説明

吹付材料及びそれを用いた吹付工法

【課題】 トンネルにおいて露出した地山面へ吹付ける、初期凝結力を強くすることが可能であり、よりリバウンド量や粉塵量を少なくすることができる吹付材料とそれを用いた吹付工法を提供すること。
【解決手段】 セメントを主成分とするセメントモルタル、急結剤、並びに、シリカを含有してなる吹付材料、さらに、セッコウや、超微粉や、減水剤、凝結遅延剤、及び粉塵低減剤からなる群より選ばれた一種又は二種以上や、繊維状物質を配合してなる吹付材料、該吹付材料を使用する吹付工法を構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、道路、鉄道、及び導水路等のトンネルにおいて露出した地山面へ吹付ける吹付材料及びそれを用いた吹付工法に関する。
本発明においてセメントモルタルとは、ペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル掘削等露出した地山の崩落を防止するために急結剤をコンクリートに配合した急結性吹付コンクリートの吹付工法が行われている(特許文献1)。
【特許文献1】特公昭52−4149号公報 この吹付工法は、通常、掘削工事現場に設置した、セメント、骨材、及び水の計量混合プラントで吹付コンクリートを作り、それをアジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、途中に設けた合流管で、他方から圧送した急結剤と混合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚みになるまで吹付ける工法である。 しかしながら、この工法では、地山に付着せずに落下する量と吹付ける量との割合であるリバウンド(跳ね返り)率が15〜30重量%と多く、また、紛塵も多く作業環境が悪いために塵肺等の影響が心配されるという課題があった。
【0003】
従来より使用されている急結剤としては、カルシウムアルミネートからなる急結剤、カルシウムアルミネートを主体とし、アルカリアルミン酸塩やアルカリ炭酸塩を含有する急結剤、及びカルシウムアルミネートを含まずアルカリアルミン酸塩やアルカリ炭酸塩等を成分とする急結剤等が提案されている(特許文献2〜5)。
【特許文献2】特開昭64− 51351号公報
【特許文献3】特公昭56− 27457号公報
【特許文献4】特開昭61− 26538号公報
【特許文献5】特開昭63−210050号公報 これら急結剤は、セメントの凝結を促進させる働きがあり、吹付けにより地山面に付着することが可能であるが、充分に強い凝結力と地山面への付着力を得ることが困難であり、特に、湧水箇所に吹付けを行った場合等は、急結性吹付コンクリートの付着力が低下し剥落が生じやすいという課題が、また、凝結力や付着力が悪いと、リバウンド率が多くなるという課題があった。 そのため、リバウンド率や紛塵のより少ない工法が求められているが、未だ充分満足できる吹付材料や吹付工法がなく、その改良が強く望まれていた。
【0004】
また、従来より使用されている急結剤を含有したコンクリートは、急結剤を含有していないコンクリートと比較して初期強度の立ち上がりは良好であるが、長期強度は急結剤を含有していないコンクリートよりも30〜50%前後低くなるなど強度発現性が悪くなる傾向があった。
それでも、その初期強度は、従来のNATM工法において地山の崩落を防止するのにほとんどの場合において充分な強度であり、かなり不安定な地山においては、吹付け厚さを大きくとること等で対処されてきた。
しかしながら、吹付け厚さを厚くすることは経済性や作業効率性にあまり好ましくなく、特に、大断面トンネルの掘削においては、経済性や作業効率性を考慮すれば、吹付コンクリートの強度を向上し、吹付け厚みを薄くし、施工時間や掘削サイクルの短縮化が特に必要となる。
【0005】
これまでに、吹付コンクリートの高強度化を達成するための方法としては、セッコウとカルシウムアルミネートをあらかじめ配合し、吹付コンクリートと混合し吹付ける方法が提案されている(特許文献6〜8)。
【特許文献6】特開昭50− 16717号公報
【特許文献7】特開昭50− 16718号公報
【特許文献8】特開昭50− 25623号公報
【特許文献9】特開平 6−316448号公報
【特許文献10】特開昭50− 16717号公報
【特許文献11】特開昭62−191454号公報
【特許文献12】特開平 4−104929号公報
【非特許文献1】(社)日本コンクリート工学協会編、コンクリート便覧、第2版、技報堂出版、1996年2月15日、第554−557頁
【非特許文献2】笠井芳夫,小林正几編、セメント・コンクリート用混和材料、第1版、技術書院、1986年、第326−327頁 しかしながら、これらの方法では、急結剤をセメント100 重量部に対して、10重量部以上添加する必要があり、より高い初期強度を必要とする場合は20重量部以上添加しなければならないという課題があった。 そのため、吹付け途中で作業を中断し、急結剤を追加する必要が生じたり、粉塵の発生量が増加したり、吹付け作業中に急結剤がなくなっ場合はコンクリートが落下して危険となる等の作業性、安全衛生の面や経済性の面で問題が生じるという課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、特定の吹付材料を使用することによって、上記課題を解決できる知見を得て本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、セメントを主成分とするセメントモルタル、急結剤、並びに、含有する酸化ケイ素の固形分換算で、セメント100 重量部に対して、5〜20重量部のシリカのコロイド溶液を含有してなる吹付材料であり、該急結剤が、カルシウムアルミネート、又はカルシウムアルミネートとアルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、硫酸アルカリ、及びアルカリ水酸化物からなる群より選ばれた一種又は二種以上とを含有してなる吹付材料であり、さらに、セッコウや、超微粉や、減水剤、凝結遅延剤、及び粉塵低減剤からなる群より選ばれた一種又は二種以上や、繊維状物質を配合してなる吹付材料であり、該吹付材料を使用することを特徴とする吹付工法であり、セメントとセッコウを主成分とするセメントモルタル、急結剤、並びに、含有する酸化ケイ素又の固形分換算で、セメント100 重量部に対して、5〜20重量部のシリカのコロイド溶液をそれぞれ別々に混合することを特徴とする吹付工法であり、さらに、細骨材率が70%以上であることを特徴とする該吹付工法であり、最大骨材寸法が5mmより大きく、10mm以下の粗骨材を使用することを特徴とする該吹付工法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吹付材料を使用することにより、初期凝結力を強くすることが可能であり、よりリバウンド量や粉塵量を少なくすることができる。
