説明

含浸布

本発明は:密に編まれた下層(10)と;更に疎に編まれた上層(12)と;下表面部(10)と上表面部(12)との間の空間(16)にわたって延在する連結繊維(14)とを有する、編まれたスペーサー型の織布を提供する。固化可能な材料、例えばセメントは上表面部と下表面部の間の空間(16)に導入され、液体、例えば水の添加によって固化されうる。固化するまでは、織布は可撓性であり成形できるが、空間(16)における材料が固化した後は、織布は硬化し、広範な状況における構造要素として用いられうる。下層(10)の延在部(24)は上表面部(12)を超えて延在し、他の表面部の方向に延在部を引き込む弾性のある連結繊維(26)によって、上表面部に連結され、これによって布地の縁部で空間を少なくとも部分的に閉塞し、固化可能な材料が漏出するのを防ぐ。更に、固化可能な材料の充填及び表面部の間の最大空間は、所定量の液体のみを空間内に収容できるように、かつ、その含量はセメントを固化するのに要求される水に合致するようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と混合する場合に固化するか、あるいは一実施形態においては、放射線に曝露された場合に固化する材料で含浸させた布地に関する。このような布地の用途は多数ある。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2005/124063号はグラウンドシートとカバーとを含むシェルターについて記載しており、グラウンドシートとカバーとの間の空間は、空気をその空間に注入して、カバーを上昇させることによって膨張することができ、シェルターを形成できる。カバーはセメントで含浸した織布で生成され、織布は「填綿(wadding)」として既知のフェルト形状にでき、弛緩性の不織布である。内部空間が膨張する直前に、膨張後にカバーにおけるセメントが固化し、シェルターで自耐性の屋根部として作用する硬質のシェルを形成するように水で湿潤され、特に有事の地域において一時的な収容施設を提供するのに特に有用である。
【0003】
国際公開第2007/144559号は、1対の対向する表面部と、表面部の間を延在し、間隙を介した配置で表面部を維持し、かつ表面部の間の空間に配置される固体粉末材料を維持する自耐性のある織糸(連結繊維とも称される)とを具える織布を開示する。粉末材料は液体の添加時、あるいは紫外放射線への曝露時に硬質又は半硬質の固体塊に固化でき、水系の液体の添加時に固形セメント又はコンクリートに固化されるセメントを含んでもよい。織布における空間での固化可能な材料の含量は、材料が固化された場合に特に、第1の表面部と第2の表面部との間の空間全体を実質的に占有するようになる。織布(粉末材料がない)はスペーサー型の織布であってもよく、既知で商業上入手可能である。スペーサー型の織布の厚さは製造中に、連結繊維について好適な長さを選択することによって決定される。
【0004】
米国特許第4495235号は、セメントで生成されたコア部と、カバー層と裏材層との間に配置した凝集物とを含む扁平状の本体部を開示する。これらの層とコア部は、層同士が変形可能な状態で保持されるようにセメントで硬化する前に針で結合される。
【0005】
用語「布地(cloth)」又は「充填型の布地(filled cloth)」は本明細書中では、固化可能な粉末材料を含む内部空間があるスペーサー型の織布を示すのに用いられる。「スペーサー型の織布(spacer fabric)」は第1の表面部及び第2の表面部が空間で相互に分離した織布であり、更に自耐性のある連結繊維が第1の表面部と第2の表面部との間を延在し、間隙を介した配置で第1の表面部及び第2の表面部を維持している。固化可能な粉末材料は「充填材(fill)」とも称され、充填材は「反応物(reagent)」とも称される、充填材を固化するように液体と反応する材料と、補助材、及び目止め材(filler)といった不活性材料等の、液体と反応しない材料との双方を含んでもよい。
【0006】
粉末充填型の布地の1の問題は、充填材がスペーサー型の織布の開口した縁部から漏出し、布地の製造、輸送及び使用時に散乱が生じ、織布の縁部領域での充填材の損失によって、縁部領域の特性が布地の残余の特性と相違することであり、多くの場合布地を用いる際に、縁部領域を除去しなければならない。更には特に融解温度がスペーサー型の織布の繊維と実質的に異なっているセメント等の一部の粉末性の目止め材、及びほとんどの目止め材では:
第1には、目止め剤が粉末として残り、融解したプラスチックを凝結させて、密封材料として作用するのを妨害し;
第2には、目止め剤によって有効な熱切削に要求される熱の入力が増加し、刃での切削を妨害し、適切にスペーサー型の織布を融解するのを妨害する;
という2の理由によって、熱切削及び熱融着が困難又は不可能となる。従って、熱融着が作用するためには、布地は機械的に切削しなければならず、かつ、粉末は密封されている縁部から最初に除去しなければならず、好適な方法は真空を用いて縁部に隣接する領域で粉末を吸引し、その後表面部を密封するのに熱及び圧力を印加することである。しかしながら、プロセスにおけるその多数のステップによって、時間の浪費及び労力のかかるものとなるか、あるいは高価でかつ巨大な機械が要求され、更にはそのプロセスは多くの場合信頼性がなく、有効な熱融着のために表面に粉塵がないことが要求されるため速度が遅い。
【0007】
