説明

含フッ素共重合体を含有する組成物

【課題】繊維織物等に対して、優れた吸水性、撥油性、防汚性、汚れ脱離性を付与する組成物を提供し、更にはRf基の炭素数が8未満と従来に比較して短くても、同様の優れた性質を有する組成物を提供する。
【解決手段】(1)含フッ素共重合体であって、(a)一般式:CH2=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH2)m−Z−]p−(CH2)n−Rf(I)[式中、Zは、直接結合、−S−または−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0または1である。]で示される含フッ素単量体、及び(b)一般式:CH2=C(X’)-C(=O)-O-(RO)q-H(IIで示されるアルコキシ基含有単量体を必須成分としており、アミノ基を有する単量体を含有しない含フッ素共重合体、(2)ブロックイソシアネート化合物、ならびに(3)液状媒体を含んでなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素共重合体を含んでなる組成物(特に、SR剤(防汚剤または汚れ脱離剤))に関する。本発明の組成物は、吸水性に優れており、かつ防汚性に優れている。
【背景技術】
【0002】
繊維織物等に撥水撥油性を付与し、かつ繊維に付着した汚れを洗濯などにより除去しやすくする防汚加工剤として、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、フッ素含有化合物ともいう。)と親水性基含有化合物との共重合体が知られている(特開昭53−134786号、同59−204980号公報、同62−7782号公報参照)。これらの防汚加工剤は洗濯で汚れが落ちやすい特長を有し、例えば、作業着やユニホーム用途で使用されてきた。近年、防汚加工剤はその応用範囲が拡大する傾向にあり、例えば、ポロシャツ、Tシャツ等への加工も検討されている。
しかしながら、従来の防汚加工剤の大きな欠点は、吸水性が不十分であり、例えば、汗をかいても繊維が汗を吸わないため、汗をかく環境においての着用は不快きわまりなく、この用途への展開は限定的なものに留まっていた。
【0003】
一般的に、十分な汚れ脱離性を得るには、撥油性とflip-flop性が重要とされ、空気中ではパーフルオロアルキル基(以下、Rf基と略す)が表面に配向し、高い撥油性を示しながら、水中ではこれとは逆に、Rf基が後退し、親水性基が表面に配向して、汚れが落ちやすくなるとされている。Flip-flop性とは、空気中と水中で環境に応じて表面分子構造が変化する性質であり、Shermanらによって提唱されている。[P.Sherman, S.Smith, B,Johannessen, Textile Research Journal,39,499(1969)]
Rf基は鎖長が短いとRfの結晶性の低下とともに撥油性も低下する傾向にあり、油汚れで被処理物品が汚染しやすくなる。このため、Rf基の炭素数は実質的に8以上のものが使用されてきた。(特開昭53−134786号公報、特開2000−290640号公報参照)
【0004】
さらに、最近になってテロメリゼーションによって得られる炭素数8のRf基を含有する化合物については、
Federal Register(FR Vol.68,No.73/April 16,2003[FRL-7303-8])(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)や
EPA Environmental News FOR RELEASE: MONDAY APRIL 14, 2003
EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID
(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf) や
EPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)が、テロマーが分解または代謝により perfluorooctanoic acid(以下、「PFOA」と略す)を生成する可能性があると公表している。
EPA(米国環境保護庁)は、PFOAに対して科学的調査を強化することを発表している。(EPAレポート"PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf) 参照)。
【0005】
WO 2003/095083は、イソシアネート基含有ビニルモノマーを使用する含フッ素グラフトポリマーを記載している。この含フッ素グラフトポリマーが防汚性を付与することが記載されているが、得られる防汚性および/または吸水性は充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭53−134786号
【特許文献2】特開昭59−204980号公報
【特許文献3】特開昭62−7782号公報参照
【特許文献4】特開昭53−134786号公報
【特許文献5】特開2000−290640号公報
【特許文献6】WO 2003/095083公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、繊維織物等に対して、優れた吸水性、撥油性、防汚性、汚れ脱離性を付与する組成物を提供すること、更にはRf基の炭素数が8未満と従来に比較して短くても、同様の優れた性質を有する組成物を提供することにある。
【0008】
吸水性を向上させるための最も簡便な手法は汚れ脱離(SR)ポリマー中のフッ素含有量を減らし、相対的に親水成分の比率を上げることにある。これにより、確かにある程度、吸水性は向上するが、逆に撥油性、汚れ脱離性(SR性)は低下してしまう。撥油性、SR性を低下させることなく、吸水性を向上させることが肝要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1)含フッ素共重合体であって、
(a) 一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH2)m−Z−]p−(CH2)n−Rf (I)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、直接結合、−S−または−SO−であり;
Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;
mは1〜10、nは0〜10、pは0または1である。]
で示される含フッ素単量体 及び
(b) 一般式:
CH2=C(X’)-C(=O)-O-(RO)q-H (II)
[式中、X’は、水素原子またはメチル基であり;
Rは、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基であり;
qは、1〜50の整数である。]
で示されるアルコキシ基含有単量体
を必須成分としており、
アミノ基を有する単量体を含有しない含フッ素共重合体、
(2)ブロックイソシアネート化合物、ならびに
(3)液状媒体
を含んでなる組成物(特に、汚れ脱離剤)を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の組成物(特に、汚れ脱離剤)は、吸水性に優れており、かつ防汚性および汚れ脱離性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、
(1)含フッ素共重合体、
(2)ブロックイソシアネート化合物、ならびに
(3)液状媒体
を含んでなる。
一般に、含フッ素共重合体および液状媒体を含んでなる含フッ素共重合体の液にブロックイソシアネート化合物を添加することによって、本発明の組成物を製造する。
