説明

周波数シフト形RFIDデバイス

【課題】コイル状アンテナを用いて力学的変化を検出できるパッシブ型のRFIDデバイスを提供する。
【解決手段】コイル状アンテナ2と磁性材3又は導電体4とを外力により間隔が変化するように保持する保持部材10、及びアンテナ2の受信時の誘導起電力により駆動されてアンテナ2に識別信号Sを供給するIC回路6を備え、外力印可時に磁性体3又は導電体4との接近又は離隔によりアンテナ2の送受信周波数fをシフトさせる。好ましくは、アンテナ2又はIC回路6にコンデンサ5を含め、アンテナ2とコンデンサ5とで形成される共振回路7の共振周波数fを磁性体3又は導電体4との接近又は離隔によりシフトさせる。例えば、保持部材10に外力により伸縮又は変形する弾性又は塑性の変形部材13を含め、その変形部材13を介してアンテナ2と磁性体3又は導電体4とを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は周波数シフト形RFIDデバイスに関し、とくにコイル状アンテナの受信時の誘導起電力によりIC回路を駆動するパッシブ型のRFIDデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンテナ及びIC回路を内蔵した電子タグに対して無線通信により非接触でデータを読み書きするRFID(Radio Frequency Identification;無線周波数識別)通信技術を利用したシステムが生産管理・物流管理・入退室管理等の分野で普及してきており、土木・建設分野においても、従来のケーブル等を用いた有線通信に代えて無線通信可能な電子タグ(以下、RFIDデバイスということがある)を活用して作業の効率化・自動化を図る技術の開発が進められている。例えば特許文献1及び2は、構造物の維持管理や防災管理を目的として、歪センサ・圧力センサ等と組み合わせたRFIDデバイスを構造物に取り付け、そのセンサで検出した構造物の歪・変位・圧力等の力学的変化をRFIDデバイス経由で無線通信する構造物の監視システム(モニタリングシステム)を提案している。
【0003】
一般にRFIDデバイスには、電池を搭載したアクティブ型と、電池を内蔵しないパッシブ型とがある。例えば特許文献1は、力学的変化を検出するセンサの消費電力を供給する必要があることから、アクティブ型のRFIDデバイスを使用している。しかし、土木・建築分野ではRFIDデバイスによる監視を長期にわたり継続しなければならない場合も多く、電池を交換しなければ使用期間が限定されるアクティブ型よりも、無電力で半永久的に通信機能なパッシブ型のRFIDデバイスを用いたシステムとすることが望ましい。
【0004】
これに対して特許文献3及び4は、パッシブ型のRFIDデバイス(電子タグ)を用いて型枠内に打設するコンクリートの充填状況を監視するシステムを提案している。図10を参照して、特許文献3の開示するコンクリート充填監視システムを本発明の理解に必要な程度において説明する。図示例のRFIDデバイス(電子タグ)40は、無線信号を送受信する電子タグ本体41と、電子タグ本体41を被覆する止水カバー48と、止水カバー48の一端又は両端を片持はり又は固定はり状に支持する台座49とで構成されている(同図(C)参照)。図11に示すように、電子タグ本体41はアンテナ42とIC回路43とを有し、アンテナ42の受信時の電磁誘導又は共振によってIC回路43を駆動するパッシブ型のものである。すなわち、IC回路43には電源回路44と制御回路45と記憶回路46と送受信回路47とが組み込まれており、アンテナ42が無線読み出し信号Rを受信すると、その受信時の電磁誘導又は共振によって電源回路44が駆動され、その電源により制御回路45が記憶回路46に記憶された識別信号Sを読み取り、読み取った識別信号Sを送受信回路47によりアンテナ42から無線送信する。
【0005】
図10(A)及び同図(B)に示すように、上述した複数の電子タグ40を、コンクリート型枠31a〜31hで囲まれた空隙30内(例えば型枠31a〜31hの打設面等の空隙内面30a上又は鉄筋33上)の複数の所定部位Pにそれぞれ取り付ける。電子タグ40の止水カバー48はコンクリートCの圧力によって破壊されるように設計されており、電子タグ本体41の識別信号Sの送信機能は止水カバー48で保護されている間は維持されるが(同図(C)参照)、コンクリートCの圧力で止水カバー48が破壊されると絶縁が破壊されて失われる(同図(D)参照)。例えば、台座49上に片持はり又は固定はり状に支持した止水カバー48の強度(曲げ強さ)をコンクリートCの充填時に型枠31の内面30aに加わる圧力の曲げモーメントによって破壊されるように設計し、コンクリートCの充填に応じて止水カバー48を破壊して電子タグ本体41の識別信号Sの送信機能を停止させる。
【0006】
