップ10と、ノズル2aからインクIを吸引する吸引ポンプ11を備えている。そして、インクジェットヘッド2が記録用紙Pに印刷可能な印刷範囲外にあるときには、吸引ポンプ11により、インクジェットヘッド2内に混入したエアや水分が蒸発して高粘度化したインクIをノズル2aから吸引することが可能である。
【0035】
バッファタンク4は、その内部に保持するインクIの液面を一定に保つことにより、ノズル2aに作用する背圧の変動を抑制する為のものであり、図1に示すように、バッファタンク4の上方にインクカートリッジ3が装着されて、このインクカートリッジ3内のインクIがバッファタンク4内に流入するように構成されている。バッファタンク4は、インクIを貯留するタンク本体30と、このタンク本体30の上方を覆う天板部31とを備えており、これらタンク本体30と天板部31は夫々合成樹脂で形成されている。また、バッファタンク4には、バッファタンク4内に大気を導入する大気導入口32が形成されている。タンク本体30の底部には、供給チューブ8が接続されてノズル2aにインクIを流出させる為のインク流出口33も形成されている。
【0036】
また、バッファタンク4の天板部31には、インクカートリッジ3内のインクIをバッファタンク4へ流入させるインク流入管36と、インクカートリッジ3へ大気を流出させる大気流出管38とが、上下貫通状に設けられている。
【0037】
インク流入管36と大気流出管38は、先の尖った金属製の中空の針状部材で構成されており、インク流入管36と大気流出管38の先端部には、夫々開口36a,38aが形成されている。また、インク流入管36は、大気流出管38よりも下方へ延びている。
【0038】
そして、インクカートリッジ3の2つの栓部材24にインク流入管36及び大気流出管38を貫通させて、インクカートリッジ3をバッファタンク4の上側に装着したときには、大気流出管38を介してバッファタンク4内の大気がインクカートリッジ3へ流出し、大気と入れ替わりに、インク流入管36を介してインクカートリッジ3内のインクIがバッファタンク4へ流入する。ここで、図1に示すように、バッファタンク4内のインクIの液面が大気流出管38の下端付近まで上昇すると、大気が大気流出管38からインクカートリッジ3へ流出しなくなるため、インクカートリッジ3内のインクIもバッファタンク4内に流入しなくなる。
【0039】
その状態で、インクジェットヘッド2においてノズル2aからインクIが吐出されると、バッファタンク4内のインクIがインクジェットヘッド2に供給されるため、バッファタンク4内のインクIの液面が低下して大気流出管38の下端からインクIの液面が離れる。すると、大気流出管38の下端から大気流出管38内に大気が流れ込むようになり、バッファタンク4内の大気がインクカートリッジ3へ流出し、同時にインク流入管36を介してバッファタンク4へインクIが流入する。
【0040】
ところで、図2、図3に示すように、バッファタンク4の天板部31に形成された大気導入口32の周辺部分には、天板部31の外面から部分的に隆起した丘部20が形成されている。この丘部20の表面部にはバッファタンク4の外面に平行な水平面(溶着面20a)が形成されている。そして、この丘部20の表面部には、一端が大気導入口32に連通し他端がバッファタンク4の外部と連通した長い溝部21(ラビリンス)が、曲がりくねった迷路状に形成されている。
【0041】
そして、図4(a),(b)に示すように、溝部21を覆うように、透視可能な合成樹脂製のフィルム22が丘部20の溶着面20aに熱溶着により溶着され、溝部21とフィルム22とによりバッファタンク4内に大気を導入する大気導入路23が構成される。この大気導入路23は、バッファタンク4の大気導入口32に大気を供給する流路であるとともに、その複雑且つ長い流路形状により、バッファタンク4内に塵等が入り込むのを防止し、さらに、バッファタンク4内のインクI中の水分が蒸発してインクIが高粘度化するのを抑える役割を果たしている。尚、フィルム22にはシボ加工が施されており、このフィルム22が密着していないバッファタンク4の部分がフィルム22を介してややぼやけて見えるようになっている。
【0042】
ここで、合成樹脂製のフィルム22を溶着面20aに溶着する際に、その溶着量が不足していると、溶着面20aにおいてフィルム22が十分に溶着されない部分ができ、その部分で大気導入路23が短絡した状態となってエア抜けが生じ、塵等の侵入やインクの水分蒸発を防止するために必要な大気導入路23の長さを十分に確保できない(図6(a),(b)参照)。一方、フィルム22の溶着量が多すぎると、溝部21の内部に溶融した合成樹脂が流れ込み、溝部21が部分的に埋まって大気導入路23が閉塞されてしまう(図7(a),(b)参照)。
【0043】
そこで、丘部20の近傍に、頂部25a,26aの位置がバッファタンク4とフィルム22との溶着面20aよりも低く且つ頂部25a,26aの高さが互いに異なる2つの円柱状の凸部25,26を形成する。これら2つの凸部25,26の頂部25a,26aは水平面状に形成されている。ここで、これら2つの凸部25,26の頂部25a,26aの位置は、溶着面20aに近い(溶着面20aからの離隔距離が小さい)方の凸部25の頂部25aがフィルム22と溶着しており、且つ、溶着面20aから離れている(溶着面20aからの離隔距離が大きい)方の凸部26の頂部26aがフィルム22と溶着していない状態で、フィルム22の溶着度が良好になるように設定されている。
【0044】
