説明

吸収性物品の個包装体、包装用シートおよび包装用シートの製造方法

【課題】水流によって容易に分散する水解性を有する吸収性物品の個包装体、水解性を有する包装体、包装用シートおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも液保持性の吸収体を有する吸収性物品の包装用シートであって、パルプ繊維を30質量%から70質量%と、平均繊維長が20mm以下の化合成繊維を70質量%から30質量%とを含むと共に、高圧水流処理が施されてなる第1繊維層と、第1繊維層に積層配置され、パルプ繊維を70質量%から100質量%含む第2繊維層と、を備えさせる包装用シートを備えることによって、達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の個包装体、個包装体に使用する包装用シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンやパンティライナーあるいは使い捨ての陰唇間パッド等の吸収性物品は、衛生面や携帯面から吸収性物品とは別個に用意した個包装体で包装されている。近年、多量の水により早期に分解する水解性(水崩壊性)の吸収性物品が開発され、使用後の吸収性物品をそのままトイレ等に廃棄したときに、トイレ等の配水管を詰まらせることなく、浄化槽等において短時間のうちに分解でき、ゴミの回収と処理に工数とコストを抑えることができる。
【0003】
しかしながら、吸収性物品の性質上、トイレ等で着用する場合が多く、吸収性物品を個別に包装している個包装体も水解性にしなければ、吸収性物品の着用後個包装体の処分に困る場合があった。
【0004】
このため、吸収性物品の包装体として、例えば水解性を有するためにクレープ処理によって柔軟化され、坪量が20から40g/m程度の紙が使用されている。
【0005】
また、例えば、特許文献1および2では、所定の繊維配合で形成した繊維シートに高圧水ジェット流処理を施すことにより、高い湿潤強度と水解性を併せ持つ水解性繊維シートを提案している。
【特許文献1】特開平9−228214号公報
【特許文献2】特開2001−172850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般的な紙では、気密性と水解性には優れるが湿潤強度が乏しく、濡れた手で触ったり水はね等で濡れた際には簡単に破れてしまい、包装体としての役割を果たさなくなるという問題もあった。
【0007】
また、特許文献1および特許文献2の水解性繊維シートは、柔軟で適度な湿潤強度と水解性が両立する水解性繊維シートが得られる一方、高圧水ジェット流処理によって紙の地合が大きく乱れたり細かな孔が開くことによって一般的な紙に比べて気密性が大きく損なわれ、個包装体として使用する際にはほこり等の異物混入が起きるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、水流によって容易に分散する水解性を有する吸収性物品の個包装体、水解性を有する包装体、包装用シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、気密性を上げた繊維層と、柔軟性および強度等を上げた繊維層を積層させ2層以上積層させた繊維シートとすることで高い気密性を有する水解性の包装用シートを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
(1) 少なくとも液保持性の吸収体を有する吸収性物品の包装用シートであって、パルプ繊維を30質量%から70質量%と、平均繊維長が20mm以下の化学繊維を70質量%から30質量%とを含むと共に、高圧水流処理が施されてなる第1繊維層と、前記第1繊維層に積層配置され、パルプ繊維を70質量%から100質量%とを含む第2繊維層と、を備える包装用シート。
【0011】
(2) 前記第2繊維層は、平均繊維長が20mm以下であって繊維径が前記パルプ繊維よりも小さい化学繊維を30質量%以下含む(1)に記載の包装用シート。
【0012】
(3) 前記第2繊維層における前記第1繊維層と反対側に積層配置され、パルプ繊維を30質量%から70質量%と、平均繊維長が20mm以下の化学繊維が70質量%から30質量%とを含むと共に、高圧水流処理が施されてなる第3繊維層と、をさらに備える(1)または(2)に記載の包装用シート。
【0013】
(4) 800mlの蒸留水中にサンプル片が10cm×10cmの前記包装用シートを投入し、振とう速度240rpmで30分間振とうしたとき、前記包装用シートの最大片の大きさが、50cm以下に分散される(1)から(3)のいずれかに記載の包装用シート。
【0014】
(5) 前記第1繊維層の坪量が10〜30g/mであり、前記第2繊維層の坪量が15〜30g/mであり、該包装用シートの坪量が25〜60g/mである(1)から(4)のいずれかに記載の包装用シート。
【0015】
(6) 前記第1繊維層の坪量が10〜30g/mであり、前記第2繊維層の坪量が15〜30g/mであり、前記第3繊維層の坪量が10〜30g/mであり、該包装用シートの坪量が35〜60g/mである(3)または(4)に記載の包装用シート。
【0016】
(7) 前記第1繊維層および/または前記第2繊維層には、坪量を異ならせることにより模様が形成されている(1)から(6)のいずれかに記載の包装用シート。
【0017】
(8) 前記第1繊維層および/または前記第2繊維層は着色されている(1)から(7)のいずれかに記載の包装用シート。
【0018】
(9) 前記第1繊維層に着色された色は、前記第2繊維層に着色された色と異なる(8)に記載の包装用シート。
【0019】
(10) 前記第1繊維層、前記第2繊維層または前記第3繊維層のいずれかまたは全部は、サイズ剤を含有し、少なくとも一部に所定の耐水性を有する(1)から(9)のいずれかに記載の包装用シート。
【0020】
(11) 少なくとも液保持性の吸収体を有する吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する(1)から(10)のいずれかに記載の包装用シートからなる包装体と、を有する吸収性物品の個包装体。
【0021】
(12) パルプ繊維と、化学繊維とから湿式抄紙法により繊維ウェブを形成させ、前記繊維ウェブの両面または片面に高圧水ジェット流処理を施し、前記パルプ繊維と、前記化学繊維とを交絡させ第1繊維層を形成させる工程と、パルプ繊維と、化学繊維とから第2繊維層を形成させる工程と、前記第1繊維層を搬送し、前記第2繊維層を湿潤状態で積層一体化させ、積層一体化後乾燥させる工程と、を含む包装用シートの製造方法。
【0022】
(13) さらに、パルプ繊維と、化学繊維とから湿式抄紙法により繊維ウェブを形成させ、前記繊維ウェブの両面または片面に高圧水ジェット流処理を施し、前記パルプ繊維と、前記化学繊維とを交絡させ第3繊維層を形成させる工程と、前記第1繊維層と、前記第2繊維層とを湿潤状態で積層一体化させた後搬送し、前記第3繊維層を前記第2繊維層上に湿潤状態で積層一体化し、積層一体化後乾燥させ積層させる工程と、を含む(12)に記載の包装用シートの製造方法。
【0023】
(14) 前記第1繊維層および/または前記第3繊維層を形成させる工程において、前記繊維ウェブを形成させた後、繊維層形成用ワイヤーから模様付与用ワイヤーへ移送し、前記高圧水ジェット流処理を施す(12)または(13)に記載の包装用シートの製造方法。
【0024】
(15) 前記第1繊維層および/または前記第3繊維層は、短網方式または長網方式で前記繊維ウェブを形成する(12)から(14)のいずれかに記載の包装用シートの製造方法。
【0025】
(16) 前記繊維層形成用ワイヤー上で前記高圧水ジェット流処理を施す(12)、(13)、(15)のいずれかに記載の包装用シートの製造方法。
【0026】
