同期発電機及び同期発電システム
【課題】
電機子電流波形のひずみを低減する、交流励磁同期発電機および風力用交流励磁同期発電機システムを提供する。
【解決手段】
複数の回転子スロットに界磁巻線を収納する回転子と、複数の固定子スロットに電機子巻線を収納する固定子と、を有する同期発電機において、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差が±9以上とする。
電機子電流波形のひずみを低減する、交流励磁同期発電機および風力用交流励磁同期発電機システムを提供する。
【解決手段】
複数の回転子スロットに界磁巻線を収納する回転子と、複数の固定子スロットに電機子巻線を収納する固定子と、を有する同期発電機において、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差が±9以上とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期発電機及び風力用同期発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力用発電システムに交流励磁同期発電機を用いるためには、従来よりも発電機を軽量化することが必須となる。これは、風車建設の際には発電機をナセルまでクレーンで上げるが、大型の風車ではナセルの高さが100m以上にもなり、発電機の重さで風車の支柱の強度や太さも決まるため、風力用発電システムでは、他の発電システムよりも発電機の軽量化が重視されるからである。
【0003】
交流励磁同期発電機を小型化するために、固定子と回転子間の空隙であるギャップ長を小さくする方法がある。ギャップ長を小さくすると、ギャップの磁気抵抗が小さくなるため、界磁巻線に流れる励磁電流を小さくすることができる。それにより、界磁巻線の断面積を小さくでき、発電機が小型・軽量化される。
【0004】
しかしながら、ギャップ長を小さくすると、固定子および回転子スロットによるギャップ磁気抵抗の空間的変化が大きくなり、電機子電流波形のひずみが増大してしまう。
【0005】
電機子電流波形を改善する技術として、特許文献1には、固定子と回転子とのスロット数および巻線ピッチを最適化して波形を改善する技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、スロット高調波に対する巻線係数が最小となるように巻線ピッチを選定して波形を改善する技術が記載されている。
【0007】
そして、特許文献3には、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差を±6とし、電機子電流波形のひずみを改善する技術が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平3−270664号公報
【特許文献2】特開平7−15901号公報
【特許文献3】特開2005−304271号公報
【非特許文献1】電気学会通信教育会:変圧器・誘導機交流整流子機、電気学会 p.112(1967).
【非特許文献2】野中作太郎:応用電気工学全書1電気機器(I)、森北出版 p.227(1973).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載される技術では、固定子巻線を分数巻として出力電圧波形の平滑化をしているが、固定子を分数巻としている場合の電機子電流波形のひずみ改善効果が小さい場合がある。
【0010】
また、交流励磁同期発電機の構造は従来の巻線形誘導機と略同一であるが、特許文献2および特許文献3に記載されている技術は、いずれも非特許文献1に記載される従来の誘導機設計における推奨値を踏襲した技術である。そのため、2極当たりの固定子スロット数と、回転子スロット数と、の差が±6以下としている。しかし、発明者らは、電機子電流波形における高調波成分の影響はスロット数の差が大きくなるにつれ減少すると考えられること見出した。そのため、固定子スロット数と回転子スロット数との差が±6以下とした場合では、電機子電流波形における高調波成分の影響を十分に低減できていないと考えられる。つまり、十分に電機子電流波形の平滑化を行えていないと考えられる。
【0011】
本発明の目的は、電機子電流波形のひずみを低減する、交流励磁同期発電機および風力用交流励磁同期発電機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数の回転子スロットに界磁巻線を収納する回転子と、複数の固定子スロットに電機子巻線を収納する固定子と、を有する同期発電機であって、
2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差の値が±9以上である
ことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態について)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差の値を考慮することで、電機子電流波形の平滑化を行う。
【0015】
図1に、本発明の交流励磁同期発電機1の主要部の一例を示す。図1における、交流励磁同期発電機1は、固定子10と、回転子20と、電機子巻線13と、回転シャフト25と、を有する。
【0016】
電機子巻線13は、電機子底巻線131と、電機子上巻線132と、電機子巻線端部133とを有する。電機子底巻線131および電機子上巻線132は、電機子巻線端部133で連結されている。
【0017】
固定子10は、固定子鉄心11に設けられた固定子スロット12に、固定子楔14で固定された、電機子底巻線131と電機子上巻線132とが収納されている。なお、図1に示す例では、電機子底巻線131と電機子上巻線132とが、反時計回りに#1から#90まで収納されている。
【0018】
回転子20は、回転子鉄心21に設けられた回転子スロット22に、回転子楔24で固定された界磁巻線23が収納され、かつ、回転子鉄心21には、シャフト25が収納されている。なお、図1に示す例では、界磁巻線23が、反時計回りに#1’から#54’まで収納されている。
【0019】
交流励磁同期発電機1において、シャフト25に回転力を与えて回転子20を回転させ、かつ界磁巻線23に励磁電流を流すことで、電機子巻線13に電機子電流が流れて発電する。発電周波数は、回転子20の回転速度に応じて変化し、かつ界磁巻線23に流れる励磁電流の周波数にも応じて変化する。風力発電用の風車のような回転速度が常に変化する動力で回転子20を回転させた場合でも、界磁巻線23に流れる励磁電流の周波数を制御することで、発電周波数を一定に保つことが可能となる。
【0020】
(三相回転電機において)
次に、三相回転電機の設計について説明する。三相回転電機の設計において、非特許文献2に、固定子および回転子の毎相毎極スロット数NPPは、
【0021】
【数1】
の範囲に設定することが推奨されている。
【0022】
図2に、固定子および回転子の毎相毎極スロット数NPPが式(1)で推奨される範囲内であるときの、2極当たりの固定子スロット数N1と回転子スロット数N2との差(以下、「2極当たりのN1とN2との差」と称する。)の値を示す。図2から、式(1)で推奨される範囲内で考えられる2極当たりのN1とN2との差の値の最大値は±24となることがわかる。
【0023】
(2極当たりのN1とN2との差の値について)
次に、2極当たりのN1とN2との差の値について、具体的に説明する。
【0024】
誘導機の設計において、固定子全スロット数n1および回転子全スロット数n2は、非特許文献1に、
【0025】
【数2】
の範囲に設定することが推奨されている。
【0026】
ここで、式(2)の範囲内で考えられる2極当たりのN1とN2との差の値を求めると±6以下となる。一般に、交流励磁同期発電機は、その構造が巻線形誘導機と略同一であることから、この推奨値を踏襲して設計されてきた。
【0027】
つまり、交流励磁同期発電機の設計においては、一般的に、式(2)の推奨値に基づいて、2極当たりのN1とN2との差の値は±6以下となる設計を行われてきた。
【0028】
(電機子巻線に流れる電機子電流を示す式の導出)
次に、電機子巻線13に流れる電機子電流Iを示す式を導出する。ここでは、位相の考慮方法を簡略化して電機子電流Iを示す数式を導出する。まず、電機子巻線Iに流れる電機子電流の発電周波数成分による起磁力ATを、
【0029】
【数3】
とおく。ここで、xは固定子座標系に固定され2極分が2πに対応するものとする。また、ω0は同期速度に相当する角周波数、tは時刻、kは起磁力次数、fwkはk次高調波の固定子巻線係数である。
【0030】
そして、固定子巻線係数であるfwkを、
【0031】
【数4】
【0032】
【数5】
【0033】
【数6】
とおく。ここで、fpkは固定子短節巻係数、fdkは固定子分布巻係数、pは極ピッチに対する電機子巻線ピッチ、qは固定子相数、Nsppは固定子毎極毎相スロット数である。
【0034】
次に、各々回転子および固定子スロットによる磁気抵抗の空間的変化を考慮し、磁気抵抗分布の逆数であるパーミアンスの空間分布Pを、
【0035】
【数7】
と仮定する。ここで、K1は固定子スロットによるパーミアンス脈動係数、K2は回転子スロットによるパーミアンス脈動係数、sはすべりである。磁束密度Bは起磁力ATとパーミアンスPの積となり、
【0036】
【数8】
とおく。そして、磁束密度Bを空間積分し、それに固定子短節巻係数を考慮して、電機子巻線13に鎖交する磁束Φを、
【0037】
【数9】
と仮定する。ここで、kBは磁束密度Bの空間高調波次数であり、fpkBはkB次高調波の固定子巻線係数である。
【0038】
次に、この磁束Φを時間微分し、電機子巻線13に誘導される誘導起電圧Eを、
【0039】
【数10】
とおく。ここで、vBは磁束密度Bの時間高調波次数である。
【0040】
そして、電機子電流Iを、(誘導起電圧E)/(リアクタンス)と仮定し、また、リアクタンスは時間高調波次数vBに比例すると仮定し、電機子電流Iを、
