説明

呼出無線端末

【課題】 特定の被呼出無線端末を優先的に呼出し、前記呼出しに対して応答が無い場合に、不特定の被呼出無線端末を呼出す機能を有する呼出無線端末を提供する。
【解決手段】 特定のグループを呼出先とする呼出操作があると、呼出信号送信部104は特定の被呼出無線端末グループに対応した呼出IDを含む無線呼出信号を送信し、被呼出無線端末からの応答を待ち、所定時間待っても応答が無かった場合に、呼出先を全端末に指定変更して無線呼出信号を再送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定または不特定の被呼出無線端末を呼出す呼出無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等において、顧客または説明を求められた店員が近傍に居る店員を呼出したい時がある。特許文献1には、相手端末を呼出す場合に、店員が所持する無線端末を呼出す電波の出力を段階的に増大することにより、なるべく近傍の無線端末を呼出す無線端末が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−85746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店員を呼出す際に、多少遠くても、担当の店員を優先して呼出したい場合もある。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、近傍の店員を呼出すのみであり、担当の店員が所持する特定の無線端末を優先的に呼出すことが出来ない。
【0005】
本発明の課題は、担当の店員が所持する特定の被呼出無線端末を優先的に呼出し、前記呼出しに対して担当の店員から応答が無い場合に、担当以外の店員が所持する不特定の被呼出無線端末を呼出す機能を有する呼出無線端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の呼出無線端末は、無線信号の送信または受信を行う無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、呼出しに係るキー入力部を具備し、被呼出無線端末を呼出す呼出無線端末であって、呼出すべき特定の被呼出無線端末または被呼出無線端末グループの呼出ID(IDentification)を登録する呼出ID登録手段と、前記呼出IDを指定して被呼出無線端末を呼出すキー操作が為された場合に、当該キー操作と予め対応付けて登録されている呼出IDを含む呼出に係る無線信号を送信する特定呼出手段と、被呼出無線端末を特定しない呼出しに係るキー操作が為された場合に、呼出IDを含まないまたは被呼出無線端末を特定しない呼出に係る無線信号を送信する不特定呼出手段と、前記被呼出無線端末からの応答に係る無線信号を受信する応答受信手段と、を有し、前記特定呼出手段が呼出に係る無線信号を送信してから、所定の時間が経過しても前記応答受信手段が応答に係る無線信号を受信しない場合に、自動的に前記不特定呼出手段を起動することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の呼出無線端末は、前記特定呼出手段または前記不特定呼出手段は、前記呼出に係る無線信号を送信してから所定の時間が経過しても前記応答受信手段が応答に係る無線信号を受信しない場合に、前記無線通信部の出力電波強度を増大して前記呼出に係る無線信号を再送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、担当の店員が所持する被呼出無線端末を優先的に呼出すと共に、担当の店員からの応答がなかった場合に、担当以外の店員が所持する不特定の被呼出無線端末を呼出す呼出無線端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、店舗にて顧客または接客中の店員が所定の店員を呼出す場合を例に、図を用いて説明する。
図1は本発明による呼出しの全体構成を説明する図である。図2は本発明の呼出無線端末の機能ブロック図である。図3は被呼出無線端末の機能ブロック図である。図4は呼出無線端末の動作を説明するフローチャートである。図5は呼出される被呼出無線端末の動作を説明するフローチャートである。
【0010】
図1は、店舗内に存在する呼出無線端末1と、被呼出無線端末21,22,31,32,33の位置関係を示している。4,5は呼出無線端末1が被呼出無線端末を呼出せるエリアを示している。
