周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器を使用した低電力LO分配
局部発振器は、相対的に低い周波数の信号を、集積回路にわたりミキサの位置まで伝達する。ミキサの近くでは、周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)が、その信号を受信し、それからより高い周波数の信号を発生させる。SHILOがIおよびQ直交位相信号を出力する場合には、IおよびQ信号がミキサをドライブする。SHILOが直交位相信号を発生させない場合には、直交位相発生回路が、SHILO出力信号を受信し、それからミキサをドライブするIおよびQ信号を発生させる。1つの有利な態様において、局部発振器からSHILOまでの距離を越えて伝達される信号の周波数は、近くでミキサをドライブするIおよびQ信号の周波数よりも低い。距離を越えて伝達される信号の周波数を低くすることは、従来のシステムと比較すると、50パーセント以上、LO信号分配システムの電力消費を減じることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、局部発振器からミキサまでの距離にわたる、局部発振器(LO:local oscillator)信号の伝達に関する。
【背景技術】
【0002】
無線送信機および受信機において、信号はしばしば、局部発振器を使用して、集積回路上のある位置で発生させられる。次いで、この信号は、その位置から集積回路にわたって、集積回路の第2の位置にあるミキサまで、かなりの距離を伝達される。局部発振器は、局部発振器および関連する回路からの雑音がミキサの正しい動作に干渉することを防止するために、ミキサから離れたこの距離に位置することができる。局部発振器およびミキサ間の距離は、相当にかなりのものであることができる。
【0003】
図1(従来技術)は、たとえば携帯電話のハンドセットでしばしば見られる、無線周波(RF)トランシーバ集積回路1の一例の簡略図である。集積回路1は、送信機回路2ならびに受信機回路3を含むため、トランシーバと呼ばれる。信号がアンテナ4で受信される場合、信号5は、アンテナ4から受信機回路3に渡され、ミキサ6によって周波数ダウンコンバートされる。ダウンコンバージョン(downconversion)は、2つの信号、すなわち同相差分信号Iおよび直交位相差分信号Qによって、調整(tune)および制御される。IおよびQ信号は、遠くに(remotely)位置する局部発振器7、および近くに(locally)位置する2分割直交位相信号発生器(divide-by-two quadrature signal generator)8の組み合わせによって発生させられる。図示された例では、遠くに位置する局部発振器7が、差分出力信号を出力する。この差分信号は、一対の導体9および10をわたり、2分割直交位相信号発生器8に伝達(communicate)される。2分割直交位相信号発生器8は、信号を係数2で除算し、2つの差分信号IおよびQ信号をミキサ6に出力する。ダウンコンバートされた信号11は、ミキサ6から出力されると、アナログデジタルコンバータ(ADC:Analog-to-Digital Converter)12によってデジタル化され、結果として生じたデジタルの情報は、さらなる受信処理のために次に渡される。
【0004】
デジタルの情報が送信される場合、デジタルの情報は、デジタルアナログコンバータ(DAC:Digital-to-Analog Converter)13によってアナログ形式にコンバートされる。結果として生じたアナログ信号14は、送信機回路2におけるミキサ15によって周波数アップコンバートされる。一対の差分信号IおよびQは、ミキサ15によるアナログ信号の周波数アップコンバートの仕方を制御する。受信機回路の場合には、ミキサ15によって使用されるIおよびQ信号は、遠くに位置する局部発振器16、およびミキサ15の近くに位置する2分割直交位相信号発生器17によって発生させられる。遠くに位置する局部発振器16は、2分割直交位相信号発生器17に、一対の導体18および19を介して、差分信号を供給する。2分割直交位相信号発生器17は、ミキサ15に差分信号IおよびQを出力する。結果として生じたアップコンバート信号20は、ミキサ15によって出力されると、増幅され、送信のためアンテナ4に出力される。
【0005】
図2(従来技術)は、これらの局部発振器および2分割直交位相信号発生器回路のうちの1つをさらに詳細に説明している。図示された例において、局部発振器7は、フェーズ・ロックド・ループ(PLL:Phase-Locked Loop)を含む。PLLは、また、電圧制御発振器(VCO:Voltage-Controlled Oscillator)21を含む。VCO21は、バッファ22によってバッファされ、一対の導体9および10を介して距離Dにわたり伝達される差分出力信号VOを出力する。信号VOは、電流伝達(current transfer)または電圧伝達(voltage transfer)によって伝達される(communicate)ことができる。差分出力信号VOは、一方の導体9のVOP信号と、他方の導体10の逆位相VON信号(anti-phase VON signal)とを含む。差分VO信号は、従来技術において、局部発振器(LO)信号と呼ばれることもあれば、VCO出力信号といった他の名称で呼ばれることもある。しかしながら、この信号は、この信号がVCO21から出力されていること、および、ミキサ6を実際にドライブする直交位相信号IおよびQが異なる周波数のものであることから、ここではVO信号(「VCO出力」信号)と呼ばれる。
【0006】
2分割直交位相信号発生器8は、導体9および10から差分信号VOを受信し、それから、互いに直交位相の関係を有する2つの差分信号を発生させる。この2つの差分信号の周波数は、2分割直交位相信号発生器8の、2分割する機能(divide-by-two functionality)により、VO信号の周波数の半分である。この2つの差分信号は、バッファ23および24によってバッファされ、ミキサ6をドライブするIおよびQの差分信号を発生させる。図示された例では、5ギガヘルツのIおよびQ信号がミキサ6で要求されているため、局部発振器7から伝達されるVO信号は、10ギガヘルツの信号である。図1および図2の信号発生および分配回路の改良が望まれる。
【発明の概要】
【0007】
局部発振器信号分配システムおよび方法において、局部発振器は、ミキサの位置まで、集積回路にわたり、相対的に低い周波数の信号を伝達する。一例において、この低周波信号は、少なくとも1ミリメートルの距離を、導体を介して伝達される。ミキサの近くには、周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO:frequency-multiplying SubHarmonically Injection-Locked Oscillator)が、低周波信号を受信し、それから、より高い周波数の信号を発生させる。SHILOが同相(I:in-phase)および直交位相(Q:quadrature)信号を出力すると、SHILOによって出力されたIおよびQ信号は、ミキサをドライブするために使用される。SHILOが直交位相信号を発生させない場合には、直交位相発生回路が、SHILO出力信号を受信し、それから、その後にミキサをドライブするために使用されるIおよびQ信号を発生させる。1つの有利な態様において、集積回路にわたって局部発振器からSHILOに伝達される相対的に低周波数の信号の周波数は、近くで(locally)ミキサをドライブするIおよびQ信号の周波数よりも低い。局部発振器とミキサ間の距離を伝達される信号の周波数を低くすることは、従来の局部発振器信号分配システムと比較して、合計電力消費を減じるとともに放射エネルギーを減じる。第1の例において、SHILOは、注入同期LCを基にしたVCO(injection-locked LC-based VCO)を含む。第2の例において、SHILOは、注入同期リングオシレータ(injection-locked ring oscillator)を含む。第3の例において、SHILOは、注入同期(injection-locked)直交位相VCO(QVCO:Quadrature VCO)を含む。
【0008】
上記は、概要であるため、必然的に、詳細の簡略化、一般化、および省略を含んでいる。したがって、当業者は、この概要は例として挙げられているだけで、任意の方法による限定を意図しているわけではないということを理解するだろう。特許請求の範囲によってのみ定義されている、ここに説明された方法および/またはデバイスの利点、進歩性を有する特徴、および他の態様は、ここで述べられる非限定的かつ詳細な説明で明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(従来技術)は、局部発振器からの信号を、集積回路にわたって、ミキサに送信するための従来の回路を示す図である。
【図2】図2(従来技術)は、図1の従来の回路のより詳細な図である。
【図3】図3は、携帯電話のような移動通信デバイス100の、非常に簡潔でハイレベルなブロック図である。
【図4】図4は、図3のRFトランシーバ集積回路102のより詳細な図である。
【図5】図5は、図4の局部発振器111、導体112、およびミキサブロック109のより詳細な図である。
【図6】図6は、図5の回路におけるサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)136の第1の例の回路図である。
【図7】図7は、図5の2分割直交位相信号発生器137の一例の回路図である。
【図8】図8は、図6の回路の動作を示す波形図である。
【図9】図9は、図6の回路の位相余裕の性能を示すグラフである。
【図10】図10は、図5の回路におけるサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)136の第2の例の回路図である。
【図11】図11は、図10の回路の動作を示す波形図である。
【図12】図12は、図10の回路の位相余裕の性能を示すグラフである。
【図13】図13は、図5の回路におけるSHILO136の第3の例の回路図である。この第3の例は、図5の2分割直交位相信号発生回路137を採用しない。この第3の例は、図6および図10の例における導体112の2.25GHzの信号とは対照的に、導体112の1.25GHzのVOP信号を含む。
【図14】図14は、図13の回路の動作を示す波形図である。
【図15】図15は、図13の回路の位相余裕の性能を示すグラフである。
【図16】図16は、図1および2の従来技術、図6の第1の例、または図10の第2の例、および図13の第3の例の比較を説明したチャートである。
【図17】図17は、1つの新規な態様に係る方法のフローチャートである。
【詳細な説明】
【0010】
図3は、携帯電話のような移動通信デバイス100の、非常に簡潔でハイレベルなブロック図である。デバイス100は、携帯電話通信の受信および送信に使用可能なアンテナ101、RFトランシーバ集積回路102、およびデジタルベースバンド集積回路103を、(示されていない他の部分の間に)含む。
【0011】