(17) 前記第2繊維層は、円網方式、またはフォーマー方式で前記繊維ウェブを形成する(12)から(16)のいずれかに記載の包装用シートの製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、水解性、柔らかな感触と外観、および、異物の透過を阻止できる高い気密性を有する個包装体、包装用シートを提供できるようになった。
【0028】
また、本発明によれば、抄紙機による湿式抄き合せ方式で積層構造の包装用シートを製造するため、二次加工等の必要がなくなり、コストを抑えることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
また、本発明の包装用シートは、少なくとも液保持性の吸収体を有する吸収性物品の包装用シートであって、パルプ繊維を30質量%から70質量%と、平均繊維長が20mm以下の化学繊維を70質量%から30質量%とを含むと共に、高圧水流処理が施されてなる第1繊維層と、第1繊維層に積層配置され、パルプ繊維を70質量%から100質量%とを含む第2繊維層と、を備えることを特徴とする。
【0030】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略するが、発明の趣旨を限定するものではない。
【0031】
[包装用シート]
(第1実施形態)
図1は、本発明の包装用シートの第1実施形態を示す概略図であり、2層積層包装用シート70は、第1繊維層21と第2繊維層22との積層構造となっている。第1繊維層21は、パルプ繊維24と化学繊維25とが交絡した状態で含有しており、これら二種類の繊維は、詳細は後述するが高圧水ジェット流処理にて交絡させることによって得られる。高圧水ジェット流処理にて交絡させることにより、パルプ繊維24と化学繊維25とが再配列して第1繊維層21全体の繊維密度が粗密になるため、見栄えがよく、柔軟性に優れるようになる。
【0032】
パルプ繊維24を第1繊維層21に含有させることにより、第1繊維層21の強度を向上させることができる。
【0033】
第1繊維層21で使用するパルプ繊維24は、例えばLBKP、NBKP、木材パルプ、麻、綿等の非木材パルプ、再生セルロース、アセテート繊維、PVA(ポリビニルアルコール)繊維、CMC(カルボキシメチルセルロース)繊維等公知の種々のパルプ繊維を使用することができる。なお、これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。
【0034】
化学繊維25を第1繊維層21に含有させることにより、第1繊維層21が嵩高となることにより柔軟性が与えられ、柔らかい触感を有する第1繊維層21を提供することができる。また、パルプ繊維24より繊度が小さい化学繊維25を使用することが好ましい。このような化学繊維25を使用することにより、水解性、気密性を向上させることができる。
【0035】
第1繊維層21で使用する化学繊維25は、合成繊維、再生繊維であってもよく、例えば、フィブリル化レーヨン、再生セルロース、アクリル、ポリエチレン、アセテート、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびこれらのコポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系繊維、ポリアクリロニトニル系繊維、アクリル系繊維、ビニロン系繊維、分割繊維、合成パルプ等公知の種々の化学繊維を使用することができる。なお、これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。
【0036】
なお、第2繊維層22の気密性を向上させるために、叩解NBKPや叩解LBKP等を使用することがより好ましい。
【0037】
第1繊維層21全体に含有されているパルプ繊維24の含有率は、30質量%から70質量%であり、化学繊維25の含有率は、70質量%〜30質量%であることが好ましい。このような含有率にすることにより、高い強度を有し、かつ、水流によって容易に水解させることができるようになる。
【0038】
パルプ繊維24の含有率が30質量%未満であると、化学繊維25の含有率が多くなり過ぎ、容易に水解し難くなる。一方、パルプ繊維24の含有率が70質量%を超えると、化学繊維25の含有率が少なくなり過ぎ、第1繊維層21が水解し難くなる。
【0039】
化学繊維25の含有率が30質量%未満であると、高圧水ジェット流処理にてパルプ繊維24と交絡させる際、所定の交絡強度を得ることができず、第1繊維層21の柔軟性を得ることが困難となる。一方、化学繊維25の含有率が70質量%を超えると、交絡強度が高くなりすぎ、容易に水解し難くなる。
【0040】
第1繊維層21中の化学繊維25は、平均繊維長が20mm以下であることが好ましい。化学繊維25の平均繊維長を20mm以下とすることにより、2層積層包装用シート70を廃棄しても水流によって容易に各繊維を分散させることができ、抄紙時に地合いが悪くなったり、トイレ等の浄化槽内で水解性が悪化し、水解させても浄化槽内の水流により散気管に絡みつき曝気阻害や散気管を破損させてしまうことを防止することができる。
【0041】
第1繊維層21の坪量は、2層積層包装用シート70の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、10〜30g/mであることが好ましい。第1繊維層21の坪量をこのような範囲にすることにより、ある程度の強度を保持することができる。第1繊維層21の坪量が10g/m未満であると、高圧水ジェット流処理によって地合が乱れると共に、交絡効果が発揮されない場合がある。一方、第1繊維層21の坪量が30g/mを超えると、水解性が劣ると共に不経済となる。
【0042】
第2繊維層22は、第1繊維層21とは異なり、高圧水ジェット流処理にて交絡させず、通常の抄紙方法によって得ることができ、第1繊維層21と積層一体化されている。高圧水ジェット流処理にて交絡させないことにより、第2繊維層22の気密性が向上し、外部からの異物の侵入を効果的に防止することができる。
【0043】
パルプ繊維24を第2繊維層22に含有させることにより、第2繊維層22の強度を向上させることができる。
【0044】
第2繊維層22で使用するパルプ繊維24は、例えばLBKP、NBKP、木材パルプ、麻、綿等の非木材パルプ、再生セルロース、アセテート繊維、PVA(ポリビニルアルコール)繊維、CMC(カルボキシメチルセルロース)繊維等公知の種々のパルプ繊維を使用することができる。なお、これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。また、第1繊維層21で使用するパルプ繊維24と同一のパルプ繊維24を使用してもよく、異なるパルプ繊維24を使用してもよい。
【0045】
なお、第2繊維層22の気密性を向上させるために、叩解NBKPや叩解LBKP等を使用することがより好ましい。
【0046】
化学繊維25を第2繊維層22に含有させることにより、第2繊維層22が嵩高となることにより柔軟性が与えられ、柔らかい触感を有する第2繊維層22を提供することができる。また、パルプ繊維24より繊度が小さい化学繊維25を使用することが好ましい。このような化学繊維25を使用することにより、水解性、気密性を向上させることができる。
【0047】
第2繊維層22で使用する化学繊維25は、合成繊維、再生繊維であってもよく、例えば、フィブリル化レーヨン、再生セルロース、アクリル、ポリエチレン、アセテート、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびこれらのコポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系繊維、ポリアクリロニトニル系繊維、アクリル系繊維、ビニロン系繊維、分割繊維、合成パルプ等公知の種々の化学繊維を使用することができる。なお、これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。また、第1繊維層21で使用する化学繊維25と同一の化学繊維25を使用してもよく、異なる化学繊維25を使用してもよい。