また、セッコウを併用することで、従来の吹付材料よりも初期や長期の強度発現性が良好となるので、吹付厚さが小さくなり、吹付時間が短くなり、吹付量も少なくなるので経済的である。
そして、セメントモルタル側、又は、セメントモルタル側と急結剤側の両方にセッコウを添加することで、急結剤使用量をできるだけ少なくできるので急結剤補給のために、吹付作業を中断する必要がない。
さらに、コンクリートの劣化を促進したり、環境悪化を招くアルカリ成分が無い吹付材料とすることができ、初期凝結を促進するアルカリ成分を含有させる必要もないので、吹付けコンクリートにカルシウムアルミネートを混合させる位置を吐出口よりかなり手前に設置することが可能である。
そのため、混合性が良好となり、粉塵量の低減につながり、作業環境を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、従来の急結剤添加による長期強度の低下を改善し、プレーンコンクリートの強度を大きく上回る高強度急結性吹付コンクリートを得るための、また、より大きい凝結力や地山面への付着力を改善した吹付材料及びその吹付工法に関するものである。
【0010】
本発明で使用するセメントとは、通常市販されている普通、早強、及び超早強等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグを混合した各種混合セメント等が挙げられ、これらを微粉末化したセメントも使用することが可能である。
【0011】
本発明で使用する急結剤としては、カルシウムアルミネート、又はカルシウムアルミネートとアルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、硫酸アルカリ、及びアルカリ水酸化物からなる群より選ばれた一種又は二種以上とが使用することが可能である。
アルミン酸アルカリや炭酸アルカリは、水溶液では強いアルカリ性を示し、吹付けたとき湧水と混ざり、トンネル排水を強いアルカリ性にし環境悪化を招いたり、既設のコンクリート等を劣化させる場合もあり、その場合は、アルミン酸アルカリや炭酸アルカリなどのアルカリを使用しないほうが好ましい。
本発明は、アルカリを使用しなくても充分な初期凝結を得ることができる。
【0012】
本発明で使用するカルシウムアルミネート(以下CAという)とは、初期にコンクリートの凝結を起こさせる急結成分であり、CaO 原料やAlO原料などを使用して、キルンで焼成したり、電気炉で溶融したりするなど熱処理して得られるものである。
また、CAの鉱物成分としては、CaO をC 、AlOをA とすると、CA 、C12A、CA、又はCA等と示されるCA熱処理物を粉砕したもの等が挙げられる。
さらに、CAとしては、その他の鉱物成分としてSiOを含む冶金スラグ等のアルミノケイ酸カルシウム、C12Aの1つのCaO をハロゲン化物、例えば、CaFで置き換えたC11A・CaF、SO成分を含むCA・SO、並びに、Na、K 、及びLiを固溶したCA等も使用可能であり、その他アルミナセメントの使用も可能である。これらのうち、C12A組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質CAの使用が好ましい。
CAの粒度は、ブレーン値で3,000cm/g以上が好ましく、4,000cm/g以上が急結性や初期強度発現性の面から好ましい。
CAの使用量は、セメント100 重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。1重量部未満では初期凝結を起こすことが難しい場合があり、20重量部を越えると長期強度発現性を阻害する場合がある。
【0013】
本発明で使用するアルミン酸アルカリとは、CAと併用して初期凝結を促すものであり、具体的には、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、及びアルミン酸カリウム等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上を併用することが可能である。
アルミン酸アルカリの使用量は、CA100 重量部に対して、0.5 〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましい。0.5 重量部未満では初期凝結を向上することが難しい場合があり、50重量部を越えると長期強度発現性を阻害する場合がある。
【0014】
本発明で使用する炭酸アルカリは、CAと併用して初期の強度を向上させるものであり、アルミン酸アルカリと併用することより急結力が向上する。
炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウム等のアルカリ炭酸塩が使用可能である。
炭酸アルカリの使用量は、CA100 重量部に対して、0.5 〜200 重量部が好ましく、1〜100 重量部がより好ましい。0.5 重量部未満では初期凝結の向上が難しい場合があり、200 重量部を越えると長期強度が低下する場合がある。
【0015】
本発明で使用する硫酸アルカリとは、ナトリウム、カリウム、又はアルミニウムの硫酸塩で、CAと併用して初期凝結を促進させるものであり、具体的には、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウムカリウム(みょうばん)のような複塩が挙げられ、これらの併用も可能である。
硫酸アルカリの使用量は、CA100 重量部に対して、0.5 〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましい。0.5 重量部未満ではセメントの凝結の促進が難しく、50重量部を越えると長期強度発現性を阻害する傾向がある。
【0016】
本発明で使用するアルカリ水酸化物とは、CAと併用して初期凝結を促すものであり、具体的には、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び消石灰等が挙げられ、これらの併用も可能である。
アルカリ水酸化物の使用量は、CA100 重量部に対して、0.5 〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。0.5 重量部未満ではセメントの凝結を促進させることが難しく、20重量部を越えると長期強度発現性を阻害する傾向がある。
【0017】
急結剤の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100 重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましい。1重量部未満では初期凝結を起こすことが難しい場合があり、20重量部を越えると長期強度発現性を阻害する場合がある。
【0018】
本発明で使用するシリカのコロイド溶液又はアルミナのコロイド溶液とは、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの粒子や水和物をコロイド状態で分散させた水溶液であり、セメント成分中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンと凝固反応することにより、初期の硬化が促進される。
酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの粒度は、コロイド粒子の分散性の面から40nm以下が好ましい。
シリカのコロイド溶液(以下コロイダルシリカという)としては、コロイド粒径が10〜20nm、酸化ケイ素が30〜31重量%、酸化ナトリウムが0.6 重量%以下のものが好ましく、一般的に、市販されているものをそのまま使用しても良く、水といかなる割合にも混合するので薄めて使用することも可能である。
また、アルミナのコロイド溶液(以下コロイダルアルミナという)としては、コロイド粒径が10〜30nm、酸化アルミニウムが20〜30重量%、酸化ナトリウムが0.6 重量%以下のものが好ましく、一般的に、市販されているものをそのまま使用しても良く、水といかなる割合にも混合するので薄めて使用することも可能である。
初期の凝結力が強いという面からコロイダルシリカの使用が好ましい。
コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナの使用量は、含有する酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの固形分換算で、セメント100 重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。1重量部未満では初期に充分な凝結力を付与することが困難であり、20重量部を越えると長期強度発現を阻害する傾向がある。
【0019】
本発明で使用するアルカリケイ酸塩水溶液(以下ケイ酸アルカリという)とは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、又はケイ酸リチウムを水に溶解させたもので、セメント成分中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンと凝固反応することにより、初期に硬化が促進される。
一般的には、JISで規定されている1号、2号、及び3号水ガラスが挙げられ、そのまま使用しても良く、場合によっては水で薄めて使用することも可能である。また、粉末状のアルカリケイ酸塩を任意の割合に水に溶解させたケイ酸アルカリの使用も可能であり、その濃度は特に限定されるものではないが10〜60重量%の範囲であれば使用可能である。入手のし易さや価格の面から一般に市販されている水ガラスの使用が好ましい。
ケイ酸アルカリの使用量は、セメント100 重量部に対して、固形分換算で1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。1重量部未満では初期に充分な凝結力を付与することが困難であり、20重量部を越えると長期強度発現を阻害する傾向がある。
【0020】
本発明で使用するセッコウとは、吹付けコンクリートの高強度化のためにセメントモルタル側及び/又は急結剤側に混合するもので、例えば、無水セッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコウが使用可能であり、強度発現性の面から無水セッコウの使用が好ましい。
セッコウの粒度は、通常セメント等に使用される程度、例えば、ブレーン値で3,000cm/g程度で良く、さらに微粉末とすればより好ましい。
セッコウの使用量は、セメント100 重量部に対して、0.3 〜40重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましい。0.3 重量部未満では強度発現性を促進したり、付着力を向上することが難しい場合があり、40重量部を越えると初期凝結が遅れ地山に対する付着力が低下する場合があり、また、長期に膨張してコンクリートが破壊する場合がある。
また、急結剤側に併用する場合は、CA100 重量部に対して、10〜200 重量部が好ましく、50〜150 重量部がより好ましく、急結剤側とセメントモルタル側の両方に併用する場合は、使用するセッコウの合計がセメント100 重量部に対して、0.3 〜40重量部の範囲に入るように調整して使用することができる。
【0021】
本発明のセメントモルタルは、水を混合しない乾燥状態のドライセメントモルタル、水と混合したセメントモルタルいずれも使用可能である。
水の使用量は、水・セメント比(W/C)35〜60重量%が好ましく、40〜50重量%がより好ましい。35重量%未満ではミキサーで充分混練りすることが難しく、60重量%を越えると強度が出にくく急結剤の使用量が多くなる場合がある。
【0022】
本発明では、セメントモルタル側及び/又は急結剤側に、超微粉及び/又は繊維状物質を併用することが可能である。
【0023】
本発明で使用する超微粉とは平均粒径10μm以下もので、セメント量の低減、粉塵の低減、コンクリートの圧送性の向上を可能とするもので、具体的には、微粉スラグ、フライアッシュ、ベントナイト、カオリオン、及びシリカフューム等の超微粉が使用可能である。また、本発明では場合により、平均粒径が10μmを越える微粉の使用も可能である。
超微粉の使用量は、セメント100 重量部に対して、1〜100 重量部が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。1重量部未満では効果がなく、100 重量部を越えると凝結や硬化が遅れる場合がある。
【0024】
本発明で使用する繊維状物質は、無機質、有機質いずれも使用可能であり、吹付コンクリートの耐衝撃性や弾性を向上させるものであり、具体的には、無機質の場合、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、石綿、セラミック繊維、及び金属繊維等が挙げられ、有機質の場合は、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ、麻、木毛、及び木片等が挙げられる。
繊維状物質の長さは、50mm以下が通常使用され、圧送性や混合性などを考慮すると30mm以下が好ましい。
繊維状物質の使用量は、セメント100 重量部に対して、0.5 〜7重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。0.5 重量部未満では効果がなく、7重量部を越えると吹付コンクリートの強度発現性を阻害する可能性がある。
【0025】
さらに本発明では、セメントモルタル側に、減水剤、凝結遅延剤、及び粉塵低減剤からなる群より選ばれた一種又は二種以上の混和材を併用することが可能である。
【0026】
本発明で使用する減水剤は、セメントモルタルの流動性を改善する目的で使用するもので、液状のもの、粉状のものいずれも使用可能であり、具体的には、ポリオール誘導体やリグニンスルホン酸塩又はその誘導体などが挙げられ、高強度発現性を付与する面から高性能減水剤を使用することが好ましく、吹付け厚さを減少化でき、急結力も向上し、急結剤添加量の低減もはかることができる。