次に、バッファタンク4を組み立てる製造工程について説明する。まず、上述の構成を備えたバッファタンク4とフィルム22とを形成し(第1工程)、次に、バッファタンク4に、丘部20及び2つの凸部25,26を覆うようにフィルム22を溶着するが、このとき、溶着面20aから近い方の頂部25aがフィルム22と溶着しており、且つ、溶着面20aからの離れている方の頂部26aがフィルム22と溶着していない状態になるように、溶着温度や溶着時間等の溶着条件を適切な条件に設定してフィルム22を溶着する(第2工程)。
【0045】
このようにしてフィルム22をバッファタンク4に溶着した後に、実際の溶着度を確認するために、2つの凸部25,26の頂部25a,26aがフィルム22と溶着されたか否かをフィルム22の表面からの目視により確認し、その結果に応じて溶着度を判定する(第3工程)。即ち、図5(a),(b)に示すように、溶着面20aから近い方の凸部25の頂部25aがフィルム22と溶着しており、且つ、溶着面20aからの離れている方の凸部26の頂部26aがフィルム22と溶着していないときには、溶着度が正常であると判定する。一方、図6(a),(b)に示すように、2つの凸部25,26の頂部25a,26aがともにフィルム22と溶着していない場合には溶着不足であると判定し、図7(a),(b)に示すように、2つの凸部25,26の頂部25a,26aがともにフィルム22と溶着してしまっている場合には過溶着であると判定して、このような溶着不良のバッファタンク4を排除する。
【0046】
ここで、フィルム22は透視可能であるため、頂部25a,26aにフィルム22が溶着したか否かをフィルム22の表面からの目視により容易に確認できる。即ち、図5〜図7に示すように、頂部25a,26aにフィルム22が溶着している場合には、円形の頂部25a,26aの形状が変化しているが、溶着していない場合には頂部の形状は円形のままであり、このような頂部25a,26aの形状変化を表面から容易に確認できる。さらに、フィルム22にはシボ加工が施されているため、凸部25,26の頂部25a,26aにフィルム22が溶着していない状態では、フィルム22を介して頂部25a,26aがぼやけて見えるが、頂部25a,26aにフィルム22が溶着すると頂部25a,26aがはっきり見えるようになり、頂部25a,26aが溶着しているか否かをさらに容易に確認することができる。
【0047】
次に、インクカートリッジ3について説明する。
【0048】
図1、図8に示すように、インクカートリッジ3は、インクIを貯留可能なカートリッジ本体40と、このカートリッジ本体40に溶着され、カートリッジ本体40の内部と外部とを連通させる連通孔(連通部)を形成する連通部形成部材41と、カートリッジ本体40の下部を覆う蓋部材42とを備えている。
【0049】
カートリッジ本体40は、合成樹脂製の直方体状のケースである。このカートリッジ本体40には上下方向に延びる4本のリブ45が設けられている。これら4本のリブ45は、カートリッジ本体40内にインクIを注入した後に脱気のためにカートリッジ本体40内を負圧にしたときに、その負圧状態におけるカートリッジ本体40の強度を確保する為のものである。カートリッジ本体40の下端部にはフランジ部46が設けられ、このフランジ部46には、カートリッジ本体40に連通部形成部材41を装着する為の2つの装着孔47が形成されている。
【0050】
図9(a),(b)に示すように、連通部形成部材41は、基部50とこの基部50から上方へ延びる2つの筒部51を合成樹脂により一体形成したものである。基部50は、平面視で略楕円形状に形成されている。この基部50の内側にはカートリッジ本体40の内部と外部とを連通させる2つの連通孔52が形成されており、これら2つの連通孔52にはインク漏れを防止する為の弾力性を有する(例えば、ゴム製の)2つの栓部材24が圧入されている。そして、インクカートリッジ3をバッファタンク4の上側に装着したときには、2つの栓部材24を中空針状のインク流入管36及び大気流出管38の先端部が夫々貫通するようになっている。図9、図10に示すように、基部50の上端部には、2つの筒部51を夫々取り囲む2つの環状突起部55と、図9の左右に延びてこれら2つの環状突起部55をつなぐ連結突起部56とが、上方突出状に形成されている。
【0051】
2つの筒部51は、カートリッジ本体40に形成された2つの装着孔47に夫々挿通される。これら2つの筒部51の側面部には筒部51の長手方向に延びるスリット51aが夫々形成されている。このスリット51aは、カートリッジ本体40内のインクIを最後まで使い切るために、カートリッジ本体40内に残留するインクIを筒部51内に流入させるものである。
【0052】
そして、連通部形成部材41がカートリッジ本体40の下端部に取り付けられた状態で、蓋部材42がカートリッジ本体40の下部に超音波溶着等により接合される。
【0053】
ここで、連通部形成部材41は、2つの筒部51が2つの装着孔47に挿通された状態で、基部50の環状突起部55と連結突起部56の上端の溶着面55a,56aがフランジ部46の下端面に超音波溶着等の溶着方法により溶着される。ここで、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着量が不足していると、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との間のシール性が確保されず、インク漏れが発生したり、あるいは、溶着部における強度が不足する虞がある。一方、カートリッジ本体40と連通部形成部材41の溶着量が多すぎると、インクカートリッジ3の高さ方向の寸法誤差が大きくなって、例えば、インクカートリッジ3をバッファタンク4に対して正しい位置に装着することができなくなる虞がある。あるいは、過溶着により余分に溶解した合成樹脂が溶着部からはみ出して、連通部形成部材41がカートリッジ本体40の装着孔47に正しく嵌合されない虞もある。
