説明

合成TLRアゴニストの結合体およびそのための使用

本発明は、ワクチンにおいて、および種々の障害、例えば、病原体感染および喘息を予防、抑制または治療するのに有用なTLRアゴニストおよびその結合体を提供する。より詳細には、本発明は、安定な共有結合によって高分子と連結している合成TLRアゴニストの結合体およびそれらの結合体を有する組成物ならびに結合体を使用する方法を提供する。結合体は、合成TLRアゴニスト、例えば、TLR7またはTLR9アゴニストと直接連結している、またはリンカーを介してTLRアゴニストと連結している、例えば、アミノ基、カルボキシ基もしくはスクシンアミド基を介して連結している高分子を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)
この出願は、2007年2月7日に出願された、米国出願第60/888,699号(この開示は、参考として本明細書に援用される)の出願日の利益を主張する。
【0002】
(政府の権利に関する声明)
本明細書に記載される発明は、米国国立衛生研究所によって授与された助成金番号AI056453の元、政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
この10年の間に、微生物病原体の自然認識の分子的基盤について、多くのことがわかってきた。一般に、多数の体細胞が、獲得免疫系とは関係なく可能性ある病原体を検出する、広範なパターンの認識受容体を発現することは受け入れられている(非特許文献1参照のこと)。これらの受容体は、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる微生物成分と相互作用すると考えられている。PAMPの例として、グラム陽性細胞壁に由来するペプチドグリカン、リポテコイックアシッド(lipotechoic acid)、糖マンノース(微生物の炭水化物ではよく見られるが、ヒトでは稀である)、細菌DNA、ウイルス由来の二本鎖RNAおよび真菌細胞壁由来のグルカンが挙げられる。PAMPは、通常、(a)その哺乳類宿主ではなく、微生物によるその発現、(b)広範な病原体にわたった構造の保存および(c)自然免疫を刺激する能力を含む特定の判定基準を満たす。Toll様受容体(TLR)は、PAMPの検出において、また、微生物感染に対する初期反応において特定の役割を果たすことがわかった。(非特許文献2参照のこと)。10種の哺乳類TLRおよびいくつものそのアゴニストが同定されている。例えば、TLR7およびTLR9は、それぞれ、イミキモドおよび免疫刺激性CpGオリゴヌクレオチド(ISS−ODN)を認識し、それらに反応する。合成免疫調節物質R−848(レシキモド)は、TLR7およびTLR8の両方を活性化する。TLR刺激は、共通のシグナル伝達カスケード(アダプタータンパク質MyD88、転写因子NF−kBならびに炎症性サイトカインおよびエフェクターサイトカインを含む)を開始するが、特定の細胞種が特定のTLRを産生する傾向がある。例えば、TLR7およびTLR9は、主に、樹状細胞(DC)中のエンドソームの内側面およびBリンパ球で見られる(ヒトでは;マウスマクロファージは、TLR7およびTLR9を発現する)。他方、TLR8は、ヒト血液単球において見られる(非特許文献3参照のこと)。
【0004】
インターフェロン(INF)はまた、特にウイルス感染後の免疫応答の効率的な誘導に関与している(非特許文献4)。しかし、多数のウイルスが、種々のレベルでインターフェロン産生または作用を妨げる、さまざまなタンパク質を産生する。インターフェロンの拮抗作用は、自然免疫ならびに獲得免疫を回避するための総合的戦略の一部であると考えられている(非特許文献5)。TLRアゴニストは、一部の治療方法にとっては十分に活性であり得るが、微生物インターフェロンアンタゴニストが、合成TLRアゴニストのアジュバント効果を軽減し得る場合もある。
【0005】
微生物感染に対するより特異的な反応は、能動免疫または受動免疫に基づいている。普遍的免疫化が費用効率が高い(または薬剤経済学的に実行可能)と考えられない場合には、免疫学的予防から利益を得るであろう危険のある集団の同定が、その集団を同定することが直接的でなくとも、費用効率が高いものであり得る。それにもかかわらず、特定の細菌感染、例えば、ブドウ球菌感染について、幾分か明確に定義される危険のある集団、例えば、透析患者、脳室腹腔短絡術を受けた患者、感染性心内膜炎の危険のある患者および養護ホームの入居者があり、そのすべてがブドウ球菌感染からの危険を長期間高まらせる慢性状態に苦しんでいる。これらの患者の多くはまた、医療関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(HA−MRSA)を獲得する危険が高まっている。しかし、ブドウ球菌のコロニー化を妨げることは、感染から保護することよりも達成可能である。
【0006】
ポリクローナル抗体(非特許文献6)またはモノクローナル抗体(mAb)(www.biosynexus.com/productcandidates.html)のいずれかを用いる受動的免疫学的予防は、ワクチン効果が生じるのを待つことができないか、免疫系があまりにも損なわれていて、ワクチンに対して反応を開始することができない患者の緊急(短時間であるが)保護を提供し得る。受動的免疫学的予防の1つの可能性ある適応症として、MRSA関連感染の病院での発生がある。このような場合には、曝露された個体は即時予防から恩恵を受け得るが、同じ病棟または長期療養施設に残る個人は能動免疫化から恩恵を受け得る。さらに、集中治療室の患者は、受動的免疫学的予防の可能性ある受益者であるが、これは彼らの各々が、ブドウ球菌感染の1以上の危険因子を獲得する可能性があるからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Janewayら、Annu.Rev.Immunol.(2002年)20:197頁
【非特許文献2】Underhillら、Curr.Opin.Immunol.(2002年)14:103頁
【非特許文献3】Hornungら、J.Immunol.(2002年)168:4531頁
【非特許文献4】Brassardら、J.Leukoc.Biol.(2002年)71:568頁
【非特許文献5】Levyら、Cytokine Growth Factor Rev.(2001年)12:143
【非特許文献6】Capparelliら、Antimicrob.Agents Chemo.(2005年)49:4121頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、安定な共有結合によって高分子と連結している合成TLRアゴニストの結合体およびそれらの結合体を有する組成物ならびに結合体を使用する方法を提供する。結合体は、合成TLRアゴニスト、例えば、TLR7またはTLR9アゴニストと直接連結している、またはリンカーを介してTLRアゴニストと連結している、例えば、アミノ基、カルボキシ基もしくはスクシンアミド基を介して連結している高分子を含み得る。例えば、本発明の結合体は、高分子、例えば、ペプチド、ポリペプチド、例えば、抗体またはその抗原結合断片、脂質、ポリエチレングリコールなどのポリマー、ポリスチレンビーズなどのビーズまたはデンドリマーと共有結合によって結合している合成TLRアゴニスト(ファルマコフォア)を含む。本発明の結合体は、哺乳類、例えば、ヒトの免疫系を活性化するのに有用である、広域性スペクトルの、持続性の、非毒性合成免疫刺激薬である。特に、本発明の結合体は、免疫応答を最適化し、一方で、結合体化していないTLRアゴニストと関連する望ましくない全身性副作用を制限する。
【0009】
合成TLRアゴニストは、結合体が、標的細胞のエンドソーム内のTLRに向かうのを補助し、高分子の送達を増強する。一実施形態では、合成TLRアゴニストは、エンドソームTLRに特異的である。一実施形態では、TLRアゴニストは、TLR7、TLR8、TLR3またはTLR9アゴニストであり得る。さらに、合成TLRアゴニストは、高分子に対する応答(例えば、免疫応答)を増強し得る。同様に、高分子は、免疫系を活性化するのに有用であり得、かつ/または結合体を特定の細胞へ向かわせることができる。したがって、高分子、例えば、合成TLRアゴニストと連結している第1アミノ基を含むものは、合成TLRアゴニストの活性を増強するか、または別個の望ましい活性を有し得る。例えば、高分子は、アゴニストが、標的細胞のエンドソーム内のTLRに向かうのを補助することによって、TLRアゴニストによって誘導されるシグナル伝達を増強することによって、または受容体を架橋することによって、またはそれらの任意の組み合わせによって、TLRアゴニストの活性を増強し得る。一実施形態では、高分子は、リポソーム中に自発的に組み込まれる脂質である。一実施形態では、高分子は、その表面にアミン基を有するナノ粒子である。TLRアゴニストと結合すると、TLRアゴニスト−ナノ粒子結合体は、例えば、エンドソーム内にあり得る(存在し得る)約100nmの大きさであり得る。
【0010】
病院で獲得される黄色ブドウ球菌(SA)感染は、罹病率および死亡率の主要な原因である。しかし、ワクチンは、急性の状況では使用されないが、これはワクチンが作用するのにかかる時間が長すぎ、免疫無防備状態の患者では有効でないためである。本発明は、グラム陽性菌感染、例えば、SA感染の危険のある患者の迅速ワクチン接種方法を提供し、この方法は、Toll様受容体−7(TLR7)アゴニストおよびグラム陽性菌の1種以上の抗原(免疫原)を使用する。本発明のワクチンの使用は、約6日で免疫を誘導し、標準ワクチン接種プロトコールに適さない適用(例えば、救急治療状況)に備える。
【0011】
本明細書に開示されるように、グラム陽性菌、炭疽菌(BA)、およb合成TLR7アゴニストを含む組成物を調製した。本組成物は、in vitroでIL12およびIL6分泌(骨髄由来マクロファージ(BMDM)の活性化を示す)を誘導し、in vivoでマウスをその後の、そうでなければ致死性の肺内BA攻撃から保護した。特に、TLR7アゴニスト結合体と、免疫原(UC−IV199−アルブミン/照射されたBA胞子)とを含有する組成物の投与は、6日内にBAに対する防御免疫を誘導した。対照的に、BA胞子単独を用いた、またはBAおよび従来のアジュバント、すなわち、コレラ毒素(CT)を用いた動物の注射は、動物を致死性の攻撃物から保護しなかった。未処置動物における防御免疫応答の迅速性は、予想外であった。
【0012】
したがって、本発明は免疫原性組成物を提供する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、グラム陽性菌細胞と結合した、例えば、死滅した黄色ブドウ球菌上の遊離アミノ基と結合した、TLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニスト、例えば、UC−IV199;単離されたグラム陽性菌抗原の細菌抽出物と結合した、TLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニスト;単離されたグラム陽性菌タンパク質、例えば、組換えタンパク質と結合した、TLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニスト;または単離されたグラム陽性菌炭水化物と結合した、TLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニストを含む。例えば、合成TLR7アゴニストを、黄色ブドウ球菌多糖をタンパク質担体(例えば、破傷風トキソイドに用いられるもの)に付着させる方法を用いて細菌炭水化物と結合させてもよい。死滅した細菌調製物は、γ照射、熱または化学処理を用いて調製してもよい。もう1つの実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、アジュバントと結合した、TLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニストと、死滅したグラム陽性菌細胞を含む製剤;アジュバントと結合したTLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニストと、グラム陽性菌抽出物を含む調製物;またはアジュバントと結合したTLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニストと、単離されたグラム陽性菌抗原、例えば、組換えタンパク質を含んで調製物を含む。例えば、免疫原性組成物は、アルブミンと結合したUC−IV199と、死滅したグラム陽性菌、例えば、死滅した黄色ブドウ球菌を含む調製物を含み得る。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、アジュバントと結合した合成TLR7アゴニストと、組換えグラム陽性菌抗原、例えば、単離されたグラム陽性菌タンパク質もしくはそのペプチド、または単離されたグラム陽性菌炭水化物を含む調製物を含む。一実施形態では、免疫原性組成物の単回用量は、極めて強力な活性を示し、例えば、短期間、例えば、約10日未満で、防御免疫を提供し得る。
【0013】
一実施形態では、滅菌ワクチンを、入院前の0〜7日に被験体に投与する。一実施形態では、ワクチンを筋肉内に投与する。一実施形態では、ワクチンを、10μgから10mgの間の投与量で投与する。
【0014】
本発明のTLR7アゴニストなどの合成TLRアゴニストの結合体の使用は、利用できる、多用途の化学によって、任意の抗原へのコンジュゲーションが可能となり、修飾可能な結合体が規定の化学量論を有するので有利である。結合体は、調製するのが安価であり、強力であり、したがって、迅速な保護を提供し、外傷、やけど、術前またはバイオテロリズムなどの救急状況での使用を可能にする。
【0015】
したがって、式(I):
【0016】
【化1】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
Yは、SまたはNHであり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくはC3〜6シクロアルキルによって置換されたC1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレンまたはシアノであり;
は、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;
ここで、各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;
は、高分子であり;
nは、1、2、3または4であり;
mは、1、2、3またはそれ以上、例えば、5、10、15またはそれ以上であり;
qは、1、2、3または最大約1,000、約10,000またはそれ以上、例えば、約10、約10またはそれ以上である)の化合物またはその製薬上許容される塩が提供される。一実施形態では、qは、1であり、mは、1から20または間の任意の整数である。別の実施形態では、mは1であり、qは>2である。一実施形態では、mは1であり、Rはウイルス、例えば、サル免疫不全ウイルス(SIV)以外のレンチウイルス、レトロウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、パピローマウイルス、ヘルペスウイルスなど、グラム陽性菌もしくは細菌胞子、またはナノ粒子もしくはビーズ、例えば、シリカビーズであり得、qは、10、10、10、10、10またはそれ以上である。したがって、結合体は、TLRアゴニストの多量体、高分子または両方を含み得る。多量体は、直鎖または分岐であり得る。
【0017】
一実施形態では、Rは、グラム陽性菌、グラム陽性菌のペプチド、グラム陽性菌のタンパク質、グラム陽性菌の炭水化物または異種タンパク質もしくはペプチド(すなわち、グラム陽性菌以外の供給源由来の)などのアジュバント、例えば、宿主細胞タンパク質もしくはペプチド、例えば、アルブミンもしくはオボアルブミン、または異種脂質、異種核酸、ポリスチレンビーなどのビーズ、ナノ粒子またはデンドリマーを含む高分子であり得る。
【0018】
したがって、種々の実施形態では、mは、1または2であり得;qは、1または2であり得る。いくつかの実施形態では、mは1であり、R基の表面は、数百、数千、またはそれ以上のq基と連結している。例えば、シリカ粒子の反応性部位を用いて、シリカ粒子を、本明細書に記載される式の部分に連結することができる。この立体配置については、Rは、本明細書に開示される任意のその他の高分子、例えば、ナノ粒子、ビーズ、デンドリマー、脂質、胞子または細菌細胞であり得る。その他の実施形態では、式および基Rは、3〜約10の反復基の交互鎖(例えば、式−R−式−R−式−R−など)を形成し得る。
【0019】
本発明の結合体中の高分子は、TLRアゴニストと安定な結合を形成し、すなわち、結合体はプロドラッグとして作用しない。高分子は、高分子が身体組織に対して有害でない限り(例えば、非毒性であり、および/または炎症を引き起こさない)、炭素、酸素、水素、窒素、硫黄、リンまたはその任意の組み合わせからなる有機分子を含み得る。高分子は、ターゲッティングすることまたは免疫応答を増強することを可能にし得る、例えば、高分子は、黒色腫特異的ペプチドなどの抗原であり得る。
【0020】
種々の実施形態では、本明細書に記載される任意の式の分子中に2つ以上のRが存在する場合には、各Rは同一であってもよいし、またはR基は、互いに異なっていてもよい。したがって、2つ以上のR基が存在する場合には、各Rは、独立に、各式について定義されるような基である。
【0021】
さらに、本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物またはその製薬上許容される塩を、製薬上許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明は、合成TLRアゴニストおよび高分子の結合体、ならびにTLRアゴニスト結合体および別の分子の使用を含む。結合体は、それだけには限らないが、アレルギー性喘息、呼吸器ウイルス感染、例えば、インフルエンザウイルスまたは呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染と関連しているものなどの感染性疾患、狼瘡およびその他の自己免疫疾患をはじめとする障害を予防、抑制または治療するのに、例えば、癌または感染性疾患のためのワクチンとして有用であり得る。一実施形態では、結合体の単回用量は、免疫応答の刺激において極めて強力な活性を示し得る。さらに、結合体の低毒性のために、いくつかの状況では、高用量が、例えば、全身に投与され得るが、その他の状況下では、例えば、結合体の局在性によって低用量を投与してもよい。一実施形態では、合成TLRアゴニスト結合体は、高用量で投与される場合には、拮抗的反応を誘発することができ、そのため、喘息または自己免疫疾患を抑制または治療するのにする有用であり得る。第1の用量は、過剰反応を誘発し、次いで、これが免疫応答を抑制し、それによって炎症を避けることができる。したがって、高用量の使用および再投与は、免疫応答の抑制をもたらし得る。
【0023】
一実施形態では、本発明は、哺乳類においてグラム陽性菌感染を予防または抑制する方法を提供する。本方法は、哺乳類に、有効量の、グラム陽性菌の細菌抗原および一定量の式(IA):
【0024】
【化2】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;n=1、2、3または4であり;Rは、異種ペプチド、異種タンパク質、異種脂質、ポリスチレンビーズなどのビーズ、異種核酸分子またはデンドリマーを含む高分子である)
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、例えば、水和物を含む組成物を投与する工程を含む。
【0025】
特定の実施形態では、基Rの定義は、本明細書に記載される任意のその他の式の基Rの定義と同義的に用いられ得る。
【0026】
したがって、高分子またはリンカーの限定されない例として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子または炭素原子(および必要に応じて、原子価を満たすよう適宜付加された水素原子)だけでなく、溶解度を高める側鎖、例えば、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノまたはピペラジノ環などを含有する基など;アミノ酸、アミノ酸のポリマー(タンパク質またはペプチド)、例えば、ジペプチドまたはトリペプチドなど;炭水化物(多糖)、ヌクレオチドなど、例えば、PNA、RNAおよびDNAなど;有機物質のポリマーなど、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸など;単量体および多量体の脂質;不溶性有機ナノ粒子;非毒性の体物質など、例えば、細胞、脂質、抗原など、例えば、微生物など、例えば、ウイルス、細菌、真菌などを含む高分子またはリンカーも挙げられる。抗原は、不活化された全生物を含んでもよく、またはその小成分などを含んでもよい。
【0027】
また、哺乳類においてグラム陽性菌感染を予防または抑制する方法も提供される。本方法は、哺乳類に、有効量の、式(IB):
【0028】
【化3】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;n=1、2、3または4であり;Rは、該グラム陽性菌、該グラム陽性菌の単離された抗原性タンパク質もしくはペプチドまたは該グラム陽性菌の単離された多糖である]
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、例えば、水和物を投与する工程を含む。一実施形態では、グラム陽性菌は、ブドウ球菌である。
【0029】
一実施形態では、Rは、ブドウ球菌の単離された抗原性タンパク質またはペプチドであり、その化合物は死滅したブドウ球菌の調製物とともに投与される。
【0030】
本発明は、内科的治療において使用するための(例えば、細菌性疾患の予防のための、例えば、ワクチンにおいて)本発明の化合物を提供する。本発明の化合物はまた、生物テロ防御のために、例えば、B.アンスラックス(炭疽菌)に対して使用できる。
【0031】
内科的治療において使用するための、例えば、喘息またはウイルス感染を治療するための、またはウイルス感染を予防するための本発明の組成物および化合物、ならびにTLR関連状態もしくは症状または増大した免疫応答または抑制された免疫応答が示されているものの治療のための医薬の製造のための結合体の使用がさらに提供される。
【0032】
さらに、本発明はまた、少なくとも1種の本発明の化合物またはその製薬上許容される塩を、製薬上許容される希釈剤もしくは担体と組み合わせて、場合により、選択されたグラム陽性菌の調製物、例えば、死滅した調製物もしくは抽出物、選択されたグラム陽性菌の単離されたタンパク質または選択されたグラム陽性菌の単離された炭水化物(多糖)と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0033】
本発明は、TLR7アゴニストおよび高分子、例えば、アゴニストの活性を増強する第1アミノ基を含むもの、例えば、アルブミン、または別の望ましい活性を有する、例えば、グラム陽性菌の抗原であるものの結合体の使用を含む。結合体は、TLR7アゴニストと直接連結している、またはTLR7アゴニストとリンカーを介して連結している高分子を含み得る。結合体は、免疫応答を最適化し、一方で、TLR7アゴニストの望ましくない全身性副作用を制限し得る。
【0034】
一実施形態では、本発明は、哺乳類、例えば、ヒトにおいて、グラム陽性菌感染を予防または治療する方法を提供する。本方法は、このような治療を必要とする哺乳類に、有効量の、アジュバントと、またはグラム陽性菌の少なくとも1種の抗原と結合体化している本発明の化合物またはその製薬上許容される塩を投与する工程を含む。
【0035】
また、in vitroもしくはin vivoで結合体によって誘導されるサイトカインプロフィールを同定することによって、またはTLRアゴニストのTLRを有する、例えば、初期、中期もしくは後期エンドソームを同定することによって、特定の状態または症状を予防、抑制または治療するのに有用な結合体を同定する方法が提供される。異なる細胞は異なるエンドソームを有するので、細胞中のエンドソームパターンの同定によって、結合体の、特定の細胞種へのターゲッティングまたは結合体のエンドソームへの接近を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】TLRアゴニスト/αガラクトシル−セラミド結合体を示す。
【図2】エチレンジアミンコアを含むG1 PAMAMのUC−1V150結合体を示す。
【図3A】高分子と合成TLRアゴニストを結合体化するためのリンカー(SANH)を示す。
【図3B】UC−1V150の合成を示す。
【図3C】UC−1V150のMSAとのコンジュゲーションを示す。200μLのMSA(25mg/mL)を、100μLのコンジュゲーション緩衝液(1Mリン酸塩、pH=7.2)および690μLのPBSと混合する。タンパク質溶液(反応混合物中のNPの最終濃度は、5mg/mL)に、10μLのDMF(MSAに対して40倍モル過剰)中の844μgのSANHを加える。穏やかに混合した後、反応を室温で2時間進行させる。過剰のSANHを除去するために、反応混合物を、microconスピンフィルター装置(YM−3、Millipore)に充填し、約70μLに濃縮した。SANHで修飾したMSAに、10μLのDMFに溶解した460μgのUC−1V150を加え、反応混合物を室温で一晩インキュベートした。過剰のUC−1V150を除去するために、まず、反応混合物をmicroconスピンフィルター装置(Millipore:YM−3)を用いて50μLに濃縮し、G25マイクロスピンカラム(GE Healthcare)に充填した。
【図4】式Iの化合物(OVA/SANH/UC−1V150結合体)の吸収プロフィール(約350nmでの)の図解である。
【図5】合成TLR7アゴニスト、UC−1V150の、マウス血清アルブミン(MSA)とのコンジュゲーション反応の吸光度プロフィールを示す。UC−1V150対MSAの比は、約5:1である。
【図6】TLRアゴニスト/リン脂質結合体を示す。
【図7】種々の用量およびタイミングでのUC−1V199/脂質投与の効果を示す。
【図8A】UC−1V199/脂質がTLR7およびTLR2シグナル伝達を阻害することを示す。
【図8B】UC−1V199/脂質がTLR7およびTLR2シグナル伝達を阻害することを示す。
【図9】超強力TLR7アゴニスト(ピコ/ナノモルのアゴニストおよびマイクロモルのアンタゴニスト)の二相性の用量反応を示す。
【図10】UC−1V150/MSA結合体が、マウス骨髄由来マクロファージ(パネルA)およびヒト末梢血単核細胞(パネルB)の両方を活性化することを示す。細胞を、BMDMを用いて0.5nM〜10μMの、またはPBMCを用いて0.1〜10μMの種々の濃度の結合体とともにインキュベートした。24時間後、培養上清を回収し、Luminexによってサイトカインレベルを分析した。
【図11】TLR7アゴニスト結合体のin vivo有効性を示す。C57BL/6マウスに、マウス1匹あたり、UC−1V150(アルデヒド修飾されたSM−360320)またはUC−1V150/MSAの種々の量を用いて注射した(尾の静脈によって静脈内に)。血清サンプルを採取し、Luminexによってサイトカインレベルを分析した。結合体化されていない合成TLR7アゴニスト、SM−360320から得られた効果は、2時間しか持続しなかったのに対し、UC−1V150/MSAは効果を少なくとも6時間延長した。
【図12】UC−1V150/MSA結合体の、全身効果はない、持続したin vivo局所活性を示す。C57BL/6マウスに麻酔し、3nmolのUC−1V150/MSAを用いて投与した(気管内)。示された時点で、マウスを屠殺し、BALFおよび血清を採取した。データは、1群あたり少なくとも6匹のマウスを含む、2つの別個の実験から合わせた。結果は、平均±SEMを示す。
【図13】照射された炭疽菌胞子−TLR7アゴニスト結合体による、BMDMにおけるサイトカイン誘導を示す。
【図14】マウスを、UC−1V150/MSAを用いて免疫化し、胞子を用いて抗原投与した後の生存グラフを提供する。A)年齢を対応された雌のA/Jマウスに、生理食塩水のみまたは0.75nmol/マウス/日の、MSA(UC−1V150/MSAと同等の量)、UC−1V150またはUC−1V150/MSAを含有する生理食塩水を鼻腔内投与し、その後、炭疽菌感染させ、13日まで生存を評価した。B)Balb/cマウスに、生理食塩水または5nmol/マウス/日のUC−1V150/MSAを鼻腔内投与し、その後、インフルエンザウイルス感染させ、生存を21日間追跡した。各モデルにおいて、カプラン−マイヤー生存曲線およびログランク検定を実施して、有意性を調べた。各群において、少なくとも8匹のマウスを試験した。