充填型の布地での更なる問題は、固化手順中に添加される液体の量を制御することが困難なことである。添加した液体の量が充填材における総ての反応性の材料を完全に固化させるのに要求される量よりも少ない場合、反応性のある反応物の一部は浪費であり、更に廉価な不活性の目止め材で置換されうる。最終的には、固化しない材料を含む領域が布地の中央に維持され、布地の特性の有意な低減となりうる。初期段階の問題ではあるが、固化する液体が水であり、雨水に晒される等のために布地が使用中に水と接触する場合、反応物は使用中に十分に固化されうる。更に一般的には、添加された液体の量が最適条件よりわずかに少ないだけである場合は特に、固化しない材料は固化材料の至る所に分布するため、最適な機械的特性よりわずかに低いだけとなる。
【0008】
一方、非常に多くの液体が添加される場合、結果は更に厳しく、充填材はスラリーに変換し、布地の外に洗い流されうる。更に、過剰な液体は反応せずに充填材内に残る一方で反応物は固化し、液体は固化後に布地から排出され、固化充填材に空隙を残すことによって固化材料の密度が低減する。これによって、最終的な固化生成物に高レベルの気孔が生じ、最終強度が有意に小さくなり、更に液体進入に対する耐性が小さくなり、布地が液体に対する障壁として作用する場合の用途に対して所望されなくなりうる。更には、高レベルの気孔によって、他の所望されない特性、例えば凍結/解凍による損害及び化学的攻撃に対する感受性の増加が生じる。
【0009】
補正した液体の量の添加は時間の浪費であり、訓練された人員の活用が要求される。
【0010】
本発明は充填型の布地を改善し、特に上述の問題を解決する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様によると、硬質又は半硬質となるように固化可能な可撓性の布地が提供され、布地は:
第1の表面部と;
第1の表面部から空間で分離した第2の表面部と;
第1の表面部と第2の表面部との間を延在し、間隙を介した配置で第1の表面部及び第2の表面部を維持する自耐性のある連結繊維と;
第1の表面部と第2の表面部との間の空間に配置した粉末材料と;
を具え、この材料は液体の添加又は放射線への曝露で硬質又は半硬質の固体に固化でき、布地の1以上の縁部では、第1の表面部及び第2の表面部は、縁部で空間を少なくとも部分的に閉塞する弾性のある織糸によって連結される。
【0012】
弾性のある織糸(「縁部の織糸(edge yarn)」と称される)は、通常は自耐性のある連結繊維よりも短くすることによって、繊維の縁部で空間を少なくとも部分的に閉塞し、伸展時に、スペーサー型の織布における連結繊維の残余部分と同一(又はそれ以上)の長さにでき、自身の張力下で収縮可能な場合に更に短い所望の長さに達する。弾性のある織糸は破壊することなく100%を超える長さに伸展しうる。このことによって、同一の機械を用いてスペーサー型の織布の縁部を、スペーサー型の織布の残余部分を形成するのと同様に形成することができ、スペーサー型の織布の1以上の縁部で、弾性のある織糸は標準的な連結繊維の織糸の一部又は総て(好適には総て)の代わりに用いることができ、弾性のある縁部の織糸、伸展した状態で織られるか編まれる。織布が生成に用いられた機械、例えば編機から除去された後に、縁部の織糸における弾性によって織布の表面部が布地の縁部で相互に引き込まれ、これによってその縁部で織布内部の空間を少なくとも部分的に閉塞する。
【0013】
布地における空間の縁部の部分的又は完全な閉塞は、粉末材料が空間に充填されている場合に、布地内部に残るように収縮し、側面からはほとんど、容易に漏出し得ないことを意味する。
【0014】
本発明のこの態様は、表面部の残余部分を超えて横方向に延在し、弾性のある織糸によって織布の残余部分に連結される一方又は双方の表面部の縁部で延在させることによって実装でき、弾性のある織糸は布地の縁部で、他の表面部の方向に延在した部分を引き込むすることによって、縁部で空間を少なくとも部分的に閉塞する。
【0015】
延在した縁部は更に、延在部分が引き込まれる場合に、縁部が短い距離で表面部の上に垂直に延在するように2の表面部の間の距離より長くてもよく、このことで「任意のものの添加予定」となる。
【0016】
粉末材料は水の添加で固化可能であり、一実施形態においては、セメント、任意にはポルトランドセメント若しくは高アルミナセメント(後者の利点は他のセメントよりも固化時間が短く、初期強度が迅速に得られることである)、又はこれらのセメントの相互との、若しくは他のセメントとの組合せを含んでもよい。充填材は例えば、砂骨材又は細骨材、フライアッシュ、ガラスビーズ、低密度又は再生された目止め材、短い天然繊維及び合成繊維、石灰粉末、雲母絶縁材、表面変性シリカ、顔料、抗真菌剤、及び抗放射線性の目止め材といった目止め材を含んでもよい。セメントはセメント又はコンクリート組成物に通常見出される添加物と組合わせてもよい。このように、多くの反応改質剤は、例えばリチウム化合物、ナトリウム化合物、有機化合物(クエン酸、酒石酸)、硫酸化合物源(sulphate source)、可塑剤、反応促進剤、遅延剤、超塑性剤、収縮低減剤、撥水剤、及び分散性の高分子粉末を含んでもよい。セメントを固化するのに用いられる液体は水であり、水溶性の上記の添加剤の任意を含む他の化学物質の添加により改質された海水又は水であってもよい。
【0017】
代替的には、固化可能な材料は、2以上の液体成分が相互に混合した場合に硬化する複数の要素で構成される硬化可能な樹脂、例えばエポキシ樹脂系の一要素であってもよい。本発明の第1の態様によると、粉末は紫外線で固化可能な材料であってもよい。