【0012】
[(1)含フッ素共重合体]
本発明における含フッ素共重合体は、一般に、アミノ基を有する単量体から構成された繰り返し単位を有しない。
アミノ基は、一般に、式:
(R11)(R12)N−
[式中、R11およびR12は、同一または異なって、一価の基(例えば、水素原子、)である。]
で示される基である。アミノ基を有する単量体は、一般に、アミノ基に加えて、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する。
【0013】
含フッ素単量体(a)は、一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH2)m−Z−]p−(CH2)n−Rf (I)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、
CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、直接結合、−S−または−SO−であり;
Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;
mは1〜10、nは0〜10、pは0または1である。]
で示されるものである。一般式(I)において、pが0であることが好ましい。
【0014】
Xの好ましい例は水素原子である。
【0015】
含フッ素単量体(a)において、Rf基は一般にはパーフルオロアルキル基および/または部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基である。Rf基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は炭素数1〜6である。Rf基の炭素数は、4、5または6、特に6であってよい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3等である。
【0016】
mは1〜10、例えば2〜5である。nは0〜10、例えば1〜6、特に2〜5である。
含フッ素単量体(a)は単独で使用することはもちろんのこと、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
含フッ素単量体(a)としては例えば、次のものが挙げられる。
CH2=C(−X)−C(=O)−O−(CH2)m−S−(CH2)n−Rf
CH2=C(−X)−C(=O)−O−(CH2)m−SO2−(CH2)n−Rf
CH2=C(−X)−C(=O)−O−(CH2)n−Rf
CH2=C(−X)−C(=O)−NH−(CH2)n−Rf
[上記式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Rfは、1〜6のフルオロアルキル基であり;
mは1〜10、nは0〜10である。]
【0018】
含フッ素単量体(a)の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−OCH2CH2N(C2H5)SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−OCH2CH2N(CH3)SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−OCH2CH(OCOCH3)CH2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−OCH2CH2N(C2H5)SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−OCH2CH2N(CH3)SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−OCH2CH(OCOCH3)CH2−Rf
【0019】
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0020】
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0021】
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)3−Rf
【0022】
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
【0023】
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CN )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3 )−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
[上記式中、Rfは、1〜6のフルオロアルキル基である。]
【0024】
アルコキシ基含有単量体(b)は、非フッ素単量体であり、一般式:
(b) 一般式:
CH2=C(X’)-C(=O)-O-(RO)q-H (II)
[式中、X’は、水素原子またはメチル基であり;
Rは、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基であり;
qは、1〜50の整数である。]
で示される化合物(アルキレングリコール(メタ)アクリレート)である。
アルコキシ基含有単量体(b)において、qが1〜30、例えば2〜10、特に2〜5であることが好ましい。
【0025】
一般式(II)において、Rは、エチレンまたはプロピレン、特にエチレンであることが好ましい。一般式(II)中のRは2種類以上のアルキレンの組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRのひとつはエチレンであることが好ましい。Rの組合せとしては、エチレン基/プロピレン基の組合せ、エチレン基/ブチレン基の組合せが挙げられる。
アルコキシ基含有単量体(b)は、2種類以上の混合物であっても良い。
【0026】
アルコキシ基含有単量体(b)の具体例は、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=CHCOO-(CH2CH2O)3-H
CH2=CHCOO-(CH2CH2O)5-H
CH2=CHCOO-(CH2CH2O)9-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)3-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)5-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)9-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)23-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)50-H
CH2=CHCOO-(CH2CH(CH3)O)3-H
CH2=CHCOO-(CH2CH(CH3)O)9-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH(CH3)O)4-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH(CH3)O)9-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)2-(CH2CH(CH3)O)2-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)5-(CH2CH(CH3)O)2-H