【図15】TLR7アゴニストおよび結合体を含む単回用量のワクチン後の生存率パーセントのグラフを提供する図である。
【図16】炭疽菌胞子曝露に対する防御が、CD4+細胞に依存していることを示す。
【図17】マウスにおける局所サイトカインプロフィールを示す。C57BL/6マウスに、それぞれ、マウス1匹あたり3nmolまたは500nmolの、UC−1V150/MSA結合体または結合体化していないUC−1V136を用いて、気管内に投与した。示された時点でBALFおよび血清を採取し、マルチプレックスイムノアッセイによってサイトカインレベルを調べた。1群あたり、少なくとも3〜5匹のマウスから得た平均値±SEMが示されている。
【図18】SIV粒子の、UC−1V150との直接コンジュゲーションの吸光度スペクトルを示す。
【図19】合成TLR7アゴニストおよびウイルス粒子の結合体による、BMDCにおけるサイトカイン誘導を示す。
【図20】IL−12産生に対する、UC−1V150/不活化SIV結合体(パネルA)またはUC−1V150/OVA/ODN(パネルB)の効果を示す。骨髄BMDCを、示されるように0.1μg/mLを含む種々の条件下で24時間インキュベートした。細胞上清中のIL−12レベルを、ELISAによって測定した。
【図21】OVA/UC−1V150またはOVA/ODN(ODN=オリゴデオキシヌクレオチド)を用いる、骨髄由来樹状細胞(BMDC)の刺激の図解である。
【図22】二重結合体、(OVA/UC−1V150/ODN 1043)のUVスペクトルの図である。
【図23】OVA/ODN/UC−1V150結合体を用いる、BMDCにおけるIL−12の誘導の図である。OVA/1043およびOVA/1018は、ODN結合体である。
【図24】合成TLRアゴニストの、リポソームの脂質成分とのコンジュゲーションを示す。スペーサー−リンカーを介してC−15脂質と結合したTLR結合体の自己組織化は、100nMのナノ粒子の形成をもたらした。TLRアゴニストおよび脂質のNHS−エステルは、DMFおよび1当量のトリエチルアミン中で等モル量で6時間反応させた。50:50アセトニトリル/水中、アイソクラチック条件下でHPLCを用意することによって、反応混合物を精製した。
【図25】TLRアゴニスト/リポソーム結合体の模式図を示す。リポソームは、コレステロール:DOPE:DSPC:mPEG2000−DSPE:TLR−DSPE:BODIPY−DOPE 30:30:30:5:5:1.5を用いて形成される;DSPE=ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン;DOPE=ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン;BODIPY=6−(((4−4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−イル)スチリルオキシ)アセチル)アミノヘキサンアミド−DOPE。クロロホルム中、コレステロール:DOPE:DSPC:DSPE−TLRアゴニスト:DSPE−mPEG(1:1:1:0.16:0.16モル比で)を、30mLのガラス培養試験管に取り、窒素流下で乾燥させ、最短6時間真空乾燥させて、あらゆる残存する有機溶媒を除去した。乾燥脂質フィルムを、総容積1mLの滅菌脱イオン水で最短12時間水和した。リポソームを2〜3分間ボルテックス処理して、あらゆる粘着性脂質フィルムを除去し、超音波処理浴(ULTRAsonik 28X)中、室温で2〜3分間超音波処理して多層膜ベシクル(MLV)を作製した。次いで、Ti−プローブを用いて(Branson 450ソニファイヤーを100%デューティーサイクルおよび25W出力で使用して)MLVを、氷浴中1〜2分間超音波処理して、きれいな透明な溶液の形成によって示されように、小さな単層リポソーム(SUV)を作製した。溶液を、200、次いで、100nmヌクレオポアポリカーボネートメンブランを順に通して加圧濾過して、多分散因子が0.1未満の、100nmのリポソームナノ粒子を得た。
【図26】脂質結合体WW−109の合成を示す。100μLの、クロロホルム中DOPEの10mM溶液に、0.45mg(1μmol)のIV−199を加えた。この溶液に、クロロホルムストックから得た0.1mgのトリエチルアミンを加えた。混合物を、室温で24時間反応させ、クロロホルムを蒸発させた。白色固体残渣を60%/メタノール/ヘキサンで3回洗浄し、遠心分離すると白色固体が得られた。質量分析によるm/zは、1086であり、化合物は、268nmに紫外最大吸収を有していた。種々の鎖長の脂肪酸部分を用いて、類似の化合物、例えば、1、2、3または4部位の不飽和、エポキシ化、水酸化またはそれらの組み合わせを、カルボン酸炭素鎖の任意の実行可能な位置に含むC14〜C22カルボン酸を調製できる。特定の一実施形態では、脂肪酸部分は、C〜Cに不飽和部位を含むC17カルボン酸である。別の特定の実施形態では、脂肪酸部分は、C〜C10に不飽和部位を含むC18カルボン酸である。各脂肪酸部分のカルボン酸部分は、同一であってもよいし、または異なっていてもよい(例えば、図6参照のこと)。
【図27】共有結合によって結合したTLRアゴニストを含むシリカ粒子の模式図を示す。
【図28−1】本発明の方法において使用するための本発明の結合体を調製するための例示的化合物を提供する。その他の結合体として、ヒト血清アルブミンと結合したTLRアゴニスト、例えば、HSA/UC−1V150またはDOPE/UC−1V199が挙げられる。UC−1X−51は、TNF−αレベルを3倍高める(110ng/mL)。
【図28−2】本発明の方法において使用するための本発明の結合体を調製するための例示的化合物を提供する。その他の結合体として、ヒト血清アルブミンと結合したTLRアゴニスト、例えば、HSA/UC−1V150またはDOPE/UC−1V199が挙げられる。UC−1X−51は、TNF−αレベルを3倍高める(110ng/mL)。
【図28−3】本発明の方法において使用するための本発明の結合体を調製するための例示的化合物を提供する。その他の結合体として、ヒト血清アルブミンと結合したTLRアゴニスト、例えば、HSA/UC−1V150またはDOPE/UC−1V199が挙げられる。UC−1X−51は、TNF−αレベルを3倍高める(110ng/mL)。
【図28−4】本発明の方法において使用するための本発明の結合体を調製するための例示的化合物を提供する。その他の結合体として、ヒト血清アルブミンと結合したTLRアゴニスト、例えば、HSA/UC−1V150またはDOPE/UC−1V199が挙げられる。UC−1X−51は、TNF−αレベルを3倍高める(110ng/mL)。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義
本明細書において、用語「抗体」とは、実質的に、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によってコードされる1種以上のポリペプチドを有するタンパク質を指す。認識される免疫グロブリン遺伝子として、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δまたはεとして分類され、これが、次には、免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ規定する。
【0038】
基本的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、1つの「軽」鎖(約25kD)と1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する、2つの同一のポリペプチド鎖の対からなる。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。用語、可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)とは、それぞれ軽鎖および重鎖を指す。
【0039】
抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、または例えば、FabFc、Fab、Fv、Fd、(FabN)、軽鎖および重鎖可変領域のみを含有するFv断片、可変領域と定常領域の一部とを含有するFabまたは(Fab)N断片、一本鎖抗体、例えば、scFv、CDRグラフト抗体などをはじめとする種々の形態の修飾物として存在し得る。Fvの重鎖および軽鎖は、同一の抗体に由来する場合もあるし、異なる抗体に由来し、それによって、キメラFv領域が生じる場合もある。抗体は、動物(特に、マウスまたはラット)のものであってもよいし、またはヒト起源であってもよく、またはキメラまたはヒト化であってもよい。本明細書において、用語「抗体」は、これらの種々の形態を含む。
【0040】
組成物は、重量ベースで少なくとも約90%、好ましくは、少なくとも約95%、99%および99.9%の特定の組成物を組成物が含む場合に、特定の化合物または化合物の特定の形態(例えば、異性体)の「実質的にすべて」からなる。組成物は、各化合物(例えば、異性体)が、重量ベースで組成物の少なくとも約10%を表す場合に、化合物の「混合物」または同一化合物の形態を含む。本発明のプリン類似体またはその結合体は、酸性塩として、または塩基性塩として、ならびに遊離酸もしくは遊離塩基の形で調製され得る。溶液中では、本発明の特定の化合物は、対イオンが、溶媒分子自体によって、または溶媒中に溶解もしくは懸濁しているその他のイオンから提供される両性イオンとして存在し得る。
【0041】
本明細書において、用語「単離された」とは、in vivo物質とは関連していないような、または天然に見られるものとは異なっている形態で存在するような、核酸分子、ペプチドまたはタンパク質またはその他の分子のin vitro調製、単離および/または精製を指す。したがって、用語「単離された」とは、「単離されたオリゴヌクレオチド」または「単離されたポリヌクレオチド」におけるように、核酸に関連して用いられる場合は、同定され、その供給源では通常結合している少なくとも1種の夾雑物から分離された核酸配列を指す。単離核酸は、天然に見られるものとは異なっている形態または状況で存在する。対照的に、単離されていない核酸(例えば、DNAおよびRNA)は、天然に存在する状態で見られる。例えば、所与のDNA配列(例えば、遺伝子)は、隣接する遺伝子に接近して宿主細胞染色体上で見られる;RNA配列(例えば、特定のタンパク質をコードする特定のmRNA配列)は、多数のタンパク質をコードする多数のその他のmRNAとの混合物として細胞中で見られる。したがって、ゲノム、cDNAまたは合成起源の、またはそのいくつかの組み合わせのポリヌクレオチドを含む「単離核酸分子」に関して、「単離核酸分子」とは、(1)「単離核酸分子」が天然に見られるポリヌクレオチドのすべてまたは一部と関連していないか、(2)天然には連結していないポリヌクレオチドと機能しうる形で連結しているか、または(3)大きな配列の一部として天然に生じない。単離核酸分子は、一本鎖または二本鎖の形態で存在し得る。核酸分子が、タンパク質を発現するために利用される場合には、核酸は最小のセンスまたはコーディング鎖を含む(すなわち、核酸は一本鎖であり得る)が、センスおよびアンチセンス鎖の両方を含む場合もある(すなわち、核酸は二本鎖であり得る)。
【0042】
本明細書において、用語「アミノ酸」とは、DまたはL型の天然のアミノ酸(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびVal)、ならびに非天然アミノ酸(例えば、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート;馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、シトルリン、−メチル−アラニン、p−ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシンおよびt−ブチルグリシン)の残基を含む。この用語はまた、従来のアミノ保護基(例えば、アセチルまたはベンジルオキシカルボニル)を保有する天然および非天然アミノ酸、ならびにカルボキシ末端で保護された天然および非天然アミノ酸(例えば、(C〜C)アルキル、フェニルまたはベンジルエステルまたはアミドのような;または−メチルベンジルアミドのような)を含む。その他の適したアミノおよびカルボキシ保護基は、当業者には公知である(例えば、T.W.Greene、Protectin Groups In Organic Synthesis;Wiley:New York、1981年、およびそれに引用される参考文献を参照のこと)。例えば、アミノ酸は、カルボキシ末端、アミノ末端を介して、または例えば、システインの硫黄を介してなど、任意のその他の好都合な結合点を介して、式Iの化合物の残部に連結され得る。
【0043】
用語「Toll様受容体」(TLR)とは、病原体関連分子パターン(PAMP)と結合し、哺乳類において免疫応答を促進する受容体のファミリーのメンバーを指す。10種の哺乳類TLR、例えば、TLR1〜10が知られている。
【0044】
用語「Toll様受容体アゴニスト」(TLRアゴニスト)とは、TLRと結合する分子を指す。合成TLRアゴニストは、TLRと結合し、受容体を活性化するよう設計された化合物である。本明細書に提供される例示的合成TLRアゴニストとして、「TLR−7アゴニスト」、「TLRアゴニスト」、「TLR−3アゴニスト」および「TLR−9アゴニスト」が挙げられる。TLRアゴニストとして、イミキモド、レシキモド、ブロプリミン(broprimine)およびロキソリビンが挙げられる。
【0045】
用語「核酸」とは、本明細書において、DNA、RNA、一本鎖、二本鎖またはより高度に凝集したハイブリダイゼーションモチーフおよびそれらの任意の化学修飾物を指す。修飾として、それだけには限らないが、核酸リガンド塩基に、または全体としての核酸リガンドに、さらなる電荷、分極率、水素結合形成、静電相互作用および流動性を取り込む化学基を提供するものが挙げられる。このような修飾として、それだけには限らないが、ペプチド核酸(PNA)、ホスホジエステル基修飾(例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート)、2’位糖修飾、5位ピリミジン修飾、7位プリン修飾、8位プリン修飾、9位プリン修飾、環外アミンでの修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラシルの置換;主鎖修飾、メチル化、イソ塩基であるイソシチジンおよびイソグアニジンなどの異常な塩基対形成の組み合わせなどが挙げられる。核酸はまた、非天然塩基、例えば、ニトロインドールなどを含み得る。修飾はまた、BHQ、フルオロフォアまたは別の部分を用いたキャッピングなどの3’および5’修飾を含み得る。
【0046】
本明細書において、「製薬上許容される塩」とは、親化合物が、その酸性または塩基性塩を作製することによって修飾されている、開示される化合物の誘導体を指す。製薬上許容される塩の例として、それだけには限らないが、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などが挙げられる。製薬上許容される塩として、例えば、非毒性無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の非毒性塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などといった無機酸に由来するもの;酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などといった有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0047】
本発明において有用な化合物の製薬上許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、従来の化学法によって合成してもよい。通常、このような塩は、水中、または有機溶媒中、または2種の混合物中で(通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)、これらの化合物の遊離酸または塩基の形態を、化学量論量の適当な塩基または酸と反応させることによって調製できる。適した塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1418頁(1985年)において見られ、その開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0048】
語句「製薬上許容される」は、本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激作用、アレルギー性反応またはその他の問題または妥当な損益比に見合った合併症を伴わない、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している、化合物、物質、組成物および/または投与形を指すよう使用される。
【0049】
特に断りのない限り、以下の定義が用いられる:ハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルなどは、直鎖基および分岐基の両方を表すが、「プロピル」などの個々の基への言及は、直鎖基のみを包含し、「イソプロピル」などの分枝鎖異性体は具体的に言及される。アリールは、フェニル基または約9〜10個の環原子を有し、少なくとも一方の環が芳香族であるオルト縮合した二環式炭素環式基を表す。Hetは、ヘテロアリールであり得、炭素および非過酸化物酸素(non−peroxide oxygen)、硫黄およびN(X)(ここで、Xは、存在しないか、H、O、(C〜C)アルキル、フェニルまたはベンジルである)からなる群から各々選択される1〜4個のヘテロ原子からなる5または6個の環原子を含有する単環式芳香環の環炭素を介して結合している基、ならびに特にベンズ誘導体またはプロピレン、トリメチレンもしくはテトラメチレンジラジカルを縮合することよって誘導されたものに由来する約8〜10個の環原子のオルト縮合した二環式複素環の基を包含する。
【0050】
当業者には当然のことであるが、キラル中心を有する本発明の化合物は、光学的に活性な形態およびラセミ形態で存在し、単離され得る。多形を示す化合物もある。本発明は、本明細書に記載される有用な特性を有する、本発明の化合物の任意のラセミ形態、光学的に活性な形態、多形の形態もしくは立体異性体の形態、またはそれらの混合物を包含すると理解されるべきであり、光学的に活性な形態を調製する方法(例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分割によって、光学的に活性な出発物質からの合成によって、化学合成によって、またはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー分離によって)および本明細書に記載される標準試験を用いて、または当技術分野でよく知られているその他の同様の試験を用いてアゴニスト活性を調べる方法は、当技術分野でよく知られている。当業者ならば、本明細書に記載される化合物は、互いに種々の平衡状態で存在し得る、その種々の互変異性体を含むということも理解される。
【0051】
「治療上有効な量」は、例えば、宿主において、疾患もしくは障害を治療もしくは予防するための、または疾患もしくは障害の症状を治療するための、本発明において有用な化合物の量または特許請求される化合物の組み合わせの量を含むよう意図される。本明細書において、「治療」または「治療する」とは、(i)病的状態が発生するのを防ぐこと(例えば、予防);(ii)病的状態を抑制することまたはその進行を停止すること;(iii)病的状態を軽減すること;および/または病的状態と関連する症状を減少させることを含む。
【0052】
本明細書において、用語「患者」とは、本発明の方法によって治療される予定の生物を指す。このような生物として、それだけには限らないが、ヒトなどの哺乳類が挙げられる。本発明に関連して、用語「被験体」とは、通常、治療(例えば、本発明の化合物の投与)を受ける、または受けた個体を指す。
【0053】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、十分に堅固であり、反応混合物からの有用な程度の純度への単離を乗り越え、有効な治療剤への製剤を乗り越える化合物を示すものとする。安定な化合物のみが、本発明によって考慮される。
【0054】
本発明のTLRアゴニストおよび結合体およびその使用
一実施形態では、本発明は、TLRアゴニストの活性が、関係しており、その作用が望まれる、ヒトなどの哺乳類における病状または症状を予防または治療するための治療的方法を提供する。本方法は、このような治療を必要とする哺乳類に、有効量の本発明の化合物またはその製薬上許容される塩を投与する工程を含む。治療に適している病状または症状の限定されない例として、消化管、脳、皮膚、関節およびその他の組織の癌、炎症性疾患、細菌またはウイルス病、自己免疫疾患及び治療中のクローン病が挙げられる。また、本発明の化合物は、細菌、ウイルス、癌細胞または癌特異的ペプチドに対するワクチンを調製するために、またはCNS刺激薬として抗癌モノクローナル抗体を増強するために、または生物テロ防御のために使用してもよい。したがって、本発明は、内科的治療において使用するための(例えば、抗癌剤として、細菌病を治療するために、C型肝炎およびB型肝炎などのウイルス病を治療するために、クローン病を治療するために、一般的に、免疫性疾患を治療するための治療薬として使用するための)本発明の化合物を提供する。さらに、本発明の化合物は、例えば、C型肝炎およびB型肝炎ウイルスによる発癌を防ぎ得、ヒトなどの哺乳類において、癌、ウイルス感染または細菌感染、クローン病および免疫性障害の治療にとって有用な医薬の製造のために使用してもよい。
【0055】
一実施形態では、本発明は、本発明のTLRアゴニスト結合体を投与することによって哺乳類においてウイルス感染を治療する方法を提供する。ウイルス感染は、RNAウイルス、TLRアゴニストとして作用するRNAウイルスの産物および/またはDNAウイルスによって引き起こされ得る。例示的DNAウイルスとして、B型肝炎ウイルスがある。一実施形態では、ウイルス感染は、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすコロナウイルス、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスによって引き起こされる。
【0056】
一実施形態では、本発明は、有効量の本発明のTLRアゴニスト結合体を投与することによって癌を治療する方法を提供する。癌は、インターフェロン感受性癌、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、黒色腫または腎臓癌などであり得る。治療され得る特定の癌として、黒色腫、表在型膀胱癌、日光角化症、上皮内新生物および基底細胞皮膚癌、扁平上皮などが挙げられる。さらに、本発明の方法は、例えば、日光角化症または上皮内新生物、家族性ポリープ症(ポリープ)、子宮頸部異形成、子宮頸癌、表在型膀胱癌および感染と関連している任意のその他の癌(例えば、リンパ腫カポジ肉腫または白血病)などといった前癌状態の治療を含む。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、治療上有効な量の本発明のTLRアゴニスト結合体またはこのような化合物の製薬上許容される塩を投与することによって自己免疫疾患を治療する方法を提供する。例示的自己免疫疾患として、多発性硬化症、狼瘡、リウマチ関節炎などがある。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、本発明のTLRアゴニスト結合体を投与することによってクローン病を治療する方法を提供する。
【0059】
TLRアゴニスト結合体は、例えば、TLR7アゴニストまたはTLR3アゴニストから形成されるホモ官能性TLRアゴニストポリマーを含み得る。TLR7アゴニストは、7−チア−8−オキソグアノシニル(TOG)部分、7−デアザグアノシニル(7DG)部分、レシキモド部分またはイミキモド部分であり得る。別の実施形態では、TLRアゴニスト結合体は、ヘテロ官能性TLRアゴニストポリマーを含み得る。ヘテロ官能性TLRアゴニストポリマーは、TLR7アゴニストおよびTLR3アゴニストまたはTLR9アゴニスト、または3種すべてのアゴニストを含み得る。ヘテロ官能性TLRアゴニストポリマーは、TLR8アゴニストおよびTLR9アゴニストを含み得る。
【0060】
本発明は、例えば、得られた結合体の免疫学的特性を最適化するために、および/または結合体を所望の細胞および組織にターゲッティングするか、送達するために、所望の分子形状、大きさおよび原子価を達成するよう、選択された高分子を含む共有結合によって結合体化している合成TLRアゴニストを含む。本明細書に記載されるように、結合体は、それだけには限らないが、アレルギー性喘息、呼吸器ウイルス感染(インフルエンザおよびRSV)、狼瘡およびその他の自己免疫疾患をはじめとする種々の医学的適用において、また、癌および感染性疾患に対するワクチンのための抗原−アジュバントの組み合わせとして有用であるよう設計される。結合体は、最適免疫応答を提供し、一方で、強力な共有結合によって免疫アクチベーター(合成TLRアゴニスト)を高分子につなぐことによって、望ましくない全身性副作用を制限する。高分子は、ターゲッティング実体および/またはアジュバント−抗原結合体中の抗原などの免疫応答の不可欠な部分として働き得る。限局化環境において安定な結合体を投与する場合の主要な利点は、極めて少量のTLRアゴニストしか、全身環境に経時的に放出されないということである。
【0061】
一実施形態では、高分子は、その表面にアミノ基を有するタンパク質、脂質またはデンドリマーまたはポリマー、例えば、SANHなどのリンカーとのコンジュゲーションに、または合成TLR7アゴニストとの直接コンジュゲーションに利用可能な第1アミノ基を各々有するポリスチレン「アミノビーズ」などの生成物から選択される。例えば、リンカーおよび高分子のコンジュゲーション後、UC−1V150などのTLR7アゴニストを、SANH−高分子結合体のNHSエステルと反応させて、TLR7アゴニスト−SANH−高分子結合体を提供する。
【0062】
ワクチンは、(1)作用するのにかかる時間が長すぎ、(2)免疫無防備状態の患者では有効でないために、通常、急性の状況では使用されない。例えば、黄色ブドウ球菌(SA)感染は、入院患者の罹病率および死亡率の主要な原因である。特に危険のある群として、火傷、外傷、カテーテル留置、透析のために免疫が抑制されているもの、または養護ホームにおける高齢者がある。さらに、病院で獲得されたSAの多数の株が、従来の抗生物質に対して耐性である。
【0063】
本発明は、治療にとってのこれら2つの障壁を克服する。本明細書において、合成TLR7アゴニストおよび合成TLR7アゴニストをグラム陽性菌抗原と組み合わせて含む結合体を含む組成物の使用が提供される。TLR7リガンドは、通常、薬物動態が悪く、迅速に全身吸収され、排泄される。それらは、全身分散のために、サイトカイン症候群をもたらす。有効なアジュバントは、サイトカインおよびケモカインの「免疫勾配」を作り出さなくてはならない。一実施形態では、強力な合成TLR7アゴニストの高分子とのコンジュゲーションによって、送達特性が増強され、薬物動態が改善され、限局化された曝露によって全身毒性が避けられる。
【0064】
一実施形態では、本発明は、哺乳類に、有効量の、グラム陽性菌の細菌抗原と一定量の合成TLR7アゴニストとを含む組成物を投与する工程を含む、哺乳類においてグラム陽性菌感染を予防または抑制する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、哺乳類に、有効量の、グラム陽性菌抗原に結合体化された合成TLR7アゴニストを投与する工程を含む、哺乳類においてグラム陽性菌感染を予防または抑制する方法を提供する。例えば、1V150−MSA結合体は、そのTLR7アゴニスト活性を保持し、増強された効力および低減された毒性を有し、自然免疫の局所活性化を引き起こし、細菌抗原を用いた単回ワクチン接種後、6日以内にT細胞依存性免疫防御を誘導する。
【0065】
一実施形態では、合成TLR7アゴニストは、黄色ブドウ球菌の1種以上の抗原とともに投与されるか、黄色ブドウ球菌の1種以上の抗原に結合体化されている。表1は、特に、救急治療状況において、合成TLR7アゴニストとともに使用するための黄色ブドウ球菌の例示的抗原を提供する。本発明のワクチンは、迅速かつ効果的な免疫応答を予想外に提供し得る。
【0066】
【表1】

