説明

周辺装置およびその動作方法

【課題】 電源ラインを有する外部バスに接続された周辺装置における電力消費を低減する。
【解決手段】信号ライン監視部を動作させて、外部バスの信号ラインの状態を監視し、信号ラインにおける信号の消失を検出したとき、電源装置から主装置への電力の供給を停止する一方で、外部バスの電源ラインを介した電力の供給・停止に従って、電源装置から信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフする。従って、外部バスを介した信号のやり取りがなくなれば、主装置への電力の供給は停止され、しかも外部バスの電源ラインを介した電力の供給が停止されれば、信号ライン監視部への電力供給さえもオフとされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスを介して信号のやり取りを行なう周辺回路およびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータの外部バス、例えばUSBにハードディスクやDVDドライバ、あるいはスキャナ、携帯型メディアプレーヤー等の周辺装置を接続し、コンピュータとの間で情報の交換を行なうことが行なわれている。こうした外部バスでは、接続される周辺装置に電力を供給可能に、電源ラインを含んでいるものが存在する。上述したUSBは、その代表的なものであり、信号ラインD+、D−の他、電源ラインVBUSが備えられている。
【0003】
こうした外部バスの電源ラインへの電源供給は、マスタとなる機器が用意するものとされているが、マスタとなる機器が、例えばコンピュータの場合、その動作状態に応じて、電源ラインの状態がどのように遷移するかは、必ずしも一様ではない。特にコンピュータがスリープ状態になる場合に、外部バスの電源ラインを維持するかどうかは、機種により様々であった。また、外部に接続された機器の状態によって、例えばコンピュータがスリープ状態になる場合の電源供給の状態を決定するといった構成も提案されている(例えば下記特許文献1など)。
【0004】
外部バスに電源ラインが存在する場合、周辺装置が、この電源ラインを介して供給される電力を利用して動作できるようになっていれば、周辺装置を使用する上での利便性は高くなる。とはいえ、外部バスの電源ラインが供給し得る電力(パスパワー)には限界があるため、周辺装置は、独自の電力供給系を持つことが少なくない。多くの場合、電力供給は、AC/DCアダプタにより行なわれる。こうした場合には、外部バスの電源ラインから供給される電力と、AC/DCアダプタなどから供給される電力とを使い分ける設計が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−302831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、電源ラインを備えた外部バスに接続して使用される周辺装置においては、外部バスの電源ラインと独自の電源装置の電源ラインの使い分けと、更には、外部バスに電力を供給している機器(例えば、コンピュータ)の動作状態と電源ラインの状態との多様な関係への対応、といった複雑な設計上の課題を解決する必要があった。
【0007】
特に、外部バスに電力を供給する機器がコンピュータであり、動作を一時的に中止するいわゆるスリープ状態を有するコンピュータの場合には、スリープ状態での外部バスの電力ラインの状態に対応する必要がある。スリープ状態では、電源ラインへの電力の供給を停止するコンピュータもあれば、そのまま電力の供給を継続するコンピュータも存在するからである。後者の場合、周辺装置が、外部バスの電力ラインから供給される電力で動作するタイプのものであれば、そのまま動作状態を継続し、コンピュータ側からの電力を無駄に消費してしまう可能性がある。こうした電力の消費は、例えばコンピュータがバッテリのみで動作している場合は、特に問題になることも考えられた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]
情報の伝達が可能な信号ラインと電源供給が可能な電源ラインとを備えた外部バスに接続されて動作する周辺装置であって、
前記外部バスの前記電源ラインの電力とは別に当該周辺装置の動作用電力を供給する電源装置と、
前記電源装置からの電力の供給を受けて動作し、前記信号ラインを介してやり取りされる情報を処理する主装置と、
前記外部バスの前記信号ラインの状態を監視し、前記信号ラインにおける信号の消失を検出したとき、前記電源装置から前記主装置への電力の供給を停止する信号ライン監視部と、
前記外部バスの前記電源ラインを介した電力の供給・停止に従って、前記電源装置から前記信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフする電源制御回路と
を備えた周辺装置。
【0010】
