説明

吸引物収集バッグに対する取付けのための蠕動ポンプ用継手

当該継手は、ポンプ・カートリッジから吸引物収集バッグの内部へと吸引物を流入させる管路を提供する長寸コネクタである。上記コネクタは、上記ポンプ・カートリッジに対する取付けのために構成された第1端部と、上記収集バッグの内部に位置決めされる第2端部とを有する。上記第2端部は、上記コネクタにおいて形成された少なくとも一個のノッチも含む。上記ノッチは、手術の間において医師が吸引経路を空気連通させるのを許容するに十分な量の空気が上記バッグ内に留まる様に、手術の間において上記収集バッグが上記管路を封鎖するのを防止すべく作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な収集バッグを有する蠕動ポンプ用カートリッジに関する。より詳細には本発明は、空気連通機能を有する蠕動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
手術の間において蠕動ポンプを使用する間に、吸引経路の閉塞が生ずることがある。閉塞が生ずると同時に吸引経路内の真空レベルは高まり続ける、と言うのも、上記ポンプは上記吸引経路を介して収集バッグ内へと吸引物の圧送を試行し続けるからである。この真空を解放して吸引経路を安定化するために、上記吸引経路を空気連通させることは公知である。
【0003】
空気連通は典型的に、所定長さの管材の一端を吸引経路に対して取付けると共に他端を大気に露出することで行われる。しかし、吸引経路を開放連通する空気が収集バッグから得られるという閉鎖式バッグ・システムを介して空気連通を行うことも知られている。吸引経路を開放連通するために十分な量の空気が利用可能であることを確実とすべく、バッグ内にスペーサ要素を載置することが知られている。使用されるスペーサ要素としては、バッグを拡開させて該バッグ内に空気用空間を提供するためのスポンジまたは一定の堅固な構造が挙げられる。
【0004】
これらのスペーサ要素は効果的であるが、製造に手間が掛かり、且つ、これらの別体要素が必要とされない場合よりも不経済である。
【0005】
故に、別体のスペーサ要素を必要とせずに空気連通に適応する収集バッグを提供することが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、眼科手術において使用される本発明に係る蠕動ポンプ10の部分的斜視図を示している。ハウジング12は、複数のローラ16を有するポンプ・ヘッド14であって該ハウジング12内に保持されると共に該ハウジングから延在するポンプ・ヘッド14を含む。ハウジング12に対しては裏当てプレート18が取付けられる共に該プレートはポンプ・ヘッド14と協働することで、各ローラ16と裏当てプレート表面20との間に所定長さの管材を挟持する。以下において詳細に記述される如く、ポンプ・ヘッド14はハウジング12および裏当てプレート18に対して移動する。図1においてポンプ・ヘッド14は開き位置で示されており、以下に記述される如くポンプ・カートリッジの挿入に対する準備ができている。
【0007】
ポンプ・ヘッド14は好適には(不図示の)モータに対して接続されると共に、該ポンプ・ヘッド14は、以下において更に詳細に記述される如く各ローラ16および裏当てプレート18が協働することで所定長さの手術用管材を圧縮もしくは挟持すると共に手術部位からの流体を該管材を介して蠕動的に収集バッグへと圧送する如く、各ローラ16を該ポンプ・ヘッド14の中央軸心22の回りに回動させる。ポンプ・ヘッド14は好適には、裏当てプレート18に向けて且つ該プレートから離間すべく直線状に移動もしくは並進する。ポンプ・ヘッド14は、空気的もしくは油圧的なピストンまたはステッパ・モータまたは他の公知の手段などの様に当業者公知の任意の様式で移動され得る。これに加えてポンプ・ヘッド14は、該ヘッド14の所望サイズ、および、実現されるべき性能要件に依存して種々の個数のローラ16を含み得る。
【0008】
蠕動ポンプ10は好適には、以下において更に詳細に示される如く、ポンプ・カートリッジを挿入するためのカートリッジ保持用引出し24を更に含む。これに加えてポンプ10は更に、圧力変換器インタフェース26と、圧力変換器およびポンプ・カートリッジを圧力変換器インタフェース26に向けて付勢するスプリング・ハウジング28とを含む。
【0009】