一実施形態では、本発明は、以下の結合体
【0067】
【化4】

[Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくはC3〜6シクロアルキルによって置換されたC1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレンまたはシアノであり;
は、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、−O−C(O)NR、−(C〜C)アルキレン−NR、−(C〜C)アルキレン−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C1〜6)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C1〜66)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C1〜6)アルキル、(C1〜6)アルカノイル、ヒドロキシ(C1〜6)アルキル、アリール、アリール(C1〜6)アルキル、アリール、アリール(C1〜6)アルキル、Het、Het(C1〜6)アルキルまたは(C1〜6)アルコキシカルボニルであり;Xは、結合または連結基であり;Rは、高分子であり;nは、1、2、3または4であり;mは、1または2であり;qは、1〜1,000、10、10、10またはそれ以上である]またはその製薬上許容される塩を提供する。高分子基は、身体組織にとって有害ではない(例えば、非毒性である、および/または炎症を引き起こさない)、炭素、酸素、水素、窒素、硫黄、リンまたはそれらの組み合わせからなる有機分子を含むことができ、これらとして、それだけには限らないが、リンカー(X基)を含むか含まない、デンドリマー、タンパク質、ペプチド、脂質およびそれらの製剤(例えば、リポソームナノ粒子)、およびアミノ修飾されたポリマー、例えば、ポリスチレンビーズ、ならびにα−ガラクトシルセラミドが挙げられる(図1参照のこと)。
【0068】
本発明の化合物は、以下の式(IA−1):
【0069】
【化5】

(式中、Xは、化合物の特定の基、例えば、米国特許第6,329,381号(Kurimotoら)に開示されるものと反応するか、連結基との結合を形成するか、反応して高分子との結合を形成し得る基であり、残りの変数は式(IA)について上記で定義されるとおりである)を有する化合物を用いて調製してよい。高分子の限定されない例として、溶解度を高める側鎖、例えば、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノまたはピペラジノ環などを含有する基などを含むもの;アミノ酸、アミノ酸のポリマー(タンパク質またはペプチド)、例えば、ジペプチドまたはトリペプチドなど;炭水化物(多糖)、ヌクレオチドなど、例えば、PNA、RNAおよびDNAなど;有機物質のポリマーなど、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸など;単量体および多量体の脂質;不溶性有機ナノ粒子;非毒性の体物質など、例えば、細胞、脂質、ビタミン、補因子、抗原など、例えば、微生物など、例えば、ウイルス、細菌、真菌などを含むものが挙げられる。抗原は、不活化された全生物を含んでもよく、その小成分、例えば、細胞などを含んでもよい。
【0070】
一実施形態では、本発明の化合物は、以下の式(IC):
【0071】
【化6−1】

(式中、
Xは、NまたはCRであり、ここで、Rは水素、ハロゲン、置換アルキル、非置換アルキル、置換へテロアルキルまたは非置換へテロアルキルであり;
Yは、SまたはNであり;
破線
【0072】
【化6−2】

は、任意の結合を示し;これでは:
Yとアスタリスクで印を付けた炭素間の結合が、二重結合である場合には、Qは、存在せず;
とアスタリスクで印を付けた炭素間の結合が二重結合である場合には、QはO、S、NYまたはNNYであり;
とアスタリスクで印を付けた炭素間の結合が単結合である場合には、Qは水素、シアノ、ニトロ、O−Y、S−Y、NYまたはNYNYであり;ここで
は、水素、置換アルキル、非置換アルキル、置換シクロアルキル、非置換シクロアルキル、置換ヘテロアルキル、非置換へテロアルキル、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、非置換ヘテロアリール、−C(=O)−置換アルキル、−C(=O)−非置換アルキル、−C(=O)O−置換アルキル、−C(=O)O−非置換アルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシルまたはO−Yであり;
、YおよびYは、各々独立に、水素、置換アルキル、非置換アルキル、置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロアルキル、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、非置換ヘテロアリールであり;
Zは、O、SまたはNYであり、ここで、Yは、水素、置換アルキル、非置換アルキル、置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロアルキル、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、非置換ヘテロアリールであり;
およびQは、各々独立に、水素、置換アルキル、非置換アルキル、置換ヘテロアルキル、非置換ヘテロアルキル、置換アリール、非置換アリール、置換ヘテロアリール、非置換ヘテロアリールであり;
は、−O−、−S−または−NR−であり;
は、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環または置換C5〜9複素環であり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、−O−C(O)NR、(C〜C)アルキレン−NR、(C〜C)アルキレン−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)へテロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
ここで、任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アミノ、アルコキシ、アルカノイル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式基上の置換基は、1以上(例えば、1、2、3、4、5または6)のヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲン、複素環(例えば、ピペリジニルまたはモルホリニル)またはアリールであり;
は、結合または連結基であり;
kは、0、1、2、3または4であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
は、細胞、ウイルス、ビタミン、補因子、ペプチド、タンパク質、核酸分子、脂質、ビーズもしくは粒子、例えば、ポリスチレンビーズもしくはナノ粒子またはデンドリマーを含む高分子である)
またはその製薬上許容される塩、例えば、その水和物を有する。
【0073】
特定の実施形態では、基X−Rは、二量体を形成するように第2の式(IC)部分とのリンカーを形成することができる。例えば、リンカーは、本明細書に記載される任意のリンカー、例えば、二価アリールまたはヘテロアリール、ビス−アミドアリール、ビス−アミドヘテロアリール、ビス−ヒドラジドアリール、ビス−ヒドラジドヘテロアリールなどであり得る。あるいは、Qは、ジスルフィド結合を介して二量体を形成するように、第2の式(IC)部分とのリンカーを形成することができる。例えば、図28参照のこと。
【0074】
化合物が、酸性または塩基性塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合には、塩としての化合物の使用は適当であり得る。許容される塩の例として、生理学的に許容される陰イオンを形成する酸を用いて形成される有機酸付加塩、例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩およびα−グリセロリン酸塩がある。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩をはじめとする、適した無機塩もまた形成され得る。
【0075】
許容される塩は、当技術分野で周知の標準手順を用いて、例えば、アミンなどの十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容される陰イオンを与える適した酸と反応させることによって得てもよい。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムもしくはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も作製してよい。
【0076】
アルキルとして、直鎖または分岐C1〜10アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、1−メチルプロピル、3−メチルブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0077】
低級アルキルとして、直鎖または分岐C1〜6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピルなどが挙げられる。
【0078】
用語「アルキレン」とは、二価直鎖または分岐炭化水素鎖(例えば、エチレン:−CH−CH−)を指す。
【0079】
3〜7シクロアルキルとして、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど、およびアルキル置換C3〜7シクロアルキル基、好ましくは、直鎖または分岐C1〜6アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルおよびC5〜7シクロアルキル基、例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどといった基が挙げられる。
【0080】
低級アルコキシとして、C1〜6アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシまたはプロポキシなどが挙げられる。
【0081】
低級アルカノイルとして、C1〜6アルカノイル基、例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイルまたはヘキサノイルなどが挙げられる。
【0082】
7〜11アロイルとして、ベンゾイルまたはナフトイルなどの基が挙げられる。
【0083】
低級アルコキシカルボニルとして、C2〜7アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはプロポキシカルボニルなどが挙げられる。
【0084】
低級アルキルアミノ基とは、C1〜6アルキル基によって置換されたアミノ基、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノなどを意味する。
【0085】
ジ(低級アルキル)アミノ基とは、同一または異なるC1〜6アルキル基で置換されたアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ)を意味する。
【0086】
低級アルキルカルバモイル基とは、C1〜6アルキル基によって置換されたカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル)を意味する。
【0087】
ジ(低級アルキル)カルバモイル基とは、同一または異なるC1〜6アルキル基によって置換されたカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル)を意味する。
【0088】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子を意味する。
【0089】
アリールとは、C6〜10単環式または縮合環状アリール基、例えば、フェニル、インデニルまたはナフチルなどを指す。
【0090】
複素環の、または複素環とは、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、0〜3個の窒素原子(−NR−、ここでRは、本明細書に記載されるとおりのH、アルキルまたはYである)、0〜1個の酸素原子(−O−)および0〜1個の硫黄原子(−S−)を含有する、単環式飽和複素環式基または不飽和単環式基または縮合複素環式基を指す。飽和単環式複素環式基の限定されない例として、5または6員の飽和複素環式基、例えば、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニルまたはピラゾリジニルが挙げられる。不飽和単環式複素環式基の限定されない例として、5または6員の不飽和複素環式基、例えば、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジルまたはピリミジニルが挙げられる。不飽和縮合複素環式基の限定されない例として、不飽和二環式複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、キノリル、ベンゾチゾリル、クロマニル、ベンゾフラニルなどが挙げられる。Het基は、飽和複素環式基または不飽和複素環式基、例えば、ヘテロアリール基であり得る。
【0091】
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成してもよい。複素環式環の限定されない例として、5または6員の飽和複素環式環、例えば、1−ピロリジニル、4−モルホリニル、1−ピペリジル、1−ピペラジニルまたは1−ピラゾリジニル、5または6員の不飽和複素環式環、例えば、1−イミダゾリルなどが挙げられる。
【0092】
のアルキル、アリール、複素環式基は、1以上の置換基で場合により置換されていてもよく、ここで置換基は、同一であっても異なっていてもよく、低級アルキル;シクロアルキル、ヒドロキシル;ヒドロキシC1〜6アルキレン、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルまたは3−ヒドロキシプロピル;低級アルコキシ;C1〜6アルコキシC1〜6アルキル、例えば、2−メトキシエチル、2−エトキシエチルまたは3−メトキシプロピル;アミノ;アルキルアミノ;ジアルキルアミノ;シアノ;ニトロ;アシル;カルボキシル;低級アルコキシカルボニル;ハロゲン;メルカプト;C1〜6アルキルチオ、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオまたはブチルチオ;置換C1〜6アルキルチオ、例えば、メトキシエチルチオ、メチルチオエチルチオ、ヒドロキシエチルチオまたはクロロエチルチオ;アリール;置換C6〜10単環式または縮合環状アリール、例えば、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニル;5〜6員の不飽和複素環、例えば、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チエニル、ピリジルまたはピリミジニル;および二環式不飽和複素環、例えば、インドリル、イソインドリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、クロマニル、ベンゾフラニルまたはフタリミノを含む。特定の実施形態では、1以上の上記の基が、式の種々のその他の基の置換基として明確に排除される場合もある。
【0093】
いくつかの実施形態では、式の5員環は、例えば、上記の式IAのYがSであり、Qが存在しないチアゾール環である。
【0094】
のアルキル、アリール、複素環式基は、1以上の置換基で場合により置換されていてもよく、ここで、置換基は、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル;C1〜6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシまたはプロポキシ;カルボキシル;C2〜7アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはプロポキシカルボニル)およびハロゲンを含む。
【0095】
のアルキル、アリール、複素環式基は、1以上の置換基で場合により置換されていてもよく、ここで、置換基は、同一であっても異なっていてもよく、C3〜6シクロアルキル;ヒドロキシル;C1〜6アルコキシ;アミノ;シアノ;アリール;置換アリール、例えば、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニル;ニトロおよびハロゲンを含む。
【0096】
およびRおよびそれらが結合している窒素原子と一緒になって形成された複素環式環は、1以上の置換基で場合により置換されていてもよく、ここで、置換基は同一であっても異なっていてもよく、C1〜6アルキル;ヒドロキシC1〜6アルキレン;C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン;ヒドロキシル;C1〜6アルコキシ;およびシアノを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、QがO−Yである場合は、Yは水素ではない。
【0098】
Xの特定の値は、Nである。
【0099】
Xの別の特定の値は、CHである。
【0100】
もちろん、示される式の化合物の1分子中に、破線で示される2つの結合のうち一方のみが、存在する場合がある。一実施形態では、Yとアスタリスクで印を付けた炭素間の結合は、二重結合である。別の実施形態では、Qとアスタリスクで印を付けた炭素間の結合は、二重結合である。
【0101】
の特定の値は、Oである。
【0102】
の別の特定の値は、Sである。
【0103】
の別の特定の値は、NY、例えば、=NHである。
【0104】
の別の特定の値は、NNYである。
【0105】
一実施形態では、Qとアスタリスクで印を付けた炭素間の結合は、単結合である。
【0106】
の特定の値は、水素である。
【0107】
の別の特定の値は、NHである。
【0108】
の別の特定の値は、O−Yである。
【0109】
の特定の値は、水素である。
【0110】
の別の特定の値は、アルキル、例えば、(C〜C)アルキル、例えば、メチルである。
【0111】
の別の特定の値は、アリール、例えば、フェニルである。
【0112】
、YおよびY各々の特定の値は、水素である。
【0113】
、YおよびY各々の特定の値は(独立に)、アルキル、例えば、(C〜C)アルキル、例えば、メチルである。
【0114】
、YおよびY各々の別の特定の値は(独立に)、アリール、例えば、フェニルである。
【0115】
Zの特定の値は、Oである。
【0116】
Zの別の特定の値は、Sである。
【0117】
Zの別の特定の値は、NYであり、ここで、Yは、水素、メチルまたはフェニルである。
【0118】
の特定の値は、水素である。
【0119】
の別の特定の値は、メチルまたはフェニルである。
【0120】
の特定の値は、水素である。
【0121】
の別の特定の値は、メチルまたはフェニルである。
【0122】
の特定の値は、硫黄原子、酸素原子または−NR−である。
【0123】
別の特定のXは、硫黄原子である。
【0124】
別の特定のXは、酸素原子である。
【0125】
別の特定のXは、−NR−である。
【0126】
別の特定のXは、−NH−である。
【0127】
Yの特定の値は、Nである。
【0128】
Yの別の特定の値は、Sである。
【0129】
の特定の値は、水素、C1〜4アルキルまたは置換C1〜4アルキルである。
【0130】
一緒になったRおよびRの特定の値は、それらが形成する場合には、複素環式環または置換複素環式環である。
【0131】
一緒になったRおよびRの別の特定の値は、置換または非置換モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノまたはピペラジノ環である。
【0132】
の特定の値は、水素、C1〜4アルキルまたは置換C1〜4アルキルである。
【0133】
別の特定のRは、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、メチルチオメチル、2−メチルチオエチル、3−メチルチオプロピル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、メトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、ベンジル、フェネチル、4−ピリジルメチル、シクロヘキシルメチル、2−チエニルメチル、4−メトキシフェニルメチル、4−ヒドロキシフェニルメチル、4−フルオロフェニルメチルまたは4−クロロフェニルメチルである。
【0134】
別の特定のRは、水素、CH−、CH−CH−、CHCHCH−、ヒドロキシC1〜4アルキレンまたはC1〜4アルコキシC1〜4アルキレンである。
【0135】
の別の特定の値は、水素、CH−、CH−CH−、CH−O−CHCH−またはCH−CH−O−CHCH−である。
【0136】
の特定の値は、水素、ハロゲンまたはC1〜4アルキルである。
【0137】
の別の特定の値は、水素、クロロ、ブロモ、CH−またはCH−CH−である。
【0138】
アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換の特定の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、C3〜6シクロアルキル、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールである。
【0139】
の特定の値は、結合または最大約24個の原子を有する鎖であり;ここで、原子は、炭素、窒素、硫黄、非過酸化物酸素およびリンからなる群から選択される。
【0140】
の別の特定の値は、結合または約4〜約12個の原子を有する鎖である。
【0141】
の別の特定の値は、結合または約6〜約9個の原子を有する鎖である。
【0142】
の別の特定の値は、以下である
【0143】
【化6−3】