【0041】
【数11】
とおく。
【0042】
ここで、(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)と、高調波次数kBと、の関係を図3に示す。式(11)において、電機子電流Iは(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)の値に比例することから、図3において、(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)の値が大きいときは、電機子電流Iが大きくなると考えられる。
【0043】
次に、図3に示される関係から、高調波次数kBが1のときに発生する電機子電流Iは、kBが1でないときに発生する成分を無視できるほど大きくなると考え、以下、高調波次数kBが1となる場合の電機子電流の高調波成分について考察する。
【0044】
以下に述べる、2極当たりのN1とN2との差の値に関する高調波成分に注目した、数式の導出は、発明者等による検討により明らかになったものである。
【0045】
まず、式(11)に式(3)、式(7)を代入し、2極当たりのN1とN2との差の値に関する高調波成分のみを考慮すると、N1>N2の場合の式(11)は、
【0046】
【数12】
と整理できる。一方、N1<N2の場合の式(11)は、
【0047】
【数13】
と整理できる。
【0048】
式(12)および式(13)から、出力電流の脈動は2極当たりのN1とN2との差の値に起因した高調波成分により発生することがわかる。
【0049】
ここで、2極当たりのN1とN2との差の値と、式(12)および式(13)の第1項から発生する高調波成分の大きさと、の関係を図4(a)に示す。また、2極当たりのN1とN2との差の値と、式(12)および式(13)の第2項から発生する高調波成分の大きさと、の関係を図4(b)に示す。図4の横軸は2極当たりのN1とN2との差の値を示しており、図4の縦軸は高周波成分の大きさを示している。なお、高周波成分の大きさは、2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合を100%として、2極当たりのN1とN2との差の値ごとに高周波成分の大きさを表わしている。
【0050】
図4(a)より、2極当たりのN1とN2との差の値が±6より大きい場合は、式(12)および式(13)の第1項から発生する高周波成分は、2極当たりのN1とN2との差の値が±6である場合の30%以下となることがわかった。また、図4(b)より2極当たりのN1とN2との差の値が±6より大きい場合は、式(12)および式(13)の第2項から発生する高周波成分は、2極当たりのN1とN2との差の値が±6である場合の30%以下となることがわかった。
【0051】
したがって、電機子電流波形のひずみを改善するためには、式(2)で推奨される範囲外、つまり、2極当たりのN1とN2との差の値を±6より大きくなるようスロット数を選択することが必要であると言える。
【0052】
ここで、式(1)に示される範囲内において、選択すべき2極当たりのN1とN2との差の値を考察すると、図2より、選択すべき2極当たりのN1とN2との差の最小値は±9となることがわかる。また、選択すべき2極当たりのN1とN2との差の最大値は±24となることがわかる。
【0053】
(固定子毎相毎極スロット数と回転子毎相毎極スロット数との組み合わせについて)
次に、本実施形態において、以下のような場合の、固定子毎相毎極スロット数と回転子毎相毎極スロット数との組み合わせにおける、2極当たりのN1とN2との差の値を考察する。
【0054】
組合せ1:固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とする場合(実施対応1)
組合せ2:固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とする場合(実施対応2)
組合せ3:固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とする場合(実施対応3)
組合せ4:固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とする場合(実施対応4)
(実施対応1)
実施対応1では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした。
【0055】
この場合、図2において、2極当たりのN1とN2との差の値は、±12、±18、±24となることがわかる。
【0056】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±12、±18、±24となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした場合、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0057】
なお、三相回転電機において、毎相毎極スロット数NPPが整数となるとき、同回転電機の三相巻線は整数巻となる。巻線の巻装作業は、実施対応1のように固定子、回転子共に毎相毎極スロット数Nppを整数とする場合が最も簡単になるため、コスト低減が図ることができる。
【0058】
(実施例1:実施対応1における固定子および回転子のスロット数の具体的な例)
実施対応1では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数としたが、具体的には、図1に示すような交流励磁発電機の、固定子スロット数を90、回転子スロット数を54、極数を6、相数を3とした。このとき、固定子毎相毎極スロット数は5であり、回転子毎相毎極スロット数は3である。また、2極当たりの固定子スロット数N1が30、回転子スロット数N2が18であり、2極当たりのN1とN2との差の値は12となる。この場合、図4から、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかり、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
(実施対応2)
実施対応2では、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした。
【0059】
この場合、図2において、2極当たりのN1とN2との差の値は、±9、±15、±21となることがわかる。
【0060】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±9、±15、±21となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした場合であっても、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合も電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0061】
なお、三相回転電機において、毎相毎極スロット数NPPが整数とならないとき、同回転電機の三相巻線は分数巻となる。
(実施対応3)
実施対応3では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした。
【0062】
この場合、図2において、2極当たりのN1とN2との差の値は±9、±15、±21となることがわかる。
【0063】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±9、±15、±21となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした場合であっても、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合も電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0064】
また、回転子の毎極毎相スロット数を分数としたとき、固定子の毎相毎極スロット数は整数であるため、固定子には、2極当たりのN1とN2との差の次数で高調波巻線係数が発生せず、2極当たりのN1とN2との差により発生する高調波電流は0となる。したがって、交流励磁同期発電機に発生する高調波成分をより減らすことが可能になり、電機子電流波形をより平滑化することができる。
【0065】
(実施例2:実施対応3における固定子および回転子のスロット数の具体的な例(その1))
実施対応3では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数としたが、具体的には、固定子スロット数を108、回転子スロット数を81、極数を6、相数を3とした。このとき、固定子毎相毎極スロット数は6であり、回転子毎相毎極スロット数は4.5である。また、2極当たりの固定子スロット数N1は36であり、回転子スロット数N2は27であり、2極当たりのN1とN2との差の値は9である。この場合、図4から、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかり、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0066】
(実施例3:実施対応3における固定子および回転子のスロット数の具体的な例(その2))
また、実施対応3において、具体的には、固定子スロット数を72、回転子スロット数を54、極数を4、相数を3とした。このとき、固定子毎相毎極スロット数は6であり、回転子毎相毎極スロット数は4.5である。また、2極当たりの固定子スロット数N1は36であり、回転子スロット数N2は27であり、N1とN2の差の値は9である。この場合、図4から、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかり、この場合、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
