説明

呈味が改善された医薬組成物又は健康食品

【課題】呈味が改善された医薬組成物又は健康食品を提供すること。
【解決手段】苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインとを含有することを特徴とする苦味及び/又は酸味が改善された医薬組成物又は健康食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呈味が改善された医薬組成物又は健康食品に関する。さらに詳しくは、苦味及び/又は酸味が改善された医薬組成物又は健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品に用いる有効成分には、酸味、苦味、辛み、エグ味などの経口服用時に不快感を伴う成分が多く、不快な味の低減は製剤上の大きな課題となっている。
そこで、従来から、苦味等の不快な味の低減化法としては、例えば、甘味剤及び香料剤を添加する方法(特許文献1、2)、マイクロカプセル化、及び胃溶性コーティング剤による粉末コーティング剤を用いる方法(特許文献3〜5)、薬物を化学修飾する方法、包接化合物を添加する方法(特許文献6)等様々な方法が知られていた。
【0003】
しかしながら、いずれの方法でも、苦味などの不快な味を充分に抑制することがむずかしく、また限られた薬物にしか用いることができない、コーティング液を多量に必要とし、また製剤工程も複雑であるなどの欠点を有しているものもある。
【0004】
さらに、上記の方法の他に、苦味を有する薬物に、油脂成分を添加する方法、特にレシチン(ホスファチジルコリン)又はケファリンの単独又は混合物を添加する方法(特許文献7)やレシチン(ホスファチジルコリン)を添加する方法(特許文献8)、その他に、マンニトールと乳糖を添加する方法(特許文献9)、メントールを添加する方法(特許文献10)、ケイ酸類に薬物を吸着させ苦味を軽減する方法(特許文献11)も提案されている。しかしながら、上記のような方法でも完全には苦味などの不快な味を低減するには十分とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−56416号公報
【特許文献2】特開2000−103746号公報
【特許文献3】特開平3−130214号公報
【特許文献4】特開平5−163163号公報
【特許文献5】特開2000−53563号公報
【特許文献6】特開平3−236316号公報
【特許文献7】特公昭55−8966号公報
【特許文献8】特開昭62−265234号公報
【特許文献9】特開平9−143100号公報
【特許文献10】特開2000−95707号公報
【特許文献11】特開昭63−243035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、呈味が改善された医薬組成物又は健康食品を提供することを目的とする。さらに詳しくは、苦味及び/又は酸味が改善された医薬組成物又は健康食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインとを含有させることにより、生理活性物質の苦味及び/又は酸味を顕著に低減、緩和することができることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1] 苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインとを含有することを特徴とする、苦味及び/又は酸味が改善された医薬組成物又は健康食品、
[2] 苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質が、苦味及び/又は酸味を有する薬剤又はその薬理学的に許容される塩である前記[1]に記載の医薬組成物又は健康食品、
[3] 苦味及び/又は酸味を有する薬剤又はその薬理学的に許容される塩が、生薬である前記[2]に記載の医薬組成物又は健康食品、
[4] 苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質が、霊芝、延命草、イチョウ葉、シークワーサー及びクエン酸からなる群から選ばれる1以上である前記[1]に記載の医薬組成物又は健康食品、
[5] さらに、甘味剤及び/又は香料を含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品、
[6] γ−シクロデキストリンの含有量が10〜80重量%である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品、
[7] ゼインの含有量が1〜20重量%である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品、及び
[8] 顆粒剤、粉剤、細粒剤、ドライシロップ剤及び錠剤からなる群から選ばれる形態である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医薬組成物又は健康食品は、苦味及び/又は酸味が顕著に低減、緩和され、服用しやすいという特長を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いるγ−シクロデキストリン(以下、γ−CDと略称することもある。)は、公知の方法により製造することができる。そのようなγ−シクロデキストリンを製造する方法としては、特に限定されないが、例えば特公平07−032715号公報に記載されている方法等が挙げられる。具体的には、デンプンあるいはデンプン質の構造を変化させ、不溶性のα化デンプンを調製し、不溶性のα化デンプンあるいはデンプン質にシクロデキストリン合成酵素を適当な条件下で直接作用させることで、シクロデキストリンを回収することができる。未反応のデンプンの除去方法等も公知の方法でよく、特に制限はない。また、γ−シクロデキストリンは、市販品を用いてもよい。本発明の医薬組成物又は健康食品におけるγ−シクロデキストリンの含有量は、特に限定されないが、医薬組成物又は健康食品全体に対して、10〜80重量%程度が好ましく、12〜60重量%程度がさらに好ましく、15〜50重量%程度が特に好ましい。