また、粉塵の発生量も低減でき、リバウンド率が極めて少なくなり、吹付け量を効率よく向上できる。
ここで、高性能減水剤としては、アルキルアリルスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、及びポリカルボン酸系高分子化合物からなる群より選ばれた一種又は二種以上の使用が可能であり、液状又は粉状どちらでも使用できる。
高性能減水剤の使用量は、固形分としてセメント100 重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.1 〜3重量部がより好ましい。0.05重量部未満では効果がなく、5重量部を越えるとセメントモルタルの粘性が強すぎ、施工性が悪化する場合がある。
【0027】
さらに、セメントモルタルの凝結時間を調節する面から、有機酸類や炭酸アルカリなどの凝結遅延剤を併用することも可能である。
有機酸類としては、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、及び乳酸又はその塩等が使用可能である。
有機酸類の使用量は、セメント100 重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましい。0.01重量部未満では効果がなく、3重量部を越えると硬化が遅延されすぎ硬化不良となる場合がある。
炭酸アルカリの使用量は、セメント100 重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましい。
凝結遅延剤として、有機酸類と炭酸アルカリを併用した場合の凝結遅延剤の使用量は、セメント100 重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
【0028】
本発明で使用する粉塵低減剤とは、急結性吹付コンクリートに粘性を与え、コンクリートの圧送性を改善したり、吹付けたときのコンクリートのだれを防止したり、リバウンドを低減したり、粉塵発生を抑制する効果があり、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルエチルセルロース等のセルロースエーテル類、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、及びカゼイン等の天然高分子化合物類、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、及び不飽和カルボン酸等のビニル重合体又はこれらの共重合体、並びに、酢酸ビニル重合体又はその共重合体をケン化しポリビニルアルコール骨格に変性したもの等のエマルジョン等が挙げられ、そのうち、メチルセルロース等のセルロースエーテル類の使用が好ましい。
粉塵低減剤の使用量は、セメント100 重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜0.5 重量部がより好ましい。0.01重量部未満では効果がなく、1重量部を越えると吹付コンクリートの強度発現性を阻害する傾向がある。
【0029】
本発明で使用する骨材は、吸水率が低くて、骨材強度が高いものが好ましいが、特に制限されるものではない。
細骨材としては、川砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が使用可能であり、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が使用可能である。
本発明における細骨材率は、リバウンド率や粉塵量の低減を図るために70%以上が好ましい。70%未満だとリバウンド率や粉塵量の低減効果が減少する傾向がある。
また、粗骨材の最大骨材寸法は、5mmより大きく、10mm以下であれば特に制限されるものではない。最大骨材寸法が10mmを越えるとリバウンド率や粉塵量の低減効果が減少する傾向がある。
各骨材の粗粒率は、細骨材で 2.3〜3.1 程度が好ましく、粗骨材で6〜8程度が好ましい。
【0030】
本発明のセメントモルタル側へのセッコウの混合方法は特に限定されるものではないが、あらかじめ、セメントに特定量のセッコウを混合しておく方法や、コンクリートを混練するときにセッコウを添加する方法等が可能である。さらに、JISで規定されているセメント中の三酸化硫黄(SO)の含有率は3.0 〜4.5 重量%程度以下であるので、セメント製造工場でセメント製造時にこのJISの規定値を越える量のセッコウを混合する方法も可能である。
【0031】
本発明の吹付工法においては、従来使用の吹付設備等が使用できる。
本発明では、乾式吹付法や湿式吹付法の両方の吹付工法が可能である。
本発明の吹付工法では、要求される物性、経済性、及び施工性等からペースト、モルタル、及びコンクリートとして吹付けを行うことが可能である。
本発明の吹付工法は特に限定されるものではないが、乾式吹付工法の場合、例えば、セメント、セッコウ、細骨材、粗骨材、及び急結剤を混合し、空気圧送し、途中で、例えば、Y字管の一方から水とコロイダルシリカの混合液を加え、湿潤状態で吹付ける方法、また、セメント、細骨材、粗骨材、及び急結剤を混合して空気圧送し、途中にY字管を二個設け、一方より水、もう一方よりコロイダルシリカを加え、湿潤状態で吹付ける方法なども可能である。
また、湿式吹付工法の場合、例えば、セメント、セッコウ、細骨材、粗骨材、及び水を加えて混練し、空気圧送し、途中にY字管を二個設け、一方から急結剤、もう一方からコロイダルシリカ又はケイ酸アルカリを加え吹付ける方法等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0033】
実施例1
セメント400kg/m、細骨材1,490kg/m、粗骨材378kg/m、及び水160kg/mを単位量とし、細骨材率80%、最大骨材寸法10mmの粗骨材を混合して吹付コンクリートとした。
急結剤としてCAを使用し、吹付コンクリート中のセメント100 重量部に対して、表1に示す急結剤とコロイダルシリカを配合し、10秒間モルタルミキサーで混合して急結性吹付コンクリートを調製した。
この急結性吹付コンクリートを型枠に詰め、プロクター貫入抵抗値を測定した。結果を表1に併記する。
【0034】
<使用材料>
セメント :電気化学工業社製普通ポルトランドセメント
細骨材 :新潟県姫川産砂、表乾状態、比重2.61
粗骨材 :新潟県姫川産砂利、表乾状態、比重2.65
CA:主成分C12A、ブレーン値5,900cm/g
コロイダルシリカ:平均粒径15nm、化学組成SiO30重量%、NaO 0.4重量%
<測定方法>
プロクター貫入抵抗値:練り混ぜて得られた急結性コンクリートを5×20×20cm の型枠に素早く詰め、急結剤が添加された時点から、45、60、及び90秒後のプ ロクター貫入抵抗値を測定
【0035】
【表1】