(実施対応4)
実施対応4では、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした。
【0067】
この場合、図2より、2極当たりのN1とN2との差の値は±12、±18、となることがわかる。
【0068】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±12、±18、となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした場合であっても、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合も電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0069】
(第2実施形態について)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態における交流励磁同期発電機(つまり、2極当たりのN1とN2との差の値が±9以上の交流励磁同期発電機)において、極ピッチに対する巻線ピッチを以下に述べる範囲内とすることにより、さらに、電機子電流波形の平滑化を行う。
【0070】
まず、固定子三相短絡時において、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機の、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、高調波電流含有率と、の関係を実測により確認した結果を図5に示す。図5から、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機の電機子電流のおける高調波電流含有率は、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチを80%にした場合に最小となることがわかった。また、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチを86.7%にした場合が80%とした場合の次に小さい結果となることがわかった。
【0071】
よって、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機では、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチを80%にすることで、電機子電流波形の平滑化を行うことができることがわかる。
(実施例4)
【0072】
実施例4における交流励磁同期発電機では、図1に示すように、電機子巻線端部133によって連結されている電機子底巻線131と、電機子上巻線132と、のピッチが全て固定子の12スロット分となるように構成した。この場合、固定子の15スロット分で1極となるため、固定子の極ピッチに対する電機子機子巻線ピッチは12/15で80%となる。
【0073】
図1に示す交流励磁同期発電機の例では、2極当たりのN1とN2との差の値が±12であり、図5において、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機の電機子電流における高調波電流含有率は、極ピッチに対する固定子巻線ピッチを80%にした場合に最小となることから、実施例4では、電機子電流波形の平滑化を行うことができることがわかる。
【0074】
また、図6に、毎極毎相固定子スロット数Nppが3以上7以下、極数が12以下、固定子スロット数が144以下における、電機子巻線ピッチおよび極ピッチに対する電機子巻線ピッチの値を示す。
【0075】
スロット数や極数が図1に示す交流励磁同期発電機の例(実施例4)と異なる場合は、図6に記載した電機子巻線ピッチおよび極ピッチに対する電機子巻線ピッチの値とすると、高調波電流の低減を図ることができる。
【0076】
図6おいては、例えば、電機子上巻線132の#1と、電機子底巻線131の#13と、が電機子巻線端部133によって連結されている場合、電機子巻線ピッチを「(1)----(13)」と表現することにする。
【0077】
図6に記載した電機子巻線ピッチとしたとき、極ピッチに対する電機子巻線ピッチは77.8%から88.9%の範囲内となる。
【0078】
なお、図6には、毎極毎相固定子スロット数Nppが3以上7以下、極数が12以下、固定子スロット数が144以下のみ記載しているが、図6の範囲外でも極ピッチに対する電機子巻線ピッチを77.8%から88.9%の範囲内とすることで、電機子電流波形が改善することができる。
【0079】
また、同様に、回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチについても、77.8%から88.9%の範囲内とすることで、高調波電流の低減を図ることができる。
【0080】
(第3実施形態について)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態における交流励磁同期発電機(つまり、2極当たりのN1とN2との差の値が±9以上の交流励磁同期発電機)において、ギャップ長gに対する回転子スロットの開口幅sを小さくすることで、磁束脈動率を減少させ、さらに、電機子電流波形の改善を行う。
【0081】
まず、磁束脈動率と、ギャップ長gに対する回転子スロット開口幅sと、の関係を図7に示す。図7から、ギャップ長gに対する回転子スロット開口幅sを小さくすることで、磁束脈動率が減少することがわかる。この磁束脈動率は式(12)、式(13)におけるK2に比例するため、ギャップ長gに対する回転子スロットの開口幅sを小さくすると、磁束脈動率が減少し、電機子電流波形が改善できることがわかる。
【0082】
しかしながら、図9のようにスロットの形状を円周方向に対称なままスロット開口幅sを小さくした半閉スロット形状とすると、スロット開口部から界磁巻線23を巻装する際に、隙間が狭く、巻装することができない。
【0083】
また、交流励磁同期発電機の体格を小さくするためギャップ長gを小さくした、図10のような従来の開放スロット形状の場合は、(回転子スロット開口幅s)/(ギャップ長g)が6.8程度なり、磁束脈動率は図7より約0.36となることがわかる。
(実施例5)
【0084】
実施例5では、交流励磁同期発電機において、図8のように回転子スロットの形状を円周方向に非対称とした。この場合、スロット開口幅sを小さくしても、界磁巻線23を巻装する際の隙間を十分に確保できる。
【0085】
実施例5での交流励磁同期発電機は、図8のような半閉スロット形状としているため、(回転子スロット開口幅s)/(ギャップ長g)は開放スロット形状の半分ほどの3.4程度となり、磁束脈動率は図7より約0.25となる。
【0086】
したがって、実施例5のように回転子スロットを円周方向に非対称な半閉スロット形状とすることで、電機子電流の高調波成分を、図10に示す従来のスロット形状の場合を比べて約30%低減することが可能である。
【0087】
なお、第3実施形態では、第2実施形態における交流励磁同期発電機においても、ギャップ長gに対する回転子スロットの開口幅sを小さくすることで、磁束脈動率を減少させ、電機子電流波形の改善を行ってもよい。
【0088】
(第4実施形態について)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、第1実施形態における交流励磁同期発電機(つまり、2極当たりのN1とN2との差の値が±9以上の交流励磁同期発電機)において、固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部の上部に磁性楔15を用いることで、さらに、電機子電流波形の改善を行う。
【0089】
第4実施形態では、図11に示すように、固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部の上部に磁性楔15を用いる。固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部に磁性楔15を用いることにより、磁束が固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部に誘導されるため磁束の脈動が抑制され、電機子電流波形を改善することができる。また、銅損や鉄損、漂遊負荷損を抑制できるため、電機子電流波形の改善効率を向上することができる。さらに、磁束の脈動が抑制されるため、振動や騒音が抑制することができる。
【0090】
なお、第4実施形態では、第2および3実施形態における交流励磁同期発電機においても、固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部の上部に磁性楔15を用いることで、電機子電流波形の改善を行ってもよい。
【0091】
(第5実施形態について)
次に、第5実施形態について説明する。図12は、本実施形態の交流励磁同期発電システムの全体構成図である。本実施形態の交流励磁同期発電システムは、交流励磁同期発電機1と、可変周波数交流励磁装置30と、動力源40と、を有する。
【0092】
本実施形態における交流励磁同期発電機1は、第1〜4実施形態における交流励磁同期発電機であり、電機子側端子31と、界磁側端子32と、を有する。交流励磁同期発電機1の界磁側端子32には、可変周波数交流励磁装置30の出力側が接続される。交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、可変周波数交流励磁装置30の入力側と、は電力系統33に接続している。
【0093】
交流励磁同期発電機1は、動力源40の動力によって回転子20が回転させられ、かつ可変周波数交流励磁装置30から界磁側端子32を介して励磁電流を流されることで、電機子側端子31から電力系統33に電力を供給することができる。
【0094】
