説明

同位体をドープしたナノ材料、その製造方法及び標識方法

【課題】本発明は、同位体をドープしたナノ材料、その製造方法及び該同位体をドープしたナノ材料を利用する標識方法に関し、特に同位体をドープしたナノ構造体、その製造方法及び該同位体をドープしたナノ構造体を利用する標識方法に関する。
【解決手段】同位体をドープしたナノ構造体は、少なくとも一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントを含み、且つ該少なくとも一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントは少なくとも一種の元素の少なくとも両種の同位体からなり、該少なくとも両種の同位体は所定の質量比で均一に分散する。また、本発明は、前記同位体をドープしたナノ材料の製造方法及び該同位体をドープしたナノ材料を利用する標識方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同位体をドープしたナノ材料、その製造方法及び該同位体をドープしたナノ材料を利用する標識方法に関し、特に同位体をドープしたナノ構造体、その製造方法及び該同位体をドープしたナノ構造体を利用する標識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同位体の標識方法はナノ材料の生長原理及びナノオーダーのヘテロ接合に対して重要な研究手段であり、ナノ材料の合成過程において、ある特定の元素(一般に、軽元素であり、例えば、炭素、ホウ素、窒素或いは酸素)の同位体の反応物を順序に所定の濃度(一般に、単物質或いは混合物で)によって反応させて、in situで同位体標識を有したナノ材料が得られるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7029751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同位体をドープしたカーボンナノチューブ及びその製造方法は、特許文献1に開示されている。特許文献1において、同位体をドープしたカーボンナノチューブは、複数の同位体をドープしたカーボンナノチューブセグメントを含む。それぞれ前記複数の同位体をドープしたカーボンナノチューブセグメントは単一の同位体の炭素からなる。前記の方法により、三種の炭素同位体が標識されることが記載されている。しがしながら、前記各同位体をドープしたカーボンナノチューブセグメントが単一の同位体の炭素からなるので、標識構造体の種を制限する。
【0005】
従って、異なる種の構造体を標識するために、同位体をドープしたナノ構造体、その製造方法及び標識方法を提供することが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
同位体をドープしたナノ構造体は、少なくとも一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントを含み、該少なくとも一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントは、少なくとも一種の元素の少なくとも二種の同位体からなり、且つ該少なくとも二種の同位体は所定の質量比で均一に分散する。
【0007】
前記同位体をドープしたナノ構造体が一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントを含む場合、前記同位体をドープしたナノ構造体セグメントは一種の元素の少なくとも二種の同位体からなり、且つ該少なくとも二種の同位体は所定の質量比で均一に分散する。前記同位体をドープしたナノ構造体が多種の同位体をドープしたナノ構造体セグメントを含む場合、前記隣接二種のナノ構造体セグメントは異なる同位体からなり、又は異なる質量比の同じ同位体からなる。
【0008】
前記一種の元素は、例えば、炭素、ホウ素、窒素又は酸素などの軽元素である。前記同位体をドープしたナノ構造体はナノワイヤ又はナノチューブである。前記ナノワイヤは炭素、窒化物又は酸化物からなる。前記窒化物は窒化ガリウム又は窒化ケイ素である。前記酸化物は酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化ケイ素、酸化スズ又は酸化鉄である。前記ナノチューブはカーボンナノチューブ、窒化物ナノチューブ又は酸化物ナノチューブである。前記窒化物ナノチューブは窒化ホウ素ナノチューブからなり、前記酸化物ナノチューブは酸化チタン、酸化鉄、五酸化バナジウムからなる。
【0009】
前記同位体をドープしたナノ構造体の製造方法は、基板を提供して、該基板を反応室に置く第一ステップと、一種の元素の少なくとも二種の同位体を含む原料ガスを、同時に前記反応室に導入し、化学気相堆積法により、前記基板に少なくとも一つのナノ構造体セグメントを堆積し、一つの前記ナノ構造体セグメントが一種の元素の少なくとも二種の同位体を含み、前記少なくとも二種の同位体が所定の質量比で均一に分散する第二ステップと、を含む。
【0010】
前記原料ガスは少なくとも二種の気体を含む。各々の前記二種の気体はそれぞれ前記元素の単一の同位体からなる前記少なくとも二種の気体をそれぞれ同時に、又は所定の質量比で混合した後、前記反応室に導入する。
【0011】