図4は、図3のRFトランシーバ集積回路102のより詳細な図である。携帯電話の動作に関する1つの非常に簡潔な説明において、携帯電話が携帯電話での通話の一部として音声情報を受信するために使用されている場合には、入ってくる送信(incoming transmission)104がアンテナ101で受信される。信号は、デュプレクサ105とマッチングネットワーク106を通り、受信チェーン108の低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier )107によって増幅される。ミキサブロック109におけるミキサによって周波数ダウンコンバートされた後、またベースバンドフィルタ110によってフィルタリングされた後、情報は、アナログデジタルコンバージョンおよびデジタル領域におけるさらなる処理のためにデジタルベースバンド集積回路103に伝達される。受信チェーンによるダウンコンバートの仕方は、局部発振器111によって発生させられた局部発振器信号の周波数を変えることにより制御される。この局部発振器信号LO1(図4には示さず)は、実際には2つの差分信号IおよびQを含む。差分信号Iが同相差分信号であるのに対し、差分信号Qは直交位相信号である。以下にさらに説明されるように、これらの信号IおよびQの各々は、一組の2つの導体をわたって伝達される差分信号である。図4に示した具体例において、これらのIおよびQ信号を含む局部発振器信号LO1は、実際には導体112のVCO出力信号VOPから、ミキサブロック109内で発生させられる。デジタルベースバンド集積回路103は、シリアルバス・インターフェース114、シリアルバス115、シリアルバス・インターフェース116、および導体117を介して局部発振器111に制御情報 CONTROL を送ることによって、VOP信号の周波数を制御し、それにより、ミキサブロック109におけるミキサに供給されるIおよびQ信号をも制御する。
【0012】
一方、携帯電話100が携帯電話での通話の一部として音声情報を送信するために使用される場合には、送信される音声情報が、デジタルベースバンド集積回路103においてアナログ形式に変換される。アナログの情報は、RFトランシーバ集積回路102の送信チェーン119のベースバンドフィルタ118に供給される。フィルタリング後、信号は、ミキサブロック120におけるミキサによって周波数アップコンバートされる。このアップコンバージョン処理は、ミキサブロック120におけるミキサに供給される一対の差分IおよびQ直交位相信号の周波数を制御することによって、調整(tune)および制御される。局部発振器121は、導体123を介してVCO出力信号を出力し、このVCO出力信号は、ミキサに供給されるIおよびQ信号を発生させるために使用される。信号IおよびQは、ここでは第2の局部発振器信号LO2と呼ばれる。デジタルベースバンド集積回路103は、シリアルバス・インターフェース114、シリアルバス115、シリアルバス・インターフェース116、および導体125を介して局部発振器121に制御情報 CONTROL を送ることによって、導体123のVO信号の周波数を制御し、それによりLO2のIおよびQ信号をも制御する。ミキサブロック120によって出力された、結果として生じたアップコンバート信号は、ドライバ増幅器126および外部の電力増幅器127によって増幅される。増幅された信号は、出て行く送信(outgoing transmission)128として送信されるためにアンテナ101に供給される。この実施形態において、デジタルベースバンド集積回路103内のメモリ131からの、プロセッサで実行可能な一組の命令130を実行するプロセッサ129は、制御情報 CONTROL を決定し、この制御情報が局部発振器111および121に伝達されるようにする。
【0013】
図5は、図4の局部発振器111、導体112、およびミキサブロック109をさらに詳細に示す図である。局部発振器111は、導体129を介して基準クロック信号REF CLKを受信し、それから導体112の信号VOPを発生させる。なお、信号VOPの周波数は、導体117のマルチビットデジタル制御情報 CONTROL によって決定される。局部発振器111は、フェーズ・ロックド・ループ(PLL:Phase-Locked Loop)130、4分割デバイダ(DIV4:divide-by-four divider 4)131、およびバッファ132を、(示されていない他の回路の間に)含む。PLL130の電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)133は、デバイダ131に供給される差分VCO出力信号を出力する。デバイダ131は、周波数を1/4にする機能(frequency division divide-by-four function)を実行し、差分出力信号VOを出力する。この例における差分信号VOは、導体134の信号VOPおよび導体135の信号VONを含む。導体134のVOP信号は、バッファ132によってバッファされ、導体112のシングルエンドの周期的なVCO出力信号VOPとして、局部発振器111から出力される。
【0014】
示された具体例において、周期的な信号VCO133は10GHzで発振し、デバイダ131は4で除算するため、導体112の周期的な信号VOPの周波数は、2.5GHzである。ここで言及した10GHzおよび2.5GHzの周波数は、それら各々の周期的な信号の基本波(fundamental)である。
【0015】
導体112の2.5GHzの周期的なVOP信号は、局部発振器111の位置からミキサブロック109の位置まで、集積回路102にわたり、かなりの距離を伝達される。本例において、この距離は、約2ミリメートルである。ミキサブロック109の位置で、信号VOPは、周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)136に受信される。SHILO136は、VOP信号を受信することにより、導体112に入ってきたVOP信号の周波数の整数倍で、発振させられる。本例において、この整数倍は4倍である。その結果、SHILO136は、10GHzで発振し、10GHzの差分出力信号FOSCを出力する。2分割直交位相信号発生器回路137は、10GHzの信号FOSCを受信し、それから2つの差分信号を発生させる。2分割直交位相信号発生回路137は周波数を1/2にするので、この例におけるこれら2つの差分信号の周波数は、5GHzである。これらの差分信号の各々は、一対のバッファ138および139のうちの各々の1つによってバッファされる。バッファ138は、ミキサブロック109内のミキサ144に、導体140および141を介して、5GHzの同相差分信号Iを供給する。バッファ139は、ミキサ144に、導体142および143を介して、5GHzの直交位相差分信号Qを供給する。
【0016】
したがって、ミキサ144は、たとえ局部発振器111からミキサブロック109に伝達された信号VOPの周波数が、より低い周波数(この場合、2.5GHz)であっても、5GHzのIおよびQ信号によってドライブされる。一方、図2の従来技術において、局部発振器7から受信機3に伝達された差分信号は、はるかにより高い10GHzである。本願特許明細書の教示を使用して、局部発振器からミキサまで、相対的に長い距離を伝達される信号の周波数を低くすることにより、長い導体から放射される電力量が減じられ、パラスティック充電および放電(charging and discharging of parasitics)が低減される。下記にさらに詳細に説明されるように、電力の消費は、図2の回路と比較すると少なくなる。ここで説明されている図5の具体例は、5GHzの信号によりミキサをドライブすることを含むが、これは一例にすぎない。ここで説明された方法および回路は、任意の周波数によってミキサをドライブするために使用可能である。
【0017】
図6は、図5のSHILO136の第1の例の回路図である。SHILO136は、パルス発生回路145およびLCを基にしたVCO(LC-based VCO)146を含む。LCを基にしたVCO146は、LCタンク147、クロスカップリングされた一対のN−チャネルトランジスタ148および149、電源150、クロスカップリングされた一対のP−チャネルトランジスタ151および152、および一対の信号注入P−チャネルトランジスタ153および154を含む。P−チャネルトランジスタ151−154のソースは、示したとおり、供給電圧ノード161に結合されている。電源150は、N−チャネルトランジスタ148および149のソースから接地ノード162に電流を導通させる。LCを基にしたVCO146の出力ノードは、ノード155および156である。10GHzの信号FOSCは、ノード156および156間に存在する。参照番号157は、LCを基にしたVCO146の第1の出力リード線を示す。このリード線157は、出力ノード155の延長である。同様に、参照番号158は、LCを基にしたVCO146の第2の出力リード線を示す。このリード線158は、ノード156の延長である。LCを基にしたVCO146の入力ノードはそれぞれ、P−チャネル信号注入トランジスタ153および154のゲートを含む。LCタンク147は、並列接続されたインダクタ159およびキャパシタ160を含む。タンク回路147のインダクタンスおよびキャパシタンスは、VCO146のロックするレンジ(locking range)が、10GHzを含むが、2.5GHzの任意の他の整数倍は含まないように、固定される。
【0018】
パルス発生器回路145は、入力リード線165を介して導体112(図5を参照)からのVOP信号を受信し、パルス出力信号POを発生させ、LCを基にしたVCO146のP−チャネル信号注入トランジスタ153のゲートにパルス出力信号POを供給する、パルス発生論理ゲート163および164を含む。遅延論理要素166は、PO信号の遅延バージョン(delayed version of the PO signal)PODを発生させ、LCを基にしたVCO146のP−チャネル信号注入トランジスタ154のゲートに遅延パルス出力信号PODを供給する。導体112のVOP信号が、10GHzの周波数成分を有し得ない、または適切な大きさ(magnitude)の10GHzの周波数成分を有し得ないのに対し、パルス発生器回路145は、実質上10GHzの周波数成分を有するパルスストリームPOおよびPODを出力する。LCを基にしたVCOは、10GHzを含む、ロックするレンジを有するように同調させられるので、LCを基にしたVCOは、注入された10GHzの周波数成分にロックし、10GHzで発振し、その結果、入力リード線165で入ってきた2.5GHzの信号の周波数を4倍する。
【0019】
図7は、図5の2分割直交位相信号発生器137の適切な実現の一例の回路図である。2分割直交位相発生器137は、示したとおり、相互に接続された2つの差分ラッチ167および168を含む。図6のSHILO136によって出力された信号FOSCは、入力リード線169および170を介して、図7の2分割直交位相発生器137に受信される。この例では、出力ノード155、出力リード線157、および入力リード線169のすべてが、1つのノードを形成する。同様に、出力ノード156、出力リード線158、および入力リード線170のすべてが、1つのノードを形成する。図6のバッファ138に供給されたI差分信号は、図7に示した出力リード線171および172に出力される。同様に、図6のバッファ139に供給されたQ差分信号は、図7に示した出力リード線172および173に出力される。
【0020】
図8は、図6のパルス発生器145の動作を示す波形図である。導体112に入ってくるVOP信号の各立ち上がりエッジで、パルス発生器145は、ロー(low)パルスを発生させる。これらのローパルスのパルス幅は、約50ピコ秒であり、図6のインバータ163による伝搬遅延によって決定される。ローパルスのストリームは、波形POとして図8に示されている。さらに、入ってくるVOP信号の各立ち上がりエッジに応答して、パルス発生器145は、ローパルスの遅延バージョンを発生させる。これらの遅延したローパルスのパルス幅は、約50ピコ秒であり、これもまた図6のインバータ163による伝搬遅延によって決定される。これらの遅延したローパルスのストリームは、波形PODとして図8に示されている。POのローパルスおよび遅延したPODのローパルスのパルシング(pulsing)は、上述したように、図6のLCを基にしたVCO146を10GHzで発振させる。図8において、FOSCと書かれた波形は、LCを基にした発振器146の出力ノード155および156間に存在する発振出力信号を示している。