界磁側端子32を介して交流励磁同期発電機1に励磁電流を流すための電力は、交流励磁同期発電機1の電機子側端子31から出力される電力の2、3割であるため、本実施形態のように、界磁側端子32に可変周波数交流励磁装置30の出力側を接続した方が、電機子側端子31に接続するよりも、可変周波数交流励磁装置30の容量を小さくでき、低コスト化が図ることができる。
【0095】
また、本実施形態における交流励磁同期発電機1は第1〜4の実施形態の交流励磁同期発電機であるため、電機子側端子31から出力される電流波形ひずみは改善されている。そのため、本実施形態では、交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、電力系統33と、の間に変換器の設置を必要としない。
【0096】
交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、電力系統33と、の間に変換器を設置しない場合、電機子側端子31からの電流が直接電力系統33に流れ込むことになり、電機子端子31から出力される電流の波形は、電力系統33に悪影響を及ぼさない波形としておく必要がある。しかし、本実施形態では、交流励磁同期発電機1の電機子端子31から出力される電流の波形ひずみは改善されているため、電力系統33に悪影響を及ぼさない波形となっている。
【0097】
したがって、この点においても、電機子側端子31と電力系統33を直結し、電力系統33に直接、電力の供給を行う本実施形態の交流励磁同期発電システムでは、第1〜4の実施形態の交流励磁同期発電機を用いることは特に有効である。
【0098】
なお、交流励磁同期発電機と同様な構造をもっている回転電機には、巻線形誘導電動機がある。しかし、電動機の場合は、電力系統33から電力を供給される側であり、電力系統33に電力を供給しないため、電流波形の改善を行わなくても電力系統33にほとんど悪影響を及ぼさない。
【0099】
(第6実施形態について)
次に、第6実施形態について説明する。図13は、本実施形態の風力用交流励磁同期発電システムの全体構成図である。本実施形態の風力用交流励磁同期発電システムは、交流励磁同期発電機1と、可変周波数交流励磁装置30と、動力源40と、を有する。
【0100】
第6実施形態における交流励磁同期発電機1は、第1〜4実施形態における交流励磁同期発電機であり、電機子側端子31と、界磁側端子32と、を有する。交流励磁同期発電機1の界磁側端子32には、可変周波数交流励磁装置30の出力側が接続される。交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、可変周波数交流励磁装置30の入力側と、は電力系統33に接続している。
【0101】
第6実施形態における動力源40は、風車41と、増速機42と、を有し、増速機42は、交流励磁同期発電機1と、風車41との間に設けられている。風車41の回転速度は増速機42により増加される構成となっている。
【0102】
ここで、図14に、交流励磁同期発電機1の、極数と体格の大きさとの関係を示す。図14の横軸は交流励磁同期発電機の極数を示し、図14の縦軸は交流励磁同期発電機の体格の大きさを示している。ここで、交流励磁同期発電機1の体格の大きさは、極数を6とした場合の交流励磁同期発電機の体格の大きさで規格化している。
【0103】
交流励磁同期発電機1は、極数が小さいほど回転速度が高くなるため、極数を小さくすると、図14から体格を小さくでき、コスト低減を図ることができることがわかる。
【0104】
しかしながら、極数が2とした場合は、交流励磁同期発電機1と増速機42の騒音が大きくなり、環境への配慮から風力発電機に用いることが難しくなる。したがって、極数を4および6にすることで、最適な交流励磁同期発電機の体格の大きさとすることができ、さらにコストの低減を図ることができる。
【0105】
また、本実施形態の風力発電システムでは、交流励磁同期発電機1として、第1〜4実施形態の交流励磁同期発電機1を採用することにより、固定子10と回転子20間のギャップ長を狭めても電機子電流波形に与える高調波の影響を小さくできるため、交流励磁同期発電機1の体格をより一層小さくできる。
【0106】
したがって、本実施形態では、上述した方法により、交流励磁同期発電機1の体格を小さくすることができ、大型風車のナセルのような高所への設置が容易となる。
【0107】
なお、本実施形態の風力発電システムでは、交流励磁同期発電機1の界磁側端子32に接続された可変周波数交流励磁装置30の電圧および周波数を、風車41の回転の変動に応じて調整し、回転子20の回転を保持することにより、電力系統33に直結できる安定した電力を供給することが可能である。
【0108】
以上述べたように、本発明によって、電機子電流波形のひずみを低減する、交流励磁同期発電機および風力用交流励磁同期発電機システムを提供することができる。
【0109】
また、本発明によって、電機子電流波形のひずみを低減することによって、固定子10と回転子20間のギャップ長を狭めても電機子電流波形に与える高調波の影響を小さくできるため、交流励磁同期発電機1の体格を小さくできる。これにより、大型風車のナセルのような高所への設置を容易にすることができる。
【0110】
さらに、本発明によって、電機子電流波形のひずみを低減することによって、交流励磁同期発電機1の電機子側端子31から出力される電流を直接電力系統33に直接供給することができ、しかも、電力系統33に悪影響を及ぼさない波形の電機子電流を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の交流励磁同期発電機1の主要部の一例を示す図である。
【図2】固定子および回転子の毎相毎極スロット数NPPが3〜7の範囲内であるときの、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差の値を示す図である。
【図3】(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)と、高調波次数kBと、の関係を示す図である。
【図4】固定子スロット数N1と回転子スロット数N2の差の値と、高調波成分の大きさと、の関係を示す図である。
【図5】2極当たりのN1とN2との差が±12となる交流励磁同期発電機電機子の、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、高調波電流含有率と、の関係を実測により確認した結果を示す図である。
【図6】毎極毎相固定子スロット数Nppが3以上7以下、極数が12以下、固定子スロット数が144以下における、電機子巻線ピッチおよび極ピッチに対する電機子巻線ピッチの値を示す図である。
【図7】磁束脈動率と、ギャップ長gに対する回転子スロット開口幅sと、の関係を示す図である。
【図8】本発明の実施例による、回転子スロットの形状を示す図である。
【図9】円周方向に対称な形状である回転子半閉スロットを示す図である。
【図10】円周方向に対称な形状である回転子開放スロットを示す図である。
【図11】本発明の実施例による、磁性楔を用いた固定子および回転子スロットの形状を示す図である。
【図12】第5実施形態の交流励磁同期発電システムの全体構成図である。
【図13】第6実施形態の風力用交流励磁同期発電システムの全体構成図である。
【図14】交流励磁同期発電機の、極数と体格の大きさとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
10:固定子、11:固定子鉄心、12:固定子スロット、13:電機子巻線、131:電機子底巻線、132:電機子上巻線、133:電機子巻線端部、14:固定子楔、15:磁性楔、20:回転子、21:回転子鉄心、22:回転子スロット、23:界磁巻線、24:回転子楔、25:シャフト、30:可変周波数交流励磁装置、31:電機子側端子、32:界磁側端子、33:電力系統、40:動力源、41:風車、42:増速機
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期発電機及び風力用同期発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力用発電システムに交流励磁同期発電機を用いるためには、従来よりも発電機を軽量化することが必須となる。これは、風車建設の際には発電機をナセルまでクレーンで上げるが、大型の風車ではナセルの高さが100m以上にもなり、発電機の重さで風車の支柱の強度や太さも決まるため、風力用発電システムでは、他の発電システムよりも発電機の軽量化が重視されるからである。
【0003】
交流励磁同期発電機を小型化するために、固定子と回転子間の空隙であるギャップ長を小さくする方法がある。ギャップ長を小さくすると、ギャップの磁気抵抗が小さくなるため、界磁巻線に流れる励磁電流を小さくすることができる。それにより、界磁巻線の断面積を小さくでき、発電機が小型・軽量化される。
【0004】
しかしながら、ギャップ長を小さくすると、固定子および回転子スロットによるギャップ磁気抵抗の空間的変化が大きくなり、電機子電流波形のひずみが増大してしまう。
【0005】
電機子電流波形を改善する技術として、特許文献1には、固定子と回転子とのスロット数および巻線ピッチを最適化して波形を改善する技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、スロット高調波に対する巻線係数が最小となるように巻線ピッチを選定して波形を改善する技術が記載されている。
【0007】
そして、特許文献3には、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差を±6とし、電機子電流波形のひずみを改善する技術が記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平3−270664号公報
【特許文献2】特開平7−15901号公報
【特許文献3】特開2005−304271号公報
【非特許文献1】電気学会通信教育会:変圧器・誘導機交流整流子機、電気学会 p.112(1967).