【0144】
【化6−4】

の別の特定の値は、以下である
【0145】
【化6−5】

特定の実施形態では、リンカーまたは基Xは、PCT出願公開番号WO2007/024707に開示されるリンカーではない。さらに、いくつかの実施形態では、Rは、PCT出願公開番号WO2007/024707に開示される補助物ではない。
【0146】
特定の高分子として、アミノ酸、炭水化物、ペプチド、タンパク質、抗原、核酸、脂質、デンドリマー、体物質、すなわち、微生物などの細胞がある。
【0147】
特定のペプチドは、2〜約20個のアミノ酸残基を有する。
【0148】
別の特定のペプチドは、10〜約20個のアミノ酸残基を有する。
【0149】
特定の高分子として、炭水化物が挙げられる。
【0150】
特定の核酸として、DNA、RNAまたはPNAがある。
【0151】
特定の高分子として、細胞、脂質、ビタミン、脂質または補因子がある。
【0152】
特定の抗原として、微生物がある。
【0153】
特定の微生物として、ウイルス、細菌または真菌がある。
【0154】
別の特定の微生物として、ウイルスまたは細菌がある。
【0155】
特定の細菌として、炭疽菌、リステリア菌、野兎病菌、サルモネラ菌またはブドウ球菌がある。
【0156】
特定のサルモネラ菌として、ネズミチフス菌または腸炎菌がある。
【0157】
特定のブドウ球菌として、黄色ブドウ球菌が挙げられる。
【0158】
特定のウイルスとして、RSVおよびインフルエンザウイルスをはじめとするRNAウイルス、RNAウイルスの産物またはヘルペスウイルスをはじめとするDNAウイルスがある。
【0159】
特定のDNAウイルスとして、B型肝炎ウイルスがある。
【0160】
その他の実施形態では、高分子は、アミノ酸、炭水化物、ペプチド、抗原、例えば、微生物、例えば、ウイルス(例えば、RNAウイルス、例えば、SIV、C型肝炎ウイルスもしくはコロナウイルス、RNAウイルスの産物またはB型肝炎ウイルスなどのDNAウイルス、真菌または細菌、例えば、炭疽菌(anthrax)、リステリア菌、野兎病菌もしくはサルモネラ菌(例えば、ネズミチフス菌もしくは腸炎菌)、核酸、例えば、DNA、RNA、PNA、または体物質、例えば、細胞もしくは脂質ではない。
【0161】
kの特定の値は、0である。kの別の特定の値は、1である。kの別の特定の値は、2である。いくつかの実施形態では、kは1ではない。
【0162】
本発明の特定の化合物は、以下の一般式
【0163】
【化6−6】

(式中、IAは、本明細書に開示されるとおりであり;Lは存在しないか、または連結基であり;各A基は、独立に、高分子を表す)
を有する。
【0164】
本発明は、本発明の化合物の組成物を、場合により、その他の活性薬剤、例えば、リバビリン、ミゾリビンおよびミコフェノール酸モフェチルと組み合わせて含む。その他の限定されない例が知られており、米国公開特許出願第20050004144号に開示されている。
【0165】
本発明の化合物を調製するために有用な中間体を調製するために本発明の化合物を調製する方法は、本発明のさらなる実施形態として提供される。本発明の化合物を調製するのに有用な中間体もまた、本発明のさらなる実施形態として提供される。
【0166】
例えば、本発明の化合物(結合体)は、当技術分野で公知の標準合成法を用いて調製してよい。一般的なエステルおよびアルデヒド合成を以下に示す。UC−1V150は、2,6−ジクロロプリンから7工程で合成した。UC−1V150のベンジル部分の遊離アルデヒド基は、アゴニストを、ヒドラジンまたはアミノ基を含むリンカー分子を介して、多数の異なる補助的化学実体、例えば、タンパク質、オリゴヌクレオチド、芳香族分子、脂質、ウイルスおよび細胞と連結することが可能となる。
【0167】
【化7】