前記同位体をドープしたナノ構造体により前記原料ガスを選択する。例えば、前記同位体をドープしたナノ構造体が窒素同位体をドープした窒化ガリウムナノワイヤである場合、前記原料ガスは窒素ガスとガリウムガスである。更に、窒化ガリウムナノワイヤは一つの窒化ガリウムナノワイヤセグメントからなり、該窒化ガリウムナノワイヤセグメントは二種の窒素同位体を含む。触媒が存在する場合、前記窒素ガスにおける二種の同位体の質量比を制御することにより、該窒素ガスとガリウムとを反応させ、窒化ガリウムナノワイヤが得られる。前記窒素ガスは、アンモニア、窒素ガス、又は他の窒素を含むガスである。前記窒素ガスにおける二種の同位体の質量比を制御することにより、同位体をドープした窒化ホウ素ナノチューブを得ることができる。前記酸素ガスにおける二種の同位体の質量比を制御することにより、該酸素ガスと亜鉛ガスとを反応させて、酸化亜鉛ナノワイヤが得られる。
【0012】
前記同位体をドープしたナノ構造体を利用する標識方法は、複数の異なる未標識構造体と、複数の異なるラマン分光スペクトルのピーク値を有する同位体をドープしたナノ構造体と、を提供する第一ステップと、各々の前記同位体をドープしたナノ構造体を、別々に各前記複数の異なる未標識構造体の中に埋め込む第二ステップと、ラマン分光スペクトルによって、前記複数の同位体をドープしたナノ構造体を検知することにより、前記複数の異なる未標識構造体を検知する第三ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
従来の技術と比べると、本発明によるナノ構造体は、少なくとも一つのナノ構造体セグメントを含む。該少なくとも一つのナノ構造体セグメントは少なくとも一種の元素の少なくとも二種の同位体を含み、且つ該少なくとも二種の同位体は所定の質量比で均一に分散するので、多種のナノ構造体が得られる。更に、本発明の標識方法により、多種の物質が標識されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1の同位体をドープしたカーボンナノチューブの模式図である。
【図2】図1中の同位体をドープしたカーボンナノチューブを製造する装置の模式図である。
【図3】本発明の実施例2の同位体をドープしたカーボンナノチューブの模式図である。
【図4】本発明の実施例3の同位体をドープしたカーボンナノチューブの模式図である。
【図5】本発明の同位体をドープしたカーボンナノチューブを標識する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、本発明の実施例について説明する。
【0016】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例の同位体をドープしたカーボンナノチューブ10は、一つのカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、所定の質量比で分散した少なくとも二種の炭素同位体からなる。前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10の長さは10μm〜1000μmである。前記炭素同位体は12C、13C、又は14Cである。本実施例において、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10は、12C、13C、及び14Cからなり、該三種の炭素同位体の質量比が7.2:6.5:5.6である。前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10の長さは10μm〜50μmであり、その直径は0.5nm〜50nmである。
【0017】
図2を参照すると、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10の製造方法には、化学気相堆積法が利用される。詳しくは、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10の製造方法は、カーボンナノチューブの製造装置100と、三種の炭素同位体を含む原料ガスと、一つの表面に触媒層134が堆積された基板132と、を提供する第一ステップと、前記基板132を前記カーボンナノチューブの製造装置100に置く第二ステップと、前記三種の炭素同位体を含む原料ガスを所定の質量比で同時に前記カーボンナノチューブの製造装置100に導入し、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10を形成する第三ステップと、を含む。
【0018】
第二ステップにおいて、前記カーボンナノチューブの製造装置100は反応室110と、前記反応室110を加熱するための反応炉106と、ガス導入通路118と、前記三種の炭素同位体を含む原料ガスの導入通路102、103、104と、排気通路116と、バルブ112、113、114と、を含む。前記バルブ112、113、114は、それぞれ前記三種の炭素同位体を含む原料ガス導入通路102、103、104に設置される。
【0019】
前記炭素同位体を含む原料ガスはメタン(methane)、エチン(ethyne)、アレン(allene)又は他の炭化水素であることができる。本実施例において、前記炭素同位体を含む原料ガスは、三種のエチレン(ethylene)であり、毎種の前記エチレンが一種の炭素同位体になる。即ち、前記第一種のエチレンは12Cからなり、前記第二種のエチレンは13Cからなり、前記第三種のエチレンは14Cからなる。
【0020】
前記触媒層134として、鉄、ニッケル、コバルト又は他の適当な触媒も選ばれる。前記触媒層134は化学気相堆積法、熱堆積法、電子束堆積法又はスパッタリング法により形成することができる。本実施例において、前記触媒層134は厚さが5nmの鉄触媒膜である。