【非特許文献2】野中作太郎:応用電気工学全書1電気機器(I)、森北出版 p.227(1973).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載される技術では、固定子巻線を分数巻として出力電圧波形の平滑化をしているが、固定子を分数巻としている場合の電機子電流波形のひずみ改善効果が小さい場合がある。
【0010】
また、交流励磁同期発電機の構造は従来の巻線形誘導機と略同一であるが、特許文献2および特許文献3に記載されている技術は、いずれも非特許文献1に記載される従来の誘導機設計における推奨値を踏襲した技術である。そのため、2極当たりの固定子スロット数と、回転子スロット数と、の差が±6以下としている。しかし、発明者らは、電機子電流波形における高調波成分の影響はスロット数の差が大きくなるにつれ減少すると考えられること見出した。そのため、固定子スロット数と回転子スロット数との差が±6以下とした場合では、電機子電流波形における高調波成分の影響を十分に低減できていないと考えられる。つまり、十分に電機子電流波形の平滑化を行えていないと考えられる。
【0011】
本発明の目的は、電機子電流波形のひずみを低減する、交流励磁同期発電機および風力用交流励磁同期発電機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数の回転子スロットに界磁巻線を収納する回転子と、複数の固定子スロットに電機子巻線を収納する固定子と、を有する同期発電機であって、
2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差の値が±9以上である
ことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態について)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差の値を考慮することで、電機子電流波形の平滑化を行う。
【0015】
図1に、本発明の交流励磁同期発電機1の主要部の一例を示す。図1における、交流励磁同期発電機1は、固定子10と、回転子20と、電機子巻線13と、回転シャフト25と、を有する。
【0016】
電機子巻線13は、電機子底巻線131と、電機子上巻線132と、電機子巻線端部133とを有する。電機子底巻線131および電機子上巻線132は、電機子巻線端部133で連結されている。
【0017】
固定子10は、固定子鉄心11に設けられた固定子スロット12に、固定子楔14で固定された、電機子底巻線131と電機子上巻線132とが収納されている。なお、図1に示す例では、電機子底巻線131と電機子上巻線132とが、反時計回りに#1から#90まで収納されている。
【0018】
回転子20は、回転子鉄心21に設けられた回転子スロット22に、回転子楔24で固定された界磁巻線23が収納され、かつ、回転子鉄心21には、シャフト25が収納されている。なお、図1に示す例では、界磁巻線23が、反時計回りに#1’から#54’まで収納されている。
【0019】
交流励磁同期発電機1において、シャフト25に回転力を与えて回転子20を回転させ、かつ界磁巻線23に励磁電流を流すことで、電機子巻線13に電機子電流が流れて発電する。発電周波数は、回転子20の回転速度に応じて変化し、かつ界磁巻線23に流れる励磁電流の周波数にも応じて変化する。風力発電用の風車のような回転速度が常に変化する動力で回転子20を回転させた場合でも、界磁巻線23に流れる励磁電流の周波数を制御することで、発電周波数を一定に保つことが可能となる。
【0020】
(三相回転電機において)
次に、三相回転電機の設計について説明する。三相回転電機の設計において、非特許文献2に、固定子および回転子の毎相毎極スロット数NPPは、
【0021】
【数1】
の範囲に設定することが推奨されている。
【0022】
図2に、固定子および回転子の毎相毎極スロット数NPPが式(1)で推奨される範囲内であるときの、2極当たりの固定子スロット数N1と回転子スロット数N2との差(以下、「2極当たりのN1とN2との差」と称する。)の値を示す。図2から、式(1)で推奨される範囲内で考えられる2極当たりのN1とN2との差の値の最大値は±24となることがわかる。
【0023】
(2極当たりのN1とN2との差の値について)
次に、2極当たりのN1とN2との差の値について、具体的に説明する。
【0024】
誘導機の設計において、固定子全スロット数n1および回転子全スロット数n2は、非特許文献1に、
【0025】
【数2】
の範囲に設定することが推奨されている。
【0026】
ここで、式(2)の範囲内で考えられる2極当たりのN1とN2との差の値を求めると±6以下となる。一般に、交流励磁同期発電機は、その構造が巻線形誘導機と略同一であることから、この推奨値を踏襲して設計されてきた。
【0027】
つまり、交流励磁同期発電機の設計においては、一般的に、式(2)の推奨値に基づいて、2極当たりのN1とN2との差の値は±6以下となる設計を行われてきた。
【0028】
(電機子巻線に流れる電機子電流を示す式の導出)
次に、電機子巻線13に流れる電機子電流Iを示す式を導出する。ここでは、位相の考慮方法を簡略化して電機子電流Iを示す数式を導出する。まず、電機子巻線Iに流れる電機子電流の発電周波数成分による起磁力ATを、
【0029】
【数3】
とおく。ここで、xは固定子座標系に固定され2極分が2πに対応するものとする。また、ω0は同期速度に相当する角周波数、tは時刻、kは起磁力次数、fwkはk次高調波の固定子巻線係数である。
【0030】
そして、固定子巻線係数であるfwkを、
【0031】
【数4】
【0032】
【数5】
【0033】
【数6】
とおく。ここで、fpkは固定子短節巻係数、fdkは固定子分布巻係数、pは極ピッチに対する電機子巻線ピッチ、qは固定子相数、Nsppは固定子毎極毎相スロット数である。
【0034】
次に、各々回転子および固定子スロットによる磁気抵抗の空間的変化を考慮し、磁気抵抗分布の逆数であるパーミアンスの空間分布Pを、
【0035】
【数7】
と仮定する。ここで、K1は固定子スロットによるパーミアンス脈動係数、K2は回転子スロットによるパーミアンス脈動係数、sはすべりである。磁束密度Bは起磁力ATとパーミアンスPの積となり、
【0036】
【数8】
とおく。そして、磁束密度Bを空間積分し、それに固定子短節巻係数を考慮して、電機子巻線13に鎖交する磁束Φを、
【0037】
【数9】
と仮定する。ここで、kBは磁束密度Bの空間高調波次数であり、fpkBはkB次高調波の固定子巻線係数である。
【0038】
次に、この磁束Φを時間微分し、電機子巻線13に誘導される誘導起電圧Eを、
【0039】
【数10】
とおく。ここで、vBは磁束密度Bの時間高調波次数である。
【0040】
そして、電機子電流Iを、(誘導起電圧E)/(リアクタンス)と仮定し、また、リアクタンスは時間高調波次数vBに比例すると仮定し、電機子電流Iを、
【0041】
【数11】
とおく。
【0042】
ここで、(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)と、高調波次数kBと、の関係を図3に示す。式(11)において、電機子電流Iは(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)の値に比例することから、図3において、(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)の値が大きいときは、電機子電流Iが大きくなると考えられる。
【0043】
次に、図3に示される関係から、高調波次数kBが1のときに発生する電機子電流Iは、kBが1でないときに発生する成分を無視できるほど大きくなると考え、以下、高調波次数kBが1となる場合の電機子電流の高調波成分について考察する。
【0044】
以下に述べる、2極当たりのN1とN2との差の値に関する高調波成分に注目した、数式の導出は、発明者等による検討により明らかになったものである。
【0045】
まず、式(11)に式(3)、式(7)を代入し、2極当たりのN1とN2との差の値に関する高調波成分のみを考慮すると、N1>N2の場合の式(11)は、
【0046】
【数12】
と整理できる。一方、N1<N2の場合の式(11)は、
【0047】
【数13】
と整理できる。
【0048】
式(12)および式(13)から、出力電流の脈動は2極当たりのN1とN2との差の値に起因した高調波成分により発生することがわかる。
【0049】
ここで、2極当たりのN1とN2との差の値と、式(12)および式(13)の第1項から発生する高調波成分の大きさと、の関係を図4(a)に示す。また、2極当たりのN1とN2との差の値と、式(12)および式(13)の第2項から発生する高調波成分の大きさと、の関係を図4(b)に示す。図4の横軸は2極当たりのN1とN2との差の値を示しており、図4の縦軸は高周波成分の大きさを示している。なお、高周波成分の大きさは、2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合を100%として、2極当たりのN1とN2との差の値ごとに高周波成分の大きさを表わしている。
【0050】
図4(a)より、2極当たりのN1とN2との差の値が±6より大きい場合は、式(12)および式(13)の第1項から発生する高周波成分は、2極当たりのN1とN2との差の値が±6である場合の30%以下となることがわかった。また、図4(b)より2極当たりのN1とN2との差の値が±6より大きい場合は、式(12)および式(13)の第2項から発生する高周波成分は、2極当たりのN1とN2との差の値が±6である場合の30%以下となることがわかった。
【0051】
したがって、電機子電流波形のひずみを改善するためには、式(2)で推奨される範囲外、つまり、2極当たりのN1とN2との差の値を±6より大きくなるようスロット数を選択することが必要であると言える。
【0052】
ここで、式(1)に示される範囲内において、選択すべき2極当たりのN1とN2との差の値を考察すると、図2より、選択すべき2極当たりのN1とN2との差の最小値は±9となることがわかる。また、選択すべき2極当たりのN1とN2との差の最大値は±24となることがわかる。
【0053】
(固定子毎相毎極スロット数と回転子毎相毎極スロット数との組み合わせについて)
次に、本実施形態において、以下のような場合の、固定子毎相毎極スロット数と回転子毎相毎極スロット数との組み合わせにおける、2極当たりのN1とN2との差の値を考察する。
【0054】
組合せ1:固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とする場合(実施対応1)
組合せ2:固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とする場合(実施対応2)
組合せ3:固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とする場合(実施対応3)
組合せ4:固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とする場合(実施対応4)
(実施対応1)
実施対応1では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした。
【0055】
この場合、図2において、2極当たりのN1とN2との差の値は、±12、±18、±24となることがわかる。