【0036】
実施例2
吹付コンクリート中のセメント100 重量部に対して、表2に示す急結剤とコロイダルアルミナを配合したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0037】
<使用材料>
コロイダルアルミナ:平均粒径18nm、化学組成AlO26重量%、NaO 0.3重量 %
【0038】
【表2】


【0039】
実施例3
吹付コンクリート中のセメント100 重量部に対して、表3に示す急結剤とケイ酸アルカリを配合したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0040】
<使用材料>
ケイ酸アルカリ:水ガラス3号、市販品
【0041】
【表3】

【0042】
実施例4
CA100 重量部と表4に示すアルミン酸アルカリとからなる急結剤を調製し、吹付コンクリート中のセメント100 重量部に対して、調製した急結剤を7重量部、コロイダルシリカを5重量部配合したこと以外は実施例1と同様に行い、プロクター貫入抵抗値を測定した。結果を表4に併記する。
【0043】
<使用材料>
アルミン酸アルカリ:アルミン酸ナトリウム、市販品
【0044】
【表4】

【0045】
実施例5
CA100 重量部と表5に示す炭酸アルカを配合して急結剤を調製したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表5に併記する。
【0046】
<使用材料>
炭酸アルカリ:炭酸ナトリウム、市販品
【0047】
【表5】

【0048】
実施例6
CA100 重量部と表6に示す硫酸アルカリを配合して急結剤を調製したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表6に併記する。
【0049】
<使用材料>
硫酸アルカリ:硫酸ナトリウム、市販品
【0050】
【表6】

【0051】
実施例7
CA100 重量部と表7に示すアルカリ水酸化物を配合して急結剤を調製したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表7に併記する。
【0052】
<使用材料>
アルカリ水酸化物:水酸化ナトリウム、市販品
【0053】
【表7】

【0054】
実施例8
CA100 重量部と、表8に示すアルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、硫酸アルカリ、及びアルカリ水酸化物とを配合して急結剤を調製したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表8に併記する。
【0055】
【表8】

【0056】
実施例9
CA100 重量部、アルミン酸アルカリ10重量部、及び表9に示すセッコウを配合して急結剤を調製したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表9に併記する。
【0057】
<使用材料>
セッコウ :無水セッコウ、ブレーン値5,400cm/g
【0058】
【表9】