図2は図1と同様であるが、カートリッジ用引出し24内に挿入されたポンプ・カートリッジ30が付加されている。ポンプ・カートリッジ30は、ユーザが引出し24に対して該カートリッジ30を出し入れするのを助力するハンドル34を含む上側部分32を備えたハウジングを含む。図2のポンプ・カートリッジ30は、該カートリッジ30およびポンプ10の更なる詳細を明らかとするために収集バッグなしで示される。上記収集バッグは典型的には、フック36から引出し24の前部に吊下される。吸引物(流体および組織)は、手術部位から流体および組織を収集する(不図示の)収集バッグに対し、継手もしくは突起管(barb)38を介して流入する。好適には、上側部分32を含む上記カートリッジ・ハウジングは、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの成形プラスチック材料で形成される。
【0010】
ポンプ・カートリッジ30に対しては、典型的には(不図示の)平衡塩溶液(BSS)のボトルもしくはバッグに接続された潅流ライン(irrigation line)40が接続される。その場合に潅流ライン40は、流体連通管路もしくは管42と、当該第2潅流ライン44を開閉する典型的には(不図示の)ピンチバルブである制御バルブを提供すべく以下において更に詳細に示される如くポンプ・カートリッジ30を横切って延在する第2潅流ライン44とに対して接続される。その場合に潅流ライン44は、眼科手術において使用される水晶体超音波乳化吸引(水晶体用)ハンドピースまたは他の潅流デバイスなどの手術用ハンドピースに対して最終的に接続される更なる所定長さの管材46に対して接続される。ポンプ・カートリッジ30に対しては、手術用ハンドピースからの吸引物を搬送する吸引ライン48も接続される。
【0011】
図3は、ライン48を介して(不図示の)収集バッグへと吸引物を圧送すべく各ローラ16と裏当てプレート18の表面20と協働する手術用弾性管材50の詳細図を提供するためにポンプ・カートリッジ30の上側部分32が部分的に破断されたことを除き、図2と同様のものである。ハウジング20に対して移動もしくは並進するポンプ・ヘッド14の主な利点のひとつは、図3に示された如くポンプ・ヘッド14が開き位置にあるときに手術用管材50はポンプ・ヘッド14と裏当てプレート18との間に容易に挿入されることである。管材50のループがポンプ・ヘッド14を容易に通過する如く、ポンプ・ヘッド14は所定位置とされねばならない。
【0012】
扉もしくは引出し24が閉じられると共にポンプ・ヘッド14が図3に示された開き位置から図4に示された動作位置もしくは閉じ位置まで並進され、且つ、ポンプ・ヘッド14が回転されるとき、各ローラ16および裏当てプレート表面20は協働して管材50を圧縮することで、手術部位から該管材50および48を介して吸引物を蠕動的に圧送する。吸引物は、管48を通り管50に至ると共に突起管38を出て不図示の収集バッグに流入する。カートリッジもしくはカセット保持用引出し24が図3の開き位置から図4の動作位置まで移動した後でポンプ・ヘッド14は、該ポンプ・ヘッド14が回転されるにつれて各ローラ16と裏当てプレート表面20とが協働することで所定長さの管材50を介して吸引物を蠕動的に圧送する如く、裏当てプレート18に向けて移動される。付加的管材48は典型的には、手術の間に患者の眼球から当該付加的管材を介して吸引物を蠕動的に圧送するために、水晶体超音波乳化吸引用ハンドピースなどの手術用吸引デバイスに対して接続される。
【0013】
この様に、裏当てプレート18とハウジング12とに対してポンプ・ヘッド14を移動させることでポンプ・カートリッジ30に取付けられた所定長さの手術用管材50が各ローラ16と裏当てプレート表面20との間に容易に挿入されることが理解され得る。本発明は先行技術に見られる如き複雑な挿通機構(threading mechanisms)に頼らず、且つ、本発明によれば、これもまた先行技術に見出される如くポンプ・ヘッドを横切る管材を緊張延伸させるためにポンプ・カートリッジ30を把持してポンプ・ヘッドから引き離す必要はない。
【0014】