【0054】
そこで、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着度を確認するための溶着度確認部として、基部50の連結突起部56に、図10(b)の紙面垂直方向に延び溶着面56aから底部60a,61aまでの離隔距離が互いに異なる2つの溝状の凹部60,61を形成する。これら2つの溝状の凹部60,61の図10(b)の紙面垂直方向の両端部が開放しており、凹部60,61の底部60a,61aの溶着状態を目視で確認できるようになっている。ここで、これら2つの凹部60,61の底部60a,61aの位置は、溶着面56aに近い(溶着面56aからの離隔距離が小さい)方の凹部60の底部60aがカートリッジ本体40と溶着しており、且つ、溶着面56aから離れている(溶着面56aからの離隔距離が大きい)方の凹部61の底部61aがカートリッジ本体40と溶着していない状態である場合に、カートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着度が良好になるように設定されている。
【0055】
次に、インクカートリッジ3を組み立てる製造工程について説明する。まず、上述の構成を備えたカートリッジ本体40と連通部形成部材91とを形成する(第1工程)。次に、溶着面56aから近い方の底部60aがカートリッジ本体40のフランジ部46と溶着し、且つ、溶着面56aから離れている方の底部61aがフランジ部46と溶着しない状態となるように、溶着時間等の溶着条件を適切な条件に設定して、カートリッジ本体40と連通部形成部材41とを溶着する(第2工程)。
【0056】
そして、連通部形成部材41の基部50をフランジ部46に溶着させた後に、実際の溶着度を確認するために、2つの凹部60,61の底部60a,61aがカートリッジ本体40のフランジ部46の下端面と溶着されたか否かを側方(図10(b)の紙面垂直方向)から目視により確認し、その結果に応じて溶着度を判定する(第3工程)。即ち、図11(a)に示すように、溶着面56aから近い方の凹部60の底部60aがフランジ部46に溶着し、且つ、溶着面56aから離れている方の凹部61の底部61aがフランジ部46に溶着していないときには、溶着度が正常であると判定する。一方、図11(b)に示すように、2つの凹部60,61の底部60a,61aがともにフランジ部46に溶着していないときには溶着不足と判定し、図11(c)に示すように、2つの凹部60,61の底部60a,61aがともにフランジ部46に溶着してしまっている場合には過溶着と判定して、このような溶着不良のインクカートリッジ3を出荷前に排除することができる。
【0057】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0058】
1]前記実施形態においては、バッファタンク4にフィルム22を溶着する際に一方の頂部25aがフィルム22に溶着され、他方の頂部26aがフィルム22に溶着しない状態になるように、溶着時間等の溶着条件を適切な条件に設定しているが、特に溶着条件を設定せずにフィルム22をバッファタンク4に溶着させてから、2つの頂部25a,26aがフィルム22に溶着したか否かを確認することにより溶着度が良好であるか判定するようにしてもよい。また、インクカートリッジ3のカートリッジ本体40に連通部形成部材41を溶着する際も同様に、特に溶着条件を設定せずに溶着させてから、2つの凹部60,61の底部60a,61aがカートリッジ本体40に溶着したか否かを確認することにより溶着度が良好であるかを判定するようにしてもよい。
【0059】
2]前記実施形態においては、バッファタンク4にフィルム22を溶着させてから(第2工程)、2つの頂部25a,26aがフィルム22に溶着したか否かを確認することにより溶着度を判定しているが(第3工程)、この判定工程は、フィルム22が溶着されたバッファタンク4の全てに対して行う必要はなく、任意の割合で抜き出した一部のバッファタンク4に対してのみ行うようにしてもよい。尚、この場合には、歩留まりを低下させないために、上述した溶着条件の適切な設定は必ず行わなければならない。同様に、インクカートリッジ3のカートリッジ本体40に連通部形成部材41を溶着する場合も、一部のインクカートリッジ3に対してのみ溶着度を判定するようにしてもよい。
【0060】
3]バッファタンク4とフィルム22との溶着度を確認する為の凸部の数は2つに限られるものではなく、3つ以上の複数の凸部をバッファタンク4に形成して、それら複数の凸部の頂部がフィルム22と溶着したか否かに基づいて、溶着度を判定するようにしてもよい。同様に、インクカートリッジ3のカートリッジ本体40と連通部形成部材41との溶着度を確認する為の凹部の数も2つに限られるものではなく、3つ以上の複数の凹部を連通部形成部材に形成してもよい。さらに、これら複数の凹部をカートリッジ本体40側に形成してもよい。
【0061】
4]バッファタンク4に溶着されるフィルム22は、透視可能なものに限られず、透視することが不可能なフィルムを使用してもよい。但し、この場合には、バッファタンク4の横から目視することにより、2つの凸部25,26にフィルム22が溶着したか否かを確認することになる。
【0062】