【0056】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±12、±18、±24となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした場合、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0057】
なお、三相回転電機において、毎相毎極スロット数NPPが整数となるとき、同回転電機の三相巻線は整数巻となる。巻線の巻装作業は、実施対応1のように固定子、回転子共に毎相毎極スロット数Nppを整数とする場合が最も簡単になるため、コスト低減が図ることができる。
【0058】
(実施例1:実施対応1における固定子および回転子のスロット数の具体的な例)
実施対応1では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数としたが、具体的には、図1に示すような交流励磁発電機の、固定子スロット数を90、回転子スロット数を54、極数を6、相数を3とした。このとき、固定子毎相毎極スロット数は5であり、回転子毎相毎極スロット数は3である。また、2極当たりの固定子スロット数N1が30、回転子スロット数N2が18であり、2極当たりのN1とN2との差の値は12となる。この場合、図4から、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかり、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
(実施対応2)
実施対応2では、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした。
【0059】
この場合、図2において、2極当たりのN1とN2との差の値は、±9、±15、±21となることがわかる。
【0060】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±9、±15、±21となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を整数とした場合であっても、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合も電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0061】
なお、三相回転電機において、毎相毎極スロット数NPPが整数とならないとき、同回転電機の三相巻線は分数巻となる。
(実施対応3)
実施対応3では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした。
【0062】
この場合、図2において、2極当たりのN1とN2との差の値は±9、±15、±21となることがわかる。
【0063】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±9、±15、±21となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした場合であっても、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合も電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0064】
また、回転子の毎極毎相スロット数を分数としたとき、固定子の毎相毎極スロット数は整数であるため、固定子には、2極当たりのN1とN2との差の次数で高調波巻線係数が発生せず、2極当たりのN1とN2との差により発生する高調波電流は0となる。したがって、交流励磁同期発電機に発生する高調波成分をより減らすことが可能になり、電機子電流波形をより平滑化することができる。
【0065】
(実施例2:実施対応3における固定子および回転子のスロット数の具体的な例(その1))
実施対応3では、固定子毎相毎極スロット数を整数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数としたが、具体的には、固定子スロット数を108、回転子スロット数を81、極数を6、相数を3とした。このとき、固定子毎相毎極スロット数は6であり、回転子毎相毎極スロット数は4.5である。また、2極当たりの固定子スロット数N1は36であり、回転子スロット数N2は27であり、2極当たりのN1とN2との差の値は9である。この場合、図4から、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかり、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0066】
(実施例3:実施対応3における固定子および回転子のスロット数の具体的な例(その2))
また、実施対応3において、具体的には、固定子スロット数を72、回転子スロット数を54、極数を4、相数を3とした。このとき、固定子毎相毎極スロット数は6であり、回転子毎相毎極スロット数は4.5である。また、2極当たりの固定子スロット数N1は36であり、回転子スロット数N2は27であり、N1とN2の差の値は9である。この場合、図4から、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかり、この場合、電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
(実施対応4)
実施対応4では、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした。
【0067】
この場合、図2より、2極当たりのN1とN2との差の値は±12、±18、となることがわかる。
【0068】
2極当たりのN1とN2との差の値が、±12、±18、となる場合、図4からわかるように、発生する高調波電流は2極当たりのN1とN2との差の値が±6の場合の30%以下となるため、固定子毎相毎極スロット数を分数とし、回転子毎相毎極スロット数を分数とした場合であっても、電機子電流の高調波成分が小さくなることがわかる。したがって、この場合も電機子電流波形の平滑化を行うことができる。
【0069】
(第2実施形態について)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態における交流励磁同期発電機(つまり、2極当たりのN1とN2との差の値が±9以上の交流励磁同期発電機)において、極ピッチに対する巻線ピッチを以下に述べる範囲内とすることにより、さらに、電機子電流波形の平滑化を行う。
【0070】
まず、固定子三相短絡時において、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機の、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、高調波電流含有率と、の関係を実測により確認した結果を図5に示す。図5から、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機の電機子電流のおける高調波電流含有率は、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチを80%にした場合に最小となることがわかった。また、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチを86.7%にした場合が80%とした場合の次に小さい結果となることがわかった。
【0071】
よって、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機では、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチを80%にすることで、電機子電流波形の平滑化を行うことができることがわかる。
(実施例4)
【0072】
実施例4における交流励磁同期発電機では、図1に示すように、電機子巻線端部133によって連結されている電機子底巻線131と、電機子上巻線132と、のピッチが全て固定子の12スロット分となるように構成した。この場合、固定子の15スロット分で1極となるため、固定子の極ピッチに対する電機子機子巻線ピッチは12/15で80%となる。
【0073】
図1に示す交流励磁同期発電機の例では、2極当たりのN1とN2との差の値が±12であり、図5において、2極当たりのN1とN2との差の値が±12となる交流励磁同期発電機の電機子電流における高調波電流含有率は、極ピッチに対する固定子巻線ピッチを80%にした場合に最小となることから、実施例4では、電機子電流波形の平滑化を行うことができることがわかる。
【0074】
また、図6に、毎極毎相固定子スロット数Nppが3以上7以下、極数が12以下、固定子スロット数が144以下における、電機子巻線ピッチおよび極ピッチに対する電機子巻線ピッチの値を示す。
【0075】
スロット数や極数が図1に示す交流励磁同期発電機の例(実施例4)と異なる場合は、図6に記載した電機子巻線ピッチおよび極ピッチに対する電機子巻線ピッチの値とすると、高調波電流の低減を図ることができる。
【0076】
図6おいては、例えば、電機子上巻線132の#1と、電機子底巻線131の#13と、が電機子巻線端部133によって連結されている場合、電機子巻線ピッチを「(1)----(13)」と表現することにする。
【0077】
図6に記載した電機子巻線ピッチとしたとき、極ピッチに対する電機子巻線ピッチは77.8%から88.9%の範囲内となる。
【0078】
なお、図6には、毎極毎相固定子スロット数Nppが3以上7以下、極数が12以下、固定子スロット数が144以下のみ記載しているが、図6の範囲外でも極ピッチに対する電機子巻線ピッチを77.8%から88.9%の範囲内とすることで、電機子電流波形が改善することができる。
【0079】
また、同様に、回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチについても、77.8%から88.9%の範囲内とすることで、高調波電流の低減を図ることができる。
【0080】
(第3実施形態について)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態における交流励磁同期発電機(つまり、2極当たりのN1とN2との差の値が±9以上の交流励磁同期発電機)において、ギャップ長gに対する回転子スロットの開口幅sを小さくすることで、磁束脈動率を減少させ、さらに、電機子電流波形の改善を行う。
【0081】
まず、磁束脈動率と、ギャップ長gに対する回転子スロット開口幅sと、の関係を図7に示す。図7から、ギャップ長gに対する回転子スロット開口幅sを小さくすることで、磁束脈動率が減少することがわかる。この磁束脈動率は式(12)、式(13)におけるK2に比例するため、ギャップ長gに対する回転子スロットの開口幅sを小さくすると、磁束脈動率が減少し、電機子電流波形が改善できることがわかる。
【0082】
しかしながら、図9のようにスロットの形状を円周方向に対称なままスロット開口幅sを小さくした半閉スロット形状とすると、スロット開口部から界磁巻線23を巻装する際に、隙間が狭く、巻装することができない。
【0083】
また、交流励磁同期発電機の体格を小さくするためギャップ長gを小さくした、図10のような従来の開放スロット形状の場合は、(回転子スロット開口幅s)/(ギャップ長g)が6.8程度なり、磁束脈動率は図7より約0.36となることがわかる。
(実施例5)
【0084】
実施例5では、交流励磁同期発電機において、図8のように回転子スロットの形状を円周方向に非対称とした。この場合、スロット開口幅sを小さくしても、界磁巻線23を巻装する際の隙間を十分に確保できる。