【0168】
【化8】

UC−1V150の化学 UC−1V150の合成および示された化合物2〜8の調製は以下のとおりである。化合物2:4−(2,6−ジクロロプリン−9−イルメチル)ベンゾニトリル。2,6−ジクロロ−9H−プリン(1.16mmol)を、DMF(50mL)に溶解し、炭酸カリウム(50mmol)を加え、α−ブロモ−p−トルニトリル(22mmol)を加えた後、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。濾過して不溶性無機塩を除去した後、濾液を水(1500mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(2×400mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させると残渣が得られ、これを1:2:10酢酸エチル/アセトン/ヘキサンを用いるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーに付した。収量3.33g(69%)。UV、NMRおよびMSは、構造帰属と一致した。化合物3:4−(6−アミノ−2−クロロプリン−9−イルメチルベンゾニトリル。化合物2(1.9g)を、スチール反応容器に入れ、メタノール性アンモニア(80mL、7N)を加えた。密閉した容器を60℃で12時間加熱し、氷中で冷却し、固体生成物を濾過した。収量1.09g。UV、NMRおよびMSは、与えられた構造と一致した。化合物4:4−[6−アミノ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリル。まず、加熱しながら、2−メトキシエタノール(30mL)にナトリウム金属(81mg)を溶解することによって2−メトキシエタノールのナトリウム塩を作製し、次いで、メトキシエタノールに溶解した化合物3(1.0g)を加えた(300mL、加熱しながら)。反応混合物を、115℃の浴温度で8時間加熱し、乾燥近くに真空濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび水の間に分配した。ジクロロメタン中、5%メタノールを用いる有機層のフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって、763mgの生成物が得られた。NMRは、構造帰属と一致していた。化合物5:4−[6−アミノ−8−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリル。ジクロロメタン(400mL)に化合物4(700mg)を溶解し、臭素(7mL)を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌し、まず、チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.1Mの2L)で抽出し、次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL、飽和)で抽出した。有機層から得た残渣を、ジクロロメタン中、3%メタノールを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに付すと、460mgのブロモ生成物が得られた。NMR、WおよびMSは、構造帰属と一致していた。化合物6:4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリル。無水メタノール(30mL)中、ナトリウム金属(81mg)の反応によって、ナトリウムメトキシドを作製し、無水ジメトキシエタンに溶解した化合物5(700mg)の溶液を合わせ、温度を100℃に上げた。一晩反応させた後、混合物を真空濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中5%メタノールを用いるシリカでのクロマトグラフィーに付した。収量120mg。NMRは、構造帰属と一致していた。化合物7:4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンズアルデヒド。無水THF(3mL)に化合物6(100mg)を溶解し、アルゴン下で0℃に冷却した。還元剤、水素化N,N’−(ジメチルエチレンジアミノ)アルミニウムリチウムを用いて、ニトリルをアルデヒド官能基に変換した。無水THF中、0.5M溶液を調製し、調製したものの0.72mLを反応フラスコに加えた。混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、3M HClを加えることによってクエンチし、酢酸エチル、続いて、ジクロロメタンで抽出し、次いで、真空濃縮すると、85mgが得られた。NMRは、構造帰属と一致していた。化合物8:4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンズアルデヒド(UC−1V150)。化合物7(800mg)を、ヨウ化ナトリウム(504mg)およびアセトニトリル(40mL)と合わせ、クロロトリメチルシラン(0.5mL)をゆっくりと加えた。混合物を、70℃で3.5時間加熱し、冷却し、濾過した。固体生成物を、水、次いで、エーテルで洗浄すると、406mgが得られた。NMR、UVおよびMSは、構造帰属と一致していた。
【0169】
特定の化合物を調製するためのさらなる例が、本明細書に含まれる。
【0170】
本明細書において実施例に記載されるように、生理学的条件下で、第一級アミンと共有結合で連結できる可溶性TLR7アゴニストを調製した。次いで、骨髄由来マウスまたは末梢血単核細胞由来樹状細胞(DC)を利用して、数種の化合物および抗原−アジュバント複合体のin vitro活性を試験して、DC成熟およびサイトカイン分泌(例えば、IL−12、IL−6、TGF−βおよびIFN−γ)を特性決定した。免疫適格性同一遺伝子C57/Blマウスに、皮内抗原−TLR7アゴニスト複合体を用い予防的にワクチン接種し、cOVA導入遺伝子を発現するB16黒色腫腫瘍細胞を用いて抗原投与した。
【0171】
各化合物の有効な濃度(EC50)は、通常、ベル型分布となり、高用量は阻害性であった。最大刺激は、10から1000nMの間で生じた。TLRアゴニストに、共有結合したアジュバント分子は、活性を保持していたが、通常、EC50値はより低かった。ニワトリオボアルブミンにUC−1V199を結合することによって、ニワトリオボアルブミン単独と比較して、皮下腫瘍抗原投与後22から35日へと平均生存期間がほぼ2倍になった。
【0172】
したがって、腫瘍抗原とのTLR7アゴニストの共有結合連結は、DCサイトカイン産生を刺激し、マウスを腫瘍抗原投与から保護した。抗原などの高分子との結合後に、生理学的条件下で、その免疫刺激特性を保持する適したTLR7アゴニストの使用は、充実腫瘍療法ににおけるin situワクチンの開発において有用であり得る。
【0173】
分子量が200〜400kDの種々のプリン、ピリジンおよびイミダゾキノリンは、TLR7を活性化することがわかっており、特異的TLR7リガンドである化合物は、モルベースで、イミキノドよりも100〜1000倍より強力である(Leeら、下掲)。これらのTLRアゴニストは、ヌクレオチドの正常な成分と構造的に極めて類似しているので、TLRアゴニストが、反復投与後にハプテンの免疫反応を誘導する可能性は極めて低い。
【0174】
アデニンベースのTLR7ファルマコア(pharmacore)は、TLR7が発現される樹状細胞のエンドソームへの取り込みを促進するために、「補助基」(高分子)に共有結合によって結合され、TLRアゴニストを保持する必要があり得る。したがって、TLR7アゴニストUC−1V150を調製し、そのアルデヒド官能基およびリンカーを介して、マウスアルブミン(MSA)を含む種々のタンパク質上の遊離アミノ基に結合した(図3)。結合体は、結合されていないアデニン類似体よりもin vitroおよびin vivoで100倍より強力であった。さらに、マウスへのアルブミン結合体(UC−1V150/MSA)の肺内投与は、肺胞洗浄液(BALF)において局所サイトカイン産生を誘導したが、全身サイトカイン放出は伴わなかった。好対照に、気道への、繋ぎ止められていない薬物の送達は、迅速に、血流におけるサイトカイン放出を引き起こした。
【0175】
一実施形態では、TLR7アゴニストは、TNFαおよびIL−1と比較して、Th1刺激性サイトカイン(インターフェロンおよびIL−12)の産生を最大にした。TLR7は、DCにおいて絶えず合成され、成熟するエンドソーム小胞の内表面に局在している。例えば、喘息を予防するためには、樹状細胞の初期エンドソームへ移動し、主にI型インターフェロンを誘導する安定かつ強力なTLRアゴニストが好ましい。結合体、UC−1V199/L(図6)は、エンドソーム小胞を含む細胞の脂質膜中に迅速かつ安定に挿入するであろうと期待をこめて、TLRアゴニストを、リン脂質補助基に共有結合によって結合した。著しいことに、骨髄由来マウス単核細胞において、ほんの30ピコモルのUC−1V199/Lが、サイトカイン合成を誘導した。図7〜8は、IL−12合成のデータを示す。
【0176】
プリンまたはイミダゾキロリンであるTLR7リガンドは、独特の特性、すなわち、二相性用量反応曲線を有する。これらの薬物は、高濃度ではサイトカイン合成を誘導できない。高度に精製された樹状細胞において、二相性効果が観察され、細胞自律的であると思われる。しかし、UC−1V199/Lの卓越した効力によって、薬理学的に許容される薬物濃度を用いて、現象の再調査が可能となった(図9)。最大サイトカイン産生は、10nM UC−1V199/Lで観察されたが、より高濃度は、漸減するIL−12(およびTNF)放出を誘導した。
【0177】
TLR7アゴニストの高い、継続した濃度は、24時間以上持続し得るTLR再刺激に対する不応性を誘導することがわかっている。このような複雑な調節系は、炎症反応の際に細胞および組織が自己破壊するのを防ぐフェイルセーフ機構の一部であるようである。したがって、大幅なサイトカイン合成を誘導できないUC−1V199/Lの濃度が、それでもなお、「TLR耐性」を誘導できるかどうかを調べることが注目された。実際、骨髄由来単核細胞が、活性化しない濃度のUC−1V199/L(1μM)に曝露され、24時間後に、UC−1V150とともに、またはpam3Cys(P3C、TLR2アクチベーター)とともに同一化合物を用いて再刺激した場合には、それらは、著しく減少したサイトカイン応答を示した。対照的に、UC−1V199/L処理した細胞は、TRIF経路を経る、TLR3およびTLR4のリガンドに対する応答性を保持していた(結果は示されていない)。予備実験によって、in vivoで非応答性も誘導されることが示された。したがって、UC−1V199/Lおよび関連薬物の毎日の投与は、TLR活性化と関連した全身性副作用を伴わずに、MyD88依存性刺激によって誘発される炎症を抑制し得る。
【0178】
一実施形態では、本発明の結合体は、喘息を予防、抑制または治療するために有用であり得る。喘息は、間欠的可逆性気道収縮のエピソード、気管支平滑筋過形成および慢性炎症を特徴とする。アトピー性疾患は、喘息の素因となるが、罹患した患者の半数ほどはアトピーではない。喘息のその他の環境危険因子として、タバコの煙および大気汚染物が挙げられる。さらに、罹患した喘息患者における疾患再燃は、アレルゲンによってだけではなく、気道刺激物質、温度変化および感染によっても引き起こされ得る。
【0179】
アレルギー性反応の最初の発生は、一部には、Th1およびTh2リンパ球ならびにそのそれぞれのサイトカイン、特に、インターフェロンおよびIL−4間のバランスによって調節される。アレルゲンを、TLR7またはTLR9アゴニストとともに用いる動物のワクチン接種は、アレルゲン特異的Th1記憶細胞を選択的に増大させた。結果として、抗原をTh2偏向アジュバントとともに用いるその後の免疫化は、IgE反応を容易には誘発しない。抗原およびTLR7またはTLR9アゴニストを用いてワクチン接種したマウスは実験的喘息に対して耐性であった。
【0180】
TLRアゴニストを用いる喘息の治療には、喘息の予防に対して異なるアプローチが必要である。罹患患者では、気道および肺組織は、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、肥満細胞、好酸球および好中球の多数のサブセットをはじめとする炎症細胞の多様な集団で、すでに浸潤されている。この状況では、TLRアゴニストは、TNF−αおよびIL−1などの炎症性メディエーターの放出を増強することによって、疾患を増悪する可能性がある。実際、種々の微生物製剤のTLRを活性化する能力は、それらが喘息発作を引き起こす理由を説明できる。
【0181】
喘息の予防のためのTLRアゴニストは、肺に限局されるが、TNF−αおよびIL−1と比較してTh1刺激性サイトカイン(インターフェロンおよびIL−12)の産生を最大にすることが好ましい。TLR7およびTLR9の両方とも、樹状細胞において絶えず合成され、成熟するエンドソーム小胞の内表面に局在する。凝集したホスホジエステルオリゴヌクレオチドであるTLR9活性化オリゴヌクレオチドは、初期エンドソーム小胞により長く滞在し、したがって、非凝集ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドよりも多くのI型インターフェロンを誘導し、初期エンドソーム小胞は成熟小胞に進む。これらの結果は、TLRアゴニストの空間的組織化が、その輸送および誘導されるサイトカイン合成のパターンを左右することを暗示する。喘息を予防するためには、樹状細胞の初期エンドソームに移動し、主にI型インターフェロンを誘導する、安定で、強力で、分子的に特徴付けられたTLRアゴニストが好ましい。
【0182】
本発明の結合体の、アレルギー性喘息に対する効果を研究するために、0日目および7日目に、生理食塩水中の、マウス1匹あたり500μgのミョウバンで吸収された20μgのオボアルブミンの皮下注射によってマウスを感作することによって気道炎症を誘導する。16日目および21日目に、マウスに、マウス1匹あたり5μgのオボアルブミンを用いて鼻腔内に抗原投与する。結合体は、16日目の最初のオボアルブミン抗原投与に先立つ種々の時点で、鼻腔内、経口または静脈内で投与する。最後の抗原投与の24時間後(22日目)、気道応答性を測定し、マウスを屠殺し、BALF細胞、肺および脾臓サンプルを採取した。未処置のマウスおよびオボアルブミン/ミョウバンで感作したマウスが対照として役立つ。BALF中の細胞の総数を計数し、ライト・ギムザで染色して、好酸球、リンパ球、好中球および肥満細胞の数を調べる。BALFにおけるサイトカインレベルは、Luminexアッセイによって調べる。メタコリンに対する気道応答性を、単一のチャンバー、全身プレスチモグラフィーを用いて、最後の抗原投与後24時間評価する。Penh、人工呼吸されたマウスにおける従来の2チャンバープレスチモグラフィーによって測定される肺の耐性とよく相関する無次元値を用いて、気道応答性をモニターする。
【0183】
本発明の化合物は、治療を必要とする被験体に、治療上有効な量で投与される。本発明の組成物の投与は、任意の適した投与経路、特に、非経口的に、例えば、静脈内に、動脈内に、腹膜内に、くも膜下腔内に、脳室内に、尿道内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内にまたは皮下によるものであり得る。このような投与は、単回のボーラス注射、複数回の注射として、または短期間もしくは長期間の注入としてであり得る。特定の製剤の同等の、または変動する投与量の経時的な周期的な非経口送達のためにに、埋め込み可能な装置(例えば、埋め込み可能な注入ポンプ)を使用してもよい。このような非経口投与には、本化合物は、水または別の適した溶媒または溶媒の混合物中の、滅菌溶液として製剤されることが好ましい。溶液は、溶液を血液、酢酸、クエン酸および/またはリン酸およびそれらのナトリウム塩などの緩衝剤ならびに保存料と等張にするために、塩、糖(特にグルコースまたはマンニトール)などのその他の物質を含んでもよい。
【0184】
本発明の化合物は、医薬組成物として製剤し、選択された投与経路、すなわち、経口的に、または非経口的に、静脈内、筋肉内、局所または皮下経路によってに適応した種々の形態で、ヒト患者などの哺乳類宿主に投与してもよい。
【0185】
したがって、本化合物は、製薬上許容されるビヒクル、例えば、不活性の希釈液または吸収可能な食用担体と組み合わせて、全身に、例えば、経口的に投与してよい。それらは、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤に打錠してもよく、または患者の食事の食品と直接組み合わせてもよい。経口治療的投与には、活性化合物を、1種以上の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、ウェハなどの形態で使用してもよい。このような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含まなければならない。組成物および製剤のパーセンテージは、もちろん、変わってもよく、所与の単位投与形の重量の約2〜約60%の間であり得ることが好都合である。このような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量レベルが得られるようなものである。
【0186】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などはまた、以下:トラガカントゴム、アラビアガム、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームなどの甘味剤またはペパーミント、ウィンターグリーン油などの矯味剤を含んでもよく、またはチェリー矯味剤を加えてもよい。単位投与形がカプセル剤である場合には、上記の種類の物質に加え、さらに、植物油またはポリエチレングリコールなどの液体担体を含み得る。コーティングとして、またはそうでなければ、固体単位投与形の物理的形態を修飾するために、種々のその他の物質が存在してもよい。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、セラックまたは糖などでコーティングしてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてスクロースまたはフルクトース、保存料としてメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジフレーバーなどの矯味剤を含んでもよい。もちろん、任意の単位投与形を調製するのに用いられる任意の物質は、製薬上許容され、使用される量で実質的に非毒性でなくてはならない。さらに、活性化合物は、持続放出製剤および装置に組み込んでもよい。
【0187】
活性化合物はまた、注入または注射によって、静脈内に、または腹膜内に投与してよい。活性化合物またはその塩の溶液は、非毒性界面活性剤と場合により混合されていてもよい水で調製してもよい。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンおよびそれらの混合物で、またはオイルで調製してもよい。通常の保存および使用条件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を防ぐために保存料を含む。
【0188】
注射または注入に適した薬剤投与形は、場合によりリポソームに封入された、滅菌注射用もしくは注入用溶液または分散物の即時調製に適応した有効成分を含む、滅菌水溶液もしくは分散物または滅菌散剤を含み得る。すべての場合において、最終的な投与形は、製造および保存条件下で、無菌、流体および安定でなくてはならない。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステルおよびそれらの適した混合物を含む溶媒または液体分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によって、分散物の場合には必要な粒径の維持によって、または界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含むことが好ましいこととなる。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0189】
滅菌注射用溶液は、必要な量の活性化合物を、必要に応じて、上記に列挙される種々のその他の成分とともに適当な溶媒中に組み込むことと、それに続く、フィルター滅菌によって調製する。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌散剤の場合には、好ましい調製方法として、真空乾燥および凍結乾燥技術があり、これは、有効成分および予め滅菌濾過された溶液中に存在する任意のさらなる所望の成分の散剤が得られる。
【0190】
局所投与には、本化合物は、純粋な形態(すなわち、それらが液体である場合には)で適用してもよい。しかし、通常、それらを、固体であっても液体であってもよい皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、組成物または製剤として皮膚に投与することが望まれる。
【0191】
有用な固体担体として、タルク、クレイ、微晶質セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉化した固体が挙げられる。有用な液体担体として、本化合物を、場合により非毒性界面活性剤を用いて、有効なレベルで溶解または分散できる、水、アルコールまたはグリコールまたは水−アルコール/グリコールブレンドが挙げられる。所与の使用のための特性を最適化するために、香料およびさらなる抗菌剤などのアジュバントを加えてもよい。得られた液体組成物は、吸収パッドから適用してもよく、包帯またはその他の包帯材を含浸させるために使用してもよく、ポンプ型またはエアゾール噴霧器を用いて罹患領域に噴霧してもよい。
【0192】
また、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、修飾セルロースまたは修飾無機物質などの増粘剤を液体担体とともに使用して、使用者の皮膚へ直接塗布するための、塗ることができるペースト、ゲル、軟膏、石鹸などを形成してもよい。
【0193】
さらに、一実施形態では、本発明は、吸入送達のための結合体の種々の投与形製剤を提供する。例えば、製剤は、定量吸入器、乾燥散剤吸入器およびネブライザーなどの装置におけるエアゾール使用のために設計してもよい。
【0194】
本発明の化合物を、皮膚に送達するために使用できる有用な皮膚科学用組成物の例は、当技術分野で公知であり、例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照のこと。
【0195】
本発明の化合物の有用な投与量は、動物モデルにおいて、そのin vitro活性およびin vivo活性を比較することによって調べることができる。マウスおよびその他の動物における有効な投与量を、ヒトへ外挿する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,938,949号参照のこと。本発明の化合物の、TLRアゴニストとして作用する能力は、当技術分野では周知である薬理学的モデル、例えば、Leeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、100:6646頁(2003年)によって開示された手順を用いて調べることができる。
【0196】
通常、ローションなどの液体組成物中の本発明の化合物(複数可)の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは、約0.5〜10重量%となる。ゲルまたは散剤などの半固体または固体組成物中の濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは、約0.5〜2.5重量%となる。
【0197】
有効成分は、約0.5〜約75μM、好ましくは、約1〜50μM、最も好ましくは、約2〜約30μMの活性化合物のピーク血漿濃度を達成するよう投与してよい。これは、例えば、場合により生理食塩水中、有効成分0.05%〜5%溶液の静脈内注入、または約1〜100mgの有効成分を含有するボーラスとしての経口投与によって達成され得る。望ましい血液レベルは、約0.01〜5.0mg/Kg/時間を提供するよう連続注入によって、または約0.4〜15mg/kgの有効成分(複数可)を含有する間欠的注入によって維持され得る。
【0198】
治療において使用するために必要とされる、化合物またはその活性塩もしくは誘導体の量は、選択される個々の塩に応じてだけでなく、投与経路、治療されている状態の性質ならびに患者の年齢および状態に応じても変わり、最終的には、付き添いの医師または臨床医の判断に任せられる。しかし、通常、適した用量は、約0.5〜約100mg/体重1kg/日、例えば、約10〜約75mg/体重1kg/日、例えば、3〜約50mg/受容者の体重1kg/日の範囲、好ましくは、6〜90mg/kg/日の範囲、最も好ましくは、15〜60mg/kg/日の範囲となる。
【0199】
化合物は、例えば、単位投与形あたり5〜1000mg、好都合には、10〜750mg、最も好都合には、50〜500mgの有効成分を含有する単位投与形で投与されることが好都合である。
【0200】
所望の用量は、単回用量で、または適当な間隔で投与される分割用量として、例えば、1日あたり2、3、4もしくはそれより多い小用量として提示されることが好都合であり得る。小用量自体を、例えば、いくつかの別個の軽く間隔をあけた投与、例えば、吸入器からの複数回吸入に、または眼への複数の液滴の投与によってさらに分割してもよい。用量およびおそらくは投薬回数もまた、個々の患者の年齢、体重、状態および反応に応じて変わる。通常、本明細書に記載される状態のための、化合物または式(I)の化合物の合計1日用量範囲は、単回または分割用量中、約50mg〜約5000mgであり得る。好ましくは、1日用量範囲は、単回または分割用量、例えば、6時間毎の750mgの経口投与される化合物中、約100mg〜約4000mg、最も好ましくは、約1000〜3000mgであるべきである。これは、癌細胞を死滅させるのに有効であり得る、約500〜750μMの血漿レベルを達成し得る。患者の管理では、治療は、低用量で開始され、患者の全体的な反応に応じて増加されるべきである。
【0201】
上記のように、本発明の化合物を含む組成物は、例えば、ヒトまたはその他の哺乳類(例えば、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジおよびブタ動物)およびおそらくは、同様にその他の動物における疾患または障害の治療または予防において有用である。特定の化合物に応じて、組成物は、例えば、癌、感染症を治療するために、獲得免疫(例えば、抗体産生、T細胞活性化など)を増強するために、ワクチンとして、および/または中枢神経系を刺激するために有用である。
【0202】
本発明を、以下の限定されない例によってさらに説明する。
【実施例】
【0203】
実施例I
式(I)の化合物を調製する手順が、本発明のさらなる実施形態として提供され、以下の手順によって例示され、これでは、一般基の意味は、特に断りのない限り、上記で示されるとおりである。
【0204】
一般化学。試薬および溶媒はAldrich、Milwaukee、WIから入手した。未補正融点を、実験室装置Mel−Temp IIキャピラリー融点装置で調べた。プロトン核磁気共鳴スペクトルを、Varian Unity 500 NMR 分光光度計で499.8MHzで、またはVarian水銀NMR分光光度計で400.06MHzで記録した。化学シフトは、示された基準から得たスケールでppmで報告した。陽イオンおよび陰イオンループマススペクトルは、Department of Chemistry UCSD、San Diego、CAによって実施された。元素分析は、NuMega Resonance Labs、San Diego、CAによって実施された。カラムクロマトグラフィーは、示された溶媒系を用いE Merckシリカゲル(230〜400メッシュ)で実施した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル60F−254プレートで(EM Reagents)で実施した。
【0205】
4−(2,6−ジクロロプリン−9−イルメチル)ベンゾニトリルの調製。DMF(50mL)に2,6−ジクロロ−9H−プリン(16mmol)を溶解し、炭酸カリウム(50mmol)を加える。次いで、α−ブロモ−p−トルニトリル(22mmol)を加え、混合物を周囲温度で16時間撹拌する。濾過して不溶性無機塩を除去した後、濾液を水(1500mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(2×400mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させると残渣が得られ、これを、1:2:10酢酸エチル/アセトン/ヘキサンを用いるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーに付す。収量3.33g(69%)。UV、NMRおよびMSは、構造帰属と一致していた。
【0206】
4−(6−アミノ−2−クロロプリン−9−イルメチルベンゾニトリルの調製。上記の生成物(1.9g)をスチール反応容器に入れ、メタノール性アンモニア(80mL、7N)を加える。密閉容器を、60℃で12時間加熱し、氷中で冷却し、固体生成物を濾過する。収量1.09g。UV、NMRおよびMSは、与えられた構造と一致していた。
【0207】
4−[6−アミノ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリルの調製。加熱しながら、2−メトキシエタノール(30mL)にナトリウム金属(81mg)を溶解することによって2−メトキシエタノールのナトリウム塩を作製する。この溶液に、メトキシエタノール(300mL、加熱しながら)に溶解した実施例2の生成物(1.0g)を加える。反応混合物を、115℃の浴温度で8時間加熱し、乾燥近くに真空濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび水の間に分配する。ジクロロメタン中、5%メタノールを用いる有機層のフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって、763mgの生成物が得られた。NMRは、構造帰属と一致している。
【0208】
4−[6−アミノ−8−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリルの調製。直前の生成物(700mg)を、ジクロロメタン(400mL)に溶解し、臭素(7mL)を滴下する。この混合物を、室温で一晩撹拌し、チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.1Mの2L)で抽出し、次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL、飽和)で抽出する。有機層から得た残渣を、ジクロロメタン中、3%メタノールを用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーに付すと、460mgのブロモ生成物が得られる。NMR、UVおよびMSは、構造帰属と一致している。