5]前記実施形態のインクジェットプリンタ1はインクIを貯留可能なバッファタンク4を有し、このバッファタンク4にフィルム22が溶着されて大気導入路23が形成されているが、バッファタンクを有しないインクジェットプリンタにも本発明を適用可能である。例えば、インクIを貯留可能なインクカートリッジ3のカートリッジ本体40の表面に溝部を形成し、この溝部を覆うようにカートリッジ本体40の表面に合成樹脂製のフィルム22を溶着することで、カートリッジ本体40内へ大気を導入する大気導入路を構成するようにしてもよい。そして、このフィルム22の溶着度を確認するためには、カートリッジ本体40に形成された溝部の近傍に、頂部の位置がフィルム22の溶着面よりも低く且つ互いに異なる複数の凸部を形成すればよい。
【0063】
6]前記実施形態においては、2つの凸部25,26の頂部25a,26aからなる溶着度確認部がその溶着対象である溝部21(ラビリンス)に対して2組形成されているが(図3参照)、溶着度確認部は少なくとも1組形成されていればよく、必要に応じて3組以上形成してもよい。また、前記実施形態においては、2つの凸部25,26の頂部25a,26aからなる溶着度確認部が溝部21の周囲に形成されているが、溝部21が占める領域の面積(丘部20の面積)が大きい場合には、溝部21を形成する蛇行状の溝の間(例えば、丘部20の中央付近)での溶着度を確認するために、溶着度確認部の少なくとも1組を溝部21の蛇行状の溝の間に形成してもよい。その他、溶着領域の面積や形状に応じて、溶着度確認部を所望の位置に所望の数だけ設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るインクカートリッジ及びインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】図1の大気導入口付近におけるバッファタンクの拡大断面図である。
【図3】図1の大気導入口付近におけるバッファタンクの平面図である。
【図4】図3の2つの凸部近傍の拡大図(フィルム溶着前)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のIVB-IVB線断面図である。
【図5】図3の2つの凸部近傍の拡大図(溶着良好状態)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のVB-VB線断面図である。
【図6】図3の2つの凸部近傍の拡大図(溶着不足状態)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のVIB-VIB線断面図である。
【図7】図3の2つの凸部近傍の拡大図(過溶着状態)であり、(a)はその平面図、(b)は(a)のVIIB-VIIB線断面図である。
【図8】インクカートリッジの一部切欠平面図である。
【図9】連通部形成部材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図10】図9の要部拡大図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図11】カートリッジ本体と連通部形成部材との溶着状態を示す図であり、(a)は溶着良好状態、(b)は溶着不足状態、(c)は過溶着状態を夫々示す図である。
【符号の説明】
【0065】
I インク2 インクジェットヘッド3 インクカートリッジ4 バッファタンク20 丘部20a 溶着面21 溝部22 フィルム23 大気導入路25,26 凸部25a,26a 頂部40 カートリッジ本体41 連通部形成部材52 連通孔56a 溶着面60,61 凹部60a,61a 底部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに溶着される2つの合成樹脂部品を含む合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記2つの合成樹脂部品の何れか一方に、その溶着面より低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する工程と、
前記2つの合成樹脂部品を溶着する工程と、
一方の合成樹脂部品に形成された複数の溶着度確認部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かに基づいて、2つの合成樹脂部品の溶着度を判定する工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項2】
前記一方の合成樹脂部品に形成される前記複数の溶着度確認部の個数は2つであり、前記溶着度を判定する工程において、前記溶着面からの離隔距離が小さい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着し、且つ、前記離隔距離が大きい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着していない場合に、溶着度が正常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項3】
前記一方の合成樹脂部品に、前記溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる複数の凹部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凹部の底部で構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項4】
前記一方の合成樹脂部品に、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる複数の凸部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凸部の頂部で構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項5】
