説明

同軸型真空アーク蒸着源及び真空蒸着装置

【課題】合金膜を容易に形成することができる同軸型真空アーク蒸着源及びこれを備えた真空蒸着装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る同軸型真空アーク蒸着源8は、円筒状の絶縁碍子14と、絶縁碍子14の内周部に配置され、2種以上の金属箔82(82a,82b)が重ねて巻回されてなる蒸着材料80と、絶縁碍子14の外周部に配置されたトリガ電極13と、トリガ電極13の周囲に配置された筒状のアノード電極23とを具備する。これにより、2種以上の金属の合金インゴットの作製が不要となる。また、合金化が困難な材料の合金膜の形成が可能となる。さらに、3種以上の金属箔を用いることで、3元系以上の合金膜をも容易に形成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金膜を容易に形成することができる同軸型真空アーク蒸着源及びこれを備えた真空蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブの下地膜(触媒層)や燃料電池の触媒金属担持体としてコバルト粒子が、また固体高分子型燃料電池やメタノール燃料電池などのナノ粒子触媒として白金ナノ粒子が、それぞれ注目されている。近年、同軸型真空アーク蒸着源を用いてコバルトナノ粒子や白金ナノ粒子を捕集板上に形成する試みがなされている。
【0003】
特許文献1には、筒状のアノード電極と、上記アノード電極の内部に配置された柱状の蒸着材料と、上記蒸着材料の周囲に配置された筒状の絶縁部材と、上記絶縁部材の周囲に配置された筒状のトリガ電極とを有する同軸型真空アーク蒸着源が開示されている。この同軸型真空アーク蒸着源においては、上記トリガ電極と上記蒸着材料の間で発生させたトリガ放電によって、上記アノード電極内壁面と上記蒸着材料との間にアーク放電を誘起させ、上記蒸着材料から放出された微小粒子を上記アノード電極の開放口から放出させる。放出された蒸着材料の微小粒子は、基板上に堆積して薄膜を形成する。
【0004】
【特許文献1】特開2007−291426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、従来の同軸型真空アーク蒸着源においては、蒸着膜として2種以上の金属からなる合金膜を形成する場合、当該合金のインゴットで上記蒸着材料を構成していた。しかしながら、合金化された蒸着材料の作製には、多大な費用と時間を要する。また、均質な合金組成を得るには成分金属を完全に固溶させる必要があるので、合金化できる材料に制限がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、合金膜を容易に形成することができる同軸型真空アーク蒸着源及びこれを備えた真空蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る同軸型真空アーク蒸着源は、円筒状の絶縁部材と、前記絶縁部材の内周部に配置され、2種以上の金属箔が重ねて巻回されてなる蒸着材料と、前記絶縁部材の外周部に配置されたトリガ電極と、前記トリガ電極の周囲に配置された筒状の電極とを具備する。
【0008】
また、本発明に係る真空蒸着装置は、真空槽と、円筒状の絶縁部材と、前記絶縁部材の内周部に配置され、2種以上の金属箔が重ねて巻回されてなる蒸着材料と、前記絶縁部材の外周部に配置されたトリガ電極と、前記トリガ電極の周囲に配置された筒状の電極と、前記蒸着材料と前記電極との間の放電を制御する制御ユニットとを具備する。
【0009】
本発明において、蒸着材料は、2種以上の金属箔が重ねて巻回された構成を有している。これにより、2種以上の金属の合金インゴットの作製が不要となる。また、合金化が困難な材料の合金膜の形成が可能となる。さらに、3種以上の金属箔を用いることで、3元系以上の合金膜をも容易に形成することが可能となる。
【0010】
本発明の一実施態様として、前記2種以上の金属箔は、それぞれ同等の厚みを有していてもよいし、互いに異なる厚みを有していてもよい。金属箔の厚みを異ならせることにより、所望の合金組成比で合金膜を形成することが可能となる。
【0011】