【0059】
実施例10
CA100 重量部、アルミン酸アルカリ10重量部、及び炭酸アルカリ20重量部からなる急結剤を調製し、セメント100 重量部に対して、調製した急結剤を7重量部と、表10に示すコロイダルシリカを配合したこと以外は実施例4と同様に行った。結果を表10に示す。
【0060】
【表10】

【0061】
実施例11
セメント100 重量部に対して、表11に示す量の急結剤とコロイダルシリカ5重量部とを使用したこと以外は実施例10と同様に行った。結果を表11に併記する。
【0062】
【表11】

【0063】
実施例12
セメント100 重量部、急結剤7重量部、コロイダルシリカ5重量部、及び表12に示す減水剤を配合したこと以外は実施例10と同様に行った。結果を表12に併記する。
【0064】
<使用材料>
減水剤 :高性能減水剤、主成分ナフタレンスルホン酸ナトリウム、市販品
【0065】
【表12】

【0066】
実施例13
セメント100 重量部、急結剤7重量部、コロイダルシリカ5重量部、及び表13に示す凝結遅延剤を配合したこと以外は実施例10と同様に行った。結果を表13に併記する。
【0067】
<使用材料>
凝結遅延剤I:有機酸類、クエン酸、
凝結遅延剤II:炭酸アルカリ、重炭酸ナトリウム
【0068】
【表13】

【0069】
実施例14
セメント400kg/m、細骨材1,490kg/m、粗骨材378kg/m、及び水160kg/mを単位量とし、細骨材率80%、最大骨材寸法10mmの粗骨材を混合して吹付コンクリートを調整した。
また、CA100 重量部、アルミン酸ナトリウム10重量部、及び炭酸アルカリ20重量部を配合して急結剤を調製した。
調製した吹付コンクリートをコンクリート圧送機「アリバー280 」を用いて圧送し、途中にY字管を二個設け、一方より、セメント100 重量部に対して、コロイダルシリカ5重量部となるようにポンプで圧送し、他の一方より調製した急結剤を、セメント100 重量部に対して、7重量部となるように圧送、合流混合して急結性吹付コンクリートとし、4m/hの条件で吹付施工を実施し、圧縮強度を測定した。結果を表14に示す。
【0070】
<測定方法>
圧縮強度 :調整した急結性吹付コンクリートを幅25cm×長さ25cmのプルアウト 型枠と幅50×長さ50×厚さ20cmの型枠に吹付けた。
材齢3時間以下はプルアウト型枠供試体を使用し、プルアウト型枠表面から ピンを急結性吹付コンクリートで被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、そ の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触 面積)の式から圧縮強度を算出した。
材齢1日以降は幅50×長さ50×厚さ20cmの型枠から採取した直径5×長さ10 の供試体を20トン耐圧機で測定
【0071】
【表14】

【0072】
実施例15
吹付コンクリートに表15に示す繊維状物質を配合したこと以外は実施例14と同様に行い、耐衝撃性を測定した。結果を表15に併記する。
【0073】
<使用材料>
繊維状物質a:神戸製鋼社製スチールファイバー、繊維長30mm
繊維状物質b:クラレ社製ビニロン繊維、繊維長10mm
【0074】
<測定方法>
耐衝撃性 :材齢1時間後の吹付コンクリートを厚さ1cm、縦20cm、横20cmに成 形し、平らにならした標準砂の上に置き、重さ100 gの球体を50cmの高さから 落下し、落下回数5回以内で破壊した場合を×、ひびが入ったものを△、ひび が入らないものを○とした。
【0075】
【表15】

【0076】
実施例16
吹付コンクリートに表16に示す超微粉を混合したこと以外は実施例14と同様に行い、リバウンド率を測定した。結果を表16に併記する。
【0077】
<使用材料>
超微粉A :市販微粉スラグ、ブレーン値6,500cm/g
超微粉B :シリカフューム、市販品
【0078】
<測定方法>
リバウンド率:(付着せず落下した吹付コンクリート重量/全吹付量)×100
【0079】
【表16】

【0080】
実施例17
吹付コンクリートに表17に示す粉塵低減剤を混合したこと以外は実施例14と同様に行い、粉塵量とリバウンド率を測定した。結果を表17に併記する。
【0081】
<使用材料>
粉塵低減剤:主成分メチルセルロース
【0082】
<測定方法>
粉塵量 :4m/hの吹付速度で30分吹付けし、10分毎に吹付場所より3mの定 位置で測定した。
【0083】
【表17】

【0084】
実施例18
セメント400kg/m、細骨材1,490kg/m、及び粗骨材378kg/mを単位量とし、細骨材率80%、最大骨材寸法10mmの粗骨材を混合してドライの吹付コンクリートを調製した。
また、CA100 重量部、アルミン酸ナトリウム10重量部、炭酸アルカリ20重量部を配合して急結剤を調製した。
調製した吹付コンクリートをベルトコンベアで吹付機に搬入し、ベルトコンベア上で、調製した急結剤を、セメント100 重量部に対して7重量部、ドライコンクリートに添加した。
この急結剤を添加したドライコンクリートを吹付機から空気圧送し、Y字管を二個設け、一方より水をW/C=40%となるように加え、他の一方よりセメント100 重量部に対して、コロイダルシリカ5重量部となるように圧送し、合流混合させ乾式吹付施工を実施した。
その結果、配管の閉塞等のトラブルもなく吹付施工を実施することができた。結果を表18に示す。
【0085】
【表18】

