周回光路装置及び3軸リングレーザジャイロ
【課題】シリコン基板をエッチングすることで得られる空間に、互いに交叉する3つの周回光路を形成することができる周回光路装置を得る。
【解決手段】光源基板40の励起光源71によって励起された光を固体レーザ媒質51に集光させて発光点42から第1反射面基板20にレーザ光を放射するとともに第1反射面基板20に設けた第2の光源80から基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射し、第1反射面基板20の複数の反射面21〜28と光源基板40の反射面41を利用して反射させ、互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を容易に形成する。
【解決手段】光源基板40の励起光源71によって励起された光を固体レーザ媒質51に集光させて発光点42から第1反射面基板20にレーザ光を放射するとともに第1反射面基板20に設けた第2の光源80から基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射し、第1反射面基板20の複数の反射面21〜28と光源基板40の反射面41を利用して反射させ、互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を容易に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ光を周回させる周回光路装置及びそれを使用した3軸リングレーザジャイロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション、カメラの手振れ補正、ゲーム、航空機、ロケット、ロボットなど多くの分野に角速度センサが利用されている。この角速度センサ(ジャイロ)には光学式ジャイロ、回転型ジャイロ、振動型ジャイロなどがある。振動型ジャイロは特許文献1などに記載されており、近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により安価に生産されるようになってきている。これらは圧電力、静電力により物体を振動させ、発生するコリオリ力を検出して角速度を検出するものである。MEMSによる振動型ジャイロは小型で低コストであり、民生用機器に広く利用されるようになってきている。しかし、振動ジャイロはゼロ点オフセットが大きいため、絶対角度の検出には向かず、慣性航法に利用することは難しい。
【0003】
航空機や潜水艦、ロケットなどに搭載されるような高精度な検出が必要な場合には、サニャック効果を用いた光ファイバジャイロやリングレーザジャイロが利用されている。光ファイバジャイロは特許文献2や特許文献3などに記載されている。この光ファイバジャイロは、多数回巻かれた光ファイバの両端面にレーザ光をスプリットして挿入する。この光ファイバの巻いた面と垂直な軸方向を中心に角速度が加わると、分離された光に光路差が生じる。この光路差により分離された二つの光の間に位相差が生じる。この位相差を検出することにより、角速度を得るようになっている。この光ファイバジャイロは光の光路差の検出感度を上げるためには光ファイバを非常に長くして巻き回数を大きくする必要がある。そのため温度変化に敏感であることが問題となる。
【0004】
リングレーザジャイロは複数のミラーによってリング状の光路をもつレーザ共振器を構成し、この光路中に時計回りと反時計回りのレーザ光を発振させ、両レーザ光の発振波長の差を検出して角速度を検出する。
【0005】
この光ファイバジャイロ及びリングレーザジャイロは性能が良いが、比較的大きく、高価であるため一般民生用途に使用することは難しい。
【0006】
また、MEMS技術により、高精度な光ジャイロを容易にバッチ処理で形成する構成が特許文献4に開示されている。この光ジャイロではレーザ光の周回光路をシリコンの異方性エッチングを用いて形成して、高精度な光ジャイロをバッチ処理で容易に形成することができるようにしている。
【特許文献1】特開平10−227644号公報
【特許文献2】特公昭62−39836号公報
【特許文献3】特公平2−60127号公報
【特許文献4】特許第3751553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献4に示された光ジャイロは基板と平行な面に周回光路を形成しているため、1軸方向の検出しかできず、2軸方向の検出をするためには90度向きを変えてもう一つ配置する必要があり、装置が大型化してしまう。また、リソグラフィーなどでレンズを形成する場合、基板表面に平行な光に対してレーザ光をコリメートするのが難しいという問題があった。これに対して、この出願の発明者らは表面を(100)面とするシリコン基板を積層し、異方性エッチングによるピラミッド状傾斜面を共振面として利用して、基板表面と垂直かつ互いに直交する二つの周回光路を形成し2軸方向の角速度を検出するリングレーザジャイロを提案している。
【0008】
この発明は、さらにシリコン基板をエッチングすることで得られる空間に、異方性エッチングで得られる精度の良い面を反射面とすることで容易に複数の交叉する面内に互いに交叉する3つの周回光路を形成することができる周回光路装置及び3軸方向の角速度を検出することが可能な3軸リングレーザジャイロを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の周回光路装置は、基準平面を有する基体と、前記基体の基準平面に直交する方向で、前記基準平面に対して平行に積層される1以上の基板と、複数の光源とを有し、前記基体には、前記基準平面に垂直な第1の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に垂直で、かつ、前記第1の平面と交叉する第2の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する複数の反射面を有し、前記1以上の基板には前記基準平面に対して平行な反射面を有し、前記複数の光源のいずれか一部の光源は、前記第1の平面及び第2の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記第1の平面と第2の平面内に法線を有する反射面と前記基準平面に対して平行な反射面により前記2平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第1の周回光路と第2の周回光路を形成し、前記複数の光源の他の光源は、前記第3の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記複数の反射面により第3の平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第3の周回光路を形成していることを特徴とする。
【0010】
前記基体は、シリコン(110)面を表面とするシリコン基板であり、基準平面に直交する第1及び第2の周回光路は、基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略54.7度の(111)面を反射面の一部として利用して形成され、基準平面に平行な平面内を周回する第3の周回光路は、基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略90度の(111)面を反射面として利用して形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記各周回光路のうち少なくとも1つの周回光路において、周回光路を形成する光源の発光点が、周回光路を形成する1つの反射面上に配置して、周回光路を安定して形成することができる。
【0012】
さらに、前記基準平面に対して平行に積層される基板を、第1及び第2の周回光路を形成する光源を有する光源基板で形成し、光源を共有させて部品点数を減らし、構造を簡単にすることを特徴とする。
【0013】
また、前記光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、基体は、固体光源媒質を有する基板と、固体光源媒質を励起する励起光源を有する励起光源基板が積層され、励起光源基板に配置された複数の励起光源により固体光源媒質上における異なる複数の点を励起して複数の異なる発光点から光を放射させて第1から第3の周回光路を形成し、熱源を分散させ、局所的な温度上昇を避けることを特徴とする。
【0014】
また、前記第3の周回光路は、基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する2つの反射面と基板上に実装された光源の反射面とで形成されている三角形状の周回光路にして(光路長/面積)を大きくし検出感度を向上させることを特徴とする。
【0015】
また、前記第3の周回光路を形成する光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、基体に突出して積層され、基体に積層された励起光源基板から出射されたレーザ光により励起されて第3の平面内にレーザ光を放射して、第1の周回光路と第2の周回光路と光源及び励起光源を共有して構造を簡略化することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記励起光源基板は、基体を挟んで固体光源媒質を有する基板とは反対側に配置して、熱源を分散するとともに各周回光路を順逆方向に周回するレーザ光の一部の取り出しを容易にすることを特徴とする。
【0017】
この発明の3軸リングレーザジャイロは、前記周回光路装置と、前記周回光路装置で形成する第1の周回光路と第2の周回光路及び第3の周回光路をそれぞれ順逆方向に周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる干渉縞生成手段と、前記干渉縞生成手段で生成している各周回光路における干渉縞の変化を検出する干渉縞検出手段と、前記干渉縞検出手段で検出した各周回光路における干渉縞の変化に基づき3軸回りの角速度を演算する演算手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、基準平面を有する基体に、基準平面に垂直な第1の平面内にそれぞれ法線を有し、基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、基準平面に垂直で、かつ、第1の平面と交叉する第2の平面内にそれぞれ法線を有し、基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する複数の反射面を設け、基体の基準平面に対して平行に積層された基板には基準平面に対して平行な反射面を設けて複数の反射面を利用してレーザ光を反射させることにより互いに直交した平面内に3つの周回光路を容易に形成することができる。
【0019】
また、基体に設けた複数の反射面をシリコン基板をエッチングすることで得られる空間に、異方性エッチングで得られる面で形成することにより、複数の交叉する反射面を精度良く形成することができ、3つの周回光路を安定して形成することができる。
【0020】
さらに、この発明の周回光路装置で形成する第1の周回光路と第2の周回光路及び第3の周回光路をそれぞれ順逆方向に周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させ、生成している干渉縞の変化に基づき3軸回りの角速度を演算することにより、3軸回りの角速度を安定して検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、この発明の周回光路装置の構成を示し、(a)は(b)のa−a面で裁断した周回光路装置10の平面断面図、(b)は(a)のb−b断面図、(c)は(a)のc−c断面図である。この周回光路装置10のサイズを例示すると、図1(a)〜(c)において上下・左右方向のサイズは数mm程度である。