前記2つの合成樹脂部品は、インクカートリッジを構成する部品であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項6】
前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能なカートリッジ本体と、このカートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する連通部形成部材であることを特徴とする請求項5に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項7】
前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な容器と、この容器に溶着されるフィルムであることを特徴とする請求項1、2又は4の何れかに記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項8】
前記フィルムは、透視可能なフィルムであることを特徴とする請求項7に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項9】
前記フィルムには、シボ加工が施されていることを特徴とする請求項8に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項10】
前記容器は、この容器の外面から突出した前記複数の凸部と、同じく前記外面から前記複数の凸部よりも隆起した丘部とを有し、
前記丘部の表面部には、一端が容器内に大気を導入させる為の大気導入口に連通し他端が容器の外部と連通した溝部が形成され、
前記フィルムは、前記溝部と前記複数の凸部とを覆うように前記丘部の表面に溶着され、
前記溝部と前記フィルムとにより、容器内に大気を導入する大気導入路が構成されることを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項11】
インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する工程と、
前記カートリッジ本体と連通部形成部材とを溶着する工程と、
前記連通部形成部材に形成された前記2つの凹部の各々について、その底部がカートリッジ本体と溶着したか否かに基づいて、前記カートリッジ本体と前記連通部形成部材との溶着度を判定する工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項12】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する工程と、
前記容器に前記フィルムを溶着する工程と、
前記2つの凸部の各々について、その頂部が前記フィルムと溶着したか否かに基づいて、前記容器と前記フィルムとの溶着度を判定する工程と、
有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項13】
インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する第1工程と、
前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態となるように、カートリッジ本体と連通部形成部材と溶着する第2工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項14】
前記第2工程の後に、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とする請求項13に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項15】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する第1工程と、
前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していない状態となるように、前記容器に前記フィルムを溶着する第2工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項16】
前記第2工程の後に、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着してしない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とする請求項15に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項17】
溶着面よりも低く且つこの溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部が形成され、
前記溶着面において他の合成樹脂部品と溶着された場合に、前記複数の溶着度確認部の各々が前記他の合成樹脂部品と溶着されたか否かの状態により、その溶着度が判定されるように構成されたことを特徴とする合成樹脂部品。
【請求項18】
請求項17の合成樹脂部品に他の合成樹脂部品が溶着されて構成された合成樹脂組立品であって、
前記複数の溶着度確認部のうち、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着しており、且つ、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着していないことを特徴とする合成樹脂組立品。