【0021】
図9は、図6の回路によって出力された10GHzのFOSC信号の位相雑音(phase noise)がどのようにIEEE 802.11Bの位相雑音要件200を満たしているかを示したグラフである。LCを基にしたVCO146によって出力された発振信号の10GHzの基本波からの周波数オフセットが、横方向ディメンションに(in the horizontal dimension)示されている。線201が、この信号の位相雑音を表すのに対し、線202は、LCを基にしたVCOが自走である(free running)(すなわち、信号VOPに注入同期されなかった)場合の、図6のLCを基にしたVCOの出力の位相雑音を表している。垂直の破線203は、SHILO136のロックするレンジを表している。SHILO136は、10GHzプラスまたはマイナス60MHzの範囲内の信号にロックすることができる。
【0022】
図10は、図5のSHILO136の第2の例の回路図である。この第2の例において、SHILOは、リングオシレータを基にしたサブハーモニック注入同期発振器(Ring Oscillator-Based SubHarmonically Injection-Locked Oscillator)であり、パルス発生器300、リングオシレータ301、複数の信号注入トランジスタ302−305、および光バッファ306を含む。図6の第1の例の場合のように、参照番号157および158は、SHILO136の一対の出力リード線を示し、参照番号165は、SHILO136の入力リード線を示している。
【0023】
図11は、図10のリングオシレータを基にしたサブハーモニック注入同期発振器136の動作を示す波形図である。入ってくるVOP信号の立ち上がりエッジに応答して、パルス発生器300は、図11に示すとおりの時間に(in time as indicated in FIG. 11)拡散された一組のハイ(high)パルスを発生させる。これらのハイパルスの各々のパルス幅は、約50ピコ秒である。PO1、PO2、PO3、およびPO4の4つのパルスストリームが発生させられ、これらのパルスストリームの各々は、4つの注入プルダウンN−チャネルトランジスタ(injection pull-down N-channel transistor)302−305の対応する各々の1つのゲートに向けられる。これらのトランジスタ302−305は、入ってくる2.5GHzのVOP入力信号の第4の高調波がリングオシレータ301に注入されるよう、適切な時間に、対応する内部のノード307−310においてプルダウンする。その結果、リングオシレータ301は、10GHzで発振させられ、10GHzの信号FOSCを出力させられる。図11の三角形のシンボル311および312は、差分バッファを表している。
【0024】
図12は、図10のリングオシレータ回路の回路によって出力された10GHzのFOSC信号の位相雑音が、どのようにIEEE802.11Aの位相雑音要件400を満たすかを示したグラフである。リングオシレータ出力信号の10GHzの基本波からの周波数オフセットが、横方向ディメンションに示されている。線401が、リングオシレータの出力の位相雑音を表すのに対し、線402は、リングオシレータが自走である(free running)(すなわち、信号VOPに注入同期されなかった)場合のリングオシレータの位相雑音を表している。垂直の破線403は、SHILO136のロックするレンジを表している。SHILO136は、10GHzプラスまたはマイナス600MHzの範囲内の信号にロックすることができる。したがって、図10のリングオシレータの例のロックするレンジは、図6のLCを基にしたVCOの例のロックするレンジよりも広い。
【0025】
図13は、図5のSHILO136の第3の例の回路図である。この例において、SHILOは、直交位相VCOを基にしたサブハーモニック注入同期発振器(Quadrature VCO-Based SubHarmonically Injection-Locked Oscillator)であり、パルス発生器500、直交位相VCO(QVCO:Quadrature VCO)501とここでは呼ばれる発振器、および複数の信号注入トランジスタ502−505を含む。シンボル506および507は、VCOを表している。VCO506および507は、それらが周波数を4倍し、一対の差分信号IおよびQを発生させるよう、図示のとおり、ともに結合されている。信号IおよびQは、互いに対し、直交位相関係を有する。QVCO501がIおよびQ信号を発生させるため、さらなる直交位相信号発生器の2分割回路は、QVCOの出力には不要であり、または提供されない。したがって、同一の5GHzのIおよびQ信号を図5のミキサ144に供給するために、図13のQVCOは、発振器146および301が10GHzで発振する図6および図10の例の発振器と比較して、5GHzで発振する必要があるのみである。QVCO501が周波数を4倍するので、入力リード線165に入ってくるVOP信号の周波数は、図6および図10の例の2.5GHzのVOP周波数と比較して、たったの1.25GHzである。
【0026】
図14は、図13のQVCOを基にしたサブハーモニック注入同期発振器の動作を示す波形図である。入ってくるVOP信号の立ち上がりエッジに応答して、パルス発生器500は、図14に示すとおりの時間に(in time as indicated in FIG. 14)拡散された一組のハイパルスを発生させる。これらのハイパルスの各々のパルス幅は、約100ピコ秒である。その結果、PO1、PO2、PO3、およびPO4の4つのパルスストリームが発生させられ、これらのパルスストリームの各々は、4つの注入プルダウンN−チャネルトランジスタ(injection pull-down N-channel transistor)502−505の対応する各々の1つのゲートに向けられる。これらのトランジスタ502−505は、1.25GHzのVOP入力信号の第4の高調波がQVCO501に注入されるよう、適切な時間に、発振器の内部のノードにおいてプルダウンする。その結果、QVCO501は、5GHzで発振させられ、2つの5GHzの差分FOSC信号を出力させられる。
【0027】
図15は、図13のQVCO501によって出力された5GHzのIおよびQのFOSC信号の位相雑音が、どのようにIEEE802.11Bの位相雑音要件600を満たしているかを示したグラフである。リングオシレータ出力の10GHzの基本波からの周波数オフセットが、横方向ディメンションに示されている。線601が、QVCO出力の位相雑音を表すのに対し、線602は、QCOが自走である(free running)(すなわち、信号VOPに注入同期されなかった)場合のQVCO出力の位相雑音を表している。垂直の破線603は、SHILO136のロックするレンジを表している。SHILO136は、10GHzの約60MHz下から、10GHzの約60MHz上までの範囲内の信号にロックすることができる。
【0028】
図16は、図1および2の従来技術の回路、図6の第1の例の回路、図10の第2の例の回路、および図13の第3の例の回路のさまざまな性能パラメータを比較した表である。各々の場合において、局部発振器は、同一の集積回路上のミキサから約2ミリメートル離れて位置するものと仮定されている。電流消費の数値の行は、上の行から順に下の行まで、1)この例におけるSHILOの発振器の電流消費、2)(あれば)後続の2分割直交位相発生回路の電流消費、3)(あれば)SHILO内のパルス発生器の電流消費、4)ミキサまでの長い導体112に高周波信号をドライブすることによる電流消費(current consumption due to driving a high frequency signal onto and down the long conductor 112 to the mixer)、および5)合計電力消費、である。図6、図10、および図13の例が、図1および図2の従来技術の回路よりも、実質的に少ない合計電流を消費するということに注目されたい。図6、図10、および図13の3つの例のうち、図13のQVCOの例は、最も低い合計電力消費を有するが、最も高い位相雑音を有する。図10のリングオシレータの例は、図6のLCを基にしたVCOと比較して、より小さいIC面積で実現され、より広い、ロックする周波数レンジ(wider locking frequency range)を有するが、より悪い位相雑音性能を有する。
【0029】
図17は、1つの新規な態様に係る方法700のフローチャートである。第1のステップ(ステップ701)において、第1の信号は、局部発振器から周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)まで、集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達される。第1の信号は、第1の周波数の周期的な信号である。この方法の一例において、第1の信号は、図5の導体112の信号VOPである。
【0030】
第2のステップ(ステップ702)において、第1の信号は、周波数逓倍SHILOで受信される。第1の信号は、第2の周波数の第2の信号を発生させるために、SHILOによって使用される。第2の信号は、第1の周波数の整数倍である。SHILOが、相対的にミキサの近くに位置するのに対し、局部発振器は、ミキサから離れた位置に位置する。この方法の一例において、第2の信号は、図5の信号FOSCである。
【0031】
第3のステップ(ステップ703)において、第2の信号は、直交位相信号発生器回路で受信される。直交位相信号発生器回路は、第3の周波数の同相(I)信号および第3の周波数の直交位相(Q)信号を発生させる。IおよびQ信号は、90度位相が異なる。第3の周波数は、第1の周波数よりも高い。この方法の一例において、IおよびQ信号は、図5でミキサ144に供給されるものとして示されているIおよびQ差分信号である。IおよびQ信号の第3の周波数が5GHzであるのに対し、導体112のVOP信号の第1の周波数は2.5GHzである。
【0032】
第4のステップ(ステップ704)において、IおよびQ信号が、ミキサに供給される。この方法の一例において、ミキサに供給されたIおよびQ信号は、ミキサ144に供給されるものとして図5に示されたIおよびQ差分信号である。
【0033】