【0022】
図1に示すように、周回光路装置10は、第1反射面基板20とスペーサ基板30及び光源基板40を有する。第1反射面基板20の一方の面に基準平面11を有し、基準平面11にスペーサ基板30が積層されている。
【0023】
第1反射面基板20は、図1と図2の斜視図に示すように、平行平板状に形成され、中央部に厚み方向を深さ方向として四角柱の角部に4個の正4角錐を重ね合わされた状態の孔29が基準平面11側から貫通穿設され、貫通した孔29の開口面積は基準平面11側が大きく形成されている。この貫通した孔29で符号21、22、23、24が4個の正4角錐の孔の壁面を示し、符号25、26、27、28が四角柱の孔の壁面を示し、すべて同一の空間に形成されている。これらの壁面21〜28は反射面として使用されているので、以下、壁面21〜28を反射面21〜28という。図1(a)に示す平面PL1は基準平面11に対して垂直に交叉しており、相対して形成された正4角錐の孔の壁面である反射面21,22は平面PL1上に法線を有し、基準平面11に対して所定の鋭角で傾斜して形成されている。また、図1(a)に示す平面PL2は基準平面11と平面PL1に垂直に交叉しており、相対して形成された正4角錐の孔の壁面である反射面23、24は平面PL2上に法線を有し、基準平面11に所定の鋭角で傾斜して形成されている。四角柱の孔の壁面である反射面25〜28は、基準平面11に平行な法線を有して形成されている。
【0024】
この第1反射面基板20はシリコン基板を用い、正4角錐と四角柱が重ね合わされた状態の孔29を異方性エッチングを利用して高精度にかつ容易に形成している。すなわち、図2の斜視図に示すように、第1反射面基板20にはシリコン(110)面を表面とするシリコン基板(以下、シリコン(110)基板という)を異方性エッチングすることで現れる(111)面を利用し、基準平面11に対して±54.7度傾斜し、かつ、基準平面11に垂直な平面PL1と平行な法線を有する反射面21,22と基準平面11に垂直な平面PL2と平行な法線を有する反射面23,24と、基準平面11に対して90度傾斜した反射面25〜28とを形成している。この反射面21〜28は反射率を十分に高くするために例えば金メッキなどを施しておくと良い。
【0025】
スペーサ基板30は、第1反射面基板20と光源基板40との間を所定の間隔に設定するための基板であり、正方形形状の孔が厚さ方向に穿設されている。スペーサ基板30を挟んで第1反射面基板20とは反対側に設けられた光源基板40の第1反射面基板20と対向する平面部分が反射面41となっており、この反射面41は基準平面11と平行に形成されている。
【0026】
光源基板40は第2反射面基板50とガラス基板60及び励起光源基板70が積層されている。第2反射面基板50は薄い平行平板状であり、図3の断面図に示すように、励起光を照射することで光が励起されるYAGやYVO4などの固体レーザ媒質51が底面基板52に重ねられて形成されており、その間には反射膜53が形成されている。この反射膜53は固体レーザ媒質51で生成された光の波長では反射し、励起光源基板70から放射する励起光の波長では透過する膜となっており、入射角が19.4度の入射光の反射率が大きくなるように設定され、光源基板40の反射面41となっている。底面基板52も励起された波長の光は透過し、その表面は反射防止膜54が形成されている。励起光源基板70には面発光型の励起光源71が設けられている。この励起光源71から出射されたレーザ光は、ガラス基板60に形成されたマイクロレンズ61により第2反射面基板50の固体レーザ媒質51に集光されて光を励起する発光点42となる。この励起光源71としては半導体レーザ素子などを実装しても良い。このように発光点42を第2反射面基板50に設けることにより発光点42の設置誤差を減らすことができる。
【0027】
スペーサ基板30における正方形形状の穴の大きさは、第1反射面基板20に穿設された正4角錐と四角柱が重ね合わされた状態の孔の基準平面11における大きさよりも一回り小さく形成され、反射面21の平面PL1上の位置に対応するスペーサ基板30のエッジの部分に半導体レーザ素子である第2の光源80が実装されている。この第2の光源80はチップの両端面から発光し、端面における反射がないように両端面に反射防止膜が形成され、図1(a)、(c)に示すように、基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射する。第2の光源80のレーザ光を放射する両端面近傍にはマイクロレンズ81a,81bが実装され、第2の光源80から放射されるレーザ光の発散角を調整する。この第2の光源80とマイクロレンズ81a、81bはスペーサ基板30の上面に適宜の方法で実装されている。
【0028】
前記のように形成された周回光路装置10において、光源基板40の励起光源71によって励起された光が固体レーザ媒質51に集光されて発光点42から第1反射面基板20側に放射されると、放射されたレーザ光の一部は、図1(c)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面21と反射面22及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返すことにより順逆方向にレーザ発振し、三角形状の第1の周回光路LC1を平面PL1内に形成する。また、同時に放射されたレーザ光の他の一部は、図1(b)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面23と反射面24及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返すことにより順逆方向にレーザ発振し、三角形状の第2の周回光路LC2を平面PL2内に形成する。
【0029】
また、第2の光源80からレーザ光を、図1(a)において上下方向へ放射させると、第2の光源80から第1反射面基板20の反射面25側へ放射されたレーザ光は、マクロレンズ81aで発散角を調整され、反射面25と反射面27と反射面26及び反射面28で順次反射され、マイクロレンズ81bを介して第2の光源80へ戻る。第2の光源80から第1反射面基板20の反射面28側へ放射されたレーザ光は、マイクロレンズ81bで発散角を調整され、反射面28と反射面26と反射面27及び反射面25で順次反射され、マイクロレンズ81aを介して第2の光源80へ戻り、順逆方向に周回してレーザ発振する鼓形状の第3の周回光路LC3を基準平面11と平行な平面PL3内に形成することができる。
【0030】
このようにして光源基板40の励起光源71によって励起された光を固体レーザ媒質51に集光させて発光点42からレーザ光を放射するとともに第2の光源80から基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射し、第1反射面基板20の複数の反射面21〜28と光源基板40の反射面41を利用して反射させることにより、互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を容易に形成することができる。
【0031】
また、第2の光源80から放射したレーザ光の周回光路LC3にマイクロレンズ81a、81bを設けてレーザ光の発散角を調整するのは、周回光路LC3を順逆方向に周回して第2の光源80に戻るレーザ光の波面形状がレーザ発振の効率を良好にするように発散角の調整を行うものであり、このレーザ光の発散角を調整することにより、第2の光源80におけるレーザ発振の効率を高めることができる。なお、レーザ光の発散角の調整をしなくてもレーザ発振が可能であり、レーザ光の発散角の調整をしなくても良い。
【0032】
前記説明では第1反射面基板20を平行平板状に形成したが、基準平面11と逆側の面の形状は周回光路PL1〜PL3の形成に何ら影響しないので、基準平面11と逆側の部分は平面である必要はなく適宜の形状で有っても良い。
【0033】
また、第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2を順逆方向に周回するレーザ光の一部」を取り出して干渉縞を発生させる発生させるためには、各周回光路PL1、PL2を順逆方向に周回するレーザ光の一部を光源基板40側で行えば良い。
【0034】
前記周回光路装置10は第1反射面基板20と光源基板40の間にスペーサ基板20を設けて第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2用の空間を形成したが、スペーサ基板20を設けないで第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2用の空間を形成しても良い。
【0035】
このスペーサ基板20を有しない周回光路装置10aについて、周回光路装置10aの平面断面図である図4(a)と、(a)のB−B断面図である図4(b)と、(a)のC−C断面図である図4(c)及び第1反射面基板20の斜視図である図5を参照して説明する。
【0036】
周回光路装置10aの第1反射面基板20は、図4(b)、(c)と図5に示すように、厚さが厚く形成され、反射面21〜28を形成する孔29を深く形成している。この孔29は第1反射面基板20にシリコン(110)基板を用い、異方性エッチングすることで現れる(111)面を利用し、基準平面11に対して±54.7度傾斜し、かつ、基準平面11に垂直な互いに直交する二つの平面PL1,PL2上に法線を有する反射面21〜24と、基準平面11に対して90度傾斜した反射面25〜28とを形成している。
【0037】
また、光源基板40の第2反射面基板50には、平面PL1上で第1反射面基板20の反射面21のエッジ部分に対応する位置に一部を突出させてレーザ媒質で形成され、基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射する第3の光源82が形成されている。また、励起光源基板70には発光点42を形成する励起光源71を設けるとともに、第3の光源82に入射するレーザ光を放射する励起光源83が設けられ、ガラス基板60には励起光源71から放射されたレーザ光を発光点42に集光するマイクロレンズ61とともに励起光源83から放射されたレーザ光を第3の光源82に集光するマイクロレンズ84が設けられている。
【0038】
この光源基板40の第2反射面基板50が反射面21〜28を形成する孔29を深く形成した第1反射面基板20に直接接合して、第1反射面基板20に深く形成された孔29で第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2用の空間を形成している。
【0039】
この周回光路装置10aも周回光路回路10と同様に励起光源71で放射されたレーザ光により発光点42で励起されたレーザ光は、図4(c)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面21と反射面22及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返して第1の周回光路LC1を平面PL1内に形成し、図4(b)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面23と反射面24及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返して第2の周回光路LC2を平面PL2内に形成する。また、励起光源83で放射されたレーザ光により第3の光源82で励起された一方のレーザ光は、図4(a)に示すように、反射面25と反射面27と反射面26及び反射面28で順次反射し、他方のレーザ光は反射面28と反射面26と反射面27及び反射面25で順次反射して基準平面11と平行な平面PL3内に第3の周回光路LC3を形成する。
