説明

同軸型真空アーク蒸着源及び真空蒸着装置

【課題】同軸型真空アーク蒸着源を用いた真空処理装置における蒸着量のバッチ毎の再現性を改善し、その安定化を提供する。
【解決手段】同軸型真空アーク蒸着源5は、環状のトリガ電極13と、カソード電極12と、カソード電極12に接続される一端部と、一端部と反対側の他端部とを有し、一端部と他端部の少なくとも一方が面取りされた円柱状の蒸着材料11と、トリガ電極13と蒸着材料11の間、及びトリガ電極13とカソード電極12の間に配置された絶縁碍子14と、トリガ電極の周囲に配置され、一端に開口を有する筒状のアノード電極23とを具備する。これにより、蒸着材料11が消耗しても、その端部周縁の曲面が維持された状態となるので、蒸発粒子の出射角が安定し、蒸着の再現性が改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着量を安定化させることができる同軸型真空アーク蒸着源及び真空蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜形成装置のひとつに、同軸型真空アーク蒸着源を用いた真空蒸着装置が知られている(例えば特許文献1参照)。同軸型真空アーク蒸着源は、アノード電極と蒸着材料とトリガ電極とを有している。そして、アノード電極と蒸着材料との間に電圧を印加した状態で、トリガ電極と蒸着材料との間にトリガ放電を発生させ、アノード電極と蒸着材料との間にアーク放電を誘起させることで、蒸着材料から当該蒸着材料を構成する物質が放出される。
【0003】
【特許文献1】特開平11−350114号公報(段落[0042]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の同軸型真空アーク蒸着源を用いた蒸着装置においては、寿命に達していない蒸着材料を用いていても、形成される膜厚が、バッチ毎に安定しないという問題があった。これは、蒸着材料の形状が消耗により変化し、蒸発粒子の出射角が複雑に変化するためと考えられる。
【0005】
すなわち、トリガ電極近傍の蒸着材料の表面では、トリガ放電によって生じた蒸発粒子の空間密度は均一ではなく、トリガ電極近傍の位置における蒸発粒子の空間密度は、トリガ電極から離れた位置における蒸発粒子の空間密度に比して大きい。すなわち、アーク電流は、トリガ電極近傍に位置する蒸着材料の表面において大きく流れ、その結果、蒸着材料は、トリガ電極近傍のごく一部でその大部分が蒸発して消耗することになる。従来の蒸着材料は、底の縁が角張った円柱状であったため、底の縁の角が蒸発消耗して形状変化が大きかった。これが、蒸発粒子の出射角に影響を与えていると考えられる。
【0006】
このように、従来の同軸型真空アーク蒸着源では、蒸着量を安定化させることができなかったため、バッチ毎の膜厚の再現性が得られなかった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、蒸着量を安定化でき、再現性に優れた同軸型真空アーク蒸着源及び真空蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明に係る同軸型真空アーク蒸着源は、環状のトリガ電極と、カソード電極と、前記カソード電極に接続される一端部と、前記一端部と反対側の他端部とを有し、前記一端部と前記他端部のうち少なくとも前記他端部の周縁が面取りされた円柱状の蒸着材料と、前記トリガ電極と前記蒸着材料の間、及び前記トリガ電極と前記カソード電極の間に配置された絶縁部材と、前記トリガ電極の周囲に配置された筒状のアノード電極とを具備する。
【0009】
本発明においては、蒸着材料が面取り円柱状であることによって、蒸着材料の端部の周縁に角が無く、蒸着材料が消耗してもその周縁の曲面が維持された状態となるので、蒸発粒子の出射角が安定し、蒸着量の再現性を高めることができる。
【0010】
また、本発明において、前記絶縁部材は、前記トリガ電極の内周面と対向する円筒状部と、前記トリガ電極と前記カソード電極の間に位置するフランジ部とを有し、前記蒸着材料の他端部は、前記絶縁部材の前記円筒状部の先端と同一の高さ位置にある。これにより、蒸着量の更なる安定化を図ることができる。
【0011】
さらに、前記蒸着材料の両端部をいずれも同様な面取り形状とすれば、メンテナンス時に蒸着材料を組み直すことで蒸着材料の両端を蒸着に使用することが可能となる。これにより、蒸着材料の使用効率を高めることができる。