1つ以上の例示的な実施形態において、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または任意のそれらの組み合わせで実現されることができる。ソフトウェアで実現される場合、機能は、コンピュータ可読媒体で、1つ以上の命令またはコードとして、記憶または伝送されることができる。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体およびコンピュータ記憶媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによってアクセス可能な任意の入手可能な媒体であることができる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、または、汎用または専用コンピュータ、または汎用または専用プロセッサによってアクセス可能であり、かつ、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を搬送または記憶するために使用可能な任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続も厳密にはコンピュータ可読媒体と呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または、赤外線、無線、およびマイクロ波等の無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバー、または他のリモートソースから伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または、赤外線、無線、およびマイクロ波等の無線技術が、媒体の定義の中に含まれる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、ここで使用される場合、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザー(登録商標)ディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、およびブルーレイ(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再生するが、ディスク(disc)は、レーザーによって光学的にデータを再生する。上記したものの組み合わせも、また、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。1つの例示的な例において、図3のプロセッサ129は、プロセッサで実行可能な一組の命令130を実行し、それによって、集積回路103に、周波数逓倍SHILO回路のミキサブロック109および120の動作パラメータを制御させる。
【0034】
ある特定の具体的な実施形態が、インストラクションのために上述されているが、本願特許明細書の教示は、一般的な応用性を有するものであり、上述された具体的な実施形態に限定されるものではない。シングルエンドの信号VOは、導体112を介して局部発振器111からミキサブロック109に伝達されるものとして説明されているが、伝達される信号は、2つの導体を介して伝達される差分信号であることもできる。VO信号は、局部発振器からSHILOまでのその経路上で、1つ以上のバッファによってバッファされることもできる。VO信号は、アナログVCOによって発生させられる必要はなく、その代わりに、局部発振器における別の回路によって発生させられることができる。いくつかの例において、信号は、デジタル制御発振器(DCO:Digitally-Controlled Oscillator)によって出力され、この信号は、局部発振器におけるデバイダによって分割され、結果として生じた信号は、遠くに位置するSHILOまで、1ミリメートルを超える距離を伝達されるVO信号である。このように、説明された具体的な実施形態のさまざまな特徴の、さまざまな変更、適応、および組み合わせが、下記に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、実行されることができる。
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、局部発振器からミキサまでの距離にわたる、局部発振器(LO:local oscillator)信号の伝達に関する。
【背景技術】
【0002】
無線送信機および受信機において、信号はしばしば、局部発振器を使用して、集積回路上のある位置で発生させられる。次いで、この信号は、その位置から集積回路にわたって、集積回路の第2の位置にあるミキサまで、かなりの距離を伝達される。局部発振器は、局部発振器および関連する回路からの雑音がミキサの正しい動作に干渉することを防止するために、ミキサから離れたこの距離に位置することができる。局部発振器およびミキサ間の距離は、相当にかなりのものであることができる。
【0003】
図1(従来技術)は、たとえば携帯電話のハンドセットでしばしば見られる、無線周波(RF)トランシーバ集積回路1の一例の簡略図である。集積回路1は、送信機回路2ならびに受信機回路3を含むため、トランシーバと呼ばれる。信号がアンテナ4で受信される場合、信号5は、アンテナ4から受信機回路3に渡され、ミキサ6によって周波数ダウンコンバートされる。ダウンコンバージョン(downconversion)は、2つの信号、すなわち同相差分信号Iおよび直交位相差分信号Qによって、調整(tune)および制御される。IおよびQ信号は、遠くに(remotely)位置する局部発振器7、および近くに(locally)位置する2分割直交位相信号発生器(divide-by-two quadrature signal generator)8の組み合わせによって発生させられる。図示された例では、遠くに位置する局部発振器7が、差分出力信号を出力する。この差分信号は、一対の導体9および10をわたり、2分割直交位相信号発生器8に伝達(communicate)される。2分割直交位相信号発生器8は、信号を係数2で除算し、2つの差分信号IおよびQ信号をミキサ6に出力する。ダウンコンバートされた信号11は、ミキサ6から出力されると、アナログデジタルコンバータ(ADC:Analog-to-Digital Converter)12によってデジタル化され、結果として生じたデジタルの情報は、さらなる受信処理のために次に渡される。
【0004】
デジタルの情報が送信される場合、デジタルの情報は、デジタルアナログコンバータ(DAC:Digital-to-Analog Converter)13によってアナログ形式にコンバートされる。結果として生じたアナログ信号14は、送信機回路2におけるミキサ15によって周波数アップコンバートされる。一対の差分信号IおよびQは、ミキサ15によるアナログ信号の周波数アップコンバートの仕方を制御する。受信機回路の場合には、ミキサ15によって使用されるIおよびQ信号は、遠くに位置する局部発振器16、およびミキサ15の近くに位置する2分割直交位相信号発生器17によって発生させられる。遠くに位置する局部発振器16は、2分割直交位相信号発生器17に、一対の導体18および19を介して、差分信号を供給する。2分割直交位相信号発生器17は、ミキサ15に差分信号IおよびQを出力する。結果として生じたアップコンバート信号20は、ミキサ15によって出力されると、増幅され、送信のためアンテナ4に出力される。
【0005】
図2(従来技術)は、これらの局部発振器および2分割直交位相信号発生器回路のうちの1つをさらに詳細に説明している。図示された例において、局部発振器7は、フェーズ・ロックド・ループ(PLL:Phase-Locked Loop)を含む。PLLは、また、電圧制御発振器(VCO:Voltage-Controlled Oscillator)21を含む。VCO21は、バッファ22によってバッファされ、一対の導体9および10を介して距離Dにわたり伝達される差分出力信号VOを出力する。信号VOは、電流伝達(current transfer)または電圧伝達(voltage transfer)によって伝達される(communicate)ことができる。差分出力信号VOは、一方の導体9のVOP信号と、他方の導体10の逆位相VON信号(anti-phase VON signal)とを含む。差分VO信号は、従来技術において、局部発振器(LO)信号と呼ばれることもあれば、VCO出力信号といった他の名称で呼ばれることもある。しかしながら、この信号は、この信号がVCO21から出力されていること、および、ミキサ6を実際にドライブする直交位相信号IおよびQが異なる周波数のものであることから、ここではVO信号(「VCO出力」信号)と呼ばれる。
【0006】
2分割直交位相信号発生器8は、導体9および10から差分信号VOを受信し、それから、互いに直交位相の関係を有する2つの差分信号を発生させる。この2つの差分信号の周波数は、2分割直交位相信号発生器8の、2分割する機能(divide-by-two functionality)により、VO信号の周波数の半分である。この2つの差分信号は、バッファ23および24によってバッファされ、ミキサ6をドライブするIおよびQの差分信号を発生させる。図示された例では、5ギガヘルツのIおよびQ信号がミキサ6で要求されているため、局部発振器7から伝達されるVO信号は、10ギガヘルツの信号である。図1および図2の信号発生および分配回路の改良が望まれる。
【発明の概要】
【0007】
局部発振器信号分配システムおよび方法において、局部発振器は、ミキサの位置まで、集積回路にわたり、相対的に低い周波数の信号を伝達する。一例において、この低周波信号は、少なくとも1ミリメートルの距離を、導体を介して伝達される。ミキサの近くには、周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO:frequency-multiplying SubHarmonically Injection-Locked Oscillator)が、低周波信号を受信し、それから、より高い周波数の信号を発生させる。SHILOが同相(I:in-phase)および直交位相(Q:quadrature)信号を出力すると、SHILOによって出力されたIおよびQ信号は、ミキサをドライブするために使用される。SHILOが直交位相信号を発生させない場合には、直交位相発生回路が、SHILO出力信号を受信し、それから、その後にミキサをドライブするために使用されるIおよびQ信号を発生させる。1つの有利な態様において、集積回路にわたって局部発振器からSHILOに伝達される相対的に低周波数の信号の周波数は、近くで(locally)ミキサをドライブするIおよびQ信号の周波数よりも低い。局部発振器とミキサ間の距離を伝達される信号の周波数を低くすることは、従来の局部発振器信号分配システムと比較して、合計電力消費を減じるとともに放射エネルギーを減じる。第1の例において、SHILOは、注入同期LCを基にしたVCO(injection-locked LC-based VCO)を含む。第2の例において、SHILOは、注入同期リングオシレータ(injection-locked ring oscillator)を含む。第3の例において、SHILOは、注入同期(injection-locked)直交位相VCO(QVCO:Quadrature VCO)を含む。
【0008】
上記は、概要であるため、必然的に、詳細の簡略化、一般化、および省略を含んでいる。したがって、当業者は、この概要は例として挙げられているだけで、任意の方法による限定を意図しているわけではないということを理解するだろう。特許請求の範囲によってのみ定義されている、ここに説明された方法および/またはデバイスの利点、進歩性を有する特徴、および他の態様は、ここで述べられる非限定的かつ詳細な説明で明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(従来技術)は、局部発振器からの信号を、集積回路にわたって、ミキサに送信するための従来の回路を示す図である。
【図2】図2(従来技術)は、図1の従来の回路のより詳細な図である。
【図3】図3は、携帯電話のような移動通信デバイス100の、非常に簡潔でハイレベルなブロック図である。
【図4】図4は、図3のRFトランシーバ集積回路102のより詳細な図である。
【図5】図5は、図4の局部発振器111、導体112、およびミキサブロック109のより詳細な図である。
【図6】図6は、図5の回路におけるサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)136の第1の例の回路図である。