【0040】
このように第1反射面基板20と光源基板40を接合した簡単な構成で互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を形成することができる。
【0041】
前記周回光路装置10,10aでは光源基板40として第2反射面基板50とガラス基板60及び励起光源基板70を積層した光源基板40を使用した場合について説明したが、第2の反射面基板50をガラス基板60及び励起光源基板70と分離しても良い。
【0042】
この第2反射面基板50をガラス基板60及び励起光源基板70と分離した周回光路装置10bを、周回光路装置10bの平面断面図と図6(a)と、(a)のB−B断面図である図6(b)と(a)のC−C断面図である図6(c)を参照して説明する。
【0043】
周回光路装置10bは、図5に示すように、厚さが厚く形成され、反射面21〜28を形成する孔29を深く形成している第1反射面基板20の貫通した孔29の開口面積が大きい基準平面11側に第2反射面基板50が接合され、第1反射面基板20の第2反射面基板50が接合された面と反対側の面にガラス基板60と例起用光源基板70が積層されている。
【0044】
第2反射面基板50には、平面PL1上で第1反射面基板20の孔29の中心から所定距離だけ隔てた位置に一部を突出させてレーザ媒質からなる第3の光源82が形成されている。第3の光源82の基準平面11と直交して反射面21側とは反対側の側面には、図7(b)に示すように、反射膜85が形成され、反射面21側の側面には反射防止膜86が形成されている。また、励起光源基板70には第2反射面基板50に発光点42を形成する励起光源71と第3の光源82に入射するレーザ光を放射する励起光源83が位置をずらして設けられ、ガラス基板60には励起光源71から放射されたレーザ光を発光点42に集光するマイクロレンズ61とともに励起光源83から放射されたレーザ光を第2の光源82に集光するマイクロレンズ84が設けられている。
【0045】
この周回光路装置10bで励起光源基板70に設けられた励起光源71から放射されたレーザ光はガラス基板60に形成されたマイクロレンズ61と第1反射面基板20の孔29を通って第2反射面基板50の固体レーザ媒質51に集光されて、発光点42からレーザ光が励起される。この発光点42で励起されたレーザ光の一部は、図6(c)と図7(a)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面21と反射面22及び第2反射面基板50の反射膜53で反射を繰り返して第1の周回光路LC1を平面PL1内に形成し、発光点42で励起されたレーザ光の他の一部は、図6(b)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面23と反射面24及び第2反射面基板50の反射膜53で反射を繰り返して第2の周回光路LC2を平面PL2内に形成する。
【0046】
また、励起光源基板70に設けられた励起光源83から放射されたレーザ光はガラス基板60に形成されたマイクロレンズ84と第1反射面基板20の孔29を通って第2反射面基板50の第2の光源82aに集光され、第3の光源82からレーザ光を励起する。この第3の光源82で励起されたレーザ光は基準平面11と平行で反射面21方向に放射され、放射されたレーザ光の一部は、図6(a)と図7(b)に示すように、第1反射面基板20の反射面25と反射面28及び第3の光源82の反射膜85で反射を繰り返す。この反射を繰り返す反射面25〜28の反射率を十分高く設定し、励起光によりパワーを供給してやることにより、第3の光源82から2つの方向に放射された光は、順逆方向に周回してレーザ発振して基準平面11と平行な平面PL3内に鼓形状の第3の周回光路LC3を形成する。この第3の周回光路LC3を形成する第3の光源82に固体レーザを用いると励起光の集光点において熱レンズが形成されるためレーザ光の発散角を調整するマイクロレンズが不要になっている。
【0047】
このように第2反射面基板50をガラス基板60及び励起光源基板70と分離して第1反射面基板20の両面に設け、励起光源基板70に設けた励起光源71、83で発生する熱と第2反射面基板50の発光点42と第3の光源82で発生する熱を分散させることにより、局部的に温度上昇が生じることを防ぐことができる。また、各周回光路LC1〜LC3を順逆方向に周回するレーザ光の一部を第2反射面基板50から容易に取り出すことができる。
【0048】
また、励起光源基板70には励起光源71と励起光源83を異なる位置に配置し、第2反射面基板50の発光点42と第3の光源82の位置も励起光源71と励起光源83の位置に応じて異ならせることにより、励起光源71、83と発光点42及び第3の光源82で発生する熱を分散させることができ、局部的に温度上昇が生じることをより防ぐことができる。
【0049】
さらに、図8(a)の平面断面図と(b)のB−B断面図及び(c)のC−C断面図に示すように、励起光源基板70の励起光源71を第1の周回光路LC1を形成する励起光源71aと第2の周回光路LC2を形成する励起光源71bに分離して第2反射面基板50に2個の発光点42a,42bを形成しても、前記と同様に三角形状の第1の周回光路LC1と第2の周回光路LC2を形成することができるとともに、励起光源71を励起光源71aと励起光源71bとに分離することにより熱源をより分散させることができ、局部的に温度上昇をより低減することができる。
【0050】
このように互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を形成する周回光路装置10,10a,10bを利用することにより、3軸方向の角速度を検出する3軸ジャイロセンサを実現することができる。
【0051】
図9は例えば周回光路装置10bを利用した3軸ジャイロセンサの構成を示し、(a)は3軸ジャイロセンサの平面配置図、(b)は(a)のB−B断面図,(c)は(a)のC−C断面図である。図に示すように、3軸ジャイロセンサ100は周回光路装置10cと干渉縞生成手段110と干渉縞検出手段120及び演算手段130を有する。
【0052】
周回光路装置10bの第2反射面基板50の底面基板52とレーザ媒質51の間に設けた反射膜53は励起光源71で発振するレーザ光の一部を反射し、一部を透過する。この第2反射面基板50には、平面PL1上で第1反射面基板20の孔29の中心から所定距離だけ隔てた位置に一部を突出させてレーザ媒質からなる第3の光源82が形成されている。第3の光源82の基準平面11と直交して反射面21側と反対側の側面には反射膜85が形成され、反射面21側の側面には反射防止膜86が形成されている。この反射膜85は第3の光源82で発振するレーザ光の一部を反射し、一部を透過する。また、また、励起光源基板70の第2反射面基板50に発光点42を形成する励起光源71は、図8(a)に示すように、平面PL2上で平面PL1から所定距離だけ反射面24側に離れた位置に設けられ、第2反射面基板50の第3の光源82に入射するレーザ光を放射する励起光源83は第2反射面基板50に設けた第3の光源82と対応する位置に設けられ、励起光源71と励起光源83が一直線上にないように配置されている。
【0053】
干渉縞生成手段110は第1プリズム基板111と第2プリズム基板112を有する。第1プリズム基板111は周回光路装置10bの第2反射面基板50の第1反射面基板20との接合面は反対の面に設けられ、周回光路装置10cで形成する第1の周回光路LC1と第2の周回光路LC2を周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる。この第1プリズム基板111は平行平板状に形成され、直交する2つの側面が平行な上下面に対して角度90度に対して微小角度α例えば角度91度だけ傾いた傾斜面からなるプリズム端面113a、113bを有する。このプリズム端面113a、113bと第1反射面基板20との接合面とは反対側のプリズム端面114とて例えば頂角91度のコーナー部115a、115bを形成している。この第1プリズム基板111はコーナー部115aが周回光路装置10cで生成する三角形状をした第1の周回光路LC1を形成する三角形状の一方の斜辺に相当するレーザ光の光軸近傍になるように配置され、コーナー部115bが周回光路装置10cで生成する三角形状をした第2の周回光路LC2を形成する三角形状の一方の斜辺に相当するレーザ光の光軸近傍になるように配置されている。例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面22から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光がコーナー部115a近傍に入射するように配置され、周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面24から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光がコーナー部115b近傍に入射するように配置されている。
【0054】
第2プリズム基板112は第2反射面基板50の第1反射面基板20との接合面の第2の光源82aの反射面21側と反対側の側面の反射膜85から所定距離だけ隔てた位置に配置され、周回光路装置10bで形成する第3の周回光路LC2を周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる。この第2プリズム基板112は平行平板状に形成され、一方の側面が平行な上下面に対して角度45度だけ傾いた傾斜面からなるプリズム端面116を有し、プリズム端面116と相対する側面は、その側面とプリズム端面面116を挟む平行な2側面に対して角度90度に対して微小角度α例えば角度91度だけ傾いた傾斜面からなるプリズム端面117aを有する。このプリズム端面117aと第2の光源82aとは反対側のプリズム端面117bとて例えば頂角91度のコーナー部118を形成している。この第2プリズム基板111はコーナー部118が周回光路装置10bで生成する第3の周回光路LC3を形成する三角形状の一方の斜辺に相当するレーザ光の光軸近傍になるように配置されている。例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面25から第3の光源82の反射膜85に入射して反射膜85を透過したレーザ光がコーナー部118近傍に入射するように配置されている。
【0055】
干渉縞検出手段120は検出基板121と、検出基板121の設けられたLC1検出部122aとLC2検出部122b及びLC3検出部122cを有する。LC1検出部122aは第1プリズム基板111で生成した第1の周回光路LC1を周回するレーザ光の干渉縞の変化を検出するものであり、周回光路装置10bで生成する第1の周回光路LC1の三角形状の斜辺に相当するレーザ光の光軸上の位置、例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面21から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光を入射するように配置されている。LC2検出部122bは第1プリズム基板111で生成した第2の周回光路LC2を周回するレーザ光の干渉縞の変化を検出するものであり、周回光路装置10bで生成する第2の周回光路LC2の三角形状の斜辺に相当するレーザ光の光軸上の位置、例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面23から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光を入射するように配置されている。LC3検出部122cは第2プリズム基板112で生成した第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の干渉縞の変化を検出するものであり、例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面28から第3の光源82の反射膜85に入射して反射膜85を透過したレーザ光が第2プリズム基板112の角度45度で傾いたプリズム端面116に入射して反射したレーザ光を入射するように配置されている。
