説明

向上した電子遷移を有する材料を使用した光電子デバイス

向上した電子遷移を有する材料134(図1c)を含む、光電子デバイス。該電子遷移は、界面における電子状態を混合することによって向上される。界面は、ナノウェル、ナノドット、またはナノワイヤによって形成され得る。該材料は、フェルミエネルギレベルと、複数のキャリアポケットと、界面における混合された電子状態とを有し、混合された電子状態は、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態と、フェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態とを備え、kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度であり、該材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国仮特許出願第60/777,131号(2006年2月27日出願)の利益を主張する。
【0002】
(連邦政府の権利)
本発明は、アメリカ合衆国エネルギ省によって授与された契約番号第DE−AC51−06NA25396号の下で、政府の支援を受けて行われた。合衆国政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、光学材料およびデバイスに関する。より具体的には、本発明は、電子状態の界面混合が生じる光学材料およびデバイスに関する。さらに具体的には、本発明は、そのような光学材料を備えるナノワイヤに関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
太陽電池、放射線検出器、および発光ダイオードのような光電子デバイスは、一般的に、半導体材料のバルク効果に依存する。そのような条件下においては、単一のバンドギャップが利用可能であり、そのようなデバイスの全体効率は、それによって上限値に制限される。放射線検出器または発光ダイオードのような他の応用例においては、バンドギャップが発光または検出のエネルギを決定する。単一のバンドギャップを有する太陽電池は、例えば、約41パーセント未満の効率に制限される。
【0005】
中間バンドギャップ材料を使用して効率を向上させるという概念が提示されてきた。そのような材料を得るためのアプローチは、ホスト材料内に量子ドットを組み入れることによって、中間バンドを提供することを含む。
【0006】
中間バンドギャップはバルク状態において利用することができない。中間バンドギャップ材料を利用してデバイスを製作するという試みは、複雑な材料アセンブリ技術を必要とし、これまでは、一般的に成功することがなかった。それ故に、必要とされているものは、中間バンドギャップ材料を備える光電子デバイスである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バルク材料において弱いと考えられている電子遷移を意図的に向上させた、光電子デバイスを提供することによって、これらのおよび他のニーズを満たすものである。そのような電子状態は、ナノウェル、ナノドット、またはナノワイヤに形成され得る界面で、電子状態を混合することによって利用可能となる。一実施形態においては、光電子デバイスは中間バンドギャップ材料を備える。
【0008】
従って、本発明の一局面は、光電子デバイスを提供することである。デバイスは、透明伝導体と、固体伝導体と、透明伝導体と固体伝導体との間に配置された材料であって、材料の少なくとも一部分が透明伝導体および固体伝導体と電気的に接触する、材料と、を備える。材料は、フェルミエネルギレベルを有する材料を備える。材料は界面における混合された電子状態と、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態およびフェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態を備える複数のキャリアポケットとを有し、ここでkはボルツマン定数でありTはケルビン温度である。材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有する。
【0009】
本発明の第2の局面は、向上した電子遷移を有する材料を提供することである。材料は、フェルミエネルギレベルを有する。中間バンドギャップ材料は、界面における混合された電子状態と、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態およびフェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態を備える複数のキャリアポケットとを有し、ここで、kはボルツマン定数でありTはケルビン温度である。中間バンドギャップ材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有する。
【0010】
本発明の第3の局面は、光電子デバイスを提供することである。光電子デバイスは、透明伝導体と、固体伝導体と、透明伝導体と固体伝導体との間に配置された複数のナノワイヤであって、複数のナノワイヤの少なくとも一部分が透明導電体および固体伝導体と電気的に接触する、複数のナノワイヤと、を備える。複数のナノワイヤは、向上した電子遷移を有する材料を備える。材料は、フェルミエネルギレベルと、界面における混合された電子状態と、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態およびフェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態を備える複数のキャリアポケットとを有し、kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度である。材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有し、複数のナノワイヤのそれぞれは、所定の結晶配向の方向を有する。
【0011】
本発明のこれらのおよび他の局面、利点、および顕著な特徴は、以下の詳細な説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明において、同様の参照記号は、図面に示されるいくつかの図において、同様のまたは相当する部品を示す。さらに、「上部」、「下部」、「外側」、「内側」などの用語は便宜上の用語であって、制限する用語として解釈されるべきではないことが、理解される。さらに、群が、要素の群の少なくとも1つおよびその組み合わせを含むか、またはそれらから成るものとして記述されているときには常に、群は、これら説明されている要素の任意の数を、個別にまたは互いの組み合わせにおいて含み得、またはそれからから成り得ることが、理解される。
【0013】
一般的に図面を参照するとき、図は本発明の特定の実施形態および特徴を説明する目的のものであり、本発明を制限することを意図しているのではないことが、理解される。
【0014】
中間バンドギャップ光起電デバイスまたは中間バンドギャップ材料において、中間バンドは、サブバンドギャップ放射を捕捉する働きを為し得、それ故に、光電流を生じさせる光子のエネルギの範囲を大きくする。自由キャリアが中間レベルにおいて十分に長く生存する場合には、第2の光子が、中間レベルからバンドエッジまで電子を励起し得、このために、ほとんどまたは全く損失なしに、オープン電流電圧へと電流を増加させる。A.Luqueらによって提案され(「Increasing the Efficiency of Ideal Solar Cells by Photon Induced Transitions at Intermediate Levels」、Phys.Rev.Lett.78(26)(1997)、5014〜5017ページ)、本明細書において参考として援用される、計算に基づくと、中間バンドを利用することによって、約63パーセントの最大効率が得られ得る。そのような効率を達成するためには、1.95eVのバンドギャップおよび0.71eVまたは1.24eVの欠陥レベルが必要である。約60%を越える効率が達成され得るが、しかしながら、それは広範囲のバンドギャップに対してである。
【0015】
ナノ構造の材料は、本来は弱い電子遷移を向上させる機会を提供し、かくして、検出器、エミッタ、および太陽電池の設計におけるさらなる自由度を可能とする。エミッタおよび検出器のような他のタイプの光電子デバイスに対しては、新しい発光または検出エネルギが、電子状態を混合させることによって得られる。選択された電子遷移を向上させることによって、本発明は、中および遠赤外線(約10μm)、青色および近紫外線(約310〜420nm)、および赤色(約550〜700nm)の波長用のエミッタおよび検出器を提供する。
【0016】
本明細書に記載されているように、中間バンドギャップ太陽電池への新しいアプローチは、界面における電子状態の混合を利用する。状態の混合のためのモデルが、最初に提案される。モデルから引き出された結果は、次いで、中間バンド太陽電池の設計に応用される。以下のモデルは、本発明を説明または記述するうえで有用ではあるが、本発明者らは、1つのそのような説明に限定されることを望むものではない。従って、他のモデルまたは理論が同様に適用され得ることが、理解される。
【0017】
本明細書において使用されるように、「界面」という用語は、結晶秩序における任意の中断を指す。そのような界面の例は、結晶面の間の界面、粒界、異なる結晶相の間、結晶と非晶質材料との間、固相と気相との間、固相と液相との間、の界面を含む、相の境界、などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0018】
ヘテロ接合においては、周期的な境界条件が破綻する。バルク材料において、異なる運動量の値を有する電子波動関数は直交となり、その結果として、単純化した一次元の(本明細書においてはまた、「1−D」とも称される)ケースでは、
【0019】
【数1】