かかる周辺装置では、通常、信号ライン監視部を動作させて、外部バスの信号ラインの状態を監視し、信号ラインにおける信号の消失を検出したとき、電源装置から主装置への電力の供給を停止する一方で、外部バスの電源ラインを介した電力の供給・停止に従って、電源装置から信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフする。従って、外部バスを介した信号のやり取りがなくなれば、主装置への電力の供給は停止され、しかも外部バスの電源ラインを介した電力の供給が停止されれば、信号ライン監視部への電力供給さえもオフとされ、無駄な電力消費が確実に抑制される。
【0011】
[適用例2]
前記外部バスは、ユニバーサルシステムバスである適用例1記載の周辺装置。
かかる周辺装置は、外部バスとしてUSBを用いる。従って、極めて汎用性の高い周辺装置を構成することができる。
【0012】
[適用例3]
前記外部バスは、ケーブルを用いてコンピュータに備えられたコネクタに接続されたとき、前記コンピュータとの間の情報のやり取りを媒介する外部バスである適用例1または適用例2記載の周辺装置。
かかる周辺装置は、コンピュータとの間で情報のやり取りが可能なうえ、スリープを含めたコンピュータの動作状態によらず、確実に電力消費を低減することができる。
【0013】
[適用例4]
前記電源制御回路は、FETを備え、
前記FETのドレイン−ソースが、前記電源装置から電力を供給する回路に、介装され、
該FETのゲートに、前記外部バスの前記電源ラインの電圧に対応したオン・オフ信号が入力される
適用例1ないし3のいずれか記載の周辺装置。
【0014】
かかる周辺装置は、FETを用いた簡易な回路構成により、確実に電源装置から信号ライン監視部への電力供給を遮断することができる。FETは、オフ抵抗が高いので、リーク電流はほぼゼロとすることができる。しかも、動作させるための電力もほとんど必要ないので、それ自身の動作のために消費する電力も極僅かに留めることができる。なお、FETは、チャンネルの異なる2つのFETを組み合わせても良いし、ゲートに入力される信号はトランジスタなど他の回路素子を用いて生成しても良い。
【0015】
[適用例5]
前記主装置は、情報を不揮発的に記憶する記憶装置である適用例1ないし4のいずれか記載の周辺装置。
かかる周辺装置は、情報を不揮発的に記憶する。従って、電源供給が失われても情報の記憶を継続することができ、外部バスの状態に応じた柔軟な電力制御に対応することができる。こうした記憶装置としては、ハードディスク、フラッシュメモリなどを用いたSSD、DVDドライブ、MOドライブ、CDドライブなどがある。DVDドライブやCDドライブ、読出専用の構成であっても良いが、書き込みが一度または何度でも可能なタイプの装置構成であっても差し支えない。また、メモリカードリーダなどの装置も主装置として採用可能である。
【0016】
[適用例6]
前記信号ライン監視部は、前記外部バスの前記信号ラインを介した前記情報のやり取りとを司るCPUを備え、該CPUは、前記信号ラインにおける信号の消失を検出すると共に、前記情報を前記記憶装置との間で仲介する処理を行なう適用例5記載の周辺装置。
【0017】
かかる構成の周辺装置では、記憶装置との間で情報を仲介する処理を行なうCPUが、信号ライン監視部としても動作することにより、構成を簡略化することができる。
【0018】
[適用例7]
コンピュータに外部バスを介して接続された周辺装置を動作させる方法であって、
前記外部バスにおける信号ラインの状態を信号ライン監視部により監視し、前記信号ラインにおける前記コンピュータからの信号の消失を検出したとき、電源装置からの電力の供給を受けて動作する主装置への電力の供給を停止し、
前記外部バスに備えられた電源ラインを監視し、該電源ラインによる電力の供給・停止に従って、前記電源装置から前記信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフし、
前記外部バスの前記信号ラインを介して前記コンピュータから信号が入力されている場合には、前記電源装置から前記主装置への電力の供給を行なって、前記信号ラインを介して入力される情報を、前記主装置により処理させる
周辺装置の動作方法。
【0019】
かかる周辺装置の動作方法では、通常、信号ライン監視部を動作させて、外部バスの信号ラインの状態を監視し、信号ラインにおける信号の消失を検出したとき、電源装置から主装置への電力の供給を停止する一方で、外部バスの電源ラインを介した電力の供給・停止に従って、電源装置から信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフする。従って、外部バスを介した信号のやり取りがなくなれば、主装置への電力の供給は停止され、しかも外部バスの電源ラインを介した電力の供給が停止されれば、信号ライン監視部への電力供給さえもオフとされ、無駄な電力消費が確実に抑制される。
【0020】
[適用例8]
前記信号ライン監視部が、前記信号ラインにおける前記コンピュータからの信号の消失を検出した場合でも、前記主装置が動作を完了するまでは、前記電源装置から前記主装置への電力供給を継続する適用例7記載の周辺装置の動作方法。