【0011】
本発明に用いるゼインとは、トウモロコシの種子に含まれる水不溶性タンパク質をいう。本発明に用いるゼインは、発明の効果を損なわない限り特に限定されず、トウモロコシ由来の天然のゼインであってもよく、特開平10−17595号公報に記載されるような改質ゼインであってもよい。本発明の医薬組成物又は健康食品におけるゼインの含有量は、特に限定されないが、医薬組成物又は健康食品全体に対して、1〜20重量%程度が好ましく、2〜18重量%程度がさらに好ましく3〜15重量%程度が特に好ましい。ゼインの含有量が低すぎると、呈味改善効果が少なく、含有量が高すぎると、溶解性の遅延による消化管からの吸収が低下する可能性がある。
【0012】
本発明における苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質とは、経口投与可能な薬剤医薬活性成分であれば特に限定されず、苦味及び/又は酸味を有する薬剤が例として挙げられる。苦味及び/又は酸味を有する薬剤としては、特に限定されないが、滋養強壮保健薬、解熱鎮痛消炎薬、向精神薬、抗不安薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、鎮吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、歯科口腔用薬、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、抗リウマチ薬、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、血液凝固阻止剤、抗悪性腫瘍剤、又はこれらの薬理学的に許容される塩が例として挙げられ、好ましくは滋養強壮保健薬である。薬理学的に許容される塩は、特に限定されず、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が例として挙げられる。薬理学的に許容される酸付加塩としては、特に限定されず、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が例として挙げられ、薬理学的に許容される金属塩としては、特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が例として挙げられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、特に限定されず、モルホリン、ピペリジン等の付加塩が例として挙げられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、特に限定されず、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩等が例として挙げられる。
【0013】
滋養強壮保健薬としては、特に限定されないが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(酢酸d−α−トコフェロール等)、ビタミンB1(ジベンゾイルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩等)、ビタミンB2(酪酸リボフラビン等)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン等)、ビタミンC(アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム等)、ビタミンB12(酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン等)のビタミン、カルシウム、マグネシウム、鉄等のミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖、漢方薬又は生薬等が例として挙げられ、好ましくは漢方薬又は生薬である。漢方薬としては、特に限定されないが、小柴胡湯、柴苓湯、補中益気湯、柴朴湯、牛車賢気丸、加味逍遥散、麦門冬湯、八味地黄丸、大建中湯、小青竜湯、六君子湯、当帰芍薬散、十全大補湯、葛根湯、柴胡桂枝湯、桂枝茯苓丸、釣藤散、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、猪苓湯、温経湯、黄連解毒湯、防巳黄耆湯、五苓散、白虎加人参湯、芍薬甘草湯、半夏白朮天麻湯、人参養栄湯、防風通聖散、半夏瀉心湯、小柴胡湯加桔梗石膏、桂枝加朮附湯、荊芥連翹湯、半夏厚朴湯、加味帰脾湯、温清飲、清肺湯、大黄甘草湯、十味敗毒湯、当帰飲子、辛夷清肺湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、麻黄附子細辛湯、乙字湯、安中散、葛根湯加川キュウ辛夷、桔梗湯、桂枝湯、桂枝加芍薬湯、小建中湯、消風散、清上防風湯、治頭瘡一方、桃核承気湯、人参湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、苓桂尤甘湯等のエキスが例として挙げられる。