となる。Ψ(x)およびΨ(x)は、時間に依存しない電子波動関数であり、ブロッホ(Bloch)(unk(x))関数と包絡(eik・x)関数との積であり、すなわち、
【0020】
【数2】

である。しかしながら、格子が有限となる場合には、式(1)は成立せず、異なる波動関数が直交すると仮定することはできない。このとき、波動関数の間の空間的重複(V)は、
【0021】
【数3】

のようになる。ここで、Nは構造内の原子格子の数であり、aは
【0022】
【数4】

の方向における格子定数である。式(3)において、ブロッホ関数は、状態1および状態2の両方に対してk’=k+K、と置くことによって明示的に含まれ、ここで、kは結晶格子運動量であり、Kは相互格子ベクトルである。N<∞では、次元の減少による波動関数の直交性の破綻を反映して、式(3)の積分は非ゼロとなり得る。
【0023】
ゾーン境界およびゾーン中心において1−D有限格子の重複値を計算する場合、電子波動関数の固有値は、余弦関数および正弦関数である。2つの状態の重複関数を計算することにより、3つの可能な正弦関数および余弦関数の組み合わせが導出される。つまり、波動関数は共に余弦関数である、波動関数は共に正弦関数である、および、1つの波動関数が正弦関数で1つの波動関数は余弦関数である。そのような3つの波動関数の組み合わせにより、次の重複値、
【0024】
【数5】

【0025】
【数6】

または、
【0026】
【数7】

が、導かれる。
【0027】
【数8】

は、K+k=k’≠0、に対する波動関数の正規化因子である。
【0028】
ブリユアン(Brillouin)ゾーンの中心(k=0)およびブリユアンゾーンのエッジ
【0029】
【数9】

では、式(4)および式(5)の正弦の項は全て0であり、また、重複は0である。そのために、初期の状態および最終の状態が、両方ともにゾーン境界またはゾーン中心にあり、かつ両方とも正弦関数または両方とも余弦関数である場合には、直交性の仮定は有効なままであり、界面に追加的結合は導入されない。しかしながら、1つの波動関数が正弦関数であり他の波動関数が余弦関数である場合には、重複関数が有意となり得る。単純な材料の拡散関係において、2つの電子バンドがゾーンエッジまたはゾーン中心において交差する場合には、縮重は分割され、2つのエネルギバンドの大きいほうが余弦関数であり、より小さいエネルギバンドが正弦関数である。そのようなバンドのペアは、バンドエッジまたはバンド中心で生じ得る。実際の材料においては、複雑な形状が2つの状態を混合するために、この一般化はあまりに単純すぎる。しかしながら、この計算は、初期の状態がバンドペアのより大きなエネルギである場合には、(表面における状態の混合のために)最も強固に結合する状態は、バンドペアのより小さいエネルギを有する状態であるということを、示している。
【0030】
およびKは共に2π/aの倍数であるために、その値によって式(6)の余弦の項の値が変わることはない。さらに、構造が偶数個の原子を有する場合には、aは偶数であり、余弦の項は常に1となる。従って、構造が偶数個の原子を有する場合には、式(6)のカッコ内の数式の値は、x=0とx=Naとのときに同じである。そのために、構造が偶数個の原子を有する場合には、重複は0となる。
【0031】
構造が奇数個の原子を有し(aが奇数である)、両方の波動関数がゾーン境界またはゾーン中心にある場合には、k’−k’は、
【0032】
【数10】