【0085】
実施例5での交流励磁同期発電機は、図8のような半閉スロット形状としているため、(回転子スロット開口幅s)/(ギャップ長g)は開放スロット形状の半分ほどの3.4程度となり、磁束脈動率は図7より約0.25となる。
【0086】
したがって、実施例5のように回転子スロットを円周方向に非対称な半閉スロット形状とすることで、電機子電流の高調波成分を、図10に示す従来のスロット形状の場合を比べて約30%低減することが可能である。
【0087】
なお、第3実施形態では、第2実施形態における交流励磁同期発電機においても、ギャップ長gに対する回転子スロットの開口幅sを小さくすることで、磁束脈動率を減少させ、電機子電流波形の改善を行ってもよい。
【0088】
(第4実施形態について)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、第1実施形態における交流励磁同期発電機(つまり、2極当たりのN1とN2との差の値が±9以上の交流励磁同期発電機)において、固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部の上部に磁性楔15を用いることで、さらに、電機子電流波形の改善を行う。
【0089】
第4実施形態では、図11に示すように、固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部の上部に磁性楔15を用いる。固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部に磁性楔15を用いることにより、磁束が固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部に誘導されるため磁束の脈動が抑制され、電機子電流波形を改善することができる。また、銅損や鉄損、漂遊負荷損を抑制できるため、電機子電流波形の改善効率を向上することができる。さらに、磁束の脈動が抑制されるため、振動や騒音が抑制することができる。
【0090】
なお、第4実施形態では、第2および3実施形態における交流励磁同期発電機においても、固定子スロット12、および回転子スロット22の開口部の上部に磁性楔15を用いることで、電機子電流波形の改善を行ってもよい。
【0091】
(第5実施形態について)
次に、第5実施形態について説明する。図12は、本実施形態の交流励磁同期発電システムの全体構成図である。本実施形態の交流励磁同期発電システムは、交流励磁同期発電機1と、可変周波数交流励磁装置30と、動力源40と、を有する。
【0092】
本実施形態における交流励磁同期発電機1は、第1〜4実施形態における交流励磁同期発電機であり、電機子側端子31と、界磁側端子32と、を有する。交流励磁同期発電機1の界磁側端子32には、可変周波数交流励磁装置30の出力側が接続される。交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、可変周波数交流励磁装置30の入力側と、は電力系統33に接続している。
【0093】
交流励磁同期発電機1は、動力源40の動力によって回転子20が回転させられ、かつ可変周波数交流励磁装置30から界磁側端子32を介して励磁電流を流されることで、電機子側端子31から電力系統33に電力を供給することができる。
【0094】
界磁側端子32を介して交流励磁同期発電機1に励磁電流を流すための電力は、交流励磁同期発電機1の電機子側端子31から出力される電力の2、3割であるため、本実施形態のように、界磁側端子32に可変周波数交流励磁装置30の出力側を接続した方が、電機子側端子31に接続するよりも、可変周波数交流励磁装置30の容量を小さくでき、低コスト化が図ることができる。
【0095】
また、本実施形態における交流励磁同期発電機1は第1〜4の実施形態の交流励磁同期発電機であるため、電機子側端子31から出力される電流波形ひずみは改善されている。そのため、本実施形態では、交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、電力系統33と、の間に変換器の設置を必要としない。
【0096】
交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、電力系統33と、の間に変換器を設置しない場合、電機子側端子31からの電流が直接電力系統33に流れ込むことになり、電機子端子31から出力される電流の波形は、電力系統33に悪影響を及ぼさない波形としておく必要がある。しかし、本実施形態では、交流励磁同期発電機1の電機子端子31から出力される電流の波形ひずみは改善されているため、電力系統33に悪影響を及ぼさない波形となっている。
【0097】
したがって、この点においても、電機子側端子31と電力系統33を直結し、電力系統33に直接、電力の供給を行う本実施形態の交流励磁同期発電システムでは、第1〜4の実施形態の交流励磁同期発電機を用いることは特に有効である。
【0098】
なお、交流励磁同期発電機と同様な構造をもっている回転電機には、巻線形誘導電動機がある。しかし、電動機の場合は、電力系統33から電力を供給される側であり、電力系統33に電力を供給しないため、電流波形の改善を行わなくても電力系統33にほとんど悪影響を及ぼさない。
【0099】
(第6実施形態について)
次に、第6実施形態について説明する。図13は、本実施形態の風力用交流励磁同期発電システムの全体構成図である。本実施形態の風力用交流励磁同期発電システムは、交流励磁同期発電機1と、可変周波数交流励磁装置30と、動力源40と、を有する。
【0100】
第6実施形態における交流励磁同期発電機1は、第1〜4実施形態における交流励磁同期発電機であり、電機子側端子31と、界磁側端子32と、を有する。交流励磁同期発電機1の界磁側端子32には、可変周波数交流励磁装置30の出力側が接続される。交流励磁同期発電機1の電機子側端子31と、可変周波数交流励磁装置30の入力側と、は電力系統33に接続している。
【0101】
第6実施形態における動力源40は、風車41と、増速機42と、を有し、増速機42は、交流励磁同期発電機1と、風車41との間に設けられている。風車41の回転速度は増速機42により増加される構成となっている。
【0102】
ここで、図14に、交流励磁同期発電機1の、極数と体格の大きさとの関係を示す。図14の横軸は交流励磁同期発電機の極数を示し、図14の縦軸は交流励磁同期発電機の体格の大きさを示している。ここで、交流励磁同期発電機1の体格の大きさは、極数を6とした場合の交流励磁同期発電機の体格の大きさで規格化している。
【0103】
交流励磁同期発電機1は、極数が小さいほど回転速度が高くなるため、極数を小さくすると、図14から体格を小さくでき、コスト低減を図ることができることがわかる。
【0104】
しかしながら、極数が2とした場合は、交流励磁同期発電機1と増速機42の騒音が大きくなり、環境への配慮から風力発電機に用いることが難しくなる。したがって、極数を4および6にすることで、最適な交流励磁同期発電機の体格の大きさとすることができ、さらにコストの低減を図ることができる。
【0105】
また、本実施形態の風力発電システムでは、交流励磁同期発電機1として、第1〜4実施形態の交流励磁同期発電機1を採用することにより、固定子10と回転子20間のギャップ長を狭めても電機子電流波形に与える高調波の影響を小さくできるため、交流励磁同期発電機1の体格をより一層小さくできる。
【0106】
したがって、本実施形態では、上述した方法により、交流励磁同期発電機1の体格を小さくすることができ、大型風車のナセルのような高所への設置が容易となる。
【0107】
なお、本実施形態の風力発電システムでは、交流励磁同期発電機1の界磁側端子32に接続された可変周波数交流励磁装置30の電圧および周波数を、風車41の回転の変動に応じて調整し、回転子20の回転を保持することにより、電力系統33に直結できる安定した電力を供給することが可能である。
【0108】
以上述べたように、本発明によって、電機子電流波形のひずみを低減する、交流励磁同期発電機および風力用交流励磁同期発電機システムを提供することができる。
【0109】
また、本発明によって、電機子電流波形のひずみを低減することによって、固定子10と回転子20間のギャップ長を狭めても電機子電流波形に与える高調波の影響を小さくできるため、交流励磁同期発電機1の体格を小さくできる。これにより、大型風車のナセルのような高所への設置を容易にすることができる。
【0110】
さらに、本発明によって、電機子電流波形のひずみを低減することによって、交流励磁同期発電機1の電機子側端子31から出力される電流を直接電力系統33に直接供給することができ、しかも、電力系統33に悪影響を及ぼさない波形の電機子電流を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の交流励磁同期発電機1の主要部の一例を示す図である。
【図2】固定子および回転子の毎相毎極スロット数NPPが3〜7の範囲内であるときの、2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差の値を示す図である。
【図3】(固定子短節巻係数fpkB)/(高調波次数kB)と、高調波次数kBと、の関係を示す図である。
【図4】固定子スロット数N1と回転子スロット数N2の差の値と、高調波成分の大きさと、の関係を示す図である。
【図5】2極当たりのN1とN2との差が±12となる交流励磁同期発電機電機子の、固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、高調波電流含有率と、の関係を実測により確認した結果を示す図である。
【図6】毎極毎相固定子スロット数Nppが3以上7以下、極数が12以下、固定子スロット数が144以下における、電機子巻線ピッチおよび極ピッチに対する電機子巻線ピッチの値を示す図である。
【図7】磁束脈動率と、ギャップ長gに対する回転子スロット開口幅sと、の関係を示す図である。
【図8】本発明の実施例による、回転子スロットの形状を示す図である。
【図9】円周方向に対称な形状である回転子半閉スロットを示す図である。
【図10】円周方向に対称な形状である回転子開放スロットを示す図である。
【図11】本発明の実施例による、磁性楔を用いた固定子および回転子スロットの形状を示す図である。
【図12】第5実施形態の交流励磁同期発電システムの全体構成図である。
【図13】第6実施形態の風力用交流励磁同期発電システムの全体構成図である。
【図14】交流励磁同期発電機の、極数と体格の大きさとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
10:固定子、11:固定子鉄心、12:固定子スロット、13:電機子巻線、131:電機子底巻線、132:電機子上巻線、133:電機子巻線端部、14:固定子楔、15:磁性楔、20:回転子、21:回転子鉄心、22:回転子スロット、23:界磁巻線、24:回転子楔、25:シャフト、30:可変周波数交流励磁装置、31:電機子側端子、32:界磁側端子、33:電力系統、40:動力源、41:風車、42:増速機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転子スロットに界磁巻線を収納する回転子と、複数の固定子スロットに電機子巻線を収納する固定子と、を有する同期発電機であって、
2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差が±9以上であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の同期発電機であって、