【0021】
第三ステップにおいて、前記排気通路116により前記反応室110の空気を排気して、前記反応室110を真空化させた後、前記ガス導入通路118により1気圧の保護ガスを導入するとともに、前記反応炉106により前記反応室110を700℃まで加熱する。前記バルブ112、113及び114を同時に開けて、前記ガス導入通路102から流量が120sccmの12C、前記ガス導入通路103から流量が100sccmの13C及び前記ガス導入通路104から流量が80sccmの14Cを含むエチレンを導入して反応させる。これにより、前記触媒層134に12C、13C及び14Cの三種の同位体をドープしたカーボンナノチューブ10が形成される。前記保護ガスとして、ヘリウム、窒素、アルゴン、又は水素が選ばれる。本実施例において、前記保護ガスはアルゴンである。
【0022】
前記炭素同位体を含む原料ガスは、所定の質量比の三種の同位体をドープした炭化水素の混合ガスである場合、前記ガス導入通路102、103又は104により該混合ガスを前記反応室110に導入して、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10を形成する。本実施例において、前記混合ガスは12C、13C及び14Cからなり、12C、13C及び14Cの質量比が7.2:6.5:5.6である。前記混合ガスはガス導入通路102によって、前記反応室110に導入して、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ10が形成される。
【0023】
(実施例2)
図3を参照すると、同位体をドープしたカーボンナノチューブ20は第一カーボンナノチューブセグメント210と、第二カーボンナノチューブセグメント220及び第三カーボンナノチューブセグメント230と、を含む。前記第二カーボンナノチューブセグメント220は、前記第一カーボンナノチューブセグメント210の長手方向に沿って、前記第一カーボンナノチューブセグメント210の上に積層される。前記第三カーボンナノチューブセグメント230は、前記第二カーボンナノチューブセグメント220の長手方向に沿って、前記第二カーボンナノチューブセグメント220の上に積層される。前記第一カーボンナノチューブセグメント210は12C及び14Cからなり、且つ12C及び14Cの質量比が8:7である。前記第二カーボンナノチューブセグメント220は12C、13C及び14Cからなり、且つ12C、13C及び14Cの質量比が8:8:7である。前記第三カーボンナノチューブセグメント230は12Cからなる。前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20の長さは、30μm〜50μmの間である。
【0024】
図2を参照すると、本実施例において、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20の製造方法は化学気相堆積法である。該製造方法は、カーボンナノチューブの製造装置100と、三種の炭素同位体を含む原料ガスと、一つの表面に触媒層134が堆積された基板132と、を提供する第一ステップと、前記基板132を前記カーボンナノチューブの製造装置100に置く第二ステップと、前記三種の同位体を含む原料ガスを前記カーボンナノチューブの製造装置100に導入するとともに、該原料ガスの質量比を変化させることにより、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブセグメントを堆積して、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20が得られる第三ステップと、を含む。
【0025】
前記第一ステップにおいて、前記三種の同位体を含む原料ガスは単一の同位体の炭素を含むガスである。
【0026】
前記第三ステップは下記のサブステップを含む。
(1)排気通路116により反応室110の空気を排気して、前記反応室110を真空化させた後、前記ガス導入通路118により1気圧の保護ガスを導入するとともに、反応炉106によって、反応室110を700℃まで加熱する。
(2)前記バルブ112及び114を同時に開けて、ガス導入通路102から流量が120sccmの12C及びガス導入通路104から流量が80sccmの14Cを含むエチレンを導入して反応させる。これにより、基板132に12C及び14Cを含む第一カーボンナノチューブセグメント210を堆積する。
(3)前記第一カーボンナノチューブセグメント210は所定の長さを堆積した後、バルブ113を開けて、ガス導入通路103から流量が110sccmの13Cを含むエチレンを反応室110に導入して反応させる。これにより、12C、13C及び14Cの三種の同位体を含む第二カーボンナノチューブセグメント220が、前記第一カーボンナノチューブセグメント210の長手方向に沿って、前記第一カーボンナノチューブセグメント210の上に積層される。前記第二カーボンナノチューブセグメント220における12C、13C及び14Cの質量比が8:8:7である。
(4)前記第二カーボンナノチューブセグメント220は予定の長さを堆積した後、バルブ113と114を閉じ、ガス導入通路102から流量が120sccmの12Cを含むエチレンを導入して反応させる。これにより、12Cを含む前記第三カーボンナノチューブセグメント230が、前記第二カーボンナノチューブセグメント220の長手方向に沿って、前記第二カーボンナノチューブセグメント220の上に積層される。