の倍数である。そのために、式(6)における余弦の項は両方とも1であり、式(6)の積分は0となり、これは、状態が向上した結合を有しないことを意味する。しかしながら、構造に奇数個の原子があり、初期のまたは最終の状態がゾーン中心にあり、他の状態がゾーン境界にある場合には、式の余弦の項は、x=Naに対して−1、x=0に対して1である。そのために、aが奇数であり、1つの波動関数がゾーン中心に、1つがゾーン境界にある場合には、式(6)によって計算される電子状態の間の空間的重複は非ゼロである。このモデルについてまとめると、ゾーン境界またはゾーンエッジにおいて初期の状態および最終の状態で追加的結合が存在するのは、次のケースに限定される。1)初期の状態または最終の状態が正弦関数であり、他の状態は余弦関数であり、2)構造内の原子の数は奇数であり、3)1つの波動関数はゾーン境界にあり、1つはゾーン中心にある。これらの結論は、高い対称点、つまり、ゾーン中心またはゾーン境界の状態のみに対するものである。
【0033】
三次元においては、状況は同様であるが、より複雑である。例えば、表面の再構成を考慮する必要がある。さらに、この単純な計算は無限境界の仮定を使用しており、これは、結晶格子外の波動関数の確率がゼロ、界面の別の側における材料への結合がゼロ、であることを導く。1−Dおよび無限境界の仮定は、両者共に現実の結晶を代表するものではないが、この単純化モデルを参照することで大きな洞察が得られる。
【0034】
奇数個の原子について、1つの波動関数がゾーン中心にあり1つがゾーン境界にある場合には、式(6)は、
【0035】
【数11】

のように単純化され得、
【0036】
【数12】

を代入すれば、
【0037】
【数13】

が得られる。
【0038】
運動量の値はm=−1、0、1、および13である、初期状態に対する空間的重複値が、式(8)から計算された。m−mが偶数であるときには、重複は0であり、これは、両状態がゾーン中心、または両状態がゾーンエッジにある場合には、有限格子のために追加的結合が誘起されることはないことを示す。さらに、最大重複を有する状態、つまりは表面効果による最大の追加的結合は、わずかπ/aだけ異なる運動量の値を有する。直交性仮定の破綻は重要となり得る。特に、mとmとの差が1にまで減少すると、波動関数の空間的重複が増加し、0.85/Nにまで大きくなる。これは、さらに、m−mにのみ依存している式(8)の第1の項からも理解することができ、したがって、m−m=1であるときに、この項は最大となる。状態がそれ自身と重複する自明のケースであるために、m=mのケースは計算されなかった。
【0039】
これらの計算はまた、偶数m−m状態に対する重複値が0であることを示す。そのために、前述したように、ある状態がバンド中心にあり、別の状態がバンドエッジにある場合にのみ、状態が結合する。さらに、mの値が大きくなると、重複の最大値が小さくなる。状態数が増加するにつれて、|m=m|=1に対する重複値は、
【0040】
【数14】

の値に収束する。この極限において、式(7)の第1の項が優勢となり、第2の項は0に近づく。より大きいk’値を有する状態が、正弦関数であるか余弦関数であるかによって、式(7)の第2の項は、第1の項の値に加算または減算される。従って、高次バンドでは、正弦項と余弦項との間の差は小さくなるが、
【0041】
【数15】