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)8-(CH2CH(CH3)O)6-H
【0027】
含フッ素共重合体は、(c)架橋性単量体を含んでもよい。架橋性単量体(c)は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。架橋性単量体(c)は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート、カルボキシル基、などである。本発明においては、アミノ基を有する単量体を使用しない。
【0028】
架橋性単量体(c)が非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、特に、ジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
架橋性単量体(c)が、一般式:
CH2=C(X”)-C(=O)-O-(R”O)q-C(=O)-C(X”)=CH2 (III)
[式中、それぞれのX”は、水素原子またはメチル基であり;
R”は、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;
qは、1〜50の整数である。]
で示される化合物(アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)であることが好ましい。R”の炭素数は、2〜10、例えば2〜6、特に2〜4である。R”は、エチレン基であることが好ましい。式(III)において、qが1〜30、例えば2〜10であることが好ましい。
式(III)で示されるアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの具体例は次のとおりである。
【0029】
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)5-COC(CH3)=CH2
CH2=CHCOO-(CH2CH2O)9-COCH=CH2
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH(CH3)O)12-COCH=CH2
CH2=CHCOO-(CH2CH2O)5-(CH2CH(CH3)O)3-COCH=CH2
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)23-OOC(CH3)C=CH2
CH2=C(CH3)COO-(CH2CH2O)20-(CH2CH(CH3)O)5-COCH=CH2
【0030】
架橋性単量体(c)の他の例としては、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタジエン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
【0031】
架橋性単量体(c)のさらに他の例としては、グリセロール(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートのようなイソシアネート基含有(メタ)アクリレートまたはメチルエチルケトオキシム等のブロック化剤でイソシアネート基がブロックされたそれらの(メタ)アクリレートなどが例示される。
架橋性単量体(c)は、2種以上の混合物であってよい。
【0032】
含フッ素共重合体は、(d)非架橋性単量体を含有してもよい。非架橋性単量体(d)はアルコキシ基含有単量体(b)以外の単量体、一般に非フッ素単量体である。非架橋性単量体(d)は、フッ素を含有せず、炭素-炭素二重結合を有する単量体であることが好ましい。非架橋性単量体(d)は、フッ素を含有しないビニル性単量体であることが好ましい。非架橋性単量体は、一般に、1つの炭素-炭素二重結合を有する化合物である。
【0033】
非架橋性単量体(d)としては、ブタジエン、クロロプレン、マレイン酸誘導体、塩化ビニルのようなハロゲン化ビニル、エチレン、塩化ビニリデンのようなハロゲン化ビニリデン、ビニルアルキルエーテル、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、などが例示されるが、これらに限定されるものでない。
【0034】
非架橋性単量体(d)は、アルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルであってよい。アルキル基の炭素数は、1〜30、例えば、6〜30、例示すれば、10〜30であってよい。例えば、非架橋性単量体は一般式:
CH=CACOOA
[式中、Aは水素原子またはメチル基、Aは(鎖状または環状の)C1−30アルキル基である。]
で示されるアクリレート類であってよい。
【0035】
含フッ素共重合体は、含フッ素単量体(a)100重量部を含有する。含フッ素単量体(a)100重量部に対して、
アルコキシ基含有単量体(b)の量は、10〜400重量部、例えば25〜150重量部、特に43〜100重量部であり、
架橋性単量体(c)の量は、30重量部以下、例えば0.1〜20重量部、特に0.5〜10重量部であり、
非架橋性単量体(d)の量は、20重量部以下、例えば0.1〜15重量部、特に0.5〜10重量部であることが好ましい。
【0036】
本発明における含フッ素共重合体の重量平均分子量は、1000〜1000000、好ましくは5000〜500000であってよい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で求めた値である。
【0037】
含フッ素共重合体の重合は、特に限定されず塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々重合方法を選択できる。例えば一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、水または有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。
本発明においては、重合(例えば、溶液重合または乳化重合)後、脱溶剤してから水を加えて、重合体を水に分散させることが好ましい。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、低分子量のポリエチレングリコールなどのグリコール類、エチルアルコール、イソプロパノールなどのアルコール類などが挙げられる。
乳化重合や重合後、乳化剤を加えて水に乳化する場合の乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の一般的な各種乳化剤が使用できる。
【0038】
重合開始剤として、例えば過酸化物、アゾ化合物または過硫酸系の化合物を使用し得る。重合開始剤は、一般に、水溶性および/または油溶性である。
油溶性重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチル4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、ジ−第三級−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、過ピバル酸t−ブチル等が好ましく挙げられる。
【0039】
また、水溶性重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチルアミジン2塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]硫酸塩水和物、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、過硫酸カリウム、過硫酸バリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が好ましく挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度が40℃以上である有機過酸化物であることが好ましい。重合開始剤がt−ブチルパーオキシピバレートであることが特に好ましい。