生薬としては、特に限定されず、植物性生薬、動物性生薬、鉱物性生薬など天然に存在する生薬のいずれのものでもよく、例えば、蒼朮、厚朴、陳皮、生姜、香附子、縮砂、芍薬、当帰、川キュウ、地黄、茯苓、桂皮、杜仲、人参、鹿茸、延胡索、牡蠣、茴香、良姜、党参(トウジン)、太子参(タイシジン)、西洋参(セイヨウジン)、黄耆(オウギ)、白朮(ビャクジュツ)、山薬(サンヤク)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)、膠飴(コウイ)、黄精(オウセイ)、四葉参(シヨウジン)、サンザシ、神麹(シンキク)、ライフクシ、麦芽、穀芽、鶏内金(ケイナイキン)、タイム、ヨモギ、ローズマリー、延命草、ヒハツ、アロエ、丁字、肉豆寇、山奈、阿魏(アギ)、高麗人参、蓮、決明子、山査子、プアール茶、黄ギ、大ナツメ、ローヤルゼリー、黒小豆、百合、ハッカ、紫蘇、龍眼肉、燕麦、蕎麦、アガリクス、冬虫夏草、菊、土伏苓、当帰、緑豆、羅布麻、紅花、三七人参、霊芝(レイシ)、ベニクスノキタケ(樟芝)、椎茸、菊花、羅漢果、熊笹、杏、和山茱萸、紫陽花、銀杏、五加皮、柿蒂、黄柏、枸杞、栗、桑、月桂樹、鬱金、王瓜、金銀花、槐、馬鞭草、麦門冬、防巳、夏枯草、蒲公英、ヨクイ、淫羊カク、胡桃、何首烏、十薬、茅根、橙皮、鴨跖草、サフラン、当薬、地楡、小連翹、黄蓮、女貞、葛、柏、玉蜀黍、和木瓜、石榴、木賊、苦木、セイヒ、シークワーサー、白菖蒲、白及、茜、天門冬、萎ズイ、山椒、紅草、銀杏、薺ジ、半辺蓮、牡丹皮、桃仁、龍胆、牛膝、茴香、沢瀉、五味子、梓、烏梅、ノコギリヤシ、イチョウ葉、グァバ葉、緑茶等のエキスが好適な例として挙げられ、延命草エキス、霊芝(レイシ)エキス、シイタケエキス、イチョウ葉エキス、アガリクスエキス、シークワーサーが特に好適な例として挙げられる。本発明に用いるエキス抽出物を製造するための抽出手段は、特に限定されず、熱水抽出、冷水抽出、超臨界抽出、溶媒抽出等を用いることが可能であるが、本発明に用いるエキス抽出物は、熱水抽出後、濾過し、濃縮したのち、スプレードライにより、冷却、乾燥した抽出物を用いるのが好ましい。
【0014】
解熱鎮痛消炎薬としては、特に限定されないが、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、無水カフェイン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、サリチルアミド、アミノピリン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシン等が例として挙げられる。向精神薬としては、特に限定されないが、クロルプロマジン、レセルピン等が例として挙げられる。抗不安薬としては、特に限定されないが、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、フルニトラゼパム、ブロチゾラム、エチゾラム、ゾルピーデム、ロラゼパム、アルプラゾラム、クロチアゼパム、タンドスピロン、ブスピロン等が例として挙げられる。抗うつ薬としては、特に限定されないが、イミプラミン、塩酸マプロチリン、アンフェタミン、ミアンセリン、スルピリド、クロミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、アモキサピン、トラゾドン、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、シタロプラム等が例として挙げられる。催眠鎮静薬としては、特に限定されないが、エスタゾラム、ニトラゼパム、ジアゼパム、ペルラピン、フェノバルビタールナトリウム等が例として挙げられる。鎮痙薬には、例えば臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸パパベリン等が含まれる。中枢神経作用薬としては、特に限定されないが、シチコリン等が例として挙げられる。脳代謝改善剤としては、特に限定されないが、塩酸メクロフェニキセート等が例として挙げられる。脳循環改善剤としては、特に限定されないが、ビンポセチン等が例として挙げられる。抗てんかん剤としては、特に限定されないが、フェニトイン、カルバマゼピン等が例として挙げられる。交感神経興奮剤としては、特に限定されないが、塩酸イソプロテレノール等が例として挙げられる。胃腸薬には、特に限定されないが、ジアスターゼ等が好適な例として挙げられる。含糖ペプシン、ロートエキス、セルラーゼAP3、リパーゼAP、ケイヒ油等の健胃消化剤、塩化ベルベリン、耐性乳酸菌、ビフィズス菌等の整腸剤等が例として挙げられる。
【0015】
制酸剤としては、特に限定されないが、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が例として挙げられる。抗潰瘍剤としては、特に限定されないが、ファモチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、シメチジン、塩酸ラニチジン等が例として挙げられる。鎮咳去痰剤としては、特に限定されないが、塩酸クロペラスチン、臭化水素酸デキストロメルトファン、テオフィリン、グァヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リン酸コデイン等が例として挙げられる。鎮吐剤としては、特に限定されないが、塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド等が例として挙げられる。呼吸促進剤としては、特に限定されないが、酒石酸レバロルファン等が例として挙げられる。気管支拡張剤としては、特に限定されないが、テオフィリン、硫酸サルブタモール等が例として挙げられる。アレルギー用薬としては、特に限定されないが、アンレキサノクス、セラトロダスト等が例として挙げられる。歯科口腔用薬としては、特に限定されないが、オキシテトラサイクリン、トリアムシノロンアセトニド、塩酸クロルヘキシジン、リドカイン等が例として挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、特に限定されないが、塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル、dl−マレイン酸クロルフェニラミン等が例として挙げられる。