【0048】
第2繊維層22全体に含有されているパルプ繊維24の含有率は、70質量%から100質量%であり、化学繊維25の含有率は、30質量%以下であることが好ましい。このような含有率にすることにより、通気抵抗値が向上すると共に気密性が向上し、外部からの異物の侵入を効果的に防止することができる。
【0049】
パルプ繊維24の含有率が70質量%未満であると、化学繊維25の含有率が多くなり過ぎ、容易に水解し難くなる。一方、化学繊維25の含有率が30質量%を超えると、抄紙時の緻密性が高くなりすぎ、濾水性が悪くなったり繊維歩留まりが悪くなる等生産上に問題が生じたり、第2繊維層22が硬くなりすぎ、例えば、個包装体として使用する際に折れ皺がつきやすくなり、原料コストも高くなる場合がある。
【0050】
第2繊維層22中の化学繊維25は、平均繊維長が20mm以下であることが好ましい。化学繊維25の平均繊維長を20mm以下とすることにより、2層積層包装用シート70を廃棄しても水流によって容易に各繊維を分散させることができ、抄紙時に地合いが悪くなったり、トイレ等の浄化槽内で水解性が悪化し、水解させても浄化槽内の水流により散気管に絡みつき曝気阻害や散気管を破損させてしまうことを防止することができる。
【0051】
第2繊維層22の坪量は、2層積層包装用シート70の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、15〜30g/mであることが好ましい。第2繊維層22の坪量をこのような範囲にすることにより、ある程度の強度を保持することができる。第2繊維層22の坪量が15g/m未満であると、気密性が損なわれる場合がある。一方、第2繊維層22の坪量が30g/mを超えると、第2繊維層22が硬くなり、紙の音鳴りや皺がつきやすく、感触も悪くなる。
【0052】
また、2層積層包装用シート70の坪量は、2層積層包装用シート70の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、25〜60g/mであることが好ましい。2層積層包装用シート70の坪量が25g/m未満であると、気密性が損なわれる場合がある。一方、2層積層包装用シート70の坪量が60g/mを超えると、水解性が悪くなる。
【0053】
2層積層包装用シート70の乾燥強度は、MD方向に対して2.0N/25mm以上であることが好ましく、5.0N/25mm以上であることが好ましい。CD方向に対して2.0N/25mm以上であることが好ましく、2.5N/25mm以上であることが好ましい。乾燥強度をこのような範囲にすることにより、2層積層包装用シート70としての必要な強度を保持させることができる。また、湿潤強度は、MD方向およびCD方向に対して、2.0N/25mm以上であることが好ましい。湿潤強度をこのような範囲にすることにより、2層積層包装用シート70が湿潤状態であっても必要な強度を保持させることができる。
【0054】
2層積層包装用シート70をトイレ等に廃棄すると、トイレ内で多量の水の水流により第1繊維層21および第2繊維層22に含有するパルプ繊維24が速やかに解れ始める。第1繊維層21では、パルプ繊維24が解れ始めることにより、パルプ繊維24と交絡している化学繊維25が解れ、交絡が緩むことにより各繊維が速やかに分散する。
【0055】
2層積層包装用シート70の水解性は、2層積層包装用シート70の使用目的や大きさ等に応じて適宜変更されるが、例えば2層積層包装用シート70の大きさが10cm×10cmの正方形である場合、800mlの蒸留水中に2層積層包装用シート70を投入し、振とう速度240rpmで30分間振とうさせたとき、2層積層包装用シート70の最大片の大きさが、50cm以下に分散していることが好ましく、25cm以下に分散していることがより好ましく、2層積層包装用シート70が原形を留めないレベルで分散していることがより好ましい。2層積層包装用シート70の最大片の大きさが、50cmを超えて分散していると、トイレ等に流して廃棄する際、トイレ等の配管に2層積層包装用シート70が詰まる場合がある。
【0056】
第1繊維層21および第2繊維層22は、水解性を損なわない範囲内で必要に応じて異なる坪量にすることにより、模様を形成させるようにしてもよい。
【0057】
また、第1繊維層21および/または第2繊維層22にサイズ剤をさらに含有させ、各繊維層に少なくとも一部に所定の耐水性を有するようにしてもよい。サイズ剤としては、ロジン誘導体、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)を挙げることができる。
【0058】
水解性を損なわない範囲内で必要に応じて第1繊維層21および/または第2繊維層を着色してもよい。着色する定着剤として、一般直接染料であるCI.Direct Red 81等のカチオン染料、サイズ剤を含有しているカチオン染料等公知の種々の定着剤を使用することができる。なお、第1繊維層21と第2繊維層22とは、異なる色で着色されていてもよい。
【0059】
なお、必要に応じて、第1繊維層21および第2繊維層22に、化学繊維25の抄紙時の乾燥温度程度では、熱融着性を発現しない熱融着性繊維を配合させることにより、ヒートシール可能な2層積層包装用シート70とすることもできる。この際、熱融着性繊維の平均繊維長を20mm以下とすることにより、水解性が悪くなることを防止することができる。このため、熱融着性繊維を配合した2層積層包装用シート70は、ヒートシールしていないところは水解性を十分に保つことができ、ヒートシール性と気密性および水解性を併せ持つ2層積層包装用シート70とすることができる。
【0060】
2層積層包装用シート70が水洗トイレ等大量の水中へ投棄された場合、まず、第2繊維層22が水解し第1繊維層21の水解性が加速されることにより2層積層包装用シート70が水解される。
【0061】
(第2実施形態)
本発明の包装用シートの第2実施形態は、図2に示すように第3繊維層23が第2繊維層22における第1繊維層21と反対側に積層配置されている以外は第1実施形態と同様である。第3繊維層23は、第1繊維層21と同様にパルプ繊維24と化学繊維25とが交絡した状態で含有しており、これら二種類の繊維は、高圧水ジェット流処理にて交絡させることによって得られる。高圧水ジェット流処理にて交絡させることにより、パルプ繊維24と化学繊維25とが再配列して第3繊維層23全体の繊維密度が粗密になるため、見栄えがよく、柔軟性に優れるようになる。
【0062】
パルプ繊維24を第3繊維層23に含有させることにより、第3繊維層23の強度を向上させることができる。
【0063】
第3繊維層31で使用するパルプ繊維24は、例えばLBKP、NBKP、木材パルプ、麻、綿等の非木材パルプ、再生セルロース、アセテート繊維、PVA(ポリビニルアルコール)繊維、CMC(カルボキシメチルセルロース)繊維等公知の種々のパルプ繊維を使用することができる。なお、これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。第3繊維層23で使用するパルプ繊維24は、第1繊維層21と同一のパルプ繊維24を使用してもよく、異なるパルプ繊維24を使用してもよい。
【0064】
化学繊維25を第3繊維層23に含有させることにより、第3繊維層23が嵩高となることにより柔軟性が与えられ、柔らかい触感を有する第3繊維層23を提供することができる。また、パルプ繊維24より繊度が小さい化学繊維25を使用することが好ましい。このような化学繊維25を使用することにより、水解性、気密性を向上させることができる。
【0065】