【図7】図7は、図5の2分割直交位相信号発生器137の一例の回路図である。
【図8】図8は、図6の回路の動作を示す波形図である。
【図9】図9は、図6の回路の位相余裕の性能を示すグラフである。
【図10】図10は、図5の回路におけるサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)136の第2の例の回路図である。
【図11】図11は、図10の回路の動作を示す波形図である。
【図12】図12は、図10の回路の位相余裕の性能を示すグラフである。
【図13】図13は、図5の回路におけるSHILO136の第3の例の回路図である。この第3の例は、図5の2分割直交位相信号発生回路137を採用しない。この第3の例は、図6および図10の例における導体112の2.25GHzの信号とは対照的に、導体112の1.25GHzのVOP信号を含む。
【図14】図14は、図13の回路の動作を示す波形図である。
【図15】図15は、図13の回路の位相余裕の性能を示すグラフである。
【図16】図16は、図1および2の従来技術、図6の第1の例、または図10の第2の例、および図13の第3の例の比較を説明したチャートである。
【図17】図17は、1つの新規な態様に係る方法のフローチャートである。
【詳細な説明】
【0010】
図3は、携帯電話のような移動通信デバイス100の、非常に簡潔でハイレベルなブロック図である。デバイス100は、携帯電話通信の受信および送信に使用可能なアンテナ101、RFトランシーバ集積回路102、およびデジタルベースバンド集積回路103を、(示されていない他の部分の間に)含む。
【0011】
図4は、図3のRFトランシーバ集積回路102のより詳細な図である。携帯電話の動作に関する1つの非常に簡潔な説明において、携帯電話が携帯電話での通話の一部として音声情報を受信するために使用されている場合には、入ってくる送信(incoming transmission)104がアンテナ101で受信される。信号は、デュプレクサ105とマッチングネットワーク106を通り、受信チェーン108の低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier )107によって増幅される。ミキサブロック109におけるミキサによって周波数ダウンコンバートされた後、またベースバンドフィルタ110によってフィルタリングされた後、情報は、アナログデジタルコンバージョンおよびデジタル領域におけるさらなる処理のためにデジタルベースバンド集積回路103に伝達される。受信チェーンによるダウンコンバートの仕方は、局部発振器111によって発生させられた局部発振器信号の周波数を変えることにより制御される。この局部発振器信号LO1(図4には示さず)は、実際には2つの差分信号IおよびQを含む。差分信号Iが同相差分信号であるのに対し、差分信号Qは直交位相信号である。以下にさらに説明されるように、これらの信号IおよびQの各々は、一組の2つの導体をわたって伝達される差分信号である。図4に示した具体例において、これらのIおよびQ信号を含む局部発振器信号LO1は、実際には導体112のVCO出力信号VOPから、ミキサブロック109内で発生させられる。デジタルベースバンド集積回路103は、シリアルバス・インターフェース114、シリアルバス115、シリアルバス・インターフェース116、および導体117を介して局部発振器111に制御情報 CONTROL を送ることによって、VOP信号の周波数を制御し、それにより、ミキサブロック109におけるミキサに供給されるIおよびQ信号をも制御する。
【0012】
一方、携帯電話100が携帯電話での通話の一部として音声情報を送信するために使用される場合には、送信される音声情報が、デジタルベースバンド集積回路103においてアナログ形式に変換される。アナログの情報は、RFトランシーバ集積回路102の送信チェーン119のベースバンドフィルタ118に供給される。フィルタリング後、信号は、ミキサブロック120におけるミキサによって周波数アップコンバートされる。このアップコンバージョン処理は、ミキサブロック120におけるミキサに供給される一対の差分IおよびQ直交位相信号の周波数を制御することによって、調整(tune)および制御される。局部発振器121は、導体123を介してVCO出力信号を出力し、このVCO出力信号は、ミキサに供給されるIおよびQ信号を発生させるために使用される。信号IおよびQは、ここでは第2の局部発振器信号LO2と呼ばれる。デジタルベースバンド集積回路103は、シリアルバス・インターフェース114、シリアルバス115、シリアルバス・インターフェース116、および導体125を介して局部発振器121に制御情報 CONTROL を送ることによって、導体123のVO信号の周波数を制御し、それによりLO2のIおよびQ信号をも制御する。ミキサブロック120によって出力された、結果として生じたアップコンバート信号は、ドライバ増幅器126および外部の電力増幅器127によって増幅される。増幅された信号は、出て行く送信(outgoing transmission)128として送信されるためにアンテナ101に供給される。この実施形態において、デジタルベースバンド集積回路103内のメモリ131からの、プロセッサで実行可能な一組の命令130を実行するプロセッサ129は、制御情報 CONTROL を決定し、この制御情報が局部発振器111および121に伝達されるようにする。
【0013】
図5は、図4の局部発振器111、導体112、およびミキサブロック109をさらに詳細に示す図である。局部発振器111は、導体129を介して基準クロック信号REF CLKを受信し、それから導体112の信号VOPを発生させる。なお、信号VOPの周波数は、導体117のマルチビットデジタル制御情報 CONTROL によって決定される。局部発振器111は、フェーズ・ロックド・ループ(PLL:Phase-Locked Loop)130、4分割デバイダ(DIV4:divide-by-four divider 4)131、およびバッファ132を、(示されていない他の回路の間に)含む。PLL130の電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)133は、デバイダ131に供給される差分VCO出力信号を出力する。デバイダ131は、周波数を1/4にする機能(frequency division divide-by-four function)を実行し、差分出力信号VOを出力する。この例における差分信号VOは、導体134の信号VOPおよび導体135の信号VONを含む。導体134のVOP信号は、バッファ132によってバッファされ、導体112のシングルエンドの周期的なVCO出力信号VOPとして、局部発振器111から出力される。
【0014】
示された具体例において、周期的な信号VCO133は10GHzで発振し、デバイダ131は4で除算するため、導体112の周期的な信号VOPの周波数は、2.5GHzである。ここで言及した10GHzおよび2.5GHzの周波数は、それら各々の周期的な信号の基本波(fundamental)である。
【0015】
導体112の2.5GHzの周期的なVOP信号は、局部発振器111の位置からミキサブロック109の位置まで、集積回路102にわたり、かなりの距離を伝達される。本例において、この距離は、約2ミリメートルである。ミキサブロック109の位置で、信号VOPは、周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)136に受信される。SHILO136は、VOP信号を受信することにより、導体112に入ってきたVOP信号の周波数の整数倍で、発振させられる。本例において、この整数倍は4倍である。その結果、SHILO136は、10GHzで発振し、10GHzの差分出力信号FOSCを出力する。2分割直交位相信号発生器回路137は、10GHzの信号FOSCを受信し、それから2つの差分信号を発生させる。2分割直交位相信号発生回路137は周波数を1/2にするので、この例におけるこれら2つの差分信号の周波数は、5GHzである。これらの差分信号の各々は、一対のバッファ138および139のうちの各々の1つによってバッファされる。バッファ138は、ミキサブロック109内のミキサ144に、導体140および141を介して、5GHzの同相差分信号Iを供給する。バッファ139は、ミキサ144に、導体142および143を介して、5GHzの直交位相差分信号Qを供給する。
【0016】
したがって、ミキサ144は、たとえ局部発振器111からミキサブロック109に伝達された信号VOPの周波数が、より低い周波数(この場合、2.5GHz)であっても、5GHzのIおよびQ信号によってドライブされる。一方、図2の従来技術において、局部発振器7から受信機3に伝達された差分信号は、はるかにより高い10GHzである。本願特許明細書の教示を使用して、局部発振器からミキサまで、相対的に長い距離を伝達される信号の周波数を低くすることにより、長い導体から放射される電力量が減じられ、パラスティック充電および放電(charging and discharging of parasitics)が低減される。下記にさらに詳細に説明されるように、電力の消費は、図2の回路と比較すると少なくなる。ここで説明されている図5の具体例は、5GHzの信号によりミキサをドライブすることを含むが、これは一例にすぎない。ここで説明された方法および回路は、任意の周波数によってミキサをドライブするために使用可能である。
【0017】
図6は、図5のSHILO136の第1の例の回路図である。SHILO136は、パルス発生回路145およびLCを基にしたVCO(LC-based VCO)146を含む。LCを基にしたVCO146は、LCタンク147、クロスカップリングされた一対のN−チャネルトランジスタ148および149、電源150、クロスカップリングされた一対のP−チャネルトランジスタ151および152、および一対の信号注入P−チャネルトランジスタ153および154を含む。P−チャネルトランジスタ151−154のソースは、示したとおり、供給電圧ノード161に結合されている。電源150は、N−チャネルトランジスタ148および149のソースから接地ノード162に電流を導通させる。LCを基にしたVCO146の出力ノードは、ノード155および156である。10GHzの信号FOSCは、ノード156および156間に存在する。参照番号157は、LCを基にしたVCO146の第1の出力リード線を示す。このリード線157は、出力ノード155の延長である。同様に、参照番号158は、LCを基にしたVCO146の第2の出力リード線を示す。このリード線158は、ノード156の延長である。LCを基にしたVCO146の入力ノードはそれぞれ、P−チャネル信号注入トランジスタ153および154のゲートを含む。LCタンク147は、並列接続されたインダクタ159およびキャパシタ160を含む。タンク回路147のインダクタンスおよびキャパシタンスは、VCO146のロックするレンジ(locking range)が、10GHzを含むが、2.5GHzの任意の他の整数倍は含まないように、固定される。
【0018】