また、本発明の他の実施態様として、前記蒸着材料は、前記各金属箔が巻き付けられ、かつ、前記各金属箔よりも高融点の材料からなる巻き芯を有する構成とすることができる。これにより、金属箔の巻き姿を安定に維持できるとともに、蒸着時における不純物粒子の発生を回避することができる。
【0012】
なお、上記金属箔は、単一金属元素でなる金属箔に限られず、2種以上の合金箔であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、合金膜を容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態による同軸型真空アーク蒸着源(以下単に「蒸着源」という。)8を備えた真空蒸着装置1の概略構成を示す要部の断面図である。
【0016】
本実施形態の真空蒸着装置1は、真空槽2の内部天井側に配置されたホルダ3と、真空槽2の内部にホルダ3と対向するように配置された蒸着源8と、蒸着源8における放電を制御する制御ユニット6とを有している。ホルダ3は、成膜対象である基板4を保持するためのものである。なお、ホルダ3の内部には、基板4を所定温度に加熱するための加熱源を内蔵していてもよい。
【0017】
また、本実施形態の真空蒸着装置1は、ホルダ3と蒸着源8の間にシャッタ部材7を備えている。シャッタ部材7は、ホルダ3と蒸着源8の間を遮蔽する位置からこれらの間を開放する位置へ移動自在に構成されている。
【0018】
真空槽2の底部には貫通孔が設けられ、この貫通孔を気密に閉塞するように取付フランジ71が配置されている。取付フランジ71は、真空槽2の内部に延びる複数本の支柱72を備えており、これらの支柱72の先端には蒸着源8が固定されている。
【0019】
図2は蒸着源8の構成を示しており、(A)は縦断面図、(B)は平面図である。蒸着源8は、円筒状の絶縁部材としての絶縁碍子14と、絶縁碍子14の内周部に配置された蒸着材料80と、絶縁碍子14の外周部に配置されたトリガ電極13と、トリガ電極13の周囲に同心的に配置された筒状電極としてのアノード電極23とを有している。そして、後述するように、アノード電極23と蒸着材料80との間に電圧を印加した状態でトリガ電極13と蒸着源80との間にトリガ放電を発生させ、アノード電極23と蒸着材料80との間にアーク放電を誘起させると、蒸着材料80を構成する金属箔82の構成材料の微粒子が放出される。
【0020】
本実施形態の蒸着源8は、図2に示すように導電性のベースプレート19を有し、このベースプレート19に円筒状のアノード電極23とカソード部40が取り付けられている。カソード部40は、電極部50と基台部60からなる。電極部50は、蒸着材料80と、蒸着材料80の周囲に位置する環状のトリガ電極13と、トリガ電極13と蒸着材料80との間、及びトリガ電極13とカソード電極12との間に位置する絶縁碍子14とを有している。また、基台部60は、カソード電極12と、スリーブ16と、スリーブ押え17とを有している。
【0021】
アノード電極23の底部内周面には、円板状のベースプレート19の周縁部が固定されている。アノード電極23の上端には開口25が形成されている。アノード電極23は、例えば、直径30mm、高さ(長さ)60mmのステンレス製の円筒部材で形成されている。アノード電極23は、その軸心が、ホルダ3上に保持される蒸着対象物としての基板4の中心部と一致するように配置されている。
【0022】
カソード電極12は、ベースプレート19と絶縁された状態で、ベースプレート19の上面側に配置されている。カソード電極12は、例えば銅で形成されている。カソード電極12は、蒸着材料80と電気的に接続される電極保持部12aと、後述する電源ユニット6と電気的に接続される接続部12bとを有している。
【0023】
絶縁碍子14は、円筒状部14aとフランジ部14bとから構成されており、その形状からハット型碍子と呼称される。円筒状部14aとフランジ部14bは一体的に構成されているが、これらを別部材で形成した後、一体接合することも可能である。本実施形態では、円筒状部14aは、純度99%のアルミナ部材で形成され、フランジ部14bは、純度96%のアルミナ部材で形成されている。また、円筒状部14aの肉厚は、本実施形態では約1mmである。
【0024】
トリガ電極13はこのハット型の絶縁碍子14により、カソード電極12と蒸着材料80との両方と絶縁されている。トリガ電極13の上面は、絶縁碍子14の円筒状部14aの上端面とほぼ同等の高さで形成されている。