型枠31で囲まれた空隙30内にコンクリートCを打設する際に、型枠31の外側の読み出し装置(リーダ)20によって各電子タグ40の識別信号Sを繰り返し読み取り、読み取りの停止した識別信号Sを検出する。なお、電子タグ40は数mm〜数十mmの小型のものであり、コンクリートC中に埋め込まれても強度的な問題となるおそれは少ない。図11に示すように読み出し装置20の一例は、読み出し信号Rを送信するアンテナ21及び送受信部24と電源25と制御部27とを有するコンピュータであり、その制御部27には、各電子タグ40の取り付け部位P及び識別信号Sを記憶する手段27aと、各電子タグ40の識別信号Sを読み取る手段27bと、読み取りの停止した電子タグ40の識別信号Sから取り付け部位Pを検出する手段27cと、その読み取りの停止した識別信号S及び取り付け部位Pをディスプレイ26に表示する手段29として機能するプログラムが内蔵されている。型枠31の外側の作業員は、読み出し装置20のディスプレイ26に表示された読み取りの停止した電子タグ40の取り付け部位Pにより、型枠31内のコンクリートCの充填状況をリアルタイムで確認することができる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−194275号公報
【特許文献2】特開2002−039810号公報
【特許文献3】特開2006−299604号公報
【特許文献4】特開2006−309410号公報
【特許文献5】特許第3319506号公報
【特許文献6】特許第3570512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図10に示すパッシブ型のRFIDデバイス(電子タグ)40は、コンクリートCの圧力により止水カバー48を破壊して送信機能を停止させるものであるが、例えば止水カバー48の強度(曲げ強さ)が異なる複数の電子タグ40を用いることで圧力変化を検出するRFIDデバイスへと改良することも期待できる。しかし、特許文献3及び4(とくに特許文献4の段落0023)は、例えば400MHz〜GHzレベルの高周波数電磁波の使用をも想定しており、高周波数電磁波は地中又は水中のように導電率の高い媒体中で大きく減衰するので、読み出し装置20との間にそのような導電率の高い媒質が存在すると通信ができなくなるおそれがある。
【0009】
例えば図12に示すように地山Eに掘削したトンネルにコンクリート覆工を施す場合は、掘削した地山Eとトンネル内側に組み立てたセントル(覆工型枠)32との間に覆工コンクリートCを充填する。このコンクリートCの充填状況を図10のシステムで監視する場合は、セントル32の打設面32aに電磁タグ40aを取り付けると共に地山Eの表面にも電磁タグ40bを取り付け、セントル32の内側の読み出し装置20により電磁タグ40a、40bからの無線識別信号Sの読み取り停止をそれぞれ検出する必要がある。この地山Eの表面の電磁タグ40bと読み出し装置20とは、コンクリートCの打設時に水分を含むコンクリートCを介して通信しなければならないので、高周波数の電磁波ではコンクリートC中で電磁波が減衰するので通信困難となりうる。
【0010】
上述した高周波数電磁波に比して例えばkHz〜MHzレベルの低周波数電磁波は、導電率の高い媒質中でも小さな減衰で伝播することが知られている。図12のような覆工コンクリートCの充填状況を監視するには、導電率の高い媒質中でも減衰しにくい低周波数電磁波で通信するコイル(ソレノイドコイル)状アンテナを用いたRFIDデバイスを用いることが望ましい。土木・建築分野では、地中又は水中にRFIDデバイスを配置しなければならない場合も多く、低周波数で通信するコイル状アンテナを用いて歪・変位・圧力等の力学的変化を検出できるRFIDデバイスの開発が望まれている。
【0011】
そこで本発明の目的は、コイル状アンテナを用いて力学的変化を検出できるパッシブ型のRFIDデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、コイル状アンテナの近傍に磁性体(又は導電体)を配し、その磁性体を外力によりコイルに接近又はコイルから離隔させてアンテナの通信状態を変化させることに着目した。従来から、例えば磁芯となる磁性材にソレノイドコイルを巻き付けてアンテナとしたRFIDデバイスが知られているが(特許文献5及び6参照)、ソレノイドコイルと磁性材との間隔を変化させるRFIDデバイスは提案されていない。コイル状アンテナと磁性材又は導電体との間隔を外力により変化させて通信状態を変化させれば、電力を消費するセンサ等を用いることなく歪・変位・圧力等の力学的変化を検出できるRFIDデバイスとすることが期待できる。本発明は、この着想に基づく研究開発の結果、完成に至ったものである。
【0013】
図1の実施例を参照するに、本発明による周波数シフト形RFIDデバイスは、コイル状アンテナ2と磁性体3又は導電体4とを外力により間隔Wが変化するように保持する保持部材10、及びアンテナ2の受信時の誘導起電力により駆動されてアンテナ2に識別信号Sを供給するIC回路6を備え、外力印可時に磁性体3又は導電体4との接近又は離隔によりアンテナ2の送受信周波数fをシフトさせてなるものである。好ましくは、アンテナ2又はIC回路6にコンデンサ5を含め、アンテナ2とコンデンサ5とで形成される共振回路7(図5参照)の共振周波数fを磁性体3又は導電体4との接近又は離隔によりシフトさせる。
【0014】