かかる構成によれば、主装置の動作を確実に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】周辺装置であるハードディスク装置の概略構成図である。
【図2】実施例のハードディスク装置の内部構成を示す回路図である。
【図3】ハードディスク装置に内蔵されたコントローラの処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】スリープモードを有しないコンピュータとハードディスク装置の電源の遷移状態の一例を示す説明図である。
【図5】スリープモードを有しないコンピュータとハードディスク装置の電源の遷移状態の他の例を示す説明図である。
【図6】スリープモードを有するコンピュータとハードディスク装置の電源の遷移状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例を以下説明する。図1は、本発明の周辺装置の実施例としてのハードディスク装置10の概略構成を示す概略構成図である。図示するように、このハードディスク装置10は、コンピュータPCに、USBケーブル15を用いて接続されている。コンピュータPCからのUSBケーブル15は、ハードディスク装置10に設けられたUSBコネクタ18に接続されている。USBは、周知の汎用外部バスであり、そのUSBケーブル15は、シリアル通信によりデータを送受信する信号線D+、D−と、5ボルト500ミリアンペアの電力を供給する電源ラインVBUSと、その接地線GNDとの4本のラインを備える。
【0023】
ハードディスク装置10は、商用交流を直流電圧12ボルトに変換するAC/DCコンバータであるACアダプタ20から電力の供給を受けて動作する。ACアダプタ20のDC側電源ケーブル21の先端には、プラグ22が設けられており、ハードディスク装置10に用意された電源コネクタ24に装着される。電源コネクタ24からは、直流12ボルトの電源ラインがハードディスク装置10内部に引き回されており、電源制御回路30に電力を供給している。電源制御回路30内では、更に直流5ボルトの電力が作られているが、その構成等については、後で詳しく説明する。
【0024】
ハードディスク装置10には、この電源制御回路30の他、データを磁気的に記憶するハードディスクユニット(以下、HDユニットと呼ぶ)40や、ハードディスク装置10の制御全般を司るコントローラ50等を備える。このHDユニット40は、SATA(シリアルATA)規格のものであり、SATA規格の内部バス45を介してSATA規格の信号を受け取り、この信号から取りだしたデータを、内部の磁気ディスクに書き込み、あるいは磁気ディスクから読み出す。
【0025】
コントローラ50は、マイクロコンピュータを内蔵し、大きくは次の3つの処理を行なう。
(A)コントローラ50は、USBコネクタ18の信号線に接続されており、USBの信号線D+、D−の信号を読み取って、コンピュータPCとの間のデータのやり取りを処理する。
(B)コントローラ50は、SATA(シリアルATA)規格のHDユニット40とSATA規格の内部バス45により接続されており、SATAバスの信号を処理して、HDユニット40との間のデータのやり取りを処理する。
(C)コントローラ50は、USBコネクタの電源ラインVBUSにも接続されており、電源ラインVBUSの状態に基づいて、電源制御回路30内のスイッチング素子を制御する処理を行なう。
【0026】
次に、電源制御回路30の内部構成について、図2に拠って説明する。電源制御回路30は、図2に示したように、第1スイッチング回路(以下、第1SW回路と呼ぶ)31と、第2スイッチング回路(以下、第2SW回路と呼ぶ)32と、DC/DCコンバータ35とから構成されている。DC/DCコンバータ35は、ACアダプタ20から供給される直流12ボルトから直流5ボルトの直流電源を作り出している。直流5ボルトの直流電源は、コントローラ50やHDユニット40で用いられる。
【0027】
第1SW回路31は、図示するように、Nチャンネル電界効果トランジスタ(以下、NFETと略称する)61とPチャンネル電界効果トランジスタ(以下、PFETと略称する)71と分圧抵抗器R11,R12とから、構成されている。NFET61のゲートGには、USBコネクタ18の電源ラインVBUSが接続されており、NFET61のドレインDには、分圧抵抗器R11,R12を介して、直流12ボルトが印加されている。NFET61のソースSは接地されている。従って、USBの電源ラインVBUSに電力が供給されている場合には、その電圧により、NFET61はターンオンし、そのドレインD−ソースS間は導通状態となる。の結果、分圧抵抗器R11,R12の中点がゲートGに接続されたPFET71もターンオンし、そのソースS−ドレインD間も導通状態となる。一般に電界効果トランジスタのオン抵抗はほぼゼロなので、この結果、電源コネクタ24に供給される直流12ボルトは、そのままDC/DCコンバータ35と第2SW回路32へと出力される。この結果、DC/DCコンバータ35が動作し、直流5ボルトがコントローラ50に供給されることになる。