【0018】
本発明の第2の態様は布地に添加される液体の量を制御する方法に関する。
【0019】
第1の表面部及び第2の表面部のうちの少なくとも1つは固化する液体に対して多孔性であり、他の表面部は固化する液体に対して多孔性であっても非多孔性であってもよく、実際に任意の液体又は気体に対して不透過性であってもよい。連結繊維は2の表面部間の間隙を限定し、ひいては最大内部容積を限定する。液体は、充填材に浸漬され、反応物と反応させて、布地を硬質のシートに固化させる前に、布地に添加されて、一方(又は提供される場合によっては双方)の多孔表面部を通過する。
【0020】
布地における第1の表面部と第2の表面部との間に捕捉された粉末充填材料の密度は、充填材における反応物及び補助的材料の粒子の材料密度に関連するだけではなく、充填材の充填、特に粒子の不完全なモザイクのために空気によって占有される空間の量(空隙部分)に関連づけられる。粒子の充填密度、ひいては材料に充填される充填材内部の空隙部分を制御することは、製造条件、ならびに更には反応物及び他の補助的材料の選択、特に、目止め材料の性質、特異的な粒子サイズの分布、密度、及び粒子の形状の範囲の慎重な調節によって可能となる。充填材が充填され、材料に密封された時点で脱離できず、ひいては空隙部分は製造の時点で固定されうる。
【0021】
液体の添加で、空気は空隙部分から移動し、反応物の一部は液体に溶解され、更には液体によって反応物が膨張する。制限がない場合、この膨張は反応物が液体中に完全に懸濁又は溶解されるまで継続する。本発明の第2の態様によると、布地の2の表面部の間の空間の容積は、どの程度表面部が離されうるかを制限する連結繊維によって限定される(充填材の固化及びこのようなプロセスにおいて印加される力の状況においては、連結繊維は固定長である)。表面部は液体で飽和される場合であっても反応物又は目止め材のいずれも通過できない十分に密封された構造にできる。従って、織布は反応物の膨張を制限でき、充填材の容量の増加は制御できる。
【0022】
従って、この配置においては、布地の既定の領域で充填材に添加されうる液体量を限定するのを可能にする。これは実質的に、液体を収容するのに利用可能な空間が、液体の添加中に充填材の膨張によって作用する圧力により生じる少量の膨張の許容量(既定の充填材の許容量は連結繊維の剛性及び量によって統制される)を含み、添加に必要な液体の量と等しいため、充填材内部の空隙部分を調節し、連結繊維の特性、例えばその長さ、剛性及び織布内部の連結繊維の品質を設定することによって実現される。
【0023】
製造時に以下の変数を制御することによって、液体成分が占有するように利用可能な空間を限定するために空隙比及び膨張が制御される充填型の布地を生成することが可能となる:
・連結繊維の配置、形状、及び物理的特性;
・密度及び粒径ならびに形状分布を含む好適な物理的特徴と有する目止め材料の選択;
・密度及び粒径ならびに形状分布を含む好適な物理的特徴と有する反応物の選択;
・材料内部の嵩密度を補正するために充填材を特に充填する製造プロセスの注意深い制御;及び
・乾燥充填材内部の反応物及び目止め材の比率の制御。
【0024】
例えば、利用可能な空間が、総ての反応物を固化するために添加する必要がある液体の最適量に近くなるように制御される場合、どれだけ多くの量の液体が布地の周りに存在したとしても、非常に多くの液体を布地の内部に添加することは不可能である。この有意な利点は、
1.材料は浸漬でき、(液体が水である好適な実施形態にあるように)固化材料の特性を有意に変えることなく水中で固化されること;
2.ユーザの誤りによる誤差の危険を有意に低減すること;
3.正確に布地を用いるのに必要な訓練及び技術のレベルが低減すること;
4.更なる液体が布地に接触する場合、例えば雨で固化される場合、固化材料の特性を変化させないこと;
を含む。
【0025】
この本発明の第2の態様によると、硬質又は半硬質となるように固化可能な可撓性の布地が提供されて、この布地は:
第1の表面部と;
第1の表面部から空間で分離した第2の表面部と;
第1の表面部と第2の表面部との間を延在し、間隙を介した配置で前記第1の表面部及び前記第2の表面部を維持する自耐性のある連結繊維と;
第1の表面部と第2の表面部との間の空間に配置した、圧密な粉末材料と;
を具え、この材料は液体の添加で硬質又は半硬質の固体に固化でき、第1の表面部及び第2の表面部の双方は粉末材料に対して実質的に不浸透性であるが、少なくとも一方は液体に対して浸透性であり、圧密な粉末材料における反応物の含量及び種類、ならびに前記粉末材料の容積及び圧密性は:
MV−OV=x*LV;
となる。ここで、MVは布地内部の空間の(布地の単位面積あたりの)最大容積であり、ひいてはMVは粉末材料の添加前の布地における空き空間の容積と、液体の添加中又は材料の固化中の粉末材料の膨張によって作用する圧力による、空間の任意の拡大で得られる更なる容積との双方を含み、更なる容積は連結繊維の量及び剛性を調整することによって変更できるが、一般的には、粉末材料の添加前の布地における空き空間の容積の最大15%程度、例えば約12%であり;OVは粉末材料の粒子によって占有される布地内部の空間の容積であり、この容積は粉末材料内部の空隙によって占有される(布地の単位面積あたりの)容積を含まず;LVは長期間(28日)の最大圧縮強さが生じる、固化の際の前記充填剤の配合物の(布地の単位面積あたりの)液体の容積であり、経験的に得ることができるか、あるいは反応物の製造者/配合者の推奨する反応物/配合物に対する液体の比率から得ることができ;xは0.65ないし1.1の因子である。