更に好ましくは、図1に示すように、保持部材10に外力により伸縮又は変形する弾性又は塑性の変形部材13を含め、その変形部材13を介してアンテナ2と磁性体3又は導電体4とを保持する。または、図2〜図4及び図7〜図9に示すように、保持部材10に外力に抗して固定される固定部材11とその固定部材11に係止されつつ外力により変位又は変形する可動部材12とを含め、アンテナ2と磁性体3又は導電体4との一方を固定部材11に保持すると共に他方を可動部材12に保持する。可動部材12には、外力印可時に伸縮又は変形する弾性又は塑性の変形部材13を含めることができる。例えば図2に示すように、固定部材11及び可動部材12の一方を軸芯状とし他方をそれに遊嵌する孔付き盤状とすることができる。また図3に示すように、固定部材11及び可動部材12の一方をシリンダ状とし他方をそれに遊嵌するピストン状としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明による周波数シフト形RFIDデバイスは、コイル状アンテナ2とそのアンテナ2の受信時の誘導起電力により駆動されてアンテナ2に識別信号Sを供給するIC回路6とを備え、そのアンテナ2と磁性体3又は導電体4とを外力により間隔Wが変化するように保持し、外力印可時に磁性体3又は導電体4との接近又は離隔によりアンテナ2の送受信周波数fをシフトさせるので、次の顕著な効果を奏する。
【0016】
(イ)外力によってコイル状アンテナ2の送受信周波数fがシフトするので、そのシフトによって特定の送受信周波数fによる識別信号Sの送信を停止させることにより、デバイスに加わる歪・変位・圧力等の力学的変化を無電力で検出することができる。
(ロ)また、コイル状アンテナ2により導電率の高い媒質中でも減衰しにくい低周波数fで送受信するので、そのような媒質が介在する環境下でもRFID通信が可能であり、地中又は水中にデバイスを設置することも可能である。
(ハ)従って、水中又は地中に沈設する構造物(物体等)の接地部にRFIDデバイスを取り付けて設置面との接触/非接触の状態を監視する場合や、コンクリートを打設する枠体内にRFIDデバイスを取り付けてコンクリートの充填を管理する場合等に有効に利用することができる。
(ニ)RFIDデバイスの構成が簡単であって安価に製造可能であり、しかも電池を搭載する必要がないので、コスト面及び作業面で負担の少ないデバイスとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、水中又は地中に沈設する構造物37と設置面(例えば地盤面)Eとの接触/非接触の状態監視に本発明のRFIDデバイス1を適用した実施例を示す。図示例のRFIDデバイス1は、コイル状アンテナ2と、比透磁率μが1より大きい磁性体3と、そのアンテナ2及び磁性体3を外力Fによって間隔Wが変化するように保持する保持部材10と、アンテナ2の受信時の誘導起電力により駆動されるIC回路6とを有する。図示例では、アンテナ2をシリンダ状に形成し、そのシリンダ状アンテナ2の一端側に固定部材11を固定し、シリンダ状アンテナ2の内側に配置した弾性又は塑性の変形部材13の一端を固定部材11に結合すると共にその他端にシリンダ内径より小径の磁性体3を保持し、固定部材11と変形部材13とで保持部材10を構成している(同図(B)参照)。またIC回路6を固定部材11上に取り付けている。ただし、固定部材11は本発明に必須のものではなく、変形可能な保持部材10の両端にシリンダ状アンテナ2と磁性体3とをそれぞれ取り付け、IC回路6をシリンダに支持してもよい。また後述するように、磁性体3に代えて、導電体4を用いて本発明のRFIDデバイス1とすることができる。
【0018】
図示例の変形部材13は、例えば固定部材11とアンテナ2との間隔Mより大きい初期長さNを有し、その初期長さNにおいてアンテナ2と磁性体3とを間隔W1(=N−M)だけ離して保持しているが(図1(A)参照)、シリンダ軸線方向の外力Fを受けると収縮してアンテナ2と磁性体3とを接近させる。同図(C)に示すように外力Fにより変形部材13が長さMにまで収縮すると、アンテナ2と磁性体3とが間隔W2(≒0)となり、磁性体3がアンテナ2とほぼ重なる。変形部材13の一例はバネ、ゴム等の弾性変形材製であるが、アンテナ2及び磁性体3の間隔Wを外力Fの除去時に復帰させる必要がない場合は、変形部材13を金属又は合成樹脂等の塑性変形材製としてもよい。また図4に示すように、変形部材13を、外力Fにより開放される開閉栓14を有すると共にその開閉栓14の開放時に気体又は液体が進入又は排出されて膨張又は収縮するものとしてもよい。図4の変形部材13は、初期状態において開閉栓14が閉鎖されて収縮しており、アンテナ2と磁性体3とを間隔W1だけ離して保持しているが、外力Fの印可時に開閉栓14が外れ又は破壊されると気体又は液体が進入して膨張し(同図(B)の黒矢印参照)、アンテナ2と磁性体3とを間隔W2(≒0)にまで接近させる。変形部材13の内側への気体又は液体の進入が促進されるように、例えば初期状態において変形部材13の内側を負圧又は真空としておくことができる。
【0019】
図示例のコイル状アンテナ2はコンデンサ5(同調コンデンサ)を含み、アンテナ2とコンデンサ5とで共振回路7(図5参照)を形成している。なお、図示例ではコンデンサ5とIC回路6とを分離しているが、コンデンサ5をIC回路6に含めてもよい。共振回路7はアンテナ2のインダクタンスLとコンデンサ5の容量Cとで定まる共振周波数f0(=1/2π(L・C)1/2)を有しており、アンテナ2のインダクタンスLはアンテナ2と磁性体3との間隔Wにより変化する。例えばアンテナ2と磁性体3とが間隔W1のときはアンテナ2がインダクタンスL1となり、共振回路7が共振周波数f1(=1/2π(L1・C)1/2)となる。これに対しアンテナ2と磁性体3とが間隔W2(<W1)に接近したときは、両者の結合状態が強くなり、アンテナ2のインダクタンスL2が大きくなり、共振回路7がより低い共振周波数f2(=1/2π(L2・C)1/2)にシフトする。また、アンテナ2と磁性体3との間隔W2が小さくなると、磁性体3の導電性の影響で渦電流損が発生してアンテナ2のQ特性が低下するので、発生磁界が弱まり、共振周波数f2における振幅(電圧)が共振周波数f1に比して低くなる。