強心剤としては、特に限定されないが、カフェイン、ジゴキシン等が例として挙げられる。不整脈用剤としては、特に限定されないが、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、ピンドロール等が例として挙げられる。利尿薬としては、例えばイソソルピド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド等が挙げられる。血圧降下剤としては、特に限定されないが、塩酸デラプリル、カプトプリル、塩酸ヒドララジン、塩酸ラベタロール、塩酸マニジピン、カンデサルタンシレキセチル、メチルドパ、ペリンドプリルエルブミン等が例として挙げられる。血管収縮剤としては、特に限定されないが、塩酸フェニレフリン等が例として挙げられる。冠血管拡張剤としては、特に限定されないが、塩酸カルボクロメン、モルシドミン、塩酸ペラパミル等が例として挙げられる。末梢血管拡張薬としては、特に限定されないが、シンナリジン等が例として挙げられる。高脂血症用剤としては、特に限定されないが、セリバスタチンナトリウム、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物等が例として挙げられる。利胆剤としては、特に限定されないが、デヒドロコール酸、トレピプトン等が例として挙げられる。抗生物質には、特に限定されないが、セファレキシン、セファクロル、アモキシシリン、塩酸ピプメシリナム、塩酸セフォチアムヘキセチル、セファドロキシル、セフィキシム、セフジトレンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシミプロキセチル等のセフェム系、アンピシリン、シクラシン、ナリジクス酸、エノキサシン等の合成抗菌剤、カルモナムナトリウム等のモノバクタム系、ペネム系及びカルバペネム系抗生物質等が例として挙げられる。
【0016】
化学療法剤としては、例えばスルファメチゾール等が挙げられる。糖尿病用剤としては、例えばトルブタミド、ボグリボース、塩酸ピオグリタゾン、グリベンクラミド、トログリダゾン等が挙げられる。骨粗しょう症用剤としては、特に限定されないが、イプリフラボン等が例として挙げられる。骨格筋弛緩薬としては、特に限定されないが、メトカルバモール等が例として挙げられる。鎮けい剤としては、特に限定されないが、塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等が例として挙げられる。抗リウマチ薬としては、特に限定されないが、メソトレキセート、ブシラミン等が例として挙げられる。ホルモン剤としては、特に限定されないが、リオチロニンナトリウム、リン酸デキメタゾンナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロン、酢酸リュープロレリン等が例として挙げられる。アルカロイド系麻薬としては、特に限定されないが、アヘン、塩酸モルヒネ、トコン、塩酸オキシコドン、塩酸アヘンアルカロイド、塩酸コカイン等が例として挙げられる。サルファ剤としては、特に限定されないが、スルフィソミジン、スルファメチゾール等が例として挙げられる。痛風治療薬としては、特に限定されないが、アロプリノール、コルヒチン等が例として挙げられる。血液凝固阻止剤としては、特に限定されないが、ジクマロールが例として挙げられる。抗悪性腫瘍剤としては、例えば5−フルオロウラシル、ウラシル、マイトマイシン等が例として挙げられる。苦味の強い薬物に本発明を適用した場合、その効果がより発揮される。
【0017】
これらの生理活性物質はその1種または2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。前記した生理活性物質組み合わせとしては、特に限定されないが、霊芝、延命草、シイタケ、イチョウ葉、アガリクス、シークワーサー及びクエン酸からなる群から選択される1以上が好適な例として挙げられる。
上記した生理活性物質の使用量は、通常薬物の種類あるいは医薬用途(適応症)により適宜選択され、治療学的に有効な量あるいは予防学的に有効な量であれば特に制限されないが、好ましくは、医薬組成物又は健康食品全量に対して通常0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
【0018】
本発明の医薬組成物を製剤化する場合、経口投与用であれば、その製剤形態を特に限定することなく、医薬品として汎用されている種々の剤型を選択することができ、その剤型としては、粉剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、チュアブル錠等が好適な例として挙げられ、さらに顆粒剤、粉剤、細粒剤、ドライシロップ剤又は錠剤がより好ましく、顆粒剤、細粒剤又は錠剤が特に好ましい。上記の製剤化に際しては、当該分野において任意慣用の公知の方法が利用でき、製剤のサイズは特に限定されず、その形態に応じて、医薬品として通常使用するサイズとすることができる。
本発明の健康食品の形態としては、特に限定されないが、その剤型としては、粉剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、チュアブル錠等が好適な例として挙げられ、さらに顆粒剤、粉剤、細粒剤、ドライシロップ剤又は錠剤がより好ましく、顆粒剤、細粒剤又は錠剤が特に好ましい。上記の健康食品の製造に際しては、食品分野において任意慣用の公知の方法が利用でき、食品のサイズは特に限定されず、その形態に応じて、食品として通常使用するサイズとすることができる。
【0019】