重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で用いられる。
また、分子量調節を目的として、連鎖移動剤、例えば、メルカプト基含有化合物を使用してもよく、その具体例として2−メルカプトエタノール、チオプロピオン酸、アルキルメルカプタンなどが挙げられる。メルカプト基含有化合物は単量体100重量部に対して、10重量部以下、0.01〜5重量部の範囲で用いられる。
【0040】
具体的には、含フッ素共重合体は、以下のようにして製造できる。
溶液重合では、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、重合開始剤を添加して、例えば40〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤は、一般に、油溶性重合開始剤であってよい。
【0041】
有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0042】
乳化重合では、単量体を乳化剤などの存在下、水中に乳化させ、窒素置換後、重合開始剤を添加し、40〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0043】
放置安定性の優れた重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化し、油溶性重合開始剤を用いて重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
【0044】
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
【0045】
[(2)ブロックイソシアネート化合物]
ブロックイソシアネート化合物は、少なくとも一種のブロック剤によってブロックされているイソシアネートである。
【0046】
ブロックイソシアネート化合物は、ブロックされているイソシアネート基を有しており、重合可能な不飽和基を有しない化合物であり、ブロック剤によってブロックされているイソシアネートのイソシアネート残基を有するものである。ブロックイソシアネート化合物は、親水性基を有する化合物によって変性されていてよい。
【0047】
親水性基の例としては、ノニオン性親水性基(例えば水酸基、アミノ基およびポリオキシアルキレン基(特に、ポリオキシエチレン基));および、イオン性(カチオン性またはアニオン性)親水性基(例えば、カルボキシル基、スルフェート基、スルホン基、スルホネート基およびスルフィット基)が挙げられる。
【0048】
イソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、MDIオリゴマー、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、付加物(例えば、TDIまたはHDIのTMP(トリメチロールプロパン)付加物)、アロファネート変性生成物、ビウレット変性生成物(例えば、HDIから製造されるビウレット)、イソシアヌレート変性生成物(例えば、TDIから製造されるイソシアヌレート、HDIから製造されるイソシアヌレート、IPDIから製造されるイソシアヌレート、ならびにTDIおよびHDIから製造されるイソシアヌレート)、前述の化合物のカルボジイミド変性生成物、またはウレタンプレポリマーであってよい。
【0049】
ブロック剤の例としては、(i) オキシム類、(ii) フェノール類、(iii) アルコール類、(iv) メルカプタン類、(v) アミド類、(vi) イミド類、(vii) イミダゾール類、(viii) 尿素類、(ix) アミン類、(x) イミン類、(xi) ピラゾール類、および (xii) 活性メチレン化合物類が挙げられる。ブロック剤の他の例には、ピリジノール類、チオフェノール類、ジケトン類およびエステル類が挙げられる。ブロックイソシアネート化合物は、親水性基を有する化合物によって変性されていてもよい。
【0050】
(i) オキシム類
オキシム類の例としては、ホルムアミドオキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシムおよびシクロヘキサノンオキシムが挙げられる。
【0051】
(ii) フェノール類
フェノール類の例としては、少なくとも1つの(好ましくは1つまたは2つの)C1−10アルキル基を場合により有していてもよいフェノールが挙げられる。フェノール類の具体例としては、フェノール;モノアルキルフェノール(例えば、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノールおよびオクチルフェノール);ならびに、ジアルキルフェノール(例えば、ジエチルフェノール、ジプロピルフェノール、ジプロピルクレゾール、ジブチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジオクチルフェノールおよびジノニルフェノール)。
フェノール類の具体例には、スチレン化されたフェノール、ヒドロキシベンゾエートエステルが挙げられる。
【0052】
(iii) アルコール類
アルコール類の例としては、C−C30アルキル基を有する(好ましくは一価の)アルコール(特にアルカノール)が挙げられる。
アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノールおよび3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−オールが挙げられる。
(iv) メルカプタン類
メルカプタン類の具体例としては、ブチルメルカプタンおよびドデシルメルカプタンが挙げられる。
【0053】
(v) アミド類
アミド類(好ましくは酸性アミド)の具体例としては、アセトアニリド、酢酸アミド、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム、ステアロラクタム、N−メチル−ε−カプロラクタムおよびピロリジノンが挙げられる。
(vi) イミド類
イミド類の具体例としては、マレイン酸イミドおよびコハク酸イミドのような酸イミドが挙げられる。
【0054】
(vii) イミダゾール類
イミダゾール類の具体例としては、イミダゾールおよび2−メチルイミダゾールが挙げられる。
(viii) 尿素類
尿素類の具体例としては、尿素、チオ尿素およびエチレン尿素が挙げられる。
【0055】
(ix) アミン類
アミン類の具体例としては、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジエチルアミン、ジプロピルアミンおよびプロピルエチルアミンが挙げられる。
(x) イミン類
イミン類の具体例としては、エチレンイミンおよびポリエチレンイミンが挙げられる。
【0056】
(xi) ピラゾール類
ピラゾール類の具体例としては、
2−メチル-ピラゾール、3−メチル-ピラゾール、4−メチル-ピラゾール、2,4−ジメチル-ピラゾール、2,5−ジメチル-ピラゾール、3,4−ジメチル-ピラゾール、3,5−ジメチル-ピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチル-ピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチル-ピラゾールが挙げられる。