【0025】
蒸着材料80は、下端部がカソード電極12と接触している。蒸着材料80の上端部は絶縁碍子14の円筒状部14aの上端面から突出しているが、これに限られない。
【0026】
本実施形態において、蒸着材料80は、軸心の周りに巻回された金属箔の巻回体で構成されている。蒸着材料80は、図2(A)、(B)に示すように、巻き芯81と、巻き芯81の周囲に幾重にも巻回された金属箔82とを有している。また、金属箔82は、図3に示すように、第1の金属箔82aと第2の金属箔82bからなり、これらの金属箔82a,82bが互いに重ね合わされた状態で巻き芯81に巻き付けられている。
【0027】
第1、第2の金属箔82a,82bは、蒸着膜を構成する金属材料の箔又はシートでなり、例えば0.1mm程度の厚さを有している。金属箔82a,82bは、絶縁碍子14の円筒状部14aの内径と同等以上の外径となるまで、巻き芯81に巻回されている。金属箔82a,82bは、互いに異種の金属材料で構成されており、基板4上に形成するべき合金膜の組成に応じて選択される。
【0028】
金属箔82a,82bは、目的とする成膜材料に応じて適宜選択可能であり、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、セレン(Se)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、白金(Pt)などを用いることができる。本実施形態では、第1の金属箔82aは白金箔、第2の金属箔82bは鉄箔で構成されている。
【0029】
また、第1の金属箔82aの厚みと第2の金属箔82bの厚みは相互に同等であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、これら金属箔82a,82bの厚みを相互に異ならせることによって、厚みの比に対応した組成比の合金膜を形成することが可能となる。
【0030】
なお、以下の説明では、金属箔82a,82bを特に区別して説明する場合を除き、金属箔82a,82bを金属箔82と総括することがある。
【0031】
巻き芯81の構成材料は特に限定されないが、例えば、タングステンやモリブデン、アルミナなど、金属箔82よりも高融点の金属材料またはセラミック材料で構成することで、不純物の発生を回避することができる。なお、巻き芯81を金属材料で構成することにより、カソード電極12との安定した導通を確保することができる。
【0032】
上述したベースプレート19には貫通孔が設けられており、この貫通孔には、スリーブ16が挿通されている。上記貫通孔とスリーブ16の周囲の隙間には、アルミナなどの絶縁材料からなるリング状の上側スリーブ押え17a及び下側スリーブ押え17bからなるスリーブ押え17が配置されている。スリーブ16及び上側スリーブ押え17aの上には、上述したカソード電極12が配置されている。カソード電極12の接続部12bはスリーブ16の内部を介してベースプレート19の裏面側に引き出されている。
【0033】
一方、トリガ電極13には、トリガ配線21の一端が接続されている。トリガ配線21の一部は絶縁材からなるトリガ配線碍子22によって被覆されている。上述したベースプレート19には、その表裏を貫通する小孔が設けられ、トリガ配線碍子22は、この小孔に挿通されてベースプレート19の裏面側に引き出されている。
【0034】
以上のようにして、カソード電極12、トリガ電極13及びアノード電極23は、それぞれ、接続部12b、トリガ配線21及びベースプレート19から、取付フランジ71に気密に取り付けられた電流導入端子を介して、真空槽2の外部に設置された電源ユニット6に接続されている。
【0035】
電源ユニット6は、蒸着材料80とアノード電極23との間の放電を制御するためのもので、トリガ電源31と、アーク電源32と、コンデンサユニット33とを有している。トリガ電源31には、トリガ電極13に、蒸着材料80に対して例えば3.4kVの正のパルス状の電圧を印加することができるように構成されている。他方、アーク電源32は、アノード電極23に、蒸着材料80に対して例えば100Vの正の直流電圧を印加することができるように構成されている。また、コンデンサユニット33は例えば1800μFの容量を持ち、アーク電源32によって充電される。放電周波数は、例えば1Hzである。