【0086】
実施例19
セメント400kg/m、細骨材1,490kg/m、粗骨材378kg/m、水160kg/mを単位量とし、細骨材率80%、最大骨材寸法10mmの粗骨材と、セメント100 重量部に対して、セッコウ10重量部を混合して吹付コンクリートを調製した。
調製した吹付コンクリート中のセメント100 重量部に対して、CAからなる急結剤を10重量部、表19に示すコロイダルシリカを混合し、10秒間モルタルミキサーで混合して急結性吹付コンクリートを調製した。
この急結性吹付コンクリートを型枠に詰め、プロクター貫入抵抗値と圧縮強度を測定した。結果を表19に併記する。
【0087】
【表19】

【0088】
実施例20
セメント100 重量部、急結剤10重量部、コロイダルシリカ5重量部、及び表20に示すセッコウを混合したこと以外は実施例19と同様に行った。結果を表20に併記する。
【0089】
【表20】

【0090】
実施例21
セメント100 重量部、表21に示す急結剤、コロイダルシリカ5重量部、及びセッコウ10重量部を混合したこと以外は実施例19と同様に行った。結果を表21に併記する。
【0091】
【表21】

【0092】
実施例22
セメント100 重量部、コロイダルシリカ5重量部、急結剤10重量部、及びセッコウ10重量部を混合し、セメントの単位量を変更して、セメント100 重量部に対して、表22に示す水を混合したこと以外は実施例20と同様に行った。結果を表22に併記する。
【0093】
【表22】

【0094】
実施例23
セメント100 重量部、コロイダルシリカ5重量部、急結剤10重量部、セッコウ10重量部、及び表23に示す減水剤を混合したこと以外は実施例20と同様に行った。結果を表23に併記する。
【0095】
【表23】

【0096】
実施例24
セメント100 重量部に対して、セッコウ10重量部を混合した吹付コンクリートを調製し、セメント100 重量部に対して、コロイダルシリカを5重量部、CAからなる急結剤を10重量部となるように圧送、合流混合したこと以外は実施例14と同様に行った。結果を表24に示す。
【0097】
【表24】

【0098】
実施例25
吹付コンクリートに表25に示す繊維状物質を配合したこと以外は実施例24と同様に行い、耐衝撃性を測定した。結果を表25に併記する。
【0099】
【表25】

【0100】
実施例26
吹付コンクリートに表26に示す超微粉を混合したこと以外は実施例24と同様に行い、リバウンド率を測定した。結果を表26に併記する。
【0101】
【表26】

【0102】
実施例27
吹付コンクリートに表27に示す粉塵低減剤を配合したこと以外は実施例26と同様に行い、粉塵量とリバウンド率を測定した。結果を表27に併記する。
【0103】
【表27】

【0104】
実施例28
セメント100 重量部に対して、セッコウ10重量部とCAからなる急結剤10重量部を混合してドライの急結性吹付コンクリートを調製し、セメント100 重量部に対して、コロイダルシリカ5重量部添加したこと以外は実施例18と同様に行った。
その結果、配管の閉塞等のトラブルもなく吹付施工を実施することができた。結果を表28に併記する。
【0105】
【表28】

【0106】
実施例29
セメント400kg/m、細骨材1,490kg/m、粗骨材378kg/m、水160kg/mを単位量とし、細骨材率80%、最大骨材寸法10mmの粗骨材と、セメント100 重量部に対して、セッコウ10重量部を混合して吹付コンクリートを調製した。
調製した吹付コンクリートをコンクリート圧送機「アリバー280 」を用いて10m圧送し、急結剤を供給するY字管をコンクリート圧送機の吐出口から1mの位置に接続し、急結性吹付コンクリート出口先端から1mの位置にコロイダルシリカを供給するY字管を接続し、それぞれ、セメント100 重量部に対して、コロイダルシリカは5重量部となるようにポンプで圧送し、CAとからなる急結剤は10重量部となるように圧送、合流混合して急結性吹付コンクリートとし、4m/hの条件で吹付施工を実施し粉塵量を測定した。その結果、粉塵量は5.2mg/mで、吹付状況は良好であった。
【0107】
実施例30
セメント100 重量部、CAからなる急結剤10重量部、及び表29に示すケイ酸アルカリを混合したこと以外は実施例19と同様に行った。結果を表29に併記する。
【0108】
【表29】

【0109】
実施例31
セメント100 重量部、表30に示すセッコウ、ケイ酸アルカリ5重量部、及び急結剤10重量部を混合したこと以外は実施例30と同様に行った。結果を表30に併記する。
【0110】
【表30】