(xii) 活性メチレン化合物類
活性メチレン化合物類の例としては、マロネートエステル(例えば、C1−30−アルキルのマロン酸エステル)、アセト酢酸エステル(例えば、C1−30−アルキルアセト酢酸エステル)およびアセチルアセトンが挙げられる。
【0057】
ブロックイソシアネート化合物を形成するためのブロック剤はピラゾール化合物またはマロネートエステル化合物であることが好ましい。
【0058】
ピラゾール化合物は、式:

[式中、それぞれのR11は、同一または異なって、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、N−置換カルバミル基、フェニル基、NO、ハロゲン原子または-C(=O)OR12基(R12は炭素数1〜4のアルキル基である。)であり、
nは0,1,2または3である。]
で示されるものであってよい。
【0059】
ピラゾール化合物の具体例としては、
2−メチル-ピラゾール、3−メチル-ピラゾール、4−メチル-ピラゾール、2,4−ジメチル-ピラゾール、2,5−ジメチル-ピラゾール、3,4−ジメチル-ピラゾール、3,5−ジメチル-ピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチル-ピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチル-ピラゾールが挙げられる。
【0060】
マロネートエステル化合物は、マロン酸とアルコール(例えば、一価アルコール)との反応生成物(モノエステルまたはジエステル(好ましくは、ジエステル))である。一般に、アルコールは、水酸基に結合している1〜30の炭素原子を有する炭化水素基を有している。炭化水素基は好ましくはアルキル基、特に1〜4つの炭素原子を有するアルキル基である。
【0061】
マロネートエステルの具体例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸メチル、マロン酸エチル、マロン酸プロピルおよびマロン酸ブチルが挙げられる。ジエステルが好ましい。マロネートエステルの好ましい具体例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピルおよびマロン酸ジブチルが挙げられる。
【0062】
ブロックイソシアネート化合物は、親水性基を有する化合物によって変性されていてよい。親水性基を有する化合物は、ノニオン性親水性基を有する化合物またはイオン親水性基を有する化合物であってよい。あるいは、親水性基を有する化合物は、ノニオン性親水性基を有する化合物またはイオン性親水性基を有する化合物とイソシアネートとの間の反応、通常は、活性水素(例えば、−OH、または−NH)とイソシアネート基(−NCO)との間の反応から生じていてよい。
【0063】
ノニオン性親水性基を有する化合物およびイオン性親水性基を有する化合物の各々は、100〜4000、特に200〜2000の数平均分子量を有することが好ましい。ノニオン性親水性基を有する化合物が特に好ましい。ノニオン性親水性基を有する化合物は一末端に活性水素およびポリエチレンオキサイド鎖を有する化合物であることが好ましい。ノニオン性親水性基を有する化合物は、特にメタノールのような(例えば、1〜30の炭素原子を有している)モノアルコールに、アルキレンオキサイド、特にエチレンオキサイドを付加反応させることによって製造できる。ここで、エチレンオキサイドの含量はアルキレンオキサイドに基づいて少なくとも50重量%であることが好ましい(エチレンオキサイドの含量の上限は、アルキレンオキサイドに基づいて、100重量%、例えば90重量%)である。)。ノニオン性親水性基を有する化合物は、アルキレンオキサイドに基づいて、0〜50重量%、例えば0〜20重量%、特に1〜10重量%の量のプロピレンオキサイド単位を含んでいてよい。イオン性親水性基を有する化合物はアニオン性化合物(例えばヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、アミノスルホン酸およびヒドロキシスルホン酸)であることが好ましい。ヒドロキシ基を有する第三級アミノ化合物のようなカチオン性化合物(例えば、ジメチルアミノプロパノール)を、イオン性親水性基を有する化合物として使用できる。ヒドロキシ基を有する第三級アミノ化合物は、イソシアネートと反応させ、次いで、酸によって中和させるかまたは四級化剤(例えば、塩化ベンジル)と反応させて、四級化塩を与える。
【0064】
親水性基を有する化合物の例としては、(例えばC−C30)脂肪族基を有する一価〜四価のアルコールおよび少なくとも1つのオキシアルキレン基を有する(例えばC−C200)一価アルコールが挙げられる。これは、(例えばC−C)アルキレンオキサイドを(例えばC−C30)一価アルコールに付加することによって製造できる。親水性基を有する化合物の具体例としては、
R−(O−CHCH−OH
[式中、RはC−C10の脂肪族(またはアルキル)基(例えば、CH、C、C、C)であり、nは2〜50、好ましくは5〜25である。]
で示される化合物が挙げられる。
【0065】
ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート
[イソシアネートは、A(NCO)(ただし、Aおよびmは下記と同様である(例えば、Aはイソシアネート反応性基が取り除かれた後に残っている基であり、mは2〜8の整数である。)によって示されてよい。]
にブロック剤
[ブロック剤は、RH(ただし、Rは窒素原子および酸素原子のようなヘテロ原子によって置換されていてよい炭化水素基であってよく、Hは水素原子である。)によって示されてよい。]
を反応させることによって製造できる。
【0066】
ブロックイソシアネート化合物が、式:
A−Y
[式中、Aは、m価の脂肪族基、脂環式基、ヘテロ環状基または芳香族基であり(ただし、mは2〜8の整数である。)、
Yは、同一または異なって、



(ただし、それぞれのR11は、同一または異なって、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、N−置換カルバミル基、フェニル基、NO、ハロゲン原子または-C(=O)OR12基(R12は炭素数1〜4のアルキル基である。)、
nは0,1,2または3である。)
または
-NH-C(=O)-CH-(C(=O)-OR21)2
(R21は炭素数1〜30の炭化水素基、または親水性基を有する一価の基である。)
-NHCOO-(R31-O)k-R32
(R31は炭素数2〜5のアルキレン基であり、
R32 は炭素数1〜10の脂肪族基(またはアルキル基)、例えば、CH3, C2H5, C3H7および C4H9,
k は 2〜50、好ましくは5〜25である。)
mは、1〜10、特に2〜5である。]
で示される化合物であることが好ましい。
【0067】
イソシアネート化合物において、Yが、
(i)



であるか、
(ii)
-NH-C(=O)-CH-(C(=O)-OR21)2
であるか、
(iii)
-NHCOO-(R31-O)k-R32
であるか、または
(iv) 上記(i)と(ii)と(iii)の内の少なくとも2種からなる組合せ
であることが好ましい。
【0068】
ブロックイソシアネート化合物の量は、全ての単量体または含フッ素共重合体100重量部に対して、0.5〜50重量部、例えば、1〜20重量部であってよい。
【0069】
[(3)液状媒体]
液状媒体は、水および/または有機溶媒からなる溶媒である。液状媒体は水と有機溶媒の混合物であってよい。液状媒体は、単量体を重合して含フッ素共重合体を製造する際に使用する溶媒であることが好ましい。含フッ素重合体を製造した後に、溶媒を追加してもよい。重合後に追加する溶媒は、重合時に使用した溶媒と同じであってよく、あるいは異なっていてもよい。