【0036】
本実施形態の真空蒸着装置1は以上のように構成される。次に、この真空蒸着装置1の動作について説明する。
【0037】
まず、真空槽2の内部に基板4を搬入し、成膜面を蒸着源8に対向させてホルダ3上に設置する。その後、真空槽2の内部を所定の高真空雰囲気(例えば、1.3×10−4Pa以下)に排気する。
【0038】
この後、必要に応じて、蒸着材料80をクリーニングする。具体的には、シャッタ部材7を図1に示すようにホルダ3と蒸着源8との間を遮蔽する位置に移動させる。この状態で、蒸着源8の蒸着材料80とアノード電極23の間で、例えば50〜100回放電させる。これにより、蒸着材料80の表面に付着している水分や汚れ、油脂が除去される。
【0039】
次に、基板4を成膜する。具体的には、アーク電源32により、アノード電極23に対して、蒸着材料80に100Vの負の直流電圧を印加しておく。その状態でトリガ電源31を起動し、トリガ電極13に3.4kVの正のパルス電圧を印加する。すると、絶縁碍子14の表面でトリガ放電となる沿面放電(沿面距離約1mm)が発生する。このトリガ放電によって、蒸着材料80の金属箔82の表面が蒸発する。
【0040】
金属箔82の蒸発粒子によってアノード電極23内の圧力が上昇し、アノード電極23と蒸着材料80との間の絶縁耐圧が低下すると、コンデンサユニット33に充電された電荷によって、蒸着材料80とアノード電極23との間でアーク放電が発生する。このとき、蒸着材料80に多量の電流が流入し、ジュール熱により金属箔82a,82bの表面が溶融及び蒸発し、さらには蒸発粒子のプラズマが形成される。
【0041】
この際、蒸着材料80には、約200μsの間に約3000〜4000A(アンペア)の多量の電流が流れる。その結果、蒸着材料80を中心とする同心円上にアンペールの法則に従って磁場が形成されることで、プラズマ中の電子がローレンツ力を受け、基板4に向かって飛行する。そして、プラズマ中の金属箔82の金属イオン(白金イオン及び鉄イオン)も電子のクーロン力を受けてアノード電極23の開口25から真空槽2内に放出され、蒸着源8に対向して配置された基板4の表面に到達する。以上のようにして、基板4の表面に金属箔82aの白金微粒子及び金属箔82bの鉄微粒子が堆積して白金と鉄の合金薄膜が形成される。
【0042】
本実施形態において、蒸着材料80は、2種の金属箔82a,82bが重ねて巻回された構成を有している。これにより、蒸着材料として用いるための合金インゴットの作製が不要となる。このため、合金化が困難な材料の合金膜も容易に形成することが可能となる。
【0043】
一方、本実施形態によれば、金属箔82a,82bの厚みの比を調整することによって、所望の組成比からなる合金膜を容易に形成することができる。例えば、金属箔82a,82bの厚みの比を1:1にしたとき、50%Pt−50%Feの合金膜が得られ、金属箔82a,82bの厚みの比を4:1にしたとき、80%Pt−20%Feの合金膜が得られることになる。また、厚みの異なる複数の金属箔を材料毎に用意しておき、厚さの組合せを適宜調整することによって、容易に所望の合金膜形成用の蒸着材料を構成することが可能となる。
【0044】
図4(A)、(B)は、コンデンサ容量1800μF、放電電圧100V、放電周波数1HzでTEM観察用マイクログリッド上に蒸着材料80(金属箔82)の微粒子を10発蒸着したときのTEM写真である。図5(A)、(B)はその蒸着された微粒子のエネルギー分散型蛍光X線(EDX)スペクトルを示している。このときの蒸着源8のアノード電極23の先端部と上記マイクログリッドとの間の距離は80mmとした。また、第1の金属箔82aは厚さ0.1mmの白金箔、第2の金属箔82bは厚さ0.1mmの鉄箔とした。
【0045】
図5(A)は、図4のTEM写真で示される比較的小さな微粒子(直径約2〜3nm)についてのものであり、図5(B)は、同写真で示される比較的大きな微粒子(直径約10nm)についてのものである。各粒子内に白金と鉄が存在していることが確認された。
【0046】
また、本実施形態によれば、各金属箔82a,82bがこれらよりも高融点の材料からなる巻き芯81に巻きつけられて蒸着材料80が構成されているので、金属箔82a,82bの巻き姿を安定に維持できるとともに、蒸着時における不純物粒子の発生を回避することができる。