【0056】
演算手段130はLC1検出部122aとLC2検出部122b及びLC3検出部122cで検出した第1の周回光路LC1と第2の周回光路LC2及び第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の干渉縞の変化から3軸回りの角速度を演算する。
【0057】
この3軸ジャイロセンサ100の干渉縞生成手段110の第1プリズム基板111で第1の周回光路LC1を周回するレーザ光の干渉縞を生成して角速度を求める処理を図9(c)と図10(a)の部分断面図を参照して説明する。
【0058】
周回光路装置10bで第1の周回光路LC1を周回するレーザ光の一部は第2反射面基板50の底面基板52とレーザ媒質51の間に設けた反射膜53を透過して干渉縞生成手段110の第1プリズム基板111に入射する。この第1プリズム基板111に入射する第1の周回光路LC1のレーザ光は順逆方向の両方向に発振しているため、第1プリズム基板111内を2方向に進み、第1の周回光路LC1を反時計回りで周回して第1反射面基板20の反射面21から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光は第1プリズム基板111を透過してLC1検出部122aに入射する。一方、第1の周回光路LC1を反時計回りで周回して第1反射面基板20の反射面22から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光は第1プリズム基板111のコーナー部115aに入射してプリズム端面114とプリズム端面113aの両方で反射してコーナー部115aへの入射光路から僅かにずれて戻り、第2反射面基板50の反射膜53で反射してLC1検出部122aに入射する。
【0059】
このようにしてLC1検出部122aに重なり合せて入射するレーザ光はコヒーレントであるから互いに干渉して干渉縞を生じる。この干渉縞の明暗の様子をLC1検出部122aにより検出し、演算手段130で所定の演算を行って角速度を算出する。
【0060】
すなわち、第1の周回光路LC1を周回するレーザ光は順逆方向に周回しており、光路長を共振長としてレーザ発振している。この状態で、第1の周回光路LC1全体が図面に直交する軸の回りに回転すると、サニャック効果により時計回りのレーザ発振波長と反時計回りの発振波長にずれが生じる。このずれをビート周波数として検出して角速度を求めることができる。
【0061】
例えば図11に発生する干渉縞140の様子を模式的に示す。図11(a)は角速度が零の状態における干渉縞140の状態(基準状態)を示し、図11(b)、(c)は、第1の周回光路LC1が、図10(c)の図面に直交する軸の回りに時計方向と反時計方向の回転を生じたときの干渉縞140の様子を示している。図11に示すように回転方向が時計方向であるか反時計方向であるかにより、干渉縞140は基準状態から右あるいはは左へずれ、そのずれ量はビート周波数に対応し、回転の角速度に比例する。
すなわち演算される角速度Ωは、ビート周波数をf、第1の周回光路LP1が1平面内で形成する3角形の面積をS、第1の周回光路LC1の光路長をL、レーザ光の波長をλとすると次式で与えられる。
Ω=L・λ・f/4S
ここでビート周波数fは干渉縞140の変位量により求められるので、LC1検出部122aの出力を演算手段130に入力して所定の演算を行うことにより角速度を算出することができる。
【0062】
同様にして第1プリズム基板111で第2の周回光路LC2を周回するレーザ光の干渉縞を生成して角速度を求めることができる。
【0063】
次に第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の干渉縞を生成して角速度を求める処理を図10(b)の平面配置図と(c)の部分断面図を参照して説明する。
【0064】
周回光路装置10bで第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の一部は第3の光源82の反射膜85を透過して干渉縞生成手段110の第2プリズム基板112に入射する。この第2プリズム基板112に入射する第3の周回光路LC3のレーザ光は順逆方向の両方向に発振しているため、第2プリズム基板112内を2方向に進む。第3の周回光路LC3を反時計回りで周回して反射面28で反射して第2の光源82aの反射膜85を透過したレーザ光は第2プリズム112に入射して角度40度だけ傾斜したプリズム端面116で反射して角度90度だけ向きを変えてLC3検出部122cに入射する。一方、第3の周回光路LC3を時計回りで周回して反射面25で反射して第2の光源82aの反射膜85を透過したレーザ光は第2プリズム基板112のコーナー部118に入射してプリズム面117bとプリズム面117aの両方で反射してコーナー部118への入射光路から僅かにずれて第2の光源82aの反射膜85に戻り、反射膜85で反射してプリズム端面116で角度90度向きを変えてLC3検出部122cに入射して干渉縞を生じる。この干渉縞の明暗の様子をLC1検出部122cにより検出し、演算手段130で所定の演算を行って第3の周回光路LC3と直交する軸方向の角速度を算出する。
【0065】
このようにして周回光路装置10bを利用して3軸方向の角速度を検出することができる。
【0066】
前記説明では周回光路装置10bを利用した3軸ジャイロセンサ100について説明したが、周回光路装置10、10aを利用して3軸ジャイロセンサを形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の周回光路装置の構成図である。
【図2】周回光路装置の第1反射面基板の構成を示す斜視図である。
【図3】周回光路装置の光源基板の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の第2の周回光路装置の構成図である。
【図5】第2の周回光路装置の第1反射面基板の構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の第3の周回光路装置の構成図である。
【図7】第3の周回光路装置における周回光路LC1と周回光路LC3を形成するレーザ光の励起状態を示す部分断面図である。
【図8】第3の周回光路装置の他の構成図である。
【図9】この発明の3軸ジャイロセンサの構成図である。
【図10】干渉縞生成手段と干渉縞検出手段の構成図である。
【図11】3軸ジャイロセンサで生成した干渉縞を示す模式図である。
【符号の説明】
【0068】
10;周回光路装置、11;基準平面、20;第1反射面基板、
21〜28;反射面、29;孔、30;スペーサ基板、40;光源基板、
41;反射面、50;第2反射面基板、51;固体レーザ媒質、52;底面基板、
53;反射膜、54;反射防止膜、60;ガラス基板、61;マイクロレンズ、
70;励起光源基板、71;励起光源、80;第2の光源、
81;マイクロレンズ、82;第3の光源、83;励起光源、
84;マイクロレンズ、100;3軸ジャイロセンサ、110干渉縞生成手段、
111;第1プリズム基板、112;第2プリズム基板、120;干渉縞検出手段、
121;検出基板、122a;LC1検出部,122b;LC2検出部、
122c;LC3検出部、130;演算手段、LC1〜LC3;周回光路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ光を周回させる周回光路装置及びそれを使用した3軸リングレーザジャイロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション、カメラの手振れ補正、ゲーム、航空機、ロケット、ロボットなど多くの分野に角速度センサが利用されている。この角速度センサ(ジャイロ)には光学式ジャイロ、回転型ジャイロ、振動型ジャイロなどがある。振動型ジャイロは特許文献1などに記載されており、近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により安価に生産されるようになってきている。これらは圧電力、静電力により物体を振動させ、発生するコリオリ力を検出して角速度を検出するものである。MEMSによる振動型ジャイロは小型で低コストであり、民生用機器に広く利用されるようになってきている。しかし、振動ジャイロはゼロ点オフセットが大きいため、絶対角度の検出には向かず、慣性航法に利用することは難しい。
【0003】
航空機や潜水艦、ロケットなどに搭載されるような高精度な検出が必要な場合には、サニャック効果を用いた光ファイバジャイロやリングレーザジャイロが利用されている。光ファイバジャイロは特許文献2や特許文献3などに記載されている。この光ファイバジャイロは、多数回巻かれた光ファイバの両端面にレーザ光をスプリットして挿入する。この光ファイバの巻いた面と垂直な軸方向を中心に角速度が加わると、分離された光に光路差が生じる。この光路差により分離された二つの光の間に位相差が生じる。この位相差を検出することにより、角速度を得るようになっている。この光ファイバジャイロは光の光路差の検出感度を上げるためには光ファイバを非常に長くして巻き回数を大きくする必要がある。そのため温度変化に敏感であることが問題となる。
【0004】
リングレーザジャイロは複数のミラーによってリング状の光路をもつレーザ共振器を構成し、この光路中に時計回りと反時計回りのレーザ光を発振させ、両レーザ光の発振波長の差を検出して角速度を検出する。
【0005】
この光ファイバジャイロ及びリングレーザジャイロは性能が良いが、比較的大きく、高価であるため一般民生用途に使用することは難しい。
【0006】
また、MEMS技術により、高精度な光ジャイロを容易にバッチ処理で形成する構成が特許文献4に開示されている。この光ジャイロではレーザ光の周回光路をシリコンの異方性エッチングを用いて形成して、高精度な光ジャイロをバッチ処理で容易に形成することができるようにしている。
【特許文献1】特開平10−227644号公報
【特許文献2】特公昭62−39836号公報
【特許文献3】特公平2−60127号公報
【特許文献4】特許第3751553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献4に示された光ジャイロは基板と平行な面に周回光路を形成しているため、1軸方向の検出しかできず、2軸方向の検出をするためには90度向きを変えてもう一つ配置する必要があり、装置が大型化してしまう。また、リソグラフィーなどでレンズを形成する場合、基板表面に平行な光に対してレーザ光をコリメートするのが難しいという問題があった。これに対して、この出願の発明者らは表面を(100)面とするシリコン基板を積層し、異方性エッチングによるピラミッド状傾斜面を共振面として利用して、基板表面と垂直かつ互いに直交する二つの周回光路を形成し2軸方向の角速度を検出するリングレーザジャイロを提案している。
【0008】