【0020】
共振回路7の共振周波数f0は、磁性体3に代えてアルミニウム・金・銅・銀等の導電体4を用い、その導電体4とアンテナ2との間隔Wを変化させることによりシフトさせることもできる。この場合は、図示例において保持部材10によりアンテナ2と導電体4とを外力Fで間隔Wが変化するように保持し、間隔W1の初期状態における共振回路7の共振周波数f1(=1/2π(L1・C)1/2)に対して、外力により導電体4を間隔W2(<W1)に接近させてアンテナ2のインダクタンスL3を小さくすることにより、共振回路7をより高い共振周波数f3(=1/2π(L3・C)1/2)にシフトさせる。磁性体3を用いた場合と導電体4を用いた場合とでは共振回路7の共振周波数f0が高低どちら側にシフトするかが異なりうるが、磁性体3に代えて導電体4を用いた場合も、外力により共振周波数f0がシフトするRFIDデバイス1とすることができる。
【0021】
図示例のIC回路6は、コイル状アンテナ2の受信時の誘導起電力によって駆動され、アンテナ2に対して識別信号Sを供給する。例えば図10に示すIC回路43と同様に、IC回路6に電源回路(整流回路等)44と制御回路45と記憶回路46と送受信回路47とを組み込み、その記憶回路46に識別信号Sを記憶しておくことができる。例えばアンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とが間隔W1の初期状態において、読み出し装置20(図10及び図11参照)からの共振周波数f1の読み出し電磁波R(磁場)をアンテナ2が受信すると、その誘導起電力によってIC回路6が駆動される。IC回路6に過剰な電圧(エネルギー)が入力されないように、必要に応じてアンテナ2とIC回路6との間にZDツェナーダイオード等の負荷抵抗を接続して電圧を調節することができる。
【0022】
読み出し電磁波Rによりアンテナ2に生じた誘導起電力は、その電磁波R(磁場)を打ち消すような共振周波数f1の磁場(以下、応答電磁波という)を生ずる。誘導起電力で駆動されたIC回路6は、アンテナ2に識別信号Sを供給し、応答電磁波の搬送波に識別信号Sを変調する。読み出し装置20は、応答電磁波を復調することにより、識別信号Sを読み出すことができる。すなわち、アンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とが間隔W1の初期状態においては、読み出し装置20のアンテナ21とRFIDデバイス1のアンテナ2とを共振周波数f1により磁気結合させて識別信号Sを伝達し、読み出し装置20により識別信号Sを読み取ることができる。
【0023】
しかし、アンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とが接近して間隔W2になると、共振回路7が共振周波数f2にシフトするので、アンテナ2が共振周波数f1の読み出し信号Rを受信しても十分な誘導起電力(振幅)を得ることができず、読み出し装置20により識別信号Sを読み取ることができない通信不能状態となる。すなわち、読み出し装置20とRFIDデバイス1との間の共振周波数f1による識別信号Sの読み取りが停止することから、デバイス1に加わる外力Fの変化を検出することができる。このような識別信号Sの読み取り(ON)とその停止(OFF)とは明確に区別できることが望ましく、そのためには接近によりアンテナ2の共振周波数f1を大きく変化させる炭素鋼・ケイ素鋼・コバルト・パーマロイ等の比透磁率μが1よりはるかに大きい強磁性体3を用いることが有効である。
【0024】
[実験例1]
本発明のRFIDデバイス1により力学的変化が検出できることを確認するため、図5(A)に示すように、線径φ=0.5mmの導線によるコイル径Φ=20mm、ターン数(巻き数)T=20、幅10mmのコイル状アンテナ(受信アンテナ)2とコンデンサ5とを並列接続して共振周波数f0=135kHzの受信共振回路7を形成し、その受信アンテナ2と近傍に保持した炭素鋼製の強磁性体3との間隔Wを変化させたときの共振回路7の誘導起電力Voutの変化を測定する実験を行なった。本実験では、同じく線径φ=0.5mmの導線で形成したコイル径Φ=20mm、ターン数T=20、幅10mmのコイル状の送信アンテナ21とコンデンサ22とを直列接続して共振周波数f0=135kHzの送信共振回路23を形成し、その送信共振回路23にマルチファンクションシンセサイザー28を接続して読み出し装置とした。また、その読み出し装置の送信アンテナ21にシンセサイザー28から駆動電圧=10Vpp(=3.54Vrms)を駆動周波数130〜138kHzで掃引しながら印加し、そのときに受信共振回路7で発生する誘導起電力Voutを受信共振回路7に接続したデジタルオシロスコープ29で測定した。
【0025】