本発明の医薬組成物又は健康食品の製造において、前記γ−シクロデキストリン及び/又はゼインに、従来から食品または医薬品に使用されている添加剤の1種及び/又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。前記添加剤としては、食品または医薬品に許容されるものであれば特に限定されず、結合剤、崩壊剤、増粘剤、賦形剤、滑沢剤、保存料、酸化防止剤、酸味料、調味料、pH調整剤、ビタミン類、ミネラル類、甘味料、香料等を例として挙げることができる。
【0020】
本発明に用いる結合剤としては、特に限定されず、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、α化デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アラビアゴム、トラガントガム、ゼラチン等が例として挙げられる。本発明に用いる崩壊剤としては、特に限定されず、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、架橋化ポリビニルピロリドン等が例として挙げられる。本発明に用いる増粘剤としては、特に限定されず、寒天、キサンタンガム、結晶化セルロース、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシルメチルセルロースカルシウム、カルボキシルメチルスターチナトリウム、カラギナン、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ゼラチン、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガントガム、タラガム、アラビアガム、カラヤガム、デンプン、デンプン誘導体、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カードラン、アゾトバクタービネランジーガム、プルラン、アラビノガラクタン、デキストラン、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が例として挙げられる。本発明に用いる賦形剤としては、特に限定されず、乳糖、マンニトール、コーンスターチ、結晶セルロース、デキストリン、シクロデキストリン類(γ−シクロデキストリンを除く)等が例として挙げられる。本発明に用いる滑沢剤としては、特に限定されず、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、硬化植物油等が例として挙げられる。本発明に用いる保存料としては、特に限定されず、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、パラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジウム、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、パラクロルメトキシフェノール又はパラクロルメタクレゾール等を例として挙げることができる。本発明に用いる酸化防止剤としては、特に限定されず、BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロール等を例として挙げることができる。本発明に用いる酸味料としては、特に限定されず、クエン酸、乳酸、DL−リンゴ酸等を例として挙げることができる。本発明に用いる調味料としては、特に限定されず、DL−アラニン、5’−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム等を例として挙げることができる。本発明に用いるpH調整剤としては、特に限定されず、クエン酸、クエン酸三ナトリウム等を例として挙げることができる。本発明に用いるビタミン類としては、特に限定されず、ビタミンC、ビタミンE等を例として挙げることができる。本発明に用いるミネラル類としては、特に限定されず、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、カリウム等を例として挙げることができる。
【0021】
本発明に用いる甘味料としては、特に限定されず、アスパルテーム、アセスルファム、ブドウ糖果糖液糖、還元麦芽糖水あめ、粉末還元麦芽糖水あめ、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア、ソーマチン、エリスリトール、ソルビトール、ソルビトール液、マンニトール、ブドウ糖、乳糖、白糖、果糖、砂糖、ハチミツ、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコール、マルチトール、マルチトール液、キシリトール、ソーマチン、トレハロース等を例として挙げることができ、白糖、粉末還元麦芽糖水あめ、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖又はサッカリンナトリウムが好適な例として挙げられる。甘味料は、これらを1種または2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0022】
本発明に用いる香料としては、特に限定されず、オレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が例として挙げられる。香料は、これらを1種または2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0023】