この発明は、さらにシリコン基板をエッチングすることで得られる空間に、異方性エッチングで得られる精度の良い面を反射面とすることで容易に複数の交叉する面内に互いに交叉する3つの周回光路を形成することができる周回光路装置及び3軸方向の角速度を検出することが可能な3軸リングレーザジャイロを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の周回光路装置は、基準平面を有する基体と、前記基体の基準平面に直交する方向で、前記基準平面に対して平行に積層される1以上の基板と、複数の光源とを有し、前記基体には、前記基準平面に垂直な第1の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に垂直で、かつ、前記第1の平面と交叉する第2の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する複数の反射面を有し、前記1以上の基板には前記基準平面に対して平行な反射面を有し、前記複数の光源のいずれか一部の光源は、前記第1の平面及び第2の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記第1の平面と第2の平面内に法線を有する反射面と前記基準平面に対して平行な反射面により前記2平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第1の周回光路と第2の周回光路を形成し、前記複数の光源の他の光源は、前記第3の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記複数の反射面により第3の平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第3の周回光路を形成していることを特徴とする。
【0010】
前記基体は、シリコン(110)面を表面とするシリコン基板であり、基準平面に直交する第1及び第2の周回光路は、基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略54.7度の(111)面を反射面の一部として利用して形成され、基準平面に平行な平面内を周回する第3の周回光路は、基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略90度の(111)面を反射面として利用して形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記各周回光路のうち少なくとも1つの周回光路において、周回光路を形成する光源の発光点が、周回光路を形成する1つの反射面上に配置して、周回光路を安定して形成することができる。
【0012】
さらに、前記基準平面に対して平行に積層される基板を、第1及び第2の周回光路を形成する光源を有する光源基板で形成し、光源を共有させて部品点数を減らし、構造を簡単にすることを特徴とする。
【0013】
また、前記光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、基体は、固体光源媒質を有する基板と、固体光源媒質を励起する励起光源を有する励起光源基板が積層され、励起光源基板に配置された複数の励起光源により固体光源媒質上における異なる複数の点を励起して複数の異なる発光点から光を放射させて第1から第3の周回光路を形成し、熱源を分散させ、局所的な温度上昇を避けることを特徴とする。
【0014】
また、前記第3の周回光路は、基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する2つの反射面と基板上に実装された光源の反射面とで形成されている三角形状の周回光路にして(光路長/面積)を大きくし検出感度を向上させることを特徴とする。
【0015】
また、前記第3の周回光路を形成する光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、基体に突出して積層され、基体に積層された励起光源基板から出射されたレーザ光により励起されて第3の平面内にレーザ光を放射して、第1の周回光路と第2の周回光路と光源及び励起光源を共有して構造を簡略化することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記励起光源基板は、基体を挟んで固体光源媒質を有する基板とは反対側に配置して、熱源を分散するとともに各周回光路を順逆方向に周回するレーザ光の一部の取り出しを容易にすることを特徴とする。
【0017】
この発明の3軸リングレーザジャイロは、前記周回光路装置と、前記周回光路装置で形成する第1の周回光路と第2の周回光路及び第3の周回光路をそれぞれ順逆方向に周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる干渉縞生成手段と、前記干渉縞生成手段で生成している各周回光路における干渉縞の変化を検出する干渉縞検出手段と、前記干渉縞検出手段で検出した各周回光路における干渉縞の変化に基づき3軸回りの角速度を演算する演算手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、基準平面を有する基体に、基準平面に垂直な第1の平面内にそれぞれ法線を有し、基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、基準平面に垂直で、かつ、第1の平面と交叉する第2の平面内にそれぞれ法線を有し、基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する複数の反射面を設け、基体の基準平面に対して平行に積層された基板には基準平面に対して平行な反射面を設けて複数の反射面を利用してレーザ光を反射させることにより互いに直交した平面内に3つの周回光路を容易に形成することができる。
【0019】
また、基体に設けた複数の反射面をシリコン基板をエッチングすることで得られる空間に、異方性エッチングで得られる面で形成することにより、複数の交叉する反射面を精度良く形成することができ、3つの周回光路を安定して形成することができる。
【0020】
さらに、この発明の周回光路装置で形成する第1の周回光路と第2の周回光路及び第3の周回光路をそれぞれ順逆方向に周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させ、生成している干渉縞の変化に基づき3軸回りの角速度を演算することにより、3軸回りの角速度を安定して検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、この発明の周回光路装置の構成を示し、(a)は(b)のa−a面で裁断した周回光路装置10の平面断面図、(b)は(a)のb−b断面図、(c)は(a)のc−c断面図である。この周回光路装置10のサイズを例示すると、図1(a)〜(c)において上下・左右方向のサイズは数mm程度である。
【0022】
図1に示すように、周回光路装置10は、第1反射面基板20とスペーサ基板30及び光源基板40を有する。第1反射面基板20の一方の面に基準平面11を有し、基準平面11にスペーサ基板30が積層されている。
【0023】
第1反射面基板20は、図1と図2の斜視図に示すように、平行平板状に形成され、中央部に厚み方向を深さ方向として四角柱の角部に4個の正4角錐を重ね合わされた状態の孔29が基準平面11側から貫通穿設され、貫通した孔29の開口面積は基準平面11側が大きく形成されている。この貫通した孔29で符号21、22、23、24が4個の正4角錐の孔の壁面を示し、符号25、26、27、28が四角柱の孔の壁面を示し、すべて同一の空間に形成されている。これらの壁面21〜28は反射面として使用されているので、以下、壁面21〜28を反射面21〜28という。図1(a)に示す平面PL1は基準平面11に対して垂直に交叉しており、相対して形成された正4角錐の孔の壁面である反射面21,22は平面PL1上に法線を有し、基準平面11に対して所定の鋭角で傾斜して形成されている。また、図1(a)に示す平面PL2は基準平面11と平面PL1に垂直に交叉しており、相対して形成された正4角錐の孔の壁面である反射面23、24は平面PL2上に法線を有し、基準平面11に所定の鋭角で傾斜して形成されている。四角柱の孔の壁面である反射面25〜28は、基準平面11に平行な法線を有して形成されている。
【0024】
この第1反射面基板20はシリコン基板を用い、正4角錐と四角柱が重ね合わされた状態の孔29を異方性エッチングを利用して高精度にかつ容易に形成している。すなわち、図2の斜視図に示すように、第1反射面基板20にはシリコン(110)面を表面とするシリコン基板(以下、シリコン(110)基板という)を異方性エッチングすることで現れる(111)面を利用し、基準平面11に対して±54.7度傾斜し、かつ、基準平面11に垂直な平面PL1と平行な法線を有する反射面21,22と基準平面11に垂直な平面PL2と平行な法線を有する反射面23,24と、基準平面11に対して90度傾斜した反射面25〜28とを形成している。この反射面21〜28は反射率を十分に高くするために例えば金メッキなどを施しておくと良い。
【0025】
スペーサ基板30は、第1反射面基板20と光源基板40との間を所定の間隔に設定するための基板であり、正方形形状の孔が厚さ方向に穿設されている。スペーサ基板30を挟んで第1反射面基板20とは反対側に設けられた光源基板40の第1反射面基板20と対向する平面部分が反射面41となっており、この反射面41は基準平面11と平行に形成されている。
【0026】
光源基板40は第2反射面基板50とガラス基板60及び励起光源基板70が積層されている。第2反射面基板50は薄い平行平板状であり、図3の断面図に示すように、励起光を照射することで光が励起されるYAGやYVO4などの固体レーザ媒質51が底面基板52に重ねられて形成されており、その間には反射膜53が形成されている。この反射膜53は固体レーザ媒質51で生成された光の波長では反射し、励起光源基板70から放射する励起光の波長では透過する膜となっており、入射角が19.4度の入射光の反射率が大きくなるように設定され、光源基板40の反射面41となっている。底面基板52も励起された波長の光は透過し、その表面は反射防止膜54が形成されている。励起光源基板70には面発光型の励起光源71が設けられている。この励起光源71から出射されたレーザ光は、ガラス基板60に形成されたマイクロレンズ61により第2反射面基板50の固体レーザ媒質51に集光されて光を励起する発光点42となる。この励起光源71としては半導体レーザ素子などを実装しても良い。このように発光点42を第2反射面基板50に設けることにより発光点42の設置誤差を減らすことができる。
【0027】
スペーサ基板30における正方形形状の穴の大きさは、第1反射面基板20に穿設された正4角錐と四角柱が重ね合わされた状態の孔の基準平面11における大きさよりも一回り小さく形成され、反射面21の平面PL1上の位置に対応するスペーサ基板30のエッジの部分に半導体レーザ素子である第2の光源80が実装されている。この第2の光源80はチップの両端面から発光し、端面における反射がないように両端面に反射防止膜が形成され、図1(a)、(c)に示すように、基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射する。第2の光源80のレーザ光を放射する両端面近傍にはマイクロレンズ81a,81bが実装され、第2の光源80から放射されるレーザ光の発散角を調整する。この第2の光源80とマイクロレンズ81a、81bはスペーサ基板30の上面に適宜の方法で実装されている。
【0028】
前記のように形成された周回光路装置10において、光源基板40の励起光源71によって励起された光が固体レーザ媒質51に集光されて発光点42から第1反射面基板20側に放射されると、放射されたレーザ光の一部は、図1(c)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面21と反射面22及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返すことにより順逆方向にレーザ発振し、三角形状の第1の周回光路LC1を平面PL1内に形成する。また、同時に放射されたレーザ光の他の一部は、図1(b)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面23と反射面24及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返すことにより順逆方向にレーザ発振し、三角形状の第2の周回光路LC2を平面PL2内に形成する。