(5)前記第三カーボンナノチューブセグメント230は予定の長さを堆積した後、バルブ112を閉じ、前記反応室110を室温に冷却させ、前記基板132に前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20が得られる。
【0027】
更に、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20の製造方法は化学気相堆積法である。該製造方法は、カーボンナノチューブの製造装置100と、三種の同位体をドープした炭素を含む原料ガスと、一つの表面に触媒層134が堆積された基板132と、を提供する第一ステップと、前記基板132を前記カーボンナノチューブの製造装置100に置く第二ステップと、前記所定の質量比を有する三種の同位体を含む原料ガスを、前記カーボンナノチューブの製造装置100に導入した後、第一、第二及び第三カーボンナノチューブセグメントを堆積し、前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20が得られる第三ステップと、を含むこともできる。
前記第一ステップにおいて、前記第一種の炭素を含む原料ガスは12C及び13Cを含む混合ガスであり、且つ12C及び13Cの質量比が8:7である。前記第二種の炭素を含む原料ガスは12C、13C及び14Cを含む混合ガスであり、且つ12C、13C及び14Cの質量比が8:8:7である。前記第三種の炭素を含む原料ガスは12Cを含むガスである。
【0028】
(実施例3)
図4を参照すると、同位体をドープしたカーボンナノチューブ30は、第一カーボンナノチューブセグメント310と、第二カーボンナノチューブセグメント320と、第三カーボンナノチューブセグメント330と、第四カーボンナノチューブセグメント340と、を含む。前記第二カーボンナノチューブセグメント320は、前記第一カーボンナノチューブセグメント310の長手方向に沿って、前記第一カーボンナノチューブセグメント310の上に積層される。前記第三カーボンナノチューブセグメント330は、前記第二カーボンナノチューブセグメント320の長手方向に沿って、前記第二カーボンナノチューブセグメント320の上に積層される。前記第四カーボンナノチューブセグメント340は、前記第三カーボンナノチューブセグメント330の長手方向に沿って、前記第三カーボンナノチューブセグメント330の上に積層される。前記第一カーボンナノチューブセグメント310は12C、13C及び14Cからなり、且つ12C、13C及び14Cの質量比が7:7:6.5である。前記第二カーボンナノチューブセグメント320は12C、13C及び14Cからなり、且つ12C、13C及び14Cの質量比が7.2:6.5:5.6である。前記第三カーボンナノチューブセグメント330は12C、13C及び14Cからなり、且つ12C、13C及び14Cの質量比が5.5:6.5:7である。前記第四カーボンナノチューブセグメント340は13C及び14Cからなり、且つ13C及び14Cの質量比が1:1である。前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ30の長さは50μm〜100μmの間である。
【0029】
前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ30の製造方法は前記同位体をドープしたカーボンナノチューブ20の製造方法と同じである。即ち、三種の炭素同位体を含む原料ガスの質量比を変更することにより、前記四種の同位体をドープしたカーボンナノチューブセグメントが得られる。更に、前記三種の同位体を含む原料ガスを前記カーボンナノチューブの製造装置100に導入するとともに、該原料ガスの流速を変更することにより、前記四種の同位体をドープしたカーボンナノチューブセグメントも得られる。
【0030】
図5を参照すると、前記同位体をドープしたナノ構造体を利用する標識方法は、下記のステップを含む。
(1)複数の異なる未標識構造体と、複数の異なる同位体をドープしたナノ構造体と、を提供する。前記同位体をドープしたナノ構造体は、ナノ構造セグメントからなり、一定のラマン分光スペクトルのピーク値を有する。各々の前記同位体をドープしたナノ構造体は、少なくとも一種の元素の少なくとも二種の同位体を含み、且つ該二種の同位体が所定の質量比で均一に分散する。
(2)各々の前記複数の異なる同位体をドープしたナノ構造体を、別々に前記複数の異なる未標識構造体の中に埋め込む。
(3)ラマン分光スペクトルによって、前記複数のナノ構造体のラマンピーク値を検知する。
(4)検知された前記複数のナノ構造体のラマンピーク値により、前記複数の異なる未標識構造体が検知される。
【0031】
前記未標識構造体は活性基であり、例えば、ヒドロキシ基(hydroxyl groups)、カルボキシ基(carboxyl groups)、アミノ基(amino groups)、アシル基(acyl groups)、又はニトロ基(nitro groups)である。詳しく、前記未標識構造体は、DNA、タンパク質(proteins)、グルコース(glucoses)、グルコン酸(gluconic acids)、スターチ(starches)、ビオチン酵素(biotin enzymes)、ソルビトール(sorbitols)又は有機アミン(organic amines)である。前記未標識構造体の特性は、前記複数の異なる同位体をドープしたナノ構造体に影響されない。
【0032】