パルス発生器回路145は、入力リード線165を介して導体112(図5を参照)からのVOP信号を受信し、パルス出力信号POを発生させ、LCを基にしたVCO146のP−チャネル信号注入トランジスタ153のゲートにパルス出力信号POを供給する、パルス発生論理ゲート163および164を含む。遅延論理要素166は、PO信号の遅延バージョン(delayed version of the PO signal)PODを発生させ、LCを基にしたVCO146のP−チャネル信号注入トランジスタ154のゲートに遅延パルス出力信号PODを供給する。導体112のVOP信号が、10GHzの周波数成分を有し得ない、または適切な大きさ(magnitude)の10GHzの周波数成分を有し得ないのに対し、パルス発生器回路145は、実質上10GHzの周波数成分を有するパルスストリームPOおよびPODを出力する。LCを基にしたVCOは、10GHzを含む、ロックするレンジを有するように同調させられるので、LCを基にしたVCOは、注入された10GHzの周波数成分にロックし、10GHzで発振し、その結果、入力リード線165で入ってきた2.5GHzの信号の周波数を4倍する。
【0019】
図7は、図5の2分割直交位相信号発生器137の適切な実現の一例の回路図である。2分割直交位相発生器137は、示したとおり、相互に接続された2つの差分ラッチ167および168を含む。図6のSHILO136によって出力された信号FOSCは、入力リード線169および170を介して、図7の2分割直交位相発生器137に受信される。この例では、出力ノード155、出力リード線157、および入力リード線169のすべてが、1つのノードを形成する。同様に、出力ノード156、出力リード線158、および入力リード線170のすべてが、1つのノードを形成する。図6のバッファ138に供給されたI差分信号は、図7に示した出力リード線171および172に出力される。同様に、図6のバッファ139に供給されたQ差分信号は、図7に示した出力リード線172および173に出力される。
【0020】
図8は、図6のパルス発生器145の動作を示す波形図である。導体112に入ってくるVOP信号の各立ち上がりエッジで、パルス発生器145は、ロー(low)パルスを発生させる。これらのローパルスのパルス幅は、約50ピコ秒であり、図6のインバータ163による伝搬遅延によって決定される。ローパルスのストリームは、波形POとして図8に示されている。さらに、入ってくるVOP信号の各立ち上がりエッジに応答して、パルス発生器145は、ローパルスの遅延バージョンを発生させる。これらの遅延したローパルスのパルス幅は、約50ピコ秒であり、これもまた図6のインバータ163による伝搬遅延によって決定される。これらの遅延したローパルスのストリームは、波形PODとして図8に示されている。POのローパルスおよび遅延したPODのローパルスのパルシング(pulsing)は、上述したように、図6のLCを基にしたVCO146を10GHzで発振させる。図8において、FOSCと書かれた波形は、LCを基にした発振器146の出力ノード155および156間に存在する発振出力信号を示している。
【0021】
図9は、図6の回路によって出力された10GHzのFOSC信号の位相雑音(phase noise)がどのようにIEEE 802.11Bの位相雑音要件200を満たしているかを示したグラフである。LCを基にしたVCO146によって出力された発振信号の10GHzの基本波からの周波数オフセットが、横方向ディメンションに(in the horizontal dimension)示されている。線201が、この信号の位相雑音を表すのに対し、線202は、LCを基にしたVCOが自走である(free running)(すなわち、信号VOPに注入同期されなかった)場合の、図6のLCを基にしたVCOの出力の位相雑音を表している。垂直の破線203は、SHILO136のロックするレンジを表している。SHILO136は、10GHzプラスまたはマイナス60MHzの範囲内の信号にロックすることができる。
【0022】
図10は、図5のSHILO136の第2の例の回路図である。この第2の例において、SHILOは、リングオシレータを基にしたサブハーモニック注入同期発振器(Ring Oscillator-Based SubHarmonically Injection-Locked Oscillator)であり、パルス発生器300、リングオシレータ301、複数の信号注入トランジスタ302−305、および光バッファ306を含む。図6の第1の例の場合のように、参照番号157および158は、SHILO136の一対の出力リード線を示し、参照番号165は、SHILO136の入力リード線を示している。
【0023】
図11は、図10のリングオシレータを基にしたサブハーモニック注入同期発振器136の動作を示す波形図である。入ってくるVOP信号の立ち上がりエッジに応答して、パルス発生器300は、図11に示すとおりの時間に(in time as indicated in FIG. 11)拡散された一組のハイ(high)パルスを発生させる。これらのハイパルスの各々のパルス幅は、約50ピコ秒である。PO1、PO2、PO3、およびPO4の4つのパルスストリームが発生させられ、これらのパルスストリームの各々は、4つの注入プルダウンN−チャネルトランジスタ(injection pull-down N-channel transistor)302−305の対応する各々の1つのゲートに向けられる。これらのトランジスタ302−305は、入ってくる2.5GHzのVOP入力信号の第4の高調波がリングオシレータ301に注入されるよう、適切な時間に、対応する内部のノード307−310においてプルダウンする。その結果、リングオシレータ301は、10GHzで発振させられ、10GHzの信号FOSCを出力させられる。図11の三角形のシンボル311および312は、差分バッファを表している。
【0024】
図12は、図10のリングオシレータ回路の回路によって出力された10GHzのFOSC信号の位相雑音が、どのようにIEEE802.11Aの位相雑音要件400を満たすかを示したグラフである。リングオシレータ出力信号の10GHzの基本波からの周波数オフセットが、横方向ディメンションに示されている。線401が、リングオシレータの出力の位相雑音を表すのに対し、線402は、リングオシレータが自走である(free running)(すなわち、信号VOPに注入同期されなかった)場合のリングオシレータの位相雑音を表している。垂直の破線403は、SHILO136のロックするレンジを表している。SHILO136は、10GHzプラスまたはマイナス600MHzの範囲内の信号にロックすることができる。したがって、図10のリングオシレータの例のロックするレンジは、図6のLCを基にしたVCOの例のロックするレンジよりも広い。
【0025】
図13は、図5のSHILO136の第3の例の回路図である。この例において、SHILOは、直交位相VCOを基にしたサブハーモニック注入同期発振器(Quadrature VCO-Based SubHarmonically Injection-Locked Oscillator)であり、パルス発生器500、直交位相VCO(QVCO:Quadrature VCO)501とここでは呼ばれる発振器、および複数の信号注入トランジスタ502−505を含む。シンボル506および507は、VCOを表している。VCO506および507は、それらが周波数を4倍し、一対の差分信号IおよびQを発生させるよう、図示のとおり、ともに結合されている。信号IおよびQは、互いに対し、直交位相関係を有する。QVCO501がIおよびQ信号を発生させるため、さらなる直交位相信号発生器の2分割回路は、QVCOの出力には不要であり、または提供されない。したがって、同一の5GHzのIおよびQ信号を図5のミキサ144に供給するために、図13のQVCOは、発振器146および301が10GHzで発振する図6および図10の例の発振器と比較して、5GHzで発振する必要があるのみである。QVCO501が周波数を4倍するので、入力リード線165に入ってくるVOP信号の周波数は、図6および図10の例の2.5GHzのVOP周波数と比較して、たったの1.25GHzである。
【0026】
図14は、図13のQVCOを基にしたサブハーモニック注入同期発振器の動作を示す波形図である。入ってくるVOP信号の立ち上がりエッジに応答して、パルス発生器500は、図14に示すとおりの時間に(in time as indicated in FIG. 14)拡散された一組のハイパルスを発生させる。これらのハイパルスの各々のパルス幅は、約100ピコ秒である。その結果、PO1、PO2、PO3、およびPO4の4つのパルスストリームが発生させられ、これらのパルスストリームの各々は、4つの注入プルダウンN−チャネルトランジスタ(injection pull-down N-channel transistor)502−505の対応する各々の1つのゲートに向けられる。これらのトランジスタ502−505は、1.25GHzのVOP入力信号の第4の高調波がQVCO501に注入されるよう、適切な時間に、発振器の内部のノードにおいてプルダウンする。その結果、QVCO501は、5GHzで発振させられ、2つの5GHzの差分FOSC信号を出力させられる。
【0027】
図15は、図13のQVCO501によって出力された5GHzのIおよびQのFOSC信号の位相雑音が、どのようにIEEE802.11Bの位相雑音要件600を満たしているかを示したグラフである。リングオシレータ出力の10GHzの基本波からの周波数オフセットが、横方向ディメンションに示されている。線601が、QVCO出力の位相雑音を表すのに対し、線602は、QCOが自走である(free running)(すなわち、信号VOPに注入同期されなかった)場合のQVCO出力の位相雑音を表している。垂直の破線603は、SHILO136のロックするレンジを表している。SHILO136は、10GHzの約60MHz下から、10GHzの約60MHz上までの範囲内の信号にロックすることができる。
【0028】
図16は、図1および2の従来技術の回路、図6の第1の例の回路、図10の第2の例の回路、および図13の第3の例の回路のさまざまな性能パラメータを比較した表である。各々の場合において、局部発振器は、同一の集積回路上のミキサから約2ミリメートル離れて位置するものと仮定されている。電流消費の数値の行は、上の行から順に下の行まで、1)この例におけるSHILOの発振器の電流消費、2)(あれば)後続の2分割直交位相発生回路の電流消費、3)(あれば)SHILO内のパルス発生器の電流消費、4)ミキサまでの長い導体112に高周波信号をドライブすることによる電流消費(current consumption due to driving a high frequency signal onto and down the long conductor 112 to the mixer)、および5)合計電力消費、である。図6、図10、および図13の例が、図1および図2の従来技術の回路よりも、実質的に少ない合計電流を消費するということに注目されたい。図6、図10、および図13の3つの例のうち、図13のQVCOの例は、最も低い合計電力消費を有するが、最も高い位相雑音を有する。図10のリングオシレータの例は、図6のLCを基にしたVCOと比較して、より小さいIC面積で実現され、より広い、ロックする周波数レンジ(wider locking frequency range)を有するが、より悪い位相雑音性能を有する。
【0029】
図17は、1つの新規な態様に係る方法700のフローチャートである。第1のステップ(ステップ701)において、第1の信号は、局部発振器から周波数逓倍サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)まで、集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達される。第1の信号は、第1の周波数の周期的な信号である。この方法の一例において、第1の信号は、図5の導体112の信号VOPである。
【0030】