【0029】
また、第2の光源80からレーザ光を、図1(a)において上下方向へ放射させると、第2の光源80から第1反射面基板20の反射面25側へ放射されたレーザ光は、マクロレンズ81aで発散角を調整され、反射面25と反射面27と反射面26及び反射面28で順次反射され、マイクロレンズ81bを介して第2の光源80へ戻る。第2の光源80から第1反射面基板20の反射面28側へ放射されたレーザ光は、マイクロレンズ81bで発散角を調整され、反射面28と反射面26と反射面27及び反射面25で順次反射され、マイクロレンズ81aを介して第2の光源80へ戻り、順逆方向に周回してレーザ発振する鼓形状の第3の周回光路LC3を基準平面11と平行な平面PL3内に形成することができる。
【0030】
このようにして光源基板40の励起光源71によって励起された光を固体レーザ媒質51に集光させて発光点42からレーザ光を放射するとともに第2の光源80から基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射し、第1反射面基板20の複数の反射面21〜28と光源基板40の反射面41を利用して反射させることにより、互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を容易に形成することができる。
【0031】
また、第2の光源80から放射したレーザ光の周回光路LC3にマイクロレンズ81a、81bを設けてレーザ光の発散角を調整するのは、周回光路LC3を順逆方向に周回して第2の光源80に戻るレーザ光の波面形状がレーザ発振の効率を良好にするように発散角の調整を行うものであり、このレーザ光の発散角を調整することにより、第2の光源80におけるレーザ発振の効率を高めることができる。なお、レーザ光の発散角の調整をしなくてもレーザ発振が可能であり、レーザ光の発散角の調整をしなくても良い。
【0032】
前記説明では第1反射面基板20を平行平板状に形成したが、基準平面11と逆側の面の形状は周回光路PL1〜PL3の形成に何ら影響しないので、基準平面11と逆側の部分は平面である必要はなく適宜の形状で有っても良い。
【0033】
また、第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2を順逆方向に周回するレーザ光の一部」を取り出して干渉縞を発生させる発生させるためには、各周回光路PL1、PL2を順逆方向に周回するレーザ光の一部を光源基板40側で行えば良い。
【0034】
前記周回光路装置10は第1反射面基板20と光源基板40の間にスペーサ基板20を設けて第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2用の空間を形成したが、スペーサ基板20を設けないで第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2用の空間を形成しても良い。
【0035】
このスペーサ基板20を有しない周回光路装置10aについて、周回光路装置10aの平面断面図である図4(a)と、(a)のB−B断面図である図4(b)と、(a)のC−C断面図である図4(c)及び第1反射面基板20の斜視図である図5を参照して説明する。
【0036】
周回光路装置10aの第1反射面基板20は、図4(b)、(c)と図5に示すように、厚さが厚く形成され、反射面21〜28を形成する孔29を深く形成している。この孔29は第1反射面基板20にシリコン(110)基板を用い、異方性エッチングすることで現れる(111)面を利用し、基準平面11に対して±54.7度傾斜し、かつ、基準平面11に垂直な互いに直交する二つの平面PL1,PL2上に法線を有する反射面21〜24と、基準平面11に対して90度傾斜した反射面25〜28とを形成している。
【0037】
また、光源基板40の第2反射面基板50には、平面PL1上で第1反射面基板20の反射面21のエッジ部分に対応する位置に一部を突出させてレーザ媒質で形成され、基準平面11と平面PL2とに平行な両方向にレーザ光を放射する第3の光源82が形成されている。また、励起光源基板70には発光点42を形成する励起光源71を設けるとともに、第3の光源82に入射するレーザ光を放射する励起光源83が設けられ、ガラス基板60には励起光源71から放射されたレーザ光を発光点42に集光するマイクロレンズ61とともに励起光源83から放射されたレーザ光を第3の光源82に集光するマイクロレンズ84が設けられている。
【0038】
この光源基板40の第2反射面基板50が反射面21〜28を形成する孔29を深く形成した第1反射面基板20に直接接合して、第1反射面基板20に深く形成された孔29で第1の周回光路PL1と第2の周回光路PL2用の空間を形成している。
【0039】
この周回光路装置10aも周回光路回路10と同様に励起光源71で放射されたレーザ光により発光点42で励起されたレーザ光は、図4(c)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面21と反射面22及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返して第1の周回光路LC1を平面PL1内に形成し、図4(b)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面23と反射面24及び光源基板40の反射面41で反射を繰り返して第2の周回光路LC2を平面PL2内に形成する。また、励起光源83で放射されたレーザ光により第3の光源82で励起された一方のレーザ光は、図4(a)に示すように、反射面25と反射面27と反射面26及び反射面28で順次反射し、他方のレーザ光は反射面28と反射面26と反射面27及び反射面25で順次反射して基準平面11と平行な平面PL3内に第3の周回光路LC3を形成する。
【0040】
このように第1反射面基板20と光源基板40を接合した簡単な構成で互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を形成することができる。
【0041】
前記周回光路装置10,10aでは光源基板40として第2反射面基板50とガラス基板60及び励起光源基板70を積層した光源基板40を使用した場合について説明したが、第2の反射面基板50をガラス基板60及び励起光源基板70と分離しても良い。
【0042】
この第2反射面基板50をガラス基板60及び励起光源基板70と分離した周回光路装置10bを、周回光路装置10bの平面断面図と図6(a)と、(a)のB−B断面図である図6(b)と(a)のC−C断面図である図6(c)を参照して説明する。
【0043】
周回光路装置10bは、図5に示すように、厚さが厚く形成され、反射面21〜28を形成する孔29を深く形成している第1反射面基板20の貫通した孔29の開口面積が大きい基準平面11側に第2反射面基板50が接合され、第1反射面基板20の第2反射面基板50が接合された面と反対側の面にガラス基板60と例起用光源基板70が積層されている。
【0044】
第2反射面基板50には、平面PL1上で第1反射面基板20の孔29の中心から所定距離だけ隔てた位置に一部を突出させてレーザ媒質からなる第3の光源82が形成されている。第3の光源82の基準平面11と直交して反射面21側とは反対側の側面には、図7(b)に示すように、反射膜85が形成され、反射面21側の側面には反射防止膜86が形成されている。また、励起光源基板70には第2反射面基板50に発光点42を形成する励起光源71と第3の光源82に入射するレーザ光を放射する励起光源83が位置をずらして設けられ、ガラス基板60には励起光源71から放射されたレーザ光を発光点42に集光するマイクロレンズ61とともに励起光源83から放射されたレーザ光を第2の光源82に集光するマイクロレンズ84が設けられている。
【0045】
この周回光路装置10bで励起光源基板70に設けられた励起光源71から放射されたレーザ光はガラス基板60に形成されたマイクロレンズ61と第1反射面基板20の孔29を通って第2反射面基板50の固体レーザ媒質51に集光されて、発光点42からレーザ光が励起される。この発光点42で励起されたレーザ光の一部は、図6(c)と図7(a)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面21と反射面22及び第2反射面基板50の反射膜53で反射を繰り返して第1の周回光路LC1を平面PL1内に形成し、発光点42で励起されたレーザ光の他の一部は、図6(b)に示すように、第1反射面基板20の相対する反射面23と反射面24及び第2反射面基板50の反射膜53で反射を繰り返して第2の周回光路LC2を平面PL2内に形成する。
【0046】
また、励起光源基板70に設けられた励起光源83から放射されたレーザ光はガラス基板60に形成されたマイクロレンズ84と第1反射面基板20の孔29を通って第2反射面基板50の第2の光源82aに集光され、第3の光源82からレーザ光を励起する。この第3の光源82で励起されたレーザ光は基準平面11と平行で反射面21方向に放射され、放射されたレーザ光の一部は、図6(a)と図7(b)に示すように、第1反射面基板20の反射面25と反射面28及び第3の光源82の反射膜85で反射を繰り返す。この反射を繰り返す反射面25〜28の反射率を十分高く設定し、励起光によりパワーを供給してやることにより、第3の光源82から2つの方向に放射された光は、順逆方向に周回してレーザ発振して基準平面11と平行な平面PL3内に鼓形状の第3の周回光路LC3を形成する。この第3の周回光路LC3を形成する第3の光源82に固体レーザを用いると励起光の集光点において熱レンズが形成されるためレーザ光の発散角を調整するマイクロレンズが不要になっている。
【0047】
このように第2反射面基板50をガラス基板60及び励起光源基板70と分離して第1反射面基板20の両面に設け、励起光源基板70に設けた励起光源71、83で発生する熱と第2反射面基板50の発光点42と第3の光源82で発生する熱を分散させることにより、局部的に温度上昇が生じることを防ぐことができる。また、各周回光路LC1〜LC3を順逆方向に周回するレーザ光の一部を第2反射面基板50から容易に取り出すことができる。
【0048】
また、励起光源基板70には励起光源71と励起光源83を異なる位置に配置し、第2反射面基板50の発光点42と第3の光源82の位置も励起光源71と励起光源83の位置に応じて異ならせることにより、励起光源71、83と発光点42及び第3の光源82で発生する熱を分散させることができ、局部的に温度上昇が生じることをより防ぐことができる。
【0049】
さらに、図8(a)の平面断面図と(b)のB−B断面図及び(c)のC−C断面図に示すように、励起光源基板70の励起光源71を第1の周回光路LC1を形成する励起光源71aと第2の周回光路LC2を形成する励起光源71bに分離して第2反射面基板50に2個の発光点42a,42bを形成しても、前記と同様に三角形状の第1の周回光路LC1と第2の周回光路LC2を形成することができるとともに、励起光源71を励起光源71aと励起光源71bとに分離することにより熱源をより分散させることができ、局部的に温度上昇をより低減することができる。
【0050】
このように互いに直交した平面内に3つの周回光路LC1〜LC3を形成する周回光路装置10,10a,10bを利用することにより、3軸方向の角速度を検出する3軸ジャイロセンサを実現することができる。