【0028】
第2SW回路32には、上述した第1SW回路31に備えられた電界効果トランジスタを用いたスイッチング回路が2組設けられている。2組のスイッチング回路のNFET62,63のゲートGには、コントローラ50からの制御信号CNTLが接続されている。また、PFET72のソースSには、第1SW回路31から出力される直流12ボルトの電力ラインが接続され、PFET73のソースSには、DC/DCコンバータ35から出力される直流5ボルトの電源ラインが、それぞれ接続されている。従って、コントローラ50からの制御信号CNTLがアクティブ(5ボルト)となると、第2SW回路32の2つのPFET72,73はいずれも導通状態となり、直流12ボルトと5ボルトが、HDユニット40に供給されることになる。
【0029】
そこで、次に、コントローラ50の動作について説明する。図3は、コントローラ50に内蔵されたマイクロコンピュータの処理を例示するフローチャートである。図示するように、コントローラ50は、第1SW回路31が作動して、直流12ボルトがDC/DCコンバータ35に供給されて、直流5ボルトがこのDC/DCコンバータ35から出力されると起動し、まずUSBコネクタ18の信号線D+,D−の状態を読み取り(ステップS100)、USBの信号線D+,D−に信号が入力しているか否かを判断する(ステップS110)。USBの信号線D+,D−に信号が入っていなければ、所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS120)、所定時間が経過するまでは、信号線D+,D−の読み取りと判断を繰り返す。
【0030】
所定時間が経過するまでに、USBの信号線D+,D−に信号が入力されれば、これを読み取り(ステップS130)、電源制御処理(ステップS140)とHDユニット40の制御処理(ステップS150)とを行なう。電源制御処理(ステップS140)とは、それまで信号線D+,D−に信号が入力しておらず、制御信号CNTLをオフにしていたのであれば、これをハイレベル(5ボルト)として、第2SW回路32の2つのPFET72,73を導通状態とする処理であり、既に制御信号CNTLをオンにしているのであれば、その状態を保持する処理である。また、HDユニット40の制御処理とは、USBの信号線D+,D−に入力した信号が、HDユニット40との間のデータのやり取りを示すものであることを認識し、その内容に応じて、データをHDユニット40に書き込み、あるいはHDユニット40から読み出すといった処理である。
【0031】
他方、所定時間が経過するまで、信号線D+,D−に何の信号も入力して来ない場合には(ステップS100、110、120)、外部バスであるUSBは現在使用されていないとして、制御信号CNTLをオフとする(ステップS160)。この結果、第2SW回路32の2つのPFET72,73はいずれも非導通状態となり、HDユニット40への電力の供給は絶たれることになる。
【0032】
引き続き、USBコネクタ18の信号線D+,D−の状態を読み取り(ステップS170)、USBの信号線D+,D−に信号が入力しているか否かを判断する(ステップS180)。USBの信号線D+,D−に信号が入ってくるまで、信号線D+,D−の読み取り(ステップS170)と判断(ステップS180)とを繰り返す。USBの信号線D+,D−に信号が入ってきた場合には、上述した信号線D+,D−からの信号の読み取り(ステップS130)以下の処理を実行する。信号線D+,D−からの信号の読み取り(ステップS130)、上述した電源制御処理(ステップS140)およびHDユニット40の制御処理(ステップS150)を行なった後は、ステップS100に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0033】
以上説明した回路構成(図2)およびコントローラ50による上記処理(図3)を採用した結果、本実施例のハードディスク装置10は、次のように動作する。
(1)USBケーブル15を介して接続されたコンピュータPCが動作しており、電源ラインVBUSを介した電力の供給を行なっている場合:
第1SW回路31のPFET71は導通状態となり、DC/DCコンバータ35は動作する。そして、USBの信号線D+,D−に信号が入力されれば、ハードディスク装置10のコントローラ50は、制御信号CNTLをオンとして、第2SW回路32の2つのPFET72,73をいずれも導通状態とする。従って、HDユニット40は動作し、ハードディスク装置10は、コンピュータPCとの間でデータをやり取りし、必要なデータをHDユニット40に書き込み、また読み出す。この状態を図4に状態ACとして示した。この状態ACでは、ハードディスク装置10は通常の動作に必要な電力を、ACアダプタ20から得て、これを消費する。
【0034】