【0026】
因子xは、例えば0.87ないし0.91といった、0.85ないし0.99等の1未満の数値である。例えば、特定のHAC系のセメントの調合物を用いて、液体が水である場合、用いられるxの数値は0.89である。
【0027】
換言すると、布地(特に、固化可能な材料の圧密及び固化可能な材料における反応物の量、ならびに表面部間の最大容積)は、所定量の液体のみが空間内に収容でき、その含量は反応物を固化するのに要求される液体と合致するようになる。従って、標準的な使用で非常に多くの液体を布地の内部に添加することは不可能である。
【0028】
一般的には、製造条件及び材料における必然的な変動のために、添加すべき液体の最適量、すなわち反応物を完全に固化するのに要求される液体の最小量においてわずかな変動があり得るし、非常に多いよりも非常に少ない液体で失敗した方が一般的には好ましい。すなわち、因子xは1未満であることが好ましい。しかしながら、いくつかの場合においては、理論上の液体の最適量を超えて、あるいは最適量未満で計画的に用いられることが所望されうる。例えば、特定の用途については、高レベルの気孔を有することが所望され、ひいては反応物に対する液体の比率は最適条件よりも高くなることが所望される。他の例においては、低い比率は、例えば亀裂によって液体が固化材料を浸透し、固化材料内で保持される未反応の反応物と反応できる場合に、未反応の反応物が材料に、限定した自己回復特性を与えるのに所望されうる。
【0029】
所望の比率を達成するために、一般的には布地内に比較的高密度の乾燥充填材を得ること、すなわち、充填材が織布内で密圧されることが必要である。反応物に対する液体の比率を制御することに加えて、高密度の乾燥充填材の更なる利点は以下のとおりである:
1.乾燥充填材は外部の力、例えば輸送中の振動を受ける場合に材料内でほどんど移動しない傾向にある。
2.湿性の充填材は、例えば液体が多孔表面部のうちの1つ又は複数の多孔表面部に噴霧又は噴射することによって添加される場合、液体が添加されると液体の移動によってほどんど移動しない傾向にある。
3.材料が処置又は折り重ねられた場合、乾燥充填材又は湿性だが固化していない充填材はほとんど移動せず、固化材料において脆弱な領域又はラインを生じうる。
4.いくつかの場合においては、高密度の反応物レベルは反応を有効に促進でき、更には低温で反応が生じうる単位領域あたりの更なる熱を発生する。
【0030】
乾燥充填材は所望の液体量が収容されうるのに不十分な布地内の空間がある場合の数値未満の値に空隙部分を低減するように圧密にしてはならず、充填材粒子は、不十分な量の液体が充填材内部の反応物要素と接触でき、ひいては不十分な反応物の部分が反応しうるような範囲まで充填材を通る液体の通過を制限するように密に充填されることに留意すべきである。実際に、この所望されない高レベルの圧密は多くの場合に異なって得られる。
【0031】
国際公開第2007/144559号は織布内の空間における固化可能な材料の量は、特に材料が固化する場合に、第1の表面部と第2の表面部との間の空間全体を実質的に占有するようになることを教示しているが、固化可能な材料の混合物及び密度(すなわち密圧の度合)は上式に従うように選択すべきであり、セメントに対する水の比率を制御するのに用いることができ、非常に多い液体を添加する可能性を防止することによって固化の際に布地の物理的特性を最適化することを開示していない。これによって、布地は過剰な液体の存在下で、例えば水面下で固化可能であるが、所望の物理学的特性を更に提供する。セメント充填型の布地の場合においては、国際公開第2007/144559号に特に例示された布地の形態であり、本発明は一般的には上式に従うため、国際公開第2007/144559号で自明となった充填材料及びより大きな密圧の度合の注意深い選択を要求する。
【0032】
固化可能な粉末材料及び/又は液体は上述のような関連する固化可能な材料と関連して、当該技術分野で既知の添加剤、例えば柔軟剤、発泡剤、目止め材、強化材料等を含みうる。
【0033】
固化可能な材料は好適には、織布の第1の表面部に形成される孔部を通って空間に添加され、この場合においては、第1の表面部の孔部は材料が織布に配置されるのを可能にする程度に大きくなる。しかしながら、材料が織布に配置された後は、第1の表面部は実質的に充填材料に対して不透過となるのが所望され、国際公開第2007/144559号はこれを実現するように適用できるいくつかの技術について記載している。
【0034】
第1に、固化可能な材料が織布に導入された後に更なる層を第1の表面部に結合してもよい。1のこのような層は例としては防湿層であり、建設業又はトンネリングで用途が見出されている。
【0035】
第2に、第1の表面部は、上表面部が表面部内部の孔部を拡大するように伸展して、固化可能な材料が織布に導入可能なように弾性のある織糸で生成されるか、あるいは含むが、材料が織布に添加された時点で、伸展力が開放されて、固化可能な材料が第1の表面部を通って容易に漏出しないような寸法に孔部を閉塞できる。
【0036】