図5は、本発明の更なる発明的見地である空気連通位置に在るポンプ10を示している。図5は、図3の開き位置および図4の動作位置と異なる、と言うのも、ポンプ・ヘッド14は図3および図4に示された夫々の位置の中間の位置に在るからである。すなわち、ポンプ・ヘッド14は裏当てプレート18から十分な距離だけ離間して移動されていることから、閉塞の発生時に管材50および48は空気連通され得る。作動時において医師が吸引ライン48内において又は自身の水晶体用ハンドピースの先端部にて閉塞に遭遇したとき、医師は典型的には(いずれも不図示の)制御パネル上のボタンを起動し、または、足踏みペダルを解放し、または、ソフトウェア制御器をトリガすることで、ポンプ・ヘッド14は図5に示された如く裏当てプレート18から瞬間的に離間移動される。たとえば真空の大幅な変化が検出されたときに上記ヘッドは降下されることで、ユーザ入力に関わらず、閉塞後のサージ(surge)が回避される。この一時的なポンプ・ヘッド移動によれば、吸引経路において高められた真空は、上記動作位置において各ローラ16および裏当てプレート18により生成された挟持箇所を解消することにより解放される。これにより真空は、(不図示の)収集バッグ内に含まれた空気により解放され得る。ポンプ・ヘッド14は好適には、瞬間的にのみ、且つ、典型的には1秒未満などの真空を解放するに十分な時間のみに亙り、裏当てプレート18から離間移動される。ポンプ・ヘッド14が図5の空気連通位置に長期に亙り留まるのを許容することは望ましくない、と言うのも、ライン50および48内における全ての吸引物が吸引デバイスから眼球内へと戻り漏出し始めるからである。もちろん、公知の如く開放連通の間に吸引ラインを閉じるためにピンチバルブが機能するのであれば、このことは問題でない。
【0015】
図6は、ボシュロム社(Bausch & Lomb)から入手可能なMillenium(商標)システムなどの眼科手術システムと共に使用されるポンプ10のブロック図を示している。上記システムは典型的に、当該ポンプ10の動作を制御する制御コンソール52に取入れられたポンプ10を含む。図6はまた、BSSボトル54などの潅流源に接続された潅流ライン40も示している。これに加え、眼科手術用ハンドピース56に対する潅流ライン40および吸引ライン48の接続も示されている。ハンドピース56は典型的には、白内障部分60を除去すべくまたは他の眼科手術を実施するために眼球58内に挿入された水晶体用デバイスである。吸引ラインを空気連通させるこの簡素な方法によれば、ハンドピース56、吸引用管材48および吸引用管材ループ50により画成される吸引経路から真空が迅速かつ効率的に除去され得る。典型的に先行技術は、一端において大気に対して開かれると共に他端にては吸引ラインに接続された短寸区画の管材と組み合わされたピンチバルブを使用する。
【0016】
移動可能なポンプ・ヘッドの利点を用いることによる本発明のひとつの見地によれば、空気連通のための先行技術のピンチバルブが排除され得る(従って、製造のコストが低減され得る)と共に、非常に短時間内に開放連通が行われ得る。この短い開放連通の持続時間によれば、上記吸引ラインに対して導入される空気の量が減少されると共に、先行技術と比較して上記吸引経路を通る吸引物の不都合なサージの制御が助力される。上記の本発明の空気連通の特徴を記述する別の方法は、各ローラ16と裏当てプレート18との間の挟持を解除することにより管材が開放連通される如く、ポンプ・ヘッド14または裏当てプレート18が管材挟持もしくは係合位置から管材開放連通位置へと移動可能である、と表現することである。本発明の一実施例においては、各ローラ16が回動している間にポンプ・ヘッド14は開放連通位置へと移動可能である。他の実施例において上記ポンプ・ヘッドは、開放連通位置へと移動する前に完全に停止し得る。
【0017】
図7は、ポンプ・カートリッジ30の分解斜視図である。ポンプ・カートリッジ30は、ハンドル34を備えた上側部分32を含む成形ハウジング62を含んでいる。各フック36は好適には、開口66を介して収集バッグ64を保持する。理解され得る如く吸引ライン48もまた、突起管70にてポンプ・ハウジング62に接続されるべく開口68を貫通通過する。収集バッグ64は好適には、突起管38を介して手術部位から吸引物を収集するために撓曲可能で液密な材料で形成される。好適には収集バッグ64はナイロンおよびポリエチレンの共層で形成されることにより、以下において詳細に記述される如く継手に対して容易に接続され得るという強固であり乍らも安価なバッグが提供される。収集バッグ64は更に厳密には収集バッグ・アセンブリ64である、と言うのも、収集バッグ64に対しては以下に詳述される継手が取付けられるからである。当業者であれば、収集バッグ64は、堅固なカセット、または、ボトル、または、手術部位から吸引物を収集するに適した他のリザーバなどの他の形式の容器ともされ得ることを理解し得よう。収集バッグ64は少なくとも一方の眼球における典型的な手術に起因する吸引物を保持するに十分なほど大寸であることも好適である。