の運動量の差を有する状態の間の重要な結合を依然として有することとなる。
【0042】
ナノ構造の場合、波動関数の直交性の破綻は重要となる。例えば、シリコン量子ドットは、5nmのオーダーの直径を有する。格子定数が5.43Aであるので、これは方向によって、約7〜9個の原子に相当する。これを本明細書に記載したモデルと共に基準として使うと、ガンマ(Γ)価電子バンド(5番目のバンド、m=10)からブリユアンゾーンエッジ伝導バンド(6番目のバンド、m=11)までの電子波動関数の間の重複が、式(8)から、9原子の場合は7%、7原子の場合は9%と計算される。
【0043】
量子閉じ込め効果を確認するためには、量子ドット、ウェル、またはワイヤは、ド・ブロイ波長および自由キャリア(またはある場合には、励起子)の平均自由行程の両方未満、またはそのオーダーの寸法を有する必要がある。しかしながら、界面において大きなバンドの混合を得るためには、体積に対する表面積の大きな比率のみが必要であり、量子閉じ込め効果は不要である。従って、唯一の長さスケールの要件は平均自由行程である。そのために、材料の寸法はド・ブロイ波長よりも大きくなり得る。ド・ブロイ波長は、電子エネルギバンドのE対kの関係から推論される、自由キャリアの有効質量によって決定される。平均自由行程は、材料および問題のバンド、並びに欠陥、ドーパント、および温度に依存する。多くの材料において、平均自由行程は数ミクロンのオーダーであるが、ド・ブロイの長さスケールは通常、数10オングストロームの範囲であり、非常に小さい有効質量を有する材料では、約500Aほどにまで大きくなり得る。そのために、この表面効果の利用は、量子閉じ込めによるこれらの効果ほどの小さい寸法を必ずしも必要としない。デバイスの大きさが小さくなるときには電池のコストが大きくなるために、この点は光起電用途に対して重要である。
【0044】
表面における状態の混合は、多くの含意と、多くの異なる応用例に影響を与える可能性を有する。従って、本発明は、倍のバンドギャップ材料を基本的に生成し、よって理論的な最大光起電効率を向上させるために、この効果を利用するナノワイヤ太陽電池を提供する。
【0045】
中間バンド太陽電池は、界面におけるバルク状態の混合を利用することによって、設計され得る。中間太陽電池の設計においては、いくつかの局面を考慮する必要がある。
【0046】
最初に、界面におけるバルクバンド状態の混合を利用するためには、入射光線の電場が、界面に対して垂直となることが必要である。表面における電子状態の混合は、表面に垂直な運動量成分を有するそのような状態の場合にのみ起こる。表面に対して平行な電子状態に対しては、無限格子の近似は有効なままであり、それ故に状態は直交のままであり、バルク状態は良好な固有ベクトルを保持する。従来の方法で成長したナノウェル110では、量子方向はサンプル面に対して垂直である。従って、光は図1aに示すように、ナノウェル110の側方から入射する必要がある。このために、ナノウェル110のサンプルは、一方向の電場(図1a)を有する入射する光子に対してのみ、吸収およびバンド混合のための小さい断面積を有する。図1bに示すナノドット120においては、電場は常に界面に垂直である。しかしながら、光起電デバイスは、上部電極と下部電極との間の伝導を必要とする。ナノドット120は、トンネリングまたはホッピングによって伝導が起こるという欠点を有する。そのために、ナノドット120における自由キャリアの移動度はより低い。一方で、整列されたナノワイヤ(図1c)は、連続伝導経路の両要件を満たし、界面に垂直な電場を有する全ての入射光子を有する。
【0047】
複数のナノワイヤ134を備える、太陽電池、LEDなどのような光電子デバイス130が、図1cに概略的に示されている。整列されたナノワイヤ134は、透明伝導体132と固体伝導体136との間に配置されている。透明伝導体132および固体伝導体136は、当該分野において公知の材料から形成される。例えば、アルミナのような絶縁材料138が、ナノワイヤ134の間に配置され得る。
【0048】
ナノワイヤの場合、直角の入射光に対して、光子の電場が常に界面に垂直であっても、極めて特定の表面方向のみが、所望のバンドの混合を向上させる。そのために、ワイヤ方向を最適化する必要がある。この局面は、以下で説明される。
【0049】
中間バンド太陽電池が形成されるための材料がまた、考慮されねばならない。処理およびコストの問題に加えて、伝導および中間バンドのエッジの両方が利用可能なエネルギを有する材料が、選択される必要がある。すなわち、中間バンドおよび伝導バンドのエネルギ(価電子バンドに対して)は、高効率を達成可能な組み合わせである必要がある。さらに、問題の電子エネルギバンドが非放射の再組み合わせルートを有しないか、または少なくとも非常に遅い再組み合わせルートを有しない材料が、選択される必要がある。例えば、E対kの図の鞍点は、中間バンドとして使用することはできない。この要件によって直ちに一部の材料が除外されるとはいえ、実験による証拠のみが、非放射の再組み合わせルートが存在しないことを、最終的に証明することができる。
【0050】
エネルギレベルが、中間バンド太陽電池用の理想に近い1つの材料は、シリコンである。さらに、シリコンにおける問題のエネルギバンドは、それらの間の明らかな非放射の再組み合わせルートを有さない。シリコンのガンマ(Γ)からデルタ(Δ)への間接的なバンドギャップは1.17eVであり、ΓからL点への遷移は約1.65eVと約2.29eVとの間にある。
【0051】
より低いエネルギバンドギャップにおいて吸収される高いエネルギ光子のパーセンテージを最小限にするためには、ワイヤ直径を十分小さくし、その結果として、より大きいバンドギャップの吸収エネルギよりも、より高いエネルギバンドが上回ることが必要がある。より高いエネルギバンドの吸収のこの向上により、2つのバンドギャップのうちの大きいものよりも大きなエネルギを有する光子が、より低いエネルギバンドよりもむしろ高いエネルギバンドの中に吸収されることが保証され、過剰エネルギが放射のために失われる。
【0052】
表面から一平均自由行程よりも遠く離れている電子(または孔)は、表面が「見えない」ために、バルク状態の混合を経験しない。従って、吸収係数は、単純に、表面から平均自由行程よりも大きい距離におけるバルク値である。表面に対して垂直な電場を有する光については、効果的な吸収係数が、表面およびバルク吸収係数の重み付けされた合計によって概算され得る。1−D表面(ナノウェル)については、推定された有効吸収係数は、次の積分
【0053】
【数16】