第3には、固化可能な材料が織布に導入されて第1の表面部の孔部を閉塞した後に、第1の表面部を処理できる。例えば、接着剤といった密封材料を塗布することによって第1の表面部を処理すること、又は第1の表面部に溶剤処理を供して、孔部を完全又は部分的に閉塞することが可能である。一例においては、PVCペーストを第1の表面部に(例えば、へらを用いて)塗布して、例えば放射式ヒーター又は温風送風機を用いて熱等によって硬化できる。
【0037】
第4には、第1の表面部は加熱時に収縮する繊維で編むことができ、これによって固化可能な材料は孔部が十分に開口した、粒子が通過できる編目を通して導入可能となり、固化可能な材料が織布に導入された後に、第1の表面部は温風等を用いて加熱され、繊維を収縮させて、固化可能な材料の粒子が漏出するのを実質的に防ぐように孔部を閉塞する。
【0038】
上述の手順の組合せを更に用いてもよい。
【0039】
第2の表面部は、充填材が第1の表面部を通って添加された際に第2の表面部を通過しないように固化可能な材料に対して不透過性であることが好ましい。しかしながら、液体の空間への透過を補助するために、第2の表面部は好適には、充填材を固化するのに適用される液体に対して多孔性である。従って、第2の表面部は好適には、液体が透過可能であるが、材料粒子が通過できない寸法の孔部を具える。それにも拘わらず、第2の表面部の孔部が非常に大きく空間内の材料を保持できない場合は、上述の処置のいずれかを用いて材料が第2の表面部を通過するのを防ぐことが可能である。
【0040】
既に述べたように、第2の及びいくつかの場合においては、織布の第1の表面部は液体が表面部を通って空間内に透過して、空間内部の固化可能な粉末材料と接触できるようになる。このような液体透過は表面部内に孔部を含むこと(上述のように)によって、及び/又は、関連する液体で湿潤されうる材料から第1の表面部及び第2の表面部の織糸を生成することによって生じ、ひいては液体は第1の表面部及び第2の表面部を通って運ばれて、織布内部の固化可能な材料と接触する。更には、第1の表面部及び第2の表面部内部の繊維間の毛管作用は液体を固化可能な材料に提供するのを補助しうる。第1の表面部及び第2の表面部を形成するのに用いられる好適な材料は:
・ポリプロピレン:アルカリ条件に対して優れた化学的耐性を有するため、固化可能な材料がセメントを含む場合に用いる好適な材料である;
・コーティングされたガラス繊維:固化材料を強化できる;
・ポリエチレン;
・PVC繊維:利点は化学的又は熱的結合を用いて結合するのが比較的容易なことである;
を含む繊維の混合物を用いることができる。
【0041】
織布における連結繊維は自耐性であり、十分に剛性にすべきである。すなわち、織布を破砕する傾向にある力の下で、屈曲に対して十分に抵抗性があるべきであり、固化可能な材料が第1の表面部に充填されて、織布に材料が供給された場合に表面部の間の空間を維持すべきである。連結繊維の密度、すなわち単位面積あたりの織糸の数は更に破砕力への耐性において重要な因子である一方、材料粒子は添加されており、表面部の間の空間を維持し、上層と下層との間に捕捉された地点で材料粒子の移動を制限している。連結繊維は一般的には、上に列挙したような表面部と同一の材料で生成される。一般的には、連結繊維は最大の剛性を提供する場合は単一繊維となる。
【0042】
本発明によると、連結繊維は織布内部の空間を別個の小さな閉塞した区画に分割しないことが重要であり、このような分割によって亀裂が織布内部に伝播し、材料が固化された時点で織布の強度が低減するからである。
【0043】
固化可能な材料の粒径は織布に導入できる程度にしなければならないが、第1の表面部及び/又は第2の表面部の孔部の外に漏出するほど細かくすべきではない。特に好適なのは高アルミナセメントであり、他の属性の中でも、他のセメントよりも固化時間が短く、初期強度が迅速に得られるからである。
【0044】
第1の表面部及び第2の表面部ならびに連結繊維は好適にはスペーサー型の織布の一部であり、生成に用いられる編成プロセスによって第1の表面部及び第2の表面部における孔部とともに形成できる。第2の表面部は好適には、第2の表面部における孔部が第1の表面部よりも小さくなるように更に密に編まれており、固化可能な粉末材料が第1の表面部における比較的大きな孔部を通って空間に導入するのを可能にし、第2の表面部を通って織布の外に材料が漏出するのを防ぐことが可能となる。
【0045】
本発明の布地を製造して、液体、例えば水の添加によって思い通りにいつでも後で固化させることができる。従って、織布はある場所で生成して、別の場所に輸送して、そこで液体の添加によって固化させて、局所的に供給でき、これによって輸送すべき嵩を低減できる。固体粉末で含浸した織布は更に可撓性であり、輸送のために折りたたむか丸めることができる。
【0046】
本願の織布の用途は数多くある。最初に、国際公開第2005/124063号に記載のようなプレハブ式シェルターのカバーを形成するのに用いることができる。しかしながら、その用途は広範であり、例えば:
・車両、歩行者、又は動物用の道路を形成するため;
・織布を躯体に適用することによってシェルターを形成するため;
・コンクリートを鋳造するための型枠を生成するため;
・トンネルを裏打ちする等のための障壁を形成するため;
・屋根等の構造を修復又は強化するため;
・床又は防湿構造を形成するため;
・川岸及び不安定な勾配等の土構造物を強化するため;
・堤防(flood defence)を提供するため;
・埋まっている配水管を含む現存するパイプを修復する、又は新しいパイプを構成するため;
・煙突用の耐火性のカバー又は裏張等のような新しい又は現存する構造の要素を耐火性にするため;