【0051】
図9は例えば周回光路装置10bを利用した3軸ジャイロセンサの構成を示し、(a)は3軸ジャイロセンサの平面配置図、(b)は(a)のB−B断面図,(c)は(a)のC−C断面図である。図に示すように、3軸ジャイロセンサ100は周回光路装置10cと干渉縞生成手段110と干渉縞検出手段120及び演算手段130を有する。
【0052】
周回光路装置10bの第2反射面基板50の底面基板52とレーザ媒質51の間に設けた反射膜53は励起光源71で発振するレーザ光の一部を反射し、一部を透過する。この第2反射面基板50には、平面PL1上で第1反射面基板20の孔29の中心から所定距離だけ隔てた位置に一部を突出させてレーザ媒質からなる第3の光源82が形成されている。第3の光源82の基準平面11と直交して反射面21側と反対側の側面には反射膜85が形成され、反射面21側の側面には反射防止膜86が形成されている。この反射膜85は第3の光源82で発振するレーザ光の一部を反射し、一部を透過する。また、また、励起光源基板70の第2反射面基板50に発光点42を形成する励起光源71は、図8(a)に示すように、平面PL2上で平面PL1から所定距離だけ反射面24側に離れた位置に設けられ、第2反射面基板50の第3の光源82に入射するレーザ光を放射する励起光源83は第2反射面基板50に設けた第3の光源82と対応する位置に設けられ、励起光源71と励起光源83が一直線上にないように配置されている。
【0053】
干渉縞生成手段110は第1プリズム基板111と第2プリズム基板112を有する。第1プリズム基板111は周回光路装置10bの第2反射面基板50の第1反射面基板20との接合面は反対の面に設けられ、周回光路装置10cで形成する第1の周回光路LC1と第2の周回光路LC2を周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる。この第1プリズム基板111は平行平板状に形成され、直交する2つの側面が平行な上下面に対して角度90度に対して微小角度α例えば角度91度だけ傾いた傾斜面からなるプリズム端面113a、113bを有する。このプリズム端面113a、113bと第1反射面基板20との接合面とは反対側のプリズム端面114とて例えば頂角91度のコーナー部115a、115bを形成している。この第1プリズム基板111はコーナー部115aが周回光路装置10cで生成する三角形状をした第1の周回光路LC1を形成する三角形状の一方の斜辺に相当するレーザ光の光軸近傍になるように配置され、コーナー部115bが周回光路装置10cで生成する三角形状をした第2の周回光路LC2を形成する三角形状の一方の斜辺に相当するレーザ光の光軸近傍になるように配置されている。例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面22から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光がコーナー部115a近傍に入射するように配置され、周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面24から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光がコーナー部115b近傍に入射するように配置されている。
【0054】
第2プリズム基板112は第2反射面基板50の第1反射面基板20との接合面の第2の光源82aの反射面21側と反対側の側面の反射膜85から所定距離だけ隔てた位置に配置され、周回光路装置10bで形成する第3の周回光路LC2を周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる。この第2プリズム基板112は平行平板状に形成され、一方の側面が平行な上下面に対して角度45度だけ傾いた傾斜面からなるプリズム端面116を有し、プリズム端面116と相対する側面は、その側面とプリズム端面面116を挟む平行な2側面に対して角度90度に対して微小角度α例えば角度91度だけ傾いた傾斜面からなるプリズム端面117aを有する。このプリズム端面117aと第2の光源82aとは反対側のプリズム端面117bとて例えば頂角91度のコーナー部118を形成している。この第2プリズム基板111はコーナー部118が周回光路装置10bで生成する第3の周回光路LC3を形成する三角形状の一方の斜辺に相当するレーザ光の光軸近傍になるように配置されている。例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面25から第3の光源82の反射膜85に入射して反射膜85を透過したレーザ光がコーナー部118近傍に入射するように配置されている。
【0055】
干渉縞検出手段120は検出基板121と、検出基板121の設けられたLC1検出部122aとLC2検出部122b及びLC3検出部122cを有する。LC1検出部122aは第1プリズム基板111で生成した第1の周回光路LC1を周回するレーザ光の干渉縞の変化を検出するものであり、周回光路装置10bで生成する第1の周回光路LC1の三角形状の斜辺に相当するレーザ光の光軸上の位置、例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面21から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光を入射するように配置されている。LC2検出部122bは第1プリズム基板111で生成した第2の周回光路LC2を周回するレーザ光の干渉縞の変化を検出するものであり、周回光路装置10bで生成する第2の周回光路LC2の三角形状の斜辺に相当するレーザ光の光軸上の位置、例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面23から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光を入射するように配置されている。LC3検出部122cは第2プリズム基板112で生成した第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の干渉縞の変化を検出するものであり、例えば周回光路装置10bの第1反射面基板20の反射面28から第3の光源82の反射膜85に入射して反射膜85を透過したレーザ光が第2プリズム基板112の角度45度で傾いたプリズム端面116に入射して反射したレーザ光を入射するように配置されている。
【0056】
演算手段130はLC1検出部122aとLC2検出部122b及びLC3検出部122cで検出した第1の周回光路LC1と第2の周回光路LC2及び第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の干渉縞の変化から3軸回りの角速度を演算する。
【0057】
この3軸ジャイロセンサ100の干渉縞生成手段110の第1プリズム基板111で第1の周回光路LC1を周回するレーザ光の干渉縞を生成して角速度を求める処理を図9(c)と図10(a)の部分断面図を参照して説明する。
【0058】
周回光路装置10bで第1の周回光路LC1を周回するレーザ光の一部は第2反射面基板50の底面基板52とレーザ媒質51の間に設けた反射膜53を透過して干渉縞生成手段110の第1プリズム基板111に入射する。この第1プリズム基板111に入射する第1の周回光路LC1のレーザ光は順逆方向の両方向に発振しているため、第1プリズム基板111内を2方向に進み、第1の周回光路LC1を反時計回りで周回して第1反射面基板20の反射面21から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光は第1プリズム基板111を透過してLC1検出部122aに入射する。一方、第1の周回光路LC1を反時計回りで周回して第1反射面基板20の反射面22から第2反射面基板50の反射膜53に入射して反射膜53を透過したレーザ光は第1プリズム基板111のコーナー部115aに入射してプリズム端面114とプリズム端面113aの両方で反射してコーナー部115aへの入射光路から僅かにずれて戻り、第2反射面基板50の反射膜53で反射してLC1検出部122aに入射する。
【0059】
このようにしてLC1検出部122aに重なり合せて入射するレーザ光はコヒーレントであるから互いに干渉して干渉縞を生じる。この干渉縞の明暗の様子をLC1検出部122aにより検出し、演算手段130で所定の演算を行って角速度を算出する。
【0060】
すなわち、第1の周回光路LC1を周回するレーザ光は順逆方向に周回しており、光路長を共振長としてレーザ発振している。この状態で、第1の周回光路LC1全体が図面に直交する軸の回りに回転すると、サニャック効果により時計回りのレーザ発振波長と反時計回りの発振波長にずれが生じる。このずれをビート周波数として検出して角速度を求めることができる。
【0061】
例えば図11に発生する干渉縞140の様子を模式的に示す。図11(a)は角速度が零の状態における干渉縞140の状態(基準状態)を示し、図11(b)、(c)は、第1の周回光路LC1が、図10(c)の図面に直交する軸の回りに時計方向と反時計方向の回転を生じたときの干渉縞140の様子を示している。図11に示すように回転方向が時計方向であるか反時計方向であるかにより、干渉縞140は基準状態から右あるいはは左へずれ、そのずれ量はビート周波数に対応し、回転の角速度に比例する。
すなわち演算される角速度Ωは、ビート周波数をf、第1の周回光路LP1が1平面内で形成する3角形の面積をS、第1の周回光路LC1の光路長をL、レーザ光の波長をλとすると次式で与えられる。
Ω=L・λ・f/4S
ここでビート周波数fは干渉縞140の変位量により求められるので、LC1検出部122aの出力を演算手段130に入力して所定の演算を行うことにより角速度を算出することができる。
【0062】
同様にして第1プリズム基板111で第2の周回光路LC2を周回するレーザ光の干渉縞を生成して角速度を求めることができる。
【0063】
次に第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の干渉縞を生成して角速度を求める処理を図10(b)の平面配置図と(c)の部分断面図を参照して説明する。
【0064】
周回光路装置10bで第3の周回光路LC3を周回するレーザ光の一部は第3の光源82の反射膜85を透過して干渉縞生成手段110の第2プリズム基板112に入射する。この第2プリズム基板112に入射する第3の周回光路LC3のレーザ光は順逆方向の両方向に発振しているため、第2プリズム基板112内を2方向に進む。第3の周回光路LC3を反時計回りで周回して反射面28で反射して第2の光源82aの反射膜85を透過したレーザ光は第2プリズム112に入射して角度40度だけ傾斜したプリズム端面116で反射して角度90度だけ向きを変えてLC3検出部122cに入射する。一方、第3の周回光路LC3を時計回りで周回して反射面25で反射して第2の光源82aの反射膜85を透過したレーザ光は第2プリズム基板112のコーナー部118に入射してプリズム面117bとプリズム面117aの両方で反射してコーナー部118への入射光路から僅かにずれて第2の光源82aの反射膜85に戻り、反射膜85で反射してプリズム端面116で角度90度向きを変えてLC3検出部122cに入射して干渉縞を生じる。この干渉縞の明暗の様子をLC1検出部122cにより検出し、演算手段130で所定の演算を行って第3の周回光路LC3と直交する軸方向の角速度を算出する。
【0065】
このようにして周回光路装置10bを利用して3軸方向の角速度を検出することができる。
【0066】