【0209】
4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリルの調製。無水メタノール(30mL)中、ナトリウム金属(81mg)の反応によって、ナトリウムメトキシドを作製する。直前の生成物(700mg)を無水ジメトキシエタンに溶解し、溶液を合わせ、温度を100℃に上げる。一晩反応させた後、混合物を真空濃縮し、残渣を、ジクロロメタン中5%メタノールを用いるシリカでのクロマトグラフィーに付す。収量120mg。NMRは、構造帰属と一致している。
【0210】
水素化N,N’−(ジメチルエチレンジアミノ)アルミニウムリチウムの調製。ニトリルをアルデヒド官能基に変換するために使用されるこの還元剤を、本質的に、Bull. Korean Chem. Soc.、23:1697頁(2002年)に記載のとおり調製する。無水THF中、0.5M溶液を調製する。
【0211】
4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンズアルデヒドの調製。無水THF(3mL)に4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリル(100mg)を溶解し、アルゴン下で0℃に冷却する。上記で作製した水素化アルミニウム試薬(0.72mL)を反応フラスコに加え、混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、次いで、3M HClを加えることによってクエンチする。次いで、酢酸エチル、次いで、ジクロロメタンで抽出し、真空濃縮すると、85mgが得られる。NMRは、構造帰属と一致している。
【0212】
4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンズアルデヒド(UC−1V150)の調製。直前の生成物(800mg)を、ヨウ化ナトリウム(504mg)およびアセトニトリル(40mL)と合わせ、次いで、クロロトリメチルシラン(0.5mL)をゆっくりと加える。混合物を、70℃で3.5時間加熱し、冷却し、濾過する。固体生成物を、水、次いで、エーテルで洗浄すると、406mgが得られる。NMR、UV、MSは、構造帰属と一致している。この物質は、リンカーおよび高分子間のコンジュゲーション反応に適している。
【0213】
4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]安息香酸メチルの調製。この手順は、Jayachitraら、Synth.Comm.、33:3461頁(2003年))によって記載されるとおりである。無水メタノール(5mL)に、4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾニトリル(1mmol)を溶解し、この溶液に、新たに蒸留したBFエーテラート(4mmol)を加える。得られた混合物を、アルゴン下で20時間還流する。溶媒を真空除去し、残渣をジクロロメタン(10mL)に取り、希炭酸水素ナトリウム水溶液(2×10mL)で抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させる。蒸発後、生成物を、ジクロロメタン中、5%メタノールを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、0.8mmolが得られる。
【0214】
4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]安息香酸の調製。4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾエート(100mg)を、ヨウ化ナトリウム(63mg)およびアセトニトリル(10mL)と組み合わせ、次いで、クロロトリメチルシラン(120mL)をゆっくりと加える。この混合物を、70℃で6時間加熱し、冷却し、濾過する。固体生成物を、水、次いで、エーテルで洗浄すると、51mgが得られる。
【0215】
4−[6−アミノ−8−ヒドロキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]安息香酸2,5−ジオキソピロリジン−1−イルの調製。4−[6−アミノ−8−メトキシ−2−(2−メトキシエトキシ)プリン−9−イルメチル]ベンゾエート(2mmol)を、ジクロロメタンまたはジオキサン(10mL)に溶解し、EDC(2mmol)を加える。この溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(2mmol)を加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌する。この混合物を真空乾燥に付し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、2mmolの生成物が得られ、これは第一級アミンが関与するコンジュゲーション反応に適している。
【0216】
実施例II
UC−1V150を、まず、スクシンイミジル6−ヒドラジノ−ニコチンアミドアセトンヒドラゾン(SANH)リンカーで修飾されたMSAと、共有結合によって結合すると、特徴的に変更されたUVスペクトルを有する安定な分子が得られる。UC−1V150/MSA結合体は、ヒドラゾン形成による342nmでのUV吸収ピークによって同定されたのに対し、SANH単独は、322nmで吸収した。MSAによって結合体化されたUC−1V150分子の定量は、UC−1V150−SANHの標準曲線から外挿した(図1)。一貫して、UC−1V150/MSA結合体は、約5:1の比で得られた。ここで報告される生物学的研究は、5:1 UC−1V150/MSAを用いることによって実施した。
【0217】
SANHでのMSAの修飾。200μLのMSA(25mg/mL)を、100μLのコンジュゲーション緩衝液(1M NaPi、pH=7.2)および690μlのPBSと混合した。10μLのDFM(MSAに対して40倍モル過剰)中、844μgのSANHを、タンパク質溶液(反応混合物のMSAの最終濃度は、5mg/mL)に加えた。穏やかな混合した後、反応を室温で2時間進行させた。過剰のSANHを除去するために、反応混合物をPBSで平衡化させたNAP−10カラムに充填し、修飾されたMSAを、1.5mLのPBSで溶出した。
【0218】
IV150の、SANHで修飾されたMSAへの結合。SANHで修飾されたMSAに、10μLのDMFに溶解した460μgのIV150を加え、反応混合物を室温で一晩インキュベーションした。過剰のIV150を除去するために、反応混合物をまず、マイクロスピンカラム(Millipore:BIOMAX 5K)を用いて1mLに濃縮し、上記のNAP−10カラムに充填した。
【0219】
TLR7アゴニストはまた、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)(図20〜21)と、ウイルス(図18〜19)と、リポソームに組み込まれ得る脂質成分と結合体化させた。(図24〜25)。
【0220】
空間的に制御されたTLR7アゴニストの合成。各結合体を、バイオコンジュゲーション化学において周知の標準技術によって調製する。定量的UV、LC/MSおよびPAGE法による各々の特性決定によって、「原子価」またはTLRアゴニスト対その補助基(高分子)の比を調べる。この情報から、モデリング技術によって、結合体の大きさおよび形状が容易に推定される。結合体の大きさ、形状および原子価の多様性は、構造スキームにおいてR3として表される、高分子の選択によって取り入れられる。例えば、R3は、一般的なポリ(アミドアミン)の種類などのデンドリマーであり、TLRアゴニストの結合のための表面官能基の数は、分岐点の数またはその個々のデンドリマーの世代に基づいて正確に規定される。第1世代(G1)は8個の表面アミノ基を有し、G2は16個など、このように、結合体の原子価および大きさにわたって高レベルの制御をもたらす(図2参照のこと)。さらに、いくつかのデンドリマーナノ粒子は、ターゲッティングリガンドとTLR7アゴニストの両方を含み得る。TLR7アゴニスト−脂質結合体はまた、脂質の選択に応じて種々の「原子価」を有し得る。例えば、強力な結合体UV−1V199/L(図6)は、TLR7アゴニストのカルボキシ誘導体(UC−1V199)を、市販のジオレアニルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)のエタノールアミノ基に結合することによって調製された。
【0221】
これらの脂質結合体は、約100nmの流体力学直径を有する粒子を生成するよう、コレステロール、DOPEおよびその他の脂質と組み合わせることによって、種々のリポソームナノ粒子に製剤される(図24〜25)。図中の六角形は、UC−1V199/Lおよびリン脂質テールを有する関連しているTLR7アゴニストを表す。
【0222】
TLR7アゴニストおよび二量体ならびにTLR結合体は、本明細書に開示されるものなどのアッセイによって調べられるように、in vivoでサイトカイン放出活性および/またはサイトカイン活性を有することがわかっている。例えば、イミキモド、ブロピリミン、UC−1V138、UC−1V136、UC−1V150、UC−1X105、UC−1V199、UC−1W236、UC−1X51、UC−1W247、UC−1X113、UC−1V199/L、UC−1V150/BSA、リンカーおよびMSA、OVA、ビリオンおよび/またはODNを含むか、含まないUC−1V150の結合体、UC−1V199およびDOPE、シリカ、脂質または照射された胞子の結合体ならびにUC−1V1043およびUC−1V1018の、OVAとの結合体は、すべて、活性を示している。
【0223】
実施例III
材料および方法
in vitroでの化合物評価。TLR7結合体の、サイトカイン産生を刺激および/または抑制する能力を、樹状細胞に高度に富んでいるマウス骨髄由来単核細胞(BMDM)において、ならびにヒト末梢血単核細胞(PBMC)細胞において評価する。BMDMを、96ウェルプレートにプレーティングし、ビヒクルまたは10μMから出発し、3倍増分で下方にピコモル濃度まで希釈した種々の用量を用いて3連で処理する。24時間後、上清を回収し、Luminexビーズアッセイシステムおよび市販の試薬を用いて最大30種の種々のサイトカイン、ケモカインおよびその他のメディエーターについてアッセイする。サイトカイン/ケモカインELISA結果を、定量的mRNA発現測定値および二次元リンタンパク質分析で補い、耐性誘導の範囲および機序を洞察する。上清回収時に、細胞生存の比色分析評価として、ウェル中の培地をMTTで置換する。ヒトPBMCは、市販の血液パックから単離し、同様に処理する。
【0224】
TLRアゴニストが結合体化されたナノリポソームおよびデンドリマーの輸送の評価するために、それぞれのナノ粒子にフルオロクロムを用いて負荷するか修飾する。細胞内局在性は、いくつかの場合では、エンドソーム成熟の阻害剤で処理しておいた細胞において、顕微鏡によって調べる。
【0225】
種々の補助基を含むTLR7結合体の抗炎症活性を比較するために、BMDMを、まず最も強力な化合物を、炎症性サイトカイン刺激に対して最小の効果しかない、予め調べられた濃度で用いて処理する(TNFα、IL−1)。24時間後、培地を置換し、種々のTLRファミリーメンバーの活性化リガンド(TLR2のPam3Cys、TLR3のポリ(I:C)、TLR4のLPS、TLR5のフラジェリン、TRL6のMalp−2、TLR7のUC−1V150、TLR7/8のR848、TLR9のCpGオリゴヌクレオチドなど)を、モック処理細胞においてサイトカイン産生を効果的に誘導する濃度で用いて細胞に抗原投与する。これらの細胞を、マルチプレックスイムノアッセイ、定量PCRおよびリンタンパク質ブロッティングによって評価する。耐性の誘導および維持の動力学を、より理解するために、TLR7結合体で予備刺激された細胞にも、種々の時間間隔で抗原投与し、サイトカイン産生のパターンについて分析する。
【0226】
in vivoでの化合物評価。マウスの気道に投与した後の、気管支肺胞洗浄液(BALF)対全身サイトカインの産生を評価する。麻酔した雌の齢を対応させたC57BL/6マウスに、先に記載されたように、種々の量のTLR7結合体を用いて、または適当なビヒクル中のリポソームもしくはデンドリマーを用いて、鼻腔内に(i.n.)、経口的に(p.o.)または静脈内に(i.v.)投与する。回復後、および種々の時点で、血清およびBALFを採取し、サイトカインおよびケモカインについてLuminexアッセイによって分析する。処理される動物の、重量、温度および水分摂取パターンを、全身「サイトカイン症候群」の臨床代替物として記録する。
【0227】
その後の実験では、血清およびBALFサイトカインによって判定される、種々の薬剤の、高用量鼻腔内、経口または静脈内投与後のTLR活性化に対する局所および全身不応性(TLR耐性)を引き起こす能力を評価する。in vivoで大幅なサイトカインも、サイトカイン症候群の臨床徴候も誘導しない種々のTLR7結合体の高用量が選択される。マウスを、種々の投与経路によって与えられる、選択された高用量で処理し、次いで、種々のTLRのアクチベーターを、種々の時点で用いて抗原投与する。血清およびBALFを採取し、分析し、臨床徴候を記録する。結合体の抗炎症活性は、LPSおよびCpGを調べるためにこれまでに用いられている致死ショックモデルで確認する。このモデルでは、D−ガラクトサミンを用いて予め腹腔内注射されたBalb/cマウスは、種々のTLRアクチベーターを用いる全身抗原投与後に、サイトカイン刺激および肝臓損傷のために死亡する。活性な抗炎症剤は、感作された動物において臨床症状を誘導することができず、また、その他のTLRリガンドによって引き起こされるショックを防ぐ。規定されるエンドポイントを用いて、このモデルは、TLR耐性の動力学および期間を調べるために特に有用である。
【0228】
実施例IV
材料および方法
マウス。雌のC57BL/6マウス(5〜6週齢)は、Harlan West Coast(Germantown、CA)から入手し、雌のA/Jマウス(6〜8週齢)は、The Jackson Laboratories(Bar Harbor、ME)から購入した。A/Jマウスは、炭疽菌のSterne株での感染に用いた(Kenneyら、J.Infect.Dis.、190:774頁(2004年))。マウスは、米国実験動物飼育公認協会(American Association for Accreditation of Laboratory Animal Care)によって公認されている、サンディエゴ動物施設(San Diego Animal Facility)のカリフォルニア大学において、標準条件下で飼育および維持した。すべての動物プロトコールは、治験審査委員会(Institutional Review Board)によって事前承認を受けた。H1N1インフルエンザ研究のために、雌のBALB/cマウス(16〜18g)を、Charles River Laboratories(Wilmington、MA)から入手し、米国実験動物飼育公認協会によって公認されたユタ州立大学の実験動物研究センター(Laboratory Animal Research Center of Utah State University)において維持した。
【0229】
BMDMのIn Vitro刺激。BMDMは、マウスの種々の株から単離し、ウェルあたり5×10個細胞の密度で、96ウェルプレートに播種した。化合物を、0.01〜10μMの範囲、またはそうでなければ、示される最終濃度で、10日齢培養物に加えた。24時間インキュベーションした後、培養上清を回収し、サンドイッチELISA(BD Pharmingen、San Diego、CA)またはBeadlyte Mouse MultiCytokine専用キット(Upstate、Charlottesville、VA、and eBiosciences、San Diego、CA)を、製造業者の使用説明書に従って用いるマルチプレックスLuminex(Austin、TX)アッセイのいずれかによってサイトカイン誘導についてアッセイした。
【0230】
マウスへの化合物の投与。雌の齢を対応させたC57BL/6マウスに、100μLのUC−1V150またはUC−1V150/MSAを含有し、各々、同等の0.38〜38nmolのファルマコアを含有する生理食塩水を用い、尾の静脈を介して注射した。肺内投与には、マウスに腹腔内アベルチン溶液を用いて麻酔し、首領域周囲を剪毛した。気管を、小切開で露出させ、50μLの、種々の量のUC−1V150/MSAまたは結合体化されていない薬物を含有する生理食塩水を用いて注射した。回復した後および種々の時点で、血清およびBALFを採取し、Luminexアッセイによって、IL−6、IL−12p40、IFN−γ、RANTESおよびMCP−1について分析した。その他の実験では、マウスを、筋肉内ケタミン/キシレン溶液を用いて麻酔し、同量のUC−1V150/MSAを、50μLの気管内用量で、または20μLの鼻腔内用量で投与した。いずれかの方法による投与の24時間後のBALFにおいて、同様のサイトカインレベルが観察されたので、感染モデル研究では、より好都合な鼻腔内経路を用いた。
【0231】
A/Jマウスの、炭疽菌胞子による感染。胞子を、これまでに記載されるとおりに(Sabetら、FEMS Immunol.Med.Microbiol.、47:369頁(2006年);Guidi−Rontaniら、Mol.Microbiol.、42:931頁(2001年))、炭疽菌のSterne株(pXO1pXO2-)から調製した。精製した胞子は、4℃で、1×10〜4×10cfu/mLで、PBS中に保存した。感染前に、胞子を、65℃に30分間加熱して、発芽を開始させた。炭疽菌感染の1日前に、A/Jマウスに、ケタミン/キシレン溶液を筋肉内に用いて麻酔し、マウス1匹あたり0.75nmolのUC−1V150またはUC−1V150/MSAを用いて鼻腔内に投与した。対照マウスには、生理食塩水のみ、またはUC−1V150/MSA中として同等な量でMSAを含有する生理食塩水を与えた。感染は、20μLの容量中、2×10〜8×10個の炭疽菌の胞子を用いて鼻腔内で実施した。生理食塩水処理マウスの大部分が、3〜6日内に死亡したが、13日間生存が観察された。結果は、1群あたり8匹のマウスから得られた。
【0232】
Balb/cマウスの、インフルエンザウイルスによる感染。インフルエンザA/New Caledonia/20/99(H1N1)ウイルスは、米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)(Atlanta、GA)から入手した。ウイルスは、マディン・ダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞中で2倍に増殖させ、毒性を強めるためにマウスにおいて7回さらに継代し、続いて、増幅するために細胞培養でもう1回継代した。マウスに、ケタミン(100mg/kg)を腹腔内に用いて麻酔し、50μLの接種容積でマウス1匹あたり約105.0細胞培養感染量のウイルスを鼻腔内に用いて感染させた。単独またはマウス1匹あたり5nmolのUC−1V150/MSAを含有する、いずれかの生理食塩水中、75μLの単回鼻腔内用量を、ウイルス曝露の24時間前に与えた。処理群あたり10匹の感染マウスおよび20匹のプラセボ対照動物を、生存について21日間追跡した。
【0233】
統計。サイトカインレベルを、マンホイットニーU検定によって比較し、p≦0.05を用いて統計的有意性を判定した。GraphPad Prismソフトウェアバージョン4.0c(San Diego、CA)を用いて、カプラン−マイヤー生存曲線およびログランク検定を実施して生存の差異を比較した。
【0234】
結果
UC−1V150/MSA結合体に応じた、強力なin vitroおよびin vivoサイトカイン放出。骨髄由来マクロファージ(BMDM)の、UC−1V150単独ととものインキュベーションは、サイトカイン放出を刺激した(図10)。MSAに結合体化された場合には、10倍低い同等濃度のTLR7アゴニストで、同様の、またはより高レベルのサイトカンが検出された。先に記載されたとおりに実施した、TLR形質転換体を用いる実験によって、UC−1V150は、アルデヒド修飾を欠く化合物(UC−1V136)と同様に、特異的TLR7アゴニストであることが確認された(Leeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:1828頁(2006年))。マウスに静脈内注射した後、UC−1V150は、注射後約2時間にピークとなり、次いで、迅速に、バックグラウンドレベル近くに低下する血清サイトカインレベルを誘導した(データは示されていない)。種々の投与量での静脈内注射の2時間後の、UC−1V150対UC−1V150/MSAのサイトカン産生プロフィールの比較により、MSA結合体が効力を10〜100倍増強することが実証された(図11)。生理食塩水またはMSA対照群から得た血清は、ほとんどまたは全く検出可能でないサイトカインレベルを示した(データは示されていない)。
【0235】
UC−1V150/MSA結合体は、長期の、限局化された肺の活性を提供する。呼吸系へのTLR7アゴニストの適切な送達を確実にするために、薬物をまず直接気管に入れた。UC−1V150/MSAを用いて気管内(i.t.)処理されたマウスから抽出された肺胞洗浄液(BALF)において、相当なサイトカイン誘導が見られたのに対し、血清サイトカインは極めて低く、同一動物におけるバックグラウンドレベル付近であった(図12)。好対照に、小分子TLR7アゴニストを用いて気管内注射されたマウスのBALFおよび血清の両方において同様のレベルのサイトカインが観察され、サイトカイン症候群を示唆する、毛を逆立てるおよび震えなどの行動変化を誘発することもあった(表2)。UC−1V150を用いるその後の研究によって、鼻腔内(i.n.)送達も、おそらくは、薬物吸引のためにBALFにおいて選択的サイトカイン産生を誘発することが示された。したがって、間質性肺炎の2つの感染動物モデルにおいて、鼻腔内投与を用いて、UC−1V150結合体を評価した。炭疽菌胞子による感染の1日前にUC−1V150/MSAを鼻腔内に用いて前処理したマウスは、対照マウスの5日と比較して7.5日の延長された平均生存を有していた(P<0.025)(図14A)。対照的に、生理食塩水、同等量のMSAのいずれかを用いて、またはUC−1V150単独を用いて処理されたマウスでは有意差は観察されなかった。これらのデータによって、UC−1V150結合体は肺内免疫療法活性を有するが、遊離薬物は有さないことが確認された。したがって、TLR7アゴニストの、MSAとのコンジュゲーションは、気道への局所送達後に、その効力を増強し、その毒性を低減した。
【0236】
別の研究では、BALB/cマウスを、インフルエンザウイルス感染(H1N1株)の1日前にUC−1V150/MSAコンジュゲーを鼻腔内に用いて前処理した。未処理対照における7日と比較して、処理マウスの平均生存は11.5日に延長された(P<0.0001)(図14B)。つまり、これらの結果は、TLR7アゴニストの、MSAとのコンジュゲーションは、気道への局所送達後にその効力を増強し、その毒性を低減したということを示唆する。
【0237】
UC−1V150/MSAを、炭疽菌感染の前に鼻腔内に投与し、続いて、4日目にシプロフロキサシン(25mg/kg)で処理した。プラセボ処理とそれに続くシプロフロキサシン処理は、約15〜25%の生存をもたらしたのに対し、結合体およびシプロフロキサシンを用いた処理は、約90%の生存をもたらした。したがって、結合体は、炭疽菌ワクチンととものコアジュバントとして特に有用である。
【0238】
考察
化合物UC−1V150は、(i)ナノモル濃度で活性である;(ii)種々の高分子に結合でき、いくつかの場合には、活性の増強を伴う(iii)補助基の修飾によって薬物動態特性を変更できるので、まだ発見されていない、最も強力な、多用途の合成小分子TLR7リガンドの1種である。TLR7−タンパク質結合体UC−1V150/MSAは、各MSAタンパク質分子に共有結合によって連結している約5の小分子を有すると特性決定された。この結合体は、TLR7アゴニスト活性を保持しており、実際、遊離単量体薬物と比較して、より強力で、かつ、長期の作用を有していた。さらに、この結合体は、鼻腔内または気管内投与によって呼吸器系に効果的に送達できた。鼻腔内による薬物送達は、細菌感染のマウスモデルにおいて有効であるとわかった。呼吸器系への送達を考慮する場合には、TLR7アゴニストを高分子の結合体として調製することの潜在的に重要な利点として、免疫刺激性活性を局所粘膜環境に限定することによって全身副作用が避けることができることがある。
【0239】
高分子の結合体は、遊離薬物よりもゆっくりと全身循環に吸収されると予想され、実際、TLR7を発現する常在性マクロファージおよび樹状細胞によって熱心に除去され得る。したがって、結合体は、TLR7/8アゴニストの全身送達と関連していた重篤な副作用の種類を軽減するはずである。UC−1V150/MSA結合体はまた、感染性、アレルギー性または悪性疾患の制御のために、尿生殖路および消化管などの粘膜部位に投与された場合に有益な免疫療法活性を提供し得る。TLR7アゴニストの高分子担体はまた、特定の臓器または組織への免疫療法薬の選択的送達のための改善されたアプローチを提供し得る。例えば、UC−1V150の脂質結合体は、種々の大きさのリポソームおよび組成物に組み込むことができるのに対し、TLR7アゴニストのタンパク質結合体は、種々の樹状細胞サブセットを標的とし得る。UC−1V150結合体の細胞内輸送の差異は、TLR9活性化オリゴヌクレオチドを用いて観察される効果と類似した、別個のパターンのサイトカイン産生を誘導し得る(Rothenfusserら、Hum.Immunol.、63:111頁(2002年))。
【0240】
タンパク質と結合体化している薬物を用いて観察されてきた1つのあり得る問題として、分子の低分子量ハプテン様部分に対する抗体の発生がある。しかし、UC−1V150は、先に研究されたTLR7/8ワクチン結合体とは異なり、簡単なアデニン様構造を有し、これは過敏性反応を誘発する可能性は低い。実際、フロイントの完全アジュバント中、キーホールリンペットヘモシアニン担体の反復投与後を除いて、タンパク質結合体の投与後に抗UC−1V150抗体は観察されなかった(公開されていないデータ)。
【0241】
インフルエンザウイルス感染を予防および治療するための新規薬剤は、特に、アジアからの高病原性株の蔓延にともなって、捜し求められている。普通に広まっている株に由来する罹病率および死亡率は、毎年高い。感染の治療は、認可された抗ウイルス薬によって達成され得、これは初期に開始すれば、中程度に有効である。免疫系の増強も、特に、免疫低下宿主において、防御的抗ウイルス反応を加速し得る戦略として検討されている。TLRシグナル伝達を介した全身免疫活性化は、免疫細胞を感染部位に動員するのに必要な局所サイトカインおよびケモカイン勾配を生じさせないということがあり得る。この仮説の裏づけとして、粘膜を通って迅速に吸収される、結合体化していないUC−1V150は、マウスを炭疽菌感染から保護できなかったのに対し、UC−1V150結合体は有効であった。
【0242】
炭疽菌はバイオテロリズムの病原体となった。微生物病原体に対する迅速な反応は、有効な生物テロ防御にとって重要である。一般に、抗体または細胞性免疫応答はこれらの病原体から保護し得るが、これらの防御反応を起こすには、各生物の特定の抗原に対する事前曝露が迅速に必要である。インフルエンザウイルスはTLR7と関与することがわかっているが(Barchetら、Eur.J.Immunol.、35:360頁(2005年))、細菌炭疽菌は、TLR2、TLR4およびTLR9と関与し得る可能性が高い。MyD88は、TLRの共通のシグナル伝達中間体であることに加え、炭疽菌のマウスモデルにおいて、感染に対する耐性にとっても必要であるとわかっている(Hughesら、Infect.Immun.、73:7535頁(2005年))。UC−1V150結合体は、種々の経路を使用する感染に対するアジュバントとして効果的に働くので、特定の微生物の抗原に対して特異的である必要がない、混合ならびに単一薬剤攻撃において有用である生物テロ防御戦略として適用され得る。
【0243】
実施例V
入院前の「危険のある」患者において、SA感染を防ぐために、十分に強力であるか、十分に迅速に作用し得る既知SAワクチンはない。強力なTLR7アゴニストおよび死滅したグラム陽性菌、例えば、SAもしくはそのサブユニットの単回注射は、投与の1週間内に細菌に対する防御免疫を追加免疫し得る。注射は、例えば、1)死滅したグラム陽性菌上の遊離アミノ基に直接結合体化されたUC−IV199のようなTLR7アゴニスト、2)死滅したグラム陽性菌と組み合わせた、アルブミンと結合体化されたUC−IV199などのTLR7アゴニスト、3)組換えグラム陽性菌タンパク質に結合体化されたUC−IV199などのTLR7アゴニストまたは4)グラム陽性菌多糖に結合体化されたUC−IV199などのTLR7アゴニスト(例えば、当技術分野で公知のリンカー、例えば、StaphVax(登録商標)を用いたものなどを介して)。
【0244】
本明細書において上記で記載されるように、TLR7アゴニストを、炭疽菌(BA)のSterneワクチン株の致死的に照射された胞子に結合体化させた。SA同様、BAは、グラム陽性菌である。サイトカン(IL−12およびIL−6)分泌によって測定されるように、胞子単独と比較して、結合体化された細菌は、マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)の強力なアクチベーターであった。別の実験では、マウスアルブミン(MSA)に結合体化されたTLR7アゴニストと混合した、BAのSterne株の致死的に照射された胞子マウスへの単回注射は、動物を、ほんの6日後に与えられた致死性肺内BA抗原投与から保護した。対照的に、BA胞子単独を用いた、またはBAおよび従来のアジュバント、コレラ毒素(CT)を用いた動物の注射は、動物を保護しなかった。したがって、TLR7−アゴニストアルブミン/照射された胞子ワクチンは、炭疽菌に対する防御免疫を6日以内に誘導した。未処理動物におけるこの反応の迅速性は、全く予想外であった。同ワクチン技術は、ヒトを病院で獲得されるSA感染から保護する可能性がある。
【0245】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許および特許文書は、まるで、参照により個々に組み込まれるように、参照によって本明細書に組み込まれる。いずれかの矛盾がある場合には、本明細書中の任意の定義を含めた本開示内容に従う。本発明は、種々の特定の、好ましい実施形態および技術を参照して記載されている。しかし、本発明の趣旨および範囲内にとどまりながら、多数の変法および改変を行うことができるということは理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類においてグラム陽性菌感染を予防または抑制する方法であって、該哺乳類に、有効量の、グラム陽性菌の細菌抗原および一定量の式(IA):
【化9】