・ヘリコプター等の飛行機の着地点及び滑走路で、表面処理を形成し、粉塵災害を低減し、かつ燃料漏洩を抑制するため;
・砂袋構造を強化し、風及び紫外線劣化といった要素による損傷から保護するため;
・土台を裏打ちし、埋立等での化学汚染物質の浸出又は二次燃料汚染物質の作用を防ぐため;
・池等の水の格納部、管の裏張、及び水の貯蔵部又は沈降槽若しくは浄化槽のための耐水性の裏張を形成するため;
・永久的な日除け又は屋根構造を形成するため;
・排液管溝を裏打ちするため;
・建築物用の外部の耐候性の外装を提供するため;
・耐久性のある土嚢構造の一体化部分を形成するため;
・土嚢構造を修復及び/又は強化し、風及び紫外線劣化といった要素による損傷から保護するため;
・美術的又は装飾的な形態を形成するため;又は
・船殻とボートやポンツーンといった浮遊する船の船楼とを形成するため;
に用いることができる。
【0047】
固化可能な材料が水を添加することによって固化される場合、水は計画的に添加されるか、あるいは織布は水と接触する場所、例えば流路又は雨を吸収できる戸外に置かれうる。例えば、湿気のある土に織布を埋めて、土から水を吸収するのを許容し、これによって固化可能な材料を固化させることが可能である。
【0048】
布地が固化した時点で、繊維は更に固化充填材料で固化され、実質的にその強度が増加し、充填材料が割れている場合は、布地に装填材料を吸収することによって布地は(破壊的にではなく)徐々に決壊可能となる。
【0049】
理論上は布地の厚さに制限はないが、一般的には精製するのに用いられる製造技術によって制限される。一般的な厚さは2ないし40mmといった2ないし70mm、及び一般的には4ないし20mmといった4ないし30mmである。材料の厚さを限定する1の重要な考えは、固化可能な材料の外側部分が固化する前に、固化可能な材料の内部に浸透する液体の性能である。厚さの更なる限定は厚さの増加に伴う織布の重量の増加に由来し、あまりにも厚い場合は、表面部は織布内で固化可能な材料の重量を支持することができない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明による織布材料は例示のみの目的で、添付の図面によって記載されている。
【0051】
【図1】図1は、スペーサー型の織布の図面の例示である。
【図2】図2は、織布を通った断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によるスペーサー型の織布の図面の例示である。
【図4】図4は、図3のスペーサー型の織布を織るための針の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
添付の図面によると、図1は:密に編まれた下表面層10と;疎に編まれた上表面層12と;下表面層10と上表面層12との間の空間16にわたって延在する連結繊維14と;を有する概略的に編まれたスペーサー型の織布を示す。スペーサー型の織布は編まれたポリエチレンで生成され、5mmのスペーサー型の織布としてScott & Fyfe社から商業上入手可能である。
【0053】
固化可能な材料、例えばセメントは、任意に目止め材及び他の添加剤とともに、編地の開口した上表面層12における孔部20を通して織布に導入される。孔部20はスペーサー型の織布の製造中の編地プロセスを通して生じる。セメントはスペーサー型の織布に配置でき、孔部20を通って空間16に入る。孔部20を通る浸透は振動台にスペーサー型の織布を配置することによって、かつ充填材を孔部に、例えば回転ブラシを用いてブラッシングすることによって補助できる。振動は更に、空間16内部のセメントを沈降させて空隙又は空気ポケットの形成を最小化する利点を有する。
【0054】
下表面部10は比較的密に編まれた構造であり、下表面部における孔部は相当量のセメントの流出を防ぐ程度に小さくなるように、上表面層よりも小さくなる。
【0055】
材料が空間16に導入された後に、上表面層12は表面を加熱することによって硬化されたPVCペーストの薄いコーティングの塗布によって密封される。
【0056】
水は下表面部10における孔部を通って織布に浸透でき、セメントの水和作用が連結繊維14によって補助され、織布の内部に水を運ぶことができる。
【0057】
織布と空間16内部で固化可能な充填材料とを含む布地は可撓性であり、液体の導入前に成形して、空間内の材料を固化できる。
【0058】
長い繊維18は織布における短い繊維とともに、固化の際に材料を強化し、亀裂伝播を防ぐ。
【0059】
図3は、本発明の布地を生成するために用いられうるスペーサー型の織布を示し、以下に説明することを除いては図1及び2の織布と同一であり、図1及び2で関連づけて用いられる同一の引用番号は、同一の特徴を示すのに図3で用いられる。しかしながら、図3の織布においては、延在部を上表面部12に連結する連結繊維26が編む際に伸展した弾性材料で生成されていることを除き、延在部24が下表面層10の残余部分と厳密に同様の方法で形成されることによって、下表面層10の縁部が上表面層12の縁部を超えて延在する。例えば編機から織布を除去することによって、張力が弾性のある連結繊維26にこれ以上印加されない場合、延在部24は連結繊維26によって織布の縁部の周りに引き込まれ、このようにして織布の縁部を閉塞する。固化可能な充填材が上層12において孔部20を通って添加される場合、織布の側面から外に漏出しない。
【0060】