先ず図5(B)に示すように、送信アンテナ21と受信アンテナ2とを同一軸線上で間隔D=100mmだけ離したうえで、強磁性体3の存在しない状態の誘導起電力Voutを測定した(case1)。次に同図(C)に示すように受信アンテナ2の近傍に強磁性体3を間隔W1=15mmで保持した状態で誘導起電力Voutを測定し(case2)、更に同図(D)に示すように受信アンテナ2と強磁性体3とがほぼ重なる間隔W2≒0mmに接近させた状態で誘導起電力Voutを測定した(case3)。case1〜3の実験結果を図6のグラフに示す。
【0026】
図6のcase1のグラフは、強磁性体3の存在しない場合は共振周波数f0=135kHzにおいて誘導起電力Vout≒30mVppとなることを示している。またcase2のグラフは、受信アンテナ2の近傍(間隔W1=15mm)に強磁性体3を保持することで受信アンテナ2の受信周波数(共振周波数)が若干低くなると共にその誘導起電力Voutが小さくなり、共振周波数f0=135kHzにおいて誘導起電力Vout≒26mVppとなることを示している。更にcase3のグラフは、受信アンテナ2と強磁性体3とを接近させた(間隔W2≒0mm)ときに受信アンテナ2の受信周波数(共振周波数)が更に低くなると共にその誘導起電力Voutが更に小さくなり、共振周波数f0=135kHzにおいて誘導起電力Vout≒18mVppとなることを示している。
【0027】
図6のグラフから、例えば誘導起電力Vout≒20.0mVppで駆動されるIC回路6を用いれば、強磁性体3が間隔W1=15mmで保持されているときは共振周波数f0=135kHzの読み取り信号に応じて識別信号Sが読み取れるが、強磁性体3が間隔W2≒0mmに接近したときに共振周波数f0=135kHzの読み取り信号では識別信号Sが読み取れない通信不能状態となることが分かる。すなわち本実験により、磁性体3が間隔W1のとき(離隔しているとき)はIC回路6が動作する誘導起電力を発生するが、間隔W2のとき(接近したとき)はIC回路6が動作しない電圧まで誘導起電力が低下するようにアンテナ2及び磁性体3を設計しておけば、識別信号Sの読み取り停止により力学的変化を検出できるRFIDデバイス1とすることができることを確認できた。
【0028】
なお、コイル状アンテナ2の送受信周波数(共振周波数)fは、コイル径Φやコンデンサ5の容量C等を適当に選択することで調整可能であるが、導電率の高い媒質中でも減衰しにくい低周波数とすることが望ましい。例えば送受信周波数(共振周波数)fを、国際規格(ISO/IEC)で標準化が進められている長波帯(135kHz以下)又は短波帯(13.56MHz)とする。また、磁性体3(又は導電体4)の接近による送受信周波数(共振周波数)fのシフト量や振幅ピークの低減量も、磁性体3(又は導電体4)の比透磁率μの大きさや棒状、円柱状、角柱状、板状、中空筒状等の形状を適当に選択することで調整することができる。接近時にIC回路6が動作しない電圧まで誘導起電力が低下するようにアンテナ2及び磁性体3(又は導電体4)のコイル径Φ、ターン数(巻き数)T、非透磁率μ、形状等を設計しておけば、識別信号Sの読み取り停止により歪・変位・圧力等の力学的変化を検出できるパッシブ型のRFIDデバイス1とすることができる。
【0029】
図1の実施例では、同図(D)に示すように、上述した単数又は複数のRFIDデバイス1を水中又は地中に沈設する構造物37の地盤Eとの接触部(例えばケーソンの底壁外側)に取り付け、構造物37の沈設作業時に構造物37の内側の読み出し装置20によって各RFIDデバイス1の識別信号Sを繰り返し読み取り、読み取りの停止したRFIDデバイス1を検出する。読み出し装置20は、低周波数の読み出し信号Rを用いる点を除き、図10に示す読み出し装置20と同様の構成とすることができる。RFIDデバイス1は、構造物37が地盤Eと接触するまで識別信号Sの読み取りが可能であるが、上述したように構造物37が地盤Eと接触して外力が加わると識別信号Sの読み取りが停止するので、識別信号Sの読み取りの停止したRFIDデバイス1の取り付け部位Pから構造物37の各接触部における地盤Eとの接触/非接触の状態を検知することができる。なお、RFIDデバイス1のシリンダ状アンテナ2及び固定部材11は構造物37の接触部に窪みを設けて埋設することができ、埋設することでRFIDデバイス1が構造物37の沈設の障害となるのを避けることができる。なお、外力Fの除去時にアンテナ2及び磁性体3(又は導電体4)の間隔Wが復帰するように保持部材10を弾性変形材製とした場合は、読み出し装置20で識別信号Sの読み出しの再開したRFIDデバイス1を検出することで、構造物37の各接触部の地盤Eからの離陸(非接触)を検知することも可能である。
【0030】
こうして本発明の目的である「コイル状アンテナを用いて力学的変化を検出できるパッシブ型のRFIDデバイス」の提供を達成することができる。
【0031】