【請求項19】
インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品であって、
前記連通部形成部材は、前記カートリッジ本体と溶着される溶着面と、この溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部とを有し、
前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していないことを特徴とする合成樹脂組立品。
【請求項20】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器と、この容器に溶着された合成樹脂製のフィルムとを有する合成樹脂組立品であって、
前記容器は、前記フィルムと溶着される溶着面と、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を有し、
前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していないことを特徴とする合成樹脂組立品。
【請求項1】
互いに溶着される2つの合成樹脂部品を含む合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記2つの合成樹脂部品の何れか一方に、その溶着面より低く且つ溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部を形成する工程と、
前記2つの合成樹脂部品を溶着する工程と、
一方の合成樹脂部品に形成された複数の溶着度確認部の各々について、他方の合成樹脂部品と溶着したか否かに基づいて、2つの合成樹脂部品の溶着度を判定する工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項2】
前記一方の合成樹脂部品に形成される前記複数の溶着度確認部の個数は2つであり、前記溶着度を判定する工程において、前記溶着面からの離隔距離が小さい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着し、且つ、前記離隔距離が大きい方の溶着度確認部が前記他方の合成樹脂部品と溶着していない場合に、溶着度が正常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項3】
前記一方の合成樹脂部品に、前記溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる複数の凹部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凹部の底部で構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項4】
前記一方の合成樹脂部品に、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる複数の凸部を夫々形成して、前記複数の溶着度確認部を、前記複数の凸部の頂部で構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項5】
前記2つの合成樹脂部品は、インクカートリッジを構成する部品であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項6】
前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能なカートリッジ本体と、このカートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する連通部形成部材であることを特徴とする請求項5に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項7】
前記2つの合成樹脂部品は、インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な容器と、この容器に溶着されるフィルムであることを特徴とする請求項1、2又は4の何れかに記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項8】
前記フィルムは、透視可能なフィルムであることを特徴とする請求項7に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項9】
前記フィルムには、シボ加工が施されていることを特徴とする請求項8に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項10】
前記容器は、この容器の外面から突出した前記複数の凸部と、同じく前記外面から前記複数の凸部よりも隆起した丘部とを有し、
前記丘部の表面部には、一端が容器内に大気を導入させる為の大気導入口に連通し他端が容器の外部と連通した溝部が形成され、
前記フィルムは、前記溝部と前記複数の凸部とを覆うように前記丘部の表面に溶着され、
前記溝部と前記フィルムとにより、容器内に大気を導入する大気導入路が構成されることを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項11】
インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する工程と、
前記カートリッジ本体と連通部形成部材とを溶着する工程と、