【0070】
液状媒体の量は、組成物において含フッ素共重合体とブロックイソシアネート化合物の濃度が0.02〜70重量%、例えば1〜50重量%となるような量であってよい。
【0071】
本発明の組成物(すなわち、処理剤(特に、汚れ脱離剤))は、溶液、エマルションまたはエアゾールの形態であることが好ましい。処理剤は、含フッ素共重合体および媒体(例えば、有機溶媒および水などの液状媒体)を含んでなる。処理剤において、含フッ素共重合体の濃度は、例えば、0.01〜50重量%、特に0.1〜40重量%であってよい。
【0072】
本発明における含フッ素重合体(含フッ素共重合体)は、被処理物品の種類や前記調製形態(乳濁液、有機溶剤溶液、エアゾールなど)などに応じて、任意の方法で汚れ脱離剤として被処理物品に適応され得る。例えば、水性乳濁液や有機溶剤溶液である場合には、浸漬塗布、スプレー塗布等のような被覆加工の既知の方法により、被処理物の表面に付着させ乾燥する方法が採用され得る。この際、必要ならばキュアリング等の熱処理を行っても良い。
また、必要ならば、他のブレンダーを併用することも可能である。例えば、撥水撥油剤、防シワ剤、防縮剤、難燃剤、架橋剤、帯電防止剤、柔軟剤、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコール等の水溶性高分子、ワックスエマルション、抗菌剤、顔料、塗料などである。これらのブレンダーは被処理物、処理時に処理浴に添加して使用しても良いし、あらかじめ、可能なら、本発明における含フッ素重合体と混合して使用しても良い。
【0073】
被処理物品としては、特に限定されないが繊維製品の他、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。特に繊維製品に対して有用である。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。繊維製品は、繊維、糸、布等の形態のいずれであってもよい。
【0074】
本発明においては、被処理物品を処理剤(特に、汚れ脱離剤)で処理する。「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
【実施例】
【0075】
次に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、これらの説明が本発明を限定するものでない。
以下において、部または%は、特記しない限り、重量部または重量%を表す。
以下において使用した試験方法は次のとおりである。
【0076】
<吸水試験 液滴法>
マイクロピペットを用いて、飲料水(20±2℃)10μLを試験布上に静かにのせる。試験布に水滴をのせてから、水滴が試験布に滲み込み、水滴が消失するまでの時間(単位:秒)を測定する。ここで水滴が消失するとは、水の鏡面反射が消え、湿潤だけが残る状態をさす。5箇所を測定し、平均の吸水時間を測定値とする。
【0077】
<吸水試験 Wicking法>
試験布を長さ16cm、幅2.5cmの短冊状に切断する。
これを純水200gを入れた200mlビーカーに試験布の先端が5〜10mm、水に浸かるようにセットする。30分後に、毛細管現象で布をつたって上昇してくる水の水面からの高さを読み取る。
【0078】
<撥油試験(OR試験)>
撥油性の試験は、繊維製品を用いてAATCC−TM118−2000に準じて行った。即ち、試験布を水平に広げ、表3に示す試験溶液を数滴落し、30秒後の浸透状態で判定する。撥油性が低い場合は、空気中で油汚れが被処理物品に進入して除去困難となる為、汚れ脱離性(SR性)の試験と並び重要な評価指標となる。
【0079】
【表1】

【0080】
<汚れ脱離試験(SR試験)>
汚れ脱離試験は米国のAATCC Stain Release Management Performance Test Methodに準じて行った。試験用の汚れにはコーンオイル(コーン油)またはミネラルオイル(ミネラル油)またはラー油を使用した。
水平に敷いたブロッティングペーパーの上に20cm四方の試験布を広げ、汚れとしてコーンオイル(またはミネラルオイルもしくはラー油)を5滴(約0.2cc)を試験布に垂らす。その上からグラッシンペーパーをかけて、さらに2268gの分銅をのせ、60秒、放置する。60秒後に分銅とグラッシングペーパーを取り除き、そのまま、室温で15分、放置する。15分経過後、試験布にバラスト布を加えて1.8kgとし、洗剤(AATCC標準のWOB洗剤)100gを使用して、AATCC標準洗濯機(米国ケンモア社製)で浴量64リットル、浴温38℃の条件で12分間洗濯し、濯いだ後、AATCC標準タンブラー乾燥機(米国ケンモア社製)で試験布を乾燥する。乾燥した試験布の残存シミ汚れの状態を判定用標準写真板と比較し、汚れ脱離性能を該当する判定級(表4参照)をもって表す。判定用標準写真板は、AATCC−TM130−2000(American Association of Textile Chemists and Colorists - Test Method 130-2000)のものを使用した。
【0081】
【表2】

【0082】
<吸水性、撥油性(OR性)、SR性の洗濯耐久性>
AATCC−135法による洗濯を10, 20回繰り返して行い、その後の吸水性、撥油性(OR性)、SR性を評価する(HL-10, HL-20)。
【0083】
[合成例1]
含フッ素共重合体1の合成:
還流冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに含フッ素モノマー CH2=CHC(=O)O−CH2CH2C6F13(以下、C6SFA(a)と記す)18.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEAと記す)を3g、ポリエチレングリコールアクリレート CH2=CHC(=O)O−(CH2CH2O)n−H(BLEMMER AE200、日油株式会社製、nの平均値は4.5)(以下、AE200と記す)を7.5g、ポリエチレングリコールジアクリレート CH2=CHC(=O)O−(CH2CH2O)n−C(=O)CH=CH2(BLEMMER ADE300、日油株式会社製、nの平均値は7)(以下、ADE300と記す)を1.5g、2−メルカプトエタノールを0.45gとメチルエチルケトン(以下、MEKと記す)45gを仕込んで、30分間窒素バブリングした。
窒素気流下で内温を50−65℃に昇温後、パーブチルPV (以下、PVと記す)を0.4g添加し、60から65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて約70℃でMEKを留去し、淡黄色ポリマー残渣を得た後、水を122.4g添加し、内温を約80℃で1hr以上保った後、冷却して固形分濃度が約20重量%の水分散液を調整した。
【0084】
[合成例2]
ブロックイソシアネート1の合成:
反応容器に、メチレンジフェニルジイソシアネート(16g)、及びメチルイソブチルケトンを32g添加し、72−75℃まで加熱した。メチルエチルケトオキシム(6.0g)をゆっくりと仕込み、60〜70℃で赤外線分光光度計にて確認させるイソシアネート含量がゼロになるまで反応することにより、白色固体を得た。この組成物をラウリルポリエチレングリコールエーテル(エチレンオキサイド付加モル数平均16.2g)を添加し、強制乳化により水に分散させ、固形分濃度が約40%となる水分散液を調整した。
【0085】
[合成例3]
ブロックイソシアネート2の合成:
反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアヌレート(16g、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートタイプ、NCO官能基数3、スミジュールN-3300、住化バイエルウレタン株式会社製)、及びメチルイソブチルケトンを32g添加し、72−75℃まで加熱した。次いで、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数平均12)11gをゆっくりと仕込み、1時間反応させた。次いで、3,5−ジメチルピラゾール(6.0g、62.4mmol)、をゆっくりと仕込み、60〜70℃で赤外線分光光度計にて確認させるイソシアネート含量がゼロになるまで反応することにより、無色透明液状組成物を得た。この無色透明稠液状組成物を水に分散し、固形分濃度が約40%となる水分散液を調整した。
【0086】
[比較合成例1]
含フッ素共重合体C1の合成:
還流冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた100ml四つ口フラスコにC6SFA(a)18.0g、HEAを3g、AE200を7.5g、ジメチルアミノエチルメタクリレートCH2=C(CH3)C(=O)O−CH2CH2N(CH3)2(ライトエステルDM、共栄社化学株式会社製)(以下、DMと記す)を1.5g、2−メルカプトエタノールを0.3gとMEK45gを仕込んで、30分間窒素バブリングした。
窒素気流下で内温を50−65℃に昇温後、パーブチルPV (以下、PVと記す)を0.4g添加し、60から65℃で6時間反応させた。
C6SFA(a)の転化率は99.2%であった。
得られた溶液を減圧条件下にて約70℃でMEKを留去し、淡黄色ポリマー残渣を得た後、水を121.2gと酢酸を0.6g添加し、内温を約80℃で1hr以上保った後、冷却して固形分濃度が約20重量%の水分散液を調整した。
【0087】
[比較合成例2]
含フッ素共重合体C2の合成:
比較合成例1におけるAE200をメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレートCH2=C(CH3)C(=O)O−(CH2CH2O)n−CH3
(NKエステル M−90G、新中村化学工業株式会社製、nの平均値は9)(以下、M-90Gと記す)に置換えて、比較合成例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20重量%の水分散液を調整した。
【0088】
[実施例1]
合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液 3.0部
合成例2で得られたブロックイソシアネートの水分散液 0.25部
水道水 96.75部
上記の割合で合成例1で得られた含フッ素共重合体分散液と合成例2で得られたブロックイソシアネート水性分散液を水で希釈し、加工処理液を調製した。このようにして得られた処理液に、100%綿布、100%PET布を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップ(WPU)が60mass%となるようにした。次いで、布を160℃で3分間、乾燥、熱処理することにより、汚れ脱離剤処理を完了した。これらの布について吸水性(水滴法、Wicking法)、汚れ脱離性(SR)及び撥油性(OR)を測定した。
結果を表3に示す。
【0089】
[実施例2]
合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液の量を6.0部に変更する以外は実施例1と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表3に示す。
【0090】
[実施例3]
合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液 3.0部
合成例3で得られた水分散液 1.0部
水道水 96.75部
上記の割合で合成例1で得られた含フッ素共重合体分散液と合成例3で得られたブロックイソシアネート水性分散液を水で希釈し、加工処理液を調製した。このようにして得られた処理液に、100%綿布、100%PET布を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップ(WPU)が60mass%となるようにした。次いで、布を160℃で3分間、乾燥、熱処理することにより、汚れ脱離剤処理を完了した。これらの布について吸水性(水滴法、Wicking法)、汚れ脱離性及び撥油性を測定した。
結果を表3に示す。
【0091】
[実施例4]
合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液の量を6.0部に変更する以外は実施例3と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。結果を表3に示す。
【0092】
[実施例5]
合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液 3.0部
合成例2で得られたブロックイソシアネートの水分散液 0.25部
ベッカミンNS-19 (グリオキザールレジン、大日本インキ化学) 8.0部
ベッカミンX-80 (グリオキザールレジン用触媒、大日本インキ化学) 2.4部
水道水 78.35部
上記の割合で合成例1で得られた含フッ素共重合体分散液と合成例2で得られたブロックイソシアネート水性分散液を水で希釈し、加工処理液を調製した。このようにして得られた処理液に、100%綿布、65%/35%=PET/綿布(T/C)を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップ(WPU)が60mass%となるようにした。次いで、布を160℃で3分間、乾燥、熱処理することにより、汚れ脱離剤処理を完了した。これらの布について吸水性(水滴法、Wicking法)、汚れ脱離性及び撥油性を測定した。
結果を表4に示す。
【0093】
[実施例6]
合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液の量を6.0部に変更する以外は実施例3と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表4に示す。
【0094】
[比較例1]
比較合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液 3.0部
水道水 97.0部
上記の割合で含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液を水で希釈し、加工処理液を調製した。このようにして得られた処理液に、100%綿布、65%/35%=PET/綿布(T/C)を浸漬し、ロールで絞ってウエットピックアップ(WPU)が60mass%となるようにした。次いで、布を160℃で3分間、乾燥、熱処理することにより、汚れ脱離剤処理を完了した。これらの布について吸水性(水滴法、Wicking法)、汚れ脱離性及び撥油性を測定した。
結果を表5に示す。
【0095】
[比較例2]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例1と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表5に示す。
【0096】
[比較例3]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例2と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表5に示す。