第3繊維層23で使用する化学繊維25は、合成繊維、再生繊維であってもよく、例えば、フィブリル化レーヨン、再生セルロース、アクリル、ポリエチレン、アセテート、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびこれらのコポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系繊維、ポリアクリロニトニル系繊維、アクリル系繊維、ビニロン系繊維、分割繊維、合成パルプ等公知の種々の化学繊維を使用することができる。なお、これらは単独で使用してもよいが、複数組み合わせて使用してもよい。第3繊維層23で使用する化学繊維25は、第1繊維層21と同一の化学繊維25を使用してもよく、異なる化学繊維25を使用してもよい。
【0066】
なお、第2繊維層22の気密性を向上させるために、叩解NBKPや叩解LBKP等を使用することがより好ましい。
【0067】
第3繊維層23全体に含有されているパルプ繊維24の含有率は、30質量%から70質量%であり、化学繊維25の含有率は、70質量%〜30質量%であることが好ましい。このような含有率にすることにより、高い強度を有し、かつ、水流によって容易に水解させることができるようになる。第3繊維層23で使用するパルプ繊維24および化学繊維25の含有率は、第1繊維層21と同一の含有率としてもよく、異なっていてもよい。
【0068】
パルプ繊維24の含有率が30質量%未満であると、化学繊維25の含有率が多くなり過ぎ、容易に水解し難くなる。一方、パルプ繊維24の含有率が70質量%を超えると、化学繊維25の含有率が少なくなり過ぎ、第3繊維層23が水解し難くなる。
【0069】
化学繊維25の含有率が30質量%未満であると、高圧水ジェット流処理にてパルプ繊維24と交絡させる際、所定の交絡強度を得ることができず、第3繊維層23の柔軟性を得ることが困難となる。一方、化学繊維25の含有率が70質量%を超えると、交絡強度が高くなりすぎ、容易に水解し難くなる。
【0070】
第3繊維層23中の化学繊維25は、平均繊維長が20mm以下であることが好ましい。化学繊維25の平均繊維長を20mm以下とすることにより、3層積層包装用シート80を廃棄しても水流によって容易に各繊維を分散させることができ、抄紙時に地合いが悪くなったり、トイレ等の浄化槽内で水解性が悪化し、水解させても浄化槽内の水流により散気管に絡みつき曝気阻害や散気管を破損させてしまうことを防止することができる。
【0071】
第3繊維層23の坪量は、3層積層包装用シート80の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、10〜30g/mであることが好ましい。第3繊維層23の坪量をこのような範囲にすることにより、ある程度の強度を保持することができる。第3繊維層23の坪量が10g/m未満であると、高圧水ジェット流処理によって地合が乱れると共に、交絡効果が発揮されない場合がある。一方、第3繊維層23の坪量が30g/mを超えると、水解性が劣ると共に不経済となる。第3繊維層23の坪量は、第1繊維層21と同一としてもよく、異なっていてもよい。
【0072】
また、3層積層包装用シート80の坪量は、使用目的等に応じて適宜変更することができるが、35〜60g/mであることが好ましい。3層積層包装用シート80の坪量が35g/m未満であると、気密性が損なわれる場合がある。一方、3層積層包装用シート80の坪量が60g/mを超えると、水解性が悪くなる。
【0073】
3層積層包装用シート80の乾燥強度は、MD方向に対して2.0N/25mm以上であることが好ましく、5.0N/25mm以上であることが好ましい。CD方向に対して2.0N/25mm以上であることが好ましく、2.5N/25mm以上であることが好ましい。乾燥強度をこのような範囲にすることにより、3層積層包装用シート80としての必要な強度を保持させることができる。また、湿潤強度は、MD方向およびCD方向に対して、2.0N/25mm以上であることが好ましい。湿潤強度をこのような範囲にすることにより、3層積層包装用シート80が湿潤状態であっても必要な強度を保持させることができる。
【0074】
3層積層包装用シート80をトイレ等に廃棄すると、トイレ内で多量の水の水流により第1繊維層21、第2繊維層22および第3繊維層23に含有するパルプ繊維24が速やかに解れ始める。第1繊維層21および第3繊維層23のパルプ繊維24が解れ始めることにより、パルプ繊維24と交絡している化学繊維25が解れ、交絡が緩むことにより各繊維が速やかに分散する。
【0075】
3層積層包装用シート80の水解性は、3層積層包装用シート80の使用目的や大きさ等に応じて適宜変更されるが、例えば3層積層包装用シート80の大きさが10cm×10cmの正方形である場合、800mlの蒸留水中に3層積層包装用シート80を投入し、振とう速度240rpmで30分間振とうさせたとき、3層積層包装用シート80の最大片の大きさが、50cm以下に分散していることが好ましく、25cm以下に分散していることがより好ましく、3層積層包装用シート80が原形を留めないレベルで分散していることがより好ましい。3層積層包装用シート80の最大片の大きさが、50cmを超えて分散していると、トイレ等に流して廃棄する際、トイレ等の配管に3層積層包装用シート80が詰まる場合がある。
【0076】
なお、必要に応じて、3層積層包装用シート80の場合は、第1繊維層21および第3繊維層23に、化学繊維25の抄紙時の乾燥温度程度では、熱融着性を発現しない熱融着性繊維を配合させることにより、ヒートシール可能な包装用シートとすることもできる。この際、熱融着性繊維の平均繊維長を20mm以下とすることにより、水解性が悪くなることを防止することができる。このため、熱融着性繊維を配合した3層積層包装用シート80は、ヒートシールしていないところは水解性を十分に保つことができ、ヒートシール性と気密性および水解性を併せ持つ3層積層包装用シート80とすることができる。
【0077】
3層積層包装用シート80が水洗トイレ等大量の水中へ投棄された場合、まず、第2繊維層22が水解することにより層間剥離が起き第1繊維層21と第3繊維層23の水解性が加速されることにより、3層積層包装用シート80が水解される。
【0078】
[個包装体]
図3および図4は、個包装体1の第1実施形態の概要を示す概略図である。図3および図4に示すように、個包装体1は、陰唇間パッド10と、これを収納する包装体20と、を備えている。なお、説明の便宜上、吸収性物品が陰唇間パッド10の場合について説明するが、これに限定されることはなく、例えば、生理用ナプキンやパンティライナーであってもよい。
【0079】
吸収性物品である陰唇間パッド10の斜視図を図5に示す。陰唇間パッド10は、長手方向中心軸を折り目線として二つ折りされ、中心軸付近の少なくとも一部が陰唇内の前庭床に接するように陰唇間の小陰唇に少なくとも一部挟まれて着用される。
【0080】
陰唇間パッド10は、着用者の陰唇間に挟み込んで装着される。図5に示すように、陰唇間パッド10は、被覆体である液体を透過させる性質を有する液透過性表面シート12と、被覆体である液体を実質的に透過させない性質を有する液不透過性裏面シート13と、液透過性表面シート12と液不透過性裏面シート13との間に配置された少なくとも液保持性を備えた吸収部材15と、を備えている。また、陰唇間パッド10は、陰唇間パッド10の輪郭を形成する周縁部11を有する。周縁部11は、長手方向の両端部側に位置する前端部11および後端部10bを備える。また、図5に示すように、陰唇間パッド10は、着用する時には長手方向の中心線kに沿って、裏面シート13同士が向かい合うような状態で2つ折りに折り曲げられる。さらに、陰唇間パッド10は、着用状態において着用者の前庭床と接触する前庭床当接領域13を備えている。
【0081】