前記説明では周回光路装置10bを利用した3軸ジャイロセンサ100について説明したが、周回光路装置10、10aを利用して3軸ジャイロセンサを形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明の周回光路装置の構成図である。
【図2】周回光路装置の第1反射面基板の構成を示す斜視図である。
【図3】周回光路装置の光源基板の構成を示す断面図である。
【図4】この発明の第2の周回光路装置の構成図である。
【図5】第2の周回光路装置の第1反射面基板の構成を示す斜視図である。
【図6】この発明の第3の周回光路装置の構成図である。
【図7】第3の周回光路装置における周回光路LC1と周回光路LC3を形成するレーザ光の励起状態を示す部分断面図である。
【図8】第3の周回光路装置の他の構成図である。
【図9】この発明の3軸ジャイロセンサの構成図である。
【図10】干渉縞生成手段と干渉縞検出手段の構成図である。
【図11】3軸ジャイロセンサで生成した干渉縞を示す模式図である。
【符号の説明】
【0068】
10;周回光路装置、11;基準平面、20;第1反射面基板、
21〜28;反射面、29;孔、30;スペーサ基板、40;光源基板、
41;反射面、50;第2反射面基板、51;固体レーザ媒質、52;底面基板、
53;反射膜、54;反射防止膜、60;ガラス基板、61;マイクロレンズ、
70;励起光源基板、71;励起光源、80;第2の光源、
81;マイクロレンズ、82;第3の光源、83;励起光源、
84;マイクロレンズ、100;3軸ジャイロセンサ、110干渉縞生成手段、
111;第1プリズム基板、112;第2プリズム基板、120;干渉縞検出手段、
121;検出基板、122a;LC1検出部,122b;LC2検出部、
122c;LC3検出部、130;演算手段、LC1〜LC3;周回光路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準平面を有する基体と、前記基体の基準平面に直交する方向で、前記基準平面に対して平行に積層される1以上の基板と、複数の光源とを有し、
前記基体には、前記基準平面に垂直な第1の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に垂直で、かつ、前記第1の平面と交叉する第2の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する複数の反射面を有し、
前記1以上の基板には前記基準平面に対して平行な反射面を有し、
前記複数の光源のいずれか一部の光源は、前記第1の平面及び第2の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記第1の平面と第2の平面内に法線を有する反射面と前記基準平面に対して平行な反射面により前記2平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第1の周回光路と第2の周回光路を形成し、
前記複数の光源の他の光源は、前記第3の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記複数の反射面により第3の平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第3の周回光路を形成していることを特徴とする周回光路装置。
【請求項2】
前記基体は、シリコン(110)面を表面とするシリコン基板であり、
前記基準平面に直交する第1及び第2の周回光路は、前記基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略54.7度の(111)面を反射面の一部として利用して形成され、
前記基準平面に平行な平面内を周回する第3の周回光路は、前記基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略90度の(111)面を反射面として利用して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の周回光路装置。
【請求項3】
前記各周回光路のうち少なくとも1つの周回光路において、周回光路を形成する光源の発光点が、周回光路を形成する1つの反射面上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の周回光路装置。
【請求項4】
前記基準平面に対して平行に積層される基板は、前記第1及び第2の周回光路を形成する光源を有する光源基板であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項5】
前記光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、
前記基体は、前記固体光源媒質を有する基板と、前記固体光源媒質を励起する励起光源を有する励起光源基板が積層され、該励起光源基板に配置された複数の励起光源により前記固体光源媒質上における異なる複数の点を励起して複数の異なる発光点から光を放射させて前記第1から第3の周回光路を形成していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項6】
前記第3の周回光路は、基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する2つの反射面と前記基板上に実装された光源の反射面とで形成されている三角形状の周回光路であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項7】
前記第3の周回光路の光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、前記基体に突出して積層され、前記基体に積層された励起光源基板から出射されたレーザ光により励起されて前記第3の平面内にレーザ光を放射することを特徴とする請求項6記載の周回光路装置。
【請求項8】
前記励起光源基板は、前記基体を挟んで前記固体光源媒質を有する基板とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の周回光路装置と、
前記周回光路装置で形成する第1の周回光路と第2の周回光路及び第3の周回光路をそれぞれ順逆方向に周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる干渉縞生成手段と、
前記干渉縞生成手段で生成している各周回光路における干渉縞の変化を検出する干渉縞検出手段と、
前記干渉縞検出手段で検出した各周回光路における干渉縞の変化に基づき3軸回りの角速度を演算する演算手段と、
を有することを特徴とする3軸リングレーザジャイロ。
【請求項1】
基準平面を有する基体と、前記基体の基準平面に直交する方向で、前記基準平面に対して平行に積層される1以上の基板と、複数の光源とを有し、
前記基体には、前記基準平面に垂直な第1の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に垂直で、かつ、前記第1の平面と交叉する第2の平面内にそれぞれ法線を有し、前記基準平面に対して所定角度傾斜して形成された少なくとも2つの反射面と、前記基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する複数の反射面を有し、
前記1以上の基板には前記基準平面に対して平行な反射面を有し、
前記複数の光源のいずれか一部の光源は、前記第1の平面及び第2の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記第1の平面と第2の平面内に法線を有する反射面と前記基準平面に対して平行な反射面により前記2平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第1の周回光路と第2の周回光路を形成し、
前記複数の光源の他の光源は、前記第3の平面内に光を放射するように配置され、該光源から放射された光が、前記複数の反射面により第3の平面内を順逆方向に周回してレーザ発振する第3の周回光路を形成していることを特徴とする周回光路装置。
【請求項2】
前記基体は、シリコン(110)面を表面とするシリコン基板であり、
前記基準平面に直交する第1及び第2の周回光路は、前記基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略54.7度の(111)面を反射面の一部として利用して形成され、
前記基準平面に平行な平面内を周回する第3の周回光路は、前記基体に異方性エッチングを施して得られる基準平面とのなす角が略90度の(111)面を反射面として利用して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の周回光路装置。
【請求項3】
前記各周回光路のうち少なくとも1つの周回光路において、周回光路を形成する光源の発光点が、周回光路を形成する1つの反射面上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の周回光路装置。
【請求項4】
前記基準平面に対して平行に積層される基板は、前記第1及び第2の周回光路を形成する光源を有する光源基板であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項5】
前記光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、
前記基体は、前記固体光源媒質を有する基板と、前記固体光源媒質を励起する励起光源を有する励起光源基板が積層され、該励起光源基板に配置された複数の励起光源により前記固体光源媒質上における異なる複数の点を励起して複数の異なる発光点から光を放射させて前記第1から第3の周回光路を形成していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項6】
前記第3の周回光路は、基準平面に平行な第3の平面内に法線を有する2つの反射面と前記基板上に実装された光源の反射面とで形成されている三角形状の周回光路であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項7】
前記第3の周回光路の光源は、光を照射することにより光を放射する光励起の固体光源媒質からなり、前記基体に突出して積層され、前記基体に積層された励起光源基板から出射されたレーザ光により励起されて前記第3の平面内にレーザ光を放射することを特徴とする請求項6記載の周回光路装置。
【請求項8】
前記励起光源基板は、前記基体を挟んで前記固体光源媒質を有する基板とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の周回光路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の周回光路装置と、
前記周回光路装置で形成する第1の周回光路と第2の周回光路及び第3の周回光路をそれぞれ順逆方向に周回するレーザ光の一部を取り出して干渉させて干渉縞を生成させる干渉縞生成手段と、
前記干渉縞生成手段で生成している各周回光路における干渉縞の変化を検出する干渉縞検出手段と、
前記干渉縞検出手段で検出した各周回光路における干渉縞の変化に基づき3軸回りの角速度を演算する演算手段と、
を有することを特徴とする3軸リングレーザジャイロ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−294165(P2009−294165A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150422(P2008−150422)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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