(式中、
は、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;n=1、2、3または4であり;
は、異種ペプチド、異種タンパク質、異種脂質、ポリスチレンビーズなどのビーズ、異種核酸分子またはデンドリマーを含む高分子である)
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、例えば、水和物を含む組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
哺乳類においてグラム陽性菌感染を予防または抑制する方法であって、該哺乳類に、有効量の、式(IB):
【化10】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;n=1、2、3または4であり;
は、該グラム陽性菌、該グラム陽性菌の単離された抗原性タンパク質もしくはペプチドまたは該グラム陽性菌の単離された多糖である)
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、例えば、水和物を投与する工程を含み、ここで該グラム陽性菌がバチルス属でもリステリア属でもない、方法。
【請求項3】
が、硫黄原子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
が、酸素原子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
が、−NR−であり、ここで、Rは、水素、C1〜6アルキルまたは置換C1〜6アルキルであり;アルキル置換基は、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、アミノ、シアノまたはアリールである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
が、−NH−である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
およびRが一緒になって、複素環式環または置換複素環式環を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
およびRが一緒になって、置換または非置換モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノまたはピペラジノ環を形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が、水素、C1〜4アルキルまたは置換C1〜4アルキルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
が、水素、CH−、CH−CH−、CHCHCH−、ヒドロキシC1〜4アルキレンまたはC1〜4アルコキシC1〜4アルキレンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
が、水素、CH−、CH−CH−、CH−O−CHCH−またはCH−CH−O−CHCH−である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
が、水素、ハロゲンまたはC1〜4アルキルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
が、水素、クロロ、ブロモ、CH−またはCH−CH−である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基が、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、C3〜6シクロアルキル、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
が、結合または最大約24個の原子を有する鎖であり;ここで、該原子は、炭素、窒素、硫黄、非過酸化物酸素およびリンからなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
が、結合または約4〜約12個の原子を有する鎖である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が、結合または約6〜約9個の原子を有する鎖である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
が、
【化11】