図4は、図3に示したスペーサー型の織布の縁部を編むのに用いられる針のパターンを示し、スペーサー型の織布の嵩を形成するのに用いられる標準的な織糸、例えばポリプロピレンは文字「N」で示される一方、連結繊維26を形成するのに用いられる弾性材料は文字「E」で示される。
【実施例1】
【0061】
高アルミナセメントは上述した振動及びブラッシング技術を用いて図3に示した織布に充填されて、充填型の布地を形成する。水はセメントを固化するのに用いられる。この場合における理論上の最適な水とセメントとの比率は重量で0.4である。布地の多孔表面部10は十分に閉塞した構造であり、乾式のセメント粉末及び水に浸漬した時点での更なるセメント粉末が有意な量でそこを通過するのを防いでおり、別の表面部12の不浸透性のPVCコーティング面は孔部20を閉塞している。2の表面部は単一繊維のポリエチレン連結繊維によって連結される。高アルミナセメントは圧密にされて、総乾燥密度が1.35g/cmとなり2の表面部の概評面間の平均厚さが7.3mmとなる。
【0062】
連結繊維は、水での浸漬後に2の表面部の間でのセメント粉末の膨張が14%の内部容積の増加に限定されるように間隔を置かれ、わずかに屈曲され、かつ十分に硬化される。浸漬の結果としてこの増加した容積が水で完全に充填される場合、このことは材料の重量の10%の増加を表わす。容積の増加に加えて、水は更に空隙部分から空気を移動させ、重量で更に22%増加するセメント量を溶解する。
【0063】
連続した浸漬によって重量の更なる増加は生じない。従って、布地の構造は、セメントに対する水の比率を0.4の最適条件よりわずかに低い0.32に限定して、最大28日の圧縮強さを提供する。換言すれば、上述の式の因子xは0.32/0.4=0.8となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質又は半硬質となるように固化可能な可撓性の布地であって、当該布地が:
第1の表面部と;
当該第1の表面部から空間で分離した第2の表面部と;
前記第1の表面部と前記第2の表面部との間を延在し、間隙を介した配置で前記第1の表面部及び前記第2の表面部を維持する自耐性のある連結繊維と;
前記第1の表面部と前記第2の表面部との間の前記空間に配置した粉末材料と;
を具え、該材料が液体の添加又は放射線への曝露で硬質又は半硬質の固体に固化でき、前記布地の1以上の縁部では、前記第1の表面部及び前記第2の表面部が前記自耐性のある連結繊維よりも短い弾性のある織糸によって連結され、これによって前記布地の縁部で前記空間を少なくとも部分的に閉塞することを特徴とする布地。
【請求項2】
請求項1に記載の布地において、前記1以上の縁部で、前記第1の表面部及び/又は第2の表面部が前記表面部の残余部分を超えて横方向に延在し、かつ前記弾性のある織糸によって前記織布の残余部分に連結される縁部部分を具え、前記弾性のある織糸が各々の該延在する部分を他の表面部の方向に引き込み、これによって前記布地の縁部で前記空間を少なくとも部分的に閉塞することを特徴とする布地。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の布地において、該弾性繊維が、前記織布の製造中に、例えば前記自耐性のある連結繊維の一部又は総ての代わりに、前記織布の縁部に組み込まれることを特徴とする布地。
【請求項4】
硬質又は半硬質となるように固化可能な可撓性の布地であって、当該布地が:
第1の表面部と;
当該第1の表面部から空間で分離した第2の表面部と;
前記第1の表面部と前記第2の表面部との間を延在し、間隙を介した配置で前記第1の表面部及び前記第2の表面部を維持する自耐性のある連結繊維と;
前記第1の表面部と前記第2の表面部との間の前記空間に配置した、圧密な粉末材料と;
を具え、該材料が液体の添加で硬質又は半硬質の固体に固化でき、該第1の材料及び該第2の材料の双方が前記粉末材料に対して実質的に不浸透性であるが、少なくとも一方が液体に対して浸透性であり、前記圧密な粉末材料における反応物の含量及び種類、ならびに前記粉末材料の容積及び圧密性が:
MV−OV=x*LV;
となり:
MVが前記布地内部の前記空間の(前記布地の単位面積あたりの)最大容積であり、ひいてはMVが前記粉末材料の添加前の前記布地における空き空間の容積と、前記液体の添加中又は該材料の固化中の前記粉末材料の膨張によって作用する圧力による、前記空間の任意の拡大で得られる更なる容積との双方を含み;
OVが前記粉末材料の粒子によって占有される前記布地内部の前記空間の容積であり、当該容積が前記粉末材料内部の空隙によって占有される(前記布地の単位面積あたりの)容積を含まず;
LVが長期間(28日)の最大圧縮強さが生じる、固化の際の前記充填剤の配合物の(前記布地の単位面積あたりの)液体の容積であり;
xが0.65ないし1.1の因子であり、例えば0.87ないし0.91といった、0.85ないし0.99等の1未満の数値である;
ことを特徴とする布地。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の布地において、該固化可能な粉末材料が可塑剤と他の添加剤とを含有するセメント系の乾燥コンクリートの混合物等のセメントを含むことを特徴とする布地。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の布地において、前記第1の表面部の孔部が前記粉末材料を前記空間内に収容できる程度に大きく、前記孔部が少なくとも部分的に密封されているか、あるいは寸法が低減しており、これによって前記空間内に前記固化可能な粉末材料を保持することを特徴とする布地。