によって得られ、ここで、Atot(ω)、Abulk(ω)、およびAsurface(ω)はそれぞれ有効、バルク、および表面の吸収係数であり、MFPは自由キャリアの平均自由行程であり、dは材料の厚さである。
【0054】
高エネルギバンドからの光学的吸収を十分に向上させるために必要なワイヤ直径は、式(9)によって決定され得る。しかしながら、高次バンドの平均自由行程、バルクにおけるより高いエネルギバンドの吸収(結合によって関連づけられる)、および、おそらく、界面における2つの状態の混合は、通常は未知である。従って、ワイヤ直径の閾値は、理論による手引きの下で実験的に決定される必要があるという可能性が高い。
【0055】
ナノワイヤ134の方向はまた、慎重に選択されねばならない。本明細書で用いられているように、ナノワイヤ134の方向は、その主軸(つまり、長さ)に沿ったナノワイヤ134の結晶配向を指す。中間バンド太陽電池において、より大きいエネルギバンド遷移の吸収は、異なるバンド遷移の吸収係数が重複するときには、2つのより小さいエネルギバンド遷移の吸収係数よりもはるかに強力であるべきである。そのために、より大きいエネルギバンド遷移(つまり、価電子バンドから伝導バンドへの遷移)の吸収を向上させ、より小さいエネルギバンド遷移(つまり、価電子バンドから中間バンドへ、および中間バンドから伝導バンドへの遷移)の吸収を向上させないことが望ましい。
【0056】
シリコンの場合、Γ点の価電子バンドからL点の伝導バンドへの電子遷移を、向上させる必要がある。Γ点はブリルアン領域において<000>であり、一方、L点は<111>、<−111>、<1−11>、および<11−1>の結晶学的配向において電子ポケットを有し、4倍縮重している。ナノワイヤ334の表面がこの遷移の対称要件を破綻させるためには、表面法線は、2つの高い対称点の方向の間における差の方向にあるベクトルに対して、平行である必要がある。シリコンの場合、これは、ナノワイヤ334の方向が<111>、<−111>、<1−11>、または<11−1>の結晶配向に対して垂直である必要があることを意味する。<hkl>の結晶配向に主軸または長さを有するワイヤの場合には、h+k+l=0、−h+k+l=0、h−k+l=0、またはh+k−l=0である。さらに、ナノワイヤ334は、Γ点の価電子バンドからΔ点の中間バンドまでの電子遷移を向上させないために、Γ点とΔ点との間の差の方向に対して垂直であるべきではない。かくして、ナノワイヤ340は<100>、<010>、および<001>の結晶配向に対して垂直であるべきではなく、これはh≠0、k≠0、およびl≠0のケースに相当する。これらの2つの要件はまた、次の式で示されるように、中間バンドから伝導バンドまでが向上しないことを保証する。
【0057】
【数17】

ここで、
【0058】
【数18】

はワイヤ軸の方向のベクトルであり、
【0059】
【数19】

はそれぞれ、価電子、伝導、および中間電子ポケットの方向のベクトルである。式(10a)は、ワイヤ軸方向が価電子と伝導バンドとの間の差の方向に垂直であるという条件を表す。式(10b)は、ワイヤ軸方向が価電子と中間バンドとの間の差に垂直ではないという条件を表す。式(10c)は、式(10a)および(10b)が与えられたときに、ナノワイヤ334の軸方向がまた、価電子と中間バンドと間の差に垂直ではありえないことを示す。このような要件を満たすシリコンナノワイヤ方向の例は、<1−21>、<211>、<121>、および<112>方向を含む。所定のワイヤ方向に対して、4個のΓ点からL点への遷移のうちの1個のみが、向上されることに留意されたい。
【0060】
本発明は、大きな表面積を有する材料を形成することによって、間接的な遷移の結合を向上させるためのメカニズムに関する。この向上は、E対kの図を導くために慣用的に使用される、直交性仮定の破綻によるものである。平均自由行程およびド・ブロイ波長の最小値によって決まる量子効果とは異なり、この効果を観察するために必要な寸法は、平均自由行程によって決定される。そのために、この効果は、量子閉じ込め効果に必要なものと同じくらい小さい寸法を有するナノ構造の材料を、必ずしも必要としない。このメカニズムのモデルは、初期の状態または最終の状態が正弦関数であり他の状態が余弦関数であり、表面の方向の原子の数が奇数であり、ある電子状態がゾーン境界にあり他の状態がゾーン中心にある場合に、バンド間の結合が向上されることを示す。この向上は、表面に対して垂直な電場成分を有する光子、および表面の方向が結合を可能とするような電子遷移に対してのみ、存在する。この向上は、
【0061】
【数20】