【0012】
一方、本発明に係る真空蒸着装置は、真空槽と、前記真空槽内で蒸着対象物を保持するホルダと、環状のトリガ電極と、カソード電極と、前記カソード電極に接続される一端部と、前記一端部と反対側の他端部とを有し、前記一端部と前記他端部のうち少なくとも前記他端部の周縁が面取りされた円柱状の蒸着材料と、前記トリガ電極と前記蒸着材料の間、及び前記トリガ電極と前記カソード電極の間に配置された絶縁部材と、前記トリガ電極の周囲に配置された筒状のアノード電極とを具備する。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明によれば、同軸型アーク蒸着源による蒸着対象物への蒸着量を安定化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による同軸型真空アーク蒸着源(以下単に「蒸着源」ともいう。)5を備えた真空蒸着装置1の概略構成を示している。本実施形態の真空蒸着装置1は、真空槽2と、真空槽2の内部天井側に配置されたホルダ3と、真空槽2の内部にホルダ3に対向するように配置された蒸着源5とを有している。また、ホルダ3と蒸着源5の間にはシャッタ部材7が配置されており、このシャッタ部材7は、ホルダ3と蒸着源5の間を遮蔽する位置からこれらの間を開放する位置へ移動自在に構成されている。
【0016】
真空槽2の底部には貫通孔が設けられ、この貫通孔を気密に閉塞するように取付フランジ71が配置されている。取付フランジ71は、真空槽2の内部に延びる複数本の支柱72を備えており、これらの支柱72には、蒸着源5が固定されている。
【0017】
蒸着源5の構成を図2に示す。この蒸着源5は、アノード電極23と蒸着材料11とトリガ電極13とを有している。そして後述するように、蒸着源5は、アノード電極23と蒸着材料11との間に電圧を印加した状態で、トリガ電極13と蒸着材料11との間にトリガ放電を発生させ、アノード電極23と蒸着材料11との間にアーク放電を誘起させると、蒸着材料11から当該蒸着材料を構成する物質が放出されるように構成されている。
【0018】
ここで使用される蒸着源5は、図2に示すように導電性のベースフランジ19を有し、このベースフランジ19に円筒状のアノード電極23とカソード部40が取り付けられている。カソード部40は、電極部50と基台部60からなる。電極部50は、蒸着材料11と、蒸着材料11の周囲に位置する環状のトリガ電極13と、トリガ電極13と蒸着材料11の間、及びトリガ電極13とカソード電極12の間に位置する絶縁部材としての絶縁碍子14とを有している。また、基台部60は、カソード電極12と、スリーブ16と、スリーブ押さえ17とを有している。
【0019】
アノード電極23の底部内周面には、円板状のベースフランジ19の端部が固定されている。アノード電極23の上端には開口25が形成されている。アノード電極23は、例えば、直径30mm、高さ(長さ)60mmのステンレス製の円筒部材で形成されている。アノード電極23は、その軸心が、ホルダ3上に保持される蒸着対象物としての基板4の中心部と一致するように配置されている。
【0020】
カソード電極12は、このベースフランジ19と絶縁された状態で、ベースフランジ19の上面側に配置されている。カソード電極12は、例えば銅で形成されている。カソード電極12は、電極保持部12aと、後述する電源装置6と電気的に接続される接続部12bと、電極保持部12aに蒸着材料11を固定する固定具12cとを有している。図2に示すように、蒸着材料11は、カソード電極12の電極保持部12aに取り付けられ、固定具12cで固定できるようになっている。
【0021】
蒸着材料11は、円柱状に形成されている。蒸着材料11は、図3に示すように、カソード電極12に接続される一端部(下端部)11aと、当該一端部11aと反対側の他端部(上端部)11bとを有し、これら一端部11aと他端部11bの各々の周縁が面取り加工(曲面加工)されている。本実施形態において、蒸着材料11は、直径10mm、高さ22mmに形成されており、この場合、両端部11a,11bの周縁の面取りは、例えば、1mm〜2mmの曲率半径で形成される。蒸着材料11には、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、セレン(Se)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、白金(Pt)などを用いることができる。