2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差が±24以下であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の同期発電機であって、
前記界磁巻線は励磁装置によって励磁され、前記電機子巻線に電力を発電する交流励磁同期発電機であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子および前記回転子の毎極毎相のスロット数を整数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項5】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項6】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項7】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子の毎極毎相のスロット数を整数とし、前記回転子の毎極毎相のスロット数を分数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項9】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項10】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項11】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
ことを特徴とする同期発電機。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子の毎極毎相のスロット数を分数とし、前記回転子の毎極毎相のスロット数を整数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項13】
請求項12に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項14】
請求項12に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項15】
請求項12に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項16】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子および前記回転子の毎極毎相のスロット数を分数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項17】
請求項16に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項18】
請求項16に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
ことを特徴とする同期発電機。
【請求項19】
請求項16に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項20】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記固定子の2極当たりのスロット数を30、前記回転子の2極当たりのスロット数を18とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項21】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記固定子の2極当たりのスロット数を36、前記回転子の2極当たりのスロット数を27とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項22】
請求項20または21に記載の同期発電機であって、
前記同期発電機の極数を4〜6とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記回転子のスロット形状が円周方向に非対称であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子および前記回転子のスロットの開口部の上部に磁性楔を用いること
を特徴とする同期発電機。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の同期発電機と、前記回転子を回転させる動力源と、を有する発電システムであって、
前記動力源は風車を有し、さらに、前記同期発電機と前記風車との間に増速機を有すること
を特徴とする同期発電システム。
【請求項26】
請求項25に記載の発電システムであって、
前記界磁巻線を励磁する励磁装置を有し、
前記励磁装置は、電圧と周波数を任意に設定できること
を特徴とする同期発電システム。
【請求項27】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の同期発電機と、前記回転子を回転させる動力源と、を有する発電システムであって、
前記動力源は、風力を利用すること
を特徴とする同期発電システム。
【請求項1】
複数の回転子スロットに界磁巻線を収納する回転子と、複数の固定子スロットに電機子巻線を収納する固定子と、を有する同期発電機であって、
2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差が±9以上であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の同期発電機であって、
2極当たりの固定子スロット数と回転子スロット数との差が±24以下であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の同期発電機であって、
前記界磁巻線は励磁装置によって励磁され、前記電機子巻線に電力を発電する交流励磁同期発電機であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子および前記回転子の毎極毎相のスロット数を整数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項5】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項6】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項7】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子の毎極毎相のスロット数を整数とし、前記回転子の毎極毎相のスロット数を分数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項9】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項10】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項11】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
ことを特徴とする同期発電機。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子の毎極毎相のスロット数を分数とし、前記回転子の毎極毎相のスロット数を整数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項13】
請求項12に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項14】
請求項12に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項15】
請求項12に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項16】
請求項1から3のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子および前記回転子の毎極毎相のスロット数を分数とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項17】
請求項16に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項18】
請求項16に記載の同期発電機であって、
前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチが77.8〜88.9%であること
ことを特徴とする同期発電機。
【請求項19】
請求項16に記載の同期発電機であって、
前記固定子の極ピッチに対する電機子巻線ピッチと、前記回転子の極ピッチに対する界磁巻線ピッチと、が77.8〜88.9%であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項20】
請求項4に記載の同期発電機であって、
前記固定子の2極当たりのスロット数を30、前記回転子の2極当たりのスロット数を18とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項21】
請求項8に記載の同期発電機であって、
前記固定子の2極当たりのスロット数を36、前記回転子の2極当たりのスロット数を27とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項22】
請求項20または21に記載の同期発電機であって、
前記同期発電機の極数を4〜6とすること
を特徴とする同期発電機。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記回転子のスロット形状が円周方向に非対称であること
を特徴とする同期発電機。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の同期発電機であって、
前記固定子および前記回転子のスロットの開口部の上部に磁性楔を用いること
を特徴とする同期発電機。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の同期発電機と、前記回転子を回転させる動力源と、を有する発電システムであって、
前記動力源は風車を有し、さらに、前記同期発電機と前記風車との間に増速機を有すること
を特徴とする同期発電システム。
【請求項26】
請求項25に記載の発電システムであって、
前記界磁巻線を励磁する励磁装置を有し、
前記励磁装置は、電圧と周波数を任意に設定できること
を特徴とする同期発電システム。
【請求項27】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の同期発電機と、前記回転子を回転させる動力源と、を有する発電システムであって、
前記動力源は、風力を利用すること
を特徴とする同期発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−35336(P2010−35336A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195093(P2008−195093)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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