被呼出無線端末を呼出せるエリアは、呼出無線端末1が出力する無線信号の電波強度に依存し、電波強度が低い場合のエリアがエリア4、電波強度が強い場合のエリアがエリア5である。なお、ここでは、説明を簡略化するために電波強度が弱と強の2段階としているが、2段階以上の多段階に設定してもよい。
【0011】
被呼出無線端末21,22,31,32,33はいずれも同じハードウェアの端末であるが、ここでは、端末21,22はA商品担当の店員が所持する被呼出無線端末、31,32,33はB商品担当の店員が所持する被呼出無線端末であるとする。
【0012】
呼出無線端末1は、設置場所が固定されて設置されているか店員が所持しており、顧客または所持している店員が呼出し操作することで、所定の店員が所持する被呼出無線端末2X(Xは1または2)または3Y(Yは1〜3のいずれか)または全端末を呼出す。被呼出無線端末2Xまたは3Yのどちらのグループを呼出すかは、呼出操作の際に指定する。特定グループの指定が無ければ全被呼出無線端末を呼出す。なお、特定グループとして1台のみを登録しておけば、特定の1台を呼出すことも可能である。
【0013】
呼出操作の際に、特定の端末グループとして被呼出無線端末2Xが指定された場合、呼出無線端末1は、被呼出無線端末2Xに対応する呼出IDを含む無線呼出信号をまず低い電波強度の出力で送信する。図1の二つの同心円の内側の円の内側(エリア4)が、このときの呼出可能エリアであり、被呼出無線端末2Xはこのエリアに存在していない。このため、被呼出無線端末2Xはいずれも応答を返さない。応答が無いまま所定の時間が経過すると、呼出無線端末1は、出力電波強度を強めて無線呼出信号を再度送信する。二つの同心円の外側の円の内側(エリア5)が、このときの呼出可能エリアである。呼出無線端末1が出力を上げた事で被呼出無線端末21が応答し、呼出無線端末1と被呼出無線端末21間で通信が成立する。
【0014】
次に、被呼出無線端末21もエリア5の外に居て、エリア5の内に被呼出無線端末2Xが1台も存在しない場合(図示せず)、被呼出無線端末2Xはいずれも応答を返さない。この場合、呼出無線端末1は、改めて、出力電波強度を低にして、被呼出無線端末のグループを指定しないで、不特定の被呼出無線端末を呼出す無線呼出信号を送信する。
すると、エリア4内に被呼出無線端末31が存在しているので、被呼出無線端末31が応答し、呼出無線端末1と被呼出無線端末31間で通信が成立する。本来、A商品担当の店員を呼出したかったのだが、近傍のB商品担当の店員を呼出せた。この結果、A商品担当の店員の呼出しNGでも、近傍のB商品担当の店員による顧客フォローが可能となる。
【0015】
なお、近傍に所望の被呼出無線端末が存在していない場合に、遠くても所望の呼出無線端末を優先して呼出すか、近傍の不特定の呼出無線端末を優先して呼出すかは、設定またはキー操作により選択可能である。
【0016】
図2は、呼出無線端末1の機能ブロック図であって、101は制御部、102はテンキーやファンクションキーや選択キー等のキー入力部、103は呼出ID登録部、104は呼出信号送信部、105は無線通信部、106はアンテナ、107は応答信号受信部、108は表示部、109は音声入力部、110は音声出力部、111は電源部である。
【0017】
呼出ID登録部103には呼出すべき特定の店員または担当の店員グループが所持する被呼出無線端末の呼出IDが登録されている。なお、呼出IDはキー入力部102のキー操作内容と対応付けており、キー操作により呼出IDを選択する。例えば、ファンクションキー1(図示せず)の押下が被呼出無線端末2Xを、ファンクションキー2(図示せず)の押下が被呼出無線端末3Yを指定する呼出IDとして登録できる。各部の動作については、フローチャートを併用して後で説明する。
【0018】
図3は、被呼出無線端末2Xまたは3Xの機能ブロック図であって、201は制御部、202は呼出に応答する際に操作するファンクションキー等のキー入力部、203は被呼出ID登録部、204は応答信号送信部、205は無線通信部、206はアンテナ、207は呼出信号受信部、208は呼出信号を受信したことを鳴動音や画面表示やバイブレータで操作者に通知するための表示部、209は音声入力部、210は音声出力部、211は電源部である。この被呼出無線端末2Xまたは3Xの機能ブロック構成は同じであって、所持する店員のグループにより被呼出ID登録部203に登録されるIDが異なる。本端末は、被呼出ID登録部203に登録された呼出IDに合致する呼出無線信号を受信した場合に、操作者に被呼出を通知すると共に、操作者の応答操作により呼出側へ応答を返す。なお、呼出無線信号は呼出信号受信部207が受信するが、呼出無線信号の内容に呼出IDが無い、または全端末を指定する呼出IDだった場合、被呼出ID登録部203に登録された呼出IDの値に係らず被呼出動作が起動される。各部の動作については、フローチャートを併用して後で説明する。