のk’における差を有する初期の状態および最終の状態に対して最大となる。
【0062】
状態の混合による吸収の向上が、次いで、光起電に応用される。界面におけるバンドの混合を利用して、図1cに示される中間バンドギャップ太陽電池が設計される。デバイスは、<121>方向に整列されたナノワイヤ340を含む。ナノワイヤ340はシリコンを備える。
【0063】
次の予測的実施例は、本発明の特徴および利点を示すものであり、本発明をこれに限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0064】
(実施例1 ビスマスを使用した中赤外線検出器またはエミッタ)
ビスマスは、図2bに示される、非常に稀なバンド構造を有する、狭いバンドギャップの半金属である。T点の価電子バンドはフェルミエネルギ(E)に交差し、その結果として、バンドエッジはフェルミエネルギを越え、多くの空白の電子状態(孔)が残される。L点の価電子バンドのエッジはフェルミエネルギ未満であり、それ故に、大部分が電子で充填される。そのような状態の両方ともが、同じ方向にカーブしている(価電子および伝導バンドのペアとは反対に)ために、状態の結合密度は大きい。さらに、T点に孔ポケットが、またL点に電子ポケットがあるために、多くの電子が、L点の価電子バンドからT点の価電子バンドにまで励起され得る。しかしながら、バルクのビスマスにおいては、室温で0.13eV程度と予測されるこの遷移は、間接的でありかつ弱いものである。
【0065】
ビスマスナノワイヤにおいて、対称性の論拠が破綻し、LからT点への遷移が可能となる。そのために、ビスマスナノワイヤは、L点の電子のT点の孔への励起による、非常に大きく激しい光学的吸収を有する。この強力かつ幅の狭い吸収は、<101>および<012>配向を有するナノワイヤにおいて0.12eVで観察される(図2a)。そのようなワイヤ方向は両方とも、T−L方向に対して垂直な界面を有している。LおよびT点の方向は、<111>、<−111>、<1−11>、および<11−1>であり、これらの方向の1つはT点の方向であり、他の3つはL点の方向である。T点の選択は任意である。例えば、<111>−<−111>=<200>であり、これはワイヤ方向<012>に垂直である。別の例として、<111>−<1−11>=<020>であり、これはワイヤ方向<101>に垂直である。そのために、両ワイヤ方向<101>および<012>は、LおよびT点を結合する。
【0066】
L点とT点の間の強固な結合は、中赤外線検出器またはエミッタを製造する方法として利用され得る。強力な吸収のみが、ビスマスのナノワイヤで計測されており、発光および光導電については、まだ調査されていない。しかしながら、ビスマスのナノワイヤはまた、LからTへの電子遷移の結果として発光し、発光の用途において有用となるという可能性がある。発光エネルギは、0.12eV(10μm)付近の吸収ピークであると予測され、これは、環境モニタリングにおいて重要な波長である。しかしながら、より低いエネルギ状態(L点の価電子帯)において空孔を生成するためには、L点の価電子バンドからL点の伝導バンドに電子を励起させるために、デバイスがポンピングされねばならない可能性がある。
【0067】
ナノワイヤは以前から、多孔質陽極アルミナの電気化学的充填および圧力注入技術によって生成されてきた。0.12eVにおける吸収のピークが、直径200nmのナノワイヤで観察されているために、およびワイヤ直径分布を大きくすることができるために、より簡単な製造技術が使用され得る。例えば、陽極アルミナテンプレートで、200nmと50nmとの間の細孔径を有するものを、購入することができる。さらに、ビスマスナノワイヤのアレイを生成するために、標準的なリソグラフィー技術を使用することができる。
【0068】
本明細書に記載された全ての例と同様に、透明な上部伝導性接触子332および伝導性バック接触子336を有する、特定の方向に整列されたナノワイヤのアレイは、本発明の範囲に含まれる。
【0069】
(実施例2 界面混合の効果を利用するシリコンナノワイヤを用いた赤色エミッタ)
多くの研究が、シリコン量子構造におけるフォトルミネセンスについて調査してきた。これらの構造は非晶質シリコンを含み、それは、量子ドットを含んで示されている。
【0070】
シリコンで観察される550nmと700nmとの間のフォトルミネセンスを説明するために、いくつかの理論が提示されてきたが、どの理論も全てのデータを説明することはできなかった。界面の混合が、ガンマ(Γ)とL点との間の結合を向上させ、この遷移が、観察されたフォトルミネセンスの原因である可能性は非常に高い。これが本当にこの原因である場合には、このルミネセンスを最大化させる理想的構造は、<111>方向の界面とわずかなドーピングレベルのみを有する高純度のシリコンを備えることになるが、それは、高すぎるドーピングはフォトルミネセンスを観察するために必要な直径を小さくするからである。
【0071】
(実施例3 界面混合を利用するシリコンナノワイヤを用いた中間バンド太陽電池)
既に提示されている中間バンド太陽電池の製作のための1つのアプローチは、2つの半導体の間に量子ドットを挟みこむことである。しかしながら、量子ドットに対する電気接触子を得ることは困難である。界面混合を利用することによって、中間バンド太陽電池において両レベルを提供するために、単一の材料が使用され得る。接地状態と2つの励起状態との間の結合の強度は、ナノワイヤ134の方向および直径を変更することによって、太陽電池効率に対して最適化され得る。偶然にも、シリコンは、中間バンド太陽電池の最適エネルギに非常に近い2つのバンドギャップを有する。最も小さいバンドギャップは、X方向におけるデルタ点の1.12eVである。別のキャリアポケットがL点に存在しており、1.6eVと2.1eVとの間であると予測される。1.12eVと1.9eVのバンドギャップと、60%を超える効率とを有する、中間バンドギャップ太陽電池が、計算に基づいて予測されている。
【0072】
ΓからΔ点への遷移に対して、ΓからL点への遷移の結合を増加させるためには、界面は<111>(L)方向に対して垂直である必要があり、<100>(X)方向にある必要はない。<hkl>の結晶配向に主軸または長さを有するワイヤに対しては、h+k+l=0、−h+k+l=0、h−k+l=0、またはh+k−l=0、およびh≠0、k≠0、およびl≠0である。例えば、<11−2>方向のワイヤはΓをL点に結合させ、ΓをX点に結合させることはない。ワイヤの直径が小さくなると、結合強度が大きくなる。以前に、約5nm以下のナノ寸法を有するナノ粒子が、フォトルミネセンスに必要であることが発見されている。しかしながら、ナノ粒子は、ドーパントが約5nmの距離で分離されたドーピングされたサンプルから成っていた。ドーパントが電子を拡散させ、このために電子が界面から効果的に遮断されたという可能性がある。ドーピングレベルを下げることによって、またはデルタドーピングなどの技術を使用することによって、ドーパントが活性化領域外にあるときには、製造を容易にするために臨界直径を大きくすることができる。直径を実際にほぼ6nmにする必要がある場合には、金属性ナノドットのマスクとしての利用および反応性イオンエッチングによるシリコンエッチング、高度な電子ビームリソグラフィ、陽極アルミナの細孔の電気化学的充填などのような、他の製造技術が利用され得る。