本発明の医薬組成物または健康食品の製法は特に限定されるものではなく、苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインと、必要により添加剤を加え、湿式造粒の常法に従い溶媒を添加して練合、造粒する製法、溶媒中に前記生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインと、必要により他の添加剤を溶解又は懸濁させた溶液とする製法、さらに、その溶液を凍結乾燥する製法、噴霧乾燥する製法等、一般的な食品、医薬品の製法が適用される。例えば顆粒剤として製造する場合、上記した成分に液体溶媒を添加し、ホモミキサー、コロイドミル、三本ロールミル、タービン型内歯付攪拌機、高吐出型プロペラ サタケP36型(佐竹化学機械工業社製)、万能混合撹拌機、押出造粒機等の混合機を用いて均一に混合し、練合することにより製造することができる。前記液体溶媒としては、特に限定されないが、極性溶媒が好ましく、具体的には、水又はアルコール類(例えば、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール等)等の極性プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の極性非プロトン性溶媒が好ましい例として挙げられ、20〜90%(w/w)程度エタノールが特に好ましい。
【0024】
本発明の医薬組成物の投与量は、生理活性物質の種類及び摂取する人の性別、年齢、健康状態等によって異なるので一概には言えないが、本発明の医薬組成物がその効果を十分に発揮するためには、1回当り、通常0.5〜1000mg程度、好ましくは1〜500mg程度服用することが好ましく、前記投与量を一日1〜3回程度服用することが好ましい。
本発明の健康食品を摂取量は、生理活性物質の種類及び摂取する人の性別、年齢、健康状態等によって異なるので一概には言えないが、本発明の健康食品がその効果を十分に発揮するためには、1回当り、通常750〜6000mg程度、好ましくは1500〜3000mg程度服用することが好ましく、前記摂取量を一日1〜2回程度服用することが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
[実施例1〜5及び比較例1〜3]
モニター10名に、下記表1に示す配合量にて製造した実施例品1〜5及び比較例品1〜3を用いて苦味について下記評価基準にて5段階評価で採点し、平均点を算出して判定した。結果を表1に示す。
<官能評価基準>
苦味:ない(5点)、ほとんどない(4点)、少しある(3点)、ある(2点)、とてもある(1点);
<判定基準>
苦味:4以上5以下:◎、3以上4未満:○、2以上3未満:△、1以上2未満:×
【0027】
【表1】

(表中、α−CDはα−シクロデキストリンを意味し、β−CDはβ−シクロデキストリンを意味し、γ−CDはγ−シクロデキストリンを意味する。)
【0028】
[実施例6]
モニター10名に、下記表2に示す配合量にて製造した実施例品6を用いて苦味及び酸味について下記評価基準にて5段階評価で採点し、平均点を算出して判定した。結果を表2に示す。
<官能評価基準>
苦味:ない(5点)、ほとんどない(4点)、少しある(3点)、ある(2点)、とてもある(1点);
酸味:ない(5点)、ほとんどない(4点)、少しある(3点)、ある(2点)、とてもある(1点);
<判定基準>
苦味:4以上5以下:◎、3以上4未満:○、2以上3未満:△、1以上2未満:×
酸味:4以上5以下:◎、3以上4未満:○、2以上3未満:△、1以上2未満:×
【0029】
【表2】

【0030】
上記の結果から、本発明の医薬組成物又は健康食品は、苦味及び/又は酸味の顕著なマスキング効果を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインを含有することにより、苦味及び/又は酸味が改善された医薬組成物又は健康食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質と、γ−シクロデキストリン及び/又はゼインとを含有することを特徴とする、苦味及び/又は酸味が改善された医薬組成物又は健康食品。
【請求項2】
苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質が、苦味及び/又は酸味を有する薬剤又はその薬理学的に許容される塩である請求項1に記載の医薬組成物又は健康食品。
【請求項3】
苦味及び/又は酸味を有する薬剤又はその薬理学的に許容される塩が、生薬である請求項2に記載の医薬組成物又は健康食品。
【請求項4】
苦味及び/又は酸味を有する生理活性物質が、霊芝、延命草、イチョウ葉、シークワーサー及びクエン酸からなる群から選ばれる1以上である請求項1に記載の医薬組成物又は健康食品。
【請求項5】
さらに、甘味剤及び/又は香料を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品。
【請求項6】
γ−シクロデキストリンの含有量が10〜80重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品。
【請求項7】
ゼインの含有量が1〜20重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品。
【請求項8】
顆粒剤、粉剤、細粒剤、ドライシロップ剤及び錠剤からなる群から選ばれる形態である請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物又は健康食品。

【公開番号】特開2010−209029(P2010−209029A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58920(P2009−58920)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(501123411)ナガセ医薬品株式会社 (4)
【Fターム(参考)】