【0019】
なお、図2と図3では呼出無線端末と被呼出無線端末を各々専用の端末として端末内部の機能ブロックを説明しているが、無線呼出機能と無線被呼出機能を一体化した呼出/被呼出兼用の無線端末としても良い。この場合、この呼出/被呼出兼用の無線端末を所持する各店員間でお互いを呼出せる効果がある。なお、呼出/被呼出兼用の無線端末は、図示しないが、図2と図3の同じ名称の部分は共用できる。
【0020】
図4は、呼出無線端末1の動作フローチャートである。以下、図2と併せて動作を説明する。
呼出しを所望する呼出無線端末1の操作者が、キー入力部102を呼出操作したところから本フローはスタートする(S401)。
キー入力部102からの呼出操作としては特定グループ呼出と不特定呼出(全端末呼出)の2種がある。なお、特定の被呼出無線端末を呼出すことも可能であるが、これは1台のみ登録された特定グループと等価なので、ここでは特定の被呼出無線端末1台の呼出しも特定グループ呼出として扱う。
【0021】
キー入力部102から入力されたデータが、特定グループを指定するキー操作であった場合(S402,YES)、呼出ID登録部103に登録されている呼出IDの内、入力されたキー操作に対応した特定グループの呼出IDを読出し、呼出対象として呼出信号送信部104にセットする(S403)。
キー入力部102から入力されたデータが、特定グループを指定するキー操作でない場合(S402,NO)は、呼出対象を不特定(全端末)として呼出信号送信部104にセットする(S404)。
【0022】
なお、呼出ID登録部103には被呼出無線端末の各グループを特定する呼出IDと前記呼出IDとキー操作の対応が登録されている。被呼出無線端末のグループ分けは、担当別、所属別、職位別、年齢別等自由である。
【0023】
呼出信号送信部104はセットされた呼出IDを含む呼出信号を生成し、無線通信部105、アンテナ106を介して、最小の出力電波強度で無線呼出信号が送信される(S410)。
【0024】
次に制御部101は制御部内のタイマ(図示せず)を起動し(S411)、応答信号受信部107を介して、被呼出端末からの応答信号を待つ(S412)。応答信号を受信した場合(S412,YES)、相手の応答を表示すると共に、マイクを含む音声入力部109とスピーカを含む音声出力部110を介して通話可能となる(S450)。
【0025】
所定の時間(例えば10秒)待っても応答信号を受信せず(S413,YES)、直前の送信が最大出力でない場合(S414,NO)、制御部101は無線通信部105からの出力電波強度を増強して、呼出信号送信部104からの無線呼出信号を再送信させる(S415)。
【0026】
S414で直前の送信が最大出力だった場合(YES)、所望の被呼出端末は呼出可能エリア5の内に存在していないのでS431に進む。直前の呼出対象が特定グループであれば(S431,YES)、S404に進み、呼出対象を全端末にセットして(S404)、S410以降を繰返す。これにより、所望の特定グループの呼出しに失敗した場合にでも、近傍の不特定の被呼出端末を自動的に呼出せる。
【0027】
S431で直前の呼出対象が特定グループでないなら(S431,NO)、全端末の呼出し動作済みで呼出可能エリア内に被呼出端末が1台も存在していないので、呼出しが失敗した旨を表示して(S452)、本フローは終了する(S460)。
【0028】
図5は被呼出無線端末の動作フローチャートである。図3を併用して動作を説明する。本フローは電源が投入された段階でスタートし(S501)、無線呼出信号の受信を待つ(S502)。アンテナ206、無線通信部205、呼出信号受信部207を介して無線呼出信号を受信すると(S502,YES)、制御部201は、当該無線呼出信号に含まれる呼出IDを分析して、当該IDが被呼出ID登録部203に登録されている自端末の所属グループか、全端末に対応する呼出IDであった場合に、被呼出表示する(S503)。被呼出表示としては、鳴動または画面表示またはバイブレータ等であり、予め操作者が選択した被呼出モードがセットされている。そして、制御部201の内部タイマ(図示せず)を起動し(S510)、本端末所持者によるキー入力部202からの応答操作を待つ(S520)。
【0029】
応答操作が無いままタイムアウト(例えば1分)すると(S521,YES)、被呼出表示を停止し(S522)、本フローは終了する(S550)。
S520で操作者がキー入力部202を操作し(S520,YES)、そのキー操作が応答拒否操作であった場合(S530,YES)、被呼出表示を停止し(S522)、本フローは終了する(S550)。