【0018】
先行技術において公知である如く、上記吸引経路における閉塞の発生および真空度の増大時における管材48の潰れを防止して最小限とすべく、吸引物ライン48は可及的に非弾性的であり即ち可及的に強靱かつ堅固であることが好適である。ハウジング62は好適には開口71および72も含むことで、業界公知であるように(不図示の)ピンチバルブの動作を可能にする。開口71に関するピンチバルブの動作は、以下に詳述される。開口72は、潅流ライン40および44と組み合わされる。典型的には、ポンプ10のピンチバルブは開口72を貫通通過して潅流用管材44の開閉を行うことで、潅流ライン40および46を通り不図示のハンドピースに至るBSSの流れを制御する。潅流ライン40の端部74は典型的には、図6において先に示された如くBSSボトルに対して接続される。吸引ライン48の端部76および潅流ライン46の端部78は典型的には、手術で使用される水晶体用ハンドピースの如き手術用ハンドピースに対して接続される。
【0019】
図8は、潅流ライン40、流体連通ライン42、潅流ライン44および46、吸引ライン48および収集バッグ64を含めて完全に組立てられたポンプ・カートリッジ30の斜視図を示している。
【0020】
図9は、図7および図8に示された側の逆側となるカートリッジ30およびハウジング62の正面図である。圧送ループ50は、突起管38を介して上記収集バッグに接続された一端82と、吸引ライン48およびダイヤフラム圧力変換器アセンブリ80の両方に接続された他端84とを備えて示される。圧力変換器80は好適には、(図10に別体的に示された)ダイヤフラム90の撓曲により吸引ライン48および管材50内の圧力を検出する。ダイヤフラム90は、圧力の変化を表すべく撓曲する。ダイヤフラム90は、550mmHg[水銀ミリメートル](73.3kPa)において1インチの5/1000(0.127mm)だけ撓曲し得る。好適にはハウジング62は、図9に示された如く上記カートリッジ内の所定長さの管材を保持するために該ハウジング内に成形された管ホルダ84を含む。
【0021】
潅流ライン42および開口71は不図示のピンチバルブと協働することで、コンソール52により命令されたときに圧力変換器80を流体的に開放連通する。上記ピンチバルブは、圧力変換器80に対する潅流流体の流れを制御すべく作用する。手術用ハンドピースの吸引ポートが組織により閉成もしくは閉塞されたとき、手術されつつある眼球内に生じる閉塞によって典型的には高真空が引き起こされる。閉塞が生じたときにポンプ・ヘッド14は、吸引経路を介して収集バッグ64内へと吸引物の圧送を試行し続ける。
【0022】
上記に説明された如く、管材ループ50は上記ポンプ・ヘッドの移動により空気連通され得る。当然乍ら管材50は上記裏当てプレートの移動によっても空気連通され得るが、このことは示されていない。当業者であれば、ポンプ・ヘッド14から離間する裏当てプレート18の移動によって管材50が挟持解除され、従って該管材50が収集バッグ64からの空気に対して開放連通されることで、吸引ライン48と手術用ハンドピースとにおいて生成された真空が解放されることを容易に認識し得よう。一定の状況においては、上記吸引経路を空気ではなく液体に対して開放連通することが好適であり得ると共に、液体連通管42および開口71は不図示のピンチバルブと協働することで流体を圧力変換器80に対して直接的に開放連通する。
【0023】