以上、図1を参照して外力によりアンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とを接近させて送受信周波数fをシフトさせるRFIDデバイス1について説明したが、本発明のRFIDデバイス1では外力によりアンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とを離隔させて送受信周波数fをシフトさせることも可能である。例えば、外力のない初期状態において図6のcase3のグラフ(間隔W2≒0mm)となるようにアンテナ2と強磁性体3とを保持部材10により接近させた状態で保持し、外力印加時にアンテナ2と強磁性体3とを離隔させてcase2のグラフ(間隔W1=15mm)となるように保持部材10を変形させる。この場合は、読み出し装置20で識別信号Sの読み出しの開始したRFIDデバイス1を検出することにより、RFIDデバイス1の取り付け部位Pの力学的変化を検知することができる。
【0032】
なお、図1の実施例ではシリンダ状アンテナ2の内側に磁性体3(又は導電体4)を保持しているが、例えば図3の実施例に示すように、シリンダ状の固定部12に磁性体3(又は導電体4)を保持し、その内側に遊嵌するピストン状のコイル状アンテナ2と組み合わせて本発明のRFIDデバイス1とすることも可能である。同図は、有底シリンダ状固定部12の側壁及び/又は底壁を磁性体3(又は導電体4)により形成し、そのシリンダ状固定部12の内側に弾性又は塑性の変形部材13を介して棒状のコイル状アンテナ2を遊嵌させたものである。変形部材13は初期状態において棒状アンテナ2をシリンダ状固定部12から突出させて保持し、アンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とを間隔W1だけ離しているが(同図(A)参照)、外力Fを受けると棒状アンテナ2がシリンダ状固定部12の内側に収納されてアンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とが間隔W2(≒0)となり、磁性体3がアンテナ2とほぼ重なってアンテナ2の送受信周波数をシフトさせる。
【実施例1】
【0033】
図2は、図12に示すようなトンネルの地山Eとセントル(覆工型枠)32との間に打設する覆工コンクリートCの充填状態の監視に本発明のRFIDデバイス1を適用した実施例を示す。図示例のRFIDデバイス1も、コイル状アンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とを外力Fにより間隔Wが変化するように保持する保持部材10と、アンテナ2の受信時の誘導起電力で駆動されるIC回路6とを有する。図示例の保持部材10は、力学的変化を検出する部位に外力に抗して固定される固定部材11と、その固定部材11に係止されつつ外力により変位又は変形する可動部材12とを有し、アンテナ2及び強磁性体3(又は導電体4)の一方を固定部材11に保持すると共に他方を可動部材12に保持している。
【0034】
図示例の固定部材11は、有底シリンダ状の外郭部11bと、その底面から軸心に沿って延びる軸芯部11aと、外殻部11bの開口周縁に設けた係止部11cとを含み、その軸芯部11aの底部に磁性体3(又は導電体4)を保持している。また、その軸芯部11aに遊嵌する孔付き盤状の可動部材12にアンテナ2を保持し、アンテナ2を軸芯部11aに沿って外殻部11bの内側で移動可能とし、可動部材12の軸芯部11aからの抜け出しを係止部11cで抑えている(同図(C)参照)。可動部材12とシリンダ状外郭部11bの底面との間には弾性又は塑性の変形部材13を設け、変形部材13は初期状態においてアンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とを間隔W1だけ離して保持しているが(同図(A)参照)、可動部材12が軸芯部11aの軸線方向の外力を受けて軸芯部11aに沿って底面方向に移動すると収縮し、アンテナ2と磁性体3(又は導電体4)とを間隔W2(≒0)に接近させる(同図(B)参照)。この磁性体3(又は導電体4)との接近により、上述したようにアンテナ2の送受信周波数(共振周波数)fがシフトすると共にその共振周波数fにおける振幅(電圧)が低くなり、RFIDデバイス1を識別信号Sが読み取れない通信不能状態となるので、識別信号Sの読み取りが停止してデバイス1に加わる外力Fの変化を検出することができる。
【0035】
図2(D)に示すように、覆工コンクリートCを打設する際に、地山Eの表面及びセントル32の打設面にそれぞれRFIDデバイス1を取り付け、トンネル内側(セントル32の内側)の読み出し装置20によりRFIDデバイス1からの識別信号Sの読み取り停止を検出することで、RFIDデバイス1の取り付け部位PにおけるコンクリートCの充填を検知する。本発明のRFIDデバイス1はコイル状アンテナにより導電率の高い媒質中でも減衰しにくい低周波数fで送受信するので、読み出し装置20との間に水分を含むコンクリートCが介在する環境下でも通信が可能であり、地山Eの表面及びセントル32の打設面におけるコンクリートCの充填を確実に検知することができる。同図(E)は、地山Eとセントル32との間の既設コンクリート34にRFIDデバイス1を取り付け、既設コンクリート34の表面におけるコンクリートC(新設コンクリート36)の充填を検知する実施例を示す。
【0036】