(2)USBケーブル15を介して接続されたコンピュータPCが停止しているものの、電源ラインVBUSを介した電力の供給を維持している場合:
第1SW回路31のPFET71は導通状態となり、DC/DCコンバータ35は動作する。しかしコンピュータPCは停止しているので、USBの信号線D+,D−に信号は入力されず、ハードディスク装置10のコントローラ50は、制御信号CNTLをオフとして、第2SW回路32の2つのPFET72,73をいずれも非導通状態とする。従って、HDユニット40は停止し、ハードディスク装置10での電力消費は生じない。DC/DCコンバータ35とコントローラ50は動作し、僅かな電力を消費する。この状態を図4に状態ST1として示した。
【0035】
(3)USBケーブル15を介して接続されたコンピュータPCが停止し、電源ラインVBUSを介した電力の供給も停止している場合:
第1SW回路31のPFET71は非導通状態となり、DC/DCコンバータ35の動作も停止する。この結果、コントローラ50も停止し、第2SW回路32の2つのPFET72,73はいずれも非導通状態となる。従って、HDユニット40、DC/DCコンバータ35、コントローラ50のすべてが停止し、ハードディスク装置10の電力消費はゼロとなる。この状態を、図5に、状態ST2として示した。
【0036】
(4)USBケーブル15を介して接続されたコンピュータPCがスリープ状態となり、電源ラインVBUSを介した電力の供給は継続している場合:
この場合は、上述した(2)と同一の状態となる。この状態を、図6に、状態ZZとして示した。
(5)USBケーブル15を介して接続されたコンピュータPCがスリープ状態となり、電源ラインVBUSを介した電力の供給が停止している場合:
この場合は、上述した(3)と同一の状態となる。
【0037】
上述した状態遷移をまとめたのが、図4ないし図6である。図4は、コンピュータPCが、上記(1)と(2)、つまり状態ACと状態ST1との間で遷移する場合の電力消費の状態を示す説明図であり、図5は、コンピュータPCが上記(1)と(3)、つまり状態ACと状態ST2の間で遷移する場合の電力消費の状態を示す説明図である。また、図6は、コンピュータPCが上記(1)と(3)と(4)、つまり状態ACと状態ST2と状態ZZとの間で遷移する場合の電力消費の状態を示す説明図である。
【0038】
図示したように、コンピュータPCが停止またはスリープした場合、USBバスの電源ラインVBUSをどのような状態に維持しているとしても、周辺装置の一つであるハードディスク装置10が、コンピュータPC側の電力を消費することはない。また、ハードディスク装置10側の電力消費もゼロかあるいはDC/DCコンバータ35とコントローラ50の動作電流程度に抑えることができる。しかも、コンピュータPCがスリープ状態にあって短時間の内に動作状態に復するような場合には、コントローラ50は信号線D+,D−の監視を続けているので、コンピュータPCが起動すると、直ちにこれを検出して、HDユニット40を動作状態とすることができる。
【0039】
従って、本実施例のハードディスク装置10は、無駄な電力消費を抑制し、しかもレスポンスの良い動作を実現することができる。また、電力制御回路の第1,第2SW回路31,32には、電界効果トランジスタを用いているので、その動作のために消費するUSB側の電力を極めて小さく(ほぼゼロ)とすることができる。このため、仮にコンピュータPCがバッテリ動作をしつつ、スリープ状態でもUSBの電源ラインVBUSに電力を供給していたとしても、コンピュータPCのバッテリを、USBに接続されたハードディスク装置10のために消尽するということがない。
【0040】
以上、周辺装置としてハードディスク装置10を用いた構成について説明したが、周辺装置としては、他の記憶装置やスキャナ、各種メディアプレーヤー、音源の取込あるいは出力装置など、種々の構成を取りうることは、もちろんである。また、また、外部バスとして、USBのみならず、HDMLなどのバスなどにも適用することができることはもちろんである。
【0041】
上述した実施例では、RAMなどの半導体メモリについては説明しなかったが、ハードディスク装置などの不揮発性記録を行なう装置には、データを一時的に記憶する半導体メモリをバッファとして設けることも差し支えない。こうしたはバッファは、高速な書き込みが可能なので、コンピュータPCから見たハードディスク装置などの見かけ上の書き込み速度を高くすることができる。バッファを備える場合には、USBの信号線D+,D−の信号が検出できなくなったらすぐにHDユニット40への電力供給を停止するのではなく、バッファからHDユニット40への書き込み時間だけ遅延してから、制御信号CNTLをオフとすることもデータの確実な書き込みを保証するという点で有効である。もとより、コンピュータPCがスリープや停止状態となる直前に、コンピュータPC側からハードディスク装置に、キャッシュフラッシュなどのコマンドを送り、バッファに記憶されたデータをHDユニット40に書き込む動作を意図的に行なわせる構成としても差し支えない。