【0047】
さらに、本実施形態の蒸着材料80においては、絶縁碍子14の円筒状部14aの内部に装着されることによって、蒸着材料80の外周部を円筒状部14aの内周部に弾性的に接触させることが可能となる。これにより、蒸着材料80と絶縁碍子14との間の安定した密着を維持できるため、蒸着源8の放電特性の安定化を図ることが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
例えば以上の実施形態では、蒸着材料80を構成する金属箔82として、白金箔でなる第1の金属箔82aと鉄箔でなる第2の金属箔82bの2種類の金属箔を用いたが、材料の組み合わせはこれに限られず、適宜変更することが可能である。また、金属箔の種類は2種類に限られず、3種類以上であってもよい。これにより、3元系以上の合金膜を容易に形成することが可能である。
【0050】
また、蒸着材料80を構成する金属箔82a,82bはそれぞれ単体の金属元素に限られず、2種以上の合金箔で上記金属箔を構成してもよい。これにより、例えば2種以上の金属箔で3元系以上の合金膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態による真空蒸着装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態による同軸型真空アーク蒸着源の概略構成を示す図であり、(A)は縦断面図、(B)はその要部の平面図である。
【図3】図2に示す同軸型真空アーク蒸着源の蒸着材料の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態による真空蒸着装置を用いて作製したPt−Fe合金膜サンプルのTEM写真であり、(B)は(A)を拡大して示したものである。
【図5】図4のPt−Fe合金膜サンプルのEDXスペクトルであり、(A)は粒子径が2〜3nmの微粒子を示し、(B)は粒子径が10nmの微粒子を示している。
【符号の説明】
【0052】
1・・・真空蒸着装置
2・・・真空槽
4・・・基板
8・・・同軸型真空アーク蒸着源(蒸着源)
6・・・電源ユニット
80・・・蒸着材料
12・・・カソード電極
13・・・トリガ電極
14・・・絶縁碍子
14a・・・円筒状部
23・・・アノード電極
25・・・開口
31・・・トリガ電源
32・・・アーク電源
33・・・コンデンサユニット
81・・・巻き芯
82、82a、82b・・・金属箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の絶縁部材と、
前記絶縁部材の内周部に配置され、2種以上の金属箔が重ねて巻回されてなる蒸着材料と、
前記絶縁部材の外周部に配置されたトリガ電極と、
前記トリガ電極の周囲に配置された筒状の電極と
を具備する同軸型真空アーク蒸着源。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸型真空アーク蒸着源であって、
前記2種以上の金属箔は、厚みが互いに異なる
同軸型真空アーク蒸着源。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の同軸型真空アーク蒸着源であって、
前記蒸着材料は、前記各金属箔が巻き付けられ、前記各金属箔よりも高融点の材料からなる巻き芯を有する
同軸型真空アーク蒸着源。
【請求項4】
真空槽と、
円筒状の絶縁部材と、
前記絶縁部材の内周部に配置され、2種以上の金属箔が重ねて巻回されてなる蒸着材料と、
前記絶縁部材の外周部に配置されたトリガ電極と、
前記トリガ電極の周囲に配置された筒状の電極と、
前記蒸着材料と前記電極との間の放電を制御する制御ユニットと
を具備する真空蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−18871(P2010−18871A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182768(P2008−182768)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】