吸収部材15を被覆する表面シート12および裏面シート13は、上記前庭床当接領域14において、着用時において恥骨側に面する表面シート前端部12aおよび裏面シート前端部13aと、着用時において臀部側に位置する表面シート後端部12bおよび裏面シート後端部13bと、を有する。本実施形態では、表面シート前端部12aと裏面シート前端部13aとが陰唇間パッド10の周縁部11の前端部10aを構成し、表面シート後端部12bと裏面シート後端部13bとが周縁部11の後端部10bを構成している。
【0082】
陰唇間パッド10の形状としては、楕円型、瓢箪型、雫型等の女性の陰唇に適合する形状が挙げられる。陰唇間パッド10の外形の延べ寸法は、中心軸方向の幅として40〜180mmが好ましく、より好ましくは80〜120mmである。また、中心軸に対して垂直方向の幅としては20〜100mmが好ましく、より好ましくは50〜80mmである。なお、この中心軸に対して垂直方向の幅は、二つ折りがなされる前の平面状の陰唇間パッド10における寸法である。二つ折りにされた状態で陰唇間に着用される際には、着用形態における鉛直方向への延べ寸法は、上記の幅の略1/2の寸法となる。なお、陰唇間パッド10は、上述した通り、平面状のパッドを二つ折りにして陰唇に挟むタイプであるが、その他にも棒状あるいは筒状の形態を採り得る。平面状のパッドを二つ折りにして着用するタイプ以外のパッドにおいては、中心軸に対して垂直方向の幅は、上記の幅の略1/2となる。
【0083】
女性の陰裂(前方陰唇交連部〜後方陰唇交連部)の平均長さは約80mm、陰核から膣口までの平均長さは約40mm、膣口から肛門までの平均長さは約45mm(出願人調べ)である。陰唇間パッド10の前方側縁は、経血モレを防止するために、少なくとも陰核まで覆うことが好ましく、後方側縁は、臀部の肉の動きでパッドが脱落することを防止するために、肛門まで達しないことが好ましい。これらの条件を満たす範囲として、陰唇間パッド10の外形の延べ寸法は、上記の範囲であることが望ましい。
【0084】
本発明の吸収性物品は、後述する包装体20が水解性であることから、水分散性素材、生分解性素材または水溶性素材で構成されていることが好ましい。このような吸収性物品は、使用後にトイレに流して廃棄することができるため、吸収性物品の廃棄が簡便かつ清潔に行うことができ、トイレ内のごみの低減をはかることもできる。
【0085】
「水分散性」とは、水解性と同じ意味を指し、使用時の限定された量の水分や経血では製品に影響はないが、多量の水や水流中では、少なくとも一般のトイレの排水管を詰まらせることがない程度に、繊維同士が分散する性質のことをいう。
【0086】
「生分解性」とは、放線菌をはじめとする細菌、その他の微生物の存在下、自然界のプロセスによって、製品を構成する物質が二酸化炭素またはメタン等のガス、水およびバイオマスに分解されることをいう。また、その生分解能(生分解速度、生分解度等)が、落ち葉等の自然に生じる材料、または、一般的に生分解性として認識される合成ポリマーに準じることをいう。
【0087】
また、「水溶性」とは、使用時の限定された水分や経血では製品に影響はないが、多量の水や水流中では、溶解する性質のことをいう。
【0088】
図3および図4に示すように、包装体20は、陰唇間パッド10全体を被覆して収納している。また、包装体20は、開封口26を有し、この開封口26近傍で包装体20の一部が重なり合っており、重なり合った包装体20が開封および切り離し可能なように接着されている。
【0089】
図3に示す上述した包装体20には、陰唇間パッド10の周縁部11よりも高い剛性を備えた保護領域Y1が設けられている。この保護領域Y1は、前庭床当接領域13が位置する箇所、つまり包装体20に封入された状態での陰唇間パッド10の幅の5〜70%を覆う寸法で、長手方向においては連続に設けられている。また、包装体20を構成する包装体20同士を接合するエンボスシール28が包装体20の一端側に包装体20の長手方向に沿って設けられており、このエンボスシール28においても保護領域Y1の剛性を高めることができる。さらに、重なり合った包装体20同士との間には、包装体20内の密封性を高めるために長手方向へ連続して接着剤が設けられて、この接着剤によって包装体20の剛性を一層高めている。このため、個包装体1を携帯している間に個包装体1に外圧がかかっても、前庭床当接領域13の形状を維持することができる。そしてまた、個包装体1は空気が入った状態で陰唇間パッド10を包装体20により完全密封してなるものなので、個包装体1を落としてしまったような場合でも、個包装体1の中の陰唇間パッド10は周縁部11以外も損傷が生じることを防止されている。
【0090】
なお、包装体20を構成する包装体20同士を接合するエンボスシール28は、包装体20の周縁部全域に備えられていてもよい。また、包装体20同士が重なり合って構成される開封部27には、開封性をより高めるために粘着力を有する止着テープ29が設けられていてもよい。
【0091】
また、必要に応じて、包装体20に保護領域Y1を設けることにより、陰唇間パッド10の周縁部11において着用時に着用者の陰核に接しやすい前端部11や、肛門と接しやすい後端部10bが反り返ることを防ぐことが可能となり、陰唇間パッド10を着用した時に、着用者の陰核や肛門を傷つけることを防止できる。
【0092】
保護領域Y1は、陰唇間パッド10の周縁部11全体を保護するように設けられていてもよいし、前庭床当接領域13のみを保護するように設けられていてもよい。また、保護領域Y1は、前端部11(表面シート前端部12aおよび裏面シート前端部13a)や、後端部10b(表面シート後端部12bおよび裏面シート後端部13b)のみを保護するために設けられていてもよい。
【0093】
保護領域Y1の座屈強度は、100mN以上2000mN以下であることが好ましい。これにより、包装過程において、個包装体1の携帯時に周縁部11が反り返ることを防止することができる。さらに、陰唇間パッド10の周縁部11の座屈強度は、50mN以上400mN以下であることが好ましい。
【0094】
包装体20は、すでに上述した2層積層包装用シート70からなり、図4のX−X’断面に示すように第1繊維層21は、個包装体1の外側に配置されるように構成されている。2層積層包装用シート70を包装体20に使用することにより、見栄えがよく、柔軟性に優れるようになる。また、図6に示すように包装体20に3層積層包装用シート80を使用してもよい。
【0095】
[包装用シートの製造方法]
本発明の包装用シートの製造方法は、パルプ繊維24と、化学繊維25とから湿式抄紙法により繊維ウェブを形成させ、繊維ウェブの両面または片面に高圧水ジェット流処理を施し、パルプ繊維24と、化学繊維25とを交絡させ第1繊維層21を形成させる工程と、パルプ繊維24と、化学繊維25とから第2繊維層22を形成させる工程と、第1繊維層21を搬送し、第2繊維層22を積層一体化させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0096】
(2層積層包装用シート70の製造方法)
まず、所定の濃度で水に分散した原料液を第1ウェブ形成部30および第2ウェブ形成部40に送り、第1ウェブ31および第2ウェブ41を形成する。なお、第1繊維層21および第2繊維層22を着色させる場合、原料液中にサイズ剤、カチオン系サイズ剤やカチオン染料等を適宜添加させてもよい。
【0097】
第1繊維層21は、上述したパルプ繊維24および化学繊維25から湿式抄紙法により繊維ウェブ(第1ウェブ31)を形成した後、第1ウェブ31に高圧水ジェット流処理を行うことによって製造される。ここで繊維ウェブとは、繊維の方向がある程度揃った繊維塊のシート状のものである。なお、乾式抄紙法において繊維ウェブを形成するようにしてもよい。この高圧水ジェット流処理においては、一般的に用いられている高圧水ジェット流処理装置が用いられる。
【0098】