図9は、既設コンクリート34と地山Eとの境界部におけるコンクリートCの充填を検知するRFIDデバイス1の他の一例を示す。図示例のRFIDデバイス1の保持部材10は、直角三角形断面のシリンダ状の固定部材11と、それに遊嵌するピストン状の可動部材12とを有し、アンテナ2及び磁性体3(又は導電体4)の一方を固定部材11に保持すると共に他方を可動部材12に保持している。固定部材11の三角形断面の直交する2辺を図2(D)の地山E及び既設コンクリート34の表面にそれぞれ固定し、棒状のアンテナ2及び磁性体3(又は導電体4)の一方を三角形断面の斜辺に穿った陥没部11eの底に保持させ、その陥没部11eに移動可能に遊嵌させる可動部材12の突出部12eに他方を保持させる。
【0037】
図9の可動部材12も、例えば固定部材11に係止部11c(図2参照)を設けることで、固定部材11に離脱しないように係止することができる。図示例では、固定部材11から離脱させずに可動部材12に棒状アンテナ2を保持させるため、固定部材11に陥没部11eに連通する挿入孔11dを穿ち、その挿入孔11dから挿入した棒状アンテナ2を可動部材12の突出部12eに保持させることができる。なお、本発明のRFIDデバイス1の通信距離はコイル状アンテナ2のコイル径Φ、ターン数(巻き数)T等により適宜に調整可能であるが、RFIDデバイス1の通信距離に制限がある場合は、図2(D)、同図(E)又は図9に示すように取り付け向きを調節することで、読み出し装置20による識別信号Sの読み取り方向とアンテナ2の指向性とを一致させる効果が期待できる。
【実施例2】
【0038】
図7は、RFIDデバイス1の保持部材10をシリンダ状の固定部材11とその内側に係止されて浮力により移動するピストン状の可動部材12とで構成し、その可動部材12をコンクリートCの比重より低く且つブリージング水(浮き水)35の比重より高い比重材製とした本発明のRFIDデバイス1の実施例を示す。固定部材11及び可動部材12の一方にアンテナ2を保持させ、他方に磁性体3(又は導電体4)を保持させる。例えばコンクリートCの充填状態を監視する場合に、コンクリートCのうち比重の大きい骨材やセメント粒子が沈降して浮き水(ブリージング水)35と分離する現象が発生しうる。本発明のRFIDデバイス1において、アンテナ2と磁性体3(又は導電体4)との間隔Wがブリージング水35の圧力により変動すると、ブリージング水35の充填をコンクリートCの充填であると誤検知するおそれがある。図7のRFIDデバイス1は、可動部材12をコンクリートの比重ρ1(≒2.4〜2.6)より低く且つブリージング水35の比重ρ2より高い比重ρの材質製(ρ2<ρ<ρ1)とし、コンクリートCより低比重のブリージング水35によって可動部材12が移動することを防止し、コンクリートC(新設コンクリート36)の充填時にのみ可動部材12を移動させて識別信号Sの読み取りを停止させるので、ブリージング水35をコンクリートCの充填である誤検知することを避けることができる。なお、可動部材12にはアンテナ2又は磁性体3(又は導電体4)が保持されるので、保持するアンテナ2又は磁性体3(又は導電体4)の比重を考慮して可動部材12の比重を決める必要がある。
【0039】
また図8は、ブリージング水35をコンクリートCの充填と誤検知することを避けるため、RFIDデバイス1の保持部材10をシリンダ状の固定部材11とその内側に係止されて移動するピストン状の可動部材12とで構成し、その可動部材12をコンクリートC中のセメント粒子より大きく且つ細骨材より小さい網目大きさのフィルター材製とした本発明のRFIDデバイス1の実施例を示す。この場合も、固定部材11及び可動部材12の一方にアンテナ2を保持させ、他方に磁性体3(又は導電体4)を保持させる。可動部材12をコンクリートC中のセメント粒子の粒径(≒18μm、最大80〜100μm)より大きく且つ細骨材の粒径(10mmふるいを全部通り、5mmふるいを重量で85%以上透過する粒径)より小さい網目大きさのフィルター製とすることにより、ブリージング水35によって可動部材12が移動することを防止し、コンクリートC(新設コンクリート36)の充填時にのみ可動部材12を移動させて識別信号Sの読み取りを停止させることができる。なお、図示例ではシリンダ状の固定部材11の端面にも可動部材12と同じ網目大きさのフィルター材を設けているが、このフィルター材は省略可能である。また、可動部材12にはアンテナ2又は磁性体3(又は導電体4)が保持されるので、アンテナ2又は磁性体3(又は導電体4)に対するブリージング水35の圧力によって可動部材12が移動しないように、可動部材12の重量を適当に調整する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のRFIDデバイスの一実施例の説明図である。
【図2】本発明のRFIDデバイスの他の実施例の説明図である。
【図3】本発明のRFIDデバイスの更に他の実施例の説明図である。
【図4】本発明のRFIDデバイスの更に他の実施例の説明図である。
【図5】本発明の効果を確認する実験方法の説明図である。
【図6】図5の実験の結果を示すグラフである。
【図7】コンクリート中のセメント粒子より大きく且つ細骨材より小さい網目大きさのフィルター材製の可動部材を用いた本発明のRFIDデバイスの実施例の説明図である。
【図8】コンクリートの比重より低く且つブリージング水の比重より高い比重材製の可動部材を用いた本発明のRFIDデバイスの実施例の説明図である。
【図9】本発明のRFIDデバイスの更に他の実施例の説明図である。
【図10】従来のRFIDデバイスを用いたコンクリート充填確認システムの説明図である。