【0022】
絶縁碍子14は、円筒状部14aとフランジ部14bから構成されており、その形状からハット型碍子と呼称される。トリガ電極13はこのハット型の絶縁碍子14により、カソード電極12と蒸着材料11との両方と絶縁されている。トリガ電極13の上面及び蒸着材料11の上端部11bの表面は、絶縁碍子14の円筒状部14aの先端と同一の高さ位置にある。これにより、電極部50の上面は、面一に形成されている。
【0023】
絶縁碍子14の円筒状部14aとフランジ部14bは一体的に構成されているが、これらを別部材で形成した後、一体接合することも可能である。本実施形態では、円筒状部14aは、純度99%のアルミナ部材で形成され、フランジ部14bは、純度96%のアルミナ部材で形成されている。
【0024】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、蒸着材料11と、絶縁碍子14と、トリガ電極13とを組み立てて電極部50を構成している。このようにして組み立てた電極部50をカソード電極12の電極ホルダ12aに取り付け、固定具12cで固定する。固定具12cの操作によって、蒸着材料11の入れ替え及び交換を容易に行うことができる。特に本実施形態では、蒸着材料11の各端部11a,11bのいずれの周縁をも面取り形状としているので、一端部11a側と他端部11b側の上下を組み代えることで、蒸着材料11の蒸発面を再生できる。これにより、蒸着材料の使用効率を高められる。
【0025】
上述したベースフランジ19には、貫通孔が設けられており、その貫通孔には、スリーブ16が挿通されている。上記貫通孔とスリーブ16の周囲の隙間には、アルミナなどの絶縁材からなるリング状の上側スリーブ押え17a及び下側スリーブ押え17bからなるスリーブ押え17が配置されている。スリーブ16及び上側スリーブ押え17aの上には、上述したカソード電極12が配置されている。カソード電極12の接続部12bはスリーブ16を挿通してベースフランジ19の裏面側に露出している。カソード電極12の接続部12cにはネジが切られており、そのネジにナット18が螺合されることにより、カソード電極12は、スリーブ16及びスリーブ押え17を挟み付けた状態で、ベースフランジ19表面に固定されている。
【0026】
トリガ電極13には、トリガ配線21の一端が接続されている。トリガ配線21の一部は絶縁材からなるトリガ配線碍子22によって被覆されている。上述したベースフランジ19には、その表裏を貫通する小孔が設けられ、トリガ配線碍子22は、この小孔を気密に挿通されてベースフランジ19の裏面側に引き出されている。
【0027】
このように、カソード電極12、トリガ配線21、アノード電極23は、真空槽2の内部に収納され、これらのカソード電極12、トリガ配線21及びアノード電極23は、取付フランジ71を気密に挿通して配置された電流導入端子の一端にそれぞれ接続されている。各電流導入端子の他端は真空槽2の外部に露出しており、ともに真空槽2の外部に配置された電源装置6と接続されている。
【0028】
電源装置6は、トリガ電源31とアーク電源32とコンデンサユニット33とを有している。トリガ電源31は、トリガ電極13に、蒸着材料11に対して約3kVの正のパルス状の電圧を印加することができるように構成されている。他方、アーク電源32は、アノード電極23に、蒸着材料11に対して100Vの正の直流電圧を印加することができるように構成されている。また、コンデンサユニット33は8800μFの容量を持ち、アーク電源32によって充電される。
【0029】
上記のような構成の真空蒸着装置1を用いて、基板表面に薄膜を形成する場合には、まず、真空槽2内に基板4を搬入し、これをホルダ3に保持させて蒸着源5と対向配置させた後、真空槽2内を高真空雰囲気(例えば、1.3×10−4Pa以下)に排気する。
【0030】
次に、蒸着材料11をクリーニングする。具体的には、シャッタ部材7を図1及び図2に示すようにホルダ3と蒸着源5との間を遮蔽する位置に移動させる。この状態で蒸着源5の蒸着材料11とアノード電極23の間で、例えば50〜100回放電させる(空打ちする)。これにより、蒸着材料11の表面に付着している水分や汚れ、油脂が除去される。以降、この予備成膜プロセスをプリクリーニングと称する。
【0031】