図1、図3及び図4を参照すると、本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体10、カーボンナノチューブ構造体20及びカーボンナノチューブ構造体30を利用することにより、グルコース(glucoses)、グルコン酸(gluconic acids)、及びソルビトール(sorbitols)を標識することができる。その標識方法は、下記のセテップを含む。
(1)グルコース(glucoses)と、グルコン酸(gluconic acids)と、ソルビトール(sorbitols)と、前記カーボンナノチューブ構造体10と、前記カーボンナノチューブ構造体20と、前記カーボンナノチューブ構造体30と、を提供する。前記カーボンナノチューブ構造体10のラマン分光スペクトルのピーク値はL1であり、前記カーボンナノチューブ構造体20のラマン分光スペクトルのピーク値はL2であり、前記カーボンナノチューブ構造体30のラマン分光スペクトルのピーク値はL3である。
(2)前記カーボンナノチューブ構造体10を前記グルコン酸(gluconic acids)の中に埋め込み、前記カーボンナノチューブ構造体20を前記グルコース(glucoses)の中に埋め込み、前記カーボンナノチューブ構造体30をソルビトール(sorbitols)の中に埋め込む。
(3)ラマン分光スペクトルによって、前記カーボンナノチューブを含む前記三種の未標識構造体のグルコース(glucoses)、グルコン酸(gluconic acids)及びソルビトール(sorbitols)を検知する。それぞれ前記三種の未標識構造体のラマン分光スペクトルのピーク値はL1、L2及びL3である。
(4)検知された前記カーボンナノチューブ構造体のラマンピーク値により、三種の未標識構造体のグルコース(glucoses)、グルコン酸(gluconic acids)及びソルビトール(sorbitols)が検知される。
【0033】
前記同位体をドープしたナノ構造体は少なくとも一つのナノ構造体セグメントを含む。該ナノ構造体セグメントは少なくとも一種の元素の二種同位体からなり、且つ該二種の同位体が所定の質量比で均一に分散する。前記同位体の種類及び各同位体の質量比が異なるので、前記ナノ構造体の構造も異なる。従って、本発明の実施例は多種のナノ構造体が得られる。更に、本発明の実施例において、前記ナノ構造体の製造方法により、多種のナノ構造体も得られる。従って、本発明の実施例による製造された前記ナノ構造体は多種の未標識構造体を標識することができ、且つ前記未標識構造体の性能及び同じ環境に多種の未標識構造体の状態変化の研究を有利にする。
【符号の説明】
【0034】
10 同位体をドープしたカーボンナノチューブ
100 カーボンナノチューブの製造装置
102 ガス導入通路
103 ガス導入通路
104 ガス導入通路
106 反応炉
110 反応室
112 バルブ
113 バルブ
114 バルブ
116 排気通路
118 ガス導入通路
132 基板
134 触媒層
20 同位体をドープしたカーボンナノチューブ
210 第一カーボンナノチューブセグメント
220 第二カーボンナノチューブセグメント
230 第三カーボンナノチューブセグメント
30 同位体をドープしたカーボンナノチューブ
310 第一カーボンナノチューブセグメント
320 第二カーボンナノチューブセグメント
330 第三カーボンナノチューブセグメント
340 第四カーボンナノチューブセグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同位体をドープしたナノ構造体であって、
少なくとも一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントを含み、
前記少なくとも一つの同位体をドープしたナノ構造体セグメントは、少なくとも一種の元素の少なくとも二種の同位体からなり、該少なくとも二種の同位体は所定の質量比で均一に分散していることを特徴とするナノ構造体。
【請求項2】
基板を反応室に置く第一ステップと、
一種の元素の少なくとも二種の同位体を含む原料ガスを、同時に前記反応室に導入し、化学気相堆積法により、前記基板に少なくとも一つのナノ構造体セグメントを堆積し、一つの前記ナノ構造体セグメントが一種の元素の少なくとも二種の同位体を含み、前記少なくとも二種の同位体が所定の質量比で均一に分散する第二ステップと、
を含むことを特徴とする同位体をドープしたナノ構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の同位体をドープしたナノ構造体を利用する標識方法であって、
複数の異なる未標識構造体と、複数の異なるラマン分光スペクトルのピーク値を有する前記同位体をドープしたナノ構造体と、を提供する第一ステップと、
各々の前記同位体をドープしたナノ構造体を、別々に各前記複数の異なる未標識構造体の中に埋め込む第二ステップと、
ラマン分光スペクトルによって、前記複数の同位体をドープしたナノ構造体を検知することにより、前記複数の異なる未標識構造体を検知する第三ステップと、
を含むことを特徴とする同位体をドープしたナノ構造体を利用する標識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−136414(P2011−136414A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268128(P2010−268128)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】