【0073】
(実施例4 亜鉛ナノワイヤの青色または近紫外線エミッタ)
亜鉛はかなり複雑な電子バンド構造を有する金属である。関連するバンドを図3に示す。図3に示すバンド図に基づき、ナノ構造の亜鉛におけるΓ伝導バンドからL点伝導バンドへの遷移が、界面混合による強力な吸収およびルミネセンスを示すものと予測される。ビスマスの場合と同様に、初期の状態および最終の状態が共に同方向にカーブするために、大きな状態密度が形成される。さらにビスマスの場合と同様に、バンドの1つがフェルミエネルギ(E)と交差し、この電子励起子に対して利用可能な多くの状態を作り出す。亜鉛の場合には、Γ点の伝導バンドがフェルミエネルギと交差して、バンドエッジは電子で満たされることとなる。L点伝導バンドはフェルミエネルギを越えており、このために、電子が励起される先の空白で満たされた状態となる。再び、ポケットがΓおよびL点にあるために、界面は<111>方向である必要がある。この遷移のエネルギは約3eVである。主軸または長さが<hkl>の結晶配向にあるワイヤに対しては、h+k+l=0、−h+k+l=0、h−k+l=0、またはh+k−l=0であり、ここで、h≠0、k≠0、およびl≠0である。
【0074】
この効果を観察するために、亜鉛ナノ結晶がどのくらい小さくあるべきかということは明確ではないが、亜鉛とビスマスは共に金属であるために、亜鉛ナノ結晶のサイズはシリコンのサイズよりもビスマスのサイズにより類似していることが、期待される。このために、本明細書で前述されたより簡単な製造方法が、検出器またはエミッタに対して利用され得る。
【0075】
シリコン、ビスマス、および亜鉛に対して、界面における電子状態の混合が、本明細書において説明されてきたが、硫化亜鉛、リン化インジウム、ヒ化インジウムなどのような、他の材料が、同様の挙動を示すことが期待される。
【0076】
典型的な実施形態が、説明の目的で記載されてきたが、上記の記載は、本発明の範囲を制限するとみなすべきものではない。従って、当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正例、適応例、および代替例が想起され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、a)ナノウェル、b)ナノドット、およびc)ナノワイヤの、構造の概略図であり、表面効果により状態の混合を誘起する電場の方向を示す。
【図2a】図2aは、ビスマスにおける、T価電子バンド、Γバンド、および<012>配向の概略図である。
【図2b】図2bは、ビスマスの、電子バンド構造の概略図である。
【図3】図3は、亜鉛の、電子バンド構造の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.透明伝導体と、
b.固体伝導体と、
c.材料の少なくとも一部分が該透明伝導体および該固体伝導体と電気的に接触するように、該透明伝導体と該固体伝導体との間に配置された材料であって、該材料は、フェルミエネルギレベルと、複数のキャリアポケットと、界面における混合された電子状態とを有し、該混合された電子状態は、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態と、フェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態とを備え、kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度であり、該材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有する、材料と、
を備える、光電子デバイス。
【請求項2】
前記材料は、前記透明伝導体および前記固体伝導体との間に配置された該材料を備える複数のナノワイヤを備え、その結果として、該複数のナノワイヤの少なくとも一部分が、該透明伝導体および該固体伝導体と電気的に接触する、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項3】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、最大で約200nmまでの直径を有する、請求項2に記載の光電子デバイス。
【請求項4】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、約50nmから約200nmまでの範囲内の直径を有する、請求項3に記載の光電子デバイス。
【請求項5】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、<hkl>の結晶配向を有し、h+k+l=0、−h+k+l=0、h−k+l=0、またはh+k−l=0であり、h≠0、k≠0、およびl≠0である、請求項2に記載の光電子デバイス。
【請求項6】
前記複数のナノワイヤは、シリコンのナノワイヤを備え、該シリコンのナノワイヤのそれぞれが、<1−21>、<211>、<121>、および<211>の配向から成る群のうちから選択された結晶配向の方向を有する、請求項5に記載の光電子デバイス。
【請求項7】
前記複数のナノワイヤは、ビスマスのナノワイヤを備え、該ビスマスのナノワイヤのそれぞれが、<1−21>、<211>、<121>、および<211>の配向から成る群のうちから選択された結晶配向の方向を有する、請求項5に記載の光電子デバイス。
【請求項8】
前記複数のナノワイヤの間に配置された絶縁材料をさらに備える、請求項2に記載の光電子デバイス。
【請求項9】
前記絶縁材料は、アルミナを備える、請求項8に記載の光電子デバイス。
【請求項10】
前記材料は、シリコン、ビスマス、亜鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、ヒ化インジウム、およびそれらの組み合わせから成る群のうちから選択される、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項11】