比較的強い圧力の噴流による高圧水ジェット流処理を繊維ウェブ(第1ウェブ31)の片面または両面方向に行うと、噴流が当たった個所では、パルプ繊維24と化学繊維25とが強力に交絡すると共に、噴流が当たらない個所では、三つの繊維が嵩高い状態のままに維持される。その結果、第1繊維層21全体として、パルプ繊維24と化学繊維25との一体性が高く、しかも、嵩高くて通気性や吸水性、保温性、柔らかさ等に優れたものが得られる。
【0099】
高圧水ジェット流処理とは、高圧の水流を吹き付けて、吹き付けられた部分のパルプ繊維24と化学繊維25とを交絡させて一体的に接合する。高圧水ジェット流処理の使用装置や処理条件等は、通常の不織布製造技術等を適用することができる。
【0100】
高圧水ジェット流処理の詳細を述べると、繊維ウェブを連続的に移動させているコンベアベルトの上に載置し、高圧水ジェット流を載置した繊維ウェブの表面から裏面に通過するように噴射させる。この高圧水ジェット流処理においては、繊維ウェブの秤量、噴射ノズルの孔径、噴射ノズルの孔数、繊維ウェブを処理するときの仕事量(エネルギー)等を適宜変更させることによって、得られる第1繊維層21の性質を変化させることができる。だたし、本発明では、下記に示した数1によって導き出される仕事量は、繊維ウェブ(第1ウェブ31)片面の処理一回あたり0.05〜0.5kW/mとなるように高圧水ジェット流処理を行うことが好ましい。仕事量が0.05kW/m未満であると、第1繊維層21の嵩高性が劣る。一方、仕事量が0.5kW/mを超えると、繊維が絡み過ぎて水解性が落ちたり、また繊維ウェブが壊れてしまう可能性がある。この高圧水ジェット流処理は繊維ウェブの片面または両面に行うこともできる。例えば、0.05〜0.5kW/mの高圧水ジェット流処理を繊維ウェブの片面または両面に1〜6回を行うことにより、好ましい水解性および湿潤強度をもった第1繊維層21を得ることができる。
【0101】
【数1】

【0102】
また、仕事量が0.05〜0.5kW/mの場合、例えばノズルが孔径90〜100ミクロンであり、ノズルは0.3〜2.0mm間隔でCD方向へ並んでいる高圧水ジェット流処理を行うことができる。この場合、繊維の交絡が適度なものとなる。
【0103】
また、繊維ウェブ(第1ウェブ31)が形成された後、繊維ウェブを乾燥させずに高圧水ジェット流処理を行うようにしてもよい。また、繊維ウェブを一旦乾燥させた後高圧水ジェット流処理を行うようにしてもよい。
【0104】
形成された第1ウェブ31は、繊維層形成用ワイヤー上でそのまま高圧水ジェット流処理部32へ搬送し、高圧水ジェット流処理を施してもよい。また、必要に応じて、繊維層形成用ワイヤーから模様付与用ワイヤーへ移送し、高圧水ジェット流処理部32へ第1ウェブ31を搬送し、高圧水ジェット流処理を施すようにしてもよい。
【0105】
第1ウェブ形成部30は、長繊維であってもランダムな繊維移行しやすい傾斜短網方式や長網方式を採用することが好ましい。
【0106】
第1高圧水ジェット流処理部32は、ウェブ形成用ネット(図示せず)を共用して、その上に高圧水ジェット流ノズル装置(図示せず)を設置してもよく、または、高圧水ジェット流処理で模様付シートを得ようとする場合等は、図7に示すように第1ウェブ形成部30の後ろに第1高圧水ジェット流処理部30を設置して、第1ウェブ31を第1高圧水ジェット流処理部30へ搬送して高圧水ジェット流処理を行うことが好ましい。
【0107】
また、第1繊維層21は高圧水ジェット流処理に限られず、ニードルやエアー等を利用して繊維を交絡させることによって第1繊維層21を製造してもよい。
【0108】
第2繊維層22は、第1繊維層21とは異なり、高圧水ジェット流処理ではなく、抄き合わせにより第2繊維層22中のパルプ繊維24および化学繊維25とを一体化させる。
【0109】
第2ウェブ41の製造について、製造される2層積層包装用シート70の使用目的等に応じて適宜変更することができるが、例えば、第2ウェブ形成部40は地合を整えやすい円網方式、フォーマー方式を採用することにより第2ウェブ41を製造することが好ましい。
【0110】
第1ウェブ31に第1高圧水ジェット流処理部32で高圧水ジェット流処理を施してできた第1処理ウェブ33を第2ウェブ形成部40へ搬送し、第2ウェブ形成部40にて形成された第2ウェブ41と第1抄き合わせ部42にて重ねられて湿潤状態の2層積層包装用シート43を送る。湿潤状態の2層積層包装用シート42は、乾燥部60に搬送され、乾燥させて巻き取り部90にて巻き取る。
【0111】
(3層積層包装用シート80の製造方法)
3層積層包装用シート80の製造方法は、第2繊維層22上にさらに第1繊維層21と同一の方法で製造された第3繊維層23をさらに積層させる工程を有する以外は、2層積層包装用シート70の製造方法と同様である。
【0112】
所定の濃度で水に分散した原料液を第1ウェブ形成部30、第2ウェブ形成部40および第3ウェブ形成部50に送り、第1ウェブ31、第2ウェブ41および第3ウェブ51を形成する。
【0113】
第1ウェブ31に第1高圧水ジェット流処理部32で高圧水ジェット流処理を施してできた第1処理ウェブ33を第2ウェブ形成部40へ搬送し、第2ウェブ形成部40にて形成された第2ウェブ41と第1抄き合わせ部42にて重ねられる。
【0114】
第3ウェブ51に第2高圧水ジェット流処理部52で高圧水ジェット流処理を施してできた第3処理ウェブ53を搬送し、第2抄き合せ部54で第2ウェブ上に重ねられて湿潤状態の3層積層シート55を送る。湿潤状態の3層積層包装用シート55は、乾燥部60に搬送され、乾燥させて巻き取り部90にて巻き取る。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の実施例を説明するが、これら実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0116】
本発明の包装用シートの水解性等を評価するために包装用シートを製造し、その特性を調べた。
【0117】
[2層積層包装用シートの製造]
(第1繊維層の製造)
パルプ繊維24は、NBKP(針葉樹化学パルプ)(CSF720cc)およびNBKP(CSF600cc)を混合して用いた。
【0118】
化学繊維25は、繊度が1.1dtexで平均繊維長7mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)社製 コロナ)を用いた。
【0119】
パルプ繊維24と化学繊維25との含有率は、パルプ繊維24が50質量%(NBKP(CSF720cc)が30質量%、NBKP(CSF600cc)が20質量%)、化学繊維25が50質量%であった。
【0120】
熊谷理機工業(株)製の角型ヒートマシンを使用して、パルプ繊維24、化学繊維251を日本フィルコン(株)製のワイヤー(LL−70E(2重織))上に湿式抄紙し、第1ウェブ31を得た。第1ウェブ31の両面にエネルギーを0.38kW/mに設定して、4回高圧水ジェット流処理を行ったことにより、各繊維を交絡させた。その後にロータリドライヤーを用いて120℃で3分間乾燥させたことにより、坪量が16.2g/mの第1処理ウェブ33を製造した。なお、ノズルは、孔径95μmであり、0.5mm間隔でCD方向へ並んでいた。
【0121】
(第2繊維層の製造)
パルプ繊維24として、NBKP(CSF600cc)が50%、LBKP(広葉樹化学パルプ)が50%の配合比率の原料スラリーを用いて、乾燥状態の坪量が20.4g/mとなるように円網抄紙法にて第2ウェブ41を製造した。なお、化学繊維25の配合比率は0質量%であった。
【0122】
搬送されてきた第1処理ウェブ33を第2ウェブ41と重ね合わせてプレスすることにより一体化した後、脱水乾燥させ、坪量が36.8g/mの2層積層包装用シート70を得た。この包装用シートを実施例1という。
【0123】
[乾燥強度の測定]