第2のステップ(ステップ702)において、第1の信号は、周波数逓倍SHILOで受信される。第1の信号は、第2の周波数の第2の信号を発生させるために、SHILOによって使用される。第2の信号は、第1の周波数の整数倍である。SHILOが、相対的にミキサの近くに位置するのに対し、局部発振器は、ミキサから離れた位置に位置する。この方法の一例において、第2の信号は、図5の信号FOSCである。
【0031】
第3のステップ(ステップ703)において、第2の信号は、直交位相信号発生器回路で受信される。直交位相信号発生器回路は、第3の周波数の同相(I)信号および第3の周波数の直交位相(Q)信号を発生させる。IおよびQ信号は、90度位相が異なる。第3の周波数は、第1の周波数よりも高い。この方法の一例において、IおよびQ信号は、図5でミキサ144に供給されるものとして示されているIおよびQ差分信号である。IおよびQ信号の第3の周波数が5GHzであるのに対し、導体112のVOP信号の第1の周波数は2.5GHzである。
【0032】
第4のステップ(ステップ704)において、IおよびQ信号が、ミキサに供給される。この方法の一例において、ミキサに供給されたIおよびQ信号は、ミキサ144に供給されるものとして図5に示されたIおよびQ差分信号である。
【0033】
1つ以上の例示的な実施形態において、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または任意のそれらの組み合わせで実現されることができる。ソフトウェアで実現される場合、機能は、コンピュータ可読媒体で、1つ以上の命令またはコードとして、記憶または伝送されることができる。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体およびコンピュータ記憶媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによってアクセス可能な任意の入手可能な媒体であることができる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、または、汎用または専用コンピュータ、または汎用または専用プロセッサによってアクセス可能であり、かつ、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を搬送または記憶するために使用可能な任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続も厳密にはコンピュータ可読媒体と呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または、赤外線、無線、およびマイクロ波等の無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバー、または他のリモートソースから伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または、赤外線、無線、およびマイクロ波等の無線技術が、媒体の定義の中に含まれる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、ここで使用される場合、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザー(登録商標)ディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、およびブルーレイ(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再生するが、ディスク(disc)は、レーザーによって光学的にデータを再生する。上記したものの組み合わせも、また、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。1つの例示的な例において、図3のプロセッサ129は、プロセッサで実行可能な一組の命令130を実行し、それによって、集積回路103に、周波数逓倍SHILO回路のミキサブロック109および120の動作パラメータを制御させる。
【0034】
ある特定の具体的な実施形態が、インストラクションのために上述されているが、本願特許明細書の教示は、一般的な応用性を有するものであり、上述された具体的な実施形態に限定されるものではない。シングルエンドの信号VOは、導体112を介して局部発振器111からミキサブロック109に伝達されるものとして説明されているが、伝達される信号は、2つの導体を介して伝達される差分信号であることもできる。VO信号は、局部発振器からSHILOまでのその経路上で、1つ以上のバッファによってバッファされることもできる。VO信号は、アナログVCOによって発生させられる必要はなく、その代わりに、局部発振器における別の回路によって発生させられることができる。いくつかの例において、信号は、デジタル制御発振器(DCO:Digitally-Controlled Oscillator)によって出力され、この信号は、局部発振器におけるデバイダによって分割され、結果として生じた信号は、遠くに位置するSHILOまで、1ミリメートルを超える距離を伝達されるVO信号である。このように、説明された具体的な実施形態のさまざまな特徴の、さまざまな変更、適応、および組み合わせが、下記に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、実行されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数の第1の信号を出力する局部発振器と、
前記第1の信号を受信し、それから第2の周波数の第2の信号を発生させるサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)であって、前記第2の周波数は、前記第1の周波数の整数倍である、サブハーモニック注入同期発振器と、
前記第2の信号を受信し、それから第3の周波数の同相(I)信号および前記第3の周波数の直交位相(Q)信号を発生させる直交位相信号発生器と
を含む集積回路。
【請求項2】
前記第1の信号は、前記局部発振器から前記SHILOまで、前記集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達される、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記局部発振器は、前記SHILOから1ミリメートルより離れて設けられ、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも高い、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記I信号および前記Q信号を受信するミキサ
をさらに含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記第3の周波数は前記第2の周波数の半分である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
前記SHILOによって受信された前記第1の信号は、シングルエンドの信号および差分信号からなるグループから得られる、請求項1に記載の集積回路。
【請求項7】
前記第1の信号は、第1の周期的な信号であり、前記第1の周波数は、前記第1の周期的な信号の基本波であり、前記第2の信号は、第2の周期的な信号であり、前記第2の周波数は、前記第2の周期的な信号の基本波であり、前記IおよびQ信号は、第3の周期的な信号であり、前記第3の周波数は、前記第3の周期的な信号の基本波である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項8】
前記SHILOは、
前記第1の信号を受信し、それからパルス信号を発生させるパルス発生器と、
前記第2の周波数を含むが前記第1の周波数は含まない周波数ロックレンジを有する発振器と、を含み、
前記発振器は、前記パルス信号を受信し、前記発振器は、前記第2の周波数の前記第2の信号を出力する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項9】
前記SHILOは発振器を含み、前記発振器はLCタンク回路を含み、前記LCタンク回路はインダクタおよびキャパシタを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項10】
前記SHILOはリングオシレータを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項11】
前記パルス信号は、複数の同一のパルスを含む信号であり、前記同一のパルスの各々は、パルス幅を有し、前記パルス幅は、前記パルス発生器における回路要素の伝搬遅延によって決定される、請求項8に記載の集積回路。
【請求項12】
(a)第1の信号を、サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)に、集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達することであって、前記第1の信号は、第1の周波数の周期的な信号である、ことと、
(b)前記SHILOで前記第1の信号を受信し、前記SHILOを使用して第2の周波数の第2の信号を発生させることであって、前記第2の周波数は、前記第1の周波数の整数倍である、ことと、
(c)前記第2の信号を直交位相信号発生器回路で受信し、前記直交位相信号発生器回路を使用して、第3の周波数の同相(I)信号および前記第3の周波数の直交位相(Q)信号を発生させることであって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも高い、ことと
を含む方法。
【請求項13】
前記第1の信号は、(a)において、局部発振器から前記SHILOに伝達される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(d)前記I信号および前記Q信号をミキサに供給すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(b)において前記第2の信号を発生させることは、
前記第1の信号を受信し、それからパルス信号を発生させることと、
発振器が前記第2の周波数で発振し、前記第2の信号を出力するように、前記発振器に前記パルス信号を供給することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記SHILOは発振器を含み、前記発振器はLCタンク回路を含み、前記LCタンク回路はインダクタおよびキャパシタを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記SHILOはリングオシレータを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
第1の周波数の周期的な信号を出力する局部発振器と、
前記局部発振器から、1ミリメートルを超えて離れて設けられたサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)であって、前記SHILOは、前記周期的な信号を受信し、それから同相(I)差分信号および直交位相(Q)差分信号を発生させ、前記IおよびQ差分信号は、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数である、サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)と、
前記SHILOから前記IおよびQ差分信号を受信するミキサと
を含む集積回路。
【請求項19】