【図11】図10で用いるRFIDデバイスの説明図である。
【図12】地山に掘削したトンネルにコンクリート覆工を施す方法の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1…RFIDデバイス 2…コイル状アンテナ
3…磁性体 4…導電体
5…コンデンサ 6…IC回路
7…共振回路
10…保持部材 11…固定部材
11a…軸芯部 11b…外郭部
11c…係止部 11d…挿入孔
11e…陥没部 12…稼動部
12a… 突出部 13…変形部材
14…開閉栓 15…比重材
16…フィルター材 17…蓋
20…読み出し装置 21…アンテナ
22…コンデンサ 23…共振回路
24…送受信部 25…電源部
26…ディスプレイ 27…制御部
27a…記憶手段 27b…読み出し手段
27c…読み出し停止部位検出手段 27c…表示手段
28…マルチファンクションシンセサイザー
29…デジタルオシロスコープ
30…空隙 30a…内面
31…コンクリート型枠
32…セントル 32a…打設面
33…鉄筋 34…既設コンクリート
35…ブリージング水 36…新設コンクリート
37…(沈設)構造物
40…電子タグ(RFIDデバイス)
41…電子タグ本体 42…アンテナ
43…IC回路 44…電源回路
45…制御回路 46…記憶回路
47…送受信回路 48…カバー(止水カバー)
49…台座 49a…底部
49b…脚部 49c…間隙
49d…接着材
C…コンクリート E…地盤(地山)
S…識別信号 R…読み出し信号
W…アンテナと強磁性体との間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル状アンテナと磁性体又は導電体とを外力により間隔が変化するように保持する保持部材、及び前記アンテナの受信時の誘導起電力により駆動されて前記アンテナに識別信号を供給するIC回路を備え、外力印可時に前記磁性体又は導電体との接近又は離隔により前記アンテナの送受信周波数をシフトさせてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項2】
請求項1のRFIDデバイスにおいて、前記アンテナ又はIC回路にコンデンサを含め、前記アンテナとコンデンサとで形成される共振回路の共振周波数を前記磁性体又は導電体との接近又は離隔によりシフトさせてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項3】
請求項2のRFIDデバイスにおいて、前記磁性体又は導電体を強磁性体としてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項4】
請求項1から3の何れかのRFIDデバイスにおいて、前記保持部材に外力により伸縮又は変形する弾性又は塑性変形部材を含め、その変形部材を介して前記アンテナと磁性体又は導電体とを保持してなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項5】
請求項1から3の何れかのRFIDデバイスにおいて、前記保持部材に外力に抗して固定される固定部材とその固定部材に係止されつつ外力により変位又は変形する可動部材とを含め、前記アンテナと磁性体又は導電体とのうち一方を固定部材に保持すると共に他方を可動部材に保持してなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項6】
請求項4のRFIDデバイスにおいて、前記可動部材に、外力印可時に伸縮又は変形する弾性又は塑性変形部材を含めてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項7】
請求項5又は6のRFIDデバイスにおいて、前記固定部材及び可動部材の一方を軸芯状とし他方をそれに遊嵌する孔空き盤状としてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項8】
請求項5又は6のRFIDデバイスにおいて、前記固定部材及び可動部材の一方をシリンダ状とし他方をそれに遊嵌するピストン状としてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項9】
請求項5から8の何れかのRFIDデバイスにおいて、前記固定部材をコンクリートが注入される空隙内に固定されるものとし、前記可動部材をコンクリートの比重より低く且つブリージング水の比重より高い比重材製としてなる周波数シフト形RFIDデバイス。
【請求項10】
請求項5から8の何れかのRFIDデバイスにおいて、前記固定部材をコンクリートが注入される空隙内に固定されるものとし、前記可動部材をコンクリート中のセメント粒子より大きく且つ細骨材より小さい網目大きさのフィルター材製としてなる周波数シフト形RFIDデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−298565(P2008−298565A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144553(P2007−144553)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】