先行技術は吸引ライン48に対して流体を開放連通することによる流体連通を教示しているが、吸引経路の最も柔軟な部分、および、最も大きな体積(the most volume)を変位させる部分は圧力変換器80である。圧力変換器80に対して流体を直接的に開放連通することにより、最も柔軟である吸引経路の部分であって閉塞の発生と同時に最も大きな体積変位を生じる部分は、圧力変換器80に対して流体を直接的に開放連通することで最も迅速に安定化される。圧力変換器80に対して直接的に開放連通を行うと、非常に望ましくない閉塞後サージが最小限とされ、且つ、上記吸引経路は先行技術において公知であるよりも更に迅速に安定化されると考えられる。圧力変換器80は好適には、図6に示された如きハンドピース56と、収集バッグもしくはリザーバ64との間に接続される。これにより圧力変換器80は圧力変換器インタフェース26を介し、上記吸引経路において生じている圧力の正確な読取値をユーザに対して提供する。圧力変換器80は好適には米国特許第5,746,719号および第5,753,820号に記述されたものと同様であるが、他のダイヤフラム・センサまたは圧電センサの如き他の形式の圧力センサも使用され得る。
【0024】
図10は、ハウジング62、および、該ハウジング62に接続された幾つかの構成要素の分解斜視図を示している。たとえば圧力変換器80は、ハウジング62内に成形された内部体積部分86を含む。これに加えて圧力変換器80は好適には、アーム94を介してハウジング62内に保持された弾性係止リング(snap ring)92を介してダイヤフラム90を内部体積部分86に対し流体的にシールするためのO-リング88を含む。図10はまた、圧力変換器80に対する流体連通管路もしくは管材42の接続も示している。各突起管96に対するポンプ管体50の接続が示される。各突起管96は好適には、ハウジング62内に成形される。各突起管96上の分割ラインであって管材50内からの吸引物漏出に繋がり得る分割ラインの形成を回避するために、各突起管96は単体的に成形されることが好適である。
【0025】
図11乃至図14は、収集バッグ・アセンブリ64に対する取付けのための本発明の継手の2つの実施例を示している。図11は、ポンプ・カートリッジ30と共に使用される本発明の収集バッグ64および継手98の部分的破断図である。継手98は好適には、収集バッグ64に取付けられた長寸コネクタであり、且つ、示された如く継手もしくは突起管38にてカートリッジ62に接続される。継手98は両端部を有する。第1端部はポンプ・カートリッジ30に対して取付けられるように構成され、且つ、第2端部はバッグ64の内部に位置される。収集バッグ64は、接着剤などの先行技術の手段により継手98に対してシールされ得る。但し継手98は好適には収集バッグ64の層を形成する材料と同様のポリエチレン材料で形成され、この様にして収集バッグ64は、該バッグと継手98との間に液密シールを形成する上で接着剤が必要とされない様に、継手98に対して加熱シールされ得る。この結果、有毒な接着剤が排除されると共に、収集バッグ64に対して継手98を取付ける更に簡素で更に効率的な手段が提供される。
【0026】
継手98および収集バッグ64は、ポリエチレン以外の材料で形成することが可能である。但し、接着剤の使用を回避するためには、夫々が本質的に同じ膨張係数を有する材料を使用することが重要である。また熱の導入時に、両方の材料はほぼ同一の温度にて溶融し始めるべきであることから、熱が除去された後は、バッグと継手との間にシールが形成される。継手98は、ポンプ・カートリッジ62からバッグ64の内部への吸引物の流れに対する管路を提供する。
【0027】
継手98の更なる発明的特徴は図12の斜視図に最適に示されると共に、これはノッチ部分100である。図11において理解され得る様にノッチ部分100によれば、上記に説明された如く吸引経路を介して真空引きが行われるときに収集バッグ64が継手98における開口の回りで完全に潰れて該継手98を封鎖し得ないことが確実とされる。このノッチ100によれば、管50、圧力変換器80または吸引ライン48を含む吸引物経路において高められた一切の不適切に高い真空レベルを開放連通するに十分な量の空気が収集バッグ64内に含まれることが確実とされる。先行技術は典型的に、バッグ64内に挿入されるべき発泡体片または弾性ワイヤなどの一定のスペーサ部材の使用に頼っている。継手98におけるノッチ100の配備によればバッグ64内における発泡体または他のスペーサ要素が排除され得ることから、先行技術において可能であるよりも安価で更に効率的に製造される収集バッグが提供される。
【0028】
図13および図14は、図11および図12のノッチ付き継手の代替実施例を示している。図13は継手104において対置された各ノッチ102の構成を示している。継手104はまた好適には、上述された如く加熱シールによりバッグ64を該継手104に対して取付けるために好都合な平坦表面を提供する取付けリング106も含む。継手104はまた突起管38と合致係合すべく構成されると共に、好適には、上述された如くポリエチレンでも形成される。