前記連通部形成部材に形成された前記2つの凹部の各々について、その底部がカートリッジ本体と溶着したか否かに基づいて、前記カートリッジ本体と前記連通部形成部材との溶着度を判定する工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項12】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する工程と、
前記容器に前記フィルムを溶着する工程と、
前記2つの凸部の各々について、その頂部が前記フィルムと溶着したか否かに基づいて、前記容器と前記フィルムとの溶着度を判定する工程と、
有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項13】
インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記連通部形成部材に、前記カートリッジ本体との溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部を夫々形成する第1工程と、
前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態となるように、カートリッジ本体と連通部形成部材と溶着する第2工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項14】
前記第2工程の後に、前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とする請求項13に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項15】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器に合成樹脂製のフィルムが溶着されて構成される合成樹脂組立品の製造方法であって、
前記容器に、頂部の位置が前記容器と前記フィルムとの溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を形成する第1工程と、
前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していない状態となるように、前記容器に前記フィルムを溶着する第2工程と、
を有することを特徴とする合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項16】
前記第2工程の後に、前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着してしない状態か否かに基づいて溶着度を判定する第3工程を有することを特徴とする請求項15に記載の合成樹脂組立品の製造方法。
【請求項17】
溶着面よりも低く且つこの溶着面からの離隔距離が異なる複数の溶着度確認部が形成され、
前記溶着面において他の合成樹脂部品と溶着された場合に、前記複数の溶着度確認部の各々が前記他の合成樹脂部品と溶着されたか否かの状態により、その溶着度が判定されるように構成されたことを特徴とする合成樹脂部品。
【請求項18】
請求項17の合成樹脂部品に他の合成樹脂部品が溶着されて構成された合成樹脂組立品であって、
前記複数の溶着度確認部のうち、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着しており、且つ、少なくとも1つの溶着度確認部の頂部が前記他の合成樹脂部品と溶着していないことを特徴とする合成樹脂組立品。
【請求項19】
インクを貯留可能な合成樹脂製のカートリッジ本体と、このカートリッジ本体に溶着され、前記カートリッジ本体の内部と外部とを連通させる連通部を形成する合成樹脂製の連通部形成部材とを備えた合成樹脂組立品であって、
前記連通部形成部材は、前記カートリッジ本体と溶着される溶着面と、この溶着面から底部までの離隔距離が互いに異なる2つの凹部とを有し、
前記2つの凹部の底部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の底部が前記カートリッジ本体と溶着していないことを特徴とする合成樹脂組立品。
【請求項20】
インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留可能な合成樹脂製の容器と、この容器に溶着された合成樹脂製のフィルムとを有する合成樹脂組立品であって、
前記容器は、前記フィルムと溶着される溶着面と、頂部の位置が前記溶着面よりも低く且つ前記頂部の位置が互いに異なる2つの凸部を有し、
前記2つの凸部の頂部のうちの前記溶着面からの離隔距離が小さい方の頂部が前記フィルムと溶着し且つ前記溶着面からの離隔距離が大きい方の頂部が前記フィルムと溶着していないことを特徴とする合成樹脂組立品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−83502(P2009−83502A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299113(P2008−299113)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【分割の表示】特願2003−340542(P2003−340542)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【分割の表示】特願2003−340542(P2003−340542)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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