前記SHILOは、前記ミキサから実質的に1ミリメートル未満離れて設けられ、前記SHILOは、直交位相電圧制御発振器(QVCO)を含む、請求項18に記載の集積回路。
【請求項20】
(a)第1の周波数の周期的な信号を、局部発振器からサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)に、集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達することと、
(b)前記SHILOで前記周期的な信号を受信し、前記SHILOを使用して、同相(I)差分信号および直交位相(Q)差分信号を発生させることであって、前記IおよびQ差分信号は、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数である、ことと、
(c)前記IおよびQ差分信号をミキサに供給することと
を含む方法。
【請求項21】
前記SHILOは、前記ミキサから実質的に1ミリメートル未満離れて設けられ、前記SHILOは、直交位相電圧制御発振器(QVCO)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ミキサと、
周期的な信号を局部発振器から1ミリメートルを超える距離を伝達し、前記周期的な信号を使用して第2の周波数の同相(I)信号を発生させ、前記第2の周波数の直交位相(Q)信号を発生させ、前記ミキサに前記IおよびQ信号を供給するための手段であって、前記周期的な信号は、第1の周波数であり、前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも高く、前記第1の周波数の整数倍である、手段と
を含む集積回路。
【請求項23】
前記手段は、前記局部発振器から前記ミキサに隣接する位置まで、導体にわたって前記周期的な信号を伝達し、前記手段は、前記位置で前記I信号および前記Q信号を発生させるためのものである、請求項22に記載の集積回路。
【請求項24】
前記手段は、サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)および直交位相信号発生器回路を含む、請求項22に記載の集積回路。
【請求項25】
前記手段は、前記IおよびQ信号を出力するサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)を含む、請求項22に記載の集積回路。
【請求項1】
第1の周波数の第1の信号を出力する局部発振器と、
前記第1の信号を受信し、それから第2の周波数の第2の信号を発生させるサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)であって、前記第2の周波数は、前記第1の周波数の整数倍である、サブハーモニック注入同期発振器と、
前記第2の信号を受信し、それから第3の周波数の同相(I)信号および前記第3の周波数の直交位相(Q)信号を発生させる直交位相信号発生器と
を含む集積回路。
【請求項2】
前記第1の信号は、前記局部発振器から前記SHILOまで、前記集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達される、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記局部発振器は、前記SHILOから1ミリメートルより離れて設けられ、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも高い、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記I信号および前記Q信号を受信するミキサ
をさらに含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記第3の周波数は前記第2の周波数の半分である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
前記SHILOによって受信された前記第1の信号は、シングルエンドの信号および差分信号からなるグループから得られる、請求項1に記載の集積回路。
【請求項7】
前記第1の信号は、第1の周期的な信号であり、前記第1の周波数は、前記第1の周期的な信号の基本波であり、前記第2の信号は、第2の周期的な信号であり、前記第2の周波数は、前記第2の周期的な信号の基本波であり、前記IおよびQ信号は、第3の周期的な信号であり、前記第3の周波数は、前記第3の周期的な信号の基本波である、請求項1に記載の集積回路。
【請求項8】
前記SHILOは、
前記第1の信号を受信し、それからパルス信号を発生させるパルス発生器と、
前記第2の周波数を含むが前記第1の周波数は含まない周波数ロックレンジを有する発振器と、を含み、
前記発振器は、前記パルス信号を受信し、前記発振器は、前記第2の周波数の前記第2の信号を出力する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項9】
前記SHILOは発振器を含み、前記発振器はLCタンク回路を含み、前記LCタンク回路はインダクタおよびキャパシタを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項10】
前記SHILOはリングオシレータを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項11】
前記パルス信号は、複数の同一のパルスを含む信号であり、前記同一のパルスの各々は、パルス幅を有し、前記パルス幅は、前記パルス発生器における回路要素の伝搬遅延によって決定される、請求項8に記載の集積回路。
【請求項12】
(a)第1の信号を、サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)に、集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達することであって、前記第1の信号は、第1の周波数の周期的な信号である、ことと、
(b)前記SHILOで前記第1の信号を受信し、前記SHILOを使用して第2の周波数の第2の信号を発生させることであって、前記第2の周波数は、前記第1の周波数の整数倍である、ことと、
(c)前記第2の信号を直交位相信号発生器回路で受信し、前記直交位相信号発生器回路を使用して、第3の周波数の同相(I)信号および前記第3の周波数の直交位相(Q)信号を発生させることであって、前記第3の周波数は、前記第1の周波数よりも高い、ことと
を含む方法。
【請求項13】
前記第1の信号は、(a)において、局部発振器から前記SHILOに伝達される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(d)前記I信号および前記Q信号をミキサに供給すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(b)において前記第2の信号を発生させることは、
前記第1の信号を受信し、それからパルス信号を発生させることと、
発振器が前記第2の周波数で発振し、前記第2の信号を出力するように、前記発振器に前記パルス信号を供給することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記SHILOは発振器を含み、前記発振器はLCタンク回路を含み、前記LCタンク回路はインダクタおよびキャパシタを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記SHILOはリングオシレータを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
第1の周波数の周期的な信号を出力する局部発振器と、
前記局部発振器から、1ミリメートルを超えて離れて設けられたサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)であって、前記SHILOは、前記周期的な信号を受信し、それから同相(I)差分信号および直交位相(Q)差分信号を発生させ、前記IおよびQ差分信号は、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数である、サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)と、
前記SHILOから前記IおよびQ差分信号を受信するミキサと
を含む集積回路。
【請求項19】
前記SHILOは、前記ミキサから実質的に1ミリメートル未満離れて設けられ、前記SHILOは、直交位相電圧制御発振器(QVCO)を含む、請求項18に記載の集積回路。
【請求項20】
(a)第1の周波数の周期的な信号を、局部発振器からサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)に、集積回路にわたり、1ミリメートルを超える距離を伝達することと、
(b)前記SHILOで前記周期的な信号を受信し、前記SHILOを使用して、同相(I)差分信号および直交位相(Q)差分信号を発生させることであって、前記IおよびQ差分信号は、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数である、ことと、
(c)前記IおよびQ差分信号をミキサに供給することと
を含む方法。
【請求項21】
前記SHILOは、前記ミキサから実質的に1ミリメートル未満離れて設けられ、前記SHILOは、直交位相電圧制御発振器(QVCO)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ミキサと、
周期的な信号を局部発振器から1ミリメートルを超える距離を伝達し、前記周期的な信号を使用して第2の周波数の同相(I)信号を発生させ、前記第2の周波数の直交位相(Q)信号を発生させ、前記ミキサに前記IおよびQ信号を供給するための手段であって、前記周期的な信号は、第1の周波数であり、前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも高く、前記第1の周波数の整数倍である、手段と
を含む集積回路。
【請求項23】
前記手段は、前記局部発振器から前記ミキサに隣接する位置まで、導体にわたって前記周期的な信号を伝達し、前記手段は、前記位置で前記I信号および前記Q信号を発生させるためのものである、請求項22に記載の集積回路。
【請求項24】
前記手段は、サブハーモニック注入同期発振器(SHILO)および直交位相信号発生器回路を含む、請求項22に記載の集積回路。
【請求項25】
前記手段は、前記IおよびQ信号を出力するサブハーモニック注入同期発振器(SHILO)を含む、請求項22に記載の集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−532514(P2012−532514A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517914(P2012−517914)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040843
【国際公開番号】WO2011/003040
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040843
【国際公開番号】WO2011/003040
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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