【0030】
なお、この応答拒否操作は、被呼出無線端末を所持する店員が接客中の場合に、鳴動等の被呼出表示を停止するための操作である。もし、応答拒否操作をしなければ、S521でタイムアウトするまで被呼出表示は持続する。
キー操作が当該呼出に応答する旨の応答操作であった場合(S530,NO)、制御部201は応答信号送信部204を制御し、無線通信部205、アンテナ206を介して、応答信号を無線送信する(S531)。そして、被呼出表示を停止し(S532)、通話状態になったことを表示すると共に、音声入力部209と音声出力部210を介しての通話処理を開始する(S533)。通話が終了すると(S534,YES)、本フローは終了する(S550)。
【0031】
なお、上述した通話は、双方向同時に通話ではなく、被呼出側から呼出側への「ただいまうかがいます」等の片方向通話、または呼側と被呼側が交互に話す交互通話であってもよい。
【0032】
ところで、無線呼出信号に呼出IDを含ませる手段としては、無線呼出信号がアナログ信号であれば、無線呼出信号を呼出IDで変調すればよい。無線呼出信号がデジタル信号であれば、デジタルデータとしての呼出IDを所定の情報フィールドに埋め込めばよい。
【0033】
以上説明した通り、本実施例に拠れば、簡単な操作で、特定の商品担当者等の特定のグループでなるべく呼出者の近傍の店員を呼出せると共に、特定の商品担当者が呼出可能エリア内に存在しない場合でも、特定の商品担当者以外の近傍の店員を呼出せるので、呼出者への相応のフォローが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】店員等呼出しの全体構成を説明する図である。
【図2】呼出無線端末の機能ブロック図である。
【図3】被呼出無線端末の機能ブロック図である。
【図4】本発明の呼出無線端末の動作を説明するフローチャートである。
【図5】被呼出無線端末の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1…呼出無線端末、21,22,31,32,33…被呼出無線端末、4,5…呼出可能エリア、101…制御部、102…キー入力部、103…呼出ID登録部、104…呼出信号送信部、105…無線通信部、106…アンテナ、107…応答信号受信部、108…表示部、109…音声入力部、110…音声出力部、111…電源部、201…制御部、202…キー入力部、203…被呼出ID登録部、204…応答信号送信部、205…無線通信部、206…アンテナ、207…呼出信号受信部、208…表示部、209…音声入力部、210…音声出力部、211…電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号の送信または受信を行う無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、呼出しに係るキー入力部を具備し、被呼出無線端末を呼出す呼出無線端末であって、
呼出すべき特定の被呼出無線端末または被呼出無線端末グループの呼出ID(IDentification)を登録する呼出ID登録手段と、前記呼出IDを指定して被呼出無線端末を呼出すキー操作が為された場合に、当該キー操作と予め対応付けて登録されている呼出IDを含む呼出に係る無線信号を送信する特定呼出手段と、被呼出無線端末を特定しない呼出しに係るキー操作が為された場合に、呼出IDを含まないまたは被呼出無線端末を特定しない呼出に係る無線信号を送信する不特定呼出手段と、前記被呼出無線端末からの応答に係る無線信号を受信する応答受信手段と、を有し、
前記特定呼出手段が呼出に係る無線信号を送信してから、所定の時間が経過しても前記応答受信手段が応答に係る無線信号を受信しない場合に、自動的に前記不特定呼出手段を起動することを特徴とする呼出無線端末。
【請求項2】
請求項1に記載の呼出無線端末であって、
前記特定呼出手段または前記不特定呼出手段は、前記呼出に係る無線信号を送信してから所定の時間が経過しても前記応答受信手段が応答に係る無線信号を受信しない場合に、前記無線通信部の出力電波強度を増大して前記呼出に係る無線信号を再送信することを特徴とする呼出無線端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−109676(P2010−109676A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279460(P2008−279460)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】