【請求項7】
請求項6に記載の布地において、前記孔部が接着剤、熱硬化可能な材料、又は前記第1の表面部に塗布される材料の層といった密封材で少なくとも部分的に密封されることを特徴とする布地。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の布地において、前記第1の表面部が液体又は気体に対し不浸透性である防湿層といった更なる層で裏打ちされることを特徴とする布地。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の布地において、前記第2の表面部が前記空間内に該固化可能な粉末材料を保持する程度に小さい孔部を具えるが、前記液体の通過によって前記粉末材料が固化できることを特徴とする布地。
【請求項10】
請求項4に従属する場合の請求項9に記載の布地において、該延在する縁部部分が前記第2の表面部に形成されることを特徴とする布地。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の可撓性の含浸布を生成するための方法であって、当該方法が:
第1の表面部と;
当該第1の表面部から空間で分離した第2の表面部と;
前記第1の表面部と前記第2の表面部との間を延在し、間隙を介した配置で前記第1の表面部及び前記第2の表面部を維持する自耐性のある連結繊維と;
を有する前記織布を提供するステップと;
前記織布内部の前記空間をセメント等の粉末材料で充填するステップであって、前記第1の表面部に前記固化可能な材料を配置して、前記織布を振動し、及び/又は粉末材料を前記織布にブラッシングすることによって、前記液体の添加で硬質又は半硬質の固体に固化できるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法が:
前記第1の表面部の孔部を通って前記空間に前記粉末材料を充填するステップと;
前記粉末材料が充填された時点で、例えば密封材を前記第1の表面部に塗布すること、又は更なる層を前記第1の表面部に結合すること等によって、部分的にあるいは完全に前記孔部を密封することで前記孔部の寸法を低減するか、あるいは前記孔部を閉塞するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の布地を固化する方法であって、前記固化可能な粉末材料を固化するために液体を前記布地に添加するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項4又は請求項10に記載の布地を固化する方法であって、前記固化可能な粉末材料を固化するために前記布地を液体に浸漬するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の浸透性の織布の使用であって:
・国際公開第2005/124063号等に記載のプレハブ式シェルターのカバーを形成するため;
・車両、歩行者、又は動物用の道路を形成するため;
・前記織布を躯体に適用することによってシェルターを形成するため
・コンクリートを鋳造するための型枠を生成するため;
・トンネルを裏打ちする等のための障壁を形成するため;
・屋根等の構造を修復又は強化するため;
・床又は防湿構造を形成するため;
・川岸及び不安定な勾配等の土構造物を強化するため;
・堤防を提供するため;
・埋まっている配水管を含む現存するパイプを修復するため、あるいは新しいパイプを構成するため;
・煙突用の耐火性のカバー又は裏張等のような新しい又は現存する構造の要素を耐火性にするため;
・ヘリコプター等の飛行機の着地点及び滑走路で、表面処理を形成し、粉塵災害を低減し、かつ燃料漏洩を抑制するため;
・砂袋構造を強化し、風及び紫外線劣化といった要素による損傷から保護するため;
・土台を裏打ちし、埋立等での化学汚染物質の浸出又は二次燃料汚染物質の作用を防ぐため;
・池等の水の格納部、管の裏張、及び水の貯蔵部又は沈降槽若しくは浄化槽のための耐水性の裏張を形成するため;
・永久的な日除け又は屋根構造を形成するため;
・排液管溝を裏打ちするため;
・建築物用の外部の耐候性の外装を提供するため;
・耐久性のある土嚢構造の一体化部分を形成するため;
・土嚢構造を修復及び/又は強化し、風及び紫外線劣化といった要素による損傷から保護するため;
・美術的又は装飾的な形態を形成するため;あるいは
・船殻とボートやポンツーンといった浮遊する船の船楼とを形成するため;
の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516395(P2012−516395A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546952(P2011−546952)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000156
【国際公開番号】WO2010/086618
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511180053)コンクリート キャンバス テクノロジー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CONCRETE CANVAS TECHNOLOGY LTD.
【Fターム(参考)】