プリクリーニング終了後、基板シャッタ7を移動させて、基板4と蒸着源5の間を開放する。
【0032】
次いで、実際に基板4に対して成膜する。アーク電源32により、アノード電極23に対して、蒸着材料11に100Vの負の直流電圧を印加しておく。その状態でトリガ電源31を起動し、トリガ電極13に3.4kVの正のパルス電圧を印加する。すると、絶縁碍子14の表面でトリガ放電となる沿面放電が発生する。このトリガ放電によって、蒸着材料11の表面から蒸着材料11の構成物質が蒸発する。
【0033】
蒸着物質11からの蒸発粒子によってアノード電極23内の圧力が上昇し、アノード電極23と蒸着材料11との間の絶縁耐圧が低下すると、コンデンサユニット33に充電された電荷によって、蒸着材料11とアノード電極23との間でアーク放電が発生する。このとき、蒸着材料11に多量の電流が流入し、ジュール熱により蒸着材料11の表面が溶融及び蒸発し、さらには蒸発粒子のプラズマが形成される。この際に、蒸着材料11には、200μsの間に約3000〜4000Aの多量の電流が流れる。この時に、蒸着材料11を同心円の中心にして、アンペールの法則に従って磁場が形成され、蒸着材料自身のプラズマ中の電子が磁場でローレンツ力を受け、基板4に向かって飛行する。プラズマ中の蒸着材料の金属イオンも電子のクーロン力を受けて、基板4に向かって飛行する。このようにして、金属イオンは真空槽2内に放出され、対向配置された基板4の表面に到達すると、基板4の表面に、薄膜が成長する。
【0034】
本実施形態においては、蒸着材料11が面取り円柱状であることによって、蒸着材料11の端部の周縁に角が無く、蒸着材料11が消耗してもその周縁の曲面が維持された状態となるので、蒸発粒子の出射角が安定する。これにより、蒸着材料11の消耗が比較的進行していても、蒸着量の安定性及び再現性を高めることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態においては、蒸着材料11の上端部11bは、絶縁碍子14の円筒状部14aの先端と同一の高さ位置にある。これにより、蒸着量11の更なる安定化を図ることができる。
【0036】
本発明者らは、本発明の効果を確認するため、上述した構成の蒸着源5と、図4に比較例として示す従来構造の蒸着源105を用いてそれぞれ真空蒸着装置を構成し、それぞれにおいて実際に基板上に薄膜を形成したときの蒸着量のバラツキについて検討した。
【0037】
図4に示した蒸着源105は、図2に示した本実施形態の蒸着源5と同様の構成を有するが、蒸着源105においては、円筒状の蒸着材料111の上端部の周縁が面取り加工されておらず角張った形状である点、及び、蒸着材料111の上端部が絶縁碍子14の円筒状部14aの先端よりも上方に約1mm突出している点で、蒸着源5の構成と異なっている。なお、図4において、蒸着材料111以外の他の構成要素について蒸着源5と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
実験条件は、蒸着材料11が鉄(Fe)、コンデンサユニット33の容量8800μF、充電電圧100V、アノード電極23の長さ60mm、アノード電極23とホルダ3(基板4)間の距離175mm、プリクリーニング50発、蒸着パルス数1000発、プロセス圧力1.3×10−4Paとした。
【0039】
図5は、蒸着源5を備えた真空蒸着装置1を用いて成膜したときの基板表面の膜厚分布を示している。また、図6は、従来の蒸着源105を備えた真空蒸着装置を用いて成膜したときの基板表面の膜厚分布を示している。図において横軸は、基板中心から半径方向への距離[cm]、縦軸は膜厚[Å(オングストローム)]を示している。
【0040】
図5及び図6に示すように、本実施形態の蒸着源5を備えた真空蒸着装置1においては、従来構造の蒸着源105を備えた真空蒸着装置と比較して、処理回数の増加に伴う膜厚の変動は少なく、±5%程度の変動幅の範囲に収めることができる。したがって、本発明によれば、蒸着量を安定化させてバッチ毎の膜厚の再現性を向上させることができる。また、本発明によれば、膜厚の面内均一性を向上させることができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本願発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0042】