である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記高分子が、リン脂質、リポソームまたはデンドリマーである、請求項1または3から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記異種ペプチドが、2〜約200個のアミノ酸残基を有する、請求項1または3から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ペプチドが、2〜約200個のアミノ酸残基を有する、請求項2から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記異種ペプチドが、10〜約200個のアミノ酸残基を有する、請求項1または3から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ペプチドが、10〜約200個のアミノ酸残基を有する、請求項2から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記高分子が、炭水化物を含む、請求項1または3から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記核酸分子が、DNA、RNAまたはPNAを含む、請求項1または3から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記グラム陽性菌が黄色ブドウ球菌である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記哺乳類が、ヒトである、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記哺乳類が、グラム陽性菌感染の危険のある、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記哺乳類が、免疫無防備状態にある、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記哺乳類が、投与後約6日までに、投与に対する有効な免疫応答を有する、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、死滅したグラム陽性菌の調製物を含む、請求項1または3から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記量が、投与後約6日まで感染を予防するために有効である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
死滅したグラム陽性菌の調製物を投与する工程をさらに含む、請求項2または3から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、グラム陽性菌の胞子を含む、請求項1、3から25または27から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
黄色ブドウ球菌細菌の細菌抗原と、一定量の式(IA):
【化12】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;n=1、2、3または4であり;
は、異種ペプチド、異種タンパク質、異種脂質、ポリスチレンビーズなどのビーズ、異種核酸分子またはデンドリマーを含む高分子である)
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、例えば、水和物を含む組成物を含む、ワクチン。
【請求項36】
式(IB):
【化13】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくは置換C1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
は、水素、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;ここで、該アルキル、アリールまたは複素環式基上の置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレン、アミノ、シアノ、ハロゲンまたはアリールであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;n=1、2、3または4であり;
は、黄色ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌の単離された抗原性タンパク質もしくはペプチドまたは黄色ブドウ球菌の単離された多糖である)
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、例えば、水和物を含む、ワクチン。
【請求項37】
式(I)
【化14】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
Yは、SまたはNHであり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくはC3〜6シクロアルキルによって置換されたC1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレンまたはシアノであり;
は、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;
ここで、各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;
は、高分子であり;
nは、1、2、3または4であり;
mは、1であり;
qは>2である)の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項38】
式(ID)
【化15】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
Yは、SまたはNHであり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくはC3〜6シクロアルキルによって置換されたC1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレンまたはシアノであり;
は、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;
ここで、各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;
は高分子であり;
nは、1、2、3または4であり;
mは、1であり;
qは、1、2、3または最大約1,000、約10,000またはそれ以上、例えば、約10、約10またはそれ以上である)の化合物またはその製薬上許容される塩であって、Rが、B型肝炎ウイルス以外のDNAウイルス、SIV、C型肝炎ウイルスもしくはコロナウイルス以外のRNAウイルス、ナノ粒子、ポリスチレンビーズ以外のビーズまたはバチルス属、リステリア属、野兎病菌またはサルモネラ属以外の細菌であるか、またはXと連結している脂質を含むリポソームである化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項39】
前記ウイルスが、レンチウイルスまたはヘルペスウイルスである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
が、シリカビーズである、請求項37または38に記載の化合物。
【請求項41】
が、ナノ粒子である、請求項37に記載の化合物。
【請求項42】
前記ナノ粒子が、シリカ、ポリアクリレート、ポリ−ラクチド−co−グリコリド、ポリグルタミン酸またはポリリジンを含む、請求項38または41に記載の化合物。
【請求項43】
前記ナノ粒子が、高分子ミセルまたは炭素ナノチューブである、請求項38または41に記載の化合物。
【請求項44】
喘息を予防、治療または抑制する方法であって、有効量の式(I):
【化16】

(式中、Xは、−O−、−S−または−NR−であり;
Yは、SまたはNHであり;
ここで、Rは、水素、C1〜10アルキルもしくはC3〜6シクロアルキルによって置換されたC1〜10アルキルであるか、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、複素環式環もしくは置換複素環式環を形成してもよく、ここで、置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキレン、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルコキシC1〜6アルキレンまたはシアノであり;
は、(C〜C10)アルキル、置換(C〜C10)アルキル、C6〜10アリールまたは置換C6〜10アリール、C5〜9複素環、置換C5〜9複素環であり;
各Rは、独立に、水素、−OH、(C〜C)アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、置換(C〜C)アルコキシ、−C(O)−(C〜C)アルキル(アルカノイル)、置換−C(O)−(C〜C)アルキル、−C(O)−(C〜C10)アリール(アロイル)、置換−C(O)−(C〜C10)アリール、−C(O)OH(カルボキシル)、−C(O)O(C〜C)アルキル(アルコキシカルボニル)、置換−C(O)O(C〜C)アルキル、−NR、−C(O)NR(カルバモイル)、置換−C(O)NR、ハロ、ニトロまたはシアノであり;
各RおよびRは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、Het、Het(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルコキシカルボニルであり;
は、結合または連結基であり;
は、高分子であり;
nは、1、2、3または4であり;
mは、1、2、3またはそれ以上、例えば、5、10、15またはそれ以上であり;
qは、1、2、3または最大約1,000、約10,000またはそれ以上、例えば、約10、約10またはそれ以上である)の化合物またはその医薬上許容される塩を、それを必要とする哺乳類に投与する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28−1】
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【図28−2】
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【図28−3】
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【図28−4】
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【公表番号】特表2010−518082(P2010−518082A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549102(P2009−549102)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/001631
【国際公開番号】WO2008/115319
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】