【0111】
実施例32
セメント100 重量部、セッコウ10重量部、ケイ酸アルカリ5重量部、及び表31に示す急結剤を混合したこと以外は実施例30と同様に行った。結果を表31に併記する。
【0112】
【表31】

【0113】
実施例33
セメント100 重量部、ケイ酸アルカリ5重量部、急結剤10重量部、及びセッコウ10重量部を混合し、セメントの単位量を変更して、セメント100 重量部に対して、表32に示す水を混合したこと以外は実施例30と同様に行った。結果を表32に併記する。
【0114】
【表32】

【0115】
実施例34
セメント100 重量部、セッコウ10重量部、ケイ酸アルカリ5重量部、急結剤10重量部、及び表33に示す減水剤を混合したこと以外は実施例30と同様に行った。結果を表33に併記する。
【0116】
【表33】

【0117】
実施例35
セメント100 重量部、セッコウ10重量部、ケイ酸アルカリ5重量部、急結剤10重量部、及び表34に示す凝結遅延剤を混合したこと以外は実施例30と同様に行った。結果を表34に併記する。
【0118】
<使用材料>
凝結遅延剤III:炭酸アルカリ、炭酸ナトリウム、
【0119】
【表34】

【0120】
実施例36
セメント100 重量部に対して、セッコウ10重量部を混合した吹付コンクリートを調製し、セメント100 重量部に対して、ケイ酸アルカリを5重量部、CAからなる急結剤を10重量部となるように圧送、合流混合したこと以外は実施例14と同様に行った。結果を表35に示す。
【0121】
【表35】

【0122】
実施例37
吹付コンクリートに表36に示す繊維状物質を配合したこと以外は実施例36と同様に行い、耐衝撃性を測定した。結果を表36に併記する。
【0123】
【表36】

【0124】
実施例38
吹付コンクリートに表37に示す超微粉を混合したこと以外は実施例36と同様に行い、リバウンド率を測定した。結果を表37に併記する。
【0125】
【表37】

【0126】
実施例39
セメント100 重量部、セッコウ10重量部、ケイ酸アルカリ5重量部、急結剤10重量部、及び表38に示す粉塵低減剤を混合したこと以外は実施例30と同様に行い、粉塵量及びリバウンド率を測定した。結果を表38に示す。
【0127】
【表38】

【0128】
実施例40
セメント100 重量部に対して、セッコウ10重量部とCAからなる急結剤10重量部を混合してドライの急結性吹付コンクリートを調製し、セメント100 重量部に対して、ケイ酸アルカリ5重量部を添加したこと以外は実施例28と同様に行った。
その結果、配管の閉塞等のトラブルもなく吹付施工を実施することができた。結果を表39に併記する。
【0129】
【表39】

【0130】
実施例41
コロイダルシリカの代わりにケイ酸アルカリを使用したこと以外は実施例29と同様に行った。その結果、粉塵量は5.0mg/m、吹付け状況は良好であった。
実施例42
吹付コンクリートの細骨材率を表40に示すように配合したこと以外は実施例24と同様に行い、リバウンド率を測定した。結果を表40に併記する。
【0131】
【表40】

【0132】
実施例43
細骨材率を80%とし、表41に示す最大寸法の粗骨材を用いたこと以外は実施例42と同様に行い、リバウンド率を測定した。結果を表41に併記する。
【0133】
【表41】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、急結剤、並びに、含有する酸化ケイ素の固形分換算で、セメント100 重量部に対して、5〜20重量部のシリカのコロイド溶液を含有してなる吹付材料。
【請求項2】
急結剤が、カルシウムアルミネート、又はカルシウムアルミネートと、アルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、硫酸アルカリ、及びアルカリ水酸化物からなる群より選ばれた一種又は二種以上とを含有することを特徴とする請求項1記載の吹付材料。
【請求項3】
セッコウを配合してなる請求項1又は2記載の吹付材料。
【請求項4】
超微粉を配合してなる請求項1〜3のうちの1項記載の吹付材料。
【請求項5】
繊維状物質を配合してなる請求項1〜4のうちの1項記載の吹付材料。
【請求項6】
減水剤、凝結遅延剤、及び粉塵低減剤からなる群より選ばれた一種又は二種以上を配合してなる請求項1〜5のうちの1項記載の吹付材料。
【請求項7】
請求項1〜6のうちの1項記載の吹付材料を使用することを特徴とする吹付工法。
【請求項8】
セメントとセッコウを主成分とするセメントモルタル、急結剤、並びに、含有する酸化ケイ素の固形分換算で、セメント100 重量部に対して、5〜20重量部のシリカコロイド溶液をそれぞれ別々に混合することを特徴とする吹付工法。
【請求項9】
細骨材率が70%以上であることを特徴とする請求項7又は8記載の吹付工法。
【請求項10】
最大骨材寸法が5mmより大きく10mm以下の粗骨材を使用することを特徴とする請求項7〜9のうちの1項記載の吹付工法。

【公開番号】特開2006−290739(P2006−290739A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149103(P2006−149103)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【分割の表示】特願平8−258887の分割
【原出願日】平成8年9月30日(1996.9.30)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】