実施例1をテンシロン試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製)により、サンプル幅25mm、長さ150mm、チャック間隔は100mm、引張速度は100mm/minで乾燥強度を測定した。測定はMD方向およびCD方向に対してそれぞれ行った。なお、乾燥強度は、引っ張り最大強度である。
【0124】
[湿潤強度の測定]
実施例1にイオン交換水を含水率300%(対基布重量)で含浸させ、密閉容器内で3時間静置後、テンシロン試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製)により、サンプル幅25mm、長さ150mm、チャック間隔は100mm、引張速度は100mm/minで湿潤強度を測定した。測定はMD方向およびCD方向に対してそれぞれ行った。なお、湿潤強度は、引っ張り最大強度である。
【0125】
[ダスト通過性の測定]
ろ紙上に実施例1を載置し、実施例1上に試験用ダストを粒径ごとに3mgずつ載せて、ろ紙の下部より30秒間吸引機で吸引する。ろ紙に実施例1を通過した試験用ダストの付着程度を目視にて評価した。この結果、ろ紙に試験用ダストが付着していない場合は「○」、ろ紙を裏返してもダストが落ちない程度の微量の試験用ダストが通過した場合は「△」、ろ紙を裏返すと試験用ダストが落ちる場合は「×」とした。
【0126】
[通気抵抗値の測定]
実施例1の円網側を下側にして試験機(カトーテック株式会社 KES−F8)により通気抵抗値を測定した。5回測定し、その平均値を表1に示した。
【0127】
[毛羽立ち試験の測定]
サンプル幅300mm、長さ200mmの実施例1を染色物摩擦堅牢度試験機((株)大栄科学精機製作所製)の摩擦面に布テープを付け、布テープの離型面側で200g荷重で5往復させることにより測定した。この結果、毛羽立ちが発生していない場合は「○」、部分的に少量毛羽立ちが発生しているが繊維抜けがない場合は「△」、全体的に毛羽立ちおよび/または繊維抜けが発生している場合は「×」とした。
【0128】
[シェイクフラスコ法による水解性の測定]
予め1000mlのフラスコ内に800mlの蒸留水を入れ、蒸留水中に10cm×10cmの正方形の実施例1を投入し、振とう速度240rpmで30分間シェーカー(IWAKI社製 SHKV−200)で振とうさせた。この結果、実施例1が原形を留めないレベルで分散している場合、および実施例1の最大片の大きさが、50cm以下に分散している場合は「○」、実施例1の最大片の大きさが、50cm以上である場合は「△」、実施例1が分散せず、原形を留めている場合は「×」とした。
【0129】
実施例1の他にさらに染料やサイズ剤を水解性を損なわない範囲で添加した包装用シート、パルプ繊維24、化学繊維25の含有率、坪量等を変化させた包装用シートを実施例2から実施例6まで製造し、実施例1と同様の試験、測定を行った。なお、実施例2から実施例6は、実施例1と同一の大きさ、形状とした。
【0130】
[3層積層包装用シートの製造]
(第1繊維層の製造)
パルプ繊維24は、NBKP(CSF720cc)および合成パルプ(三井化学(株)社製SWP E−400)を混合して用いた。
【0131】
化学繊維25は、繊度が1.1dtexで平均繊維長7mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)社製 コロナ)を用いた。
【0132】
パルプ繊維24と化学繊維25との含有率は、パルプ繊維24が60質量%(NBKP(CSF750cc)が50質量%、合成パルプ(三井化学(株)社製SWP E−400)が10質量%)、化学繊維25が40質量%であった。
【0133】
熊谷理機工業(株)製の角型ヒートマシンを使用して、パルプ繊維24、化学繊維251を日本フィルコン(株)製のワイヤー(LL−70E(2重織))上に湿式抄紙し、第1ウェブ31を得た。第1ウェブ31の両面にエネルギーを0.38kW/mに設定して、4回高圧水ジェット流処理を行ったことにより、各繊維を交絡させた。その後にロータリドライヤーを用いて120℃で3分間乾燥させたことにより、坪量が16.4g/mの第1処理ウェブ33を製造した。なお、ノズルは、孔径95μmであり、0.5mm間隔でCD方向へ並んでいた。
【0134】
(第2繊維層の製造)
パルプ繊維24として、NBKP(CSF600cc)が50%、LBKPが50%の配合比率の原料スラリーを用いて、乾燥状態の坪量が20.4g/mとなるように円網抄紙方式にて第2ウェブ41を製造した。なお、化学繊維25の配合比率は0質量%であった。
【0135】
(第3繊維層の製造)
パルプ繊維24は、NBKP(CSF720cc)および合成パルプ(三井化学(株)社製SWP E−400)を混合して用いた。
【0136】
化学繊維25は、繊度が1.1dtexで平均繊維長7mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)社製 コロナ)を用いた。
【0137】
パルプ繊維24と化学繊維25との含有率は、パルプ繊維24が60質量%(NBKP(CSF750cc)が50質量%、合成パルプ(三井化学(株)社製SWP E−400)が10質量%)、化学繊維25が40質量%であった。
【0138】
熊谷理機工業(株)製の角型ヒートマシンを使用して、パルプ繊維24、化学繊維251を日本フィルコン(株)製のワイヤー(LL−70E(2重織))上に湿式抄紙し、第3ウェブ51を得た。第3ウェブ51の両面にエネルギーを0.38kW/mに設定して、4回高圧水ジェット流処理を行ったことにより、各繊維を交絡させた。その後にロータリドライヤーを用いて120℃で3分間乾燥させたことにより、坪量が16.4g/mの第3処理ウェブ53を製造した。なお、ノズルは、孔径95μmであり、0.5mm間隔でCD方向へ並んでいた。
【0139】
搬送されてきた第1処理ウェブ33を第2ウェブ41と重ね合わせ、さらに第2ウェブ41上に第3処理ウェブ53を重ね合わせてプレスすることにより一体化した後、脱水乾燥させ、坪量が53.2g/mの3層積層包装用シート80を得た。この包装用シートを実施例7という。
【0140】
実施例7を実施例1と同様の方法により乾燥強度、湿潤強度、ダスト通過性、通気抵抗値、毛羽立ち試験およびシェイクフラスコ法による水解性の測定を行った。なお、実施例7は、実施例1と同一の大きさ、形状とした。
【0141】
比較例として、包装用シートの比較例1から比較例5まで以下に示したように製造し、実施例1と同様の試験、測定を行った。なお、比較例1から比較例5は、実施例1と同一の大きさ、形状とした。
【0142】
[比較例1]
第1繊維層21の坪量を21.4g/m、第2繊維層22の坪量を10g/mとした以外は、実施例1と同様に製造した。
【0143】
[比較例2]
第1繊維層21を高圧水ジェット流処理にて製造せず、第2繊維層22の坪量を20g/mとした以外は、実施例1と同様に製造した。
【0144】
[比較例3]
第1繊維層21の坪量を32.5g/m、第2繊維層22の坪量を31.3g/mとした以外は、実施例1と同様に製造した。
【0145】
[比較例4]
パルプ繊維24として、NBKP(CSF720cc)を50質量%、繊度が1.1dtexで平均繊維長7mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)社製 コロナ)を50質量%の配合比率で繊維原料を調合し、調合時にカチオン染料(CI.Direct Red 81 田岡化学工業(株)社製Sumilight Red 4B)を添加攪拌し、次いで、カチオン系サイズ剤(カチオン性スチレン系樹脂 荒川化学工業(株)社製サイズパインW−360)を添加攪拌したものを原料スラリーとして、実施例1と同様の方法にて第1処理ウェブ33を製造し、そのまま乾燥させ坪量が30g/mの第1繊維層21のみからなる単層の包装用シートを製造した以外は、実施例1と同様に製造した。
【0146】
[比較例5]