【0097】
[比較例4]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例5と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表6に示す。
【0098】
[比較例5]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例1で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例6と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表6に示す。
【0099】
[比較例6]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例2で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例1と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表5に示す。
【0100】
[比較例7]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例2で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例2と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表5に示す。
【0101】
[比較例8]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例2で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例5と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表6に示す。
【0102】
[比較例9]
含フッ素共重合体の20%水分散液を比較合成例2で得られた含フッ素共重合体の20%水分散液に変更する以外は実施例6と同様の手順で処理液を調製、布処理し、汚れ脱離性、撥油性を測定した。
結果を表6に示す。
【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
【表5】

【0106】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の組成物は、優れた吸水性と防汚性と汚れ脱離性を有する汚れ脱離剤として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(a) 一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH2)m−Z−]p−(CH2)n−Rf (I)
[式中、Xは、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、直接結合、−S−または−SO−であり;
Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;
mは1〜10、nは0〜10、pは0または1である。]
で示される含フッ素単量体 及び
(b) 一般式:
CH2=C(X’)-C(=O)-O-(RO)q-H (II)
[式中、X’は、水素原子またはメチル基であり;
Rは、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基であり;
qは、1〜50の整数である。]
で示されるアルコキシ基含有単量体
を必須成分としており、
アミノ基を有する単量体を含有しない含フッ素共重合体、
(2)ブロックイソシアネート化合物、ならびに
(3)液状媒体
を含んでなる組成物。
【請求項2】
含フッ素単量体(a)において、pが0の整数である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
含フッ素単量体(a)において、Xが水素原子である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
含フッ素単量体(a)において、Rfが炭素数6のパーフルオロアルキル基である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アルコキシ基含有単量体(b)において、qが1〜30の整数である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
さらに、(c)架橋性単量体を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
架橋性単量体(c)が非フッ素架橋性単量体であり、ジ(メタ)アクリレートである請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
架橋性単量体(c)が、一般式:
一般式:
CH2=C(X”)-C(=O)-O-(R”O)q- C(=O) -C(X”)=CH2 (III)
[式中、それぞれのX”は、水素原子またはメチル基であり;
R”は、水素原子の一部または全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;
qは、1〜50の整数である。]
で示されるジ(メタ)アクリレートである請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
含フッ素共重合体において、含フッ素単量体(a)の量100重量部に対して、非フッ素非架橋単量体(b)が10〜400重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
架橋性単量体(c)の量が、含フッ素単量体(a)とアルコキシ基含有単量体(b)の合計100重量部に対して0.1〜30重量部である請求項6〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ブロックイソシアネートにおいて、ブロック剤が、オキシム類、フェノール類、アルコール類、メルカプタン類、アミド類、イミド類、イミダゾール類、尿素類、アミン類、イミン類、ピラゾール類、および活性メチレン化合物類からなる群から選択されたものである請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
ブロックイソシアネートにおいて、ブロック剤が、ピラゾール類である請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
溶液、エマルションまたはエアゾールの形態である請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の組成物で処理することからなる、基材を処理する方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載の組成物によって処理された繊維製品。
【請求項16】
組成物が汚れ脱離剤である請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
汚れ脱離剤としての請求項1〜13のいずれかに記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2012−214759(P2012−214759A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−74101(P2012−74101)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】