【0029】
継手98および104によれば、手術の間において収集バッグ64はカートリッジ30から取り外され得る。これは非常に好適である、と言うのも、手術の終了に先立ち収集バッグ64が満杯となることもあるが、収集バッグの交換は、ポンプ10内に新たなカートリッジを載置するよりも更に効率的かつ更に安価だからである。
【0030】
以上、新規なポンプ、カートリッジおよび開放連通方法が示され且つ記述された。当業者にとっては、各請求項の範囲から逸脱しない変形例および代替実施例が明らかであろう。たとえば、当業者にとっては、(上述された如く)裏当てプレートを必要としない先行技術の蠕動ポンプが使用されるとしても、緊張延伸された管材のループに対する応力を単純に瞬間的に解放することで、ポンプ・ヘッド・ローラにより生成される挟持箇所を解消することにより、本発明の空気連通方法は依然として利用され得ることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明に係る蠕動ポンプの部分的斜視図である。
【図2】図2は、上記本発明のポンプの引出しに挿入されたポンプ・カートリッジを備えた図1のポンプを示す図である。
【図3】図3は、上記カートリッジの一部分を除去した図2と同様の図である。
【図4】図4は、上記引出しが閉じられ且つポンプ・ヘッドは管材係合位置とされた図3と同様の図である。
【図5】図5は、ポンプ・ヘッドが管材開放連通位置に移動された以外は図4と同様の図である。
【図6】図6は、手術用コンソールに接続されて手術の間に使用されている本発明に係る蠕動ポンプの使用法を示す部分的ブロック図である。
【図7】図7は、本発明に係る蠕動ポンプ・カートリッジの分解斜視図である。
【図8】図8は、本発明に係るポンプ・カートリッジの斜視図である。
【図9】図9は、本発明に係るポンプ・カートリッジの一部分の正面図である。
【図10】図10は、本発明に係るポンプ・カートリッジの一部分の分解斜視図である。
【図11】図11は、本発明に係る収集バッグ・アセンブリの部分的破断図である。
【図12】図12は、収集バッグが取付けられていない図11の継手の斜視図である。
【図13】図13は、本発明に係る継手の代替実施例の斜視図である。
【図14】図14は、収集バッグとポンプ・カートリッジとに対して取付けられた図13の継手の部分的破断図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ・カートリッジから吸引物収集バッグの内部へと吸引物を流入させる管路を提供する長寸コネクタを備え、
上記コネクタは両端部を有し、第1端部は上記ポンプ・カートリッジに対して取付けられるように構成され、且つ、上記収集バッグの内部に位置決めされる第2端部は当該コネクタにおいて少なくとも一個のノッチを形成すべく構成され、
上記ノッチは、手術の間において医師が吸引経路を空気連通させるのを可能にするのに十分な量の空気が上記バッグ内に留まる様に、手術の間において上記収集バッグが上記管路を封鎖するのを防止すべく作用する、
吸引物収集バッグに対する取付けのための継手。
【請求項2】
当該継手および前記収集バッグは、該バッグと当該継手との間に液密シールを形成するために接着剤が必要とされない様に相互に加熱シールされる、請求項1記載の発明。
【請求項3】
前記両端部間には、前記バッグを当該継手に対してシールするための表面を提供すべくシール・リングが形成される、請求項2記載の発明。
【請求項4】
前記第2端部は該第2端部の両側に形成された2個のノッチを含む、請求項1記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−507252(P2007−507252A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528017(P2006−528017)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/028554
【国際公開番号】WO2005/033512
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】