前記材料は、少なくとも1つのナノドットを備える、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項12】
前記材料は、少なくとも1つのナノウェルを備える、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項13】
前記光電子デバイスは、発光ダイオード、赤外線検出器、エミッタ、太陽電池、および光電池、のうちの1つである、請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項14】
前記エミッタは、近赤外線エミッタ、青色エミッタ、赤色エミッタ、および近紫外線エミッタ、のうちの1つである、請求項13に記載の光電子デバイス。
【請求項15】
向上した電子遷移を有する材料であって、該材料は、フェルミエネルギレベルと、界面における複数の混合された電子状態と、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態とフェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態とを備える複数のキャリアポケットとを有し、kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度であり、該材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有する、材料。
【請求項16】
前記材料は、シリコン、ビスマス、亜鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、ヒ化インジウム、およびそれらの組み合わせから成る群のうちから選択される、請求項15に記載の材料。
【請求項17】
前記材料は、ナノウェル、ナノドット、およびナノワイヤのうちの1つに形成される、請求項15に記載の材料。
【請求項18】
前記ナノワイヤは、最大で約200nmまでの直径を有する、請求項17に記載の材料。
【請求項19】
前記ナノワイヤは、約50nmから約200nmまでの範囲内の直径を有する、請求項18に記載の材料。
【請求項20】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、<hkl>の結晶配向を有し、h+k+l=0、−h+k+l=0、h−k+l=0、またはh+k−l=0であり、h≠0、k≠0、およびl≠0である、請求項18に記載の材料。
【請求項21】
前記複数のナノワイヤは、シリコンのナノワイヤを備え、該シリコンのナノワイヤのそれぞれが、<1−21>、<211>、<121>、および<211>の配向から成る群のうちから選択された結晶配向の方向を有する、請求項19に記載の材料。
【請求項22】
前記複数のナノワイヤは、ビスマスのナノワイヤを備え、該ビスマスのナノワイヤのそれぞれが、<1−21>、<211>、<121>、および<211>の配向から成る群のうちから選択された結晶配向の方向を有する、請求項17に記載の材料。
【請求項23】
a.透明伝導体と、
b.固体伝導体と、
c.複数のナノワイヤの少なくとも一部分が該透明伝導体および該固体伝導体と電気的に接触するように、該透明伝導体と該固体伝導体との間に配置された複数のナノワイヤであって、該複数のナノワイヤは材料を備え、該材料は、フェルミエネルギレベルと、界面における複数の混合された電子状態と、フェルミエネルギレベルのkT以下である初期の状態とフェルミエネルギレベルのkT以上である第2の状態とを備える複数のキャリアポケットと、を有し、kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度であり、該材料は、界面における所定の対称性の崩壊を有し、該複数のナノワイヤのそれぞれは、所定の結晶配向の方向を有する、複数のナノワイヤと、
を備える、光電子デバイス。
【請求項24】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、最大で約200nmまでの直径を有する、請求項23に記載の光電子デバイス。
【請求項25】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、約50nmから約200nmまでの範囲内の直径を有する、請求項24に記載の光電子デバイス。
【請求項26】
前記複数のナノワイヤのそれぞれが、<hkl>の結晶配向を有し、h+k+l=0、−h+k+l=0、h−k+l=0、またはh+k−l=0であり、h≠0、k≠0、およびl≠0である、請求項23に記載の光電子デバイス。
【請求項27】
前記複数のナノワイヤは、シリコンのナノワイヤを備え、該シリコンのナノワイヤのそれぞれが、<1−21>、<211>、<121>、および<211>の配向から成る群のうちから選択された結晶配向の方向を有する、請求項26に記載の光電子デバイス。
【請求項28】
前記複数のナノワイヤは、ビスマスのナノワイヤを備え、該ビスマスのナノワイヤのそれぞれが、<1−21>、<211>、<121>、および<211>の配向から成る群のうちから選択された結晶配向の方向を有する、請求項26に記載の光電子デバイス。
【請求項29】
前記複数のナノワイヤの間に配置された絶縁材料をさらに備える、請求項23に記載の光電子デバイス。
【請求項30】
前記絶縁材料は、アルミナを備える、請求項29に記載の光電子デバイス。
【請求項31】
前記光電子デバイスは、発光ダイオード、赤外線検出器、エミッタ、太陽電池、および光電池、のうちの1つである、請求項23に記載の光電子デバイス。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−528679(P2009−528679A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556484(P2008−556484)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/005361
【国際公開番号】WO2008/063209
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(508115026)ロス アラモス ナショナル セキュリティー,エルエルシー (9)
【氏名又は名称原語表記】LOS ALAMOS NATIONAL SECURITY,LLC
【住所又は居所原語表記】LOS ALAMOS NATIONAL LABORATORY,LC/IP,MS A187,Los Alamos,NM 87545,U.S.A.
【Fターム(参考)】