パルプ繊維24として、NBKP(CSF600cc)を50質量%、LBKPを50質量%の配合比率で繊維原料を調合し、実施例1と同様の方法にて第2ウェブ41を製造し、そのまま乾燥させ坪量が20.4g/mの第2繊維層22のみからなる単層の包装用シートを製造した以外は、実施例1と同様に製造した。結果を表1に示す。
【0147】
【表1】

【0148】
表1から、実施例1から実施例7は、ダスト通過性、乾燥強度、湿潤強度、水解性いずれも優れていることから、一定の強度を有しつつ、気密性、水解性にも優れることがわかる。
【0149】
一方、比較例1から比較例5では、水解性を向上させると、乾燥強度、湿潤強度等が低下し、乾燥強度、湿潤強度を向上させると水解性が悪くなる。また、気密性を向上させると、水解性、毛羽立ち等が悪くなる。このことから、比較例1から比較例5では、本発明とは異なり、一定の強度を有しつつ、気密性、水解性を共に向上させることができないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】包装用シートの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】包装用シートの第2実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の個包装体の第1実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明の個包装体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図5】陰唇間パッドの斜視図である。
【図6】本発明の個包装体の第2実施形態を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態の包装用シートの製造方法を示す模式図である。
【図8】第2実施形態の包装用シートの製造方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0151】
1 個包装体
10 陰唇間パッド(吸収性物品)
10a 前端部
10b 後端部
11 周縁部
12 液透過性表面シート
12a 表面シート前端部
12b 表面シート後端部
13 液不透過性裏面シート
13a 裏面シート前端部
13b 裏面シート後端部
14 前庭床当接領域
15 吸収部材
20 包装体
21 第1繊維層
22 第2繊維層
23 第3繊維層
24 パルプ繊維
25 化学繊維
26 開封口
27 開封部
28 エンボスシール
29 止着テープ
30 第1ウェブ形成部
31 第1ウェブ
32 第1高圧水ジェット流処理部
33 第1処理ウェブ
40 第2ウェブ形成部
41 第2ウェブ
42 第1抄き合わせ部
43 湿潤状態の2層積層包装用シート
50 第3ウェブ形成部
51 第3ウェブ
52 第2高圧水ジェット流処理部
53 第3処理ウェブ
54 湿潤状態の3層積層包装用シート
60 乾燥部
70 2層積層包装用シート
80 3層積層包装用シート
90 巻き取り部
Y1 保護領域
k 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも液保持性の吸収体を有する吸収性物品の包装用シートであって、
パルプ繊維を30質量%から70質量%と、平均繊維長が20mm以下の化学繊維を70質量%から30質量%とを含むと共に、高圧水流処理が施されてなる第1繊維層と、
前記第1繊維層に積層配置され、パルプ繊維を70質量%から100質量%とを含む第2繊維層と、を備える包装用シート。
【請求項2】
前記第2繊維層は、平均繊維長が20mm以下であって繊維径が前記パルプ繊維よりも小さい化学繊維を30質量%以下含む請求項1に記載の包装用シート。
【請求項3】
前記第2繊維層における前記第1繊維層と反対側に積層配置され、パルプ繊維を30質量%から70質量%と、平均繊維長が20mm以下の化学繊維が70質量%から30質量%とを含むと共に、高圧水流処理が施されてなる第3繊維層と、をさらに備える請求項1または2に記載の包装用シート。
【請求項4】
800mlの蒸留水中にサンプル片が10cm×10cmの前記包装用シートを投入し、振とう速度240rpmで30分間振とうしたとき、前記包装用シートの最大片の大きさが、50cm以下に分散される請求項1から3のいずれかに記載の包装用シート。
【請求項5】
前記第1繊維層の坪量が10〜30g/mであり、前記第2繊維層の坪量が15〜30g/mであり、該包装用シートの坪量が25〜60g/mである請求項1から4のいずれかに記載の包装用シート。
【請求項6】
前記第1繊維層の坪量が10〜30g/mであり、前記第2繊維層の坪量が15〜30g/mであり、前記第3繊維層の坪量が10〜30g/mであり、該包装用シートの坪量が35〜60g/mである請求項3または4に記載の包装用シート。
【請求項7】
前記第1繊維層および/または前記第2繊維層には、坪量を異ならせることにより模様が形成されている請求項1から6のいずれかに記載の包装用シート。
【請求項8】
前記第1繊維層および/または前記第2繊維層は着色されている請求項1から7のいずれかに記載の包装用シート。
【請求項9】
前記第1繊維層に着色された色は、前記第2繊維層に着色された色と異なる請求項8に記載の包装用シート。
【請求項10】
前記第1繊維層、前記第2繊維層または前記第3繊維層のいずれかまたは全部は、サイズ剤を含有し、少なくとも一部に所定の耐水性を有する請求項1から9のいずれかに記載の包装用シート。
【請求項11】
少なくとも液保持性の吸収体を有する吸収性物品と、前記吸収性物品を収容する請求項1から10のいずれかに記載の包装用シートからなる包装体と、を有する吸収性物品の個包装体。
【請求項12】
パルプ繊維と、化学繊維とから湿式抄紙法により繊維ウェブを形成させ、前記繊維ウェブの両面または片面に高圧水ジェット流処理を施し、前記パルプ繊維と、前記化学繊維とを交絡させ第1繊維層を形成させる工程と、
パルプ繊維と、化学繊維とから第2繊維層を形成させる工程と、
前記第1繊維層を搬送し、前記第2繊維層を湿潤状態で積層一体化させ、積層一体化後乾燥させる工程と、を含む包装用シートの製造方法。
【請求項13】
さらに、パルプ繊維と、化学繊維とから湿式抄紙法により繊維ウェブを形成させ、前記繊維ウェブの両面または片面に高圧水ジェット流処理を施し、前記パルプ繊維と、前記化学繊維とを交絡させ第3繊維層を形成させる工程と、
前記第1繊維層と、前記第2繊維層とを湿潤状態で積層一体化させた後搬送し、前記第3繊維層を前記第2繊維層上に湿潤状態で積層一体化し、積層一体化後乾燥させ積層させる工程と、を含む請求項12に記載の包装用シートの製造方法。
【請求項14】
前記第1繊維層および/または前記第3繊維層を形成させる工程において、前記繊維ウェブを形成させた後、繊維層形成用ワイヤーから模様付与用ワイヤーへ移送し、前記高圧水ジェット流処理を施す請求項12または13に記載の包装用シートの製造方法。
【請求項15】
前記第1繊維層および/または前記第3繊維層は、短網方式または長網方式で前記繊維ウェブを形成する請求項12から14のいずれかに記載の包装用シートの製造方法。
【請求項16】
前記繊維層形成用ワイヤー上で前記高圧水ジェット流処理を施す請求項12、13、15のいずれかに記載の包装用シートの製造方法。
【請求項17】
前記第2繊維層は、円網方式、またはフォーマー方式で前記繊維ウェブを形成する請求項12から16のいずれかに記載の包装用シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−13521(P2009−13521A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174934(P2007−174934)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】