【0042】
更に、上記実施例では、USBの信号線D+,D−に信号が入力したか否かは、マイクロコンピュータを内蔵したコントローラ50により判断する構成としたが、ディスクリートな回路により判断するものとしても良い。また、上記実施例では、電源ラインVBUSに電力が供給されたままコンピュータPCがスリープしているような状態では、コントローラ50は、繰り返し信号線D+,D−の読み取り(ステップS170)と判断(ステップS180)とを繰り返すものとしたが、一度判断を行なうと所定期間コントローラ50を休止状態とすることも差し支えない。こうすれば、ハードディスク装置10での電力消費を更に低減することができる。
【0043】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の態様で実施し得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
10…ハードディスク装置
15…USBケーブル
18…USBコネクタ
20…ACアダプタ
21…DC側電源ケーブル
22…プラグ
24…電源コネクタ
30…電源制御回路
31…第1SW回路
32…第2SW回路
35…DC/DCコンバータ
40…HDユニット
45…内部バス(SATAバス)
50…コントローラ
61〜63…NFET
71〜73…PFET
CNTL…制御信号
D…ドレイン
D+、D−…信号ライン
G…ゲート
GND…接地線
PC…コンピュータ
R11,R12,R21,R22,R31,R32…分圧抵抗器
S…ソース
VBUS…電源ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の伝達が可能な信号ラインと電源供給が可能な電源ラインとを備えた外部バスに接続されて動作する周辺装置であって、
前記外部バスの前記電源ラインの電力とは別に当該周辺装置の動作用電力を供給する電源装置と、
前記電源装置からの電力の供給を受けて動作し、前記信号ラインを介してやり取りされる情報を処理する主装置と、
前記外部バスの前記信号ラインの状態を監視し、前記信号ラインにおける信号の消失を検出したとき、前記電源装置から前記主装置への電力の供給を停止する信号ライン監視部と、
前記外部バスの前記電源ラインを介した電力の供給・停止に従って、前記電源装置から前記信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフする電源制御回路と
を備えた周辺装置。
【請求項2】
前記外部バスは、ユニバーサルシステムバスである請求項1記載の周辺装置。
【請求項3】
前記外部バスは、ケーブルを用いてコンピュータに備えられたコネクタに接続されたとき、前記コンピュータとの間の情報のやり取りを媒介する外部バスである請求項1または請求項2記載の周辺装置。
【請求項4】
前記電源制御回路は、FETを備え、
前記FETのドレイン−ソースが、前記電源装置から電力を供給する回路に、介装され、
該FETのゲートに、前記外部バスの前記電源ラインの電圧に対応したオン・オフ信号が入力される
請求項1ないし3のいずれか記載の周辺装置。
【請求項5】
前記主装置は、情報を不揮発的に記憶する記憶装置である請求項1ないし請求項4のいずれか記載の周辺装置。
【請求項6】
前記信号ライン監視回路は、前記外部バスの前記信号ラインを介した前記情報のやり取りとを司るCPUを備え、該CPUは、前記信号ラインにおける信号の消失を検出すると共に、前記情報を前記記憶装置との間で仲介する処理を行なう請求項5記載の周辺装置。
【請求項7】
コンピュータに外部バスを介して接続された周辺装置を動作させる方法であって、
前記外部バスにおける信号ラインの状態を信号ライン監視部により監視し、前記信号ラインにおける前記コンピュータからの信号の消失を検出したとき、電源装置からの電力の供給を受けて動作する主装置への電力の供給を停止し、
前記外部バスに備えられた電源ラインを監視し、該電源ラインによる電力の供給・停止に従って、前記電源装置から前記信号ライン監視部への電力の供給をオン・オフし、
前記外部バスの前記信号ラインを介して前記コンピュータから信号が入力されている場合には、前記電源装置から前記主装置への電力の供給を行なって、前記信号ラインを介して入力される情報を、前記主装置により処理させる
周辺装置の動作方法。
【請求項8】
前記信号ライン監視部が、前記信号ラインにおける前記コンピュータからの信号の消失を検出した場合でも、前記主装置が動作を完了するまでは、前記電源装置から前記主装置への電力供給を継続する請求項7記載の周辺装置の動作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−164904(P2011−164904A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26624(P2010−26624)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】