例えば以上の実施形態では、単一の同軸型真空アーク蒸着源を備えた真空蒸着装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、2個以上の同様の蒸着源を共通の真空槽に設置し、複数台の蒸着源を同時または交互に放電させて成膜を行うようにしてもよい。この場合においても、各蒸着源の蒸着材料を上述の実施形態と同様に端部が面取りされた円柱状に形成することで、蒸着量の安定化と高い再現性を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態による同軸型真空アーク蒸着源を備えた真空蒸着装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態による同軸型真空アーク蒸着源の縦断面図である。
【図3】図2に示した蒸着源における蒸着材料周辺の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態において説明する比較例としての蒸着源の構成を示す断面図である。
【図5】本発明に係る同軸型真空アーク蒸着源を用いた真空蒸着装置における蒸着量の再現性を示す一実験結果である。
【図6】図4に示した比較例に係る蒸着源を用いた真空蒸着装置における蒸着量の再現性を示す一実験結果である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・真空蒸着装置
2・・・真空槽
3・・・ホルダ
4・・・基板
5・・・同軸型真空アーク蒸着源
6・・・電源装置
11・・・蒸着材料
12・・・カソード電極
13・・・トリガ電極
14・・・絶縁碍子
14a・・・円筒状部
14b・・・フランジ部
23・・・アノード電極
25・・・開口
31・・・トリガ電源
32・・・アーク電源
33・・・コンデンサユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のトリガ電極と、
カソード電極と、
前記カソード電極に接続される一端部と、前記一端部と反対側の他端部とを有し、前記一端部と前記他端部のうち少なくとも前記他端部の周縁が面取りされた円柱状の蒸着材料と、
前記トリガ電極と前記蒸着材料の間、及び前記トリガ電極と前記カソード電極の間に配置された絶縁部材と、
前記トリガ電極の周囲に配置された筒状のアノード電極と
を具備する同軸型真空アーク蒸着源。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸型真空アーク蒸着源であって、
前記絶縁部材は、前記トリガ電極の内周面と対向する円筒状部と、前記トリガ電極と前記カソード電極の間に位置するフランジ部とを有し、
前記蒸着材料の他端部は、前記絶縁部材の前記円筒状部の先端と同一の高さ位置にある
同軸型真空アーク蒸着源。
【請求項3】
請求項2に記載の同軸型真空アーク蒸着源であって、
前記蒸着材料は、前記一端部及び前記他端部の各々の周縁が面取りされた円柱状に形成されている
同軸型真空アーク蒸着源。
【請求項4】
真空槽と、
前記真空槽内で蒸着対象物を保持するホルダと、
環状のトリガ電極と、
カソード電極と、
前記カソード電極に接続される一端部と、前記一端部と反対側の他端部とを有し、前記一端部と前記他端部のうち少なくとも前記他端部の周縁が面取りされた円柱状の蒸着材料と、
前記トリガ電極と前記蒸着材料の間、及び前記トリガ電極と前記カソード電極の間に配置された絶縁部材と、
前記トリガ電極の周囲に配置された筒状のアノード電極と
を具備する真空蒸着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の真空蒸着装置であって、
前記絶縁部材は、前記トリガ電極の内周面と対向する円筒状部と、前記トリガ電極と前記カソード電極の間に位置するフランジ部とを有し、
前記蒸着材料の他端部は、前記絶縁部材の前記円筒状部の先端と同一の高さ位置にある
真空蒸着装置。
【請求項6】
請求項5に記載の真空蒸着装置であって、
前記蒸着材料は、前記一端部及び前記他端部の各々が面取りされた円柱状に形成されている
真空蒸着装置。
【請求項7】
請求項1に記載の真空蒸着装置であって、
前記蒸着材料と前記ホルダの間に、前記蒸着材料と前記ホルダの間を遮蔽自在なシャッタ部材をさらに具備する
真空蒸着装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate